2013年 09月 08日
連立の3政党党首全て女性
北欧ノルウェーの話だ。
明日9月9日は、ノルウェーの国政選挙投票日。世論調査によると、政権交替が確実のようだ。現在の労働党中心の中道左派連立政権に属する候補は、保守党など野党候補にだいぶ水をあけられている。その結果、保守党が進歩党と組んで、新しい政権を担う可能性が高い。
保守党と連立政権を組むとされる進歩党はノルウェーでは"極右"と称される。前回2009年の国政選挙で、労働党に次ぐ第2党になった。しかし、大量殺人者アンネシュ・ベーリング・ビレイビクが一時党員だったことが判明し、人気が落ちた。その後、また回復。
この進歩党のほか、キリスト教民主党、自由党があるが、両党ともに、保守党が極右の進歩党と組むなら連立を組めないと公言してきた。移民政策や税政策などに違いが大きいからだという。ところが、ここにきて自由党党首トリーネ・グランデは、連立にはいる意思を表明した。
一方、労働党党首イエンス・ストルテンベルグ(現首相)の人気は高く、依然として第1党と予測される。「最後まで、現政権―労働党、中央党、左派社会党――の当選をめざす」と強気だ。
選挙はまず国会づくりのためだ。次にその国会議員の所属によって政権づくりがスタートする。とはいえ、どの国の報道も、選挙前から政権づくりに目が行き、新政権のゆくえに焦点がいく。
さて、その保守党、進歩党、自由党の3党による保守中道連立政権づくりが成功すると、ノルウェーにまた新しい歴史がつくられる。現在、この3党、党首が全て女性なのだ。
保守党党首エルナ・ソルベーグは、ベルゲン出身。代理市議会議員に18歳でデビュー。以来、ずっと保守党の政治家。
進歩党党首シ―ヴ・ヤンセンは、フェミニスト運動家を曽祖母に、離婚後シングルマザーとして苦労した女性を母を持つ。
自由党党首トリーネ・グランデは、北部出身の教師経験者で2匹の猫とオスロに住む。
3人ともに政治家歴が長い。公表しているパートナーや子どもはいない。自由党以外の女性党首2人は、ノルウェー政治の宝石ともいえるクオータ制に反対してきた。
選挙結果しだいでは、他野党が連立の合意に達しない場合もあるかもしれない。その時は、労働党党首で男性のストルテンベルグがまた首相の座につく。
ノルウェー社会は、この労働党主導による男女平等政策で政界への女性進出が進んだ。オール女性党首の次期政権誕生は、その成果のひとつだといえる。
◆Partibarometeret
http://politisk.tv2.no/spesial/partibarometeret/maalinger/10640/
◆Partitesten
http://valg.tv2.no/partitesten/
◆高校生が国政選挙に影響を与える社会
http://frihet.exblog.jp/20701686/
◆ノルウェー首相、タクシー運転手に
http://frihet.exblog.jp/20631969/
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http://frihet.exblog.jp/20669975/
◆ノルウェー地方選:労働党と保守党の勝利
http://frihet.exblog.jp/16848444/
◆ノルウェー保守党党首の人気上昇
http://frihet.exblog.jp/18425089/
◆「ノルウェーが幸運なのはノルウェー女性がいるからだ」―首相
http://frihet.exblog.jp/15706931/
◆Norway is to be at the forefront of the fight for women’s rights
http://www.regjeringen.no/en/dep/ud/press/news/2013/rights_forefront.html?id=733667