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映画「孤島の王」

今日は、映画の話。ノルウェーの『孤島の王』をDVDで観た。20世紀初頭のノルウェーの実話に基づいて作られた。

バストイ島は、オスロの南東に位置する。今でも刑務所がある。しかし、現在は、世界が驚嘆する解放的で自由な刑務所に変わった。その結果だろうが、ノルウェーは世界でもっとも再犯率の少ない国となった。

昨年はBBCが、今年はガーディアン紙が、やや驚嘆をこめて、その理想的環境を世界に報道した。ガーディアン紙は、今日6月17日も、「イギリスやオーストラリアにヒントを与えるノルウェーの刑務所」と紹介している。

ところが20世紀初頭のノルウェーの刑務所は、まったく違っていた。映画は、その歴史の一端を見せてくれる。

バストイ島少年矯正院。刑務所とは違い、矯正や訓練によって、若者を立ち直らせるという方針でつくられた。しかし、実態は…。苛酷な労働、残酷な規律、寮長の性的虐待、偽善に満ちた院長…。そこに、生意気な少年がはいってきた。新入り少年はC19と番号で呼ばれる。ことごとく反抗しては、厳罰を科される。ついに彼は脱走をはかる。しかし、失敗。しだいに少年たちは彼の勇気にひかれていく。

1915年冬、耐えかねた少年たちは、暴徒化する。院長は島を逃げる。まもなく軍が大挙して島に押し寄せ、ほぼ全員が逮捕される。

監督は言う。

「『孤島の王』は今の時代もなお世界のいたる場所で起こっているが、大半の人々は知る由もない、不条理な現実を描いた作品なのです。」

原題は、バストイ島の王Kongen av Bastøy。国際的映画賞を数々受賞した素晴らしい作品。ノルウェー語教員の青木順子さんも推薦。

http://www.bastoy.no/
◆再犯率の最も少ない国の刑務所
http://frihet.exblog.jp/17985465
◆Crime and punishment, Norwegian style
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-18121914
http://www.guardian.co.uk/world/2013/jun/17/norwegian-idea-australian-british-prisons
http://www.guardian.co.uk/society/2013/feb/25/norwegian-prison-inmates-treated-like-people
by bekokuma321 | 2013-06-18 00:23 | ノルウェー