2012年 04月 19日
ブレイビク事件は名誉殺人
今週16日から、ノルウェーオスロで、昨夏の襲撃犯の公判が始まった。私は、20年前、ノルウェーと恋におちた。ノルウェーが好きになったのは、「平等という価値」をノルウェー人は好きらしい、とわかったからだ。
ところが、襲撃犯は、私の好きな平等や多文化共生がノルウェーを滅ぼす、とほざいた。その人種差別・女性差別に凝り固まった頭は、日本の右翼政治勢力の頭とそっくりだ。日本のバックラッシュ勢力は、男女平等政策を目の敵にし、自分たちの気に入らない図書や講師を排斥してきた。だから、これは他人事ではない。
というわけで、時間を見つけてはノルウェー襲撃犯ニュースを追ってきた。これまでで最も的を得た分析は、シャバナ・レーマンshabana rehmanの「名誉殺人説」だと私は思う。彼女は、パキスタン系ノルウェー人で、ジャーナリスト。抜群の人気を誇るコメディアンでもある。上は彼女の講演会をPRするチラシ。
彼女の分析はこうだ。
「罪のないノルウェー人の若者を殺したブレイビクの言動は、理解しがたい。自分の娘を殺害する父親の心理を理解しがたいのと同じだ。つまり、これは名誉殺人と同じ構造なのだ。
家族の名誉を汚す行いは罪であり、その罪人を断罪することは罪ではない。家族を地域社会から葬った娘は、地域社会から断罪される。父親がその娘を殺害する命を受ける。彼の行為は正義だ。
名誉殺人を断行する男性にとっての掟は、社会の法よりも優位にある。そのような人間が、法廷を認めるわけがない。その目的は崇高であり、手段など選ばない。
ブレイビクは、イスラム教徒や非ヨーロッパ人と寝るノルウェー女性は万死に値すると言う。ブレイビクの歪んだ宇宙において、彼女たちは裏切り者であり、汚辱なのだ。彼女たちは、彼の妄想する名誉を侮辱したのだ。」
■http://shabanawriter.blogspot.jp/

