2012年 02月 09日
独裁者の妻
昨年のシリア市民革命以来、アル=アサド大統領は、軍事力を行使して弾圧してきた。独裁者、弾圧者として、国連をはじめ多くの政府、アムネスティインターナショナルなど民間団体が、非難している。朝日新聞によれば、2月3日夜、政府軍の砲撃などにより、多数の死者が出たという。ロイター通信は在外反体制派の情報として、217人が死亡したと伝えた。
BBCは、これまで7000人が殺害されたとする。アスマ―は、市民への弾圧を続ける軍隊の長にある大統領のもっとも近くにいる人間だ。はたして、妻アスマ―は夫に影響力を及ぼせるか。
ペルーの人権やジェンダーに詳しいジェルケ・ボーエステン博士によれば、独裁者の妻の夫への影響力については、もっと現実的であるべきだとペルー大統領だったフジモリの妻スーザン・ヒグチを例に出している。
彼女は、夫の独裁と汚職を告発したら、ただちに、ただちにファーストレディの職をはく奪され離婚を言い渡された。その後、スーザンは逮捕され、拷問を受け続けたという。
「スーザン・ヒグチは非常に勇敢でした。当時、大統領だった夫フジモリは政治的にきわめて強大な力を有し、軍隊を掌握し、しかも人気がありました。しかし、彼女の勇気ある告発は、フェミニスト団体から支援を受けましたが、社会の中の小さな一部にしかすぎませんでした」
スーザン・ヒグチの行動力と正義感と勇気は、もっと報道されていい。大統領の妻といえば、フィリピンのイメルダ、チュニジアのライラ・ベン・アリーなど、夫の権力をかさにきて贅沢三昧をしてきた女性、というイメージばかりだ。
■Asma al-Assad and the tricky role of the autocrat's wife
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-16930738
■Leila Trabelsi: the Lady Macbeth of Tunisia
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jan/18/leila-trabelsi-tunisia-lady-macbeth
■北沢洋子の国際情報http://www.jca.apc.org/~kitazawa/undercurrent/2011/burning_arab_1_tunisia.htm