2012年 01月 01日
2012年のご挨拶
2012年のロゴ写真は、ノルウェー国会議事堂の前にあるライオン像で遊ぶ少女たちです。希望がわいてくるような1枚を、と探しました。
東日本大震災に苦悩した1年でした。愛する人を失った方、家を奪われた方、故郷を追われた方、後遺症にうなされる方…犠牲になった方々はどのような思いで新年を迎えられたことでしょう。
微力な私ですが、被害にあわれた多くの方々に思いを寄せながら、新しい年を生きようと決意しました。
上の写真に話を戻します。
2011年秋、4年に1度のノルウェー統一地方選を取材に行きました。オスロ市の中心にある国会前を通り過ぎたら、少女たちのキャーキャー遊ぶ声が聞こえました。見ると、国会議事堂の前のライオン像に馬乗りになっていました。
少女たちは、この後すぐ、メインストリートに並ぶ政党の選挙小屋のほうに向かいました。「政党の公約を知るために、インタビューするんです」と1人が私に言いました。もう1人は、政党名がたくさん書かれた質問用紙を手に持っていました。
引率の先生に聞くと、「オスロ市内の小学校の5年生です。ええ、授業の一環です」と告げました。3、4人ひと組になって政党の候補者に決められた時間内に取材するのだそうです。
ノルウェーの政治は生活に本当に近いと思うことが多いのですが、小学生が、自分たちの目線で選挙に関わっている姿にのけぞってしまいました。
それに、少女たちの肌の色がみな違っています。スカーフをしている2人はイスラム教でしょうか。なにげなくシャッターを切った1枚に、私の好きなノルウェーらしさと、未来への希望があふれていました。
本年もどうぞよろしくお願いします。
昨年1年は、銅像「工場の少女たち」でした。20世紀初めの紡績工場で働く少女たちの物語。このお話はhttp://frihet.exblog.jp/17265803/をどうぞ。
三井マリ子