2011年 08月 31日
女子差別撤廃委員会への政府回答のお粗末さ
法制度上の性差別である民法の改正と、余りに男性に偏った政策決定の女性増の2点について、こう対処していますよ、という文書だった。なぜ、そんな文書を政府が出したか。いきさつは…。
国連の女性差別撤廃委員会CEDAWは、日本政府へ女性差別撤廃が進んでない、もっと進めるようにと勧告していた。さらに委員会は、その中のとくに深刻な2点について、今夏まで政府に回答しなさいと求めていた。その2点が、「民法改正」と「政策決定への女性参画」だった。
“ある文書”は、その政府による国連への回答である。期待しながら読んでみた。
残念ながら、政治の分野の女性進出については、文書の中で、「政党役員などに“協力”を求めた」などと書かれているだけだ。
政府のやる気はまったく見えない。これでは、国連から勧告され、2011年8月まで政府回答を提出しなければならないので…と形式的につくろった程度ではないか。
日本の国会における女性の割合(衆院)は11.3%。世界平均にはるかに及ばず、187カ国中126位というありさまだ。その上、全国フェミニスト議員連盟調査によると、地方自治体の約4分の1は、女性議員が誰もいない「女性ゼロ議会」だ。
この極端に男性に偏った政治は、女・子どもの利益が政策に反映しないだけではない。男性にとっても、未来の日本にとっても不幸、この上ない。
日本は国際社会の一員だ。そして、条約批准国なのだ。条約批准国として、具体的な予算をつけて、国連勧告に示されているクオータ制の実行を求めるべきだ。
OECD諸国の女性議員率は26%であるが、その平均値を下げているのは日本だという自覚ぐらい持ってもらいたい。せめて、この深刻な現実をメディアに大々的に報道してもらうような知恵は働かなかったのだろうか。
以下は、お粗末な政府回答。「政治分野」を引用する。
「Ⅱ.政治分野への女性の参画の拡大
12. 第3次基本計画において、これまで取り上げてこなかった政治分野
への女性の参画の拡大について新たに目標を掲げ、内閣府特命担当大臣(男女
共同参画)から政党や関係団体への要請を行うなど、積極的な取組を行ってい
る。具体的には以下のとおり。
13. 内閣府は、第3次基本計画に基づき、2011 年2月に内閣府特命担当
大臣(男女共同参画)より各政党、地方議会議長会に文書をもって要請すると
ともに、内閣府副大臣が政党幹事長に面談し、意見交換の上、協力を求めた。
要請文では、各政党の役員等に占める女性の割合や、衆議院議員及び参議院
議員の選挙並びに地方公共団体の議会の選挙における女性候補者の割合が高ま
るよう協力を求めるとともに、仕事と生活の調和の推進体制の整備や、女性の
地方公共団体の議員のネットワーク形成を始めとする積極的改善措置の導入に
取り組むよう求めている。」
全文は下記を
http://www.gender.go.jp/teppai/6th/cedaw_co_followup_j.pdf
関連サイト
■女性ゼロ議会の直方市訪問
http://frihet.exblog.jp/16676559/
■全国フェミニスト議員連盟 in 北九州
http://frihet.exblog.jp/16671403/
■女性ゼロ議会の今治市に申し入れ
http://frihet.exblog.jp/15509693/
■女性ゼロ議会の愛知県阿久比町、飛島村を訪ねて
http://frihet.exblog.jp/13039730/
■日本の政党にクオータを実行する気は見えない
http://frihet.exblog.jp/15100360/
■NWECフォーラムワークショップ 女性議員を増やして政治を変えよう!
「進めよう!クオータ制」を開催しました。
http://www.afer.jp/report/campaign/2010/10_nwec.html
■全国フェミニスト議員連盟
http://www.afer.jp/
■2011女性と政治キャンペーン
http://frihet.exblog.jp/15927997/