2010年 10月 28日
書評 『ノルウェーを変えた髭のノラ』

今ヒットしている日本映画「大奥」とは全く別物だ。家父長的な男尊女卑社会で育った日本人には、男女の逆転ぐらいしかイメージが湧いてこないのかもしれない。しかし、この本は、本当に男女が平等になるって、なるほどこういう社会なのか、と自覚させてくれた。
日本の政権交代が、戦後60年以上を経て地殻変動を迎えるかのご
とく起こったように、ノルウェーの男女平等も、長い時間の縦軸と、
全国への地平的な広がりを横軸として準備されてこその果実だった
のだ。
著者は、こちらの人からあちらの人へ、こちらの地域からあちらの
地域へ、この課題からあの課題へと、バトンを受け継ぐ実に多くの
ノルウェー女性たちを、いきいきと紹介する。
そして、読者は、「男女平等」は知恵とお金と時間を使って勝ち取
るものであって、棚からぼたもちではないことを教えられる。
著者のユーモアセンスのせいか、活動する女性たちは皆、楽しげだ。
日本でもやれば実現するという気にさせてくれる。
264ページ 、1680円 著者三井マリ子 出版社明石書店
岡田ふさ子(保育士)。
出典:岡田ふさ子筆「『ノルウェーを変えた髭のノラ』を読んで」
(メールニュース『ファイトバック! 第53号』 2010.10.15)
上の本を読んでみたい方は 『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)