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『十五分一本勝負』というタイトルのおもしろい本を読んだ。書いたのは、江東区議会議員の中村まさ子さん。江東区議会の定例会で自身が行った一般質問を紹介している。


定例会とは、臨時の会ではないという意味で、国会なら「通常国会」にあたる。年に4回ほど開かれる。無所属の彼女には、その4回のうちたった1回、しかもわずか15分しか質問時間が与えられていない。

中村議員は、その15分間のために、区民の声に耳を澄まし、事実を徹底的に調査し、他市区の例があればそれと比較し、江東区の行政でできることを選び出す。そして、区長や行政幹部に「江東区でできることではないか」、と勝負に出る。本のタイトルはここに由来する。

そもそも、中村さんは、六価クロムが自宅近くに埋め立てられることを知って、それに反対する住民運動から政治に目覚めた。だから、ゴミ問題、殺虫剤汚染、反原発の姿勢はゆるがない。さらには、子どもや女性の人権、教育問題、貧困問題などなど・・・。質問内容はすべて、こうした社会的に弱い立場に置かれた人たちへのまなざしで、貫かれている。

時には、区の入札制度にメスを入れ、贈収賄や談合への日本の法制度の甘さを批判する。それだけではない。彼女は、「女性の雇用率が高い」「育児休業や介護休業がとれる」「セクハラ対策がある」というようなことを入札の段階で、入札する企業に聞いたらどうか、と提案する。フェミニストの顔だ。

昨年、障碍者雇用率の水増し事件が大きく報道されたが、中村議員は、何年も前に警鐘を鳴らしているではないか。性的少数者の差別にも黙っていない。まずは子どもたちへの教育や教職員研修の充実をと、訴えているーー16年も前のことだ。

男女平等社会をつくるためには、教育現場での日ごろのさりげない男女平等が欠かせない。だから、「なぜ江東区の学校は男女混合名簿にしないのか」と区長に何度もせまる。

政治は暮らしそのもの、だ。この本を読むとよくわかる。一人でも多くの人に読んでもらいたい。とくに統一地方選で初当選した女性議員には必読書だ。 樹花舎、800円。





# by bekokuma321 | 2019-05-22 14:02 | その他

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長野県では、20194月の統一地方選前、「女性ゼロ議会」が15町村、20%もあった(注)。それが、今回、13町村、16.9%に減った。

選挙があったのは6村。その半数にあたる3村(川上村、南牧村、下條村)が「女性ゼロ議会」を脱出した。しかし、いずれも女性の数は残念ながら1人。引き続き「女性ゼロ議会」に甘んじた3村では、女性がそもそも立候補しなかった。

一方、女性議員が1人いた阿南町は無念にも「女性ゼロ議会」に転落した。12人の定数に立候補した14人全て男性だったのである。

結果、長野県の女性ゼロ議会は、4町村に、統一選からずれている9町村を加えた、次の13町村:阿南町、南相木村、北相木村、下條村、長和町、平谷村、売木村、玉滝村、麻績村、生坂村、高山村、小川村、栄村。

というわけで、長野県77市町村のうち「女性ゼロ議会」は、13町村、16.9%。選挙前、20%だったことを考えると、進歩した。とはいえ、候補者を男女半々にしようという「候補者男女均等法」施行後、初の大型選挙だったのだから、政党や政治団体は、女性候補探しに必死になるべきだった。法に罰則がないから守らなくてもいい、と思ったのだろうか。

今回の選挙で、女性ゼロ議会に立候補した女性はすべて当選したことを考えると、女性が立候補したら当選した確率は極めて高かった。政党や政治団体に猛省を促したい。


【注】長野県の「女性ゼロ議会」15町村は、「平成30年4月1日現在 市町村議会における女性議員割合<長野県県民文化部人権・男女共同参画調べ>」。その後から2019年4月までにあった変化は反映されていない。
【円グラフ:元となった統計数字は、長野県議会の毛利栄子議員にお世話になったことを感謝をこめて記します】


女性県議数をノルウェーと比べてみたら

村議会史上初の女性議員誕生(長野県川上村)
「女性ゼロ議会」脱出めざして_2019地方選  
「女性ゼロ議会」のみよし市に女性議員を!

補者男女均等法は我々が望んでることではない(長野県自民党)























































# by bekokuma321 | 2019-05-20 19:25 | その他

最新の調査によると、日本の国会(衆院)における女性議員の割合は10.2%で、世界193カ国中164位と出た。前回の165位から1位あがった。IPI(列国議会同盟)による201921日付けの調査結果。


日本の164位は、162位のコンゴやガンビアと、165位サモアの間に位置する。



アジア諸国の平均は19.7%。東ティモール40%で15位、 ネパール32.7%で37位、フィリピン29.5%51位、ベトナム26.7%63位などだ。お隣の韓国は17.1%で120位。日本の女性議員割合の極端な低さが、アジア諸国の足を引っ張っているようだ。



出典はWomen in National Parliaments,IPU


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【更新 2019.5.18】


# by bekokuma321 | 2019-05-17 22:50 | その他

もうじき、EU議会の選挙がやってくる。EU加盟国がそれぞれの国で、いっせいにEU議会議員を選ぶ。選挙は比例代表制。

2004年にEUに加盟したハンガリーには、極右の風がふきまくっている。ブダペストのフェミニストは、「EU議会選挙の結果しだいでは、命さえあやぶまれる」という。先日、ブダペストで取材した、バックラッシュに抗う女性たちの声を紹介する。

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▲「オルバン・ヴィクトル政権はメディアを傘下におさめ、反移民や反女性をあおっています。EU選挙ではオルバン側を減らし、わが党の議員を増やさなくては」。ハンガリー民主連合副党首のアグネス・バダイ国会議員。選挙ポスターの掲示板も高額を支払って買わなくてはならず、弱小政党はポスターをはることさえ難しい。その結果、町中が与党のアジテーションでおおわれるという。「これがポスター代わりです」と名刺を差し出した(国会議事堂そばのカフェにて)。



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▲「現政権はロマ人や移民を徹底的に迫害しています。さらに世界で評判の、自由で開かれた中央ヨーロッパ大学まで潰す気です。フェミニズムをとくに嫌悪して、ジェンダー学を追放しようとしています」とアントニア・バロウズ。共産党独裁政権崩壊後、ハンガリーのフェミニスト運動をけん引した。部屋という部屋が本の山。隣室では務め帰りのレズビアン10人ばかりが集まって話し合いをしていた。「政府に頼っていては痛い目にあうだけ。ですから、この図書館をつくって女性たちに開放しています。ここは図書館であるだけでなく、女性たちのたまり場なのです」(ブダペストのフェミニスト・ライブラリーにて)。



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▲「中央ヨーロッパ大学」でNGOフェアが開催されていた。EUのウィメンズ・ロビーのコーナー。ウィメンズ・ロビーは、EUの男女平等政策や女性への暴力根絶施策をハンガリーに根付かせる運動をする。大学生の肩越しにチラリと見えるのは、ハンガリー紙幣を使ったフェミニスト・ポスター。このポスターの斬新なアイデアを知りたいかたは、「叫ぶ芸術 第70回 “男の国”に抗う女性活動家たち」を(ブダペスト市内の中央ヨーロッパ大学にて)。


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▲「中央ヨーロッパ大学」構内で行われているNGOフェア。ここは人権擁護団体のコーナー。左側はTom Lantos Institute。ヒジャブをかぶった女子学生たちが足をとめて相談していた。すでにハンガリー政府は、国境に有刺鉄線付き塀をつくって、その裏側で移民を貨物用コンテナに収容するという、とんでもない法律を可決成立させている。取材した女性たちは「トランプより先、行ってるんです」と苦笑いした(同上)。


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▲ブダペストにある国会議事堂。国会議員の3分の2を与党フェデスが握る。反EU、反妊娠中絶、反移民へ、ひたすら強硬政策をとる。



# by bekokuma321 | 2019-05-14 00:57 | ヨーロッパ

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51日はメーデー。

ノルウェーの首都オスロのメーデーをかつて取材したことがある。派手な横断幕を持って元気に目抜き通りをデモ行進していた。子連れも多かった。


今年はどうか? ニュースをクリックしたら、
ブーナッド(Bunadで着飾った大勢の女性たちの列が続いていた。「51日のニュースに517日の写真が使われているのでは」と、目を疑った。


ブーナッドは、ノルウェーの伝統的な民族衣装だ。地方ごとにデザインや色や刺繍が異なっている。5月17日の憲法記念日や結婚式に着る晴れ着だ。労働者の日メーデーに着るひとは見たことがない。

記事を読み進んだ。間違いなく51日のメーデーの写真だった。ブーナッド姿のメーデー行進には、「ブーナッド・ゲリラ bunadsgeriljaen」というグループ名までついていた。


「ブーナッド・ゲリラ」にはわけがある。この何年間か、政府は、地方の合併政策を推進してきた。政府の方針だが、国会でも賛否が分かれている。地方議会には断固反対も少なくない。ノルウェーは60万人のオスロから7万人ほどのフィンマルク県までさまざまだ。コミューネ(市町村)となると、わずか数百人の自治体もある。


政府は合併して、効率よくしようと考えたが、小さな自治体の住民の多くは合併に反対し、病院や学校が近くになくなってしまうと、怒りをあらわにしてきた。今年に入って、北部のある女性が、ノルウェーのそれぞれの地方に独特のブーナッドを身につけて、地方からの反撃を示そうという斬新な戦術を出した。これが「ブーナッド・ゲリラ」である。


ネットでの呼びかけに呼応した人、一か月で35000人。またたく間にノルウェー全土に広がった。


「ブーナッド・ゲリラ」会員のカトリーネ・ホールは、ベルゲンから北部のヘルゲランに移住してきた女性で教員だ。心の底から怒っている声が聞こえてきそうな長い投稿を要訳して紹介する。

NRK, Chronicle 2019.5.7


「エルナ(首相の名)よ、ブーナッドの力を知っているか」

「地方をなくすことは、ノルウェーの伝統に真っ向から反することだ。だから、私はブーナッドを着る。着飾っているのではない。強い抗議の意志の表現だ」

「私はヘルゲラン地方に住み、ここの学校で教員をしている。それは私の誇りだ。生粋のヘルゲラン人も、新しく移住してきた人も、生徒も、難民も、みんなここを選んで住みつづけている」

「ノルウェー人はみんな平等のはずだ。時間とエネルギーを費やして、こうしてデモをして、私たちの存在を叫ばなければいけないなんておかしい」

「ここに住み続けることは、ここに住んでここの尊い価値をともに作り上げていくことだ。それができなくなるのだ」

「学び舎をなくすな、教員や看護師をなくすな、私たちの病院をなくすな、私たちの人間としての権利を奪うな。すでにいくつかのサービスはカットされている。それは人間としての尊厳を奪うことだ」

「エルナよ、私たちの側に立つチャンスは今だ。エルナも政府も私たちの選挙によって選ばれたのだ。私たちのために働こう」


力強い反撃表現に圧倒されながら、ほとんど議論のないまま合併してしまった日本を思い出した。日本の女性たちが合併の弊害に声をあげた例など、まったく報道されなかったのではないか。しかし、今でも、地方に行くと「合併していいことなんかない。投票所が近くになくて選挙にも行けない」「妊娠しても近くに産婦人科医師がいなくて不安」「合併して議員数が減ったため、女性議員がいなくなった」---こんな嘆きが耳にはいってくる。

世界一民主主義の国はノルウェーだと紹介したが、「ブーナッド・ゲリラ」のような運動こそが、ノルウェーを世界一におしあげている底力なのだろう。


【写真は、517日憲法記念日またの名を建国記念日に、ブーナッドを着て祝う少女たち。Helle Cheung提供】
【更新 2019.5.10,13
















# by bekokuma321 | 2019-05-09 11:02 | ノルウェー