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Webで『叫ぶ芸術』を見たというから人から感想が届いた。2018年のことだ。


「なんてすばらしい! 日本語の解説はよくわかりませんが、女性たちをとりまく問題はよくわかります。女性の怒りは世界共通ですね」


女性の名は、スワヴォーミラ。「クラクフ女性センターeFKa」館長だという。クラクフといえばポーランドの古都だ。行ってみたいな、と思った私は、2019年3月、ポーランドに飛んだ。そのときに寄贈されたポスターの1枚が、これ。

 


WenDoで自分のからだを守り闘う力を身につけるーークラクフ女性センター講座_c0166264_21003315.jpg


クラクフ女性センターが音頭取りをしている女性のためのセルフ・デフェンス訓練で、WenDoという。館長のスワヴォーミラは、私に「WenはWomen。Doは道(どう)。日本語だと思います。日本では、WenDoやってないですか?」と言った。


性暴力の8,9割は、女性が被害者だ。女性や少女たちこそ、小さい頃から、自分のからだを守り、闘う力を身につけられたら、どんなにいいだろう。世界中の学校で体育の女子必須科目にすべきではないか。


詳しくは、「I 女のしんぶん」9月10日号の「叫ぶ芸術--ポスターに見る世界の女たち」134回をどうぞ。



ウクライナ侵略:ポーランドのフェミニストから: FEM-NEWS (exblog.jp)

クラクフと女性「100年続くシングルウーマン住宅」 : FEM-NEWS (exblog.jp)

クラクフと女性「プラショウ強制収容所」: FEM-NEWS (exblog.jp)

クラクフと女性「女性センター エフカ」: FEM-NEWS (exblog.jp)

クラクフと女性「コペルニクスは女性だった」: FEM-NEWS (exblog.jp)

クラクフと女性「環境、男女平等」: FEM-NEWS (exblog.jp)

クラクフと女性「スタラ・シナゴーグ」: FEM-NEWS (exblog.jp)

クラクフと女性「ヤギェウォ大学」: FEM-NEWS (exblog.jp)



# by bekokuma321 | 2024-09-13 21:19 | ヨーロッパ

1年間に171000人以上の女性が、自分の住んでいる州から別の州に旅をしなければなりませんでした」


アメリカの市民団体「すべての人にリプロの自由をReproductive Freedom for All」から、こんなニュースが、先日、流れてきた。


アメリカは、州によって、人工妊娠中絶を禁止していたり、中絶しにくくしたりしている。その州に住んでいて、意に反して妊娠した女性は、中絶が合法化されている州に移動せざるをえない。移動には経費がかかる。やむなく、闇で妊娠中絶をする女性も出ているという。もっとも痛手を受けるのは、強姦で妊娠してしまった女性。とくに貧しい女性、有色人種の女性たちであることは明白だ。


背景には、アメリカの連邦最高裁の判断がある。2022年、連邦最高裁は、人工妊娠中絶権を長年合憲だとしてきた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆したのだ。


思い出すのは、1983年のアメリカ。「選択の自由」「女の身体は女が決める」ーーニューヨークのブロードウェイに女たちの声が響いた。当時、コロンビア大学に留学していた私もデモに加わった。「ロー対ウェイド判決」の10年を記念するイベントだった。「個人的なことは政治的なこと」に私は大きく動かされた。アメリカは1973年に妊娠中絶は合法であると最高裁が判断した国であること、妊娠中絶合法化反対のレーガン大統領(当時)の匙加減でそれが覆されるおそれがあること、を私は学んだ。


しかし、レーガン大統領時代の1980年代には、1973年の「ロー対ウェイド判決」が覆されることはなかった。ところが2022年、連邦最高裁の判示を、同じ連邦最高裁が破棄したのだ。いったいなぜか。


元凶はトランプ元大統領の人事だ。トランプは、在任時、最高裁判事に、計3人の保守派を次々に指名した。それで、就任時には、リベラル派と保守派が半々だったが、トランプの離任時には保守派6人、リベラル派3人になってしまった。


「すべての人にリプロの自由をReproductive Freedom for All」のスポークス・パーソンは、アメリカの深刻な事態をこう強調する。


「現代の女性たちや少女たちの権利は、祖母や母の時代よりも狭められているのです。2022年最高裁が『ロー対ウェイド判決』を破棄してからというもの、わずか2年間で、全米の半数の州が、妊娠中絶禁止か、実際に妊娠中絶をしにくくする州法を持つようになりました」


同じころ、北欧ノルウェーから、「人工妊娠中絶の権利と自由を18週までに広げる新法案が国会に提出」というニュースが届いた。ノルウェーには、妊娠12 週目まで中絶を受ける権利があり、12 週目以降に中絶したい場合は、医療評価委員会に申請してその結果を得る必要があった。この法律が、この秋、抜本的に改正される。ちなみにスウェーデンはすでに18週まで女性の自己決定による妊娠中絶が可能だ。


ノルウェー女性公衆衛生協会Norwegian Women's Public Health Association (Norske KvinnersSanitetsforening)は、「やっとです!私たちの運動のたまものです」と喜んでいる。一方、女性フロント(Kvinnefronten)は、社会的心身的な状況から妊娠に気づかず、18週を超えて中絶に至る女性もいることをあげて、医療評価委員会そのものをなくすべきだと主張する。


人工妊娠中絶をめぐる政治:アメリカ、北欧、日本_c0166264_16523965.jpg
      ▲ノルウェー女性公衆衛生協会の街頭運動(オスロ中央駅前、2023年9月)


北欧では、妊娠中絶にかかる費用は、他の医療費同様、何百万円かかってもすべて無料だ。人工妊娠中絶に限らず、北欧諸国は、経済的に苦しい人、身体の弱い人にとってやさしい医療・福祉を堅持してきた。その反対側に位置するのが、アメリカ政治のように思える。なにしろ、公的健康保険すら基本的に存在しないのである。とくにトランプ元大統領は、どう見ても、反フェミニズム、反移民だ。


では、わが日本はどうか。実は明治にできた刑法にまだ「堕胎罪」が残る、とんでもない国だ。その条文の改正がないまま、「母体保護法」によって、「配偶者の同意」があれば、中絶手術を行うことができるに変わった。夫の許しを得たら中絶できますよ、というわけだ。


私は、70年から80年代、ウーマン・リブ運動に身を投じていた。「国際婦人年をきっかけとして行動を起こす女たちの会」と「私たちの雇用平等法をつくる会」が主なグループだった。樋口恵子さん、中島通子さんの薫陶を受けて、高木澄子さん、中嶋里美さん、駒野陽子さんたちと教育・雇用問題の性差別撤廃に動いた。


リプロダクティブ・ライツのために闘う女性グループと事務所を共有していたので、「優生保護法改悪」「経済条項削除」「生長の家」となどという言葉が毎日のように飛び交った。


優生保護という名前に嫌悪感があったが、日本女性の妊娠中絶を可能にしていた「経済条項」が削除されると知って、危機感が募った。宗教法人「生長の家」とかかわる村上正邦参議院議員が、改悪の推進役だった。女性たちの猛反対運動の結果、「経済条項」は残った。こうして私は、ウーマン・リブ運動を通じて、女性問題と政治の結びつきを認識するようになった。


結論は、刑法から堕胎罪をなくし、母体保護法から配偶者同意をなくさない限り、日本女性のリプロダクティブ・ライツはないと思う。二大政党のトップを決める選挙がもうじきらしいが、この重要テーマの賛否どころか、掲げる人すらいない。メディアも話題にしない。だから何としても、女性議員とくにフェミニスト議員を増やすことが急務だ。ああ、その道のりはまだ長い。




Center for Reproductive Rights

Reproductive Freedom for All

残酷かつ悲劇的な米国の最高裁判決:保守派判事増えて妊娠中絶権破棄される : FEM-NEWS (exblog.jp)

第112回 からだは自由だ!(フランス) (ionnanoshinbun.blogspot.com)

A victory for women's self-determination | Norwegian Women's Public HealthAssociation (sanitetskvinnene.no)

Principles for a new abortion legislation — The Women's Front (kvinnefronten.no)

UK SAMBA~イギリスのお産事情~ 第1回「堕胎罪を廃止せよ! ある女性への判決から」(前編) by おざわじゅんこ|LOVE PIECE CLUB(ラブピースクラブ)



【更新 202409/08 イギリスのお産事情サイトを末尾にのせた】


# by bekokuma321 | 2024-09-03 16:58

延期のお知らせ:8/31、9/1 「ジェンダー平等社会は私たちが創る!」by 全国フェミニスト議員連盟_c0166264_08343710.jpg



831日、91日開催予定の、「全国フェミニスト議員連盟サマーセミナー2024 in 愛知」の準備をしてまいりましたが、今回、台風10号の影響を考え、開催を「延期」することになりました。


本日、緊急実行委員会で話し合い、来年の1月~2月に、この企画内容で「ウインターセミナー」として、開催することとなりました。日程、会場など決まりましたら、お知らせいたしますので、ご参加よろしくお願いいたします。


取り急ぎお知らせします。


実行委員長 白井えり子(愛知県日進市議会議員、「女性を議会に!ネットワーク」)



案内8/31& 9/1 ジェンダー平等社会は私たちが創る!@名古屋 : FEM-NEWS (exblog.jp)

報告「物言う女の排除に裁判で闘って勝った女性たち」(2022/10/8 徳島) : FEM-NEWS (exblog.jp)

全国フェミニスト議員連盟サマーセミナーin松本 : FEM-NEWS (exblog.jp)

「政界への女性進出を!」全国フェミニスト議員連盟@岐阜 : FEM-NEWS (exblog.jp)





# by bekokuma321 | 2024-08-29 08:41 | 日本

2024ジェンダー・ギャップ指数 上位10カ国すべて比例代表制!_c0166264_05523923.jpg

            ▲2024ジェンダー・ギャップ指数上位10カ国の選挙制度(第一院)


世界の男女平等先進国の上位10カ国すべて比例代表制中心の選挙である。


では比例代表制とは?

1票は、日本のように候補者に入れるのではなく、政党にいれる。選挙区の定数は多数で、10人以上ということもある。政党の獲得票に比例して、議席数が決まる。たとえば、定数が10人だとすると、A党3人、B党3人、C党2人、D1人、E1人というぐあいだ。


勝ち負けというより、大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに、議席を分け合うという感じだ。だから「死に票」はなく、民意が反映される。一方、日本の衆院選では、最多票をとった候補者以外に入れた票は、ことごとく「死に票」となって、毎回、2000万票~4000万票がドブに捨てられる。


誰が当選するかは、政党の作る候補者名簿(リスト)の順番で決まる。当選圏(上のほう)の候補は確実に当選する。政党は、上に男性ばかりを載せると、「この政党は女性差別しているのでは」と疑われるので、女性を上位に載せてバランスよくすることが多い。


北欧では、選挙運動は政党中心なので候補者には1円もかからない。だから、お金のない女性や若者も立候補できる。日本のような裏金どころかオモテガネもいらない。


北欧諸国は100年ほど前から比例代表制だ。70年代から政党が自主的にクオータ制を採用してきた。候補者リストを作成するときに、クオータ制がものをいう。つまり、クオータ制が効果を発揮するのも、比例代表制という土台があるからといえる。


しかし、フィンランド、デンマークは今でもクオータ制を採用していない。


北欧ではないが、世界第4位のニュージーランドもおもしろい。日本が小選挙区制中心に変えた頃、小選挙区制を捨てて比例代表制中心に変えた。結果、女性や先住民マオリが増えて多様で多彩な国会に変わった。

参考
『さよなら!一強政治:小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』(三井マリ子、旬報社)



2023年ジェンダー・ギャップ上位10カ国ほぼ全てが比例代表制中心の選挙 : FEM-NEWS (exblog.jp)

男女格差の小さな国々は比例代表制(2022年ジェンダー・ギャップ) : FEM-NEWS (exblog.jp)

日本はジェンダー・ギャップ120位、うち政治分野147位 : FEM-NEWS (exblog.jp)

男女平等ギャップと選挙制度(2019年ジェンダー・ギャップ) : FEM-NEWS (exblog.jp)

比例代表制は男女格差を縮める(世界経済フォーラム2017) : FEM-NEWS (exblog.jp)

日本の男女平等度、世界101位 : FEM-NEWS (exblog.jp)

男女格差、世界136カ国中105位 : FEM-NEWS (exblog.jp)

日本、世界131カ国中101位 : FEM-NEWS (exblog.jp)

選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド) : FEM-NEWS (exblog.jp)

WEF_GGGR_2024.pdf (weforum.org)



# by bekokuma321 | 2024-08-23 06:21 | 北欧

8月18()「女性の自由への歩みと選挙」と題したオンライン会合が開かれました。講師は「ワーキング・ウィメンズ・ヴォイス」代表の時永裕子さん。要約します。


自立して働き続けたいと公務員の道を選んだ時永さん。公務員は、たてまえは男女平等の職場ですが、昇進・昇格・配置などさまざまな場面で女性差別にぶち当たりました。改善しようと自治労や連合など労働組合に入りましたが、ここも男社会で、悔しい思いをします。



速報「時永裕子:女性の自由への歩みと選挙」by 金子加代_c0166264_13153586.jpg


1995年、時永さんは、国連主催の北京女性会議に参加し、女性差別撤廃条約に出会いました。目の前がパアーッと開ける感じがしました。この条約によって、「物事を決める場を男女平等にするために、政治を変えていく行動が必要だ」と、市民活動へ。時永さんのかかわっている市民グループは、次のように多岐に及びます。


①ワーキング・ウィメンズ・ヴォイス」(非正規雇用差別撤廃を中心にしたジェンダー平等社会を目指す)、②北京JACふくおか(国際社会と連携して地域活動を通じてジェンダー平等をめざす)、③NPO法人ジェンダー平等福岡市民の会(男女共同参画条例や計画の実施状況を点検・提言など)。


2021年、王貞月さん主宰の「北欧を読む会」に参加した時永さんは、『さよなら!一強政治』(三井マリ子、旬報社)に出会いました。


本の副題は「小選挙区制の日本、比例代表制のノルウェー」。冒頭には、日本の選挙をルポした映画のDVDをノルウェー人に見てもらい、その感想がまとめられています。それを読んだ時永さんは、日本の選挙のおかしさをあらためて痛感することに。次にノルウェ―の県立高校で行われている「スクール・エレクション」が詳述された章で、民主主義教育の実態を知って驚きます。


さらにノルウェーの極北の地の女性たちや、先住民サーミ女性たちの闘いをルポした章を読んで、「民主主義の実現は、政治に参加することであり、女性やマイノリティが平等に政治参加できる選挙制度が鍵だ、と確信した」と言います。そして、「この本(『さよなら!一強政治』)は、ジェンダー平等の実現をめざす私たちにとって、まさに社会変革のガイドブックです」と強調しました。


次に時永さんは、日本の選挙のおかしさに移りました。有力男性を想定した選挙制度で、女性・若者は不在だということ。民意が反映されない「死に票」がたくさん出ること。高額の供託金、記名選挙、個別訪問も公開討論会も不可・・・など。


時永さんは、最近、大学で出かけていって「女性の政治参画」について、話をしているそうです。また、女性議員と語る企画にもかかわって、政治をもっと身近に感じてもらう活動にも加わっています。


時永さんのトーク後、オスロ、ベルゲン、ロンドン、日本各地からの参加者と質疑応答で盛り上がりました。市民活動を続けていくコツを尋ねられ「楽しく、仲間とともに」行うこと、少しずつでも続けると少しずつ変わる、私たちは微力だけど無力ではない、と回答した時永さんの笑顔が印象的でした。国立女性教育会館ヌエック宿泊機能閉鎖との決定が、突如上から下りてきたことについて、切実な訴えをした参加者がいました。これも日本の議会に女性があまりに少ないことの結果ではないか、と考えた人が多かったはずです。


速報「時永裕子:女性の自由への歩みと選挙」by 金子加代_c0166264_15450816.jpg
 ▲真夏の夜のフェミニズムと選挙。メイントーク後は石田まなみ進行でワイワイと・・・


時永さんは、『さよなら!一強政治』に書かれていた、小選挙制の弊害と比例代表制の可能性について、私に再認識させてくれました。また、時永さんも加わる「楽しく比例制をめざす会」のように、「楽しく行動をつづけること」が大事だという指摘を聞いて、爽快な気持ちになりました。なにより「女性の自由への道は政治を変えることだ」と迷いなく断言した時永さんの言葉が忘れられません。主催は楽しく比例制をめざす会。


次回は、10月18日()20:30~

ゲストは、ロンドン在住のおがわじゅんこさん

テーマは、「イギリスの選挙について」


金子 加代(福岡県飯塚市議、楽しく比例制をめざす会


# by bekokuma321 | 2024-08-20 13:17 | ノルウェー