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「ヌエック」と呼ばれて親しまれてきた国の唯一の女性ナショナルセンターが埼玉県嵐山にある。国立女性教育会館だ。突如、その縮小案が知らされた。しかも、その名目は「機能強化」だった。先ごろ、衆院に続いて参院でも、国立女性教育会館について審議があり、同会館が全面的に縮小されることになる法案が賛成多数で決まった。その話合いがなされた内閣委員会を傍聴した瀧章次さんの寄稿です。


●● 「社会教育」を取り戻す希望を塞がないために―619日参議院内閣委員会傍聴記●●

                   

6月19日、独立行政法人男女共同参画機構法案を審議する参議院内閣委員会を傍聴しました。千葉県嵐山町など地元で活動してきた方、反対活動を続けてきた会のメンバーと一緒でした。


残念ながら、独立行政法人男女共同参画機構法案は、賛成多数で可決されました。れいわ、共産党、維新は反対しました。


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政府参考人として答弁したのは、昨年10月ジュネーブ女性差別撤廃条約日本審査の時に中央にいた内閣府男女共同参画局岡田恵子局長でした。


昨日の委員会室で気づいた点があります。政府参考人と大臣席が、傍聴席とほぼ同じ横の線で、同平面上でした。用意された答弁書の文字フォントや赤字などが観察できるほどでした。その作文の中には事実かどうか疑いのあることが幾つも巧みに埋め込まれていました。答弁者の棒読みに傾注しても、事実経緯を詳細に追っていないければ、その非を捕まえることの難しい所が数多くありました。


しかも、傍聴の許可は、委員会が始まった後に委員長から降りるとの慣習だということで、私たちは、参議院別館内の受付で待たされました。そのため、自民の質疑はまったく傍聴できませんでした。


中継で見た限りでは、自民の議論は、指標の問題にすり替え、日本社会の実質的不平等にふれない論外なものでした。また、維新は、利用率を効率の指標に、公共的共有資産の廃止を唱えました。維新は、女性教育を単に学校教育における機会の平等ととらえて、すでに達成されたと考えていました。利用率の低い国立女性教育会館を早く廃止すべきとの議論は、第2次世界大戦後の「社会教育」政策の意義を無視するものでした。木を伐ったら公園に人が来なくなったのだから木を伐ったついでに公園を更地にしておくべきだったというような暴論でした。


公明党、国民民主党の論議は、第5次男女共同参画計画において202111月男女共同参画会議で、岸田政権下で「新しい資本主義」の名の下、社会教育としての女性教育の問題が、女性の経済的独立の方法の問題にすり替わったことを、批判なく、そのままなぞったにすぎませんでした。


共産党、井上哲士議員を除いて、国立女性教育会館の問題が、社会教育の問題であり、人間の権利の問題であることを明確に論じた議員はいませんでした。れいわの大島九州男議員は、日本学術会議法案と同様の問題として、行政側の知恵のなさや拙速などさまざまな欠点にふれました。


全体として、宿泊棟、研修棟取り壊しに言及する2024730日付け政府文書、男女共同参画会議WG20234月報告書、さらには、民主党政権下2012年大日向座長報告についても、内容や決定過程の非民主的問題が問われることはありませんでした。要は、行政側や賛成議員側からの発言によって、法案が正当化されていく、流れだったと言えます。


この点は、202562日の男女共同参画会議や610日女性版骨太の方針2025などがそうであったように、国民に明らかにされないまま、有識者会議を盾に、政府決定案が結論となる政治手法でした。特に野党第一党、立憲民主党が明確に批判できておらず、内閣提出法案の策定枠組に自ら関与、容認してしまう危うい面が再確認されました。


また、男女共同参画会議の政府側委員には、「裏金」問題、カルト癒着疑惑等、不法行為に関わる者が含まれていました。また、「有識者」には、結論ありきのお膳立てに与する者が選ばれていました。結果、反対・賛成双方が熟議して結論に達するという議論とは程遠いものでした。このような法案策定の構造的な政治問題こそが、問われなければならなかったのではないでしょうか。


国立女性教育会館の現在の平均的年間修繕費と土地の賃料は併せて3億2,3千万円です。広大な敷地と建物の規模、国立のナショナルセンターの唯一の施設という観点から、不当な金額だと言えるのか。それについても全く議論がなされませんでした。


この点は、衆参を通して、野党側が質疑時間を使って精査確認しえなかったことは、国民の知る権利を奪ったと言えます。政策の適否を決める判断基準の正否をほかにだれが精査できるでしょうか。この重要な問題点は、質問時間に制約のある、れいわ、大島議員、共産党、井上議員が問題として間接的に触れるに留まりました。


また年間平均修繕費の根拠とされた「老朽化」問題については、これも2024730日文書以来、衆議院でも審議されることなく最後まで来てしまいました。この点も質疑以前に、議員と政府間の「レク」の枠組みでは、本質に迫れないという構造的な問題が、むしろ明らかになりました。


一部国会議員は、公共インフラ長寿命化政策に関わっています。それにもかかわらず、国立女性教育会館問題には関与しないというありかたがあるとすれば、別の不公正が発生していると考えます。昨年暮れの令和6年度補正予算「整備準備」(2025324日執行)、遡って730日に(あるいは空白の1か月に(下方参照))、すでに別の利権構造が発生していてもおかしくはないと見ることもできます。日本各地で、防衛施設が、住民の反対にもかかわらず地元との「合意」の美名の下に強行されていることも思い起こすべきです。


本法案は、政府の長寿命化政策と矛盾しており、老朽化により取り壊す際のコストや影響を検討しないで走り出しました。れいわ、大島議員の指摘したように、今後、市民が監視すべき問題です。


また、行政側は、正当化する論拠に、利用者や地域住民の声を聴く機会を設けてきたと説明しました。これは、とんでもないアリバイ作りであることが判明しました。


今年2月のオンライン会議の参加者は政府寄りの関係者でした。さらに質疑では、だれも質問していないにもかかわらず、「質問の機会を提供した」との答弁がありました。そもそもこの会は、法案説明会でも何でもなかったのです。そのことには、あえて言及しませんでした。


同じく行政側を正当化する論拠として、地元、嵐山町、埼玉県との間の協議について、行政側の記録として明らかにされているものにはない時期に、複数回取り組んだ、ということを挙げています。その点は、衆議院内閣委員会審議に続いて、行政側の苦し紛れの「装い」を感じました。その「装い」を国会議員が指摘できなかったことを強調しておきます。


2024627日、大野元裕埼玉県知事は、埼玉県議会において、「移転不当答弁」をしました。それからわずか1か月も経たない同年730日、埼玉県、嵐山町と内閣府との間に「合意があった」とされています。いったい1か月の間に何があったのか。その核心部分が、きわめて不透明です。


附帯決議案では、立憲民主党などの調整により「女性差別撤廃条約に則り」の文言が加えられました。衆院での附帯決議案よりは、ややましだったと考えます。


本日620日、午後、参議院本会議で法案が成立し、国立女性教育会館の名はいずれ消えていくことになるかと思います。昨日傍聴後、福島みずほ議員、井上哲士議員、石垣のりこ議員秘書、木戸口英司議員秘書には、ご尽力に感謝を申し上げました。


以上、日本の戦後「社会教育」を代表する国立女性教育会館の名前の消失を心に刻むことになる日であることを覚えつつ、希望を塞ぐことなく、あらたに市民の学びを始めていくために、国民の前で何が審議されたか、私自身が受け止めたことをお伝え申し上げます。


2025620日     瀧 章次

「ヌエネット」: 国立女性教育会館の研修棟・宿泊棟の存続を求める市民ネットワーク  事務局 連絡担当

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報告:何が話され何が話されなかったか(国立女性教育会館@参院を傍聴して)by 瀧章次_c0166264_11142855.jpg


【写真 1枚目は国立女性教育会館庭園にある茶室。2枚目は井戸端会議風団らんコーナー。3枚目は全景】



国立女性教育会館を解体する政府案に反論します : FEM-NEWS

速報:ヌエックに関わる衆院の委員会を傍聴して(瀧章次) : FEM-NEWS




# by bekokuma321 | 2025-06-22 11:21 | 日本

6月13日に開いた楽しく比例制をめざす会のオンライン会合をまとめます。


ゲストの高沢陽子さんは、青森県野辺地町初の女性議員。しかも、女性議員不在120年余りという歴史を破ったかたです。高沢さんの話は、議員になる以前の職場での闘いと、議員になってからの仕事、そしてノルウェーと日本の選挙制度でした。




1977年、高沢さんは、電電公社野辺地電話局に電話交換手として就職しました。身分は短時間特別社員、今でいう非正規社員でした。正社員化を全電通労組(現NTT労組)に訴え、4年半後に正社員になりました。


その後、退職再雇用制度を導入した会社と一緒になって組合員の説得を始めたNTT労組に怒って労組を脱退。電通労組に新たに加入しました。闘う組合に入ったことで、反社会的行為と断罪され全国大会でひそかに処分されました。これにも怒って、2006年、「組合の加入、脱退は自由」と訴えて提訴。裁判勝利を喜んだ人はいましたが、NTT労組から電通労組に移った人はいませんでした。


2016年の退職後、権力闘争に明け暮れていた野辺地町議会の現状を知って、町に貢献しようと考えました。80年代からアイ女性会議で活動していたので政治には関心がありました。福島みずほ議員の言葉「女性は政治に向いている」で奮起して、2018年、補欠選挙に立候補しました。子育て、介護、教育などの困りごとを議会に届けたい、と話すと、多くの女性が励ましてくれて、当選しました。


女性不在120余年の歴史を塗り替えた野辺地町初の女性議員 by 渡辺順子_c0166264_19430212.jpg


議会に女性の声を届けたくても、全くの素人でした。指導してくれる人もロールモデルもいなかったため、つらく厳しい日々が続きました。反面、「女性議員は話しやすい」と言われたり、議会質問に関連して、市民の要望が実現できた時はやりがいを感じました。日々、悩みながらやっています。


自分が次に出ないときには新しく女性候補者を探さなければなりませんが、周りには「私にはできない、私には無理」などという女性が多く、説得は難しいです。


三井さんの本『さよなら!一強政治』を読み、講演を聞き、ノルウェーの選挙制度がうらやましく思います。日本の選挙は候補者個人を選びますが、ノルウェーは政党を選びます。ノルウェーでは候補者に女性が30%から50%、学校でも政治をタブーにしない、若者の政治参加、など優れた面が多い。日本も、女性、弱小政党、マイノリティーも当選できるような選挙制度に変わっていけるよう、議論をしていきたいです。


穏やかに自然体で話しながらも、内に秘めた堅固な意志や思慮深さを感じ取れた高沢さんのトークでした。意見交換の時間には、青森市議会議員や、アイ女性会議の県代表などが加わりました。六か所村核燃再処理工場、原発、米軍基地など危険なものがいっぱいの青森県での苦労、原発廃止を決めた台湾の運動、女性一人議会での頑張り方、ノルウェーで6月1日に施行された新妊娠中絶法、選択的夫婦別姓、議員の信念と党議拘束などなど、話し合いは10時半過ぎまで続きました。


次回は926日(金)。王貞月さんの「北欧選挙見聞記」です。お楽しみに。


渡辺 順子(楽しく比例制をめざす会、前大磯町議会議員)



「女性不在120余年の歴史を破って」を聞いて by 安田晶子 : FEM-NEWS

報告:女性ゼロの衆院選挙制度協議会に請願を出して : FEM-NEWS

「男性のみの選挙制度に関する協議会」は女性差別撤廃条約違反: FEM-NEWS

緊急ニュース:男性のみの「衆議院選挙制度に関する協議会」に請願を出しました: FEM-NEWS




# by bekokuma321 | 2025-06-21 19:02 | 日本


今からちょうど50年前の1975年、メキシコで男女平等をめざす国連による女性の10年がスタートし、世界行動計画が策定された。77年、日本の国会で、世界行動計画の国内版「国内行動計画」が策定され、同年、嵐山に「国立婦人教育会館」(注1)がオープンした。


79年には女性差別撤廃条約が国連で採択。同条約の批准を求める女性運動の高まりを受け、日本も85年批准に至った。


批准したのだから、守るべき責務がある。しかし、日本政府は、国連の女性差別撤廃委員会から条約を遵守せよと何度も勧告を受けてきた。世界経済フォーラム「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は、146カ国中118位という恥ずべき低位置にある。男女平等への政府の消極姿勢をこれほど正直に示すものはない。


実際、国立女性教育会館への交付金の拠出額を見ると、その消極姿勢がわかる。2001年7億2400万円だったが、2024年4億7900万円だ。3割以上も削減したのである。予算をここまで減らしておいて、宿泊棟の稼働率が悪いから撤去するなどと、どの口をもって言えるのだろう。


だから、今こそ、「男女共同参画社会の形成の促進」(根拠法第1条)を目的とする国立女性教育会館を、政府は、その本来の目的にそって、充実させるときではないか。


しかるに、政府は、こともあろうに撤去解体するという。しかも、それに向けて政府は、きわめて姑息な動きをとった。まず、新聞で記事を読むまで市民は、全く知らされなかった。寝耳に水だった。そのうえ、宿泊棟・研修棟・スポーツ施設の撤去を含む施設の弱体化を、「機能強化」などと称して、けむにまいた。さらに加えて、多くの女性たち、とりわけ施設利用者たちの声を聞くことも、話し合うこともまともにしなかった。女性だと思ってなめてかかったのだろうか。少なくとも民主主義の基本のキを踏みにじったやりかただった。


10ヘクタールの敷地。約600人が利用できる講堂や会議室のある研修棟、300席の食堂、ゆったりと広い浴場、あちこちに設けられた井戸端会議風団らんコーナー、350人が泊まれる宿泊棟。テニスコート、プール、茶室。緑あふれる散策の道。しかも、国際時代にふさわしい同時通訳機能、多様性・包摂性の時代にふさわしいバリアフリー設備。


このような環境の女性の公的施設は、いったん撤去解体されたら、二度とできないだろう。世界の人口の50%を占める女性が、世界の土地のわずか20%しか持っていないとする統計(注2)を引用するまでもない。女性が主体の土地や建物は、いまだに世界にも日本にもあまりに少ない。


よって、私は怒りを込めて言いたい。このたびの国立女性教育会館撤去解体は、男女共同参画社会実現は21世紀の最重要課題と定めた男女共同参画社会基本法を嘲笑するものであり、男女平等を求める世界的潮流へのバックラッシュ(反動)であり、人権としての女性の権利の保障を希求する国際規約の趣旨を踏みにじるものであり、歴史の歯車を逆回転させるものであることにほかならない。


残念ながら、国会では、賛成多数で国立女性教育会館解体法案は可決されるだろう。そのなかで、反対の立場で意見を述べた、2人の衆議院議員の発言は首肯に値する。以下はYouTube。


【上村英明の国会質問!】内閣委員会 男女共同参画機構 宿泊施設はなくていいのか?2025年6月11日11:15頃~

【内閣委員会】男女共同参画機構2法案/埼玉県嵐山町の研修棟・宿泊棟廃止は認められない – 塩川てつや



 
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【注1 文部省所管。後に独立行政法人に変わった。「ヌエック」と呼ばれることが多い】

【注2 Womenown less than 20% of the world's land. It's time to give them equal propertyrights | World Economic Forum


【写真 1枚目は国立女性教育会館全景。2枚目は宿泊用個室。3枚目は車いすが通れるスロープ付きの階段。4枚目は4,5人ずつ座って井戸端会議ができるような団らんコーナー。5枚目食堂】




参加無料:報告・研究会「ヌエックまだまだ使いたい」を理論武装する 6/21@青山学院大学 ジェンダー研究センター[東京都渋谷区] – まんなかタイムス ⇠今日です

速報:ヌエックに関わる衆院の委員会を傍聴して(瀧章次) : FEM-NEWS

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案内6/2 :国立女性教育会館NWECとわたしたち : FEM-NEWS




# by bekokuma321 | 2025-06-20 22:01 | 日本

青森県野辺地町の高沢陽子議員の「女性不在120余年を破って」が、6月13日、終わった。主催は「楽しく比例制をめざす会」。先約があり、トーク後の話し合いに加われなかった参加者から、感想が届いた。


追記:感想に書いてある質問に、ゲスト高沢陽子さんから返信がきた。「楽しく比例制をめざす会」(フェイスブックのルーム)をご覧ください。


●●● 「女性不在120余年の歴史を破って」を聞いて●●●

「女性不在120余年の歴史を破って」を聞いて by 安田晶子_c0166264_10050186.jpg


昨夜は早めに退室してしまい、失礼いたしました。


青森であんなにも長く奮闘してきた方がいらっしゃるのですね。何があっても諦めずに声をあげ続けたこと、女性には政治が合ってると思って、本当に政治の世界に入られた勇気に感服しました。その本人から直接お話をお聞きすることができてとてもよかったです。


NTT は全国規模の会社ですから、他の地域でも、高沢陽子さんと同じような女性差別的立場に置かれ、同じような思いを抱えた女性がいらしたはずですよね。そんな全国の女性たちの連帯のような動きは、当時、ありえたのでしょうか。


昨日、最新のジェンダーギャップレポートが出ました。男女平等度トップは北欧諸国で、日本は前年と同じ118位でした。


男女平等が進む北欧の話を私がすると、よく「北欧は、人の数が少ないから女性が連帯できるのだ」という反応があります。北欧に比べて確かに日本の人口は多いですが、例えば日本の中では青森の人口はとても少ないです。そうならば、青森のエリアだけでも女性が連帯しあえて、他のエリアより男女平等が進む、とも考えられるのですがそうもいかないようですね。


今、ちょうど東京都議選です。東京都議会は、日本の中では女性議員率がとても高いし、都知事は女性です。今回の選挙で、もっと女性議員が増えて、東京から日本が変わるといいなと思います。


時代とともに賛成の声が大きくなっても、国会では一部の反対で全く通らない選択的夫婦別姓の流れも、東京都から変えていけたら、と思います。


昨夜はお誘いありがとうございました。


安田 晶子(NPO法人YouToo代表 〜シニア女性の居場所をつくる〜


# by bekokuma321 | 2025-06-14 10:13 | 日本

「ヌエック」と呼ばれて親しまれてきた国の唯一の女性ナショナルセンターが埼玉県嵐山にある。突如、その縮小案が知らされた。しかも、その名目は「機能強化」だった。寝耳に水だった利用者たちは、怒りや悲しみを胸に、反対運動を展開。しかし6月11日、国会の委員会で、ついに縮小が決まったようだ。法案審議を傍聴した瀧章次さんから、報告が届いた。


●●●報告「ヌエックの縮小が決まった衆議院内閣委員会を傍聴して」●●●


速報:ヌエックに関わる衆院の委員会を傍聴して(瀧章次)_c0166264_10233541.jpg

本日(2025611日)は、「ヌエネット」という市民団体のメンバー3人で、国立女性教育会館「機能強化」政策に関わる独立行政法人男女共同参画機構法案の衆議院内閣委員会法案審議を傍聴し、始まりから採決まで見届けました。


傍聴にはこれまで地元でこの問題に粘り強くかかわってこられている地方自治体議員の方も来られておりました。


衆議院内閣委員会法案審議では、れいわの上村英明議員、共産の塩川鉄也議員のお二人を除いて、野党議員も、政府の法案提出の説明、法案内容を追認した上で、質問とは言うものの確認ばかりで、政府答弁を提示する場に留まるという印象でした。特に、2024730日文書の決定過程(注:HPを参照)については何も明らかにされませんでした。


上村議員、塩川議員の両議員の質問には、これまで声明文で私たちが発信してきた内容に直接間接に関わることも多く、議論の根幹と問題の本質を、国会の審議の場で改めて共有できたことはまことに幸いでした。312日、衆議院文教委員会、竹内千春議員、324日、参議院法務委員会、福島みずほ議員に続く、この国会における、国立女性教育会館「機能強化」政策の問題を本格的に問うものでありました。


本日の内閣委員会議員の質疑の質は、全般的に、ありきたりの統計には触れるものの、日本社会のことも社会教育史のことも《人間の権利》としての女性の権利も、問題として掘り下げて論じるものとはとても言えない水準でした。


一緒に傍聴した、会(ヌエネット)のメンバーの友人が、傍聴後、「政府の説明は、戦前の国防婦人会などの会を情報統制、指導者養成を通して全国的に作りだして行ったのと違いがないのではないか」と感想をもらしてことが印象的でした。


会議の間、二世議員など自民党の議員は携帯をいじり続けていたり、委員会室を出たり入ったり、ただ採決のためにいるだけという印象でした。


このような議員と議論の水準で、この国会で、日本の国のかたちを大きく変える諸法案が内閣委員会で議論されたのかと思うと、改めて政治の劣化を思わされるとともに、日頃、市民の集まりで、市民同士持ち寄って議論している水準にさえ達していないとも思いました。


9時から12時までの質疑の後、反対討論がなされ、採決となりました。もっと実効性を説明できる機能強化でなければいけないという立場から、維新も、れいわ、共産に加わって反対しました。


立憲の二人の質疑には、立憲民主主義の制度には、公共的な社会共有資産というものがあることを認めるのか、また、そういうものを市場の原理に附してよいとするのか、この点で政府側との争点を示せていませんでした。また、第5次男女共同参画計画の進捗過程での岸田政権「新しい資本主義」による政策変容過程、WG設置とその決定過程の問題を問いただすこともありませんでした。この点はとても残念でした。


法案の前提を確認する作業としては、自民の議員の質問のほうが内容的には優ると受け止めました。


特に、立憲民主党は、日本学術会議の問題においても、もし人間の権利という立憲主義の問題でかかわっておられたのであるならば、男女共同参画の問題でも、まずは人間の権利の問題から議論を組み立てるべきではなかったか、この点でその姿勢は、参議院内閣委員会質疑(衆院の後に予定されている)で修正されるべきではないかと私は考えました。そこで本日中に連絡のつく先には、本日の質疑の問題点を指摘いたしました。


なお有志の会、緒方林太郎議員は行政の知見に基づき、内閣府主管でありながらなお文科省の社会教育における分掌を残す法案立て付けの不自然性を指摘したほか、内閣府に独立行政法人を設置することのいびつさを指摘した点は独自でした。採決では賛成に回られました。


以上、管見ながら、本日のご報告まで。


「ヌエネット」: 国立女性教育会館の研修棟・宿泊棟の存続を求める市民ネットワーク

事務局 連絡担当: 瀧章次

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【写真:高い天井に広いスペースのヌエック食堂。宿泊し食事を楽しみながらの交流が奪われることに】

【更新:2025/6/13】



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# by bekokuma321 | 2025-06-12 10:44 | 日本