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410日は、75年前、日本史上初めて女たちが国会議員を選ぶため投票所に向かった日だ。


戦後直後の貧しさと惨めさと混乱の中、79人の女たちが立候補した。当選して赤じゅうたんを踏んだ女性は39人。


そのひとりが秋田の和崎ハルである。「祝!女性参政権75周年 初の女性代議士を産んだ選挙制度とはを当ブログで読み、ハルの熱意と行動力にあらためて感嘆した。


だが、熱意と行動力だけでハルが当選できたのではない。ハルは2回、3回と衆議院選挙に挑戦をし、敢え無く落選している。彼女の当落に選挙制度が大きく関わっていることを確信した。


女性参政権75年、変えるべきは小選挙区制_c0166264_12425859.jpg

その選挙制度について、北欧ノルウェーと比較して書いている本が『さよな

ら!一強政治――徹底ルポ 小選挙区制の日本と比例代表制のノル

ウェー』(三井マリ子著、旬報社)である。


前書きに心を奪われた。コロナ禍の今、女性をはじめ社会的に不利な立場

に置かれている人たちの失業、貧困、DVがより露わになった。民意を

正しく反映しない小選挙区制によって作り出された「腐臭」芬々たる

政治の下、三井さんは、こう書く。


「烈しく欲求することは事実を産む最も確実な真原因である」。平塚雷鳥の言葉だ。これに呼応する

ように三井さんは「そうだ、『比例代表制に』と烈しく欲求する事から始めよう。こう心に誓って、私はこ

の本を書いた」と結ぶ。


この言葉に戦慄を覚えた私は、民意が反映される選挙制度を烈しく欲求したいと自分に言い聞かせた。


『ママは大臣、パパ育児』(明石書店)、『男を消せ!』(毎日新聞)、『ノルウェーを変えた髭のノラ』

(明石書店)、三井マリ子さんのいろいろな著書から、ノルウェーの政治を知った私は、なぜ日本は

これができないのか!と歯ぎしりしてきた。新刊『さよなら!一強政治』は、そんな日本の男女不平等

政治は、小選挙区制が元凶にあることを白日の下に晒している。


安倍前総理の「桜を見る会」に始まり、前経済産業大臣・菅原一秀のカニ、メロン、すじこの贈答戦

術、元経産大臣・小渕優子の明治座観劇バスツアー、元法務大臣松嶋みどりの名前入り「うちわの

ようなもの」の配布・・・悪行の数々。なぜ、ここまでするか。それは小選挙区制では候補者の名と顔を

売ることが最も大事な選挙運動だからだ。


1票欲しさに見栄も外聞もなく奔走する日本の選挙は、「喜劇のような悲劇」だ。ドキュメンタリ映画

『選挙』(想田和弘監督)のDVDを持ってノルウェーに飛び、ノルウェー人に見せる。映画を見たノル

ウェー人は「クレージーだね」「日本の選挙は哀れすぎる」「別の惑星の生き物みたいだ」と怒りがおさま

らない。立候補して同じことをしてきた三井さんは、いたたまれなくなる。


2012年衆院選の顛末も書かれている。落選覚悟で立候補し、秋田に移住、豪雪のなかの選挙

運動。落選後の三井さんを襲った人格攻撃と選挙違反だとの脅迫。三顧の礼をもって迎えた候補

ではなかったのか! 選挙をともに戦った「同志」ではなかったのか! 家には三井さん1人しかいない

と分かった夜、集団で急襲し、取り囲んで延々と追い詰める。どう考えても公党に属する人たちの行

為とは思えない。


しかし、何年かかけて三井さんは、すべては政党交付金という公金を私物化しようとする企みから発

していたことを知る。小選挙区制を通すためにできたと言われる政党交付金制度。これこそが諸悪の

資になっていると、読者は知らされる。


なぜこのような小選挙区制選挙や政党交付金制度ができたのか? 


19937月、細川護熙日本新党連立政権が誕生した。日本新党は、政権参加に「小選挙

区比例代表並立制」の受け入れることを条件にした。


衆院選で惨敗した社会党は、それまで提唱していた「小選挙区比例代表併用制」を捨て、小選

挙区比例代表並立制を受け入れた。「政権の一角に入ることを約束されて丸めこまれたのか、抱

き合わせで提示された『政党交付金』に目がくらんだのか。いろいろな記録を読んでみると、どちらも

『イエス』のようなのだ」、「悪魔の取引をしてしまったように、私には見える」と三井さんは書く。


ところが、「小選挙区比例代表並立制」の法案は衆参で議決が異なり、両院協議会で流れて

しまう。そこに登場するのが、日本のお家芸とも言うべき密室政治だ。主役の1人は森喜朗。


つい最近、女性蔑視発言でオリ・パラ組織委員会会長の座を辞任表明した後、密談で次期会

長を決めようとした、あの森喜朗さんである。つまるところ、小選挙区制は、密室政治による産物

だった。


木村 昭子(こうち男女共同参画ポレール監事)


# by bekokuma321 | 2021-04-12 12:59 | 秋田

戦後すぐあと1946410日。75年前の今日、日本女性は投票所に初めて足を運んだ。女性79人が立候補して39人が当選。全衆議院議員の8.9%だった。現在、衆院9.9%だから、情けないことに75年間ほとんど変わらない。


秋田でも1人の女性が衆議院議員になった。和崎ハル。シングルマザーの美容師だった。秋田市の川反という歓楽街で仕事をしていた。芸者さんたちは髪を結ってもらいながら彼女に身の上話をした。涙なしには聞けない苦労話ばかり。東北の貧しい農家に生まれた娘たちは、借金のかたに身売りされてきたのだった。


祝!女性参政権75周年 初の女性代議士を生んだ選挙制度とは_c0166264_14121472.jpg

和崎ハルは、社会の底辺であえぐ女性たちを何とかしなくてはと思い悩んだ。そのためには公娼制廃止をと心に誓った。当然ながら、政治に関心を寄せるようになった。知り合いの選挙運動を手伝った。その選挙で相手候補の政治腐敗を目の当たりにした。「女性が政治にはいって政治浄化を」と考えるようになっていく。久布白落美市川房枝を秋田に招いては、廃娼運動、婦選運動にのめりこむ。


19289月、秋田市で行われた「第1回 公娼廃止大演説会」で、久布白落美は、参加者1000名を前にして「昭和維新」と題する講演を行った。翌19298月、久布白は再び秋田入りして、秋田婦人連盟・矯風会秋田支部が共催する集会で講演。「公娼問題よりとき伏して、婦人参政権の必要なることを力説」した。これこそ、秋田県初の女性参政権要求講演会だった。さらに1932年、市川房枝らを招いて秋田市で東北婦選大会を開催した。当時、和崎は「婦選獲得同盟秋田支部長」だった。


1946年、日本女性は初めて政治に参加する権利を得た。和崎はその衆院選に挑戦した。雪の残る道をモンペをはいて演説して回った。10万票というダントツの得票でトップ当選を果たした。


しかし、和崎は翌1947年再挑戦するも落選だった。めげずに19493たび立候補。またしても落選した。3年間に3度も国政にチャレンジした、その挑戦魂には、ただただ頭が下がる。


落選した女性は和崎ばかりではない。日本全体で、女性立候補者・当選者は、194679人・39人、194785人・15人、194944人・ 12人と減っていった。女性が激減した背景には選挙制度の変化があると考えられる。まず大選挙区制(多数定数選挙区で、秋田は8人)が廃止されて中選挙区制になった。当初全県1区8人だった秋田は定数4人ずつの2つの区に分けられた。連記制も廃止された(定数10以下の選挙区は2人11以上の選挙区は3人を書くことができた)。


時は流れて1994年、中選挙区制は小選挙区制に変えられた。選挙区からたった1人しか当選しない制度だ。この選挙制の下、21世紀の日本は、国会議員(衆院)の女性割合で世界193カ国中166位、ジェンダー・ギャップ指数で世界156カ国中120位に転落した。強調すべきは、どちらの統計でも、上位にある国々のほとんどは比例代表制選挙あることだ。


見方によっては、日本の私たちの前にあるのは登り坂のみだ。そう、男女平等という希望の山をめざして一緒に、一歩ずつ上って行こう。


【写真 女性参政権70周年に興行されたわらび座のミュージカルポスター】

【上の記事は、久布白落実『女は歩く』、高橋喜久江『福祉に生きる 39 久布白落実』、久布白落実『廃娼ひとすじ』、武塙三山『和崎ハル』、和崎ハル自伝『私の歩んだ道』など多くの文献を参考にした。曾祖母が和崎ハルである高橋みどりさんを直接取材して聞いた話も含まれている】



「わたしの曽おばあちゃん」(初の女性代議士和崎ハル) : FEM-NEWS (exblog.jp)

日本の女性解放運動とノルウェー: FEM-NEWS (exblog.jp)

Global Gender Gap Report 2021 pdf

男女平等ギャップと選挙制度 : FEM-NEWS (exblog.jp)

比例代表制は男女格差を縮める(世界経済フォーラム2017)

女性議員増には比例代表制とクオータ制(IPU)

選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)

女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」 : FEM-NEWS (exblog.jp)




# by bekokuma321 | 2021-04-10 14:29 | 日本

「スウェーデンは、北欧諸国の新規感染者の75%であり、人口あたりの感染率で世界の上位10カ国にはいる」


こんな衝撃的な見出しで報道するのは、ネット新聞Netttavisen。スウェーデンと長い国境持ち、仕事や家庭で深い関係を持つ隣国ノルウェーの新聞である。


同紙4月8日版によると、今年13週目(3月29日~44日)の感染者は、平均して減少傾向にあった。スウェーデン38433、デンマーク4333、ノルウェー5076、フィンランド3155、アイスランド49。スウェーデンだけで北欧全体51046の75.3%にあたる。


世界各国の10万人当たりの感染者は、ウルグアイ1132、ハンガリー1023、エストニア955と続き、スウェーデン741は上位10カ国にはいる。


ノルウェーでは、スウェーデンにも家を持って通勤や休暇で行き来する人が珍しくない。その逆もまた多く、両国の往来はかねてから頻繁だ。それに、スウェーデンは北欧のリーダー格であり、医療福祉分野でも北欧モデルとされてきただけに、ノルウェーの人々の目は厳しい。



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▲マスクを着用して、ソーシャルディスタンスをとるノルウェー・オスロの人々(撮影ベンテ・シェルヴァン)


今年初め、コロナへの緩い対策で注目されたスウェーデンに対してノルウェーの人たちはどう考えているか、また専門家や政治家は両国の異なるコロナ対策をどうとらえているかを取材した。スウェーデンのコロナ感染率や死亡率の高さなどの現状は、1990年代初めのエーデル改革に根源があるという学者や政治家がいた。その詳しい記事は、以下の毎日新聞Web版で読める。


多様性の尊重と規制と~ノルウェー・コロナ事情(上)(毎日新聞医療プレミア)

独自路線の隣国に厳しい目~ノルウェー・コロナ事情(下)(毎日新聞医療プレミア)




# by bekokuma321 | 2021-04-09 18:37 | 北欧

ポーランドでは、人口妊娠中絶禁止法に反対して、コロナ禍の下、全土で昨年暮れから今年1月にかけて、女たちの怒りのデモが行われていた。


ヨーロッパからのTVニュースを見ていた茶の間に、ポーランドの抗議デモは何度も流れてきた。厳しい寒さ、コロナのロックダウン、取り囲む大勢の警察隊という3重苦のなか続けられていた。逮捕者も出ていた。そんなTVニュースにくぎ付けになった。そして書いたのが「女性のからだは政府のものではない」(叫ぶ芸術92回)。



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▲「女のからだは政府のものではない(ポーランド)」(「叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女たち 第92回」。I女のしんぶん2021年3月10日号)

女たちの怒りのデモは、ポーランドだけではない。先週、ヨーロッパからのTVは、イスタンブール条約から脱退表明をしたトルコ政府に対して、女性たちがウン千人規模でデモをする様子を報道していた。


コロナ禍よりも人権はく奪が恐ろしいとデモを行うのはヨーロッパだけではない。アメリカの黒人差別反対運動(Black Lives Matter)、そしてミャンマーの軍事独裁反対運動・・・。日本でも、フラワーデモや買春社会NOデモは、コロナ禍でも続けられている。もちろん万全の対策をしてだ。女性差別撤廃は重要緊急だ。不要不急などではない。やめるわけにいかないのだ。


■I女のしんぶん2021.3.10「叫ぶ芸術92回」をPDFで読むにはこちら

「女性への暴力撲滅のための法的拘束力を持つ最初の公文書」と言われるイスタンブール条約の日本語解説と中身はこちら


# by bekokuma321 | 2021-04-09 12:18 | ヨーロッパ

4月10日の愛媛県松山市での「さよなら!一強政治は中止です。今年は、日本女性が初めて投票した1946410日から75周年。その歴史的日を記念しての企画でした。


「愛媛県では新型コロナウイルス変異株感染者数が増えています。48日、知事が記者会見で、明日から感染対策期にと発言しました。4/9開催を日延させて下さい。落ち着いてから、追って日を調整させて下さい」


上のようなお知らせが準備に奔走してくださった主催者から寄せられました。オンラインでやればいいのに、という連絡もいただいています。でも今回は「リアルのみ」(注)。近いうちお目にかかれることを楽しみにしています。


中止です:女性参政権記念日4.10「さよなら!一強政治」@松山_c0166264_10454247.jpg


【注】企画段階で、「まだまだオンライン受講をする意識までいかないのでないか」という主催者側の声があった。デジタルデバイド(ITができる人とできない人に生じる格差)は、男女差、貧富差、年齢差に加え、都会と地方の差にも存在しているようだ。IT先進国で、男女平等に熱心な北欧は、2000年代ごろから、女子中学生にだけIT教室をしていた。数年前は、高齢女性へのIT研修を各地方で催すことが話題になっていた。日本でも、デジタルデバイド解消に対策を急ぐべきだろう。


# by bekokuma321 | 2021-04-09 10:52 | 紛争・大災害・パンデミック