日本でも18才以上に選挙権が与えられるようになりましたが、被選挙権がないことは議論にすらなっていません。そんななか、三井マリ子さんの「高校生が議員になれる国ノルウェーの選挙制度」という講演会があり参加しました。

もし日本で主権者教育が高校生になされているならばの話ですが、その主権者教育には「どんな選挙制度があるか、その比較やプラス・マイナス」を取り上げるべきです。現行の、小選挙区中心の選挙制度を前提した教育ではダメだと思います。

FEM-NEWSの読者に高校教員がいたら、僕に連絡してください。三井さんが作成したレジメをお渡します。そのレジュメにある「1: 小選挙区制は悪い制度である」 「2: 民意を反映する選挙は比例代表制」 を生徒に知らせて、こういう意見があるが、どう考えるかと、みなで議論をすることが今、きわめて大事だと思います。

議論の参考資料として、ノウェーの比例代表制選挙をわかりやすく説明した、「3~6:女子高校生議員」 「7: スクールエレクション」 「10: 選挙は人を選ぶのではなく政党を選ぶ」などを見せるといいと思います。

ノルウェーの投票は人に入れるのではなく政党に入れるのですから、候補者は名前や顔を売る必要が全くないため、候補者に1円の負担もかかりません。選挙期間もなく、戸別訪問や政策討論会がメインですから、日本の選挙戦での騒がしすぎる名前の連呼をしなくてもよい。地方議員は完全ボランティア(無報酬)ですから、さまざまな職業の人や学生が議員になって、多様な意見がとりいれられる。代理議員がいるから、現職議員は休職して出産、介護、病気治療などを当たり前にできる。

こういう具体的なノルウェーの事実を知ると、日本とノルウェー、どちらが人に優しい選挙制度なのか、を生徒たちは自然に理解すると思います。

「集団的自衛権」「TPP」「原発」といった課題を学校で扱うことは大切ではありますが、党派的に偏ることを恐れる教員たちが敬遠してしまいがちです。しかし、「どんな選挙制度があるか? その選挙制度のプラス・マイナスは?」は公共的領域の問題であり、政治的に「中立」ですので、学校で扱いやすいのではないでしょうか。

もちろん「全ての議会を人口比と同様に男女半々にする」ことを世界が目標にしているときに、日本では約370自治体にただの1人も女性議員がいないことを、生徒たちに知らせて、なぜなのか、どうすべきかを議論させて欲しいです。かならず選挙制度に行きつきます。

「選挙制度を変えること」と、理想的政治に一歩近づくこととは因果関係があります。もしこれを読んでいる高校教師のかたがいたら、頑張って下さいね

田口 房雄(元公立中学校・社会科教師)
連絡先:danjyohanhan-gikai(A)docomo.ne.jp  (A)を@に変えてください。

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▲「高校生が議員になれる国ノルウェーの選挙制度」(三井マリ子作成PPT)より


「これでいいのか日本の政治家」を読んで
比例を切るな!
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
女性の衆議院議員は1割に満たず
政治は男のものではない
日本の女性国会議員、189カ国中163位
比例区削減案に反対します!
日本の男女平等度、世界101位
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by bekokuma321 | 2016-11-15 02:36 | ノルウェー

c0166264_21273225.jpgノルウェーから、労働党の大喜びする顔、顔、顔が届いた。労働党と緑の党が躍進し、保守党は敗北と大見出しがついている。

投票日は9月14日(月)だ。何かの間違いか? 

間違いではない。恒例のスクール・エレクションの結果だった。動画や写真を見ると、写っているのは、ほとんど若者だ。

スクール・エレクションは、中高生が模擬投票をして選挙結果を出す全国的プロジェクト。若者を政治的に目覚めさせる学校教育の一環で行われる。

主催は各校の生徒会だ。強制ではない。本番同様、学校内で政党の政策討論会が開かれ、選挙運動が行われ、投票所が設けられて、生徒たちは投票箱に支持政党のリストを入れる。本番と違うのは、リストは党の名前だけであることだ。

国会議員選挙や地方選挙の1週間前ごろに行われる。今年は地方選挙の投票日が9月14日(月)なので、スクール・エレクションは、昨日8日(火)に締め切られた。報道を見ると、皆、真剣な顔をして投票をしている。

締め切られたら、ただちに集計されて、政党ごとの投票率を出す。集計するのはノルウェー社会科学デ―タサービス(NSD)で、対象は高校生のみだ。全国526校のうち、参加したのは460校。 なんと87.1 %がエントリーした。

結果は、労働党は31.9%と前回から8.9%増の躍進となった。一方、現政権党である保守党は16.9%で前回から11.8%減、進歩党は10.5%で5.1%減となった(下の棒グラフ参照)。

さて、日本人にも人気の港町ベルゲン。この地は保守党が伝統的に強い。アーナ・ソールバルグ首相の選挙区でもある。大人たちだけでなく、高校生も保守党支持が多かった。しかし、選挙の真っ最中に、長年市長の座に就いている保守党のトル―ド・ドレブランの言動が厳しい批判にさらされた。この市長の汚職疑惑についてはFEM-NEWSで紹介したばかりだ。

この政治スキャンダルも要因のひとつだろうが、ベルゲン市内の高校生の保守党支持率は惨めなものだった。

労働党33.1 %に対し、保守党18.7%。前回は、労働党18.8 %、保守党33.5 %だった。まったく逆の数字となった。

ところで、日本も世界の潮流に逆らえず、選挙権が18歳からと改正された。しかし、肝心の政治教育は置き去りにされている。

もし、日本で、ノルウェーの高校のように、選挙を目前にして生徒会が政党から議員候補者を学校に招いて討論会を開いたり、生徒が政党ごとにブースを作って支持政党の政策ビラを配布したらどうなるだろう。そういうことをした高校の校長は、「学校に政治を持ちこんだ」として、教育委員会からおとがめがくるのではないか。

本番の選挙期間中でさえ、全政党の候補者が一堂に会しての政策討論会を日本の法律は許していない。法律が許しているのは個人演説会ーー候補者が1人でしゃべる――だけだ。本番の選挙でさえ許されないのだから、高校生の政党討論会は夢のまた夢か。

小選挙区制に変える時、たしか「政策本位の選挙」になるとか言ってたなぁ~。

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▲ノルウェーのメディアで公表された、スクール・エレクションの全国結果。左から、赤党、左派社会党、緑の党、労働党、中央党、自由党、キリスト教民主党、保守党、進歩党、その他(左から右に左翼から右翼の順に並んでいる)アフテンポステン紙より

【写真上:高校の体育館で、候補者たちを質問攻めにする女子高生。筆者が現地取材した2009年9月2日ウストレンディンゲン紙より。今年のウストレンディンゲン紙スクール・エレクション記事はSp ble skolevalgets vinner


Ap skolevalgets klare vinner
hordaland historisk skuleval for arbeiderpartiet
Rødgrønn jubel i årets skolevalg
Sirkuset i gymsalen(ベルゲンの高校での選挙演説会の写真から、9月8日の投票前に行われた選挙討論会の活発さがわかる)
スクール・エレクション
ノルウェーは今日、スクール・エレクション
ノルウェー選挙:スクール・エレクション
■参考1:スクール・エレクションについては「政治をタブーにしない教育」(明石書店『ノルウェーを変えた髭のノラ』 p215~p223)
■参考2:ノルウェーの地方選挙についてはノルウェー大使館ホームページ【ノルウェー地方選挙レポート 2011:4回シリーズ】
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by bekokuma321 | 2015-09-09 17:26 | ノルウェー

c0166264_228469.jpgまたノルウェーの話で恐縮だが、ノルウェー全土でのスクール・エレクションの結果が出た。

報道によると、保守党に投票した生徒は28.3%を超えた。その高い伸び率に、本番はさらに伸びるだろうと予測される。これまでスクール・エレクションでの保守党に投票する割合は、本物の選挙より低い傾向があるからだ。

スクール・エレクションは、1980年代から行われてきた高校生の“模擬選挙”。各高校の生徒会主催で行われ、強制でも何でもない。それでも生徒の参加率は約7、8割に上る。

次期首相をねらう保守党党首エルナ・ソルベーグは、スクール・エレクションの運動にがんばった保守党青年部に属する若者たちとともに、本番での勝利を胸に前祝いをした。大手新聞記事には、若者たちの歓喜の叫びが聞こえてくるような画像がついている(上)。彼女が首相に就任すると、ブルントラント元首相に次ぎノルウェー史上2人目の女性首相となる。

高校生たちが、スクール・エレクションに熱心に取り組むのは、自分たち高校生の動向が真剣に評価される社会だからなのだろう。

http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/politikk/Na-drommer-Erna-om-mer-enn-28_3--7299460.html#.Uihvz9yCjGh
http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/politikk/Tidenes-skolevalg-for-Hoyre-7299243.html#.UihvjdyCjGh(画像は、スクール・エレクションの保守党結果を知った10代の若者たちのはじけるような喜び、喜び)
◆ノルウェー首相、タクシー運転手に
http://frihet.exblog.jp/20631969/
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by bekokuma321 | 2013-09-05 22:14 | ノルウェー

報道によると、1月31日、福島県本宮市内に住む高校2年の女子生徒(17)が、殺人容疑で逮捕された。出産直後に赤ん坊を殺害した容疑。高校生は容疑を認めているという。

29日午後、自宅で出産した直後に、刃物のようなもので頭や胸など数カ所を刺して殺害した疑い。高校生は、高校を早退して、自宅トイレで出産した男の子を自分の部屋に運んで殺害後、布に包んでこたつの中に隠していた。生徒が血まみれだったことなどから、父親が警察署に通報。

妊娠させた男性がいなくては、女性は妊娠しない。殺人を擁護するわけではないが、彼女に妊娠させた男よ、出てこい! 男子生徒か、男性教員か、知人か。それとも強姦された場合だってある。相手の男性が何も問われないのは絶対おかしい。殺すに到ってしまった女性の10ヶ月という月日を、その男は何をしていたのか。

家族は娘の妊娠に気づかなかったと報道されている。きっと女生徒は日に日に膨らんでくるおなかを気づかれることを恐れ、あらゆる手をつくしたに違いない。つわりもあっただろう、体育のときはどうしたのだろうか。友人や教員は、相談を受けなかったのだろうか。一緒に考えてあげる人が周りに誰もいなかったのだろうか。

10代の母親は、今の世の中、大勢いるではないか。とくに欧米では、子育てしながら高校や大学に通ったりする女性もめずらしくない。アメリカ大統領となったオバマも、母親が10代で出産した。

もしかして日本の現実を無視したノーテンキな言い方かもしれない。ならば、早期なら、妊娠中絶という方法も残っている。いや、その前に避妊をなぜきちんとしなかったのか。これは相手の男性に真っ先に言いたい。さらに、先生たちには、学校の性教育はいったいどうなっているのか、を問いたい。

あー、この大情報時代に、自分の体を守るための最も基本的で、最も大切な情報が、女性に届いていなかったのだ。強い憤りを覚える。

映画「マンマ・ミーア」は、10代で妊娠した女性の娘が、成長し、偶然、母親の日記を見つける。その日記には、同時期に3人の男性と恋におちていたことが書かれていた。結婚式に、父親が誰かわからないので、3人に招待状を送ったら全員がやってきたというストーリーだ。音楽以外に、私が一番いいなと思ったのは、主人公の女性のセックスライフをポジティブに描いている点だ。

これとは逆に、この殺人事件の裏には、高校生のセックスを忌み嫌い、避妊情報まで遠ざけている学校教育があるような気がしてならない。高校生の妊娠なんてとんでもない、出産なんてなおさら。そういう考えの行き着く先は・・・。赤ん坊を殺し、それ手を下した17歳の人生も殺してしまう社会。
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by bekokuma321 | 2009-02-03 04:06 | アジア・アフリカ