c0166264_1116543.jpg大学1年になる親戚の男の子が、「18歳になったので今年から選挙権があるんだけど、よくわからないから結局棄権してしまった」と言ったのが気になっていました。

そんな時、三井マリ子さんの「高校生が議員になれる国ノルウェーの選挙」に参加しました。

まず、高校生議員が生まれる背景を知りたかったのですが、何と小学生から授業の中で実際の政治に触れ、政党への政策アンケートを小学生自身が作成したり、高校では立候補者を学校に招いて選挙討論会も実施されるという。やはり高校生が議員に立候補するまでには積み重ねがあったのだと実感しました。

ノルウェー公職選挙法では、18歳から投票できるだけではなく、立候補もできるとのことですが、「18歳になったら、原則として誰もが立候補する覚悟をする」という言葉が印象的でした。

投票ができるようになった日本の18歳も、もっと選挙や政治を身近なものにしていくことが必要だと思いました。ただ、落選確実と思って立候補したら当選してしまったというノルウェーの女子高生、1期やって政治家は向かないと2度と立候補しなかったようですが、彼女は任期中、どんな仕事ぶりだったのかを知りたい気がしました。

もう一つ驚いたのは、ノルウェーなど北欧諸国では、基本的に地方議員はボランティアであるということです。ボランティアだから、様々な職業の方が議員を務め、女性議員が3分の2を占める議会も出てきているのだろうという気がしました。

日本ではお金がなければ選挙にも出られないし、政治とお金の事件は後を絶ちません。比例代表制という民意が反映する選挙制度で、候補者は選挙にお金をかける必要がまったくないから、高校生も立候補し、当選できるのでしょう。

そんなノルウェーの議会も100年前は男性がほとんどだったことが、当時の写真からわかりました。まだまだ課題は山積ですが、日本でももっと女性議員が増え、過半数を超えるような時代が来るのを期待したいものです。

近江 真理(元都立高校教員)

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小選挙区制の日本、比例代表制のノルウェー
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる
ノルウェーの2013年国政選挙
スクール・エレクション

■ノルウェー王国大使館「ノルウェーの地方選挙レポート 2011」
第1回 「女のクーデター」再び -平等・反差別オンブッドは語る
第2回 選挙運動を担うソーシャル・パートナー
第3回 女性参政権100周年から子ども参政権へ
第4回 北部ノルウェーを支えるサーメの女性たち


【写真上:高橋三栄子撮影、下:三井マリ子作成PPTデータより】
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by bekokuma321 | 2016-11-26 11:29 | ノルウェー

久しぶりに三井マリ子さんの講演「高校生が議員になれる国ノルウェーの選挙」を聞いた。政党交付金にまつわる厳しい裁判を終えた三井さんは、すっかり変貌していた。

「政党交付金や選挙制度について勉強しましたから、今はよくわかります」と、苦悩の衆院選体験を笑って語り、タフさが戻ったかのようだった。

衆院選とその選挙にまつわる裁判を闘った三井さんは、講演の冒頭で「1 小選挙区制は悪い制度である」と、石川真澄と阪上順夫の本から引用した。そして、「2 比例代表制は民意を反映する」と言った(左下Moreをクリックして末尾PPTを参照)。この2点を証明するかのように比例代表制をとる「ノルウェーの選挙制度」が紹介された。

c0166264_20443766.jpg講演の最後のほうで、ノルウェーの小さな自治体「オーモット市」の議員一同がアップされた。100年ほど前のものだという。女性は端っこにただ一人。男性は一様に黒っぽいスーツにネクタイ姿。年齢も似たり寄ったりの高齢層。表情さえ似たり寄ったりの強面だった


c0166264_20482020.jpg次に映されたのは、100年経った、同じ「オーモット市」の現在の議員一同だった。その前列は、女性で占められ、男性は後ろの列に並んでいる。多様な年齢層。服装もカーディガンにパンタロンの女性あり、ワンピース姿の女性あり。男性もセーターあり、ワイシャツ姿あり、ジャケットあり、といった具合だ。年齢、性別、服装、のどれをとっても一色におさまらない。このオーモット市は地方選挙後、女性の当選割合68%である、と大きく報道されたとか。
 
北欧諸国のみならず、ヨーロッパの多くの国々では、地方議員は無報酬のボランティアが多いと三井さんは言った。報酬はないが、住民からの強い信頼と尊敬の念を得て働くのだという。

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by bekokuma321 | 2016-11-16 21:30 | ノルウェー

c0166264_0231454.jpg「世界一住みやすい」極北の町ノルウェー・フィンマルク県バドソーに乗り込んだ三井マリ子さん。この極寒の町の人々が本当に住みやすいと思っているかを確かめるには極寒の季節だと、2011年2月に出かけた。

その「ルポ:平等の国ノルウェーの選挙」は、ノルウェーと日本の選挙文化の違いを改めて思い知らせてくれた。

2012年12月、秋田で衆院候補となった三井さんが受けたなんとも醜悪で陰惨な「いじめ」。裁判報告や連載で知った後だけに、ノルウェーの選挙の公明性・公開性に、隔絶の感がある。

政党の公認候補は密室の中で、票を集められそうな有名人を国会議員が一本釣りという候補者選びが一般的な日本。三井さんも国会議員から執拗なほどの要請があったものの、選挙区で党員会議らしい会議は開かれなかったという。

対して、ノルウェーの選挙候補は、推薦法という法律に即して、各選挙区の政党の「推薦委員会」で原簿が作られ、「推薦会議」で決定するのだという。

その政党の候補に、現役の高校生も名を連ねて、その高校生が議員に当選したと、三井さんはルポしている。驚き以外の何物でもない。

「第20話 高校生が市議になれる理由」(pdf)は、ノルウェーでは学校教育と政治がいかに共生しているか、「『政治に親しむ教育』がいかに日常的に行われている」かが書かれている。中高校生のスクールエレクション、小学生の政党候補者取材……。

日本では、唐突に選挙権年齢が引き下げられ、18歳から投票できるようになった。では、ノルウェーのように、政治に親しむ教育が行われているか。否。それとは逆の、学校教育から締め出してきた歴史がある。今回も、高校生の政治活動を学校に報告させるという教育委員会もあるらしい。18歳の高校生に政権側に票を入れてもらいたいだけで、主権者として政治的意見など持ってもらいたくない政権側のもくろみが、私には見えてくる。

それに引き換え、全高校の8割以上もの高校が実施するという、ノルウェーのスクールエレクションは垂涎である。実際に学校内で選挙運動や投票を経験することは、高校生の自主性と政治意識をどれほど涵養することだろう。堂々と質問し主張する高校生と、彼・彼女らにしっかりと答える政党代表者や候補者。こうした光景を日本で見られる日がくるのだろうか。

♪世の中のジョウシキ何も知らなくていい
 メイク上手ならいい
 ニュースなんか興味ないし
 大抵のこと 誰かに助けてもらえばいい♪
(「アインシュタインよりディアナ・ロス」作詞・秋元康、歌・KKT48)

こんな歌が売れる日本だ。しかし、「この歌詞がひどすぎる!」とネットが炎上した。そこにわずかに望みがあるのかも――と考える私だが、それではあまりに哀しすぎる。
 
木村 昭子(さみどりの会 *)

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▲おそろいのTシャツで、労働党候補を応援する高校生。オスロ市内(撮影三井)

「ルポ:平等の国ノルウェーの選挙」は、連載「衆院秋田3区政党交付金」にはいっている。
■第23話 庶民の足元に根をはる政治
■第22話 むかし魔女、いま大臣
■第21話 酪農をとるか、市長をとるか
■第20話 高校生が市議になれる理由
■第19話 極北の町を見捨てない国
■ルポ:平等の国ノルウェーの選挙
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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった
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by bekokuma321 | 2016-04-17 19:57 | ノルウェー