6月2日、全国フェミニスト議員連盟は、共謀罪の撤回を求める声明文を内閣府に直接届けた。男性に比べて女性は意見表明の機会が限られているなか、「表現の自由や内心の自由の束縛につながる恐れのある共謀罪に対して」強く反対する、などと述べられている。


共謀罪「組織的犯罪処罰法改正案」撤回を求める声明

内閣総理大臣 安倍晋三 様 2017 年6 月2 日

c0166264_21193996.jpg私たち全国フェミニスト議員連盟は、1992年以来、女性の政治参画を高め女性の声を政治に反映することで、誰もが尊重される多様で平等な社会の形成をめざし活動してきた。

戦前、女性には参政権がなかった。徹底した家父長制のもと、政治的発言はおろか、女性たちが父・夫・息子など男性に逆らって意見を述べる事はありえなかった。

さらに共謀罪と似ているとされる「治安維持法」の存在が、男性の陰にいた女性たちの内心を強く縛っていた。女性たちは「皇道精神および日本婦道の奨励」を旨とする大日本婦人会という組織の下、天皇の赤子を生み育て兵士として送り出す戦争支援義務を負わされ、夫や息子を“進んで”戦地に行かせる役目を担った。たとえ女性に戦争反対の気持ちがあっても、その意思を表明することなど不可能だった。

日本女性が、表現の自由、思想信条の自由、政治参加の自由、集会・結社の自由を獲得したのは、ひとえに戦後の憲法によってである。「人類の多年にわたる自由獲得の成果」(憲法97条)なのだ。

女性参政権獲得71年目となるにもかかわらず、政治分野には女性の代表が極端に少なく、職場や地域や家庭ですら女性の意見表明は男性に比べて少ない。これが表現の自由や内心の自由の束縛につながる恐れのある共謀罪に対して、本連盟が強く反対するゆえんである。

共謀罪の新設を内容とする「組織犯罪処罰法改正案」が、世論の懸念の中、30時間ほどで衆議院法務委員会および衆議院本会議において強行採決され、参議院に送られたことに強く抗議する。

法案は、参議院で審議中だが、過去に世論の強い反対により3度廃案になった共謀罪と内容は本質的には変わらない。名称をテロ等準備罪と変え、東京オリンピック開催に改正は必須という解釈のもと、国会審議では準備行為の定義や組織的犯罪集団の範囲の説明が曖昧なまま採決に至ったことは、よりいっそう国民の不安を大きくしている。

犯罪の相談や計画だけで処罰を可能とする共謀罪は、実行された犯罪のみを罰することを原則とする日本の刑法体系を根本から転換させることであり、「内心の自由(思想信条の自由)」という憲法上の保障をも脅かすことになりかねない。これを私たちは看過できない。

法曹関係者や学者、言論人、メディア関係者、市民団体、労働団体などが反対の意思を示し、世論調査でも多くが説明不十分と答えている。そのなかで強行採決したことは許しがたい。とりわけ、国連の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が安倍首相あての公開書簡によりプライバシーの侵害、表現の自由の侵害について懸念を示したことに真摯に向き合うどころか抗議で応えた安倍内閣の姿勢に強い疑念と怒りを覚える。

私たちは、過去の努力により積み重ねてきた女性たちの連帯を未来につなぐ責任において、共謀罪である「組織的犯罪処罰法改正案」の衆議院での強行採決に強く抗議し、法案の撤回を強く求めることをここに表明する。

全国フェミニスト議員連盟
共同代表 ひぐちのりこ(宮城県仙台市議会議員)/ 日向 美砂子(東京都小平市議会議員)
事務局 小磯妙子(神奈川県茅ヶ崎市議会議員)


【写真】内閣府に宣言文を届ける日向美砂子代表(2017.6.2)


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by bekokuma321 | 2017-06-02 21:27 | その他

今年の国際女性デー、2017年3月8日、横浜地裁で、表現の自由を求める市民側が勝訴する判決があった。
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発端は、2016年2月、海老名駅前の「自由通路」に市民10人が集まって、「アベ政治は許さない」などのプラカードを持ったマネキンフラッシュモブ。マネキンフラッシュモブとは、マネキンのように、あるポーズをとって数分間じっと動かない状態にいるフラッシュモブ(公共の場で突然行うパフォーマンス)だ。インターネットの呼びかけに応えて集まったりする。

そのパフォーマンスに対して、海老名市は、参加者のひとり海老名市議の吉田美菜子(敬称略、以下同じ)を処分。「今後このようなことをしたなら、海老名市の条例に従って5万円以下の罰金を払え」という命令を出した。

この条例は「自由通路条例」だというから、笑っちゃう。しかも、「道路交通法では交通を著しく妨げない限り規制の対象外です。それなのに、海老名市の条例は、デモ、集会、座り込みなどを一切禁止しています」(海老名自由通路を考える会 大治朋子)。

海老名市の命令を受けた吉田美菜子と、フラッシュモブの仕掛け人である市民団体「マネキンフラッシュモブかながわ」の朝倉優子らは、市の命令に疑問を抱いた。そして10人は、市を相手どって裁判に訴えた。「処分は不当だ」「おかしいのは表現の自由を脅かす市の命令のほうだ」と。

3月8日の地裁判決に海老名市は控訴しなかった。よって、海老名駅前自由通路訴訟は、市民側の勝利で確定した。

c0166264_16354154.jpg 日本には、女性議員の1人しかいない「紅一点議会」が多い。その「紅一点議会」で孤軍奮闘する女性議員への想像を絶するハラスメントを私はよく耳にする。

では今回、市長や市議会の標的となった吉田のいる海老名市はどうか。女性議員は6人、22議席中27%にあたり、少ないわけではない。

とはいえ吉田は、2015年11月の市議選で当選したばかりの新人だ。2期目の西田ひろみと初当選した田中裕子、相原志穂で「いちごの会」という女性だけ4人の会派に属している。女性であり、新人であり、与党でもない。やはり”議会むら”の少数派だ。そこに「議会むらの掟やぶりをしたらただじゃすまないぞ」的な脅しのようなものを感じる。

この“脅し”に屈しなかったばかりか、裁判で「市の命令を撤回」させた吉田や、朝倉優子はじめ市民たち。マネキンフラッシュモブに劣らず、ホント、カッコイイ!


【写真上2枚は「海老名自由通路ニュース第3号」。下はマネキンフラッシュモブの様子。Mannequin Flash Mob Kanagawaのフェイスブックより】


「表現の自由」が奪われる!? 海老名市・新人議員に路上パフォーマンス「禁止命令」
表現の自由と男女平等
増やそうよ 女性議員
2016年3月11日海老名市経済建設常任委員会議録(「海老名自由通路条例」についての短い質疑が最後のほうに記載されている。濱田望まちづくり部長が「明らかに条例違反行為」と発言。それに対して吉田議員が抵抗を示す質問をしている)
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by bekokuma321 | 2017-05-02 17:02 | その他

表現の自由と男女平等

世界の報道において、女性が登場するのは全体の24%。このジェンダーギャップは、5年前の統計と同じだった。

Global Media Monitoring Project (GMMP)代表は、「このままでは、報道の世界が男女平等となるには75年かかる」と批判した。GMMPは、世界中の報道における男女平等の調査して公表している団体。

5月3日は世界報道の自由の日。ヘルシンキで行われた国際会議のテーマのひとつ「報道の自由と男女平等」で話されたことだ。

世界人権宣言19条は、「すべての人は、意見及び表現の自由を享有する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む」

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ふと思いだす。亡くなった私の母や叔母たちには、父や叔父たちと同じように意見を言ったり表現したりする自由があったか? 

母たちは、自分の考えや意見は持っていた。が、彼女たちは、それを外に向かって表現はしなかった。父や叔父たちと意見が違っている場合、とくに顕著だった。大正、昭和に戻らなくても、今でも男性中心の通念や慣行によって、女性たちの発言は干渉を受けることが多い。女性はそれを甘受する。女性は、表現の自由を享受しているとはいえないのだ。

メディアは社会を反映するだけでなく、社会をつくる。報道する側や報道される対象に女性が増えないならば、その偏った傾向は是正されないどころか、温存され、助長される。実際、GMMPは、報道する側に女性が多いと、報道番組でとりあげられる人やコメントする側にも女性が増えることを証明している。

表現の自由度について、日本の新聞はランクが下がったと憂いているが、表現の自由と男女平等についてはどうだろうか。取り扱った記事は見ても聞いてもいない。

この国際会議で、スウェーデンのウメオに本社のある新聞社Västerbotten-Kurirenは、報道における男女平等を達成したと発表された。「男女平等を達成した人たちは、なんで他の新聞社ができないのか理解できない」そうだ。日本の報道機関は、同社に取材に行ったらどうか。

GMMPによると、日本の報道における女性と男性の割合は、「登場する人  女21%:男79%」「報道記者  女28%:男72%」

Seminar:Media Coverage must Include More Women
Who Makes the News?_Reports_2015
Swedish Town of Umeå Enjoys Gender Balance in Its Print, TV and Radio Outlets
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by bekokuma321 | 2016-05-04 16:21 | 北欧

エジプトの国営ナイルテレビのアンカー、シャヒラ・アミンは、「プロパガンダの機械になりたくない」と辞職した。

国営ナイルテレビは、英語によるニュースを流す外国人向けテレビだ。シャヒラ・アミンは、辞職に至る経緯をこう語る。

「いつもと同じように働いていた。職場はタハリール広場に近く、抗議運動の声が聞こえていた。市民側にくみしていた私は、抗議行動に加わった。

反政府の抗議運動を報道することを禁止され、ムバラク側に立った一方的なニュースだけを流させられた。これまでも、厳しすぎる規則が多く、表現の自由への敷居は高かった。しかし、ナイルテレビは、海外向けの英語のメディアだから、まだいいほうだ。国内の一般市民向けメディアで働くジャーナリストはもっと厳しい。

エジプトの多くのジャーナリストにとっては、闘いの連続だった。でも、そんな中で私は表現の自由への規制を少しずつでも広げたくて仕事を続けてきた」

勇気ある決断に至るまでの彼女の深い苦悩を思いながら、テレビから流れるエジプトのニュースを見ている。

http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-12362229
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by bekokuma321 | 2011-02-05 01:48 | 中東