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日本が、細川内閣時代“政治改革”の熱狂のもと、小選挙区制選挙に変えたころ、「小選挙区制は公平でない」と捨てた国がある。ニュージーランドだ。


1996年、ニュージーランドは、小選挙区制を廃棄処分して小選挙区比例代表併用制に変えた。併用制は基本的に比例代表制である。日本の小選挙区比例代表並立制は小選挙区制が基本であり、言葉は似ているが中身はまったく異なる。


今秋、ニュージーランドは国政選挙を迎える。選挙制度は小選挙区比例代表併用制だ。小選挙区制時代は、イギリスのように2大政党以外は絶望的だったが、制度改正によって、小政党から当選できるようになった。活躍めざましいのは緑の党。いま14議席だが、さらに伸びそうだという。


緑の党共同代表の国会議員メティリア・テュレイMetiria Tureiが、いかに選挙制度が政治を変えたか、を語る。イギリスの運動体「選挙変革ソサイアティ」サイトに載った英文記事をかいつまんで和訳する。

「小選挙区制のころは、国民党と労働党しか政権をになう可能性はゼロ。しかも40%以下の票しか獲得してなかったのに、です。一方、他の小政党は15%から25%の支持を得ても議席にはつながりませんでした」


「そこで80年代から国民の意思が票に反映せず死に票になってしまう、と猛烈な不満が国中にわきおこりました。労働党が選挙改革に乗り出し、その後の国民投票につながりました。1992年の国民投票は、選挙制度を変えるか否か。次に1993年は、変えるとしたらどんな選挙制度か、というものでした。緑の党は、選挙制度変革イエスに向かって、その議論に勝とう、という姿勢で臨みました。その議論に勝ったら、かならず比例代表制が選ばれる、と考えたのです」


「こうして比例制中心の併用制に変えることができました。1996年の初の選挙。緑の党は他と政党連合Allianceを組んで立候補し、議席を得ました。2大政党以外の小政党から当選は初めての事件で、大喜び。その後、緑の党は、連合から独立して、1999年の選挙で5%以上を獲得。7人の議員を誕生させました」


「併用制選挙での大きな変化は女性です。初の併用制選挙で、20%だった女性が、一夜で、30%になったのです。さらに、マオリ党の議員は倍増。マオリ党議員はわずか3人でした。それが併用制になったとたん7人です。併用制選挙が続いた結果、常に7人から11人のマオリ女性が国会に選ばれるようになったのです」


「まだ問題はあります。比例候補者以外では女性は40%に過ぎません。政党は小選挙区に男性を候補としがちなのです。社会の性差別が残っており、男性のほうが当選しやすいためです。多様性を期待するなら、小選挙区制ではなく比例代表制です。要するに、比例代表制のほうが、より公平な選挙制度だといえます」


「緑の党から聾者の議員が出ています。わが国ではじめてのことです。でも、まだ車椅子の議員は出ていません。まだまだ壁が厚いということです。でも、聾の国会議員Mojo Matherは、過去2年間で、ハンディを持つ人たちのためにものすごい業績を上げています」


「比例代表制は万能薬ではありません。でも、人々にチャンスを与えます。閉じられていたドアを開けます」


小選挙区制の国で、比例代表制を求めている運動を続ける人に対して、彼女は次のようにアドバイスする。


「公平性が大事だと考える人々を止むことなく励まし続けることです。『あなたの1票は、無視されてはいけない票なのです』とね」


How PR ‘completely transformed’ New Zealand politics: Metiria Turei, Green Party co-leader
小選挙区制の日本、比例代表制のノルウェー
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
北極に最も近いバルドー市も女性議員は約4割

【写真はメティリア・テュレイ国会議員。Facebookより】












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by bekokuma321 | 2017-04-13 16:33 | アジア・アフリカ

c0166264_2394072.jpgオーストリアからおもしろいニュースが飛び込んできた。

緑の党の党首Eva Glawischnig は(写真)、オーストリア国会を50%50%にするために、政党の男性議員が50%を1人でも超えたら、その政党に罰金を科そう、と提案した。

男女平等の目標を掲げていても、実際になかなか進まないから業を煮やしたようだ。

オーストリアの国会は、183議席のうち女性議員は32.2%。下表を見るとわかるが、緑の党Grüneもなかなか元気で、24議席を有する。その性別は、女性13人、男性11人だ。50%を超えた政党は、緑の党しかいない。最大党の社民党SPÖは32.69%だ。

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国会議員のほぼ3人に1人が女性とは、うらやましい限りだ。でも、40%前後の女性議員がいる北欧諸国には相当見劣りがするし、隣国ドイツの36.6%にも負けている。

だから、緑の党の提案は本気だ。具体的に政党の大小にかかわらず、オーストリアの政党は国会議員1人つき年に500万円が議会関係予算から支払われるが、50%に1人少ないごとにそれと同額を減額したらどうかという。

ひるがえって日本の国会は、女性がほとんどいない。それにミニ政党の代表もいない。たとえば、日本の緑の党は、国会にまだ議席がない。小選挙区制という民意を反映しない日本の選挙制度が一因だ。

ちなみに、北欧諸国はもちろん、イギリスを除く多くの欧州諸国は比例制選挙が基本だ。多くの政党は、候補者リスト作成するとき、男、女、男、女・・・と並べるのだ。緑の党は、女、男、女・・・のことが多い。

もうじき、日本で、総選挙が公示される。

2年前の今頃、私は、秋田県第3区で衆院選に民主党から立候補した。女性議員を増やそうと運動してきた私が、2カ月にわたる立候補勧誘を固辞し続けるのは何かがおかしい。こう考えての決断だった。前代未聞の逆風下にあった民主党からの立候補、秋田への引越、突然の解散・・・そして落選。まだ“戦後処理”が終わらない。

さて、来る衆院選に立候補したなかに、女性は、見たところ数えるほどしかいない。自分の選挙区で、支持する政党からの候補となると、女性はいないに等しい。自ら立候補してわかったが、世襲候補の女性を除き、立候補は困難をきわめる。だからこそ、支持政党から立候補する女性(世襲を除く)がいたら、これからも応援したい。

今回は、女性の働く権利、男女同一賃金、福祉職場の人員増・賃金増を優先課題に掲げる政党に1票を投じるつもりだ。

Grüne: Bonus-Malus-System soll Frauen in der Politik stärken
Eva Glawischnig
レジスタンスに命をかけた女達
緑の党の全政策に女性の視点を
ドイツの町のジェンダー規定
日本の女性国会議員、189カ国中163位
男女平等なくして民主主義なし

追記:NHK調査によると、第47回衆院選の立候補者1191人。性別は、男993、女198。女性の割合は、わずか16%にすぎない。
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by bekokuma321 | 2014-11-30 23:12 | ヨーロッパ

c0166264_16212421.jpgノルウェーの西海岸は、そそりたつ高い山とフィヨルドに囲まれている。

その地にあるソグン農業園芸学校の女生徒イーダ・ベアテ・ルーケン(19歳)は、昨年5月から約1年間、岩窟暮らしをしていた。

親に勘当されたのか。いや、そうではない。

目的は環境への影響の少ない生き方を探るため、だという。彼女は環境問題の活動家で、ソグン・オ・フィヨーラネ県の「緑の党」青年部を創設した1人。昨秋の国政選挙では、ソグン・オ・フィヨーラネ県「緑の党」候補者リストの3番目に載った(下のリスト参照:注)。

洞窟生活を終え、ノルウェーTVで取材された。そのビデオを観た。長靴下のピッピのようなお下げ髪の女の子が1人、登山靴でゴツゴツした岩場を登って行く。たどり着いたのは、狭くて天井の低い洞穴だった。

「岩の洞窟暮らしでは、雨が降ったらどうしたらいいかと心配したけど、洞窟に着いて中に座ると、とても温かくて、なぜ私がこういうことを選んだかがわかった」と言った。マイナス20度にもなる厳寒の夜でも、藁の上にマットレスと毛布を敷いてつくったベッドの上で寝袋でぐっすり眠れたという。飲み水は雨水をためた。

洞穴生活を評して、”veldig fint”と言った。「とっても素敵」という意味だ。ヘアスタイルだけでなく、冒険心と独立心まで長靴下のピッピだ。

c0166264_1730915.jpg何と言っても、1人の女性の行動が、社会変革にむすびついていることがノルウェーらしい。

彼女の所属する「緑の党」は、ノルウェーでは超ミニ政党だ。しかし前回の国政選挙で、国会議員1名を当選させた。その後も、人気が出てきている。また人気があがるかもしれない。

Ida (19) bur i ei fjellhole

(注)ノルウェーの選挙権は18歳以上。高校3年になったら、国会や地方議会に立候補できる。イーダも18歳で国会議員候補になった。この県の緑の党は、獲得票が少なかったため、1人も当選できなかったが、票が多いと1番目から順に当選する。この県の緑の党リストには10人の候補者が登載され、3番目のイ―ダは、この県の緑の党の有望株だ。なぜ高校生が生徒会に立候補するみたいに国政に立候補するか? それは①中学生から党の青年部で活動する子どもたちがいること、②比例制選挙だから選挙運動は政党中心のため候補者に過度の負担がかからず勉強しながらでも平チャラだからだ。さらに、③供託金はないし、④選挙に候補者個人のお金を使うことはいっさいないこと、なども要因だ。
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by bekokuma321 | 2014-04-23 16:28 | ノルウェー

比例制選挙がいい

9月9日はノルウェーの国政選挙だ。憲法で9月の第2月曜日と決まっている。だから、政党も候補者も腰をすえて準備できる。各政党は、他政党と明快に区別できる独自政策を練る。半年間、じっくり政策討論をする。中高生までも、加わる。

ノルウェーからのニュースによると、2013年の選挙結果は、4年前の2009年と様変わりしそうだ。現在は、労働党を中心とする中道左派連立政権だが、保守党を中心とする中道右派政権に交替するようだ。

保守党は、自営業主を支持基盤にする保守主義の政党だ。党首はエルナ・ソルベーグ。最大与党の党首が首相に選ばれるので、次期首相は彼女の可能性が高い。とすると、グロ・ハーレム・ブルントラント元首相(労働党)に次ぐ、ノルウェー史上2人目の女性首相となる。

保守党は、最右派の進歩党ほど鮮明ではないが、クオータ制に反対だ。最近、エルナ・ソルベーグ党首は、父親が14週間育児休暇をとることができる「パパ・クオータ」を廃止するような意見を述べて、議論をよんでいる。

彼女の意見に猛反対するのは、初の女性首相ブルントラントだ。エルナ・ソルベーグの「パパ・クオータ廃止は反動的です」とメディアで反対の声をあげた。ブルントラントは、1986年、女性が40%以上を占める「クオータ内閣」を世界で初めて組閣した歴史的政治家。今でも「ノルウェーの母」と呼ばれて親しまれている。

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もうひとつおもしろいニュースがある。国会にまだ議席のない「緑の党」の人気が徐々にあがり、初めて数人当選しそうなのだ。

前回の国政選挙を取材したとき、投票日の朝、投票所前に立ち、たった1人で「緑の党リスト」を配っていたハンナ・マルクッセン(写真上)も、当選ラインだという。彼女は、私に「グリーン・パーティを知っている? ノルウェー国会にはまだ議席がないけど、欧州全体では力があるんですよ、EUなんかとくに」と言った。

こうしたノルウェーの選挙から、日本の国政選挙を思い出している。

環境政策、原発反対政策、男女平等政策を優先課題にした小政党があった。でも、議席を獲得できなかった。なぜか? 原因は、小選挙区中心の選挙制度だからだ。小選挙区制では、最も多く票をとった候補者が1人勝ちし、それ以外の候補者に投票した人は代表を出せないのだ。

これに対してノルウェーは比例代表制。政党が決めた候補者リストから、投票者は支持するリストを選んで投票する。当選者は、政党の得票率に比例して候補者リストの上から順番に決まる。大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに当選者が出る。リストの順番は男女交互が多いから、女性もほぼ半数当選できる。実際、ノルウェー国会議員の約4割が女性だ。

比例代表制とは、「勝負をつけるのではなく、票数の多い少ないを正確に議席に反映させる。つまり多数派と少数派の双方がその大きさに比例して代表される」。三宅一郎の弁だという。小選挙区制は邪悪だと言いきった、石川真澄(元朝日新聞記者)の本に見つけた。

◆Gro angriper Høyre: – Et tilbakeslag for likestillingen
http://www.tv2.no/nyheter/politisk/gro-angriper-hoeyre-et-tilbakeslag-for-likestillingen-4104766.html
http://politisk.tv2.no/spesial/partibarometeret/maalinger/10597/
◆ノルウェー首相、タクシー運転手に
http://frihet.exblog.jp/20631969/
◆パパ・クオータ、7月1日から14週間に
http://frihet.exblog.jp/20031889/
◆NHKの不公平な選挙報道
http://frihet.exblog.jp/20592493/
◆ノルウェー保守党党首の人気上昇
http://frihet.exblog.jp/18425089/
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by bekokuma321 | 2013-08-27 23:21 | ノルウェー

c0166264_0473431.jpg6月3日、文京区で、「緑の党」オープンフォーラムがあった。新しい政党の誕生に向けて、産みの苦しみの時期のようだった。

政策の「ジェンダー」部門は、船橋邦子さん(女性学研究者)、中村まさ子さん(江東区議)が担当だった。

そのたたき台のコメンテーターに招かれた。あらゆる政策決定の場を一方の性に偏らないーーそれを前提に進めてほしい、と次のように伝えた。   


☆☆☆☆ ジェンダーの視点を全政策に(スピーチ草稿) ☆☆☆☆

「緑の党」の目的であるSustainable Development(持続可能な発展)は、“Our
Common Future”(『地球の未来を守るために』)の中心的課題です。

この“Our Common Future”は、1987年、国連「環境と開発世界委員会」が発行したものです。委員長の名ブルントラントにちなんで、別名ブルントラント・レポートとも呼ばれています。

ブルントラントは、グロ・ハーレム・ブルントラントのこと。ノルウェー初の女性の首相です。彼女は、1986年、大臣の4割を女性にするという「クオータ内閣」を組閣し、当時の国際社会をあっと言わせました。

ブルントラントは、1980年代後半、環境保護を重視した開発が重要であるという理念と、政策決定には男女が半々近くいなければならないという理念を、同時に実践したのです。この2つの理念は、国丸ごと緑の党的といってもいいノルウェーの、基本的政治理念となって、今も続いています。

住民の半分以上を占める多数派の女性が、決定の場に参加できない現象を変えずして、マイノリティを大切にする政治などできるはずがありません。男性が大事だとか、女性が大事だとかいう問題ではなく、私たちの社会には、男女どちらの経験や価値観も同等に必要だということなのです。

ブルントラントは労働党でノルウェー最大の政党です。労働党から分派した「左派社会党」、農民党が発展してできた「中央党」も、労働党同様、環境政策に熱心です。よって、ノルウェーに「緑の党」はあるのですが極小政党です。「緑の党」の出番がないのです。

しかし、ヨーロッパ全体を眺めると「緑の党」の勢いは強いです。だいたい1980年代に創設され、選挙に打って出ています。

最も勢いがあるのはドイツで、1980年、当時の西ドイツで誕生しました。オーストリアは1986年です。両国ともフェミニズムと男女平等を基本理念に掲げています。

党内の決定の場に加え、選挙候補者名簿も男女が半々です。ドイツ緑の党は、SPDより早くクオータ制を導入し、ドイツの男女平等政治のさきがけとなりました。オーストリア緑の党も、党是の最優先課題のひとつは男女平等です。

さらに、欧州議会――ヨーロッパ連合EUの議会――の「緑の勢力」が強い。各国の緑の党から立候補した議員が当選しているのです。1984年は11議席しかなかったのですが、2009年には47議席に増えています。

その47議席中の14議席はドイツ緑の党出身で、男女比は7対7と半々です。緑の党は、欧州議会においても「ジェンダーバランスの政党」を掲げています。

以上から考えても、際立った男性偏重・女性排除の政治を持つ日本で、緑の党を新たに誕生させる今こそ、ラディカルで大胆な男女平等推進を高々と掲げるべきです。

それなしに、命や社会的弱者をサポートする公的施策は生まれえません。あらゆる政策の基本にジェンダーの視点を入れ込むこと――ジェンダー・メインストリーミング――がきわめて重要です。その上にたって、個別政策として「ジェンダー平等」を掲げるべきです。以下は、具体的提案です(左下・MOREをクリック)。

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by bekokuma321 | 2012-06-06 01:00 | その他

ドイツ緑の党、大躍進

c0166264_864555.jpg福島原発の放射能汚染による影響は、政治の舞台に大きな変化をもたらした。ドイツでは、メルケル首相に大打撃となった。

反原発を掲げ、25万人のデモが起こった。スローガンは「福島は原発廃棄を意味する Fukushima heißt: Abschalten! 」。地方選では、緑の党が躍進し、州知事まで奪還する勢いだ。

http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-12876955
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-12872339
http://anti-atom-demo.de/

写真のワンちゃんが下げているのは反原発ロゴだ。70年~80年代、私の台所にもあった。反原発運動が日本でも活発だった。それが、いつのまにか54基もの原発がある国にしてしまった。その責任は、私を含め日本国民全員にある。自責の念から逃れられない。(写真はドイツの反原発デモより)

■原発事故から考える民主主義
http://frihet.exblog.jp/16079555/
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by bekokuma321 | 2011-03-29 01:30 | 紛争・大災害