11月11日(土)、シンポジウム「選挙マルシェーー選挙が変われば政治が変わる」に参加しました。

13:00までしか拝聴できなかったのですが 「見てきた! 民主主義世界一の国ノルウェーの選挙」と題した、三井先生のわかりやすいお話にさらにノルウェーを知ってみたくなりました。

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私なりの解釈では、結局根本的に教育を変えていかなければ これ以上何の進歩も望めないのではないかという思いを強く持ちました。そんな中、2部のほうで若い方々が懸命に活動されていることに闇の中に光を見出した思いです。

今ちょうど、『限りなく完璧に近い人々――なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか? 』 ( マイケル・ブース著)のノルウェー部分を読んでいます。著者は、デンマーク人の妻を持つ、英国人ジャーナリストです。「数世代先を見越した政策を実行していく…」と書かれているところで、唖然としてしまうのは私だけでしょうか?

私は「スカンディナヴィア(ノルウェー)の平等社会のルーツを探る〜ヴァイキング時代のキリスト教受容前の国内において〜」を修論に仕上げて後、暫く北欧から離れていました。

最近は医療少年院や保育所で仕事をする機会を得て、日本の形ばかりの教育に違和感を覚えるようになりました。同時に『男女平等の本』の著者ノルウェーのアウド・ランボーが「私たちの国の教育には哲学があるのです。それは必ずしも数値化されないけれども」と仰っていたことを思い出しました。

そして今日のシンポジウムで、三井先生のお話しくださった「子どものころからの身近な民主主義」が全て頭の中で混ざり合い 、余生に私自身が多少なりとも手掛けられそうなことはないものかと思いました。それは教育に関してです。日本の人に気づいてもらえるような方法で。どんな形になるかわかりませんが ノルウェーに関わっていこうと気持ちを新たにした1日でした。

三井先生の息の長いご活動には頭の下がる思いです。新しい物事になかなか着手できない国民性の日本でなさっているのですから・・・。

でも、今日の会で、先生の後に続いて行けそうな若者が育っていこうとしている姿を見て、とても頼もしく映りました。今日は本当に有意義な時間をお与え下さり有難うございました。

原 三枝子

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【写真上:政策論争中心のノルウェー選挙を紹介する三井マリ子講師。写真下:日本の若者が選挙にどう向き合っているかを話すパネルディスカッション。左から、司会の日向美砂子議員、三井マリ子講師、POTETO東京青年会議所ivote日本若者協議会の各代表。撮影anonymous】

【注:筆者は教員時代の三井の教え子だったため「先生」と敬称をつけている。三井は講演では参加者に「できれば~さんと呼んでほしい」と依頼していた】

市民に優しい選挙制度(ノルウェー)(東京新聞)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
北欧福祉社会は地方自治体がつくる
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by bekokuma321 | 2017-11-13 10:22 | ノルウェー

c0166264_2245924.jpg「選挙に向けて政策論争がキックオフ」

先週、ノルウェーからこんな見出しのニュースが届いた。2017年秋の国政選挙に向けて、8月18日、全党首が集まって討論会を行ったことを知らせていた。国政選挙は1年以上も先だから、アメリカの大統領選よりはるかに長期戦だ。

ノルウェーの国政選挙は日本でいえば衆院選だけだ。その日本の衆院選は、解散後、ほんの1カ月で選挙になり、選挙期間はわずか12日間。弾丸のようだ。

こんな短期間で、政党や候補者の政策や政治姿勢を比較検討などできるはずもない。世襲議員や前議員が有利なのは当たり前だ。女性候補など後発部隊は、有名タレント以外は当選など望めない。

そのうえ日本は、選挙中、肝心要の候補者による政策討論会は禁止されている。連呼(名前を叫び続ける)は合法だが、名前を聞くだけで候補者の政策の違いや、それが自分たちにどんな影響を及ぼすかがわかるはずはない。

そこで、ノルウェーの選挙のキックオフについて少し調べてみた。件の党首討論会は、首都オスロの南にある港町で開かれた「アーレンダール・ウィークArendal Week」という夏祭りに組み込まれた1つのプログラムだった。

アーレンダールは、オスロの南方にある人口4万人ほどの港町。「アーレンダール・ウィーク」とは、アーレンダール市あげての政治文化フォーラムのことを指す。

趣旨は、「政治、社会、産業分野の代表者たちが、市民といっしょに現在と未来の政策を語りあって、民主主義と民主主義的討論を強める」こと。

目標は3つだ。「アーレンダールが、政治的交流の場となること」、「選挙にできるだけ多くの人々がかかわるようにすること」、「政財界の代表的人物たちと市民が直に交流できるよう支援をすること」だという。 す・ば・ら・し・い!

今夏は、8月15日から20日までの1週間。港のそばの通りに約170のスタンドが立ち並び、約550ものイベントが朝から晩まで繰り広げられた。子ども向けプログラムも盛りだくさんだ。子ども記者というものもある。

記者になって首相に取材した12歳の女の子は、「私は、識字障害で悩んでいるんですが、首相がその病気だったと公開していたことを知って、首相にアドバイスをお願いしたんです。とても励まされました」との感想。それが大手新聞に載っていた。

「アーレンダール・ウィーク」のモットーは「すべての人に開かれ、すべて無料、切符も不要 Open to all - free - no tickets」。どこで何が開かれているかは、地方紙やホームページを見るとわかる。動画には、いくつかの会場で楽しそうに歩き回る子どもたちが写っていた。

スタンドは、アムネスティなど国際団体、全国公衆衛生女性組合など労働組合、右から左までの全政党、森の会など市民団体・・・。イベントは、冒頭に紹介した党首討論会や青年部長討論会、国際会議、意見が分かれる政治的テーマの討論会(例:「すべての人に働く場を」、「押し寄せる難民」)、コンサート、演劇、ヨガ、カフェ・・・。

国際会議のひとつ「北極カウンシル」は、国際機関、国会、大学などが共催していた。発言者には、アメリカ大使、ノルウェー外務副大臣や国会議員、船舶協会会長に加え、アラスカ選出の米連邦上院議員(女性)が招待された。この会議の言葉は、通訳なしの英語だった。

党首討論会には、主要7政党に加えて初めて1議席をとったばかりの緑の党の8党首全員が登壇。首相と財務大臣を含め女性党首は3人だ。難民政策から、教育、福祉、労働、医療など暮らしの問題まで、政策の違いをアピールした。大きな会場は、ほぼ満席。

c0166264_2233326.jpg日程をずらして、同じ大ホールで、党青年部部長の討論会もあった。

8政党の代表で男6人、女2人。全員20代。現役の大学生や院生で、8人中2人は現職の地方議員だ。ノルウェーの地方議員は、無給のボランティアである(大都市は例外)。職業や学業を続けながら議員職を兼務する。労働党の青年部長は、10歳のころシリアから家族と亡命してきた、オスロ大学の院生だという(注1)。

何年か前、オスロ市議(東京都議にあたる)に当選した18歳の女子高校生を取材したことがある。インドからの移民でタクシー運転手の娘だと知って、私は目を丸くした。が、じき、シリア難民が国会に登場する時が来る、そんな予感がした(注2)。

ノルウェーは、民主主義をはかる指数で世界一である(英誌「エコノミスト」のEconomic Intelligence Unit)。世界一のノルウェーは、こうして民主主義の力を養う努力をしているんだな、とその秘訣を見つけた思いだ(注3)。

オリンピックに費やされる2兆円もの予算があれば、日本でもこのようなフォーラムを、毎年、楽にやれるだろう。オリンピックでなくても、日本の政党に毎年交付される320億円という政党交付金――政治家によって飲み食い、キャバクラやSMバーに使われたり、政治活動に使わずにため込まれている、私たちの血税――を回すだけでも簡単にできる。

問題は経費ではない。老若男女すべての人たちに政治的判断力を持たせようようとするノルウェーに対して、市民にできるだけ政治的判断力を持たせまいとする日本。その違いだろう。


【写真上:アーレンダール・ウィークのプログラム冊子「未来をつくるために Former fremtiden」。下:政党青年部部長会議】

【注1:ノルウェーは、小学校から大学まで学費は無料】
【注2:ノルウェーでは、18歳以上の住民は3年間住み続けたらその地方の参政権を得る。参政権は選挙権と被選挙権。ノルウェー国籍は不要。選挙は比例代表制で、政党内議論を経て作られた候補者リストがそのまま投票用紙になる。比例代表制なので、大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに代表者を送れる。そのため、小さな自治体であっても、5~6政党から議員がいて、女性議員も4割ほどいる】
【注3:「アーレンダール・ウィークArendal Week」ホームページによると前年度から企画をネットで公募。今年のおおよそのイベント数は討論会200以上、セミナー80、講演会50、文化行事50。とくに子どもや若者が民主主義に関心を持てるようにするため工夫が施された、と報告されている】

Arendal week
民主主義度1位ノルウェー、23位日本

世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位

ノルウェー地方選2015
スクール・エレクション終わる
ノルウェーの地方議会選挙
ノルウェー:市長と議会に女性を増やす秘策
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
比例制選挙がいい
北欧福祉社会は地方自治体がつくる
ノルウェー選挙:性差も肌の色も越えて
The Year in Elections report 2015(Electoral Integrity Project:各国の選挙が公正に行使されているかを調査し比較したもの)


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by bekokuma321 | 2016-08-30 22:46 | ノルウェー

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宮城県加美町は、福島原発から出た放射性廃棄物の最終処分場の候補に指定された。住民は、今から2年半前の2014年1月、新聞を開いて初めて知った。根耳に水だった。

住民の声を聞いて進めるという民主主義の基本のキが、踏みにじられた。加美町の住民は、このやりかたに黙っていなかった。

指定された場所は、加美町箕ノ輪山の田代岳国有地。地形が少しずつ変わるため、地元のひとたちは「山の動くところ」と呼んでいるとか。

かつて近くの二ツ石ダム建設時に、採石場とされたものの、その岩質は透水性があり、もろく、一部しか使えなかったとの報告も残されている。放射性廃棄物の最終処分場には、向かない地質のところなのである。

その上、この場所を、宮城県は、2010年に「水道水源特定保全地域」の第1号に指定している。その保全地域を、今度は、核のゴミ捨て場にしようというのだ。

近くに2つダムがあり、この場所に最終処分場が建設されれば、下流域のいくつかの市町まで甚大な影響が及びかねない。

7月31日、全国フェミニスト議員連盟は、この地に足を運んだ。参加した岡田ふさ子同連盟会員は、「大勢の町民が現地に集まり、調査そのものをさせない抵抗運動を続けてきたと聞いた。加美町の力強い市民運動は、沖縄をほうふつさせる」と感想を述べている。

伊藤由子議員は、加美町の紅一点議員だ。反対する町民たち、とりわけ女たちの声を聞きながら、体をはって反対運動をする。

「対等でない大きな相手に向かうのはたいへんなこと。県や国を相手に、この小さな片田舎の人間が、やったこともないことをしているんです。でもね、将来、あのとき反対してよかったね、断ってくれてよかったと言えるようにしようね、今があるのは、あのとき、私たちが声をあげたから、町長が矢面にたってくれたからなのよね、と言えるようにしよう、と闘っています」

【写真:加美町の反対派住民たちがよく集まる商店「手づくり十字路」。店と住民をつなぐ伊藤幹子さん(左)と伊藤由子議員】

女性の約7割、原発NO!
指定廃棄物最終処分場候補地選定について(加美町箕ノ輪山の田代岳国有地)
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by bekokuma321 | 2016-08-04 17:00 | 紛争・大災害

「比例代表制は女性や弱者が当選しやすい」(FEM-NEWS 9月30日)に熊本からコメントが届きました。

◆◆◆

北欧諸国の比例代表の選挙制度は、合理的で、かつ民意というか、
人の気持ちを反映した、納得できる制度だなぁ~と思いました。

「『この党はいいけど、この候補者は嫌い』と思ったら、候補者名の
右横にバツをつけて削除の意志を示せる。また、『この候補はずいぶん
下だけど、1番にしたい』と思ったら、その候補の左横の四角い箱に1番
と書けばいい」

このように記載されてますが、こういう方法なら、政党の政策などに対し、
基本的には賛成であれば、投票もし易くなるというものです。人々の意見
が細かく反映されるように工夫した、本当に良い制度だと思います。
やっぱり、北欧は違うなぁ~と思うとともに、「これだ!」と膝をたたきました。

北欧諸国は、民主主義に関する考え方が日本と違い、民主主義を大切
にする方法をとっているんだな、という印象でしたが、とくに、今回は、選挙
制度に感心しました。

日本やアメリカの選挙制度は、利害やら利権が絡んで今の小選挙区制が
維持されているのでしょうが、北欧諸国は民主主義の根底を守るというと
ころを譲らない。気骨がありますね。

でも、リストに並ぶ1位は、労働党でも男性なんですね。政党や地域によっ
て違うのでしょうが、まだ1番は男性というところに、これほど男女平等が
進んでいる国でも、男女を完全に五分五分にするのは、難しいものなのか、
と考え込みました。

それを考えても、今の日本では、茨の道ですね。


深谷 智佳子(会社員)
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by bekokuma321 | 2013-10-08 17:56 | ノルウェー

沖縄タイムスによれば、生徒が自主的に進めていた自衛隊誘致に反対する署名活動の用紙を、校長が無断で没収したという。

署名活動をしていたのは、沖縄の与那国中学校の生徒だ。没収したのは、東迎和芳校長。

中学生は多感な年ごろ。とりわけ沖縄は軍隊には敏感だ。沖縄の中学生が、自衛隊に、いや社会政治に、自分自身の意見や主張を持つのは当然だ。民主主義の言動に“適齢期”などない。

中学生がその考えを表明することは、むしろ教育の成果であり、学校は喜んでいいはずだ。無断で署名用紙を取り上げるなど言語道断だ。

■署名没収「学校にそぐわない」「生徒の権利侵害」
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-11-19_26236/

■ノルウェー選挙:スクール・エレクション
http://frihet.exblog.jp/12283146/
■ノルウェーは今日、スクール・エレクション
http://frihet.exblog.jp/16817311/
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by bekokuma321 | 2011-11-19 22:34 | その他

「感激のあまり、腰が抜けて立ち上がれません」

中島セイ子(62歳)は、ノルウェーのオーモット市議会で大きなため息をついた。中島は、冷蔵庫部品を生産する日立子会社の代表だ。110人以上が働く。ほとんどが女性だ。女性労働者の働く条件をよくするにはどうしたらいいのか。解決への道を探して悩んできたという。

c0166264_2222355.jpg中島ら19人の女性たちは(ほとんどが栃木県民)、10月17日から5日間、ノルウェーの男女平等視察に訪れた。オーモット市訪問はその最後のプログラムだった(注①)

保育園、小学校、学童保育などを見学した。その後、市庁舎・市議会に隣接する、文化センター、そして障害者・高齢者ケアセンター「リシュリングモーン」に足を移した。

そこは誰もが驚くほど近代的で上質なつくりだった。カーテンや、テーブルセッティング、窓ぎわの植木鉢の花・・・芸術的ともいえるカラーコーディネイション。そのエレガントなインテリアに日本からきた女性たちは、息をのんだ。「なんで臭いがないのかしら。消臭剤の匂いもない」と、見学しながらつぶやいている人がいた。中島セイ子は、言った。「5000人に満たない自治体で、こんなにも充実した福祉があるなんて!」(注②)

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働く人も、自信に満ちあふれる表情で、楽しそうに仕事をこなしていた。

しかし、その後に見た市議会はやや見劣りがした。議会は閉会中だった。その議場で、先月までオーモット市長を務めたオーレ・グスタフ・ナルッドから、地方自治体の民主主義を聞いた。

前市長のナルッドは、議場を案内しながら日本から来た女たちに言った。「見ての通り、少々みすぼらしいといえます。市議会議場のテーブルや椅子をもう少し近代的にすべきだという議論もありました。しかし、その予算があるなら、介護センターや、保育園、学童保育に予算を回したいという市民の声があり、それが優先されています」

「北欧福祉国家、という語がありますが、正確には“北欧福祉地方自治体”なのです」とまとめた。

続けて、「政治家の汚職やわいろなどは法律で厳しく禁じられています。議員の特権はないのです。具体的には議員の口利きで、子どもを優先的に保育園に入れる方法があるとか、知り合いを正当な順番を飛び越して入院させるとか、そのようなことはノルウェーではありえないことです」

栃木県小山市から参加した青木美智子市議は「年間予算のうち、市が自由に使える予算は、いくらぐらいか」と尋ねた。オーレ・グスタフ・ナルッドはこたえた。

「地方自治体は、法律で明らかに他の公的機関に権限がある場合ーー警察行政は国ですーーいかなる領域においても条例や決定をくだすことができます。地方自治体は独立した機関であり、基本的に自由に使えるのです」(注③)

c0166264_21373685.jpg市長席から、ナルッドはこう付け加えた。前回の市議会まで彼が座っていた席だ。9月の選挙で、彼の属する中央党は最も多くの票をとったものの、連立を組めず市長を労働党に譲り渡した。1票差だった。(注④)

「地方自治体予算の多くは国からの予算です。保育園、小学校、中学校、高齢者施設など、どの自治体も整えなければならない最低限のサービスがあります。ここは4000人余りの人口ですから、小学校1 校で済ますことは可能ですし、違法とはいえません。しかし広域ですので、小さな子どもが長距離を通学することはよくないので、3校を作っています。教職員も減らせるかもしれませんが、子どもたちにとってよくありません。こうしたレベルの高いサービスを市民が望み、その声を反映した議会構成になっている。それがこうした政治が遂行できる理由です」

琴の教師・山形充は、通訳を聞いた後にため息をつき、こう言った。「すばらしいスピーチです。ぜひ来日して国会で日本の国会議員に対して今の話をしてほしい」

オーレ・グスタフ・ナルッドは、日本の女性たちに向かって静かに話した。

「社会を変えるのはその国の市民です。とくに女性です。他国の例からも、女性が政治にもっと進出して初めて改革が可能となると私は思います。みなさん、がんばってください」(注⑤)

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【注①】オーモット市のプログラム:オーモット教会 → 前市長私邸 → 保育園 → 小学校 → 学童保育 → 大学 → 文化センター → 高齢者ケアセンター → 特別養護老人ホーム → デ―センター → リハビリセンター →市議会 (市の年間予算2億5000万クローネ、人口4300人、働く人2000余人、公務員400人、軍関係公務員400人)。同市の福祉行政や選挙運動などは『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』(毎日新聞社)に詳しい。

【注②】 「リシュリングモーン」は、オーモット市のナーシングホームであり、総合ケアセンターである。市庁舎、文化センター、サービス付きアパートと隣接する。身体的機能が低下し障がいを持つ人々を世話する。高齢者ばかりではなく身体障害者が利用できる。1階には、セラピー用温水プール、言語療法、作業療法などのリハビリセンター、利用者用クリーニング室、調理室、食堂(30人)、配食サービス(40人)など。2、3階は長期療養用の35室(3室は2人用、他は個室。全室バス・トイレ付)。人生最後の引っ越し先となる人の場合、家具調度品を持参する。日本のナーシングホームの匂いは「おむつが定時交換」だからだ。ノルウェーの場合、できるだけ自分でトイレを使うようにしていることと、たとえおむつをしている人がいても「変えてください」と意志表示をする人が多いことと、排泄したらすぐ対応できる職員数の充実がある。独特の臭いがないのは当たり前だ。

【注③】ノルウェー地方自治法

【注④】ノルウェーの地方議会は、オスロなどいくつかの例外を除き、「フォルマンスカープformannskap」制である。選挙後、当選した議員の中から比例代表制で、フォルマンスカープ(参事会と訳す場合もある)を選ぶ。フォルマンスカープは、予算案をはじめ議案を出す。実質的に、ここが自治体の最大の権限を持つ。つまり、フォルマンスカープは、議会に議員を出した政党のリーダー(リストのトップの候補者であることがほとんど)で構成される。このフォルマンスカープの議長が議会議長を兼ね、市長となる。

【注⑤】オーモット市は人口4000余りの農林業中心の自治体。1996年、女性議員53.5%で、全国一となった。2011年9月に行われた選挙結果は正式にはまだだが、「女性議員は、おそらく50%ぐらいでしょう」(モーナ市議)。

写真上:「リシュリングモーン」の玄関ホールで説明するオーレ・グルタフ・ナルッド前市長。彼は10月から国立へードマルク大学準教授(経済学)。彼の来日講演録などは、『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)p203-215。

写真中:2階にある特別養護老人ホーム利用者のための食堂。ナースセンターが左にあり、職員がそれとなく注意をはらっていた。通って利用する人の食堂は1階に別にある。2枚目は、上品な紫色でコーディネイトされた居室

写真下:オーモット市文化センターのホールで、前市長(前列左から2人目の白髪の男性)と現市長を囲む、栃木の「ノルウェー女性の生き方を探る旅」の面々(前列右が梅澤啓子団長)

写真最下:オーモット市の中心街レーナ駅前。オーモット教会、かつての消防署が並ぶ。後方には、広大な森が広がる。「ノルウェー女性の生き方を探る旅」のオーモット到着の2日前、皇太子夫妻がここで小学生たちとマウンテンバイク競技に参加した。オーモット教会前を走る、メッテ・マーリット皇太子妃の写真が地元紙に載っていた(右下はその縮小コピー)c0166264_12143611.jpg

(同視察団は、オーモット市での地方民主主義の研修の前に、オスロ市で国レベルの視察をした。主な視察先は、ノルウェー国営放送、子ども・平等・社会省、オスロ大学保育園、オスロ市議会労働党、国会労働党など)
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by bekokuma321 | 2011-10-22 01:51 | ノルウェー

ノルウェーは、選挙にできるだけ多くの市民が、簡単に参加できるよう、あの手この手で工夫をこらしている。

9月の統一地方選を例に、その工夫のあとをのぞいてみたい。投票日は、今年は9月12日(月)だった。しかし、ほとんどの市で11日(日)、12日(月)の両日をあてていた。

そして、事前投票期間の長いこと。8月1日から9月9日までの1か月以上だった。事前投票ができる投票所は、市役所だけでなく、市民が普段よく利用する要所要所に置かれていた。その上、よく目立つ! 「ここで、事前投票ができます」と書かれた大きな看板がドーン。これでは通り過ぎてしまうことなどありえないと思った。

オスロのある事前投票所は、バス停のとなりに新設されていた。プレハブ仕立ての小屋のようなところだった。車いすやベビーカーで入れるようにスロープも万全だった。

候補者を出している政党は25もあり、自分の考えに近い政党が見つからないことはないほど多彩だった。


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by bekokuma321 | 2011-09-24 20:00 | ノルウェー

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「双葉郡はなくなる…」。こうつぶやきながら、私は地図「福島第一原発から30 km²圏内の自治体の動き」を見ている。3月20日の朝日新聞朝刊だ。

ジーッと地図を見つめ、「なんでここの住民は、こんなにたくさん原発をつくることを選んだんだろう」と思う。

東電の福島原子力発電所は双葉郡にある。大熊町、双葉町、富岡町、楢葉町、浪江町、広野町、川内村、葛尾村がある双葉郡に住む7万人余りの人々の土地に建設されたのだ(実際に原発が建っているのは4自治体)。8自治体にはそれぞれに議会がある。住民は一人一人、行政の首長と議会の議員を選挙で選べるのだ。

調べて驚いた。8自治体の首長8人のうち、なんと5首長までが無投票だった。

今、ニュースでハラハラしながら見ている第1原発1号機、2号機、3号機、4号機は、大熊町にある。この大熊町の町長は無投票で選ばれた。町長選には1人、町議選には定数の14人しか立候補しなかったため、町長選挙だけでなく、町議会選挙もなかった。

大熊町が原発誘致を議決したのは1961年だった。しかし、その後、スリーマイル島事故(79年)、チェルノブイリ事故(86年)が勃発した。

1万人余りの大熊町の住民のなかには、2度の原発事故の悲惨さを知り、子どもの健康や暮らしに不安を抱いた人もいたはずだ。すぐ目の前にある原発を見て、震えあがった女性もいただろう。地震や津波が頻繁にある三陸の人たちに、危機感がなかったとは思えない。本来はそういう住民の声を反映するために選挙はある。しかし、である。

無投票は大熊町だけではない。第2原発のある富岡町も同じだ。町長も町議会議員も、無投票だった。驚くべきことだ。

「さいたまスーパーアリーナ」に町ごと避難した双葉町には、第1原発5号機、6号機がある。この町長選には3人が立候補した。だが3人が3人とも、原発の危機対応どころか、さらなる7号機、8号機の増設を掲げての選挙だったという。12人の議員は選挙で選ばれたものの、全員無所属、全員男性である。つまり、女性の代表はゼロなのだ。

原発誘致の最終決定の場は福島県議会だ。ここには、双葉郡から2人の議員を送りだしている。自民党の吉田栄光と、県民連合(民主系)の坂本栄司だ。

吉田の公約は「原発新増設の促進」だ。それを実現させるべく、県議会では原発のさらなる増設にむかって驀進してきた。一方の民主党公認の坂本は、「原発立地町に居住する、現職では唯一の県議」と自称しているものの、原発への危機対応に関する質問はほとんどない。

「日本の原発を受け入れている地域では、民主主義が破壊されてしまっている悲しい状況があります」

これは、妙長寺の住職中嶋さんの言葉だ(英channel4 1995年「隠された被爆労働~日本の原発労働者」)。

破壊された民主主義を修復することは困難かもしれない。しかし、修復の道が残っているとすれば、原発促進は命と引きかえであることを肝に命じることではないだろうか。その一人一人の胸に灯る命の大切さを政治決定に反映させることができるチャンス、それは選挙だ。

そして、思う。民意が平等に反映されない今の小選挙制には大きな欠陥がある。今の選挙制度である限り少数意見は無視され続けるからだ。これを機に比例制度導入への世論が高まらなくては嘘だ。


■YouTube - 英channel4 1995年 隠された被爆労働~日本の原発労働者1
http://www.youtube.com/watch?v=92fP58sMYus
■YouTube - 英channel4 1995年 隠された被爆労働~日本の原発労働者2
http://www.youtube.com/watch?v=pJeiwVtRaQ8&feature=related
■YouTube - 英channel4 1995年 隠された被爆労働~日本の原発労働者3
http://www.youtube.com/watch?v=mgLUTKxItt4&feature=related
[以上は写真家樋口健二の作品を元に英国のチャンネル4が制作したビデオ]
■樋口健二講演録「原子力を撃つ」
http://ihope.jp/shoot.html#マスコミの責任
■『原発をよむ』高木仁三郎・編著
http://blog.goo.ne.jp/ryuzou42/e/be82f38e5609baabe3d6bfa7e1f06d12
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by bekokuma321 | 2011-03-20 21:02 | 紛争・大災害

ロビイスト登録制か

7月初め、首相や閣僚に面会したロビイストや利益団体について情報を公表しなかったため、ノルウェー政府は批判にさらされた。

その後、議会と行政府にロビーをする団体を登録制にする議論が出、学者たちは大賛成。ロビイング情報を完全に透明にすることそ、民主主義を強化し、汚職を防止するという論理だ。ところが、その責任省の大臣が登録制は必要ないと反対している。

この結末はまだ不明。ロビイストの登録制が通ったのか、通らなかったのか。通ったとしたら、どういうふうに制度化されたのか、ぜひ知りたい。

http://www.aftenposten.no/english/local/article2535792.ece
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by bekokuma321 | 2008-07-27 01:27 | ノルウェー