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Cruel Japanの本

c0166264_13113581.jpgかゆい所に手の届くオモテナシ文化、美しさと健康を兼ね備えた和食、お尻の面倒まで見てくれるウォシュレット……ああ、なんて日本は Cool なんだと外国人が礼賛するTV番組が人気を呼んでいる。

しかし、この国は Cool Japan どころか Cruel Japan(残酷な日本)なのだと思い知らせてくれる本が出た。新刊本『雇用差別禁止法制の展望』(浅倉むつ子著、有斐閣)だ。

第1子出産を機に退職する女性は依然6割もいる。平均賃金は男性100としたら女性70.6。しかもこれは正規のみであって、働く女性の54.7%を占める非正規は、調査もしてもらえない。

正社員であっても出発点で男を「総合コース」女を「一般コース」と分別して、女性を低賃金でこき使う。性による賃金差別禁止を明記した労基法4条など、実はザル法なのだ。

「ポジティブ・アクション」も「間接差別」も、日本に上陸したとたん企業に都合のよい「日本的特色を持った中身」に変えられる。

しかし、泣き寝入りしない女性たちは、裁判や国際機関に訴えて闘ってきた。「昇格・昇進に係る男女差別に関する判例」だけで、22件にのぼる。

そのなかで「男女別コース制度が認定された」裁判は4件。本書が真っ先にあげるのは、1980年代の「日本鉄鋼連盟事件」で、女性7人が日本鉄鋼連盟を訴えた。判決は、仕事を「男性コ―ス」「女性コース」と分けるのは憲法違反であるとした。画期的だった。支援団に加わっていた私は、飛びあがって喜びたかった。が、しかしながら、7人が採用された当時にさかのぼれば「公序良俗には違反しない」と、続いていた。私は、この判決にひどい脱力感を覚えた。

2000年にはいり、性別役割分業意識が少しゆらぎはじめたその矢先、ゆりもどしの動きが日本列島をおおった。いわゆるバックラッシュだ。その例として、大阪府豊中市で起きた「すてっぷ館長雇い止め事件」がp284、p334~360に紹介されている。

「日本会議」系の議員らよって、男女共同参画推進センター館長に「威圧的で精神的な暴力が駆使された」。こう述べた判決は、館長が受けた侮蔑的な仕打ちを「人格権侵害」と断じた。館長とは不肖私のことだが、最高裁の勝訴確定まで7年もかかった。

本書は言う。「日本のジェンダー格差の第一の要因は、日本社会に根強い性別役割分業にある」「第二の要因は、企業社会に根強く定着している制度や慣行」。だから、あらゆる領域を網羅する「包括的な差別禁止法」が必要だと、筆者は強調する。

膨大な資料を駆使して、日本の労働界にまんえんする性差別を鋭く衝く大変な労作だ。

館長雇い止め・バックラッシュ裁判
浅倉むつ子「男女共同参画社会実現のための訴訟でした」
読者は二つの怒りを体験する:『バックラッシュの生贄』を読んで
浅倉むつ子意見書を読んで
三井さんの館長雇止め事件の「意見書」を書いて(浅倉むつ子)


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by bekokuma321 | 2017-01-12 13:55 | その他