平等の大切さを伝えるすばらしい動画が届いた。和訳して紹介する。

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 ▲画面をクリックしたら動画を見られる

画面に真っ先に現れるのは若いパパ。スウェーデンの電気技師シルビアだ。

480日間ある育児休業の半分を彼がとる。2人の子どもをあやしながら、食事を用意する。いかにも楽しそうだ。彼は「子育ては2人でと決めたんです。ですからはじめから平等に分け合っています。ママが半年の育休ならパパも半年。僕に、30%とか、10%、5%の育休なんてありえません」。

北欧理事会・閣僚理事会(注)がつくった広報用の動画だ。

北欧の多くの男性は育児家事を分担し、多くの女性は子どもが小さい間も仕事を続ける――切っても切れない関係。さらに、職場のフレックスタイム、誰もがはいれる保育園、介・看護職への男性の進出、経済的自立が女性にいかに大切かの研修・・・。3分間の動画にギュッとつまっている。

子どもとすごすために仕事を休む男性が世界でもっとも多いのは北欧諸国。スウェーデン、アイスランドが先頭を走り、ノルウェー、デンマーク、フィンランドなどが続く。子育て中、就業時間をフレックスタイムに変える会社の数も圧倒的に多い、という(ちなみに、OECD加盟国で、男性がもっとも家事など無償労働をしない国は、わが日本だ)。

しかし、と北欧理事会・閣僚理事会はこれに満足せず、次のようにさらなる平等をめざす。

「親休暇の7割以上は依然として女親が取得しており、完全な男女平等にはまだ遠い」。そしてスウェーデンの調査によると、「子どもが小さいときに父親が育児休業をとったシルビアのような家では、女性の生涯賃金が月に7%上昇している。この例は、性による賃金格差の撤廃につながる要因となる」。

女性も男性も、どんな人も1日は24時間。子どもの成長や人生にママだけでなくパパもかかわる、そうした毎日をすごせる人が多数いる社会、それが性による格差のない社会をつくる。可能にする鍵は、「コーヒーと法律です」--こう黒板に言わせている(上の写真)。こんなふうに、核心をさりげなくつくところが、また素敵だ。

日本もほんの少しの予算で、このような動画をつくれるはずだ。このテーマにぴったりの監督は何人もいる。問題は、政府がどっちの方向を見ているかだ。

世界一幸福な国ノルウェーの女性たち
イクメン議員辞職とマタハラ
1日6時間労働へ!
ノルウェーのワーキング・マザー
教員ストに見た「北欧モデル」
女性の雇用率の高い国は
北欧に対する偏見
企業の4分の1以上「育休より退職を」
Anne Hathaway honors International Women's Day at the UN – video (上の北欧の育児休業政策が引用されている)

【注】北欧理事会とは、北欧諸国が、団結をめざして閣僚レベルで会議を開き、政策のすりあわせをする国際機関。国家主導型のASEANとは異なり、地域に根付いた民間協力を国家が後追いする形で作られたという。その北欧理事会の主要政策のひとつに「男女平等推進」がある。北欧理事会の全体のヴィジョンにも、女性の権利や男女平等の視点が色濃い。
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by bekokuma321 | 2017-04-30 13:52 | 北欧

c0166264_1491527.jpg遠いアフリカの国のことだと思っていたエボラ出血熱。ヨーロッパ、アメリカで患者が出て、日本でも対策を取り始めた。

エボラ出血熱で大勢の人が亡くなったのは、リベリア、シエラレオーネなど西アフリカの国々だ。

これらの国々は、実はエボラよりも、下痢やマラリア、エイズによる死者のほうが多い。その結果、エボラへの対策が後手後手になった。こう言っている説になるほどと思った。

エボラ出血熱の死者を上回る、平均4100人もの子どもが、毎年下痢で死亡している。その9割は開発途上国の5歳以下の子どもだという。下痢で死亡する子どもは、マラリア、エイズ、麻疹を合わせたよりもさらに多い。

これらの国々に共通しているのは、極端な貧しさと、感染を食い止める基本のキである水が不足しているという点だ。これでは保健衛生に気を配ることなど、はなから不可能だ。

私たちの国は、ちょっと台所に行き、水道の蛇口をひねるとすぐ水が出る。ものの1分もかからない。そして安い。

しかし、国連の調査によると、アフリカには、家から水を汲めるところまで水を入れるカメを持って10キロもひたすら歩き、そこから水を汲み、カメに入れて家まで運んでこなくてはならない国がたくさんある。

朝早く起きて、カメを持って、水を汲み、また同じ道を重い水のはいったカメを持って家に帰ってくる、気の遠くなるほどの重労働だ。しかも、毎日、毎日・・・。

最近では、カメではなくポリ容器に変わっている写真が多いが、運んでいる人は変わらない。そう、ほとんどが女性や女の子だ。国連の調査では、サハラ以南のアフリカでは、その水汲み労働の71%が女性と女の子の肩にかかっているそうだ。

こうして、水汲みに象徴される台所仕事は女の仕事とされ、重労働にも関わらず無償だ。そして、毎日、水汲みの仕事に多くの時間をとられる女の子たちは、学校になど行けない。賃労働につくこともできない。ましてや国・地方の政策に改善の声を届けることなどできない。

それどころか、根強い家父長制からだろう、水運びに時間がかかったりすると娘を殴ったりする父親や兄が多いとも聞いた。女性や女の子は、体ぐあいが悪くても休めなかったり、医者にかかれなかったりもする。がまんするのだ。こうして女親の病気は、子どもに移ってゆく。

アフリカでのできごとは、今や全世界に伝播する。アフリカの危機は、わたしたちの危機だ。

エボラ出血熱ニュースは、人類の命は水の配分の平等、そして性の平等とわかちがたく結びついていることを思い起こさせた。

今日のNRK(ノルウェー国営放送)「水は感染を防ぐVann kan forhindre epidemiene」を読みながら、考えた。

Vann kan forhindre epidemiene
TV-aksjonen 2014
Beyond scarcity: Power, poverty and the global water crisis
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by bekokuma321 | 2014-10-19 02:21 | ノルウェー

ノルウェーの西海岸にある都市ベルゲンに住む、ユーコ・リンダ―ルYuko Ringdal さんから感想が届いた。大学で教えるかたわら、労働党党員としてデモにも参加してきたワーキングマザーだ。 

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安倍政権は女性の閣僚を5人登用して、いかにも男女平等を支援しているように見せかけています。でも、女性が多ければ良いというわけではありません。

FEM-NEWSによると、5人のうち3人は「日本会議」という国粋主義組織に属しています。国粋主義国家とは、国家に貢献できるような健康な子どもを産む母親としての役割を女性に押しつける、すなわち男性主導国家だと私は思います。

この3人の女性大臣が、このような固定的性役割を好む団体に所属していること自体、おかしいと思います。

c0166264_16154653.jpgノルウェーでは保守党と進歩党が現在連立政権を握っています。保守党は日本の自民党とは違い、かなりリベラルと言えるでしょう。国会議員の男女の比率は、女性19名、男性29名です。首相すなわち党首は女性です。また性的少数者も目立ち、厚生大臣ベント•ホイエはゲイ(同性愛)を公言しています。過去にもペール•クリスチャン•フォスというゲイの大蔵大臣がいました。

日本の自民党と比較的似ている政党は、ノルウェーでは進歩党でしょう。政策は平等とはほど遠く、非常に保守的で国粋的政策を好みます。大臣に女性が目立つものの、国会議員数では男性23名に対し女性は僅か6名です。

労働党の国会議員はは男女とも27名ずつです。比較的リベラルで、現在の青年部リーダーのエスキル•ペーデルセンはゲイを公言しています。左派社会党は、女性2名、男性6名ですが、フェミニスト的政策を打ち出しています。中央党はもともと農民党でした。女性7名、男性3名。つい最近まで女性党首でした。

ノルウェーでは平等という考えはすでに国民に浸透していて、女性がリーダーとして公の場に登場するのは当たり前になっています。ノルウェー保守党を見れば分かるように、男性中心主義とは違い、男女の性にこだわらずに人事が決められています。ただ、経済界ではまだまだ男性優位と言える面がありますが。

日本に男女平等が広まるには、女性がわずか10%前後しかいない議会をせめて30%に増やすことがはじめの一歩だと思います。平等政策を進める女性議員が増えることを願っています。

Yuko Ringdal (ノルウェー・ベルゲン大学非常勤講師)

【写真:ノルウェーの先駆的女性政治家ベリット・オースを解説するパネル。1975年、オースは女性議員増をめざして党内に初めてクオータ制を導入した。今ではノルウェーのほとんどの政党が、候補者の約半数を女性にするなどクオータ制を実行する。オスロの国立民族博物館特別展「女性参政権100周年」にて。撮影FEM-NEWS】

安倍改造内閣の女性たち
ノルウェー女性参政権100周年
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by bekokuma321 | 2014-09-09 16:54 | ノルウェー

c0166264_353035.jpgノルウェーは、9月14日が投票日だ。13日、14日両日を投票日にしている市もある。

ノルウェーの国会は、現在169 議席中61議席、36.1% が女性議員。内閣の半数を女性が占める。

なぜ、こんなに多くの女性が当選できるのだろう。その理由は選挙制度にある。

ノルウェーは比例代表制だ。政党が、候補者リストに載せる候補者名とその順番を決める。投票する人は、自分の支持する政党の候補者リストを選んで、その用紙を投票箱に入れさえすればいい。有権者にリストの順番を変える権利が与えられているが、変えるには多くの票がいるため、政党の決めたリストで決まることが多い。

ということは、候補者リストを決めるときに、上の方に女性がのっていさえすれば、女性は当選するのである。熾烈な選挙戦はいらない。ひとりひとりのポスターも、選挙カーもいらない。

では、候補者リストとは、どういうものか。

左上は、首都オスロの労働党の候補者リストだ。1番から20番まで候補者名が書かれている。オスロ選挙区の定数は20。どの政党も20人―全議席分の候補者―を上げることになっている。当選するかどうかはともかく、ズラリと候補者をならべるのだ。その結果、人口500万人、国会議員169人の小さな国だが、今回、国会議員に立候補した人は3600人にのぼる。ちなみに、日本の衆院選に立候補した人は1369人だった。

男女の違いを、左上リストに書かれた名前から見てみよう。

1番は、現首相・労働党党首で男性。2番は、国会議員の女性。3番は、オスロ労働党代表で男性。4番は、現外相で男性。5番、6番、9番、10番、12番、14番、16番、18番、20番は女性。20人のうち男女比は10対10。ちょうど男女半々である。

平等は性だけではない。民族や肌の色による差別のない社会づくりを掲げる労働党は、それも実践している。6番、11番は、パキスタン出身、16番はモロッコ出身、18番はインド出身、19番はトルコ出身だ。私の見た限り、いわゆる移民出身者は5人だ。世襲議員の多い日本とは、あまりにも違う。

このように多様な候補者をそろえないと、「あの政党はバランスに欠ける」と見られるのだという。今年の選挙には、20以上の政党・政治グループが、候補者リストを提出していて、うち議席を持つ7政党のほとんどが、男女半々の候補者リストをつくっている。

ところで、日本の選挙風景に慣れている私たちは、投票用紙は投票所でないと手に入らない、貴重なものだと思ってしまう。ところがノルウェーの投票用紙は、候補者リストそのものだ。この候補者リストは、選挙区ごとに大量に印刷され、投票前に大量にばら撒かれる。だから、すぐ手にはいる。

私がノルウェーの選挙キャンペーンを実際に取材したのは、1997年だ。「はい、どうぞ」と、路上で候補者リスト(投票用紙)を渡され、「えっ、もらっていいんですか」と目を白黒させた覚えがある。今は、インターネットで全政党の候補者リストがクリック一つで見られるようになっている。

■参考サイト
http://www.samfunnsveven.no/

■参考文献
「投票者はリストを書き替えられる!
大きくて立派な投票用紙/住所や職業までわかる投票用紙/有権者の三つの権利/投票用紙に見る名簿変更権/男たちの逆襲」 (毎日新聞社刊『男を消せ!―ノルウェーを変えた女のクーデター』)http://www009.upp.so-net.ne.jp/mariko-m/mokuji.html
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by bekokuma321 | 2009-09-07 03:31 | ノルウェー