国連の女性差別撤廃委員会から、日本政府に向けた勧告が公表されました。

女性差別撤廃条約が、日本でどの程度実行されているかについて、日本政府が国連に提出した報告書にもとづき、委員会審議が行われました。その結果を、「日本に関する総括所見」として公表したものです。

委員会は、日本政府に対して、あらゆる分野において、女性差別撤廃条約を周知徹底するよう強く要請しています。とりわけ、女性の婚姻年齢差別などが含まれる民法の改正、決定の場に女性の参加を促進するための暫定的特別措置(注1)の実行の2点について、2年後まで、実施状況詳細報告を求めています。

全体は、A4版13ページです。その中から、総論部分と、決定の場への女性参加促進の2つについて和訳し紹介します。

■20条 
女性差別撤廃条約は、女性に対する差別をなくしてゆくための、最も適切な法的拘束力を持った国際文書である。

委員会は、日本政府に、ただちに次の方策をとることを要求する:条約が国内の法制度において完全に適用されるようにすること、国の法規に条約の条文が完全に一致するようにすること。その際、必要ならば制裁を含めること。

さらに委員会は、日本政府に勧告する:裁判官、検察官、弁護士が、条約の目的・内容をよく理解し、司法の中で使えるようにするため、条約や委員会勧告の周知徹底に努力をすること。

加えて委員会は、日本政府に勧告する:公務員に、条約と男女平等を周知徹底させ、さらに条約と男女平等についての能力を高める研修を提供するような方策をとること。

繰り返しになるが、委員会は、日本政府が条約の選択議定書を批准するよう勧告する。そして、委員会は、選択議定書批准によって、条約が直接法的に使われるようになり、かつ女性に対する差別への理解を助けることになることを固く信じる。

■28条 
委員会は、日本政府に強く要求する。条約4条1節、ならびに委員会勧告25条にのっとって、あらゆる分野における決定の場に女性の代表が増えるよう、女性の雇用分野、政治的公的分野や学術分野への女性の参画について、達成しようとする数字と年月を明示した暫定措置をとること。

■42条 
委員会は日本政府に要求する:実際に女性が男性と平等になるために、条約4条1節、ならびに委員会勧告25条における特別措置を実行して、政治的・公的分野における女性の代表を増やすこと。

さらに委員会は、女性が政治的公的分野の代表となることは人口の多様性を真に反映させることであると、日本政府が確信するよう奨励する。

加えて委員会は、日本政府に、次期レポートには、マイノリティの女性や移民女性を含め、女性が、政治的公的分野、学術、外交分野にどの程度参画しているかの統計と情報を提供するよう要請する。

委員会は、日本政府に求める:クオータ制や、一定基準、目標、動機づけなどの可能な方策を使うことを考慮にいれ、条約7条、8条、10条、11条、12条、14条の実行を強化すること。

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注1 affirmative action または positive action にあたる。差別をなくすために、差別を受けてきた人たちに特別な方策をとること。議員選挙の際、女性立候補者に有利な条件を与えるなど、いろいろな手法が、諸外国でとられている。

勧告原文はこちらhttp://www2.ohchr.org/english/bodies/cedaw/docs/co/CEDAW.C.JPN.CO.6.pdf
女性差別撤廃委員会はhttp://www2.ohchr.org/english/bodies/cedaw/
女性差別撤廃条約はhttp://www2.ohchr.org/english/law/cedaw.htm
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by bekokuma321 | 2009-08-19 02:46 | その他

4月11日、12日、群馬県高崎市で、「全国女性議員サミット」が開催された。1998年から始まり、今年は第5回目。

11日は、600人近くの参加者を前に、「女性の政治参画を推進するために」という全体会。与野党から7人の女性国会議員が、あまりに少ない日本の女性議員数を増やすために、どうするべきかを話しあった。

パネリストは、糸数慶子(無所属)、小渕優子(自民党)、紙智子(共産党)、亀井亜紀子(国民新党)、古屋範子(公明党)、福島みずほ(社民党)、円より子(民主党)。

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主催は同実行委員会。実行委員長をつとめた山崎紫生さん(高崎商科大教授)は、「上州はかかあ天下に空っ風と評されるとおり、群馬の女性は実に働きものでパワーあふれています」と語った。

国連から日本政府に勧告された「クオータ(割り当て)制」の推進に対してどういう方向性が出るか注目されていた。しかし、女性議員といえども、強力な推進派は多くなく、合意にはいたらなかった。女性議員の多くが所属する政党の意向に影響されていることと、女性議員自身が、女性差別撤廃と女性の人権確立のため、女性の政治進出を最大の優先課題にしていないからだ、と考えられる。

12日は、6つの分科会に別れ、女性のかかえている諸問題をテーマに討論を続けた。その中から第3分科会「パワーあふれる女性の働き方」を報告する。

新しい時代を切り拓いた女性たちはみな、大胆ともいえる勇気の持ち主。政治、商業、農業の世界で、新機軸を拓いた女性たちの源泉が、語られた。

岩尾光代さんは、サンデー毎日編集者で、『はじめての女性代議士たち』(新風舎、2006年)の著者。戦後の焼け野原の中、日本の女性たちは初の政治参政権を獲得した。選挙資金どころか、ないないづくしの苦難を乗り越えて立候補し当選した女性衆議院議員の挑戦を報告した。

原田節子さんは、原田/ガトーフェスタハラダ 専務取締役。時代の波を受け低迷していた明治創業の和菓子屋を、大成功に転換させた。14人の従業員を500人に増やした女性取締役の秘話をパワーポイントを使って紹介した。 

山崎洋子さんは、福井県三国町において「おけら牧場・ラーバンの森」を運営する傍ら、「田舎のヒロインわくわくネットワーク」代表として活躍。和牛繁殖からジェラート製造まで手がける。さらに、日本の農業に新風を吹かせようと、全国の女性農業者をネットワークする様子を語った。

3時間の後半は、三井マリ子コーディネイターが、「国連のNGO会議や、国際会議でとられている方式で、全員が1分ずつ今日のテーマに関するスピーチをしよう」と提案。70人近い参加者全員が、1分の持ち時間を守って演台でスピーチ。夫をどう教育するか、から、梅干の産業化まで、女性たちの多様な働き方と日常を披露しあった。男性社会を変えつつある全国から集った女性の発言につつまれ、会場は興奮の渦につつまれた。

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なお、第4回女性議員サミット後、立ち消えさせてはならじと、第5回開催に向けて数年前から運動を続けていたのが長野県下諏訪の樽川通子さん。その事実をお知らせし、彼女の陰の功労に心から感謝したい。http://janjan.voicejapan.org/election/0704/0704123633/1.php

[写真上:11日全体会の後半部(退席した議員もいる)、 下:12日第3分科会終了後(全員ではない)]

■■全国女性議員サミット in ぐんまHP■■
http://samitto5.hp.infoseek.co.jp/index.html

■■全国フェミニスト議員連盟■■
http://www.afer.jp/


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以下は、共同通信を通じて、全国地方紙に報道された記事(2009年4月11日)

群馬で「女性議員サミット」 少子化、共同参画を討議
女性の政治参画推進を目指す「第5回全国女性議員サミット」が11日、群馬県高崎市で開かれ、小渕優子少子化担当相や社民党の福島瑞穂党首ら衆参両院の女性国会議員7人が子育て支援策などをめぐって討議した。会場には地方議員を中心に約530人が集まった。

小渕氏は「少子化問題も男女共同参画も制度、予算ともに不十分。女だけの問題だと思われているうちは前に進まない。世界第2位の経済大国なのに(女性が)やりたいことや結婚をあきらめるのでは豊かな国とは言えない」と述べ、女性が働きやすい環境づくりを進めていく決意を示した。

シンポジウムでは、世界各国と比較して日本で女性の社会進出が立ち遅れている現状が報告され、国会に「クオータ(割当枠)」をつくって女性議員を増やす可能性などを討議。「性別による固定的な役割分担意識や、それに基づく制度や慣行の存在」が女性を政策決定から遠ざけているとして、女性の力で社会を変えようと訴える「サミット宣言」を採択した。(共同)
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by bekokuma321 | 2009-04-14 13:11 | アジア・アフリカ

女性の政治参加「世界は進む 日本は進まず」―都内で国際シンポジウム
http://janjan.voicejapan.org/world/0901/0901296424/1.php

1月24日、東京・文京区の男女平等センターで、全国フェミニスト議員連盟の国際シンポジウム「世界は進む 日本は進まず-パリテ、クオータ、男女共同参画-」が開かれた。それをカバーしたさとう記者のルポが、インターネット新聞に載った。
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by bekokuma321 | 2009-01-29 23:10 | アジア・アフリカ