c0166264_403797.jpg地方選が終わった。

日本の投票は、有権者は投票所に行って、支持する候補者氏名を書いて、その紙を投票箱に入れるという方法をとる。

この、手書きで候補者の名前を書くという当たり前の方法を、他の国の人々に言うと、みな仰天する。「だから日本の候補者は、自分の名前の書いたたすきをつけているのです」、と納得してもらえるまでなんと手間暇かかることよ。

c0166264_1352015.jpgどうも手書きで候補者の氏名を書く方式をとるのは、日本独特のようだ。

しかし、ここは日本。

勝つためには、立候補者は自分の氏名をできるだけ多くの人に書いてもらわなければならない。だから候補者にとって何よりも大事な選挙運動は、自分の名前を覚えてもらうことだ。

c0166264_443116.jpgまともな人間ならこんなバカバカしいことを朝から晩までやって議会の議席を得るなんて、恥ずかしくて穴があったらはいりたくなるだろう。でも、それが日本の選挙だ。だから、工夫しながら、名前と顔を覚えてもらうためにひたすら1週間がんばるしかない(町村は5日)。

全国フェミニスト議員連盟で男女平等社会をつくろうとしてきた仲間たちの多くは、駅頭で、公園で、団地の前で、政策を訴える工夫をしていた。

c0166264_1364130.jpgでも、このように政策をスピーチする候補は数えるほど。だいたいは、選挙カーのスピーカーで名前を流したり、人前で名前を書いた旗を何本も立てたり(選挙違反だろう)、大勢がズラリと並んで大声で候補者名を連呼したりするだけだ。

c0166264_5205415.jpgこれまたおかしなことだが、選挙中、日本では、政策ビラは配れない、戸別訪問で支援をお願いすることもできない、政策討論会もできない。しかも選挙期間は1週間しかない。

名前を書くのが選挙だから、政策なんていらないといわんばかりだ。

政策で支持者をつかんでいる現職以外は、日本の場合、政策で当選なんてありえない話なのだ。

マイクを握って訴える女性候補者を見ながら、「身近な問題を政治課題にのせてきた実績のある人たちが、そのチラシをまけないのは、どんなにか悔しいだろう」と思った。

c0166264_4163614.jpgさて、さて、日本の地方自治体には女性議員は数えるほどしかいない。つまり、私が応援した前議員たちは、議会のマイノリティだ。

全国フェミニスト議員連盟を創設して20年以上、女性議員増の運動をしてきた。だが、一向に増えない。

c0166264_12561373.jpgやっとマスコミが女性議員の少ないことの弊害や、女性議員の存在によってよくなったことを取り上げるようになった。

しかし、政党助成金という巨額の公費を受け取っていながら、政党には女性候補を増やすための実効ある具体策に欠けていた。女性が輝くなどとふれこむ政府、選挙管理委員会、総務省など関係機関は、指をくわえてみているだけだった。

c0166264_133367.jpg女性議員は女性候補が増えないと増えるはずもない。候補者さがしの段階で女性を増やす何か具体的な方法があったはずだ。啓発活動でもいい。「もっと女性候補を」とキャンペーンぐらいはるべきだった。

私が取材を続けているノルウェーでの地方選は2011年秋にあったが、女性議員は38%だった。

政党別では、左派社会党は51%、労働党は44%が女性だった。ノルウェーでは、ほとんどの政党は候補者を決めるときに一方の性を4割から6割になるように決めていて、それをクオータ制という。クオータ制に反対する政党もあるため、結果は、40%を割ってしまった。

市長は20%が女性、つまり5人に1人が女性首長だった。

こうした差異をつくる根本は、選挙制度にあると思う。ノルウェーをはじめヨーロッパの多くの国々は、国も地方も比例代表制選挙なのだ。

日本は、国会が小選挙区制で、地方議会は複数当選者を出すいわゆる中選挙区制だ。中選挙区制は小選挙区制よりは小政党や無所属に有利だと言われるが、基本的には最も得票の多い人から順番に当選する小選挙区制の変形に近い。

c0166264_448032.jpg比例制の選挙は、支持する政党の候補者リストを選び、それを投票箱に入れる。その獲得票に応じて政党の当選者数が決まっていく。

だから、票を最も多く獲得した政党はそれなりに、票の獲得率が少ない政党はそれなりに、当選者が出る。よって、どんなに小さな町にも、さまざまな政党から議員が出ている。それに政党は候補者を決める段階で、クオータ制にもとづいて少なくとも4割は女性にしているので、4割ほど女性議員が誕生する。

c0166264_4485830.jpg政党に入れるだけだと、政党任せになり候補者の顔が見えないのでどうも・・・という人のためにつけ加えると、ノルウェーでは、有権者は政党の決めた候補者の順番を変えたりできる。

候補者名が書かれたリスト(投票用紙)の左側に設けられた空欄にバツ印をつけてその候補者に1票を加算する方法と、用紙の空欄に他党の候補者名を書き足す方法の2種類が設けられている。

これによって、女性や障がい者など、まだ議会に少ないグループの候補者にバツ印をつけると、その候補を上位に押し上げて当選させる可能性が高まるのだ。

多様な声をすいあげて議会に届ける代弁者を選ぶ、それが選挙だ。

なのに、日本では、誰がどんな政策を持っているかを知らせることを禁じている。

日本の地方選挙に多い無所属候補のほとんどは、隠れ自民だそうだ。その結果、「オール与党議会」も多いと聞く。もちろん「オール男性議会」は数知れずある。

選挙のたびに、「日本の選挙制度は変だ」と怒りを覚える。

世界一民主的な国
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小選挙区制は女性の声を捨て去る
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政治は男のものではない


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by bekokuma321 | 2015-04-26 05:06 | ノルウェー

c0166264_12274871.jpg2011年9月に行われた地方選挙の結果が出そろった。ノルウェー統計局は「女性議員増えず」という見出しで結果を公表した。

女性議員は全体の38%だった。

38%という数字は、前回2007年の37.5%とほぼ同じだ。女性議員が半数を超えたのは左派社会党の51%だけで、労働党は44%だった。進歩党は、主要政党では前回同様もっとも低く、27%だった。

日本人の私から見ると、メディアで極右といわれる進歩党でさえ、3,4人に1人は女性議員であることに驚かされる。

しかし、ノルウェー首脳陣は、この結果に不満やるかたない。ただ不満であるだけでなく、次の一手を打とうと世間にアピールをした。さすがノルウェーらしい。

リーヴ・シグネ・ナーヴァルセーテ地方自治大臣は、女性が伸び悩んでいる結果に落胆し、ただちに地方議会にクオータ制(性による割当制)をにおわせた。

「政党の候補者リストがどう作られているかを議論する時がきた。男女数に均衡がとれてないのならば、われわれは、そのことを注視する必要がある」

「地方選挙の候補者リストでは、男女が交互にリストアップすることを政党に義務付ける可能性を検討したい」

一方、今年、注目された移民出身の議員はどの程度増えただろうか。結果は全国で268人と45人増だった。全体の2.5%である。

しかし、首都オスロ市議会の労働党は別だ。なんと20議席のうち11議席が移民出身となってしまい、「マイノリティがマジョリティになった」とメディアは報道した。オスロ市議会全体では、59議席のうち16議席、27%である。

オスロ労働党は、選挙法改正を視野に入れた検討を考えていると報じられている。しかし、当然、移民議員を中心に反論が多い。すでにオスロでは移民人口が全体の28%に上っている。

■No increase in female representation
http://www.ssb.no/english/subjects/00/01/20/kommvalgform_en/
■Minister mulls local election gender quotas
http://www.thelocal.no/page/view/minister-mulls-local-election-gender-quotas
■Labour Party looks to slash Oslo immigrant dominance
http://www.thelocal.no/page/view/labour-party-looks-to-slash-oslo-immigrant-dominance
■Ap vil hindre valgkupp fra innvandrere
http://www.vg.no/nyheter/innenriks/norsk-politikk/artikkel.php?artid=10016685
■ノルウェー統一地方選 女性議員が37.4%に_2007年
http://janjan.voicejapan.org/world/0709/0709212747/1.php

[写真:「必要なのはもっと多くの声ではなく、これまでとは別の声だ。なぜなら、かつてから男性の声は永久といっていいほど十分だからだ」。125年前に「ノルウェー女性の権利協会」を創設したギーナ・クローグの言葉。ノルウェー国立女性博物館での接写]
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by bekokuma321 | 2011-12-22 02:11 | ノルウェー

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4月8日に投票が行われた44道府県議選。立候補者3770余人が2544議席をめぐって戦った。うち女性は367人で、全候補者の1割にも届かなかった。

保育園はまったく足りない。学童保育も待機児童が列をなしている。介護に苦しむ家族を助ける施設やホームヘルパーは不十分。しかも介護職の報酬はきわめて低い。働く女性が抱えるこうした問題は無数にある。女性の立場を考えた政策がほしい。しかし、女性が選挙権を獲得して60年以上もたったというのに、女性都道府県議は、日本全土をおしなべてわずかに5%程度。これでは大きな社会変革は望めない。

この後を読むには
■道険し、女性の政界進出~県議選候補者の1割に満たずhttp://janjan.voicejapan.org/election/0704/0704083362/1.php

写真は山梨県甲府市の県会議員選挙ポスター
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by bekokuma321 | 2007-04-11 23:14 | その他