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内部告発の大切さ

c0166264_1524031.jpg前川喜平前事務次官の内部告発と、菅官房長官による彼への人格攻撃から、ある事件を思い出した。

国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)の幹部だったスウェーデン外交官アンダース・コンパスのことだ。

彼は、中央アフリカにおいて、国連平和維持軍のフランス人とアフリカ人が、難民キャンプの子どもたちに性的虐待を続けているとの報告を受け、それを公にした内部告発者だ。性的虐待事件については、FEM-NEWS「国連平和維持軍の蛮行」(2015.6.16)を参照。

驚いたのは、同事件の実行者たちへの調査も処罰もなされず、報告を公にしたアンダース・コンパスが、国連の内部情報を漏えいした罪で解雇を言い渡されたことだった。それを不服とした彼は、訴えた。その結果、一時帰休を命じられた。それにも不服だった彼は、一時帰休の取り消しを求めた。その過程で、フェミニストで知られるスウェーデン外相マルゴット・ウォールストームは、コンパスの言動を評価して国連の措置を公に批判した。それが大手メディアで報道されて、日本の私も知った。

スウェーデン政府の中枢が内部告発者を擁護し、国連に向かって抗議をしたのだから、日本の政府とは大違いだ。

その後、時がすぎた。「常に信じていたことに向かって闘い続けられないならば、そのときは、私が去るときなのだ。だから、私は21年間の職務を終え、国連を辞職することにした」と、とうとうアンダース・コンパスは国連を去った。

c0166264_15443962.jpgそして、いまアンダース・コンパ(右写真)はファイトバックに転じた。

彼は、実例をあげて、腐敗には目をそむけ、内部告発者には壮絶な報復を続ける国連組織を告発する。8月にはスウェーデンで講演会も開く予定のようだ。

人道支援情報を提供する独立メディアIRINによると、

「難民キャンプで空腹だった子どもたちは、自分を守るために平和維持軍による性的虐待を受けた。そのことを詳しく述べる8歳の男子。そんな報告をニ度と読まなくてすむようにと願った」。これが彼の告発の動議だった。

アンダース・コンパは、職務がら知ったおぞましい事件の数々を国連内部機関に報告した。が、何ら手を打たない国連にしびれをきらして、フランス当局に報告書を渡した。

長年、国連の機能不全を知っていた彼だが、「事件そのものや、その後のスキャンダルや、私について、国連がどう対処するのか」には心の準備ができていなかったと振り返る。IRINにアップされた彼の文章から重要なフレーズをいくつか訳して紹介する。

「残念だが、国連には、国際公務員に課される倫理規定の順守よりも、自分たちや自分たちの国にとって都合のよいことに関心のある職員がどんどん増えている。なぜなら、倫理的な行いをすると、その代償は高いとみているからだ。つまり、倫理的に振舞わない人のほうが、倫理的な立場をとる人よりも得をするのである」

「職員たちの多くは自らが報復の犠牲となったり、または、評判のよくないとみなされる倫理的立場をとった人間に対する報復を見てきた。具体的には、仕事から外される、嫌がらせされる、突然移動させられる、評価を下げられる、契約更新されない。組織は職員を守ることなどないと誰もが確信している」

「深刻な危機があっても、上層部から下まで、国連の指導者は基本的立場をとれない。政治的影響がある場合はとくにそうである。最近の例では、国連にサウジアラビアが分担金を出さなくなることを恐れて、サウジアラビアを”子どもたちを虐殺したり半殺しにする国々”のリストから削除した」

「国連は、職員に倫理に反した行為の責任をとらせることがほとんどない。権力の座にある職員はとりわけそうだ。責任を課される事態になっても、有効な罰が下されることはまれだ。国連の責任機能は崩壊している。機能などしていない」

「私の母国スウェーデンでは、大臣たちは、わずか10ドルにあたる公費を不適切使用したという疑いで辞職にみまわれた。しかしながら国連では、子どもへの虐待を隠ぺいしたり、問題行動の証拠を示されても、辞職しない。というより国連組織は、彼・彼女らに辞職勧告をしない」

「だから、国連では、最後の砦として、内部資料を外に出すしかないのだ」

「コンゴの人権侵害、ボスニア・ヘルツゴビナの汚職や搾取、国連平和維持軍の虐待などを、世界が知ることができたのは、すべて沈黙を破って情報を流した人がいたからにつきる。これが国連の倫理違反に対する、迅速かつ組織的対応である」

「国連は、内部告発は組織内の価値観や水準を強化するチャンスと歓迎するような文化には蓋をして、恐怖に陥らせるような雰囲気をつくり、服従しない人たちを矮小化する」

国連の真実の姿を、身を賭して教えてくれたアンダース・コンパに心から敬服すると同時に、内部告発を擁護することの大切さを思い知らされた。

EXCLUSIVE: The ethical failure – Why I resigned from the UN
National Anti-Corruption Unit,Sweden
Corruption Perceptions Index 2016
政治家の役得に厳しいスウェーデン
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by bekokuma321 | 2017-06-20 15:17 | 北欧

国連平和維持軍の蛮行

c0166264_033838.jpg少し前の事件になるが、あらたな展開があったので、要訳して、報告する。

6月15日、スウェーデン外務大臣マルゴット・ウォールストーム(Margot Wallström)は、「アンダース・コンパス(スウェーデン人)を一時帰休させたのはおかしい。国連組織全体への信頼をゆるがすことになる」と国連を厳しく批判した。

彼女は、外務大臣になっても、フェミニストの視点で外交を続ける、たのもしい女性だ。

彼女が守ろうとしているアンダース・コンパスは、ジュネーブの国連人権機関で、30年以上も勤務してきた国連職員だ。彼は、昨年7月、フランスの平和維持軍が、子どもたちへの性的虐待をしたことを明らかにした。

4月30日の英ガーディアン紙によると、国連は、平和維持軍による子どもへの性虐待疑惑を「注意を怠って無視した」かどで有罪とされている。

ここでの問題は、国連は、そのいまわしい事件を起こした兵士に対処せず、告発したアンダース・コンパスに罪をきせたことだ。簡単にまとめると、彼は、国連の内部報告書を漏えいした罪で、今年3月解雇を言い渡された。それを不服とした彼は、いろいろ訴えて、次に一時帰休を命じられた。それにも不服だった彼は、一時帰休の取り消しを求めた。

アメリカの元外交官ジェームズ・ワッセルストロムは、アンダース・コンパス事件は、国連が内部告発者に背を向けたことを証明している、と語った。彼もまた、かつて、コソボにおいて上司の汚職を告発したら、国連軍によって、彼のほうが解雇されて逮捕された、のだという。

アンダース・コンパスに戻る。彼は、国連の内部報告書(編集前のもの)をパリの検察庁に提出した。その内部報告書には、中央アフリカにおいて、フランス平和維持軍が子どもたちを性的搾取したことが詳細に述べられていた。

昨年の6月に報告書はできあがっていた。しかし、事件は、アンダース・コンパスがフランス当局に直訴するまで明らかにされず防止策もとられなかった。

事態を重く見たフランソワ・オランド仏大統領は、その事件について真剣に取り組むと誓い、「もしも、フランス兵士が悪事をしたならば、容赦しない」と語った。フランスの司法当局は、6人以上の兵士を取り調べ中だという。

英ガーディアン紙によると、国連の報告書のタイトルは「国連軍による子どもへの性的虐待」。すべてのページに「丸秘」スタンプが押されている。空腹で、寝る家もない子どもたちに対して、フランス平和軍の兵士たちが、強姦やソドミーをしたことが詳細に述べられている。2013年12月から2014年6月まで。中央アフリカの首都バングイの空港近くにある「行き場のない人たちのセンター」。

ある子の証言――「1人は背が低くて、煙草をよくすっていた。もう1人はやせていてタバコはすわなかった。何が欲しいかと聞いてきた。私はおなかがすいていると応えた。すると背の低いほうの男が、パンツからペニスを出して、まずこれだと言った」

「痩せたほうの男のペニスは、私の友だちにした」

「ペニスは私たちにまっすぐ出して、口のあたりだった」

戦争の犠牲者である子どもに、なんということだろう。余りの卑劣さに反吐が出る。

国連が正しいか、スウェーデン外相が正しいか。答えは、はっきりしている。

Swedish minister slams UN over abuse leak case
UN accused of 'reckless disregard' for allegations of peacekeeper child abuse
UN aid worker suspended for leaking report on child abuse by French troops
Government Accountability Project
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by bekokuma321 | 2015-06-16 08:12 | 北欧