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『バックラッシュの生贄』(三井マリ子・浅倉むつ子編、旬報社)を一日で読み終えた。不謹慎かもしれないが、まるで推理小説を読んでいるような錯覚を覚えた。

「ジェンダー」「フェミニスト」そして「バックラッシュ」。最近これらの言葉が、普通に新聞や雑誌に登場するので、いつの間にか、それらを知っているというより理解しているつもりになっていた。

が、いざ「それらは何ですか?」と問われたら、実はなにも答えられないというのが私の場合だった。しかし、 『バックラッシュの生贄』を読み、その具体的内容がわかった。

「はじめに」で、浅倉むつ子さんが、バックラッシュとは、「フェミニズムが力を得て、男女平等意識が高まり、女性の社会進出が進みました。ところが、それを阻む『反動、揺り戻し』が起き、ファルーディはこれを『バックラッシュ』と呼んだのです」と解説している。

ジェンダーについては、三井マリ子さんが、1995年の国連世界女性会議で採択された「北京行動綱領」を例に出して説明している。社会的文化的につくりだされた性のことだという。

フェミニストとは、「サッカーよりもママごと遊びをしたい男の子がいてもいいではないか、男の子だからって男らしくあれと強制されるのはおかしい、と言ってるのだ」という三井さんの言葉のように、性による押しつけはおかしいとする主張する人だ。

本書を読んで、これらの言葉の重みを知るとともに、それを主張するためには「反動、揺り戻し」勢力と闘わなければならないこと、しかもその闘いがいかに困難なものであるかを知った。

三井マリ子さんはその闘いに挑んだ。本書で、明らかになったのは、三井さんは、日本最大の右翼組織である「日本会議」の思想や実践に向かって闘いを挑んだということだ。てごわい敵だ。

先頭に立って闘う人だから、前線において実弾を受けて負傷する。しかし負けてはいない。怪我をものともせず、再び闘いに身を投じてゆく。

その闘う姿にどれだけ多くの女性が力を得ていることだろう。少なくとも私も応援する一人の人間として、三井さんから勇気をもらった。

加島 康博(秋田市、さみどりの会

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男女平等を嫌う反動勢力の実像~日本にはびこるバックラッシュ現象~(三井マリ子)
ファイトバックの会(館長雇止めバックラッシュ裁判)

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by bekokuma321 | 2016-05-25 11:16 | その他

12月9日、在特会(在日特権を許さない市民の会)のヘイトスピーチは人種差別だとする判決が、最高裁で確定した。本当によかった。

ヘイトスピーチとは、差別と憎悪に満ちた攻撃的言葉をさす。京都にある在日朝鮮人学校の生徒がそうした攻撃を受けて苦しんでいることを知ったのは、2009年ごろだったと思う。

在特会の関西支部長だった人から攻撃された経験を持つ私には、他人事ではなかった。

私は、2000年から大阪府豊中市の男女共同参画推進センター館長をしていた。あるときから、豊中市議会で、議員質問の体裁をとった男女平等攻撃が始まった。いわゆるバックラッシュ(男女平等推進への反動)である。

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議会でバックラッシュ攻撃をくりかえしたのは北川悟司議員らだ。と同時に、センターには自称市民という人たちがやってきて、受付の対応・施設利用方法・ライブラリー蔵書などに、いちゃもんをつけてきた。自称市民のなかには、増木重夫在特会関西支部長がいた。増木支部長は、なんと、北川議員の選挙を長年にわたって仕切ってきた参謀でもあった。

バックラッシュ攻撃は、陰湿で組織的だった。誹謗中傷の噂を流す、嘘八百ビラを配る、男女平等行政を攻撃する指南本をつくる・・・。一例をあげる。

ある土曜の夜、私は豊中市役所の会議室に呼び出された。そこには、北川豊中市議会議員、そして彼が代表をつとめ、増木重夫が事務局長をする「教育再生地方議員百人と市民の会」の人たちがいた。この会は「日本会議」、「新しい歴史教科書をつくる会」と密接な関係を持つ右翼的組織である。顧問をつとめるのは、山谷えり子参議院議員だ。

そのひとたちの嫌がらせ的攻撃は、ほぼ3時間にわたった。最後のほうで、北川議員が要求を通そうとテーブルをバーンと殴打した。閉庁日夜のひと気のない豊中市役所廊下に、彼の強打した音が鳴り響き、人権文化部の部屋にいた幹部は「ここまで聞こえた」と言った。

後に、豊中市議会議員らのバックラッシュに屈した豊中市行政幹部によって首を切られた私は、1年後に大阪地裁に提訴。足かけ7年、最高裁で、私の勝訴が確定した。

裁判を通じて、在特会など日本の右翼的組織が、なぜわがもの顔に悪行を続けられるかがわかってきた。

右翼的組織と議員はもちつもたれつの関係にあるのだ。議員は、選挙の集票活動に右翼的組織がほしい、組織は悪行を通すために議員がほしい。

こうして、右翼的組織の無理難題は、議員を通して、行政へと伝わる。議員の言動に過敏な行政幹部は、右翼的組織による違法的言動だとわかっても、手を打たない。

私が経験した豊中市のバックラシュ攻撃は、一地方自治体の嵐というだけでない。日本列島を吹き荒れるファシズム的運動の一断面なのだ。

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by bekokuma321 | 2014-12-12 11:29 | その他