c0166264_7172863.jpg「女の子はヨーナスが好き」。

10月10日(月)のノルウェー紙第1面の大見出しだ。ノルウェー労働党の党首ヨーナスが、にっこり笑っている。

保守党・進歩党の現連立政権の人気が落ちて、労働党支持が高く、とりわけ女性は労働党が好きだ。こんな世論調査結果が報道された。

「もしも今日、投票するとしたらどの政党に入れますか」――女性の回答は、労働党45%、保守党20%、進歩党10%、中央党7%、キリスト教民主党5%、左派社会党4%、自由党4%、緑の党3%、赤党1%、その他2%(円グラフ)。

ノルウェーの国会議員選挙は4年に1回行われる。解散はない。2013年に当選した現国会議員は、来年2017年9月11日に改選を迎える。選挙区は19の県だ。冒頭の世論調査のとおりなら、今、野党である労働党・中央党・左派社会党の連立による赤・緑連立政権が再登場する。

ちょうど10月は、各選挙区の政党の「候補者選定委員会」が候補者リストを提案する時期だ。選挙区ごとにある政党が、性別、年齢、どこに住んでいるかなどを考慮して偏りのないように作る。中央の政党が介入することはない。

政党の多くは。候補者選定にクオータ制(一方の性を40%以上にする)を守っているうえ、上から男女交互に並べる。

選挙区の政党会議でリストにのる候補者を決めたら、それがマスコミで報道される。だから日本から来たばかりの私にも候補者名がわかる。比例代表制選挙なので、当選者の察しもつく。

c0166264_7194988.jpg19選挙区のひとつへ―ドマルク県を見てみる。国会議員169議席のうち8議席がここから選ばれる。

小さいながらも、政権の一角を占めそうなのは左派社会党だ。10月8日(土)、地方紙に「トップはカーリン・アンネシェンに」という記事が載った(上)。トップとは、「国会議員候補リスト」の第1番目の候補という意味だ。リストには彼女をトップに13人の候補者が並ぶ。左派社会党の当選者は1人だが、有権者にアピールするためにできるだけ多くの候補者を並べる(注)。

比例代表制なので、小さな政党でも普通1人は当選する。トップの候補者つまりカーリン・アンネシェンは再選される可能性が高い。

さて、最も支持の高い労働党はどうか。

へ―ドマルク県からほぼ毎回4人は当選してきた。しかし大所帯ゆえ、リストはスンナリ決まらないようだ。最終的には、リストは一本化されるが、今は、いくつかのリストが提案されている。現国会議員アネッテ・トレッテバルグステューエンの上位に登載されるらしいものの、今のところ彼女を8番目(絶対当選しない順番)にした自治体もある。アネッテは、発言力のある若手国会議員で、2012年、仙台市に招かれて講演した。

首相を出している保守党のへードマルク県候補は、まだ決まっていない。トップの座を狙う男性2人がし烈な争いをしているからだという。

野党の中央党は、このところ支持を伸ばしている。1番は現職国会議員と決まったが、2番目をめぐって2人が譲らず、まだリストを提案できないらしい。

提案されたリストに沿って12月に開かれる各県(=選挙区)の政党の候補者選定会議が、最終リストを決める。そして、12月から翌年9月まで延々と選挙キャンペーンが続く。

政党を選ぶ選挙だから、候補者個人が名前を覚えてもらう努力など無用だ。もっとも強調したいのは、個人が選挙にお金をかけることはありえないから、奨学金で生きている大学生が立候補したりできることだ。小選挙区制中心の日本の選挙とは大きく違う。

リストの上位に登載されたら、育休中でも障害者でも移民出身でも学生でも無理せずに当選できる。男女が交互に並ぶので、女性は、大政党なら当選者の半分、小政党でもトップなら1人は当選する(上のカーリン・アンネシェン参照)。

こうして女性議員が4割を占めるノルウェー国会の誕生となる。

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Ostlendingen
Glomdalen_Ingen tvil om Karin på topp
Løten Ap vil vrake Trettebergstuen fra Stortinget
【ノルウェー地方選挙レポート 2011】

【写真はノルウェーの森】
【注】ノルウェーは、長期夏休みを始め労働者の休暇が潤沢であることや、育休や教育休暇もあり、議員も休む。さらに国会議員の場合、閣僚と国会議員の兼任は禁じられているため、大臣になった人の国会議員ポストは空く。すると、大臣になった人の選挙区から補充される。このように、空いた議員ポストを補充する人ーーそれが”代理議員”だ。選挙で4人当選したら、代理議員も4人選ばれる。また、政党は、できるだけ広範囲に票を集めようと、リストに候補者を多く並べる。以上のような選挙だから、当選を考えず、政党への票を積み上げるために立候補する人がほとんどだ、と言える。
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by bekokuma321 | 2016-10-11 07:54 | ノルウェー