支配者が使う五つの手口

4月22日、ベリット・オース(オスロ大学名誉教授)から封書が届いた。

開けたら『支配者が使う五つの手口』というベリット・オースの名著のミニ本が出てきた。「最近、バルセロナで出版されたカタルーニャ語版です。100冊送られてきたので、1冊マリ子に送ります」。

それで思い出したのが、大阪豊中市男女共同参画推進センターすてっぷの館内を飾った『支配者が使う五つの手口』のポスターだ。

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スウェーデン・ヴェクショー市男女平等委員会が作成した『支配者が使う五つの手口』の冊子とDVDを持っていた私は、その表紙を拡大コピーして、大勢の人の目につくところに飾りたいと思った。

すてっぷ館長だった私は、作成者のスウェーデン・ヴェクショー市男女平等委員会に、長いお願いの手紙を書いた。ほどなくスウェーデンから承諾の返事が来た。小躍りしながら、さっそくパネルにして館内に展示した。

さて、ベリット・オースは、「クオータ制」の産みの親だ。1970年代初め、ノルウェーのミニ政党の党首に就任した。彼女は、さっそく党規約にクオータ制を入れた。彼女の実践したクオータ制は、他党をも動かした。80年代になると、労働党の首相グロ・H・ブルントラントが閣僚人事にクオータ制をいれ、大臣の40%を女性にした。ニュースは世界をかけめぐり、日本にも届いた。

ベリットを世界的に有名にしたのは、実は、クオータ制よりも、ポスターの原典である『支配者が使う五つの手口』だ。ベリットは、自身の体験を社会心理学で分析して、男性が女性から自信を奪うテクニックを5つに分類したのだ。

「1 無視する」「2 からかう」「3 情報を与えない」「4 どっちに転んでもダメ」「5 罪をきせ恥をかかせる」。

ほとんどの支配層は、あらゆる被支配層にこの5つを使う、とベリットは言っているが、テレビで安倍首相の答弁を聞いていたら、まさしく、と思った。

続きは、「叫ぶ芸術―ポスターに見る世界の女たち―支配者が使う五つの手口(北欧ほか世界各国)」をどうぞ。


叫ぶ芸術 ポスターに見る世界の女たち (I 女のしんぶん)
ベリット・オース、豊中市、日本会議
ベリット・オース「支配者が使う5つの手口」
ベリット・オース、80歳の闘い
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by bekokuma321 | 2017-05-17 15:43 | ノルウェー


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「戦わなければならないことが多すぎますね」――201738日、国際女性デーを記念する新聞に載ったベリット・オースのことばだ。


88歳のベリット・オースの闘いは、今なお続いているようだ。オスロ大学名誉教授(社会心理学)。ノルウェー初の女性の政党党首に就任した1970年代、クオータ制を初めて実行した。

クオータ制とは、決定機関や立候補者の少なくとも40%を女性にするしくみだ。これによってノルウェー女性の政治参加は爆発的に進んだ。日本にクオ―タ制を私が紹介したのは80年代だった。今ではクオータ制は、世界中に伝播している。


前述のノルウェー紙によると、女性デ―にあたって、ベリット・オースは若い人たちへ「女性への虐待、女性の貧困、女性器切除について膨大な調査が出ています。それらを読みなさい」とアドバイス。さらにノルウェーでは、貧富の差ーー女性に極端に貧しい人が多いーーが拡大しているにもかかわらず、どの政党もそれへの対策がないと批判する。


さて、ベリット・オースは、大阪府豊中市にやってきたことがある。いま森友学園事件で話題の豊中市だ。


私が豊中市男女共同参画推進センターの館長をしていた2003年のことだった。愛称「すてっぷ」。男女平等を地域のすみずみに浸透させるために、豊中市が阪急豊中駅前に創立した施設だ。初代館長は全国公募だった。応募したら、幸いにも採用された。


私は、20代から女性差別に敏感に反応し、それに対して闘ってきた。豊中にも、男女不平等社会を変えたいと願う女性たちが大勢いた。そんな市民を下から支えていこう。私は120%努力した。ベリット・オース講演会も、その一環だった。「すてっぷ」の台所事情を話したら、旅費を負担して来日してくれた。彼女は、豊中のあと、名古屋、高知、福井などを講演して回り、聴衆をとりこにした。メディアも大きく取り上げた。


しかし、豊中市議会には、私を嫌っている人たちがいた。日本最大の極右組織といわれる「日本会議」につらなる議員たちだった。


議会には、「教育再生地方議員百人と市民の会」代表の議員、神社本庁と関わる議員、塚本幼稚園卒だという議員らがいた。彼らは、議会質問の名のもとに、「ジェンダーフリー」を議会で攻撃した。その執拗さに、行政は頭をたれておどおどするばかりだった。


日本会議系の議員の唱えるあるべき男女とは、こういうものだ。TVニュース番組での発言を引用する。


「オスとメス、男と女というものは、有史からずっとこうあるわけですから、男性は男性としてきっちりと小さなうちから男性の自覚というものを育ててゆく、女性は女性としての自覚を育てていく」(北川悟司市議)


「もっともっと女性は、家庭を、子どもを大切にして、いい子どもを、つくってください」(北川悟司市議)


「女性が家庭を維持する大きな役割を担う。これ当たり前じゃない。世の中で一番すばらしいことは、愛する子どもを育てることです。一人の女性の人生のなかにこのことがなかったら、社会自体も存続しません。女性が安心して、そうできるように、男は、ある意味、命を捨ててでも働くということなんです」(西村真悟衆議院議員)


「すてっぷ」への妨害行為や図書室蔵書の非難、市役所周辺での悪質な嘘のビラ撒き、私の講演会における集団での難癖、根も葉もないうわさの流布。山谷えり子や高橋史朗を「すてっぷ」近くの会場に招いて「ジェンダーフリー反対」の講演会をシリーズで催す。


攻撃のピークは、夜の市役所での3時間にわたるどう喝だった。議員は、「すてっぷ」の1年前の内部資料を手に、これは人権侵害だと怒鳴り散らした。テーブルをバーンと強打した。こうした日本会議系議員らの執拗な言動に屈した豊中市幹部によって、私は首になった。


不当な首切りだと考えた私は、豊中市らを提訴した。1審は敗訴だった。失意のどん底にあった私を励ましたのは、豊中市民たち(木村真議員も)や国内外の友人たちだった。私は控訴した。そして高裁で勝訴! 裁判長は、地方自治体の政策に対する右翼議員らによる陰湿きわまりない圧力をあますことなく断罪した(注)。

ノルウェーから、私を励ましてくれたのは、ベリット・オースだった。彼女の2008年の手紙は、男女平等の敵は好戦的な家父長制であると、日本会議の特質をズバリ見抜いていた。




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▲ベリット・オースからの手紙(原文は英語)


【注】 日本会議系の政治家による反動的動きが、行政に介入して意思決定に圧力をかけるさまが、裁判によって露呈された。三井マリ子・浅倉むつ子編『バックラッシュの生贄ーーフェミニスト館長解雇事件』(旬報社、2012)に詳述されている。

「日本会議」に向かって闘いを挑んだ本:『バックラッシュの生贄』を読んで
インパクションに『バックラッシュの生贄』 (書評)
今も続く右翼的攻撃の楯となる本:『バックラッシュの生贄』を読んで
ベリット・オース「支配者が使う5つの手口」
館長雇い止めバックラッシュ裁判
男女平等を嫌う反動勢力の実像
館長交代「圧力に屈す」市に賠償命令 朝日新聞 第1面(2010年3月31日)
「豊中市批判的勢力に屈服」市施設めぐり大阪高裁判決「元館長の人格権侵害」朝日新聞朝刊(2010年3月31日)   





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by bekokuma321 | 2017-03-17 16:12 | ノルウェー

c0166264_11131865.jpg 11月21日(土)、ベリット・オースの「支配者が使う5つの手口」の講演がある。場所は、はるかノルウェーのオスロだから参加は無理だ。

主催者からのメールによると、参加希望者が余りに多く、1回だけでは無理だと判断して、ベリット・オースに懇願して2回目を新設したらしい。

ベリット・オースはノルウェー左派社会党の初代党首で、社会心理学者。1928年生まれ。おんとし87歳だ。

ベリット・オースは日本とも無縁ではない。「クオータ制」を女性政治家増に活用した世界初の政治家だからだ。今でこそ、クオータ制は、国連やEUなど国際機関の文書に取り入れられ、世界の多くの国で導入されているが、すべては、ベリット・オースの闘いから始まった。その意味で、日本でクオータ制を広めてきた人たちはみな、彼女の恩恵を受けていると言える。

ノルウェーで、クオータ制が政党綱領に明記されたのは、42年前の1973年。政党名は「民主社会党」(今はない)。党首はベリット・オース。ノルウェー初の女性党首だった。彼女は、他の小政党と統一リストをつくって、1973年秋の国政選挙で大勝利をあげた。1975年、民主社会党は左派社会党に吸収され、国会議員ベリット・オースは初代党首となった。その後、他の政党も、クオータ制をとりいれるようになり、ノルウェーは世界トップクラスの女性議員率の国となっていった。

c0166264_11144562.jpgさて、党首として政党内にクオータ制を根づかせた政治家ベリット・オースには、もう1つの顔がある。

女性の心理の奥深くに巣くっている「自信のなさ」の根源を外に出してみせる心理学者の顔だ。その有名な講和が「支配者が使う5つの手口」。英語でThe five master suppression techiniques. 

その「支配者が使う5つの手口」を、今週の土曜日、87歳のベリット・オースがオスロで講演するというのだ。あ~、飛んで行きたい。

ベリット・オースには数えきれないほどインタビューしてきた。ある日、「5つの手口は、この国(ノルウェー)ではほとんどとりあげられない。スウェーデンやデンマークの女たちは歓喜で迎えてくれた・・・」と私につぶやいた。

今や、世界中の言語に訳されて、無数の女性たちに、眠れる力をふるいたたせ、発言する力を持たせている。日本でも、「支配者が使う5つの手口」の全訳を読むことができる(『ノルウェーを変えた髭のノラ』明石書店 p85~p99)。

セクハラやパワハラにどうファイトバックするかの極意がつまっている。女性だけではなく、不当に貶められている男性にも役立つ。そう、男女平等度世界101位というスキャンダル解消には、最適の教材だ。

連載 クオータ制は平等社会への一里塚 第2回 それは政党の候補者リスト作りから始まった
ベリット・オース、80歳の闘い
ノルウェーで実践 男女比率割当制って?
あなたが自信をとりもどすために― ノルウェーを男女平等に導いた理論とパワー
ベリット・オース(オスロ大学名誉教授)からの手紙
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by bekokuma321 | 2015-11-19 11:23 | ノルウェー

11月7日、ベリット・オースの「支配者が使う五つの手口」が、ノルウェーの労働環境法研修サイトに新しくアップされた。

ベリット・オースは、「クオータ制」を世界で初めて実行したノルウェーの政治家だ。

1970年代、ベリット・オースは、民主社会党というミニ政党の党首に就任し、「党内の決定の場は女性と男性50%ずつにすること」と決定した。1975年、民主社会党は左派社会党に吸収され、ベリット・オースは、その左派社会党の初代党首となった。左派社会党は、「すべての決定の場は、どちらかの性が40%を下回らない」と決定した。

そのベリット・オースの「支配者が使う五つの手口」が、最近、息を吹き返している。

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昨日、「支配者が使う五つの手口」を載せたサイトは、ノルウェーのコンサルティング会社「労働環境センター」がつくったものらしい。働く場の人間関係をよくして、職場環境をよくしようという目的の会社で、対象は、雇用主から被雇用者まで幅広い。

「支配者が使う五つの手口」は、ベリット・オースが、60年代ごろの自らの屈辱的体験を、心理学で分析し、男性が女性を抑圧するときに使う方法を、5つにまとめたものだ。

女たちには勇気を奮い立たせ、男性には日ごろの女性蔑視的言動を気づかせる、すばらしい教材だ。

ベリット・オースがなぜクオータ制にこだわったかを教えてくれる貴重な小話だ、と私は読んだ。

70年代から、北欧諸国を中心に世界に広まった。アイスランドでは、ベリット・オースを招いて講演があり、その講演後、「女性党」が誕生したと言われている。1995年の北京国連女性会議に参加した私は、アジアの女性たちも、これを読んでいると知った。

「これを読めば、クオータ制がなぜ要るか、わかる」――クオータ制を広めようとしていた私は、90年代に英語版から和訳を完成した。しかし出版はかなわなかった。

c0166264_1110227.jpg2003年、ベリット・オースは、来日して日本のあちこちで、「支配者が使う五つの手口」を講演した。その時、日本人にわかりにくい部分をどう言いかえるかについて私と長い時間話し合った。こうして、新たに「支配者が使う五つの手口」が完成した。しかし、またも単独での出版は難しかった。

やっと2010年、日本で読めるようになった。『ノルウェーを変えた髭のノラ』(三井マリ子、明石書店)に、「支配者が使う五つの手口」として、全文を挿入できたのだ。全15ページ。

ベリット・オースも日本での刊行をたいそう喜んでくれた。中国語に堪能な息子に少し訳してもらった、本に掲載した写真(右)の表情が気にいった、と手紙をくれた。

日本のすべての働く女性、そして、すべての雇用主、政治家の必読文献だ。

【写真:上はデンマークの自治体が作成した冊子「支配者が使う五つの手口」の表紙。下はクオータ制の母ベリット・オース。どちらも『ノルウェーを変えた髭のノラ』(三井マリ子、明石書店)より転載】

Berit Ås’ fem hersketeknikker
Rachel Carson Prize for Berit Ås
ベリット・オース、80歳の闘い
クオータ制を日本にも
「現地ルポ 『ノルウェー民間企業の取締役は4割が女性!!』の背景を見る」
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~
連載「クオータ制」5 クオータ制が生んだ名物教授
連載「クオータ制」4 欧州連合EU議会は35%が女性
連載「クオータ制」3 インドの目標は33%
連載「クオータ制」2 それは政党の候補者リスト作りから始まった
連載「クオータ制」1 あの国でも、この国でもクオータ制
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by bekokuma321 | 2014-11-10 10:25 | ノルウェー

c0166264_16473391.png11月10日、ノルウェー国営放送NRKのネットニュースに、「政府の男女同一賃金は口先だけだ」という記事が載った。2人の女性の写真入り。「稀有な連合」と書かれている。

それもそのはず。一人は主要政党のなかで最も左翼の政党の初代党首ベリット・オース。かたや最も右翼の政党の党首シーヴ・ヤンセン。

イデオロギーは異なってはいるものの、2人の言い分はほぼ同じだ。「女性の賃金が低すぎる。ただちに上げよ」

ノルウェーの統計によると、ノルウェーの男女賃金格差は、男100に対して女85だ。この格差を解消するため、政府はリーケルン(同一賃金)委員会を立ち上げて検討してきた。労働組合も選挙の争点にあげたり、デモや広報で早期解決を世論に訴えてきた。子ども・平等・社会相は、国政選挙がある2013年までの賃金格差解消政策を国会に提出した。この提案は、以前と同じ内容に終始しており新しい具体策に欠けると酷評された。

この記事を読んだ日本人の私は、「政府よ、口だけでもいいから男女同一賃金を、と言ってほしい」、と思った。もち、政府とは日本の・・・だ。

笑いごとではない。政府男女共同参画局の統計(下図)によると、男100とすると、ノルウェー86.8、日本68.8である。この68.8という数字には、非正規や非常勤は入っていないことも注目すべきだ。女性の多くは非正規で働いており、それを含めたら、もっと数字は下がるはずだ。この数字でさえ、日本政府は、ILOから度重なる是正勧告を受けている。しかし、何一つーー口先でもーーやろうとしない。

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http://www.nrk.no/nyheter/norge/1.7869885
http://www.gender.go.jp/whitepaper/h19/gaiyou/danjyo/html/zuhyo/G_11.html
http://www.nrk.no/programmer/tv/kos_og_kaos/1.3603431
■Far from equal pay
http://www.nrk.no/nyheter/okonomi/1.7843531
Hun avslørte herskerne
■“取締役クオータ制”、ついにEUに
http://frihet.exblog.jp/16802719/
■ベリット・オース、80歳の闘い
http://frihet.exblog.jp/11292292/
■ベリット・オース(オスロ大学名誉教授)からの手紙
http://fightback.fem.jp/2008letter.html

■世界一住みやすい国ノルウェーに学ぼう!(さとうしゅういち)http://janjan.voicejapan.org/world/0911/0911243539/1.php
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by bekokuma321 | 2011-11-12 17:04 | ノルウェー

c0166264_1451369.jpg左は、先日、ノルウェーから届いた新年のハガキだ。「男女平等に向かって一撃を」とある。差出人はノルウェーの学者であり政治家のベリット・オース。

『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)を読んで、「ベリット・オースについて書いている章に感動した」と書いてきた人、言ってきた人がいる。書いた私も、とてもうれしい。

彼女こそ、クオータ制の母だ。ノルウェーを世界有数の男女平等社会にした先駆者と言っていい。

ベリット・オースは、社会心理学者。女性で初めてノルウェー政党の党首になった人として知られている。現在、左派社会党と名乗るその政党で、70年代にクオータ制を初めて取り入れた。女性の政治参画を確実にするためだった。

彼女の名を世界に広めたのは、彼女が生み出した「支配者が使う5つの手口」だ。女性を第2級市民にしている支配者のテクニックをわかりやすく5つに分類した。この5つを知った女性たちは、自分の自信のなさを打ち破る力がつく。『ノルウェーを変えた髭のノラ』p85―99、に紹介した。

80過ぎてもなお、ベリット・オースは、ノルウェーばかりでなく北欧諸国の大学や女性の集会の講演に飛び回る。
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by bekokuma321 | 2011-01-14 14:08 | ノルウェー

エッバ・ハスルン逝去

c0166264_23494135.jpgエッバ・ハスルンEbba Haslundが亡くなったことを、今日、偶然知った。享年91歳。

私の敬愛するベリット・オースの伝記『アスケールからの炎』(2008)を書いた小説家、脚本家だ。この本は、アスケールに住むベリット・オースの火を噴くような闘いの一生を友情とユーモアを交えて描いているのだという。昨年ベリット・オースの自宅にお邪魔した時、じき、その本が刊行されるのだ、とうれしそうに、私に話した。

「マリ子、私は80歳、エバは90歳。80歳の女性の闘いを、90歳の女性が描いているのよ」と、いたずらっぽく言った。2人は、それはそれは長い友情で結ばれていたのだという。そして、「エッバ・ハスルンのノルウェー語はとても易しいから、読めると思う。ぜひ翻訳しなさい」などとを言っていた。でも、それは無謀というもの。ノルウェー語の本を読めたらなんと素晴らしいだろう。

c0166264_2348164.jpgベリット・オースによると、エッバ・ハスルンは、偉大な作家であるだけでなく、政治家であり、フェミニストなのだという。保守党の議員だったというが、女性の権利では、左派のベリット・オースと同じ方向をめざしていたという。

そんなエッバ・ハスルンに、直接会って、いろいろ聞きたいことがあった。でも、もうお会いすることはかなわなくなった。残念だ。心から冥福をお祈りする。





関連サイト
http://frihet.exblog.jp/11292292/

上の写真はベリット・オースを祝う会に出席したスピーチをする、往年のエッバ・ハスルン。大きなサイズで見るにはhttp://www.hersketeknikker.no/turneapning.html

下の写真は、エッバ・ハスルン著『アスケールからの炎』。ベリット・オースの伝記だ。写真はベリット・オース。ベリット・オースは、2003年5月、大阪府豊中市の女性センター「すてっぷ」で講演をし日本の聴衆を魅了した。
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by bekokuma321 | 2009-11-12 23:44 | ノルウェー

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ベリット・オースは、昨年80歳の誕生日を祝った。

「あちこちから取材が舞い込んでくるんですよ。テレビ、ラジオ、出版・・・。学生たちは私の映画を作るという。そのたびに、あーあれは何歳のときだったかしら、えーとあれは何年ごろ・・・と家中を資料を探しまわります。80歳になって、若い人たちと、もう一度、人生を生き直しているような感じですね」

ベリットについての本は・・・。スウェーデンのジャーナリストAmi Lonnrothの手で『私はいつも怒ってる』。同じくスウェーデンの作家Anette Utterbackは、『ヴァイキングの娘』。本国ノルウェーでは、作家Ebba Haslundが『アスケールの炎』。自宅の壁には、Ami Lonnrothの手になる『私はいつも怒ってる』の表紙が掲げていた。Tシャツにたくさんの運動バッジをつけて、元気に怒るベリットだった。

ノルウェーの作家Ebba Haslundについて、ベリット・オースは言う。「私は80歳。エバは90歳よ。保守党シンパなんだけどフェミ二スト。私とは大の仲良し」。90歳の女性が、80歳の女性について本を書く。老後の暮らし方でもなく、介護や癌の本でもなく、いまだ燃え盛る闘う女性の生きかたについて。なんと刺激的なことよ。

そして、今春、ベリット・オースは、NIKK誌最新号の表紙を飾った。同誌によれば、彼女の本『世界の女たちーーー解放のためのハンドブック』の改訂版が発行予定だという。

ベリット・オースは1970年代、ノルウェー初の女性の政党党首となった偉大な政治家である。現左派社会党となったその政党で、党首をチェアマンではなくパーティリーダーと呼ぶようにしたのは彼女だ。ノルウェーの選挙制度を利用して、政党の決めた候補者リストから男性候補を消去して女性候補を当選させる大運動をした。クオータ制を初めて政党で実行し、女性議員を増やした。クオータ制は、その後のノルウェーの政治を変えた。このあたりは、『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』(毎日新聞社)に詳述されている。

オスロ大学の社会心理学の教授でもあった(現在名誉教授)。さらに平和運動家、EU反対運動家・・・。最も世界で知られているのは、ベリット・オースが生み出した理論「5つの抑圧テクニック」。女性を馬鹿にして自信を奪ってしまう男性のトリックを5つにまとめたものだ。女性たちが、自信をなくさせられている理由に気づくと、そこから力がモリモリついてくる、という。詳しくは、『女たちのパワーブック』(かもがわ出版)で。

2003年、来日して、大阪豊中市、武生市(現越前市)、高知市などで講演をした。講演では、「5つの抑圧テクニック」を英語で伝授し、日本の女性たちに政治進出を促した。日本にも大勢のファンがいる。講演内容は「"ご主人さま"の5大抑圧テクニック」としてまとめたものがHPで読める。講演後にベリット・オースの許可を得て、誰にもわかりやすく、とっつきやすいようにと編集加工に取り組みパネル化した。そのパネルは豊中市の男女共同参画推進センター「すてっぷ」に保存されている。

写真は、自宅の居間で「ノルウェーでも女性差別はまだまだたくさん」と語るベリット・オース。背後の女性像はタペストリー。彼女が創設し学長を務めた「フェミ二スト大学」に掲げられていたもの。数年前、赤字となって廃校に至った際、この1枚だけ持ち帰ったという。ベリットの家はオスロ郊外のアスケール

http://eng.kilden.forskningsradet.no/c52781/publikasjon/vis.html?tid=60650&strukt_tid=52781
http://www.hersketeknikker.no/
http://www.hersketeknikker.no/turneapning.html
http://www.ordfront.se/Bocker/Nyabocker/Forbannadarjagganskaofta.aspx

●ベリット・オース来日講演録「"ご主人さま"の5大抑圧テクニック」http://www009.upp.so-net.ne.jp/mariko-m/nor_030517report.html
●ベリット・オース理論「5つの抑圧テクニック」を基に作った男女平等パネルhttp://www009.upp.so-net.ne.jp/mariko-m/step_panel.html
●ベリット・オース来日を報じる毎日新聞(写真入り)http://www009.upp.so-net.ne.jp/mariko-m/nor_quota-system.html
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by bekokuma321 | 2009-04-10 00:21 | ノルウェー