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「『精神病院がなくなったら、私たちのほうが狂ってしまう』と、私に言った女性がいました」

こう言うのは、マリア・グラツィア・ジャンニケッダだ。

マリア・グラツィア・ジャンニケッダは、イタリア精神保健改革運動の生き証人。精神科医フランコ・バザーリア(1924-1980)が働いていたトリエステで、精神病院廃絶運動の渦中にいた一人である。昨年までサッサリ―大学社会学教授で、フェミニスト。先日、彼女の来日講演があった。

イタリアで、精神病院廃絶が始まったころ、「精神病院が閉鎖されます。○月○日、あなたの娘さんを迎えにきてください」というような手紙が当局から家族たちに届いた。多くの家族は、精神病院から自宅に戻されると知って驚き、精神病院閉鎖に猛反対をした。

マリア・グラツィア・ジャンニケッダは、そうした家族たちの集会に呼ばれた。そのとき、冒頭の発言が彼女に向かって投げつけられた。

女性解放を唱えてきたフェミニスト・ジャンニケッダにとって、精神病院廃止によって、母親、娘、妹、などが家族介護に縛られることは、あってはならないことだった。

「家族が家で世話をするのではなく、あちこちに地域精神保健センターをつくって、そこが責任をもって世話をする。この精神保健改革は、患者だけの解放ではありません。患者と患者の家族をともに解放するのです」と訴えた。

このとき、ジャンニケッダに強い反発をした、この女性は、その後、家族会運動にまい進していき、多くの家族をこの運動に引き込むリーダー的存在となっているという。引き込まれた女性の一人が、2010年来日したジゼッラ・トリンカスだ、とジャンニケッダは言った。トリンカスは、イタリア家族会連合会長、サルデーニャで精神障がい者のグループホーム経営に頑張っている。

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上のエピソードは、9月22日、東京大学駒場キャンパス講演会(イタリア語、日本語通訳付き)で披露された。ただ、裏方の仕事があった私はメモをとれていない。他の内容は後日、共催団体から広報される正確な報告を待ちたい。

さて、9月28日(水)、同大学石原孝二研究室で、マリア・グラツィア・ジャンニケッダの英語講演があった。簡単に報告する。

こちらのテーマは、イタリアの司法精神病院についてだった。日本では精神病院廃絶すら達成していないので、司法精神病院廃絶ははるかかなたの話だと思いながら聞いた。

イタリアの司法精神病院はOPGと略される。2011年から「なくせOPG」(STOPOPG)と呼ばれる市民運動の連合体ができ、廃絶に向けてネットワークを組んでいる。

c0166264_15574279.jpgイタリアでは長年の精神保健改革によって、1960年代末から精神病院の10万ベッドが少しずつ減らされ、1978年バザーリア法によって精神病院廃絶が強化された。このあたりは「大熊一夫著『精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本』(岩波書店)をみなさんが読んでいることを前提にします」と、ジャンケッダより発言があった。

精神病院がなくなったイタリアだが、刑法によって規定される司法精神病院OPGは残っている。法務省の管轄だ。6つ司法精神病院があり、そこの何千ものベッドは、常に満員状態(前著『精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本』p165~p175に詳しい)。

2006年から、EU加盟国以外からやってくる移民、難民の増加とともにOPGに入れられる人の数は増えてきた。「犯罪は、極貧状態、近くに頼れる仲間がいない、社会からつまはじきにされる、などによって引き起こされるのだから、当然でしょう」とジャンケッダは言った。

OPGは一部改革されたり、現存するOPGが閉鎖されたり・・・それに代わるレムズREMSと呼ばれる「安全策をほどこす住居施設」に移っている。とはいえ、法的根拠となる刑法の改正はない。つまり、世話と保護監督されなければならないと専門家によって認定された人は拘束される、とされている。ジャンニケッダは、REMSの快適そうな門構えと、その中で見た牢獄のような高いフェンスを見せた。

現在、司法精神病院6つのうち、3つが実態としてなくなった。最新統計では、司法精神病院に入院している人は269人。REMSには573人である。

新しく生まれたREMSは、司法精神病院と本当に違うのか。司法精神病院が減って、本当に拘留が減ったのか。もし拘留をしないとすると、精神を病む人で罪を犯した人はどう対処されるべきなのか――今、イタリアでは活発な議論がある。

この議論の根底を知るには、1978年のバザーリア法にもとづいた、イタリア精神保健改革に立ち戻る必要がある。と、ジャンニケッダは、そもそものバザーリア法をまとめた。

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イタリアの精神保健改革の第一は、精神病院の新設を禁じたこと。第二は、患者(と呼ばず「客」と呼ぶ)を地域精神保健センターで、支援しケアをするとしたこと。第三は、一般病院に最大15ベッドの精神科サービスステーションが新設されたこと。第四は、強制保健治療Involuntary Health Treatmentというものが生まれたこと。

この第四の強制保健治療は、他の病気と同様に法に規定されている。すなわち、治療は「人間としての尊厳、市民的、政治的権利を尊重して」「強制的保健治療をほどこされる人の同意と参加が確実とされたうえで」行われる。

強制保健治療は、公務員である精神科医を含む2人の医師によって要請される。命令を下すのは市長または市長代理である。さらに判事による認可が必要とされる。

強制保健治療は、利益優先をさけるため、私立の精神科で行うことは許されていない。公立一般病院の精神科サービスステーション、または地域精神保健センターでなされる。

しかも、強制保健治療は長くて7日間と決められている。延期される場合は、最初と同じように市長や判事による手続きを経なければならない。

「大事なことは、強制保健治療は、患者が社会に危険だから施すのではなく、患者が特別な支援(緊急対応:投薬管理、個室監督など)を必要としているから施される、ということなのです」

「精神科医には、その患者が危険であるかいなかを診断する義務はもうないのです」

イタリアの精神病院廃絶は、精神病を患う人たちを、自由と権利が付与された人間に復権し、法的位置に絶大な変化をもたらした。変わったのは患者だけではなく、患者の家族も変わった。さらに、精神科医の法的規定が変わった――バザーリアの娘と称されるマリア・グラツィア・ジャンニケッダは、こう結んだ。

最後に、FEM-NEWSとしてつけ加えたいのは、バザーリアの妻フランカ・ウンガロについてだ。彼女もフェミニストだ。カリスマ医師バザーリアゆえ、妻の業績は見えにくいが、彼女は作家であり、バザーリアの著作のほとんどすべてが妻との共著である。

また、夫の亡き後、フランカ・ウンガロは、国会議員に当選して、180号法(バザリア法とも呼ばれる)に対するバックラッシュ勢力と闘いつつ、精神病院を出た人たちをケアする地域精神保健センターをつくりあげる運動や、家族会運動の発展に寄与した。この妻と、マリア・グラツィア・ジャンニケッダは、制定されたバザーリア法がちゃんと施行されるよう運動を続けてきた(法ができることと、法が施行されることは別)。現在、マリア・グラツィア・ジャンニケッダは、「フランコ&フランカ・バザーリア財団」理事長。

【写真上:2016年9月22日、東大駒場キャンパスのホールにて。中央がマリア・グラツィア・ジャンニケッダ】
【写真中1:2016年9月22日、東大駒場キャンパスのホールにて。バックの写真がイタリアから精神病院をなくしたフランコ・バザーリア】
【写真中2:なくせ司法精神病院STOPOPG 運動のシンボルマーク】
【写真下:2016年9月28日、東大駒場キャンパスの18号館にて。左がマリア・グラツィア・ジャンニケッダ。「日本の精神病院における"任意入院"と、"措置入院"は想像できますが、"医療保護入院"というのは何ですか。想像できません」と強い語調で質問している】

映画 むかしMattoの町があった:全国各地にて自主上映会展開中!
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by bekokuma321 | 2016-09-29 15:40 | ヨーロッパ

11月7日、イタリア映画「むかしMattoの町があった」(*)を観ました。

「Mattoの町」とは精神病院の事。そこは、「自由はく奪、管理、隷属、抑圧」の集合で、治療の場では全くありませんでした。

1978年イタリア中の精神病院を廃止する新しい精神保健法(180号法)が、国会でほぼ全会一致で成立。精神保健改革の父、バザーリア医師の名で、バザーリア法とも呼ばれています。比べて日本の精神病院主義の構造は変わっていません。しかし、この映画の見事な表現力は、日本人をも変える力があると思いました。

精神医学界の第一人者金子準二精神科医(1890-1979)の言葉が、映画の後のトークで講師三井マリ子さんより紹介されました。三井さんは国会図書館で、「日本精神病院協会」創設者の1人、「東京精神病院協会」2代理事長である、金子準二の本を読んで見つけたそうです。彼は、著書でこう書いています。

「この種解放的婦人の精神状態については、幾多の意見もあるが、そのうちに幾割かの精神病的素質濃厚の婦人が混在していることには、精神病学者間に異論のないところである。ある学者は『解放的婦人は時代の産物であって、精神病的変質徴候である。』と評価しているのである。」(『現代犯罪の精神病学的研究』)

「現代の女権拡張論にも性欲異常と共存する精神病的素質に発した病的症状があり、犯罪精神病学的に、一種の偏執病と診断せざるを得ないものがあろう。」(同上)

「ヒステリーは男には女より少なくて、男1人に対して女5人の割合であるとの統計があるのであります。何れに致しましても、ヒステリーも精神異常でありますから犯罪とは常に深い関係があります。」(『女性と犯罪』)

これでは、フェミニストは異常で犯罪者になり得る素質があるかのようです。精神科医は、自分の理解を超える者に異常のレッテルを貼り格子付きの病室に閉じ込め本物の心の病人にすることが可能です。金子医師の論理でいくと、フェミニストである三井さんも私も精神病院に閉じ込められそうです。

フェミニズムを生きた女たちは、今も各界で活躍しているのは誰もがよく知ることです。男権拡張論者は、英雄色を好むと称賛されます。一方、金子医師によると、女権拡張論者は、精神病質者で偏執病とされてしまうのでしょうか。これこそ女性差別そのものです。しかも恐ろしいことに金子準二医師は、今も日本の精神医学界に強い影響を与えているらしいことです。

一般社会に目を移してみると、女性解放運動家を精神病だと言わないまでも、毛嫌いする傾向は依然として存在しています。

日本の男女平等度は145カ国中101位です。先進国で最下位です。女性の能力を生かすことは平和にも通じます。物事の決定権者に女性の割合を増すクオータ制度を進めていくことが必要ですが、女性の解放を否定的にとらえる人が減らない限り道は遠いのではないでしょうか。

立花 トシ子(クオータ制度研究会)

c0166264_956957.jpg (*)イタリア語Mattoは狂気を持つ人、Mattoの町は精神病院。イタリアは精神病院を廃止した。革命とも称される精神病院解体。そこに至るまでをドラマにしたイタリア映画。NHKにあたる公共テレビRAIで放映され、21%の高視聴率をあげた。今、世界中で自主上映されている。

上記映画会は、11月7日、八王子勤労者福祉会館が「女たち、女親の視点から」見ようと企画した。主催者によると、「三井マリ子さんは、バザーリア法を日本に紹介した大熊一夫さんと2010年4月、英語版の本映画を見て、日本上映のきっかけをつくった。誰にも感動と勇気を与えるこの作品を、女性の視点から見て、当事者のかかえる問題と社会の課題を考える」(上映会チラシ)。


映画「むかしMattoの町があった」を女性の視点で見て
映画「むかしMattoの町があった」と女たち
バザーリア映画を上映する180人のMattoの会
映画「むかしMattoの町があった」
精神病棟を使わずにクライシスに対峙するには
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by bekokuma321 | 2015-12-04 13:46 | ヨーロッパ

11月7日、私は、友人に誘われて、映画「むかしMattoの町があった」(*)を見ました。本当に良質の人間ドラマで、リアリティがあり、随所で号泣させられました。

おそらく誰にもmatto(狂気・狂人的)な部分はあるのです。時代や境遇によって“常識”は変化します。その常識から外れすぎたことが、精神病院への収容につながり、そこでは、人として当然の権利が奪われてしまうことも出てきます。

その不条理さを自分のこととしてとらえることができるか、そうでないかは、人によって分かれるところだと思います。できることなら精神病院という人権侵害システムを見て見ぬふりをしたいと思う、これもまた人間の正直な気持ちかもしれません。

しかし映画冒頭に伏線として描かれているように、己のmattoな部分を知っているフランコ・バザーリアとフランカ・バザーリアは、見て見ぬふりをしなかった。社会構造と闘った。精神病院に収容されている患者たちの人権のためでもあるけれど、自分たちのためだったかもしれません。

“誰か”を救うことは自分自身を救うことだと思ったからこそ、人権侵害システムを変える闘いに挑み続けることができたのだと、私は思います。

映画の中で、人間性を取り戻し、バザーリア医師のスタッフに加わった看護師ニーヴェスは、子どもたちと別れて住むという辛い選択を取らせられました。しかしその後、元患者のマルゲリータと女性同士で支え合って生きていこうとする場面には救われました。たくさん泣いたけれど、笑えたりほっとしたりする場面もたくさんありました。

人として憐れむべきは、看護師ニーヴェスの覚悟を理解できない夫であり、苦痛も感じずに精神病院の看守役をしていた医師や看護師たちではないかと思います。

さらに言えば、あの時代の精神病院に収容されていた患者の多くが精神的にも経済的にも第2次世界大戦の影響を受けていたことを考えると、まず今、この平和を守り続けていくための努力は決して惜しんではならないと改めて思うのです。

映画が終わって、三井マリ子さんと当事者の家族会の大石真弥さんがトークをしました。日本の精神病院の生々しい現状が語られ、それを「知ってしまった」責任を感じました。困難の只中におられる精神疾患の当事者の方、ご家族の方々に心からエールを送ります。

浅井 紀子(社会福祉士、クオータ制度研究会)


c0166264_956957.jpg (*)イタリア語Mattoは狂気を持つ人、Mattoの町は精神病院。イタリアは精神病院を廃止した。革命とも称される精神病院解体。そこに至るまでをドラマにしたイタリア映画。NHKにあたる公共テレビRAIで放映され、21%の高視聴率をあげた。今、世界中で自主上映されている。

上記映画会は、11月7日、八王子勤労者福祉会館が「女たち、女親の視点から」見ようと企画した。主催者によると、「三井マリ子さんは、バザーリア法を日本に紹介した大熊一夫さんと2010年4月、英語版の本映画を見て、日本上映のきっかけをつくった。誰にも感動と勇気を与えるこの作品を、女性の視点から見て、当事者のかかえる問題と社会の課題を考える」(上映会チラシ)。



映画「むかしMattoの町があった」と女たち
バザーリア映画を上映する180人のMattoの会
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精神病棟を使わずにクライシスに対峙するには
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by bekokuma321 | 2015-11-19 15:20 | ヨーロッパ

汚い衣類は家の中で洗え

I PANNI SPORCHI SI LAVANO IN FAMIGLIA

「汚い衣類は家の中で洗え」。イタリアの慣用句で、家の中の恥ずべき行為は外に出すべきではないという意味だ。

この慣用句を知ったのは、東京都北区で開かれた日本縦断トリエステ精神保健講演会だ。イタリアのマリア・グラッツィア・ジャンニケッダ(バザーリア財団理事長)は、11月の来日講演で日本へのメッセ―ジにこの言葉を使った。

70年代、バザーリアやその仲間たちは、精神病院内のすべてを赤裸々に外に放ち、精神病院改革への突破口をつくった。「汚い衣類」を家の外に出して見せたことを、当時、多くの精神科医は非難攻撃した。「汚い衣類は家の中で洗え」と。しかし、とマリア・グラッツィアはこう結んだ。

「このイタリアの慣用句は正しくありません。汚い衣類を家に隠しておいてはならないのです。外に出して、みなで一緒に洗うべきなのです。そうしてはじめて、同じ権利を持つ我々人間誰もが過ごしやすい世界を、作り上げることができるのです」

彼女は、こうして講演を終えた。このフィナーレに、満場の拍手が沸き起こった。

この理屈は、ドメスティック・バイオレンス(DV、家庭内暴力)の防止・根絶に日の光が当たらなかったころ、女性団体が使っていた理屈と同じだな、と思った。

かつて、夫や恋人から暴力を受けてきた女性たちは押し黙って耐えるだけだった。相談したところで、「家の中の喧嘩は犬も食わない」「家の恥を外に出して何になる。(女が)我慢すればいいことだ」と返されるのがオチだった。でも、時代は変わり、泣き寝入りしない女性たちが出てきた。思いきって声をあげた。こうして世界中で、DV問題の深刻さが話し合われた。2001年、日本にもDV防止法ができた。

差別偏見との闘いは、「汚い衣類」を家の外に出すことから始まるのだと思う。「箪笥の骸骨 A skeleton in the closet」という慣用句もある。欧米で広く使われている言葉だ。外に出したらマイナスになると恐れて隠している事柄を指す。バザーリアは、それを外に出そうと呼びかけ、精神病院院長時代に自ら実践した。

日本縦断トリエステ精神保健講演会は、紅葉真っ盛りの京都・真如堂でもミニ・シンポジウムを持った。これは非公開だった。その質疑応答の際、家族会の人が、「学者、ジャーナリストなどインテリは、自分の家族に精神障がい者がいるのにそれを表に出そうとしません。表に出さないのだから、家族会の仲間にも入会してこない」と、言った。怒りがこもっていた。

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by bekokuma321 | 2010-12-06 10:42 | ヨーロッパ

「日本縦断トリエステ精神保健講演会」
~マニコミオをやめたイタリアからのメッセージ~

第4 弾は長崎県諫早市。約450人が諫早市民センターに集い、イタリアの闘いと改革に耳を傾けた。午前10時半から午後4時半までの6時間の長丁場だったが、昼休みを除き席を立つ人はほとんどいなかった。準備運営は社会福祉法人南高愛隣会など。

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photo by Mariko Mitsui

講演者はジゼッラ・トリンカス、トッマ―ゾ・ロザーヴィオ、マリアグラッツア・ジャンニケッダのイタリア人3人に、大熊一夫の4人。内容は11月16日の東京11月17日の横浜市とほぼ同じ。印象に残った質疑応答部分に絞って簡単に報告する。

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by bekokuma321 | 2010-11-21 22:52 | ヨーロッパ

日本縦断トリエステ精神保健講演会が、来週スタートする。詳しくは、http://trieste.jp/

c0166264_12464146.jpg題して「マニコミオをやめたイタリアから精神病院をやめられない日本へのメッセージ」。講師は、フランカ&フランコ・バザーリア記念財団から、マリアグラツィア・ジャンニケッダさん (財団理事長、社会学者、女性)、 トッマーゾ・ロザーヴィオさん(精神科医、男性)、ジゼッラ・トリンカス さん(イタリア家族会連合会長、女性)。

イタリアは、精神病院をなくしてしまった。入院していた患者は、次々に外に出された。では、その後は? 何もしなければ、精神に障がいを抱えた人たちは路頭に迷う。一方、家族、とりわけ女たちは、家にもどってきた元入院患者のケアに苦しみ悩む。

だから、日本では「精神病院をなくす?いったいどうするんですか?」となる。私もそうだった。

イタリアではいったい何をどうしたのか? イタリアは、「精神保健センター」と呼ばれる、支援組織をあちこちに作った。24時間、365日でサービスを提供するところもあるという。

c0166264_2172645.jpgこうした夢のような改革の礎を築いたのは、フランコ・バザーリア(故人)だ。イタリアの精神科医で、バザーリア法と呼ばれる「精神病院をなくす法律」をつくった伝説の人だ。

来日するのは、70年代のトリエステで、バザーリアの運動を支援し、彼から薫陶を受け、今なお闘い続けているイタリアの人たち。とくに女性の立場から、精神病院のない国づくりに貢献をした、家族会運動の主、ジゼッラ・トリンカスさんの講演に期待したい。

今回の講演には、バザーリアの意志を次ぎ広める活動を担うフランカ&フランコ・バザーリア財団が、日本の実行委員会ととともに主催となっている。その財団のホームページが、一新された。

イタリア語がわからなくても、絵や写真がたくさんなので、とても見やすい。それに楽しい!深く知りたいという人は、バザーリアの闘いの歴史のページ、バザーリアの歴史的文書のページ、バザーリア学術賞についてのページをクリックすると、「図書館」に入り込める。

バザーリア学術賞は、第1回受賞者が大熊一夫記者、第2回はアメリカ・エール大学Larry Davidson教授と記載されている。賞金は2万ユーロ、約300万円。はじめに60%が、そして本の出版が具体化した段階で残りの40 %が支給される。



関係記事
■イタリア精神病院解体の裏にある女性パワー
http://frihet.exblog.jp/9980032/

■イタリアの第1回バザリア(バザーリア)学術賞が『ルポ・精神病棟』の著者、大熊氏にhttp://okumakazuo.com/index.php?url=basaria

写真上は、マリア・グラツィア・ジャンニケッダさん。バザーリアと70年代の変革の嵐を乗り切った。現在フランカ&フランコ・バザーリア財団の理事長。バザーリア賞授賞記念セミナーの際に撮影した1枚。

写真下は、フランカ&フランコ・バザーリア財団があるサンセルボロ島。ヴェネツィア本島から舟で行く。かつて、ここは島丸ごと巨大な精神病院だったという。今は、宿泊所つきの国際大学に大変身。ここで、第1回バザーリア賞記念講演と授与式が行われた。受賞者・大熊一夫に同伴した筆者による取材記録はイタリアの第1回バザリア学術賞が『ルポ・精神病棟』の著者、大熊一夫氏に

■Jan Jan News (イタリアの第1回バザリア学術賞が『ルポ・精神病棟』の著者、大熊一夫氏にhttp://janjan.voicejapan.org/culture/0806/0806250512/1.php
photoes by Mariko Mitsui
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by bekokuma321 | 2010-11-12 16:12

10月16日、千葉県市川市で国際セミナー「イタリアの精神科医療改革を知ろう!」が開かれました。精神疾患を持つ人々の社会復帰をめざす「NPO法人リカバリーサポートセンターACTIPS」と「NPO法人NECST」の主催です。

セミナーでは、イタリアから来日したバザーリア財団理事長のマリア・グラッツィア・ジャンニケッダさんとジャーナリストの大熊一夫さんが報告しました。その後、精神疾患を持つ当事者や家族との意見交換の場も設けられ、活発なやりとりがありました。

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今回のセミナーで、60年代のイタリアの精神病院解放運動とその後の地域精神サービスの誕生の背景には女性運動の影響があったことがわかりました。さらに、現在、右派政権による揺り戻しの動きに対しても、家族会に属する女性たちの抵抗運動があることを知らされました。行動するフェミニストでもあるマリア・グラッツィア・ジャンニケッダさんならではの指摘でした。

千葉県で社会的弱者の権利回復に頑張る堂本暁子知事が、このセミナーに聴衆として参加していました。熱心にメモをとっていただけでなく、時折カメラを出して撮影までしていた熱心さをそばで見て、感動を覚えました。
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ボランティアで通訳をして下さった女性2人の貢献なしには、この会の成功はありえませんでした。国際会議でもっとも重要な仕事は通訳です。イタリア人顔負けのダイナミックな身ぶりが魅力的です(右)。
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詳しくはインターネット新聞をhttp://janjan.voicejapan.org/living/0810/0810189690/1.php

写真上:休憩時間に千葉県の地域精神保健サービスについて話し合う3人。左からジャンニケッダさん、堂本暁子知事、伊藤順一郎さん(国立精神・神経センター 精神保健研究所 社会復帰相談部長)
写真中:パネリストの講演をメモをとりながら聞き、時折、カメラを向ける堂本さん
写真下:英語から日本語への通訳なしには、国際会議はなりたたない。パワフルな通訳(右側の2人)
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by bekokuma321 | 2008-10-22 11:33 | ヨーロッパ