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c0166264_1640819.jpg原発事故で避難した子どもたちが、避難先の学校でいじめにあっている。この「原発いじめ」ほど卑劣な行いはあまりないのではないか。

昨日の新聞もいじめにあった高校生の話を掲載していた。彼女は小6の時、福島から千葉に避難した。転校先で「福島に帰れ」「被曝(ひばく)者だろ」「放射能がうつる」などといじめられ、別の小学校に再び転校したという。

2月には、福島から愛知県一宮市に転向した中3の男子が自殺した。彼は、JR大阪駅前の商業施設から飛び降りた。「担任によって人生全てを壊された」などという「遺言」のメモが残されていた。

高校教員だった経験から言うと、韓国人など外国人を親に持つ子ども、成績の芳しくない子、運動神経のにぶい子などが、いじめのターゲットにされた。犠牲者は、集団とは異質である人たち、集団のなかの少数派だった。後を絶たないいじめの現実を見たら、原発避難者がいじめにあうことは予測できる。原発避難者は、究極の社会的弱者であり、少数者なのだから。

しかし、対策はとられなかった。事件が報道されてはじめて、教育関係者がカメラに向かって頭を下げる。何度このシーンを見たことか。しかし何度お辞儀したところで、いじめをなくそうという強い意志と具体的対策がなければ、いじめはなくならない。

「原発いじめ」は日本独特だろうが、いじめは世界中にある。ノルウェーも例外ではない。違いは、ノルウェーは、ニ度と同じようないじめ被害が起きないようにするための専門的制度を設けている点だ。

その名は「いじめオンブッド」ノルウェー語でmobbeombud(モボンブード)。

オンブッドとはオンブズマンのことだ。一方の性に偏らないようにとオンブズマンの「マン」をとった。

北欧では、法制度というものは独立した監視機関がなければ十分に守られないものだとされてきた。その機関は、個人が誰でもいつもでも簡単にアクセスできて、無料でなければならない。これがオンブッドだ。

たとえば、女性差別撤廃のために男女平等法ができても、差別された女性労働者が差別企業を相手に提訴することは敷居が高い。しかし、男女平等オンブッドになら相談を持ち込める。男女平等オンブッドは調査の結果、女性差別だと判断したら、差別企業に対して是正勧告をし、マスコミに公表する。社会的弱者に代わって、男女平等オンブッドという「裁判官」と「大臣」を足して2で割ったような強い権限を持つ国家公務員が動くのだ。

ノルウェーの場合、男女平等オンブッド(現在は平等・反差別オンブッド)だけでなく、子どもオンブッド(下の写真)、兵役拒否オンブッドなど5種のオンブッドがいて、それぞれが事務局に何人ものスタッフを擁して働いている。

さて、「いじめオンブッド」に戻る。先日、誕生した「いじめオンブッド」はオスロ市(県でもある)特別公務員で、保育園や学校のいじめを専門に扱うオンブッドだ。国の機関ではない。数年前、ブスケル―県(Buskerud)にノルウェー初の「いじめオンブッド」が誕生したと聞いた。今回は首都オスロだ。

オスロの「いじめオンブッド」第1号に選ばれたのは、小学校の副校長をしていたシェスティン・オ―レン(33。上の写真)。応募者116人の大激戦だったらしい。ちなみに、ノルウェーでは公的機関のポストはことごとく公募制だ。しかも応募者の名前や履歴は基本的にメディアで公表される。日本の”お友だち人事“や天下りとは大違いで、万人に公平に開かれる。

難関を突破したシェスティン・オ―レンは、やる気満々でこう語る。

「いじめオンブッドに選ばれて、とてもうれしいです。私はまず広報に力を入れます。いじめオンブッドとはどんなもので、誰がいつどんなふうにコンタクトをとれるのか、を広く伝えます。それから、生徒会と連絡をとって、いじめオンブッドがどう働けばいいかについて生徒会の考えを聞きます」

原発事故対策には膨大な予算がある。大手ゼネコンにだけ回さずに、もっと人のケアに投資すべきだ。上述のようなノルウェー「いじめオンブッド」にならって、「原発いじめオンブッド」 のような専門の監視機関設置などどうだろうか。

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Kjerstin Owren er Oslos nye mobbeombud
Hun blir mobbeombud i Oslo
ノルウェーの子どもオンブッド
ノルウェーの新「平等と反差別オンブッド」、決まる
ノルウェー地方選挙レポート2011 第1回 「女のクーデター」 再び -平等・反差別オンブッドは語る


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by bekokuma321 | 2017-03-27 16:44 | ノルウェー

今年、もっとも幸福な国に輝いたのは、ノルウェーだった。日本は51位で、昨年の53位よりは上がった。

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ノルウェーは、FEM-NEWS記事の大部分を占める。筆者は日本で女性差別と闘いつつ、20年以上ノルウェーの男女平等や福祉を追いかけては、そのしくみや実例を本などで紹介してきた。思うに、ノルウェーの幸福は、男女平等と不可分である。


国連「世界幸福度レポート World Happiness Report」は、つまるところ、どれだけ多くの国民が自分の人生に満足しているかを調べたものである。重要な調査項目は「人生を選択できる自由」と「社会的支援」である。


「人生を選択できる自由」―――女性が自分の人生を選択できる社会って? まず女性に経済力がなければならない。性による賃金格差のある社会、結婚によって姓を変えなければならない社会、結婚・出産した女性が職場を去らざるをえない社会、女だからと排除されたり片隅に追いやられたりする社会で、女性が経済力をつけるのはきわめて難しい。


もうひとつ 「社会的支援」―――女性が満足のいく人生を送るには、公的サポートが不可欠である。そのためには法制度がなくてはならず、国会や地方議会に女性議員がCritical mass30%以上)いなくては話にならない。ノルウェーは国会も地方議会も、女性議員はほぼ4割を占める。

日本の保育園不足を見よ、だ。ちなみに日本の国会(衆院)の女性議員はわずか9%、世界163位の低さだ。それに女性議員の一人もいない「女性ゼロ議会」は全国約370にのぼる。


幸福度世界一の国ノルウェーは、いま保守中道政権だが、前は中道左派政権だった。当時の首相はイエンス・ストルテンベルグ(労働党)。彼が国民に訴えた新年のスピーチが忘れられない(2011年)。


「ノルウェーの豊かさは、多くの人が仕事につくことによって成し遂げられました。ノルウェーが他の国と異なっているのは、おびただしい数の女性たちが経済活動を選んでいる点です。ノルウェ―は石油があるからラッキーだといわれています。それは間違いではありません。しかし、もっと重要なことがあります。それは、ノルウェーは、ノルウェー女性がいるからラッキーなのだということです。より多くの人が働くーーこのことがノルウェーの豊かな福祉につながっているのです」


【写真は、オスロの職場でフルタイムで働く5人の子どもの母親ヘッレ・チュン。撮影当時、6人目の子どもがおなかにいた。父母ともの育児休業制度、保育園・学童保育園などの社会的支援が充実しているノルウェーだからこそ、彼女はフルタイム職にありながら、6人の母親になる人生を選ぶことができた、と言える】

World Happiness Report 2017
ノルウェーのワーキング・マザー
「ノルウェーが幸運なのはノルウェー女性がいるからだ」―首相
シングル・マザー、107倍の難関に合格
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
世界で母親がもっともハッピーな国ノルウェー




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by bekokuma321 | 2017-03-23 00:07 | ノルウェー


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「戦わなければならないことが多すぎますね」――201738日、国際女性デーを記念する新聞に載ったベリット・オースのことばだ。


88歳のベリット・オースの闘いは、今なお続いているようだ。オスロ大学名誉教授(社会心理学)。ノルウェー初の女性の政党党首に就任した1970年代、クオータ制を初めて実行した。

クオータ制とは、決定機関や立候補者の少なくとも40%を女性にするしくみだ。これによってノルウェー女性の政治参加は爆発的に進んだ。日本にクオ―タ制を私が紹介したのは80年代だった。今ではクオータ制は、世界中に伝播している。


ノルウェー紙によると、女性デ―にあたって、ベリット・オースは若い人たちへ「女性への虐待、女性の貧困、女性器切除について膨大な調査が出ています。それらを読みなさい」とアドバイス。さらにノルウェーでは、貧富の差ーー女性に極端に貧しい人が多いーーが拡大しているにもかかわらず、どの政党もそれへの対策がないと批判する。


さて、ベリット・オースは、大阪府豊中市にやってきたことがある。いま森友学園事件で話題の豊中市だ。


私が豊中市男女共同参画推進センターの館長をしていた2003年のことだった。愛称「すてっぷ」。男女平等を地域のすみずみに浸透させるために、豊中市が阪急豊中駅前に創立した施設だ。初代館長は全国公募だった。応募したら、幸いにも採用された。


私は、20代から女性差別に敏感に反応し、それに対して闘ってきた。豊中にも、男女不平等社会を変えたいと願う女性たちが大勢いた。そんな市民を下から支えていこう。私は120%努力した。ベリット・オース講演会も、その一環だった。「すてっぷ」の台所事情を話したら、旅費を負担して来日してくれた。彼女は、豊中のあと、名古屋、高知、福井などを講演して回り、聴衆をとりこにした。メディアも大きく取り上げた。


しかし、豊中市議会には、私を嫌っている人たちがいた。日本最大の極右組織といわれる「日本会議」につらなる議員たちだった。


議会には、「教育再生地方議員百人と市民の会」代表の議員、神社本庁と関わる議員、塚本幼稚園卒だという議員らがいた。彼らは、議会質問の名のもとに、「ジェンダーフリー」を議会で攻撃した。その執拗さに、行政は頭をたれておどおどするばかりだった。


日本会議系の議員の唱えるあるべき男女とは、こういうものだ。TVニュース番組での発言を引用する。


「オスとメス、男と女というものは、有史からずっとこうあるわけですから、男性は男性としてきっちりと小さなうちから男性の自覚というものを育ててゆく、女性は女性としての自覚を育てていく」(北川悟司市議)


「もっともっと女性は、家庭を、子どもを大切にして、いい子どもを、つくってください」(北川悟司市議)


「女性が家庭を維持する大きな役割を担う。これ当たり前じゃない。世の中で一番すばらしいことは、愛する子どもを育てることです。一人の女性の人生のなかにこのことがなかったら、社会自体も存続しません。女性が安心して、そうできるように、男は、ある意味、命を捨ててでも働くということなんです」(西村真悟衆議院議員)


「すてっぷ」への妨害行為や図書室蔵書の非難、市役所周辺での悪質な嘘のビラ撒き、私の講演会における集団での難癖、根も葉もないうわさの流布。山谷えり子や高橋史朗を「すてっぷ」近くの会場に招いて「ジェンダーフリー反対」の講演会をシリーズで催す。


攻撃のピークは、夜の市役所での3時間にわたるどう喝だった。議員は、「すてっぷ」の1年前の内部資料を手に、これは人権侵害だと怒鳴り散らした。テーブルをバーンと強打した。こうした日本会議系議員らの執拗な言動に屈した豊中市幹部によって、私は首になった。


不当な首切りだと考えた私は、豊中市らを提訴した。1審は敗訴だった。失意のどん底にあった私を励ましたのは、豊中市民たち(木村真議員も)や国内外の友人たちだった。私は控訴した。そして高裁で勝訴! 裁判長は、地方自治体の政策に対する右翼議員らによる陰湿きわまりない圧力をあますことなく断罪した(注)。

ノルウェーから、私を励ましてくれたのは、ベリット・オースだった。彼女の2008年の手紙は、男女平等の敵は好戦的な家父長制であると、日本会議の特質をズバリ見抜いていた。




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▲ベリット・オースからの手紙(原文は英語)


【注】 日本会議系の政治家による反動的動きが、行政に介入して意思決定に圧力をかけるさまが、裁判によって露呈された。三井マリ子・浅倉むつ子編『バックラッシュの生贄ーーフェミニスト館長解雇事件』(旬報社、2012)に詳述されている。

「日本会議」に向かって闘いを挑んだ本:『バックラッシュの生贄』を読んで
インパクションに『バックラッシュの生贄』 (書評)
今も続く右翼的攻撃の楯となる本:『バックラッシュの生贄』を読んで
ベリット・オース「支配者が使う5つの手口」
館長雇い止めバックラッシュ裁判
男女平等を嫌う反動勢力の実像
館長交代「圧力に屈す」市に賠償命令 朝日新聞 第1面(2010年3月31日)
「豊中市批判的勢力に屈服」市施設めぐり大阪高裁判決「元館長の人格権侵害」朝日新聞朝刊(2010年3月31日)   





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by bekokuma321 | 2017-03-17 16:12 | ノルウェー

ノルウェーの移民政策

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ノルウェーは、今秋9月、国政選挙を迎える。

選挙は比例代表制だ。1年ほど前から政党は、候補者リストを公表し選挙に備える。有権者は、候補者ではなく政党を選ぶ。どの政党に投票するかは自分の政治信条や政党の政策などで決める。「知り合いが◎◎党だから」という人もいる。

2015
年の地方選では、移民・難民政策に厳しい右派政党が票を減らした(日本の地方議会は“無所属”が多く政党別に統計はとりにくいが、ノルウェーは地方議会も政党政治であり、ほぼどの議会にも平均5つか6つの政党から議員が出ている)。

上記は、20171月に書いた原稿。当時の世論調査によると、寛容な難民政策をとる左派中道政党の人気が高かった。つまりノルウェーはいま右派中道政権だが、今秋9月には政権が交替しそうな雲行きなのだ。

【原稿は、「Voice(なくそう戸籍と婚外子差別・交流会通信)第216201712月号」】


子どもたちがはぐくむ平等と包括教育
イラク移民の少女が国会議員有力候補になれる国
ノルウェー国王のスピーチ録画、277万回再生される
難民、ノルウェーと日本
難民体験学習をするノルウェーの若者
ノルウェーの難民と“児童婚”
ヒジャブ着用をめぐる論争
難民問題
非暴力の出番
ノルウェーの難民・移民政策
新年の報道:ノルウェーと日本
イスラム風刺漫画を擁護する女性作家








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by bekokuma321 | 2017-02-23 15:05 | ノルウェー

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ノルウェー・ノーベル委員会のカ―シ・クルマン・フィーべ委員長が亡くなった。まだ65歳の若さ。乳がん治療中だったと報道されている。

彼女は、1990年代初頭、ノルウェーの保守党初めての女性党首に就任した。現首相は、フィーベ委員長に次いで2人目の保守党女性党首となる。

20年以上前、フィーベ委員長が国会議員として活躍していた頃、オスロの国会議事堂まで出かけて行ってインタビューしたことがある。前髪をヘアピンで留めた女学生のようなヘア、黒のセーターにベージュのスラックス姿だった。英語よりもフランス語が得意らしかったが、私のために英語で応じてくれた。

『ママは大臣 パパ育児――ヨーロッパをゆさぶる男女平等の政治』(明石書店、1995)p216~p223から、要約して紹介する。

取材の主な目的はEU加盟問題と女性。当時、ノルウェーは、政府がEU加盟を申請していたにも関わらず、国民はEU加盟に反対だった。ノルウェーでは、国民に影響を与える重要政策は国会で決定されても、国民投票にかけることになっていた。加盟か非加盟かをめぐって、国を二分する闘いをしていた。

反対派の主導権は女性が握っていた。彼女たちは「高い福祉、高い女性の地位は、長年ノルウェー人が闘い取ってきたもの。EUは、経済競争のため加盟国に減税を強いている。減税でどこが削られるか。保育や介護など福祉分野だ」と主張した。

それに対して、EU加盟派のスポークスパーソンのカ―シ・クルマン・フィーベは、私に賛成理由を語った。

「福祉を公的負担で賄うことには賛成です。しかし、問題は、高い福祉は、経済力がなければ維持できません。ノルウェー経済を支える石油からの収入は、今後減ります。これからの経済は、国際市場へのアクセスなしには伸びません。それはEUに入ることによって強まるのです」

心からお悔やみ申し上げます。

ノーベル平和賞

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by bekokuma321 | 2017-02-20 21:04 | ノルウェー

ノルウェーから、久しぶりにクオータ制に関するニュースが届いた。


報道によると、オスロ大学とベルゲン大学は、クオータ制を男性に採用するよう教育省に提案した。2017年度中に、男女平等法改正案を出すことを要望している。


大学のクオータ制は、長年議論になっていた。というのも、大学入学者は女性が多く、とりわけ心理学における男子学生の少なさが問題となっていた。たとえば、オスロ大学心理学部は、女80%、男20%、と極端に女性が多い。両性の不均衡を改正するには、男性のクオータ制を導入しかないと指摘されていた。


そこで、数年前、少なくとも30%は男性に割当てるようなクオータ制が提案された。論争が続いた。そして昨年、教育省は、男性へのクオータ制導入は、男女平等法のクオータ制の趣旨に反するとこの提案を却下した。ノルウェーの男女平等法は、男女平等と女性の地位を上げることを目的とする、と明記され、女性へのポジティブ・アクション法といえるからだ。


大学側は、時代は変わったと言い、あらためて男女平等法の改正にチャレンジした。社会のすみずみまで男女平等を行き渡らせようという、指導者たちの姿勢に感銘を受ける。



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▲オスロの港から海を見つめるアースタ・ハンステーン(1824-1908)。女性解放運動家、画家、小説家。伝記によると彼女は聖書にある女性像や家父長主義を批判する文章を新聞やチラシに数多く書いた。当時、彼女の考えは受け入れいれられず嫌がらせの対象だった。失望してアメリカに移住。9年後に帰国してからは、さらに女性解放運動に磨きがかかったと言われる。


Vil endre loven for å kvotere inn mannlige studenter
大学のクオータ制





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by bekokuma321 | 2017-02-14 17:55 | ノルウェー

LGBTのみなさん、あなたが働くには、ノルウェーが最高!

こんな調査結果が1月27日、The Localで報道された。

差別を禁止する法律、職場の規則、住宅への公平な入居、失業率、可処分所得などを調査して、ヨーロッパ43カ国を比較した。

「これまでもLGBTに関する調査はあったが、観光や旅行で行くならどこがいいか、というものだった。今回の調査は、働くにはどこがいいかに主眼を置いた」と調査機関 Expert Market はいう。

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▲ノルウェーのオーモット教会で結婚式をあげるハッピーな2人。Synnøve Sakura Heggem牧師(中央)は、教会が同性の結婚式をあげることを認めなかった時から、一貫して、認めるべきだと運動してきた。同性カップルも教会で式をあげるられるようになったのは2016年春から。ノルウェーが同性婚を法律で認めたのは2009年1月(写真提供Synnøve Sakura Heggem)

Why Norway is the best country for LGBT workers
Norway to allow gay church weddings
ノルウェー、性自認を自己決定できる新法可決
フランス、同性婚を合法に
世界初の同性婚から10年
保育園の教材に同性愛登場
アメリカのバーモント州議会、同性婚法を可決
ノルウェー新婚姻法 追記
ノルウェー新婚姻法
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by bekokuma321 | 2017-01-31 13:48 | ノルウェー

ノルウェーは、今年も世界一の民主主義国に輝いた。民主主義インデックスと呼ばれる指標で、上位にはノルウェーをトップに北欧諸国が並ぶ。

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イギリスのエコノミスト誌の調査機関 Economist Intelligence Unit による調査。棒グラフ作成はFEM-NEWS。

調査は、世界167カ国を、5つのカテゴリー別にいくつかの項目を10点満点で採点する。総合得点にしたがって、「完全な民主主義」「不十分な民主主義」「混成政治体制」「独裁体制」の4つにクラス分けする。

日本は、「不十分な民主主義」クラスの仲間だ。しかし、前年の23位より順位をあげて20位となった。日々報道される政治ニュースから、20位は高すぎるのではないか、と私は思う。

噂の「アメリカ ファースト」の国 USAも日本と同じ、「不十分な民主主義」クラス入りとなった。日本とほぼ同じ得点で20位から21位に落ちた。

5つのカテゴリーの質問を簡単に和訳する。

① 選挙過程と多元主義 electoral process and pluralism:
「国会議員選挙、首相選挙、地方議会選挙が自由に公平に行われているか」「政党の政治資金の出し入れは透明であるか、かつ一般に受容されているか」など12項目

② 政治機能 functioning of government:
「自由選挙で選出された代表が政策立案にたずさわっているか」「国会が、他の行政機関よりも上位にある最高の議決機関であるか」など14項目

③ 政治参加 political participation:
「投票率」「少数民族や少数派があげた声が政策過程に反映されるか」「国会議員における女性の割合」「政党や政治団体への参加率」など9項目

④ 政治文化 political culture:
「安定した機能的な民主主義を支えることに世論は合意しているか」「議会や選挙を無視するような強いリーダー像を望んでいるか(筆者注:望む文化だと減点)」など8項目

⑤ 市民的自由 civil liberties:
「インターネットや新聞を含むメディアが政治権力に支配されないか」「労働組合を自由に組織化できるか」「異なる政治的意見が公開で自由に議論されているか」など17項目

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 ▲ノルウェーの国政選挙風景。市民が集まるマーケット通りにテントが並ぶ。そのテントが政党の選挙事務所。テント前で政策論争が行われる。比例代表制選挙であり、有権者は政党を選ぶため、どの政党も政策の違いを鮮明に出す。日本のような宣伝カーやスピーカーでの連呼はない。供託金という概念すらない。また候補者にはただの1円もかからない。

トランプ効果
高校生も立候補するカネのかからない選挙
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
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by bekokuma321 | 2017-01-28 19:41 | ノルウェー

あけましておめでとうございます。

FEM-NEWSは、世界中から届く女たちのニュースを和訳して届けるブログです。編集責任者は三井マリ子です。

2017年のロゴ写真は、ノルウェーの画家クリスチャン・クローグ(1852-1925)による絵「アルバーティン」の一部にしてみました。少女アルバーティンが、性病検査のために警察官に促されて医務室に入ろうとしている瞬間が描かれています。

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 ▲「アルバーティン」(1887年)。画面を占める派手な衣装の女性たちは売買春婦

作家でもあったクローグは同時に「アルバーティン」という同名の小説を表し、女性が貧しさゆえに売春婦とならざるえない社会を告発しました。アルバーティンは、貧しいお針子である母を助けて朝から晩まで働きますが、金はすべて病気の弟の薬代に。ある日、警察官に騙され酒を飲まされて強姦されたアルバーティンは、売春婦の道に入っていきます。

本は、道徳心を損なうからと発禁処分。それに怒ったジャーナリストは大衆の前でその内容を伝え、新聞では売春問題について大論争が展開されます。それが絵画の人気を高めることとなり、公娼制廃止は国を揺るがす大きな運動に発展していきます。首相は、ほどなく公娼制廃止に踏み切ったとされています。

私は昨秋、オスロの国立美術館でこの絵の前に立ちました。現在もいる、おびただしい数の「アルバ―ティン」のことを思いながら・・・。

1928年、私と同じ場所に立って、この絵を鑑賞した日本女性がいました。久布白落実(1882-1972)です。当時の日本は公娼制が野放しでした。女性には参政権がありませんでした。そんな社会を変えようと、久布白は運動していました。そんな彼女が、ノルウェーの公娼制は1枚の絵に触発された市民たちの運動によって崩れ去ったことを知ったのです。

帰国した彼女は、女性参政権運動にのめりこみます。秋田市民1000人を前に「第1回 公娼廃止大演説会」で講演。翌1929年再び秋田入りして、秋田県初の女性参政権を要求する講演会で「公娼問題よりとき伏して、婦人参政権の必要なることを力説」します。彼女から影響を受けた人の中に、女性運動家和崎ハルがいました。後にハルは、戦後初の女性代議士39人の1人となります。

c0166264_9555847.jpg私が、ノルウェーのクオータ制を初めて日本に紹介したのは1980年代です。女性を政策決定の場に増やして、男女平等社会にしたいと思ってのことでした。

その後、ノルウェーの政治・福祉制度に関する書籍を刊行し、講演もしてきました。今も、女性やマイノリティを議会に増やさない限り民主政治はないと思っています。

ただ衆院選を経験した私は、「小選挙区制はクオータ制という種をまく土壌にふさわしくない」と確信できます。ここにメスを入れなければ、と考えるようになりました。そのモデルは、100年ほど前、小選挙区制から比例代表制に変えた国、ノルウェーです。

さて私は、東京都立高校教員を経て東京都議会議員(2期)。法政大学講師から大阪府豊中市男女共同参画推進センター初代館長、福井県武生市初代男女平等オンブッド(オンブズマンのこと)などの職を経てきました。そのかたわら、NGO「全国フェミニスト議員連盟」を中心に女性運動を続けてきました。お茶の水女子大学を卒業した後、フルブライト奨学金をいただいて、アメリカのコロンビア大学でMAを修了しました(家族・地域教育学)。

東京都議時代、東京都労働局にセクシャルハラスメント防止施策を初めて実施させました。当時、ILOから発行されたセクシャルハラスメントをなくすための政策についての国際調査報告書によると、日本で初めて、唯一の公的制度でした。東京都のセクシャルハラスメント政策は、全国の自治体に影響を与え、次いで国のほうも関心を持つようになりました。『セクハラ110番』(集英社)に詳述されています。

著書は
『バックラッシュの生贄――フェミニスト館長解雇事件』(共編著、旬報社)
『ノルウェーを変えた髭のノラーー男女平等社会はこうしてできた』(明石書店)
『女たちのパワーブック』(ノルウェー労働党女性局編)(共訳、かもがわ出版)
『ママは大臣 パパ育児ーーヨーロッパを揺るがす男女平等の政治』(明石書店)
『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』(毎日新聞社)
『セクハラ110番』(集英社)
など多数。

記事についてのご質問・意見や、講演・執筆のご依頼は、mariko-m(a)qa2.so-net.ne.jp までお気
軽にどうぞ。(a)をアットマークに変えてください。

2017年のある日の、あるひとときのあなたに、FEM-NEWSがお役に立てたら、うれしく思います。
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by bekokuma321 | 2017-01-03 23:19 | FEM-NEWSについて

c0166264_3103788.jpg12月7日、京都の丸太町まで出かけて行って三井マリ子さんの講演会を聞いた。

会場となったハートピア京都に早めに到着したので、回りを見ると、精神の病を持つ人への偏見をなくそうという“シルバーリボンキャンペーン“のグッズや、小物、漬物、コーヒーなどが販売されていた。聞けば、主催をした、精神にハンディを持つ人たちが生きやすい社会を目指すボランティア団体「風のリンケージ」の人たちの活動の一環だという。

三井マリ子さんは、「こころのバリアフリーをめざして:ハンディをハンディと感じさせない社会へ」という講演をした。

「バリアフリー」を体現している社会だと三井さんが考えるノルウェーで撮影した写真を見せながらハンディを抱える人がハンディを感ぜずに暮らすために必要なサポートシステムを紹介していく。

三井さんは、ハンディをハンディと感じさせない社会にするには、サポートシステムも必要だが、差別・選別・決めつけをしない価値観を多くの人々が持つことではないかという。では、その価値観は、ノルウェーでは、どのようにして醸成されるのか。

重要なのは教育だと三井さんは言い、その基本は、小学校から大学まで無償であることだと強調した。ノルウェーの教育法では、男であるか女であるかを問わず、ハンディのあるなしにかかわらず、どこの出身であろうと、どんなに障碍を持っていようと、誰もが公平・平等に無料で、同じ教育を受ける権利があるとされている。

だから、ノルウェーに「支援学級」「養護学校」は存在しない。ハンディを持つ子と持たない子を分けることなく、同じ学校で、同じ教室で、皆が一緒に授業を受けるのだという。それぞれのハンディに必要なサポートは補助教員がつくことで、他の生徒たちといっしょに学校生活を過ごす。

さらに小学校は、生徒にテストで選別することはなく、通信簿というものがないのだという。高校教師だった三井さんは、ノルウェーのこの選別しない教育を初めて知ったとき驚いたらしいが、私も本当に驚いた。

初等教育での、公平・平等な体験が、差別・選別・決めつけはいけないという価値感を育成していき、その後のハンディを取り除く政策への税金投入を是とする人々を増やしているのではないか、と三井さんは言う。

誰も、長い人生で何度かハンディに出会う。

生まれた時から心身に重いハンディを持つ子ども、シングルマザーになった母親、妊娠・出産した大学生、うつ病を発症した首相、一人で暮らせなくなった高齢者などなど。5人の子どもの母親でありフルタイムで仕事をする女性は、出産のたびに「産休・育休」を取るわけだが、「またか、などと職場で嫌みを言われたりしないか」と三井さんが尋ねたら、意味が理解できないようだったという。三井さんは、「育休は男性社員もとるし、当然の権利ですから」と言われたそうだ。

最後に、ノルウェーの市議会議員の写真を見せて、それぞれの職業を三井さんは示した(ノルウェーの地方議員は通常の仕事や学業を続けながらの無給ボランティア)。その職業の多彩さだけでなく、看護師、教員、ケアセンター施設職員など、人の世話に関する職業が多いこと。

手厚い福祉政策を制度化して、予算をつけていけるのは議員だ。バリアフリーの実現のためには、「ハンディをハンディと感じさせない社会」をつくろうと考える議員が議会にいなければいけない、と三井さんは語った。三井講演の締めは、やっぱり選挙だ! 選挙はチャンス! そう思うと、選挙もまた楽し、である。

大きく違うノルウェーと日本だが、「ハンディをハンディと感じさせない社会」を目指し、前を向いて進んでいこう!という気になった。

岡田 ふさ子(さみどりの会* 事務局)
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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった


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 ▲1位ノルウェー、最下位日本。公的教育への支出比較(OECD)[三井講演パワーポイントデ―タ]

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by bekokuma321 | 2016-12-12 03:23 | ノルウェー