アメリカのピザチェーン会社社長で政治家ハーマン・ケインは、「大統領への立候補を保留します」と宣言した。彼は、オバマ大統領に対抗する、共和党の有力候補とみなされていた。

彼の言い分は、セクシャル・ハラスメントに加え、長年愛人関係にあったという“虚偽”の訴えにより、家族が苦しめられ続けているから、というものだ。

アトランタの実業家ジンジャー・ホワイトが、「14 年間、愛人関係にあり、(彼が大統領立候補宣言の直前)8カ月前まで続いていた」と告白。関係が始まったとき、彼女は未婚だった。しかし、彼は既婚だったため、「不適切な関係だとわかっていた。しかし、退屈な日常から離れられ、エキサイティングだった」と心情を吐露した。ラスベガスに旅行をしたり、プレゼントも続いたという。

彼女が公開にふみきったのは、大統領選へのプロセスにおいて、彼からセクシャルハラスメントを受けた被害女性たちの訴えをうそつきよばわりした彼の言い分を知ったことや、薄汚くメディアで報じられる前に自分の言葉で事実を言うべきだと考えたからだ、という。すでに、二人の間の膨大な電話通信記録がメディア側にわたっている。

それに対して、ケインは、ジンジャー・ホワイトと長年知り合いであることや、妻に知らせず彼女の家賃など生活費の一部を援助していたことを認めた。しかし、そうした関係にあることは認めなかった。

報道によると、彼からセクシャル・ハラスメントをされたという女性は、何人もいる。実名を出した4人目の女性は、失職したばかりのときで、彼の性的嫌がらせに拒否する反応をしたら、彼は就職をほのめかしたという。彼は、全米レストラン協会会長だった。

一方、彼は、女性たちを「嘘つきだ。そんなことは絶対ありえない。していない。いやがらせキャンペーンだ」と批判したと報道されている。

http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-16019624
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-15931959
http://www.myfoxatlanta.com/dpp/news/ginger-white-claims-affair-herman-cain-20111127-es
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by bekokuma321 | 2011-12-04 10:36 | USA

IMFのドミニク・ストロスカーン専務理事は、100万ドル(約1億円)の保釈金を提示したが、保釈を拒否された。彼は、留置施設からライカーズ島刑務所に移送される。

保釈拒否の決定したのは、マンハッタン刑事裁判所裁判長メリッサ・ジャクソン(女性)。彼女は、彼に逃亡の恐れがあると判断した。

法廷の裁判の様子が、動画で世界中に配信されている。白いシャツに黒のコートをはおった無精ひげのストロスカーンも、目の前で見ることができる。私は、今年1月、6年半の裁判を闘い最高裁で勝利した。その過程で、日本の司法はなんて市民感覚と離れていることよと実感した。写真撮影さえ許可されない日本の法廷。それと比較し、アメリカの裁判所ではテレビ撮影まで許されている。その公開度にあらためて驚いた。

さて、世界のメディアは、日本の原発報道を吹き飛ばしIMFトップの性犯罪に移っているが、この事件もまた起こるべくして起きた。

ストロスカーンがIMF専務理事に就任しまもない2008年、ハンガリー人経済学者(女性)に地位を利用して性的嫌がらせを繰り返していたという事件が起きている。http://frihet.exblog.jp/16333215/で紹介したピロスカ・ナギィだ。

ナギィは、このセクシャル・ハラスメント事件に関する公的なコメントはしていない。しかし、調査段階で提出された手紙で、「彼は、女性を雇用する職場を指導するには“不適切”といえる男性です」と述べている。

ナギィは、ウオール・ストリート・ジャーナルに最近報道された手紙で、この事件の主調査人にこう書いている。「長い専門家人生を経てきましたが、私は、IMFトップが言いよってくる事態に対する備えを欠いていました。私はどのように対処していいかわかりませんでした。お話したように、『どちらにころんでも私が非難される』と思われました。」

ロバート・スミス弁護人宛の手紙の文末は、こうだ。実に的確に彼を分析している。
「彼は、彼の命令下で働く女性のいる組織を指導するには、不適切である男性だと、私は懸念します」

ピロスカ・ナギィの言う「どちらにころんでも非難される」とは、女性がしばしば陥る被害だ。ノルウェーの社会心理学者であり政治家ベリット・オースの「支配者が使う5つのテクニック」のひとつだ。オースは、権力を持つ男性が、女性を支配する際、用いる手法を5つに分類し、女性はそれを認識すること、そして連帯してそれを跳ね返す力を持たなければならないとしている。(詳しくは、『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店) 2章 虐げられた時代、「支配者が使う5つの手口」参照)

彼の弁護人は、IMFという国際組織と彼の保身から、彼のセクシャル・ハラスメントを矮小化させることを至上命題とし、それに成功したのだろう。既婚者であったピロスカ・ナギィも、家族のことや将来を考え和解に応じたに違いない。

しかし、この時、セクシャル・ハラスメントが女性の労働権を侵害し、女性の人間としての尊厳を踏みにじる深刻な犯罪であるという判断が下されていたなら?

彼は、3年後、マンハッタンのホテル従業員を監禁・強姦する行為(検察発表)に至らなかったかもしれない。        

http://www.nytimes.com/2011/05/17/world/europe/17fund.html
http://www.nytimes.com/2011/05/17/nyregion/imf-chief-is-held-without-bail.html?ref=europe
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703509104576325703420731800.html?mod=googlenews_wsj
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by bekokuma321 | 2011-05-17 22:41 | ヨーロッパ

東横インで起きた性暴力

職場のセクシャル・ハラスメント(セクハラ)は、女性の労働意欲をそぎ、女性に精神的ダメージを与える犯罪である。

11月9日の毎日新聞(市川明代記者)によると、愛知県内にある「東横イン」(本社・東京都大田区)の女性従業員が、男性客から性暴力を受け、愛知県警に被害届けを出した。



同毎日新聞と労働相談センター・ブログによると、被害者は、今年4月入社したばかりの20代前半の女性で、フロントに配属されていた。

9月14日未明(午前4時ごろ)、男性客が、派遣型風俗業者とのトラブルに絡んで、女性従業員を客室に呼びつけ、性暴力を加えた。事件後、彼女は神経症・不眠症で休職中だという。

東横インのフロントは、25時間勤務体制だという。ほとんどが女性で、深夜も女性1人。従業員のための仮眠室やベッドもない。24時間対応の従業員向け相談窓口もなく、性暴力の恐れに対応する防犯ベルの貸与もないという。今回の従業員へのセクハラは起きるべくして起きたと考えられる。

この劣悪な労働環境が、売上高519億1,800万円、全国222店、42893室に、従業員6,919人(正社員1,868人、非正規5,051人)をかかえる大手ビジネスホテルチェーン「東横イン」の実態だ。

どう見ても労働基準法違反としか思えない「東横イン」対して、厚生労働省や東京都労働経済局は、これまで何をしてきたのだろうか。迅速かつ緊急に対応をとるべきだ。でないと7000人近い従業員が危ない。

さて、東横インの澤田宗久社長は、「『安心・快適・清潔なお部屋』をリーズナブルな料金で提供することを実現しています。」などとホームページでうたう。女性なら安く使える、女性ならこのくらいの労働環境にも耐えられるーーこれが社長の本音だと、私には思える。それを目くらましするかのように、「取締役9人のうち女性3人、また3人が弁護士」という布陣を構える。さらには、「コーポレートガバナンスとコンプライアンスへの取り組み」をこれ見よがしに掲げる。

東横インで起きた性暴力と劣悪な労働環境は、20代の被害女性の勇気ある告発によって初めて知ることになった。その被害者は、神経を病み仕事につけない状態にいるという。

セクハラ根絶のため、行政は、雇用主の無策に対して営業停止などを含め行政指導に動くべきだ。同時に議会は、雇用均等法第11条を禁止規定に改正すべく、動くべきだ。「指針」程度ではダメなのだ。

http://www.youtube.com/watch?v=SZLRg6V1Bkc
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/981b06abaec8c759be4d4a39984a330c
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/kigyou01b_0002.pdf
http://www.janjanblog.com/archives/27083
http://www.toyoko-inn.co.jp/corporate.html

■JRの女性従業員が上司から性暴力を受けた事件
http://frihet.exblog.jp/15409105
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by bekokuma321 | 2010-12-26 10:07 | その他

オバマ大統領候補が副大統領候補に選んだ人は、ジョゼフ・バイデン上院議員(65)。民主党の重鎮で外交問題に見識が高いといわれている。

ジョゼフ・バイデンといえば思い出す。

あれは、1991年秋。世界で初めてセクシャル・ハラスメントが政治の舞台で議論されたアメリカ上院の司法委員会。アニタ・ヒルが上司トーマス・クレアランスをセクシャル・ハラスメントで訴え、彼が最高裁判所裁判官に適するかどうかが問題になった事件だ。

ジョゼフ・バイデン議員は、いわゆる「セクハラ公聴会」の特別委員会委員長だった。友人が送ってくれたビデオで、全米生中継されたその一部始終を見ることができた。彼の激しい質問態度をよく覚えている。しかし、彼は女性解放運動に非常に関心が高く、女性団体から高い評価を受けている政治家だったが、この事件の過程で、セクシャルハラスメント被害についての理解は十分とはいえないという評価が女性たちから下った。

所変わって、当時、日本では「セクハラ? 僕もされてみたいよ」などと馬鹿にされるのがおちだった。その日本の現実のまっただ中にいた私は、彼の指揮した議会の司法委員会を、まるで別世界のように思えたことを記憶している。とりわけ、ジョゼフ・バイデン委員長の真正面からセクシャルハラスメントに向き合おうとした姿勢に(と私には見えた)、私は、いつになったら日本の男性がこのように真剣にセクハラに立ち向かうのだろうと憧憬にも近い目で見ていた。

この「セクハラ公聴会」で知ったアニタ・ヒルの勇気、彼女を全面的に支援したアメリカ女性議員たちに力を得、私は日本でのセクシャル・ハラスメント対策にさらに歩を進めることになった。

ジョゼフ・バイデンは、2世でも3世でもない労働者階級の出だ。最初の妻と娘を交通事故で亡くしている。その後、脳動脈瘤で危篤となり、2回の大手術の後、奇跡の回復をとげた。悲劇の人と言ってもいいくらいだ。並々ならぬ苦難を乗り越えてきた政治家だと思う。

http://www.nytimes.com/2008/08/24/us/politics/24biden.html?ex=1235448000&en=e617f278306bb573&ei=5087&excamp=NYT-E-I-NYT-E-AT-0827-L4&WT.mc_ev=click&WT.mc_id=NYT-E-I-NYT-E-AT-0827-L4
■上院の「セクハラ公聴会」(『桃色の権力―世界の女たちは政治を変える』、三省堂、1992)
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by bekokuma321 | 2008-08-28 08:46 | USA