c0166264_3103788.jpg12月7日、京都の丸太町まで出かけて行って三井マリ子さんの講演会を聞いた。

会場となったハートピア京都に早めに到着したので、回りを見ると、精神の病を持つ人への偏見をなくそうという“シルバーリボンキャンペーン“のグッズや、小物、漬物、コーヒーなどが販売されていた。聞けば、主催をした、精神にハンディを持つ人たちが生きやすい社会を目指すボランティア団体「風のリンケージ」の人たちの活動の一環だという。

三井マリ子さんは、「こころのバリアフリーをめざして:ハンディをハンディと感じさせない社会へ」という講演をした。

「バリアフリー」を体現している社会だと三井さんが考えるノルウェーで撮影した写真を見せながらハンディを抱える人がハンディを感ぜずに暮らすために必要なサポートシステムを紹介していく。

三井さんは、ハンディをハンディと感じさせない社会にするには、サポートシステムも必要だが、差別・選別・決めつけをしない価値観を多くの人々が持つことではないかという。では、その価値観は、ノルウェーでは、どのようにして醸成されるのか。

重要なのは教育だと三井さんは言い、その基本は、小学校から大学まで無償であることだと強調した。ノルウェーの教育法では、男であるか女であるかを問わず、ハンディのあるなしにかかわらず、どこの出身であろうと、どんなに障碍を持っていようと、誰もが公平・平等に無料で、同じ教育を受ける権利があるとされている。

だから、ノルウェーに「支援学級」「養護学校」は存在しない。ハンディを持つ子と持たない子を分けることなく、同じ学校で、同じ教室で、皆が一緒に授業を受けるのだという。それぞれのハンディに必要なサポートは補助教員がつくことで、他の生徒たちといっしょに学校生活を過ごす。

さらに小学校は、生徒にテストで選別することはなく、通信簿というものがないのだという。高校教師だった三井さんは、ノルウェーのこの選別しない教育を初めて知ったとき驚いたらしいが、私も本当に驚いた。

初等教育での、公平・平等な体験が、差別・選別・決めつけはいけないという価値感を育成していき、その後のハンディを取り除く政策への税金投入を是とする人々を増やしているのではないか、と三井さんは言う。

誰も、長い人生で何度かハンディに出会う。

生まれた時から心身に重いハンディを持つ子ども、シングルマザーになった母親、妊娠・出産した大学生、うつ病を発症した首相、一人で暮らせなくなった高齢者などなど。5人の子どもの母親でありフルタイムで仕事をする女性は、出産のたびに「産休・育休」を取るわけだが、「またか、などと職場で嫌みを言われたりしないか」と三井さんが尋ねたら、意味が理解できないようだったという。三井さんは、「育休は男性社員もとるし、当然の権利ですから」と言われたそうだ。

最後に、ノルウェーの市議会議員の写真を見せて、それぞれの職業を三井さんは示した(ノルウェーの地方議員は通常の仕事や学業を続けながらの無給ボランティア)。その職業の多彩さだけでなく、看護師、教員、ケアセンター施設職員など、人の世話に関する職業が多いこと。

手厚い福祉政策を制度化して、予算をつけていけるのは議員だ。バリアフリーの実現のためには、「ハンディをハンディと感じさせない社会」をつくろうと考える議員が議会にいなければいけない、と三井さんは語った。三井講演の締めは、やっぱり選挙だ! 選挙はチャンス! そう思うと、選挙もまた楽し、である。

大きく違うノルウェーと日本だが、「ハンディをハンディと感じさせない社会」を目指し、前を向いて進んでいこう!という気になった。

岡田 ふさ子(さみどりの会* 事務局)
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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった


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 ▲1位ノルウェー、最下位日本。公的教育への支出比較(OECD)[三井講演パワーポイントデ―タ]

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by bekokuma321 | 2016-12-12 03:23 | ノルウェー