6月13日(火)、アメリカの配車サービス会社ウーバーUberの取締役はセクハラ発言を詫びた、とする報道が届いた。

セクハラ発言者は実業家のディビッド・ボンダマン(David Bonderman)。ウーバー社のイベントで「女はよくしゃべる」という意味の発言をしたという。

ワシントンポスト紙によると、その偏見に満ちた発言は、不祥事続きの会社を変えるために開かれた、セクシャルハラスメント防止や職場環境改善をテーマにした会議席上だったという。

会場で、新しく取締役になった女性アリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)が、女性取締役は会社にとってプラスになるという文脈で話していた。ノルウェーに端を発した「経済界の決定の場である取締役会にクオータ制を」という方針を世界の企業が取り組もうとしているが、その一環と思われる。

彼女は、「多くのデータによると、1人女性が取締役になると、また次に女性取締役を入れるようになります」と言った。それに合いの手を入れるように、ディビッド・ボンダマンは、「実際、よくしゃべりますんでね」と冗談を飛ばしたらしい。

彼は社員に対して、自分の発言を「不適切だった」として、「同僚の取締役に対して、敬意を失したコメントをしてしまったことを謝罪したい」とメールを出したという。

米各紙が大きくとりあげていて、フェイスブックでは、「50年代のことだ」「こういう男性がいるから、フェミニズムは今なお必要だ」「真実は、あらゆる場で女性よりも男性のほうが多く発言しています」と、けんけんごうごう。開いた口がふさがらないらしい。

c0166264_1453454.jpg ところが、日本で余りに露骨なセクハラ発言を耳にしている私は、彼の発言は聞き流してしまいそうだった。いま思い出すだけでも…。

「 “文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものは「ババア」”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です”って」(石原慎太郎都知事)

「産む機械っちゃあなんだけど、装置がもう数が決まっちゃったと。……別に、この産む役目の人が一人頭で頑張ってもらうしかないんですよね」(柳沢伯夫大臣)

「日本女性は家庭で働くのが喜び。日本文化だ」(中山義活政務官)

知事に、大臣に、政務官。彼らの発言に批判はあがったが、彼らが公に謝罪した、という記憶はない。

ちなみに、ウ―バ―は多国籍企業。アジアにも進出している。国家戦略特区諮問会議で、安倍首相は「過疎地などで観光客の交通手段として、自家用自動車の活用を拡大する」と述べて、タクシー業者ではない一般人が自分の車で「有料相乗り」できるようにと、ウ―バ―方式の規制緩和を示唆した(2015年)。

Uber board member cracks ‘inappropriate’ joke about women at company event on sexual harassment
Uber's sexual harassment case shines light on a startup's culture of defiance
Uber chief to take leave from company
ガンバッテネ、男性諸君!
大衡村のセクハラ、公務災害に
三菱商事、ノルウェーの会社から女性取締役を追放
ヨーロッパを動かしたノルウェー「取締役クオータ」
ドイツ誌「シュピーゲル」、ノルウェーのクオータ制を特集
“取締役クオータ制”、ついにEUに

【写真】三井マリ子著『セクハラ110番』(集英社)の表紙
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# by bekokuma321 | 2017-06-14 11:37 | USA

日本の国会や地方議会には、女性議員が余りにも少ない。衆院は1割以下、町村議会に至っては、3分の1が「女性ゼロ」だ。国連からも「是正しなさい」と何度も勧告を受けてきた。

そこで、日本政府は、「政治分野における男女共同参画推進法案」を今国会にかけ、「候補者数を男女均等に」と政党に努力を促す姿勢を見せた。

クオータ制を入れるなど効力のある法文にするべきだと運動してきた女性団体からすれば、生ぬるい法案なのだが、日本会議系の自民党議員らは、この法律そのものに反対の声を上げた。

「法律をつくることで、かえって男女の対立が生じてしまう」(山谷えり子議員)/ 「女性の社会進出で社会全体が豊かになっているとは思えない」(西田昌司議員)

すったもんだの末、与野党案がまとまった。成立するのを、今か今かと待っている。ところが、ここに至って森友・加計事件に加えて共謀罪の強行採決など国をゆるがす難問つづきで、女性の政治参加どころではない雲行きらしい。

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さて、上は、今から20年ほど前、ノルウェー国中に貼られたポスターだ。

1990年代当時、クオータ制の浸透によってノルウェー政界は男女半々に近づいていた。しかし、経済界は別世界だった。そこで、政府の男女平等推進機関は、男の牙城だった大企業をターゲットに“風刺キャンペーン”を開始した。

「さあ、これが我が国の指導者たちです。新時代にふさわしい多様性と多面性を見事にかねそなえていますネ。ガンバッテネ、男性諸君!」

ポスターにはいくつかのバージョンがあり、この1枚ではノルウェー屈指の大企業、ヨートン株式会社の取締役会がやり玉にあげられた。ご覧のとおり、同社CEOと取締役8人は全て男性。皮肉たっぷりのキャプションがついている。

この続きは、「叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女性たち」(I 女のしんぶん)をどうぞ。
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# by bekokuma321 | 2017-06-13 21:41 | ノルウェー

数ヶ月前のことだが、ノルウェーの友人が、こんなことを言ってきた。

「このテレビは、ノルウェーの農産物にとって朗報です。さまざまな理由から、ノルウェーの食糧生産には規制が多い。とくに抗生物質は危険だから規制すべきです。ノルウェーだけでなく、すべての国の政治が、食料生産において、抗生物質や薬剤の使用をきびしく規制することが重要です」

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友人が見たのは、スウェーデン・テレビ(SVT)でFriktionという、日ごろ社会で問題となっているテーマを報道するドキュメンタリー番組シリーズだ。

そのプログラムは、スウェーデンの学者が、食べ物にどれだけ抗生物質や薬剤が使われているかをわかりやすく、8カ国で比較をしていた。もっとも安全とされた国がノルウェーだった。

1kgあたり、ノルウェーは4mg、スウェーデンは13mgだ。アメリカは180mgというからスウェーデンの10倍以上だ。しかし、「中国は統計がとれていないので不明」というのでさらに怖い。

日本はどうなのだろうか。食べ物は健康に直結する。健康は基本的人権であり、守るのは政治だ。しかし、東京都の市場問題を見ても、この国の政治家は、私腹を肥やすだけで、私たちの胃袋や人権を考えてくれそうもない。

Friktion: Antibiotika (SVTの動画。スウェーデン語知識がなくてもわかりやすい。上の写真は動画の接写)
食品中に残留する抗生物質の検査
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位(Economist Intelligence UnitによるDemocracy Index2016)
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# by bekokuma321 | 2017-06-10 17:03 | 北欧

c0166264_039564.jpgさきほどヨーロッパから入ったニュースによると、スペインのマドリードは、すべての公共交通機関で足を広げて座ることを禁止した。

マドリード市のツイッターを見ると、こんなわかりやすいイラストとともに「他人のスペースを尊重しましょう。マンスプレディングはやめましょう」と知らせている。

マンスプレディングは、manspreadingという英語だ。man(男)にspread(広げる)をつけた言葉だ。ガバッと開脚してスペースを横取りする座り方は男性に多く、隣に座った人が不快な思いをしたり、スペースをとられて横に座れなくなったりする。

報道によると、女性運動団体Mujeres en Lucha(女性の闘い)が、インターネットのチェンジchange.org で「マンスプレディングをやめさせよう」と運動をしていたという。ちなみに、マドリードの市長は共産党員だった女性Manuela Carmena

Ayuntamiento Madrid (Madrid Town Hall)
‘Manspreading’ banned on all public transport in Madrid
Madrid contra el 'manspreading': la lucha feminista por un uso cívico del transporte público
Que la Comunidad de Madrid ponga carteles sobre el Manspreading en el metro(チェンジの署名運動)
Madrid installs gay-friendly traffic lights for World Pride 2017
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# by bekokuma321 | 2017-06-08 00:48 | ヨーロッパ

c0166264_12462794.jpg山上千恵子監督の最新作『たたかいつづける女たち~均等法前夜から明日へバトンをつなぐ』を昨夜観ました。 素晴らしいドキュメンタリー映画でした。

1980年代の雇用機会均等法の前後から、今もって闘い続ける女性たちの歴史と今が、多くの女性たちへのインタビューで描かれていました。女性たちの運動の歴史を知るだけでなく、これからの女性運動につながる映画です。

山上千恵子監督のトーク付きでした。山上さんは、「男女雇用機会均等法制定時の赤松良子さんの大変さはNHKテレビ『クローズアップ現代』で世に知られていますが、そこに登場しない女たちの闘いを記録したかった」と話していました(写真)。

山上監督作品には『30年のシスターフッド――70年代ウーマン・リブの女たち』や『山川菊栄の思想と活動――まずかく疑うことを習え』があります。どちらもいい映画でした。今回の『たたかいつづける女たち~均等法前夜から明日へバトンをつなぐ』にも、「歴史の教科書に載っていない女たちの闘いを残しておきたい」という山上さんの信念が貫かれていました。

1980年代、政府の雇用機会均等法案は女性の労働権の確立につながらない、と、自分たちの男女平等法を提案していった女性解放運動の歴史。そのなかで圧巻は、クリスマス・イブに労働省まで走る抗議のデモ「イブ・リブ・リレー」でした。三井マリ子さんのアイデアから始まった運動を初めて知りました。林陽子さんが「女性の問題を見える化した」とその意義を語っていました。また若い中嶋里美さんが元気に走る姿にも嬉しくなりました。まさに「行動する女たち」です。

c0166264_12423869.jpg法案制定の立役者・赤松良子さんも映画に登場し、「私だってフェミニストだから、もっといいものを作りたかった」と告白していました。「法案に反対した人たちは分からず屋だった」と言った言葉が印象的でした。いくら国会外で反対しても結局は国会の勢力図によって決まってしまう、という意味なら、赤松さんの言葉は正しいかもしれません。私たちは、雇用の男女平等を欲する女性をまったくと言っていいほど国会に送り出せなかったのですから。

男女雇用機会均等法制定30年が過ぎても、女性は正規社員と非正規に分断され、低賃金・不安定雇用に押し込まれている現実に、女性たちは今もって戦い続けなければいけません。と同時に、男女平等を求める女性をもっと国会や地方議会に増やさなくては、とあらためて思います。

会場で明治大学の先生が、「学生は動画なら観る。ぜひ学生に見せたい」と言っていましたが、ぜひ大学生や若い人たちに観てほしいです。まずは、私が関わっている高知の女性団体ポレールや、全国フェミニスト議員連盟などで上映会の提案をしようと考えています。

木村 昭子(ポレール役員、全国フェミニスト議員連盟世話人)

【写真】映像女性学の会・小野由理撮影(2017.6.3 渋谷男女平等・ダイバーシティセンター)

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ビデオ工房AKAME DVDリスト「生き方」
Sister wave_山上千恵子監督の3作品
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# by bekokuma321 | 2017-06-05 13:14 | その他