12月10日、オスロ市庁舎で、2017年ノーベル平和賞授賞式典があった。一日遅れたがYoutubeで視聴した。

今年は、草の根組織ICANの活動が選ばれた。受賞者を代表して、記念スピーチをしたのは、ICAN(注1)事務局長ベアトリス・フィーン(Beatrice Fihn) と核兵器廃絶運動を続けてきた被爆者のひとり日系カナダ人節子・サーロウ(Setsuko Thurlow)。

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   ▲節子さんにポインターをあててクリックするとノーベル平和賞受賞式が映る

2人は、ノルウェー国王夫妻、皇太子夫妻、ノルウェー首相夫妻をはじめ、各界リーダーたちの拍手喝采をあびながら、スピーチを終えた。腹の底からの怒りを絞り出して訴えた節子さん。その一部を紹介する。

節子さんは広島生まれ。1945年8月6日、節子さんは、アメリカが広島に落とした原子爆弾の閃光を窓から見た。13歳だった。

がれきにうずもれて命がはてそうだった節子さんに人の声が聞こえたーー

「あきらめるな」
「がれきをかきわけて前に進むんだ」
「速くはって行け。光が見えるだろう」 

彼女は暗闇のなか前に進んだ。そして一命をとりとめた。しかし、家族や同窓生351人は無残にも燃えて灰に変わってしまった。

この残忍な原爆投下を戦争犯罪と認めず、「正義の戦争」を終わらせた「よい爆弾」という神話を信じている人がいるが、この神話こそ、今日なお核軍備競争に走らせているのだ。節子さんは断じた。

7月国連で核兵器禁止条約(注2)が採択された。人類最悪のときの生き証人である節子さんは、人類の最善のときの証人となった。この条約こそ、命をつなぐ光である。条約を拒む者たちは、歴史に指弾されるだろう。

いかなる障害が立ちはだかろうとも、前に動き続け、前に進み続け、この光(条約)をともに分かち合おう。この光こそ、私たちに託されたことなのだーーこの大切な世界が生き続けるために。

途中、拍手で何度か中断された。目をうるませるひと、涙を拭くひと・・・。13歳のとき、がれきのなかでかけられた言葉(注3)を再び繰返して、節子さんがスピーチを終えようとしたとき、拍手はクライマックスに達し、会場が総立ちとなった。

節子さんは、緑色の海原と白い波の模様で彩られた黒のロングドレスをまとっていた。着物地を仕立てたように見えた。日本女性初のノーベル賞受賞者にふさわしく、終始、堂々と威厳に満ちていた。c0166264_1534419.jpg


【注1】ICANは、「核兵器廃絶国際キャンペーンInternational Campaign to Abolish Nuclear Weapons」の愛称。日本を含め101カ国、468団体の連合組織。オーストラリアで創設され、事務局はジュネーブ。核兵器を条約で禁止しようと絶えまぬ努力を続けた。
【注2】今年7月、国連で122カ国が賛成して採択された。50カ国が批准すれば発効する。締約国には核兵器の開発、実験、生産のほか、核兵器を使った威嚇などを幅広く禁止した。前文で「ヒバクシャ」という表現を用い、核兵器の使用による犠牲者や核実験による被害者にもたらされた受け入れがたい苦痛と被害に言及した。しかしながら、ICANが創設されたオーストラリア、世界唯一の被爆国日本、ノーベル平和賞のノルウェーは賛成しなかった。
【注3】"Don't give up! Keep pushing! See the light? Crawl towards it."

2017 Nobel Peace Prize Ceremony(Youtube: Setsuko Thurlowの演説を含む全録画。 上の写真は本動画より借用)
Nuclear annihilation 'one tantrum away', Nobel peace prize winner warns
2017 ican lecture
Følg festen live her! Fredsprisfesten streames her
Nobel Peach Laureates_2107 Presentation Speech
Setsuko Thurlow Gives Final Remarks at Ban Treaty Adoption
Setsuko Thurlow Speaks At the UN
The nobel peace prize
「私たちは死よりも生を選ぶ代表者」 ICAN受賞講演

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▲オスロ市庁舎正面入り口。ノーベル平和賞受賞式は中央の建物1階で行われる。オスロ市は現在、中道左派が連立を組み市長も副市長も女性。ちなみに首相も女性、ノーベル平和賞選定委員会委員長ベリト・レイス・アンデルセンも女性。前委員長も女性だった

<2017年12月12日更新>
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# by bekokuma321 | 2017-12-11 15:16 | ノルウェー

c0166264_18233410.jpgアイスランドは、グリーン・レフト(左派緑の党)のカトリーン・ヤコブスドッティルを首相に選んだ。

41歳。3人の母親で、末っ子は2011年生まれだという。

比例代表制で行われた10月の総選挙後、連立交渉に日数がかかっていた。11月30日、大統領によって新政権樹立が認められたそうだ。

カトリーン・ヤコブスドッティルは、まだ若いが、2009年に発足したヨハンナ・シグルザルドッティル首相率いる左派連立政権で、教育・科学・文化大臣に就任している。女性の首相は、レズビアンであることを公表していたヨハンナ・シグルザルドッティルに次いで、アイスランドでは2人目。新内閣は女性5人、男性6人だと報道されている。

なにしろ、この国は、ワールド・ジェンダー・ギャップ指数(世界経済フォーラム)で世界ナンバーワンに輝く。

ヤコブスドッティルの得意分野は、地球環境保護はもちろん、女性の権利擁護、平和構築だという。今後、どんな発言がアイスランドから届くか、楽しみだ。

【注:彼女の率いる政党は、英語でLeft Green Movementと称されている。直訳すると左派緑運動となる】

NEWS_Five Women, Six Men in New Cabinet
NEWS_Final Election Results 2017
比例代表制は男女格差を縮める(世界経済フォーラム2017)
2017世界平和指数トップはアイスランド
アイスランド国会、女性議員48%に!
Amost 18 Percent Crossed out Sigmundur’s Name
The Tiny Nation of Iceland Is Crushing the U.S. in Electing Female Politicians
Women Win 30 Seats In Iceland's Parliament — More Than Any Party
アイスランド10月24日「女性が休む日」を決行
男女平等ランキング:アイスランド1位、日本111位
Why Iceland is the best place in the world to be a woman
アイスランドが、今年も世界一平和な国
アイスランド女性がいっせいに休んだ日
百田氏よ、恥を知れ!
日本142カ国の中で104位
女性の雇用率の高い国は
男女格差、世界136カ国中105位
1位アイスランド、98位日本
アイスランドが違法ノルウェー人に市民権
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# by bekokuma321 | 2017-12-01 18:31 | 北欧

11月28日、カナダのジャスティン・トルドー首相は、「LGBT2のカナダ人に対して抑圧し、犯罪者とみなし、暴力を加えた、カナダ国家としての組織的過去」を国会で正式に謝罪した。

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Youtubeで動画を見た。トルドー首相は、ときに、ハンカチで流れる涙をぬぐいながらスピーチを続け、何世紀も続いた差別に「私たちは間違っていました。謝罪します。申し訳ありませんでした」と謝罪した。

「I am sorry. We are sorry」と彼が告げたとき、割れるような拍手が巻き起こった。そして着席して聞いていた国会議員のスタンディング・オベイションとなった。

LGBTQ2とは、レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、クイア(性的マイノリティ)、2(2つの精神を持つ人たち)にあたるとされる。

20代のころ、レズビアンの友人から、同性愛の人たちに対する日本社会の根強く残酷な差別についての話を聞かされた。彼女は私にこう言った。

「新聞で、若い女性2人が自殺したというニュースを見たことあるでしょ。こういう事件に出てくる2人ってレズビアンのことが多いのよ。家族、職場、社会から直接間接の差別を一身に受けて絶望し、生きることより、命を絶つことを選んでしまうの」

社会から排除されている、差別されているという意識を持たせられることは、その人から人間としての尊厳を奪うだけではない。生命さえ奪いとるのだ。

ジャスティン・トルドー首相のスピーチに、政治権力本来のパワーを感じた。


Justin Trudeau’s apology to LGBTQ2 Canadians
Trudeau delivers historic apology to LGBT Canadians(Youtube)
Justin Trudeau: Canada humiliated indigenous people
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# by bekokuma321 | 2017-12-01 13:08

熊本市議会とIPU行動計画

赤ちゃん連れで議場に入った緒方ゆうか議員は、熊本市議会議長名で「厳重注意」を受けることになったという。

熊本市議会は、まったく「石頭」としかいいようがない。

この件に関連して、国際文書を下に掲げる。2012年にIPUが全会一致の賛同で作成した「ジェンダーに配慮した国会に向けての行動計画」からの抜粋だ。

IPUは、列国議会同盟と訳されている国際組織で、日本もメンバ―。本部ジュネーブで開かれる会議には、我々の税金で、国会議員が派遣されている。この文書にも賛成したはずだ。

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IPUは、世界193カ国の国会に占める女性議員割合を出している組織だ。女性の割合が多い国から順にならべて世界に公表し、各国に女性議員増を促している。日本は、あ~穴があったら入りたい、世界165番目だ。

熊本市議会に要望しました(全国フェミニスト議員連盟)
Plan of Action for Gender-sensitive Parliaments IPUの行動計画
個人的なことは政治的なこと personal is political
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# by bekokuma321 | 2017-11-30 18:29 | ヨーロッパ

赤ちゃん連れで議場に着席した緒方ゆうか議員の件について、2017年11月28日、全国フェミニスト議員連盟は要望書を提出した。宛先は熊本市議会議長澤田昌作様/ 熊本市議会運営委員長くつき信哉様/ 熊本市議会事務局長田上美智子様

■議会活動と子育てを両立できるよう要望します■

私たち全国フェミニスト議員連盟は、女性の政治参画の推進のために1992年から活動を続けている市民と議員による団体です。

11月22日、熊本市議会で、乳児を連れて着席した緒方夕佳議員に対して、他の議員等から退席を求められたと報じられました。乳児を傍聴人と見なし、澤田昌作議長が退場を促したため、別室での協議を経て、緒方議員は乳児を友人に預けて着席。最終的に議会開会は定刻より40分遅れたとされています。

私たちは、子育てが熊本市ばかりか日本全体のきわめて重要な社会問題であるにもかかわらず、個人的問題にされてきたことに疑問を抱いて、行動を起こした緒方議員を応援します。

緒方議員は、妊娠中から、赤ん坊を預けられるような対策などサポート体制の提案を議会事務局にしていたにもかかわらず、「個人的な問題」とされ前向きの回答は得られなかったそうです。

つまり、22日の問題は、緒方議員のまっとうな要求への対応を怠ってきた議会側の無作為ゆえに、起こるべくして起こったことだと言えます。

列国議会同盟(IPU)による「ジェンダーに配慮した議会のための行動計画」は、仕事と家庭の両立支援のためのインフラ及び議会文化の整備を求めています。実際、議場への子どもの同伴、議員の育児休暇、代理議員制度など、子育てと議員活動の両立を支える仕組みを持っている国も少なくありません。

日本はジェンダーギャップ指数が過去最低の114位と、政治分野における女性の少なさの解消が緊急の課題です。そのためには、議員活動と妊娠・出産・育児の両立できる仕組みを早急に整えなければなりません。

遅ればせながら、2015年、全国市議会議長会は標準市議会会議規則の一部を改正して、出産の際、前もって日数を定めて欠席届を提出できるとしました。

熊本市議会においても、子連れによる議員視察が実施されたと聞きます。また沖縄県北谷町議会では、議員控室の保育スペース活用が全会一致で了承され、議員の子ども(乳児)の保育をファミリーサポートの職員が担っているとのニュースが報道されています。

このように子育て中の議員が、必要なら、議会への子ども同伴を含め、子どもを一時預かってもらえるサポート体制を整えることは、今や当たり前になってきつつあります。

今回のことを契機に、貴議会が、議会活動と子育ての両立に向けた環境改善をしてくださることを期待するとともに、結果として重要な問題提起をすることになった緒方議員に対して、いかなる理由であろうとも、処分を行うことのないよう、強く要望いたします。

全国フェミニスト議員連盟
共同代表 ひぐちのりこ(宮城県仙台市議会議員)/ 日向美砂子(東京都小平市議会議員)
事務局 小磯妙子(神奈川県茅ヶ崎市議会議員)

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上記を受信した熊本市議会事務局長より、全国フェミニスト議員連盟に対して次のような趣旨の報告があったことをお知らせする。

「控室(一人会派なので独立した部屋がある)で、ベビーシッターを雇って保育をしてはどうかと提案したが、費用を公費でという申し出には対応できなかった」

なお、熊本市のHPには市民向け子育てサポートがチラシなどでPRされている(下記)。議員にも十分活用できそうな気がする。

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Plan of Action for Gender-sensitive Parliaments IPUの行動計画
個人的なことは政治的なこと personal is political
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# by bekokuma321 | 2017-11-28 13:19 | その他