ロイター、そしてBBCの報道によると、猪崎かずみさん(45歳)は、昨年、日本で最年長のプロボクサーとなった。 猪崎さんは、今年2月、メキシコのアナ・マリア・トレスさん(29歳)と、スーパーフェザー級チャンピオン戦で王者を狙って闘う予定だった。ところが、WBC(世界ボクシング協会)は、猪崎さんの年齢を心配して、試合を中止させてしまったのだという。

猪崎さんは、「年はちっとも気になりません。リングにいったんあがったら、私に聞こえてくるのは、トレーナーの声と、『行け、行け、ママ、ママ』という子どもたちの声援です」と話す。ジョージ・フォアマンの記録を破って、世界で最年長王者の記録をつくろうとした、日本女性は淡々としている。

ボクシング界における女性の歴史は、男の牙城を崩すため、肉体的挑戦だけでなく、法廷闘争まで行わなければならなかったことを教えている。そんな女性史をたどると、リンクの横で「行け、行け、ママ!」と声援を送りたくなるのは、猪崎さんのお子さんだけではない。

http://www.nikkansports.com/battle/news/f-bt-tp0-20090122-452781.html
http://blogs.reuters.com/japan/tag/kazumi-izaki/
http://www.wban.org/biog/amtorres.htm
http://www.womenboxing.com/historic.htm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8034421.stm
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# by bekokuma321 | 2009-05-06 14:26 | アジア・アフリカ

2004年、BBCラジオ「女性の時間」(ウーマンズ・アワー)のリスナーアンケートで、女性が女性自身を見る目を変えることになった5冊に、『女たちの部屋』が選ばれているという。この本は、5月2日亡くなったマリリン・フレンチが書いた初の小説だ。

「ウーマンズ・アワー」には、マリリン・フレンチのラディカル・フェミニズムの本を、自分の人生を変えた5冊に選ぶような視聴者が多いのだな、と思った。そのような番組を長年維持してきたBBCにも敬意を表したい。

この「ウーマンズ・アワー」で、思い出したことがある。「ウーマンズ・アワー」は、フェミニズムのパウダーをふりかけた番組の多い、女性による女性のための女性のラジオ放送だ。1990年代半ば、私は、イギリスの法律まで変える要因をつくった1人のイギリス女性を取材したことがある。彼女は、私に、「ウーマンズ・アワーというラジオを聞くともなしに聞いていたら、EU法廷について話していたんです」と、言った。彼女は、職場で受けた性差別に屈辱を受け提訴したが、イギリスでは敗訴だった。彼女は、自国の法廷で解決できなかったら、EUの法廷に訴えることができるなどとはまったく知らなかったが、このラジオで、目の前が開かれたというのだった。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/8034946.stm
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# by bekokuma321 | 2009-05-06 09:37 | ヨーロッパ

マリリン・フレンチ逝去

英紙「テレグラフ」は、フェミニスト運動の先駆者マリリン・フレンチが5月2日に逝去したことを伝えている。その簡潔な記事によって、小説という方法で男性中心主義社会に挑んだ一人の女性の一生が、生き生きとよみがえってきた。要約しよう。

「すべての男は強姦魔。それのみ。男たちは、目で、法律で、記号で女たちを強姦する」

フレンチは、最初の小説『The Women's Room 女たちの部屋』(1977)で、こう、主人公(女)に宣言させる。フレンチは、結婚後に自分を喪失していく多くの女たちを描き、「女たちがさげすまれるのは偶然ではない。女性への侮蔑は、文化の産物ではなく、それこそが文化の中心そのものである。それなしには文化などないのだ」と語っている。

マリリン・フレンチは1929年、ニューヨーク・ブルックリン生まれ。デパート店員だった母親は、父親が子どもに手を上げることを絶対に許さなかった。それによって「母親は私たちに権威に服従してはならないことを教えてくれた」という。結婚後、法律事務所の仕事をしながら法学部を卒業。何年か後、シモーヌ・ド・ボーボワールの『第2の性』で、本を1冊も書かないのに作家と称する女性たちの章を読んで発奮した彼女は、出版社に自作の原稿を持って行く。しかし、試みは失敗。その後、大学にもどり修士号を修了し、英語の教員となるも、夫は彼女の仕事を邪魔し続けた。1967年離婚。

離婚後、フレンチはハーバード大学に入学し、ジェームズ・ジョイス『ユリシーズ』についての論文を書きあげて出版。このことによって、作家への道を歩むはずみがついた。

『女たちの部屋』は、発行部数2000万部を超え、20カ国語に翻訳出版されている。1950年から70年かけての女たちの生活を、時代を追いながら描く。夫の影から逃れ、期待される女像から脱出していくことで、控えめだった妻が、自分の運命を自分で切り拓こうとする自立心に満ち溢れた人間に変遷していくという女の旅だ。

『力を超えて:女性、男性、道徳について』(1985)では、「男性原理は、戦争、貧困、飢餓、その他、人類を脅かすカタストロフィーの原因である」と言っている。新しい道徳という名で、フレンチは、「家父長主義に対する唯一の、そして真の革命は、パワーという考えを中心からはぎ取り、快楽という考えを中心に置くことである」と提唱する。「その意味では男も犠牲者である。しかし彼らは抗議しようとしない。女を責めるだけだ」

『女性への戦争』(1992)において、フレンチは、「フェミニズムは、女性たちを伝統的な圧政から自由にすることである」とする。ここでいう圧政とは、原理主義的な宗教、家父長制、セクシュアル・ハラスメント、職場の性差別、家庭内暴力、強姦によって女たちが支配されている状態だとする。

1992年、食道癌により余命数か月と診断される。しかし、彼女は強靭な信念で癌に立ち向かう。病との闘いは、『地獄の季節:メモワール』に描写され、出版されている。

ABBAの歌「The Day Before You Came 」に、マリリン・フレンチが登場している。
“I must have read a while, the latest one by Marilyn French or something in that style.”

英紙「テレグラフ」の要約翻訳はここまで。


日本では、『The Women's Room 女たちの部屋』(1977)が、松岡和子訳『背く女』として出版されている。マリリン・フレンチ、今晩、あなたの闘いに、あなたの愛に、キャンドルをともしながら祈りを捧げます・・・。

http://www.telegraph.co.uk/news/obituaries/culture-obituaries/books-obituaries/5273331/Marilyn-French.html
http://feminist.org/news/newsbyte/uswirestory.asp?id=11678
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# by bekokuma321 | 2009-05-05 17:15 | USA

イギリスの詩人キャロル・アン・ダフィーCarol Ann Duffy が、341年間の英国史上、女性として初めてPoet Laureateに選ばれた。

Poet Laureateは、桂冠(けいかん)詩人、イギリス国王が任命する王室付き詩人と訳されている。Poet Laureateに選ばれたことによって、今後、10 年間、年5,750 ポンドの報酬が与えられるという。

ゴードン・ブラウン首相は「彼女は、多様な人間の経験を感情のひだに染み入る言葉で表し、われわれの想像性を限りなく広げてくれる」と褒め称えた。

彼女はフェミニストだ。詩集『世界の妻』に代表されるように、女性の視点で世界を見直すという野心的な詩を書いている。

その代表作The World's Wife(世界の妻)は、キング・コングではなくクイーン・コング、シナトラ(といっても男性ではなく女性の)、ファウストの妻(いたのか?)、フロイドの妻、サムソンとデリラのデリラなど、あらゆる女たちの気持が描写されているものだという。まだ読んでいないが、ウーン、面白そう!  

http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/8027767.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/8029388.stm
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# by bekokuma321 | 2009-05-02 17:45 | ヨーロッパ

UNDPの男女平等白書

やや旧聞に属するが、昨年の国際女性デーに、国連開発計画UNDPから自身の組織における男女平等についての報告書が公表された。UNDPといえば、世界の男女平等度を調査したGEM(ジェンダー・エンパワーメント指標)で余りにも有名だ。しかし、その本家本元はどうか? 少なくとも国連の機関の中でトップとはいえない現実がかいまみられる。

北欧諸国の女性政策は、まず、内閣や地方自治体など公共機関の男女平等推進をまっさきにターゲットにする。一方、日本の政府や地方は市民に啓発啓蒙するが、自身の内部改革はおざなりである。官僚の管理職に女性の少ないこと! 

というわけで、UNDP自身の内部における男女平等推進を期待したい。

http://www.jposc.dk/documents/Gender%20Parity%20Report%2017%20March%2008%5B1%5D.pdf 
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# by bekokuma321 | 2009-05-02 15:20 | その他