c0166264_134984.jpg衆議院で、共謀罪の強行採決に隠れて、サラリと承認されてしまった協定がある。「日・イスラエル投資協定」。イスラエルへの投資を活発にする約束だ。

イスラエルは、パレスチナを今なお占領し続けている。報道によるとパレスチナ人の3人に1人、中でもガザ地区の2人に1人は、極度の貧困生活にある。

2016年12月には、イスラエルが占領地で進める入植活動の停止を求める国連安保理決議が成立した。オバマ政権下のアメリカが拒否権発動せず、棄権したからだ。しかし、トランプ政権に変わり、決議の行方が案じられる。そんな中での「日・イスラエル投資協定」だ。

ああ、またかとガックリしていたら、これと関係したニュースがノルウェーから届いた。

90万人の組合員を擁するノルウェー最大の労働組合連合LOが、大会でイスラエル製品の完全ボイコットを決定した、というのだ。

LO委員長は、完全ボイコットに反対意思を表明していた。しかしLOメンバーは、委員長の考えとは違う結果を選んだ。賛成197 、反対117 。

ここに至るまでには、1人の女性組合幹部の信念をかけた闘いがあるという。その人の名は、サラ・ベル(40)。

サラ・ベルはLO傘下のベルゲン自治労・一般労働者組合の委員長だ(ノルウェーでは女性の労組委員長は珍しくない。LO前委員長も女性。最近では鉄道労働組合の委員長に女性が就任した)。

サラ・ベルは、LO組合員として何回か現地に飛びパレスチナ人の極限の生活を見、話を聞いてきた。ノルウェーに帰国して報告会を開き、説得を重ねてきた。また、サラ・ベルには、労働組合運動の弱体化と労使の力関係が崩れるとして、非正規雇用に反対する闘いを強め、ベルゲン市が派遣会社から職員を雇うことを中止する契約を勝ちとった実績がある。次はイスラエルの完全ボイコットだった。

LO大会で賛成多数に持ち込んだ彼女は、「議決までは、はらはらドキドキでしたが、結果は完全ボイコットが圧勝しました。まだ喜びに酔いしれています」。そして「パレスチナ人は、余りにも長く苦しみ続けています。この恐るべき不正を許せないというノルウェー一般人の考えが票に反映したのです」(注1)

「LOは国際BDS(boycott, divestment and sanctions)運動を支持し、今後もイスラエル製品のすべてのボイコット運動を国際的に進めます。またボイコットに反対するノルウェー政府に1967年のパレスチナ国家を認め、すべての人々が平等の権利を持てるような、民主的解決を約束させます。私たちの目標はボイコットではなく、イスラエル占領をやめさせることです」と大きな夢を語る。

このたびのLOの結果に、LO委員長も、LO支持政党である労働党党首も、外務大臣も嘆いた。オスロ駐在イスラエル大使は、LOの決議は不道徳なものだと言い、「深く根付いた、ユダヤ国家に向けての偏見、差別、ダブルスタンダードが反映したものだ」と激しい批判をあびせた(注2)。

サラ・ベルは平気だ。ノルウェーメディアは、サラ・ベルの生い立ちを報道したいるが、それによると彼女は、左翼的信条の親を持ち、幼い頃から政治的デモは日常茶飯事だったという。そのうえ彼女の親は、若者の相談員(Utekontakten)をしていて、その関わりから、貧困や格差や薬漬けの若者たちの非行を見聞きして育った。そんな環境から、平等な人間関係を好み、どんなところで生まれても人間は人間としての尊厳を尊重されて生活すべきだという考えを持つようになったのだという。

新聞に載ったサラ・ベルの写真を見て驚いた。右鼻に小さなピアス、両耳には巨大なイアリング、腕には派手な入れ墨。そのスタイルは、労働組合幹部の常識から大きく外れている。型破りだ。そんな彼女は言うーー「私の信念は、平等を求めて連帯すること。連帯して闘うことです」。ほれぼれするではないか。

一方、わが日本を振り返れば秘密保護法、安全保障法、さらに共謀罪。安倍首相に反論ひとつなく、そろってなびく自民党議員たち。彼女の爪の垢でも煎じて飲ませたい。


【写真】「連帯ーーそんなに難しいことではないでしょ」と書くサラ・ベルのFacebook。
【注1】最大労組LOがイスラエルの完全ボイコットを決議した以前に、トロンハイム、トロムソ、リリハンメルの少なくとも3市が議会で議決したと報道されている。3市に限らず他の市も議決したかもしれないが未確認。ノルウェー地方自治体の自立した決断と、国際問題への敏感な対応に驚かされる。
【注2】1814年のノルウェー憲法にはユダヤ人排除の規定があったが、その規定は1851年削除された。そこには作家ヘンリク・ヴェルゲラン Henrik Wergelandの不屈の闘いがあったとされている(Ervin Kohn)

Nederlag for LO-ledelsen i stemmedrama: LO skal jobbe for full boikott av Israel
Defying leaders, Norway trade unionists endorse Israel boycott
Israel reacts violently to LO boycott decision
En rebell klar til Kamp
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
世界一民主的な国
「パレスチナの女性の声」について書かれた速報
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-06-01 01:33 | ノルウェー

民進党への公開質問状

c0166264_20463199.jpg

三井マリ子さんの衆院選をめぐって、裁判は和解で終了しましたが、それとは別に2月8日、民進党幹部に「公開質問状」を出しました。しかし返信は来ませんでした。返事をいただくために努力を重ねましたが、5月10日まで、結局どなたからも返事はありませんでした。

これまでの経緯は、以下をクリックしてご参照ください。

■民進党から返事はありませんでした。
http://samidori.fem.jp/minshinto-kara_henjihakonai-20170510.pdf

上記文書は、さみどりの会の女性と選挙、女性と政治」のページか(↓)からもご覧になれます。
http://samidori.fem.jp/jyoseitosenkyo-jyoseitoseiji.html

女性議員を増やし男女平等の社会をつくるためには、「戦術は単調ではいけない。次なる戦術に移る柔軟さもなければいけない」(べリット・オ―ス)そうです。

今回の事実を胸に刻み、次に進んで行きたいと思います。なお、公開質問状は左下Moreをクリックしてもごらんになれます。

以上、報告いたします。

岡田夫佐子さみどりの会事務局)


c0166264_21251135.jpg
▲弁護士や三井原告から政党交付金のからくりを聞く(秋田市にて)

闘う者は負けるかもしれない。だが、・・・(裁判報告会草稿)
2氏、法廷で応酬 朝日新聞 2014.1.25
選挙運動領収書偽造か 朝日新聞2013.11.2 
        

More
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-05-27 21:26 | 秋田

共謀罪に対する国民の疑問や怒りを代弁した野党議員の質問にまともに応えず、自・公・維は、強行採決した。野党質問は単なる“通過儀礼”のようだ。自・公・維に所属する議員の数が圧倒的に多いからだ。

しかし、この議席は、得票33%で議席61%を獲得となった自民党から明らかなように(2014年衆院選)、私たちの投じた票に比例してはいない。民意を反映しない議員の「数」で、民意をしばることになる深刻な法律を決めたのである。

c0166264_15493424.jpgその上、何度も繰り返すが、人口の半分以上を占める女性がわずか1割以下しか衆院にはいない。

日本の女性割合は、世界194カ国中164位である(2017年5月、IPU)。国連から幾度も是正勧告を受けてきた。政府ですら、「党員・役員に占める女性割合や、衆議院議員及び参議院議員の選挙における女性候補者の割合、地方公共団体の議会の選挙における女性候補者の割合が高まるよう」にという文書を政党に向けて出した。しかし、1強しか当選しない小選挙区制での女性当選は難しく、9%だ。この「極端な男性偏重の場での法律は無効!」と叫びたいくらいだ。

共謀罪と似ているといわれるのが治安維持法だ。この法律があった戦前の日本女性はどうだったか。

何しろ女性には投票する権利も、立候補する権利もなかった。権利がないのだから義務もないのならしかたがない。が、全く違った。女性たちは、「皇道精神および日本婦道の奨励」をする大日本婦人会という組織の下、天皇の赤子を産み育てて兵士として送りだす戦争支援義務を徹底して負わされた(若桑みどり『戦争がつくる女性像』、写真)。

女性による社会主義団体「赤瀾会」は、憲兵隊によって拉致虐殺された伊藤野枝に代表されるように、会員たちが検挙・投獄されたりの迫害を受けて、創設後、数年間で消滅せざるをえなかった。反体制とも言えない矯風会の機関誌『婦人新報』さえ、「ページ数が減らされ、のちに発行部数を半減して会員には回覧で読むように乞うたのだが、ついに紙の配給の割当が受けられなくなり、出版統制のため休刊のやむなきに至った」(久布白落実『廃娼ひとすじ』)。

戦前の日本女性には、人権など、かけらほども存在しなかった。

日本女性が、表現の自由、思想信条の自由、政治参加の自由を獲得したのは、戦後の憲法によってである。「人類の多年にわたる自由獲得の成果」(憲法97条)なのだ。

その自由をしばることとなる共謀罪を、まともな質疑もせずに強行採決とは。その道筋をつくることになったのは、小選挙区制という選挙制度による”歪んだ多数制”だ。承服してはならない、とあらためて思う。

「魔女狩り」と「共謀罪」
小林多喜二から共謀罪を思う
安保法案の成立は小選挙区制のせいである
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-05-27 16:08 | その他

アメリカのトランプ大統領は、疑惑解明に司法省が特別検察官を任命したと聞くと、「すべては魔女狩りだ」と怒った。彼は、「ロシア関係の捜査をやめるよう」FBI長官に指示していた疑惑がもたれている。

魔女狩りとは、いつもながらド派手な言いがかりだ。ロシア介入などなかったのなら、証拠をもとに徹底調査をさせて、疑惑を晴らせばいいだけのことだ。

ところで、今日、国会議事堂の一室で、自・公・維新の3党によって共謀罪が強行採決された。この際、ほんものの魔女狩りとはどういうものか思い出してみたい。

アメリカでは、セーレムの魔女裁判が有名だ。17世紀、ニューイングランド地方のセーレム村で、100人を超す村人たちが次々に「魔女である」と告発され、何の証拠もなく、裁判で有罪とされ、絞首刑となった。

ことの発端は、牧師の娘たちが、ある会合で奇妙な行動をとったことだ。牧師は、娘たちの行動の原因は、使用人である黒人女性によって妖術をかけられたからだと断じた。「自白すれば減刑される」と言われた使用人は、妖術をかけたと”自白“した。さらに、関係者であると密告された村人たちが次から次に告発されていった。

『魔女狩り』(森島恒雄、岩波新書)によると、魔女狩りはアメリカより先にヨーロッパで起きた。「1600年を中心の1世紀はまさしく『魔女旋風』の期間だった」。一説には数十万の女性たち(男性も)が、「迷信と残虐の魔女旋風」の犠牲となって、絞殺されたり、絞殺された上で焼かれたり、生きながら焼き殺されていった。

ノルウェーでも魔女狩りがあったと聞いて取材にでかけたことがある。フィンマルクのヴァルドゥーだ。17世紀、魔女の烙印を押されて逮捕された女たちは、城内の「魔女の穴」に監禁され、拷問で自白を強いられて、その拷問に耐えたとしても、城塞跡から500メートルほど先の火刑場に引っ立てられて灰と煙にされた。

ありえない罪を有罪と断定する決めては何だったか。強いられた「自白」だった。魔女とされた人たちは、審問官が誘導するままにすべてを肯定し、「自白」をしていった。

なにやら、今日、衆院の法務委員会で強行採決した共謀罪に似ているではないか。ある場所に集まって話し合っただけで処罰しようというしろものだ。計画するのは頭の中でのことだから、物証があるはずはない。だから自白と密告しかない。

20世紀のイギリスの最高法院長マクドネル氏の言葉は、警告的だ。

「魔女裁判は『自白』というものが不十分であり頼りにならぬものであることを、他のどんな裁判よりも強力に証明している」(同上『魔女狩り』)

c0166264_1183578.jpg
 ▲裁判で死刑となり焼き殺された"魔女狩りの犠牲者"を記憶にとどめるモニュメント(ヴァルドゥーに2011年創設)


小林多喜二から共謀罪を思う
「むかし魔女、いま大臣」(連載「衆院秋田3区の政党交付金」) 
ノルウェーの魔女裁判から思うこと
魔女モニュメント、オープン
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-05-20 01:40 | USA

支配者が使う五つの手口

4月22日、ベリット・オース(オスロ大学名誉教授)から封書が届いた。

開けたら『支配者が使う五つの手口』というベリット・オースの名著のミニ本が出てきた。「最近、バルセロナで出版されたカタルーニャ語版です。100冊送られてきたので、1冊マリ子に送ります」。

それで思い出したのが、大阪豊中市男女共同参画推進センターすてっぷの館内を飾った『支配者が使う五つの手口』のポスターだ。

c0166264_14544888.jpg


スウェーデン・ヴェクショー市男女平等委員会が作成した『支配者が使う五つの手口』の冊子とDVDを持っていた私は、その表紙を拡大コピーして、大勢の人の目につくところに飾りたいと思った。

すてっぷ館長だった私は、作成者のスウェーデン・ヴェクショー市男女平等委員会に、長いお願いの手紙を書いた。ほどなくスウェーデンから承諾の返事が来た。小躍りしながら、さっそくパネルにして館内に展示した。

さて、ベリット・オースは、「クオータ制」の産みの親だ。1970年代初め、ノルウェーのミニ政党の党首に就任した。彼女は、さっそく党規約にクオータ制を入れた。彼女の実践したクオータ制は、他党をも動かした。80年代になると、労働党の首相グロ・H・ブルントラントが閣僚人事にクオータ制をいれ、大臣の40%を女性にした。ニュースは世界をかけめぐり、日本にも届いた。

ベリットを世界的に有名にしたのは、実は、クオータ制よりも、ポスターの原典である『支配者が使う五つの手口』だ。ベリットは、自身の体験を社会心理学で分析して、男性が女性から自信を奪うテクニックを5つに分類したのだ。

「1 無視する」「2 からかう」「3 情報を与えない」「4 どっちに転んでもダメ」「5 罪をきせ恥をかかせる」。

ほとんどの支配層は、あらゆる被支配層にこの5つを使う、とベリットは言っているが、テレビで安倍首相の答弁を聞いていたら、まさしく、と思った。

続きは、「叫ぶ芸術―ポスターに見る世界の女たち―支配者が使う五つの手口(北欧ほか世界各国)」をどうぞ。


叫ぶ芸術 ポスターに見る世界の女たち (I 女のしんぶん)
ベリット・オース、豊中市、日本会議
ベリット・オース「支配者が使う5つの手口」
ベリット・オース、80歳の闘い
[PR]
# by bekokuma321 | 2017-05-17 15:43 | ノルウェー