衆院選で、自民党は、289小選挙区のうち、218議席を獲得した。これは75.4%に当たる。自民党の得票率は48.2%。全体の半分に満たない票で、8割近い議席を分捕った。

これが「作られた多数派 manufactured majority」と言われるものらしい。

小選挙区制は、第1党に不当に多く議席を与える不公平な制度だと批判されてきたが、今回もそれがはっきり証明された。

また小選挙区制は「死に票」が多い。今回は、全国で2661万票の死に票が出た。全得票の48%だ。投票した人の半数に近い票がどぶに捨てられたことになる。なんとまあ、もったいない!

もったいないどころか死に票の多い選挙制度は「違憲」だという憲法学者もいるという。石川真澄が著書で紹介している。

日本国憲法は、「民意の正確な反映」を要請しているという。憲法学者の長尾一紘は「それぞれの選挙制度を区別するメルクマールは、死に票率のいかんであるということができる」。だから、小選挙区制は違憲であり比例代表制が合憲であると指摘する(労働旬報社『この国の政治』)。

石川真澄は、小選挙区制選挙を「邪悪な選挙」だと批判し、民意をほぼ正確に反映する比例代表制にすべきだと多数の著書を世に出した。

比例代表制のよさは、女性やマイノリティを議会に送りやすいということもある。これを石川はそれほど強調していないが、私には大問題だ。

比例代表制にしたら、政党が候補者名簿をつくる際、男、女、男、女と男女交互にならべるだけで、女性議員が確実に増える。政党で「クオータ制」(どちらかの性を例えば40%以上とするルール)を尊重すればいい。そのほか、政党の姿勢次第だが、3番目には障がい者、4番目にはアイヌ民族・・・というように候補者を多様にしやすい。

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 ▲三鷹市の衆院候補ポスター。自民党は小選挙区で、立憲民主党は比例で当選した。希望の党と共産党は落選した。公報を見る限り、希望の党の女性候補(弁護士)は男女平等推進に関心が強いと私には思えた

案内「選挙が変われば政治が変わる」
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
2017衆院選 微動だにしない男性偏重政治
国会議員年収も政党交付金も世界最高額
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
イギリス6割が選挙制度改革に賛成 
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
女性の衆議院議員は1割に満たず
1年前の今日、政党交付金裁判を終えて
票数が反映しない選挙結果のゆく先は


【上記の2017年衆院選統計は時事通信ウエブページを参照した】
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# by bekokuma321 | 2017-10-29 01:09 | その他

総選挙の結果、衆議院議員465人のうち女性は47人、10.1%にすぎなかった。各種政策で相違を見せている政党も、こと議会の男女平等化ではドングリの背比べのように見える。

「男社会をリセットします」と喧伝した希望の党に期待した人もいたらしいが、希望の党の女性当選者は、小選挙区1人、比例区1に終わった。

女性が党首になっても、女性政策や男女平等政策に見るべきものがなかったのは、イギリスのサッチャー政権で証明済みだ。ちなみに小池百合子は著書で尊敬する人にサッチャーをあげている。

世界の国会(一院)における女性占有率を比べてランキングを公表してきたIPUという組織がある。IPUによると、日本は総選挙前、9.3%で世界193カ国中165番目だった。ほかの国々が変わらないとして、今回の10.1%という数字は、世界で上から161番目となる。ハンガリーと同じランキングだ。先進国中最下位という恥ずべき地位は微動だにしない。

昨日、英ガーディアン紙は、選挙結果について日本政治の専門家の分析を掲載した。

その記事に、日本は小選挙区制中心であるため、得票率と議席率が比例せず、自民圧勝を生んでいるとの指摘があった。小選挙区制は一党独裁を生みやすいだけでなく、女性やマイノリティの議会進出を阻む選挙制度であり、この指摘は重要だ。

それに加えて注目すべきは、エマ・ダールトン博士の弁だ。「日本の男性偏重政治は、あまりに当たり前すぎて、あまりに長く続きすぎて、驚く人さえいないようだ」(和訳FEM-NEWS)と語る。絶妙の表現ではないか。

世界165番目から161番目という、この大スキャンダルが社会問題にならないどころか目に見えていない。日本の報道機関の怠慢さ鈍感さに怒りを覚える。報道各社は大々的に特集を組んで、全政党に具体的な対策をあげさせ、女性の議員をどう増やしていくかを問題にすべきだと思う。


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▲女性議員の少なさを表すため面グラフにした。現行の小選挙区比例代表並立制でも比例区の定数を増やすと女性が増えるはずである

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▲自民党でも女性の割合は選挙区より比例区のほうが多く、公明、共産、維新となると比例区がなければ女性議員はゼロだった。「身を切る改革」などという議員定数削減を「女性当選者を切る改悪」にしてはならない

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▲国会(第1院)に占める女性率で、日本は世界165位(193カ国調査、IPU、2017年9月)。2017年10月の衆院選の結果、少しは上がるだろうが、160位前後だろう。

「衆院選の当選者を図解すると... 女性めっちゃ少ない!」BuzzFeedの小林明子と阿部 結衣子の両エディター
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# by bekokuma321 | 2017-10-24 17:14 | その他

衆院選投票率50%台か

NHKによると衆院選 「投票率は53.60%前後の見込み」だという。戦後最低の投票率と言われた2014年(平成26)の52.66%からやや増えた。しかしなんとまあ棄権の多いこと。

小選挙区制という選挙では、最高得点をとった一人しか当選しない。自分の1票が政治に反映されない可能性があまりに高い。だから馬鹿らしくて投票所に行く気になれない人も増える。

先月、取材してきたノルウェーの最終投票率は78.2%だった。ノルウェーは比例代表制選挙だ。

c0166264_23511488.jpgこれまで、小選挙区制は、得票率が議席数に反映されないことが指摘されていて、民意の反映しない選挙だと強く批判されてきた。

たとえば2012年の衆院選を見る。自民党は小選挙区で得票率43%だったが、小選挙区議席の79%をかっさらった。投票した人の2人に1人に満たない票で、8割近い議席を得たのだ。絶対得票率(上の表[朝日Web]。注)となると、自民党はわずか24.7%で4人に1人に満たなかったが、比例区あわせて全議席の6割を超えた。そのかげで、他候補に入れた3000万以上の票はすべて死に票となった。

一方、比例代表制のノルウェーはどうか。政党ごとの得票率と議席占有率を見る。最大政党の労働党30.8%で33%、保守党26.8%で28%、 進歩党16.3%で17%、中央党5.5%で5.9%・・・。比例代表制という名の通り、得票率に議席数が比例している。大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに得票に応じて議席を出せるのだ。これが、1人1票を生かす選挙というものだろう。

自分の1票が確実に議席に反映する選挙制度をとるノルウェーの投票率が高いのは当たり前だろう。

今回の衆院選では、どれだけ死に票が出るのか。

【注】絶対得票率は、有権者全体の得票率で,棄権した人も含めて有権者全体のなかでその政党 が何%票を得たかを示す

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 ▲衆院選の投票率の移り変わり。小選挙区制が始まったH8(1996)から投票率がガクンと下がった

投票率アップのカギは「優しさ」 総選挙で80%近く ノルウェーに学ぶ(東京新聞)
2017衆院選の政党別・性別候補者
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絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
日本の「自書式」ハンディキャッパーに不利
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# by bekokuma321 | 2017-10-23 00:37 | その他

朝日新聞の2017年10月21日「党派別の候補者数」をもとに政党別・性別に棒グラフにした。

赤が女性候補、灰色が男性候補。

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2020年まであらゆる指導的立場の女性を少なくとも30%に。これが政府の目標だった。しかし、女性の候補者が全体の17.7%では話にならない。

とはいうものの、衆院における女性議員はわずか9.3%にすぎないことを考えると、正当な理由なき突然の解散にしては、健闘したといえそうな政党もある。

現在、日本の女性議員率(第1院)は、世界193カ国中165番目という最下位チームに属している。この女性候補209人が全員当選したとして、全議員の17.7%だから、世界193カ国中112番目か113番目で、トーゴかジャマイカと同じランキングとなる。もちろん先進国では最下位だ(2017年9月1日付IPU調査Women in national parliaments)。


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日本の「自書式」ハンディキャッパーに不利
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# by bekokuma321 | 2017-10-22 19:13 | その他

c0166264_2394327.jpgノルウェーに、女性初の外務大臣が誕生した。イネ・エリクセン・スールアイデ(Ine Eriksen Søreide)だ。これまで防衛大臣だった。

9月の総選挙で、保守中道政権の続投と決まり、アーナ・ソールバルグ(またはエルナ・ソルベルグ)内閣にほとんど変更なさそうだ。スールアイデの外務大臣就任で、首相、財務大臣、外務大臣というトップ3が全て女性となった。

ノルウェーに、女性初という冠がまだ存在していたことに驚いた。首相や財務大臣などには女性が就任してきたが、外務大臣はなぜかこれまで男性だった。現外務大臣ボルゲ・ブレンデは、世界経済フォーラム(World Economic Forum)事務局長に任命されたため、次の外務大臣は誰か話題になっていた。

イネ・エリクセン・スールアイデは、オスロ選挙区から選出されている保守党の政治家。夫も保守党の政治家。2人の息子から花束を贈られたと報道されている。

【写真:Ine Eriksen Søreideのfacebookより】
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# by bekokuma321 | 2017-10-20 23:18 | ノルウェー