お正月早々、アイスランドから「性差別賃金禁止法」施行、というニュースが飛び込んできた。25人以上の雇用者をかかえる私企業や公的機関は、男女平等賃金にしなければ罰金を科されるので大慌てだと、ガーディアン紙は報道する。世界で初めての法律らしい。

追いかけるように、昨夜、ドイツから似たようなニュースが届いた。報道によると、ドイツでは、女性が同種の仕事についている男性の賃金を知る権利を持つとされる法律が施行となる。ファイナンシャル・タイムズは「逆に、女性より不利だと思われる男性もその権利を行使できるとされているが、実際、そうしたシナリオはありえないだろう」と書いている。

こちらは、200人以上の雇用者をかかえる会社や公的機関に適応される。アイスランドよりはるかに企業よりの規制とはいえ、ヨーロッパ最大の経済大国ドイツが、一歩前に進んだことは、朗報だ。

c0166264_10521567.jpg日本はどうか。最新の発表で、女性の賃金は男性100に対して73にすぎない。しかもフルタイム職のみの数字だ。この日本の男女賃金格差は、OECD加盟国のなかでワースト3。

国会における女性議員割合が世界193カ国中165番目という驚くべき低さに甘んじているこの日本では、男女差別賃金解消など、国会審議から置き去りにされている。

賃金差別解消に責任を負うべき厚生労働省の役人は何をしているか。実態調査だの、意識調査だの、「見える化」だのと小難しい文章をただただ流しているだけ(右の冊子)。中身のかったるさは一読してわかるが、ここでは文章ではなく、そのシンボルマークにひとこと。冊子の左下にあるイラストだ。「女性よ頑張れ」といいたいのか「女性が頭をかいている」のか意味不明だ。ともかく、これでは「性差別企業よ、心配せずにこのまま差別をどうぞ」だろう。

Once more, Iceland has shown it is the best place in the world to be female
German companies forced to reveal gender pay gap
6 Perspectives on the Future of #MeToo
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# by bekokuma321 | 2018-01-09 11:00 | ヨーロッパ

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1月5日、朝日新聞は「クオータ制」をわかりやすく解説していた。題して「(いちからわかる!)日弁連も始める『クオータ制』って?」

昨年12月8日の日弁連臨時総会で決まった副会長のうち2人は女性にするという「クオータ制」記事(河原理子記者)のフォローアップだ。

これを機に、世界の国々に影響を与えてきた「クオータ制」の産みの母ベリット・オースに心から敬意を表したい。ベリット・オースは、オスロ大学名誉教授。左派社会党初代党首、アスケル市副市長、市議会議員、国会議員を歴任した、卓越した指導者だ。2003年、来日して、大阪府豊中市男女共同参画推進センター「すてっぷ」や、名古屋市、高知市、武生市で講演をしたこともある。

1980年代、私はノルウェーでクオータ制を初めて知った。「これぞ女性を政界に増やす秘策」とひざをたたいた。日本でも、と翻訳・紹介し、何十もの記事を書き、講演しまくった。何年間かで日本でも導入しようと…。今思えばなんと無謀だったことか。赤面してしまう。

「クオータ制」という日本語に決めるまでは悩んだ。ノルウェー語ではKvote。英語にするとQuota。日本語では「割り当て」だが、どうもしっくりこない。発音をカタカナして紹介したほうがよさそうだ。でも、中学英語にあるクオーター(4分の1)と間違えやすい。Quotaだけでなく、Quota systemとセットで訳したほうがいいのでは。発音をカタカナにするとクオウタか、クウォータか、クォータか。ノルウェー王国大使館広報官の方々と、ああでもない、こうでもないと、頭をひねった。

あれから30年。ようやく日本でも普通に「クオータ制」が話題に上るようになった。

ベリット・オースは、1973年、民主社会党(現在の左派社会党の前身)党首だったとき、自党にクオータ制を導入した。選挙の候補者の半数を女性にしたのだ。「50%クオータ」だった。クオータ制を政策決定に女性を増やす策として使ったのは、これが世界初のことだった。

ノルウェーでも、クオータ制の道は平たんではなかった。その歴史は、『ノルウェーを変えた髭のノラ:男女平等社会はこうしてできた』(明石書店)に詳しい。あらましは●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第2回でも読める。

彼女の実践した政界におけるクオータ制は、男性の育児参加や、教育界、経済界に広がり、さらに国連やEU諸国に波及していった。関心のある方は、右の「タグ欄」から「クオータ制」をクリックしてどうぞ。

【写真:90歳近くになっても女性解放の炎を絶やさないベリット・オース。ノルウェーのアスケル市自宅にて】
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# by bekokuma321 | 2018-01-07 22:11 | ノルウェー

FEM-NEWS愛読者のみなさん、新年あけましておめでとうございます。

2018年も、世界の女たちの闘いぶりや心躍る動きを記事にしてまいりますので、ご支援をよろしくお願いいたします。

記事についてのご質問・意見や、講演・執筆のご依頼は、mariko-m(a)qa2.so-net.ne.jp までお気
軽にどうぞ。(a)をアットマークに変えてください。

昨年は、1947年第1回統一地方選から70年という記念すべき年でした。それまで天皇が議員を任命していたのです。その地方選は、女性が男性と同様に参政権を行使した選挙でもありました。

そして70年後。日本には、まだ女性議員が誰もいない「女性ゼロ議会」が数多く残っています。4月、群馬県で、そんな「女性ゼロ議会」をなくすための集いを全国フェミニスト議員連盟主催で行いました。女性の代表がいないことの非民主性や損失をアピールできたように思います。

夏には、最高裁によって、唯一の女性議員の議員資格をはく奪した町の違法性が認められました。西岡恵子議員が徳島県藍住町に勝ったのです。胸が熱くなるほどの喜びでした。

秋には、ノルウェーに飛び、国会議員選挙の取材をしてきました。東京新聞1面トップ記事に掲載されたおかげで、民主主義世界一の国の一端を多くの方に知っていただくことができました。

ただ、ノルウェーから帰国した私を待っていたのは、安倍首相による解散総選挙。比例代表制選挙の国と、小選挙区制の国との違いをこれでもかと見せつけられました。

12月は、取材してきたばかりのノルウェーのオスロ市庁舎で「ノーベル平和賞」授与式がありました。サーロウ節子さんの力みなぎる核兵器禁止スピーチを聞き、深い感銘を受けました。

私は、都立高校教員を経て都議(2期)。法政大学講師から大阪府豊中市男女共同参画推進センター初代館長、福井県武生市初代男女平等オンブッド(オンブズマンのこと)などの職を経てきました。そのかたわら、ずっと女性運動を続けてきました。

都議時代、東京都労働局にセクシャルハラスメント防止施策を初めて実施させました。当時、ILO発行の国際調査報告書によると、日本で初めて、唯一の公的制度でした。東京都のセクシャルハラスメント政策は、全国の自治体に影響を与え国も関心を持つようになりました。しかし残念ながら、いまだに日本では法律をもってセクハラは禁止されていません。

お茶の水女子大学を卒業した後、フルブライト奨学金でアメリカ・コロンビア大学で修士を修了(家族・地域教育学)。ノルウェーの民主主義の原点を探り続けています。

主著書『バックラッシュの生贄――フェミニスト館長解雇事件』(共編著、旬報社)/『ノルウェーを変えた髭のノラーー男女平等社会はこうしてできた』(明石書店)/『女たちのパワーブック』(ノルウェー労働党女性局編)(共訳、かもがわ出版)/『ママは大臣 パパ育児ーーヨーロッパを揺るがす男女平等の政治』(明石書店)/『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』(毎日新聞社)/『セクハラ110番』(集英社)

三井マリ子(FEM-NEWS編集・主宰)

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 ▲ノルウェーの高校生は、選挙前、校内に全政党候補者を招いて討論会をする。左から、赤党、左派社会党、労働党、中央党、緑の党、民主主義党、キリスト教民主党、自由党、保守党、進歩党、リベラル党。政策が左寄りか右寄りかに対応して、左から右へ極左から極右まで並ぶ。この後、選挙運動、模擬投票と続く。スクール・エレクションと呼ぶプロジェクト。日本の文部省にあたる教育省も支援する。(2017年8月25日、エルブルム高校)
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# by bekokuma321 | 2018-01-06 19:23 | FEM-NEWSについて

12月27日、福島県郡山市の蛇石郁子市議は、埼玉県に要請文を送った(注)。

埼玉県議会の出した「原発再稼働を求める意見書」をなんとしても撤回してほしいという要請だ。左下のMoreをクリックすると要請文が読める。

埼玉県議会の意見書は「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」。長すぎてわかりにくいが、「原発の再稼働をしてほしい」と言うものだ。12月22日(金)に採択された。

都道府県議会が「再稼働を求める意見書」を提出するのは初めてのことだという。福島原発事故の現状には一切触れられていない。原発立地地区の住民に犠牲を押し付つけ今も苦しむ被害者を見捨てる安倍政権の姿勢を“忖度”したかのような意見書だ。

要請文のほうは、蛇石議員の属する「虹とみどりの会」とともに怒る団体や市民たちの賛同入りだ。

この、とんでもない意見書を出した埼玉県議会には、2015年の選挙で当選した93人の議員が座る(欠員6)。自民52、民進・無9、公9、県民8、共5、改3、無1。

「原発の再稼働をしてほしい」意見書に賛成した議員は、自民(52人)、県民会議(8人)の2会派に属する60人。これで64%の圧倒的多数となる。反対は、民進・無(9人)、公明(9人)、共産(5人)、改革(3人)の4会派。

強調したいのは、この議員たちが当選した2015年の埼玉県議会選挙のおどろくべき低投票率だ。わずか37.68%と、4割に満たない。しかも52の選挙区のうち半数の26選挙区が定数1の「小選挙区」である。そのなかには対抗馬がおらず、選挙そのものがなかった選挙区が9つもある。

衆院選での小選挙区がいかに民意を反映しないものかについて、よく指摘されている。埼玉県の「定数1」の選挙区は、それがそっくり当てはまる。

小選挙区制では、最強のたった1人のみ当選となり、そのほとんどは自民党だ。その人以外の候補者に投票した有権者の票はことごとく死に票となる。これがどうして「民意を反映する選挙」と言えるだろう。

こうした「民意を反映しない選挙」で議員になった人たちによって、今回の意見書が採択されたのであり、この意見書が埼玉県民の民意を反映したものでないことは明らかだろう。

埼玉県の意見書に反対の意思を表明したい方はネット署名もできる:
●キャンペーン · 埼玉県知事および埼玉県議会 埼玉県議会が可決した「原発再稼働を求める」に反対します。 · Change.org
http://urx3.nu/HLE1

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       ▲「原発はいらない」(ドイツ語)の横断幕

埼玉県議会 平成29(2017)年12月定例会 意見書・決議(「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」の内容が読める)
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチが語る福島
放射性廃棄物の処分場に指定された町
男性偏重政治が原発政策にもたらす弊害
女性の約7割、原発NO!
原発反対、女性65%、男性49%(2011年12月)
原発反対、女性50%、男性34% (2011年6月)
原発事故から考える民主主義

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# by bekokuma321 | 2017-12-28 21:17 | 紛争・大災害

うれしいニュース! 今年の「単語賞」は、フェミニズムだそうだ。メリアム・ウェブスター英英辞典が選んだ。Facebookで数日前に紹介したが、FEM-NEWSでもお知らせする。

メリアム・ウェブスター英英辞典サイトによると、今年1年、メリアム・ウェブスター辞典でもっともチェックされた単語、それがフェミニズムだったそうで、これによっていかに多くの人々がフェミニズムという単語に関心を寄せたかがわかる。

フェミニズムは、今年1月、ドナルド・トランプ大統領就任に反対する、ワシントンDCでの女性の行進(Women’s March)ニュースが広まったころから、調べられ出した。

その後、この行進はフェミニストがするものなのか、企画した人たちや参加者は、どういうフェミニズムなのかと話し合われたことにより、再びフェミニズムへの関心が高まり、検索度が上昇した。

さらにトランプ大統領顧問となったケリーアン・コンウェイ(共和党、トランプの選挙対策本部長)がはいた名セリフで、またもや急上昇。あまりFEM-NEWSに載せたくないのだが、コンウェイの、そのセリフを下に和訳すると・・・

「私は、伝統的な意味からいうと、自身をフェミニストとは考えていません。なぜなら、フェミニストは、”男性嫌い”、”妊娠中絶賛成派”ととられるからです」

フェミニズムの波はそれで終わらず、#MeToo(「私も」運動)に代表される、セクシャルハラスメントや性暴力告発の運動の広まりとともに、まだまだ検索され続けている。

メリアム・ウェブスター英英辞典を引いてみると、Feminismは、こう書かれている。
1 性による政治的、経済的、社会的平等を求める理論(the theory of the political, economic, and social equality of the sexes)
2 女性の権利と利益を求める組織的な活動(organized activity on behalf of women's rights and interests )

さて日本だが、2018年1月に発売される岩波書店「広辞苑」第7版で、「フェミニズム」「フェミニスト」の意味が改善されるらしい。

明日少女隊などから「誤解を招く」などと書き換えを求められていた。ネット署名も行われた。「広辞苑」第6版は、どう書いているかというと:

「フェミニスト」は「①女性解放論者。女権拡張論者。②俗に、女に甘い男」。
「フェミニズム」は「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする思想・運動。女性解放思想。女権拡張論」

どう変わるかは、来年出る第7版を見てのお楽しみらしい。

変革のきっかけをつくった明日少女隊は、2015年に誕生した、様々な性別の第4世代若手フェミニストによる、社会派アートグループ。「すべての性の平等がみんなの幸せ」をテーマに、展覧会やパフォーマンス、レクチャー、インターネットを通じて、日本の女性が抱える社会問題についての作品の発表やアクティビズムを展開している。なんてチャーミングな団体だ!

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2017 Word of the Year: Behind the Scenes:How we chose 'feminism'
明日少女隊
わたしはフェミニストなんかじゃない。でも、なぜ?
反トランプと子猫ちゃん帽
スウェーデン「フェミニスト政府」の偉業
スウェーデンのフェミニスト外相
「日本会議」に向かって闘いを挑んだ本:『バックラッシュの生贄』を読んで
「むかしMattoの町があった」と金子準二精神科医
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# by bekokuma321 | 2017-12-27 00:47 | USA