人気ブログランキング | 話題のタグを見る

どうしたら女性議員を増やせるか? 30年前から活動する全国フェミニスト議員連盟の催しが、2月18日にありました。ノルウェーでとくに子どもたちがどう選挙に関わっているのかを取材してきた三井マリ子さんによる、写真とトークでした。そこには積極的に政治に参加している子どもたちの姿、そしてそれを可能にしている社会のシステムがありました。


速報「子どもの時から学ぶノルウェーの選挙と政治」ーー全国フェミニスト議員連盟シンポジウム_c0166264_10161407.png

写真1(左)は小学校A。小学5年生が自分たちで作ったアンケート用紙を持って、オスロの政党の選挙小屋に行って質問して、答えを学校に持ち帰って討論するというものでした。引率の先生も写っています。


次の写真はオスロの小学校B。小学7年生の社会科の授業。こちらは生徒たちが、実際の政党の党員になったつもりで、選挙用の政党ポスターを作って、選挙運動をし、模擬投票まで行うというもの。ポスターには、自分の選んだ政党の政策を自分の言葉でまとめてあります。生徒たちは、それぞれ主要政党9つからひとつをアトランダムに選んだのだそうです。


速報「子どもの時から学ぶノルウェーの選挙と政治」ーー全国フェミニスト議員連盟シンポジウム_c0166264_10314815.png

次はオスロから2時間ほどの山間の自治体オーモット市の中学2年生(右)。市の投票所に中学生が授業の一環で見学に来て、市の職員の説明を聞いている写真です。生徒たちのすぐ横を、投票に来た一般市民が通り抜けて、投票箱に1票を投じている、そんな臨場感のあふれる風景です。


次は高校1年生の社会科クラス。生徒はグループに分かれ、各グループが政党1つを選んで、政党の目的、選挙公約、政党の特徴などを調査、発表します。「私たちのグループは、支持できない政党を選んだ。その政党は妊娠中絶反対だが、私たちは個人の自由選択に任せるべきだと思う。だから、党の政策や経緯を調べて、なぜその党が妊娠中絶反対かを知りたかったから」と三井さんに答えたそうです。


次は高校生徒会主催のスクールエレクション。全政党の代表が学校にやって来て、選挙公約を高校生に訴えます。会場は高校生で満杯。会場の外には、全政党がスタンドを設けていて、生徒たちと対話。1週間後に校内で模擬投票。その投票結果は全国集計されて、大々的に報道されます。新聞は1面全部を使って報道していたこと(下の写真)、テレビ報道では女子高生が教授と対等に意見交換していたことに、マリ子さんは感動したそうです。


速報「子どもの時から学ぶノルウェーの選挙と政治」ーー全国フェミニスト議員連盟シンポジウム_c0166264_10380780.png

では、このような学校教育を可能にしているシムテムはどうなっているのか?


まず目を引いたのは、ノルウェー国会がネットで入党を奨励していることです。国会のホームページには「政党の党員になろう」「政党には青年部があって、政党に影響を与える最高の機会はこの党青年部を通してです」とあります。


さらにノルウェー教育法や、小中学校向けカリキュラム(指導要領にあたる)も紹介されました。以下はカリキュラムのポイントです。

学校は、民主主義とは実際どんな意味なのかについて、生徒に参加させて学ぶ機会を提供すること

民主主義的な価値観は、全学習における積極的参加を通じて養成すること。学校は偏見と差別に対抗できる民主主義的な価値観と態度を養成すること

学校は、子どもたちや若者が民主主義を実践的に体験する場でなければならない

このような経験は、今価値があるだけでなく、生徒たちが、社会で責任ある市民になるための準備となる


読んでわかるのは「民主主義」「参加」の大切さです。それがあって、教育現場で子どもたちが生き生きと政治活動できるのだな、と思いました。


最後のNRK(NHKにあたる)で働く2人の言葉は印象的でした。


速報「子どもの時から学ぶノルウェーの選挙と政治」ーー全国フェミニスト議員連盟シンポジウム_c0166264_10510141.png

「ノルウェーでは中高生の時、政治に関心を持ち始めます。自分のイデオロギーや価値観を社会で実行するために政党青年部に入って、活動を積み重ね、議員候補になります。それが普通のことです。ノルウェー人は『一人一人の声は大切』と考えます。日本人は『私が何かしても変わらない』と思う人が多すぎます。問題意識はあってもPolitical Outletがないようです」


「ノルウェーにはお金のために議員になる人はいないと考えてください。地方議員は基本的に無報酬のボランティアです。国会議員でも比較的収入は少なく、議員の収入について議論がありましたが、結論は、代表たるもの、代表している人たちを超えてはいけないということでした」


講演後、日本の学校の実情、とくに「主権者教育」について、①全国フェミニスト議員連盟によるアンケート調査の結果、②現場の教師の取り組みについて貴重な報告がありました。


アンケートは1月1日から2月15日まで行われ、集計数は26。何らかの形で主権者教育を行なったところは小中学校の84.6%。社会科や特別活動の時間に実施、内容は子ども議会開催、生徒会役員選挙などです。


現場の教師によると、学校で教員は、教育基本法14条第2項の「政治的中立」を心配しながら行動している、ということです。とはいえ、日頃、授業で、子どもの権利条約や子ども基本条例の話をすると、子どもたちは理解できているのがわかる。主権者教育を阻んでいるのは「政治的中立」という言葉、教師の意識、周りの大人たちの意識ではないか、ということでした。


フェミ議連アンケート報告後にあった質疑応答コーナーで心に残ったのは、ノルウェーから参加した方の発言でした。


「子どもと大人の関係が、日本とノルウェーでは大変異なっている。ノルウェーの子どもたちは、自分のことは自分で決めるし、子ども自身が決めることを大切にしている。日本では子どもはまだわかっていないからと、大人が決める風潮があります」


最後に、「日本が子ども権利条約を批准して何十年にもなります。条約は、子どもは自分の意見を自由に表明し、共有でき、政治団体にも参加することもできる、と言っています。案外知られていないようなので、皆さん、どんどん広めていきましょう!」という三井さんのエールで終わりました。


山城 和代(東京都小金井市民)



【写真:三井マリ子講師作成のパワポより】


世界一民主主義の国はノルウェー (2022 Democracy Index by EIU) : FEM-NEWS (exblog.jp)

スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー) : FEM-NEWS (exblog.jp)

EducationAct - regjeringen.no

Corecurriculum – values and principles forprimary and secondary education -regjeringen.no



# by bekokuma321 | 2024-02-20 11:07 | ノルウェー

223日(金)は、楽しく比例制をすすめる会のオンライン会合。スピーカーは王貞月さん。


さきごろの台湾の総選挙で、女性は国会議員の41.6%を占めました。日本は10%ですから驚きます。ところが、選挙制度は、日本の衆院とよく似た「小選挙区制比例代表並立制」だそうです。では、なぜ、日本とは比較にならないほど多くの女性が立候補し、当選できたのでしょう。


参加希望の方は、下記がリンク先です。お気軽にどうぞ。 


Zoom ミーティングhttps://us06web.zoom.us/j/81317659879?pwd=IFf5Xa9op8gC9AXV7ZVyaZbaTwf9xs.1

ミーティング ID: 813 1765 9879    パスコード: 780055


金子 加代(楽しく比例制をめざす会



案内2/23(金)「女性議員41%の台湾総選挙には何がある?」by 王貞月_c0166264_21350650.jpg


2024年台湾総統・立法委員選挙におけるジェンダー平等 by 王貞月 : FEM-NEWS (exblog.jp)

大好きな日本だからこそ比例代表制をーーー書評『さよなら!一強政治』(王貞月) : FEM-NEWS (exblog.jp)


# by bekokuma321 | 2024-02-20 01:44 | アジア・アフリカ

今から32年前の1992年2月14日、全国フェミニスト議員連盟が産声をあげた。翌2月15日(土)、その発足集会「ふやせ!フェミニスト議員」を持った。それを知らせる記念すべきチラシが見つかった。


32年前に産声をあげた全国フェミニスト議員連盟_c0166264_22394106.jpg


実は、昨日2月18日、全国フェミニスト議員連盟主催「子どもの時から学ぶノルウェーの選挙と政治」で、三井マリ子がパワポで示したチラシだ。

昨日のテーマは、ノルウェーの”主権者教育”についてだっため、同会について説明する時間は持てなかった。なので、少し説明したい。

全国フェミニスト議員連盟は、女性議員を増やすために、クオータ制をよびかけた日本で初めての団体だった。クオータ制は、ノルウェー語のkvote、英語のquotaの日本語訳。ノルウェーでは、1978年制定の「男女平等法」を改正した1988年から、「あらゆる公的機関の決定の場は、一方の性が40%から60%でなければならない」とされた。法文には書かれてないものの、これがkvoteだった。あらかじめ、一定数を割り当てておくことを指す言葉で、割当制(わりあてせい)と訳された。

しかし、決める場を男女平等にするツールとして日本に”輸入”するには、どうもしっくりこなかった。そこで、ノルウェー大使館とも相談して、「クオータ(割り当て)」と訳すことにした。誰も使っていなかったため、初めはドキドキしたが、しだいに口を開けば「クオータ」「クオータ」。周りからは「えッ、クウェート?」と言われたりなどさんざんだったが、いずれわかってくれる時が来ると、おおらかだった。

そして、全国フェミニスト議員連盟設立にあたって、規約に盛り込むこととなった。世界初のクオータ制を実行していたノルウェーは40%だったが、「とても無理」「国連でも提唱していた30%がいい」となり、あらゆるレベルの議会の女性議員を「少なくとも30%のクオータに」となった。それでも1992年当時のことを考えると、先鋭的だったと思う。実際、マスコミは「クオーター」と書くミスが多かった。そのたびに「クオーターは4分1という意味です。私たちの求めているクオータはタの後は伸ばしません。割り当てという意味です」と訂正にやっきだった。

クオータ制よりも、話題や批判を呼んだのは、会の名に入れた「フェミニスト」という言葉だった。過激だ、アメリカの受け売りだ、誤解される、普通の人は知らない、もっと親しみやすい語がいい、日本語がいい・・・など難色を示した人も多かった。だが、代案が出てこなかった。話し合いに次ぐ話し合い。二転三転して、結局「全国フェミニスト議員連盟」に落ち着いた。

チラシのイラストは、アーティスト石橋初子作「女のかるた」だ。正夢になれ女の議員50%・・・女性議員50%を掲げたのは、若さと情熱ゆえだったかもしれない。

それに、このチラシのタイトルがにくい。女性議員を増やすための市民団体なのだが、ズバリ「ふやせ!フェミニスト議員」。女性の自立と解放を求めるフェミニストの議員を増やしたい、という意志を感じさせる。

女なら誰でもいい、などとは言ってなかった。男なら誰でもいいはずがないのと同じだ。それなのに、「女性議員を増やそうだなんて、女なら誰でもいいというのか。間違っている」と、外野から批判の矢が飛んできたことを覚えている。

ノルウェーでは、政党がクオータ制を自主的に決めて、選挙の「候補者リスト」の40%以上を女性にしてきた。今では、国会も地方議会も女性議員は40%を超えた。女性だけでなく、ハンディのある人、移民系の人、先住民族サーメ人も進出している。比例代表制選挙だからこそ、である。

一方、わが日本。30年以上も運動を続けなくても女性議員は増えるだろうと思っていたが、本当に甘かった。いまだ、衆議院はわずか10%。地方自治体には誰も女性議員がいない「女性ゼロ議会」は200もある。

小選挙区制(正確には多数代表制)を変えない限り、「正夢」になりそうもない。


【更新 2024/2/24】

# by bekokuma321 | 2024-02-19 23:32 | 日本

「叫ぶ芸術」という原稿をI 女のしんぶん』に連載している。これまでも読者の感想に励まされてきたが、先日届いた七尾市に住む旧友の手紙にはとくに胸を打たれた。甚大な被害をこうむり断水が続く、その渦中にいる人からの長い手紙……。私だけでなく、受験に失敗したり、人生に悩んでいる少女たちにも読んでもらえたら、と思った。筆者の承諾が得られたので、ほぼ全文を掲載する。ただ、こそばゆいほどの私への誉め言葉は笑って読みすごしてください。


■■■■■■■ 三井マリ子さんへの手紙  私の来し方 ■■■■■■■


「叫ぶ芸術」をいつも愛読しています。とくに今月号(2024/2/10)は、読みながら、自分の子どもの頃と勉学について、改めて思い起こさせられました。見出しの「男女平等教育こそ平等社会への道(フィンランド)」は言い得て妙です。これが本になったら、ベストセラーになるでしょう。


■何のために学ぶのか

私たちは何のために勉強するのでしょう。私腹を肥やし贅沢三昧の権力者になるためでしょうか。身を立て名を上げ郷土に錦を飾るためでしょうか。いえいえ、そんなのは美しくありません。


この世から不幸を無くすために学問はあるのです。小学校5年生のとき、富山市へ修学旅行にゆきました。そのときに『ナイチンゲールの伝記』を買いました。帰宅して涙を流して読みました。


行動を起こす女が明日を創るーー「叫ぶ芸術」を読んで思い出す”私の来し方” by 古田励子_c0166264_10462643.jpg
     ▲「叫ぶ芸術」第127回 男女平等教育こそ平等社会への道(フィンランド)


5ヶ国語ができたナイチンゲールは、その語学力を生かしました。戦地で、敵国のロシア兵を自分の病棟のベッドに運び入れます。やがて死を迎える若い兵士が、故郷の母に手紙を書いてほしいとナイチンゲールに頼みます。ロシア語も堪能な彼女は、その兵士のために代筆します。この場面で、少女の私は嗚咽しました。子どもだった私は「私も勉強してこんな人になりたい」と思いました。


あの頃は田舎では受験戦争なんてなかったけれど、ナイチンゲールのおかげで、私は良く学校の勉強もしたし、熱心に読書もしました。担任の先生も良かったのですが、私は本当に勉強し、頑張りました。飲み込みがよいとは言えなかった私ですが、ひたすら真面目に頑張るので、成績は良かったのです。


■ナイチンゲールへの憧憬

大人になって行く過程で、あるいは世の荒波の中を生きて、ヨレヨレになることもあった私ですが、底流にナイチンゲールへの憧憬がありました。いや、実は今もなお、あります。


『ナイチンゲールの伝記』には、晩年、「私は寂しい」と彼女は言った。お付の人が「全世界があなたをたたえて愛しているのに何故?」。彼女は「私には夫も子どももいない…」と言うような内容もありました。私は、特別な人でも、家庭が必要なのかな、そんなものなのかなあと、子ども心に思いました。彼女には、言い寄ってくれたすばらしい男性がいました。けれど礼拝所で、ゆくべき道に迷って、祈った時に光が差してきて彼女のゆく道を指しました。それで結婚を諦め、看護の道にゆくことに決めたのです。とはいえ、あくまで、伝記を書いた作者の言葉ですから、事実が正確に伝わっているかどうか分りません。細かいことは忘れてしまったのですが、兵士の母への代筆。不眠不休の看護。最晩年の寂しさーーその3点は忘れられないのです。


■一人の真実のある人がそれを鮮明に掲げると周囲は動く

NHKテレビで、少し前、ナイチンゲールのドキュメントをやっていました。それによると、彼女は数学や科学の知見も素晴らしくて、今の看護学、医学の基礎となることを計画実行したとか。すごいです。自立し解放された女性です。2020年はナイチンゲール生誕200年だったので、いろいろ特集があったようです。


日本国憲法第24条を書いたベアテ・シロタ・ゴードンにしても、環境問題を告発した生物学者レイチェル・カーソン、気候変動環境問題の活動家グレタ・トゥンベリも、一人の女性です。自己実現し、己の天才を開花させた人たちです。そんなことを、つくづくと思っています。一人の本物が世界を動かすのですねー。


一人だから駄目だではなく、本物の、真実のある人が世界を動かすのですね。誰もが必要とする、その必要性を鮮明に掲げると、周囲は動くのです。ざわめき伝わってゆくのです。


■面白くて愉しかった、受験に縛られない教職経験

まるで運命が私にご褒美をくれたように、高校教員を定年退職した後、66歳から6年間、看護科と福祉科のある高校で講師をしました。純粋で真面目な、質のよい生徒たちで、騒がしさなど全然なく、充実した幸せな教職生活でした。古典と国語表現と現代文の担当をしました。その学校は医学と看護、福祉の勉強と実習がメインで、国語は受験科目ではありませんでした。なので、結構自由に教材を選んだり、進度に縛られず、良心的に思いを込めて授業ができました…。


現代文では、泉鏡花の高野聖や、吉川英治の新平家物語などを。国語表現では、例えば新聞の切り抜き(朝日新聞)を生徒の枚数分を印刷して教材にあてました。シリーズ高齢社会です。日本をはじめ、韓国やスウェーデン等各国の高齢者の生活を取材したシリーズで、経済・孤独・健康の3Kが高齢社会の問題点であることが浮き彫りにされていました。


兎に角、生徒たちにどんどん読ませて概要を捉えさせる、そして印象的な場面を書かせるなど、をしました。国語表現は本当に面白くて、教員である私の方も随分と勉強になりました。古典は初歩の徒然草など…。自分にあたわった能力を平和のために使うこと。人間の様々な面を歴史的にも知ること。ここに書ききれませんが、愉しかったのです。


■山形で苦しい思いを吐き出して 

連想して、思い出したことがあります。1977年、私が34歳のとき、第2回全国高校女子教育問題研究会の山形大会がありました。基調講演はもろさわようこさんでした。私は、もろさわようこさんの『おんなの歴史』を読んで、いたく感動していたので、ぜひ、もろさわさんに会いたいと思って、1歳半の末っ子を家に置いて参加したのでした。


分科会は、誰も知らない人ばかり。私は、思い切って本当の自分の苦しい思いを吐き出しました。その分科会にいたのが三井マリ子さんでした。


その後、しばらくして、三井マリ子さんから私に手紙が来たのです。「貴女は解放された女性です『国際婦人年をきっかけとして行動を起こす女たちの会』に入会しませんか」という内容でした。


それから、それから。私は、行動を起こす女たちの会のメンバーになりました。1985年にケニヤのナイロビで開かれた国連の世界女性会議にも参加したし、マリ子さんの選挙応援演説に杉並にも行きましたね。


■能登原発反対の「なまこの会」で12万の署名

この度の能登半島地震で、珠洲に原発がつくられなくて、本当に良かった! と思っています。


チェルノブイリ原発事故(1986年)の後、私は、能登原発反対の「なまこの会」に参加しました。私の宛先で、全国から12万の署名を集めました。


反対署名の話になったとき、運動の中心になったお寺の檀家に北陸電力の偉いさんがいるとか、関係有力者が親戚だとか・・・で、代表名を出すことに尻込みをする男性が多かったのです。私にはそんなしがらみが全くありませんでしたし、社会的にあまり重要視されない女性という性でした。そんなことが重なって、私が署名の宛先になりました。12万の署名は、北陸電力に提出しました。


珠洲市の原発誘致の動きは1970年代からありました。「珠洲市に1000万キロワットの一大原発基地を」と関西電力社長は言っていました。その一方、すでに70年代末には、珠洲原発反対連絡協議会(地区労など)ができ、原発反対の動きは80年代には活発になりました。


私たちは、珠洲市役所に乗り込んだり、各家庭へビラ配付などしました。すごーい盛り上がりでした。こうして2003年、珠洲市の原発構想はつぶれたのです。若い日の行動を今更ながら思い出して、頭を撫で撫でしています。

思い出せば色々と…「行動を起こす女が明日を創る」のスローガンはいまも私の中に息づいています。わが人生にマリ子さんあり、でした。


■平塚らいてう、お釈迦様

大好きな「平塚らいてう」の文章に、「人間解放とは潜める天才を開花させること」という趣旨の言葉があります。三井マリ子さん、貴女は、私にとっては、ナイチンゲールや平塚らいてうの精神を、(そこまで有名ではないけれど)具現化している人なのです。貴女は、自分を頼み、自分の内心に嘘をつかず、堂々と闘って生きて来た。私は貴女の見識に脱帽します。


お釈迦様の臨終の言葉

「自己を灯明とし

自己を頼りとして生きよ

他に頼ってはならぬ

諸行は無常である

すべからく努力せよ」


が、私の心の柱にあります。自分を開花させるということに通底していると思っています。私は、生徒たちにも、自分の子どもたちにも、そう教えてきました。


■行動を起こす女が明日を創る

私の中では、今でも貴女は、初めて会ったころの20代のマリ子さんです。強そうなことを書きましたが、私も80に手が届き、現実の私は、頭も体も衰えを感じることがあります。こんな心の奥のことを書くのは恥ずかしいのですが、勢いに乗って書いてしまいました。マリ子さんは、まだ頑張り時ですよ。悔いなく存分に生きて下さいね。応援しています。


「行動を起こす女が明日を創る」


お休みなさい    


古田 励子 (石川県七尾市民、元高校教員)


# by bekokuma321 | 2024-02-06 22:13 | 日本

129日の朝日新聞によると、山谷えり子参議院議員は、201822年、2403万円もの巨額の収入を、政治資金収支報告書に書いていなかった。自身のホームページで明らかにしたという。



山谷えり子議員は、日本会議系の国会議員であり、自民党安倍派の「清和政策研究会」所属である。資金集めパーティによる裏金事件について、検察による捜査がひと段落してからの後出し告白に、マスコミ各紙もベタ記事扱いするしかなかった。さすが、山谷えり子議員。


山谷えり子議員は、自民党の東京都参議院比例区第84支部の支部長である。この支部には、国民からしぼりとった公金「政党交付金」が定期的に入金される。この政党交付金なる制度は、「政党の健全な活動のため」という美名に包まれて、小選挙区制選挙制度を通すために、ろくに審議もされないまま1994年上程・成立した。以来、毎年、政党に320億円が送金されて政党支部に還流されてきた。公金だから、使い残したら国庫返還が原則だ。しかし、多くは国庫返還せず、貯めこんでいる。法に抜け穴があるからだ。


身を持って知ったことがある。2012年の衆院選後、民主党公認候補者だった私は「不明朗な会計処理をされて心身ともに損害を受けた」と、会計を担った松浦大悟事務所を相手どって裁判をした。その裁判で同事務所から取り戻した政党交付金4401113円を、法に忠実に国庫返還したのだが、民主党の返還者は、「私ひとり」だった(民主党候補者は267人)。日本の国会議員がいかに巨額のカネを手にする人種であるか、よーくわかった。


その裁判の過程で総務省ホームページを調査した。山谷えり子支部長の「使途等報告書」を見つけ、彼女の尋常ではない貯めこみを知った。山谷えり子支部長の政党交付金の貯めこみは:


2014年2705万1161円

2013年2018万3827円

2012年1333万5194円

2011年820万8802円

2010年443万3405円


今、国民の耳目を集める派閥のパーティによる裏金は、上記の貯めこみとは別物だ。なので、国会議員は、別の財布に入れる。それが「政治資金収支報告書」だ。その財布に、山谷議員など国会議員はパーティ券収入を入れていなかったのだ。つまり裏金にしていたわけだ。


山谷議員は、民主党の衆議院議員だったが、後に自民党に鞍替えした。彼女は、『未来を育てる基本のき』(日本女性学習財団)を、「行き過ぎ性差解消」として、「パンフレットは国費の無駄使いだ」と、国会で糾弾した。後、『思春期のためのラブ&ボディBOOK』(財団法人母子衛生研究会)を、「中学生にセックスを奨励」するものと攻撃した。産経新聞などの大々的報道とあいまって、日本列島に「ジェンダー平等つぶし」が燎原のごとく広まった。同じころ、自民党は「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を結成。座長は安倍晋三、事務局長は山谷えり子だった。


山谷議員は福井出身であり、同郷の増木重夫一家とは長年懇意で、増木一家のホームページにはツーショットが数えきれないほどアップされていた。増木重夫は在特会関西支部長、その他さまざまな右翼的組織の活動家だった。大阪府豊中市の男女共同参画推進センター・すてっぷ館長だった私は、増木一家やその周辺の「自称市民団体」や市議会議員らによって悪質なデマを流布され、時には3時間にわたる恫喝など執拗で陰湿ないやがらせをされ続けた。詳しくは『バックラッシュの生贄ーーフェミニスト館長解雇事件』(三井マリ子・浅倉むつ子編、旬報社)を。



今になって裏金2403万円を告白した山谷えり子議員_c0166264_10075712.jpg

豊中市界隈で開かれた反ジェンダー平等の集会は、「教育再生地方議員百人と市民の会」の息のかかった地域団体が主となって行われた。この「教育再生地方議員百人と市民の会」は、北川悟司豊中市議会議員が代表で、増木重夫が事務局長。増木は北川議員の選挙を仕切る幹部でもあった。注目すべきは、この市民の会なる組織は、「日本会議」、「新しい歴史教科書をつくる会」と密接な関係を持つ右翼組織であり、山谷えり子議員が顧問だった。


日本会議は、ジェンダー平等が嫌いである。夫婦同姓を強制する現民法を改正して夫婦別姓を選択できるようにしようという動きに対しては、「夫婦別姓は家庭を崩壊する」などという。これが本当なら、西欧諸国はとおに消滅しているはずだ。こんなデマに日本会議は252万もの署名を集めて、法制審議会が答申した選択的夫婦別姓導入を基にした民法改正案を葬った。


それから4半世紀以上経った2024年の今になっても、国の法律で夫婦別姓を選択することを許さない、この国。その国会を牛耳ってきたのは、政党交付金を私物化し、パーティに名を借りた企業献金を裏金化してきた国会議員たちだ。この国は、いったいどこに行くのだろうか。








【写真は三井マリ子所蔵・撮影、下の図表は2つとも三井マリ子著『さよなら!一強政治』


山谷えり子国家公安委員長と在特会幹部増木重夫の関係 : FEM-NEWS (exblog.jp)

祝! ヘイトスピーチは人種差別の判決 : FEM-NEWS (exblog.jp)

安倍改造内閣の女性たち : FEM-NEWS (exblog.jp)

日本の性教育に対するバックラッシュ : FEM-NEWS (exblog.jp)

女性閣僚辞任と政治資金: FEM-NEWS (exblog.jp)

愚劣きわまりない西村真悟の橋下徹太鼓持ち発言 : FEM-NEWS (exblog.jp)

国会議員 年収も政党交付金も世界最高額 : FEM-NEWS (exblog.jp)



# by bekokuma321 | 2024-02-01 10:15 | 日本