12月27日、福島県郡山市の蛇石郁子市議は、埼玉県に要請文を送った(注)。

埼玉県議会の出した「原発再稼働を求める意見書」をなんとしても撤回してほしいという要請だ。左下のMoreをクリックすると要請文が読める。

埼玉県議会の意見書は「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」。長すぎてわかりにくいが、「原発の再稼働をしてほしい」と言うものだ。12月22日(金)に採択された。

都道府県議会が「再稼働を求める意見書」を提出するのは初めてのことだという。福島原発事故の現状には一切触れられていない。原発立地地区の住民に犠牲を押し付つけ今も苦しむ被害者を見捨てる安倍政権の姿勢を“忖度”したかのような意見書だ。

要請文のほうは、蛇石議員の属する「虹とみどりの会」とともに怒る団体や市民たちの賛同入りだ。

この、とんでもない意見書を出した埼玉県議会には、2015年の選挙で当選した93人の議員が座る(欠員6)。自民52、民進・無9、公9、県民8、共5、改3、無1。

「原発の再稼働をしてほしい」意見書に賛成した議員は、自民(52人)、県民会議(8人)の2会派に属する60人。これで64%の圧倒的多数となる。反対は、民進・無(9人)、公明(9人)、共産(5人)、改革(3人)の4会派。

強調したいのは、この議員たちが当選した2015年の埼玉県議会選挙のおどろくべき低投票率だ。わずか37.68%と、4割に満たない。しかも52の選挙区のうち半数の26選挙区が定数1の「小選挙区」である。そのなかには対抗馬がおらず、選挙そのものがなかった選挙区が9つもある。

衆院選での小選挙区がいかに民意を反映しないものかについて、よく指摘されている。埼玉県の「定数1」の選挙区は、それがそっくり当てはまる。

小選挙区制では、最強のたった1人のみ当選となり、そのほとんどは自民党だ。その人以外の候補者に投票した有権者の票はことごとく死に票となる。これがどうして「民意を反映する選挙」と言えるだろう。

こうした「民意を反映しない選挙」で議員になった人たちによって、今回の意見書が採択されたのであり、この意見書が埼玉県民の民意を反映したものでないことは明らかだろう。

埼玉県の意見書に反対の意思を表明したい方はネット署名もできる:
●キャンペーン · 埼玉県知事および埼玉県議会 埼玉県議会が可決した「原発再稼働を求める」に反対します。 · Change.org
http://urx3.nu/HLE1

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       ▲「原発はいらない」(ドイツ語)の横断幕

埼玉県議会 平成29(2017)年12月定例会 意見書・決議(「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意見書」の内容が読める)
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチが語る福島
放射性廃棄物の処分場に指定された町
男性偏重政治が原発政策にもたらす弊害
女性の約7割、原発NO!
原発反対、女性65%、男性49%(2011年12月)
原発反対、女性50%、男性34% (2011年6月)
原発事故から考える民主主義

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by bekokuma321 | 2017-12-28 21:17 | 紛争・大災害

うれしいニュース! 今年の「単語賞」は、フェミニズムだそうだ。メリアム・ウェブスター英英辞典が選んだ。Facebookで数日前に紹介したが、FEM-NEWSでもお知らせする。

メリアム・ウェブスター英英辞典サイトによると、今年1年、メリアム・ウェブスター辞典でもっともチェックされた単語、それがフェミニズムだったそうで、これによっていかに多くの人々がフェミニズムという単語に関心を寄せたかがわかる。

フェミニズムは、今年1月、ドナルド・トランプ大統領就任に反対する、ワシントンDCでの女性の行進(Women’s March)ニュースが広まったころから、調べられ出した。

その後、この行進はフェミニストがするものなのか、企画した人たちや参加者は、どういうフェミニズムなのかと話し合われたことにより、再びフェミニズムへの関心が高まり、検索度が上昇した。

さらにトランプ大統領顧問となったケリーアン・コンウェイ(共和党、トランプの選挙対策本部長)がはいた名セリフで、またもや急上昇。あまりFEM-NEWSに載せたくないのだが、コンウェイの、そのセリフを下に和訳すると・・・

「私は、伝統的な意味からいうと、自身をフェミニストとは考えていません。なぜなら、フェミニストは、”男性嫌い”、”妊娠中絶賛成派”ととられるからです」

フェミニズムの波はそれで終わらず、#MeToo(「私も」運動)に代表される、セクシャルハラスメントや性暴力告発の運動の広まりとともに、まだまだ検索され続けている。

メリアム・ウェブスター英英辞典を引いてみると、Feminismは、こう書かれている。
1 性による政治的、経済的、社会的平等を求める理論(the theory of the political, economic, and social equality of the sexes)
2 女性の権利と利益を求める組織的な活動(organized activity on behalf of women's rights and interests )

さて日本だが、2018年1月に発売される岩波書店「広辞苑」第7版で、「フェミニズム」「フェミニスト」の意味が改善されるらしい。

明日少女隊などから「誤解を招く」などと書き換えを求められていた。ネット署名も行われた。「広辞苑」第6版は、どう書いているかというと:

「フェミニスト」は「①女性解放論者。女権拡張論者。②俗に、女に甘い男」。
「フェミニズム」は「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする思想・運動。女性解放思想。女権拡張論」

どう変わるかは、来年出る第7版を見てのお楽しみらしい。

変革のきっかけをつくった明日少女隊は、2015年に誕生した、様々な性別の第4世代若手フェミニストによる、社会派アートグループ。「すべての性の平等がみんなの幸せ」をテーマに、展覧会やパフォーマンス、レクチャー、インターネットを通じて、日本の女性が抱える社会問題についての作品の発表やアクティビズムを展開している。なんてチャーミングな団体だ!

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2017 Word of the Year: Behind the Scenes:How we chose 'feminism'
明日少女隊
わたしはフェミニストなんかじゃない。でも、なぜ?
反トランプと子猫ちゃん帽
スウェーデン「フェミニスト政府」の偉業
スウェーデンのフェミニスト外相
「日本会議」に向かって闘いを挑んだ本:『バックラッシュの生贄』を読んで
「むかしMattoの町があった」と金子準二精神科医
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by bekokuma321 | 2017-12-27 00:47 | USA

c0166264_0395776.jpg12月11日から、ノルウェーの国会議員アウドゥン・リースバッケンが、3か月の病気休暇にはいると、報道された。彼は、野党の左派社会党党首であり、元子ども・平等・社会大臣。

ノルウェーでは、他の労働者同様、国会議員が休暇を取ることは珍しくない。

でも、3か月も休暇をとって、国民の代表としての職務は? ただちに代理議員がバトンタッチするので、まったく心配ない。

最近、日本でも議員の育児休業をめぐって代理議員の話題がメディアに出た。そこで、あらためてノルウェーの代理議員制度をふりかえってみたい。

ノルウェーは比例代表制で、選挙区(=県)から複数の議員が選ばれる。代理議員制度の土台には比例代表制があるので、ここはしっかりおさえたい。

アウドゥン・リースバッケンは、ベルゲン選出の国会議員だ。彼の選挙区は、ベルゲンを含むホルダラン県(Hordaland)で、定数16人の大選挙区。首相もここの出であり、保守党支持者が多いところだ。

2017年9月、総選挙があったばかりだ。有権者は、候補者にではなく、支持する政党に1票を入れる。政党の獲得票に比例して、ホルダラン県16人の政党の議席はこう分けられた:保守党5、労働党4、進歩党2、中央党2、左派社会党1、キリスト教民主党1、自由党1。

左派社会党は1人だけで、当選したのは、候補者リスト1番のリュースバッケンだった。

c0166264_0543189.jpg今回、病気休暇をとる彼の議員職を埋める代理議員は、彼と同じ選挙区の左派社会党候補者リスト2番目のジーナ・バースタッド(Gina Barstad)だ。彼女は、選挙で次点の候補だった。

若さあふれる31歳。とはいえ彼女は、以前もリュースバッケンの代理議員として国会議員をつとめた経験と実績がある。彼が大臣に就任したためだった。ノルウェーでは、権力の集中を防ぐため、大臣と国会議員は兼務できないのだ。

ノルウェーの国会議員は、育児休暇や病気休暇をよくとるが、国会議員の休暇は、働く者の権利として保証されているうえ、職務は選挙時の次点候補がカバーするので、休暇をとったからと議員を批判する有権者はいない。その一方、代理議員制度は、次点候補ーー若い人のことが多いーーの国会への登竜門ともなる。

c0166264_0551332.jpgアウドゥン・リースバッケンは左派社会党党首なので党首代行も必要となる。党首の代行は副党首カースティ・バーグストゥー(Kirsti Bergst)が就任する。彼女はフィンマルク選出の国会議員で、サーミ出身の1981年生まれの30代だ。

NRKによるとアウドゥン・リースバッケンは、こう語っている。

「もうじき戻ってきます。ラッキーなことに僕の周りには党のすばらしいチームがいて、僕のいない間を支えてくれるでしょう」

ちなみに地方議員は、北欧ではそもそも仕事や学業をもっていて、余暇に働くボランティア(無給)だ。職場や大学から免職されれば、国会議員よりも休暇をとるケースが多いようだ。私自身よく見聞きした。中には1年間の教育休暇をとった地方議員の話を聞いたことがある。

【写真:上は党の公式HP、中と下はFace Bookより借用】

Audun Lysbakken i sykepermisjon
パパにもっと時間ができた! 
男性大臣2人の育休 
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by bekokuma321 | 2017-12-19 11:29 | ノルウェー

「セックスは自発的であるべきです。もしも自発的でないならば、違法です」
「相手が望んでいるかいないか、はっきりしないなら、セックスをしないことです」
「私たちは、社会の考え方、価値観を変えたいのです」

こう述べたのは、スウェーデンの首相ティファン・ロベーンだ。

12月18日(月)、記者会見で、首相、副首相、法務大臣3人が居並んで、新しく「セックス同意法」を国会に提案すると表明した。政府は「被害者の利益を大事にする」姿勢を強調した。

アメリカの、有名映画プロデュ―サーによる性暴力被害者の告発に始まった「私も運動(#MeToo)」。北欧では大きなうねりとなった。

ノルウェーでは、1001人以上のアーティストが、被害を公にした。さらに、メディアに働く人たちの大がかりな性暴力調査が行われて、178 人が「セクハラを受けた」ことがわかった。

スウェーデンは、政府が率先して制度改革に歩を進めた。しかもやることが早い。さすが「私たちはフェミニスト政府です」と宣言しただけのことはある。

c0166264_1453454.jpg さて、日本はどうだ。

東京都議会議員だった私は、セクハラという言葉さえ定着してなかった頃、日本で初めて東京都にセクハラの公的相談窓口をつくらせた。それまで、相談項目の「その他」に混じって、見えなかったセクハラが、単独で受け付けられるようになった。セクハラの内容や件数を明らかにすることができた。日本で初めてのことだった。

その背後には、アメリカの最高裁判事候補のセクハラ疑惑が世界的ニュースになっていたこと、女性団体がセクハラに悩む都民女性の調査をして結果を公表したこと。それに加え、議員だった私自身が東京都議会の委員会室で、都庁の廊下で、都議会議員控え室で、性的嫌がらせにあって悔しい思いを募らせていたからだ。

あれから4半世紀、日本の法律は、いまだセクハラを禁止していない。


Swedish PM Backs New Sexual Consent Law
178 people in Norway’s media industry experienced sexual harassment: report
1,001 Norwegian artists denounce sexual harassment
Vil undersøke sex-trakassering i norsk mediebransje
ノルウェー労働組合員736人、組織内のセクハラ文化を抗議 「恥と罪の意識を返却します」 #MeToo
ブルントラント元首相 セクハラ被害を語る
ノルウェーDV予算をめぐる攻防
4月6日 営業ウーマンの逆襲

【写真:「セクハラ110番」(三井マリ子著 集英社 1994)表紙】
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by bekokuma321 | 2017-12-19 02:33 | 北欧

2017年も終りに近づき、遅くなってしまったが、Democracy Index2016をお知らせする。

それによると、またもノルウェーが世界でもっとも民主主義度が高い国に選ばれた。トップの5位まで、ニュージーランドの他すべて北欧諸国だ。

5カ国ともに、選挙制度が比例代表制であることはもっと注目されていい。日本は20位。

1 ノルウェー9.93
2 アイスランド9.50
3 スウェーデン9.39
4 ニュージーランド9.26
5 デンマーク9.20
6 カナダ 9.15
6 アイルランド 9.15
8 スイス 9.09
9 フィンランド 9.03
10 オーストラリア 9.01


英誌「エコノミスト」の調査部門が定期的に発表している民主主義度ランキングだ。調査国は160カ国以上。調査項目は以下のとおり。

① 選挙過程と多元主義electoral process and pluralism:
「国会議員選挙、首相選挙、地方議会選挙が自由に公平に行われているか」「政党の政治資金の出し入れは透明であるか、かつ一般に受容されているか」など12項目

② 政治機能functioning of government:
「自由選挙で選出された代表が政策立案にたずさわっているか」「国会が、他の行政機関よりも上位にある最高の議決機関であるか」など14項目

③ 政治参加political participation:
「投票率」「少数民族や少数派があげた声が政策過程に反映されるか」「国会議員における女性の割合」「政党や政治団体への参加率」など9項目

④ 政治文化political culture:
「安定した機能的な民主主義を支えることに世論は合意しているか」「議会や選挙を無視するような強いリーダー像を望んでいるか(筆者注:望む文化だと減点)」など8項目

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Democracy Index 2016 Revenge of the “deplorables”



【注:このニュースはすでに紹介済みであることがわかったので、再度の掲載となる。強調点が違うので、2つを参考にしてほしい。既報はこちら民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
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by bekokuma321 | 2017-12-18 20:12 | ノルウェー

ガーディアン紙によると、わずか1か月に6700人ものロヒンギャ(イスラム系少数民族)が殺害された。少なくとも730人は、幼い子どもたち。ミャンマーから逃亡してきたロヒンギャは8月以降だけで64万人に上るとされる。

ミャンマー政府の最高権力者はアウンサン・スーチーである。国家顧問兼外相という肩書を持つ。

スーチーは、1991年ノーベル平和賞を受賞した。今、彼女のロヒンギャへの消極的対応に抗議して、ノーベル平和賞の取り消しを求める署名が36万人以上も集まっている。

11月、オックスフォード市は、1997年授与した「市民の自由」称号をはく奪した。12月14日、ダブリン市議会も、「ダブリン自由賞」の取り消しを決議した。もっとも、こちらは、アイルランド出身のロック歌手が、スーチーにも贈られた名誉市民称号はいらないと返上する抗議のあとだったが。

日本は、京都大学、龍谷大学などが、名誉博士号を送っている。取り消しの気配はない。それどころか、安倍政権は、2016年、スーチーを招いて8000億円もの資金援助をした。すでに、多くのメディアや国際人権団体から、少数民族虐待に何の手も打ってないと非難されていたにも関わらず、だ。

メディアの報道は、コンスタントに続いているが、早かったのは、2015年5月のアルジャジーラではないか。和訳されているので、核心を突く調査報道を日本語で読める。その中で、私の心に焼き付いているのは、彼女は選挙で勝つためにロヒンギャ虐待を黙殺しているというくだりだ。その箇所を引用する。

「彼女は過去数年間、――軍が彼女の大統領選出を可能にする、あるいは彼女の出馬を認めた場合 ――2016年に大統領に選出されるために必要な票をもつミャンマーのマジョリティである仏教徒に擦り寄った。そのため、ロヒンギャに犯した暴力を軽視し、迫害の加害者と被害者に対して見せかけだけの平等を提言してきた。」

「かつての良心の囚人はどうなったのか。そう、今は喜んで原則よりも票を、無実のロヒンギャの命よりも政党の発展を優先する、シニカルな政治家なのだ。」

選挙に勝つためには何でもする、こんな政治家は日本だけでないらしい。だからこそ、市民は選挙制度に強い関心を持つべきなのだ。

ああ、でも一度は尊敬していた女性のこの変わりよう。悲しすぎる。

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▲歴代の平和賞受賞者写真。オスロのヘンリック・イプセン通りにあるノーベル・インスティチュートにて


Aung San Suu Kyi's inexcusable silence(アルジャジーラ 英語)
アウンサンスーチーがロヒンギャ問題について沈黙している。その理由は許しがたいものだ(アルジャジーラ記事の和訳)
アウン・サン・スー・チー当選2012年のFEM-NEWS
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by bekokuma321 | 2017-12-15 00:04 | アジア・アフリカ

c0166264_22101493.jpg 2017年11月9日「グレーテ・ベルゲがたったいま亡くなった」というメールがノルウェーの友人から届いた。

ジャーナリストのグレーテがブルントラント首相付きの広報担当官に抜擢されたのは1988年。数年後、ノルウェーの子ども・家族大臣にと、首相から懇願された。小さな子どもを持つ、現役ママ大臣の登場だった。私は夢中で取材して『ママは大臣パパ育児』(明石書店)を書きあげた。

今では日本でも耳にするようになった「パパ・クオータ」は、グレーテが音頭とりをして進められた。「パパ・クオータ」とは父親も育児休業をとるように誘導する公的政策だ。

またジャーナリストだったグレーテは、新鮮な言葉をいろいろ駆使して、意識改革にも力を入れた。

右のポスターは、彼女が男女平等大臣だった90年代後半のもの。子ども・家族省と男女平等オンブッドと男女平等審議会の3機関が手を携えて作成した。

ポスターを見ていると、今でこそ世界トップクラスの男女平等国ノルウェーだが、そこにたどりつくまでには国をあげて”女性運動”に頑張っていたのだなあ、とわかる。

ド派手な黄色のシャツにジャラジャラ・アクセサリーをつけた厚化粧の金髪女性が「私はフェミニストなんかじゃないッ」と叫ぶ。

ところが彼女は次に「でも、なぜ?」とつぶやく。「でも、なぜ昼休みの電話番はいつも女なの?」(1行目のノルウェー語の訳)

2行目からのノルウェー語は「叫ぶ芸術 ポスターで見る世界の女たち」をどうぞ。
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by bekokuma321 | 2017-12-13 22:43 | ノルウェー

12月10日、オスロ市庁舎で、2017年ノーベル平和賞授賞式典があった。一日遅れたがYoutubeで視聴した。

今年は、草の根組織ICANの活動が選ばれた。受賞者を代表して、記念スピーチをしたのは、ICAN(注1)事務局長ベアトリス・フィーン(Beatrice Fihn) と核兵器廃絶運動を続けてきた被爆者のひとり日系カナダ人節子・サーロウ(Setsuko Thurlow)。

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   ▲節子さんにポインターをあててクリックするとノーベル平和賞受賞式が映る

2人は、ノルウェー国王夫妻、皇太子夫妻、ノルウェー首相夫妻をはじめ、各界リーダーたちの拍手喝采をあびながら、スピーチを終えた。腹の底からの怒りを絞り出して訴えた節子さん。その一部を紹介する。

節子さんは広島生まれ。1945年8月6日、節子さんは、アメリカが広島に落とした原子爆弾の閃光を窓から見た。13歳だった。

がれきにうずもれて命がはてそうだった節子さんに人の声が聞こえたーー

「あきらめるな」
「がれきをかきわけて前に進むんだ」
「速くはって行け。光が見えるだろう」 

彼女は暗闇のなか前に進んだ。そして一命をとりとめた。しかし、家族や同窓生351人は無残にも燃えて灰に変わってしまった。

この残忍な原爆投下を戦争犯罪と認めず、「正義の戦争」を終わらせた「よい爆弾」という神話を信じている人がいるが、この神話こそ、今日なお核軍備競争に走らせているのだ。節子さんは断じた。

7月国連で核兵器禁止条約(注2)が採択された。人類最悪のときの生き証人である節子さんは、人類の最善のときの証人となった。この条約こそ、命をつなぐ光である。条約を拒む者たちは、歴史に指弾されるだろう。

いかなる障害が立ちはだかろうとも、前に動き続け、前に進み続け、この光(条約)をともに分かち合おう。この光こそ、私たちに託されたことなのだーーこの大切な世界が生き続けるために。

途中、拍手で何度か中断された。目をうるませるひと、涙を拭くひと・・・。13歳のとき、がれきのなかでかけられた言葉(注3)を再び繰返して、節子さんがスピーチを終えようとしたとき、拍手はクライマックスに達し、会場が総立ちとなった。

節子さんは、緑色の海原と白い波の模様で彩られた黒のロングドレスをまとっていた。着物地を仕立てたように見えた。日本女性初のノーベル賞受賞者にふさわしく、終始、堂々と威厳に満ちていた。c0166264_1534419.jpg


【注1】ICANは、「核兵器廃絶国際キャンペーンInternational Campaign to Abolish Nuclear Weapons」の愛称。日本を含め101カ国、468団体の連合組織。オーストラリアで創設され、事務局はジュネーブ。核兵器を条約で禁止しようと絶えまぬ努力を続けた。
【注2】今年7月、国連で122カ国が賛成して採択された。50カ国が批准すれば発効する。締約国には核兵器の開発、実験、生産のほか、核兵器を使った威嚇などを幅広く禁止した。前文で「ヒバクシャ」という表現を用い、核兵器の使用による犠牲者や核実験による被害者にもたらされた受け入れがたい苦痛と被害に言及した。しかしながら、ICANが創設されたオーストラリア、世界唯一の被爆国日本、ノーベル平和賞のノルウェーは賛成しなかった。
【注3】"Don't give up! Keep pushing! See the light? Crawl towards it."

2017 Nobel Peace Prize Ceremony(Youtube: Setsuko Thurlowの演説を含む全録画。 上の写真は本動画より借用)
Nuclear annihilation 'one tantrum away', Nobel peace prize winner warns
2017 ican lecture
Følg festen live her! Fredsprisfesten streames her
Nobel Peach Laureates_2107 Presentation Speech
Setsuko Thurlow Gives Final Remarks at Ban Treaty Adoption
Setsuko Thurlow Speaks At the UN
The nobel peace prize
「私たちは死よりも生を選ぶ代表者」 ICAN受賞講演

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▲オスロ市庁舎正面入り口。ノーベル平和賞受賞式は中央の建物1階で行われる。オスロ市は現在、中道左派が連立を組み市長も副市長も女性。ちなみに首相も女性、ノーベル平和賞選定委員会委員長ベリト・レイス・アンデルセンも女性。前委員長も女性だった

<2017年12月12日更新>
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by bekokuma321 | 2017-12-11 15:16 | ノルウェー

c0166264_18233410.jpgアイスランドは、グリーン・レフト(左派緑の党)のカトリーン・ヤコブスドッティルを首相に選んだ。

41歳。3人の母親で、末っ子は2011年生まれだという。

比例代表制で行われた10月の総選挙後、連立交渉に日数がかかっていた。11月30日、大統領によって新政権樹立が認められたそうだ。

カトリーン・ヤコブスドッティルは、まだ若いが、2009年に発足したヨハンナ・シグルザルドッティル首相率いる左派連立政権で、教育・科学・文化大臣に就任している。女性の首相は、レズビアンであることを公表していたヨハンナ・シグルザルドッティルに次いで、アイスランドでは2人目。新内閣は女性5人、男性6人だと報道されている。

なにしろ、この国は、ワールド・ジェンダー・ギャップ指数(世界経済フォーラム)で世界ナンバーワンに輝く。

ヤコブスドッティルの得意分野は、地球環境保護はもちろん、女性の権利擁護、平和構築だという。今後、どんな発言がアイスランドから届くか、楽しみだ。

【注:彼女の率いる政党は、英語でLeft Green Movementと称されている。直訳すると左派緑運動となる】

NEWS_Five Women, Six Men in New Cabinet
NEWS_Final Election Results 2017
比例代表制は男女格差を縮める(世界経済フォーラム2017)
2017世界平和指数トップはアイスランド
アイスランド国会、女性議員48%に!
Amost 18 Percent Crossed out Sigmundur’s Name
The Tiny Nation of Iceland Is Crushing the U.S. in Electing Female Politicians
Women Win 30 Seats In Iceland's Parliament — More Than Any Party
アイスランド10月24日「女性が休む日」を決行
男女平等ランキング:アイスランド1位、日本111位
Why Iceland is the best place in the world to be a woman
アイスランドが、今年も世界一平和な国
アイスランド女性がいっせいに休んだ日
百田氏よ、恥を知れ!
日本142カ国の中で104位
女性の雇用率の高い国は
男女格差、世界136カ国中105位
1位アイスランド、98位日本
アイスランドが違法ノルウェー人に市民権
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by bekokuma321 | 2017-12-01 18:31 | 北欧

11月28日、カナダのジャスティン・トルドー首相は、「LGBT2のカナダ人に対して抑圧し、犯罪者とみなし、暴力を加えた、カナダ国家としての組織的過去」を国会で正式に謝罪した。

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Youtubeで動画を見た。トルドー首相は、ときに、ハンカチで流れる涙をぬぐいながらスピーチを続け、何世紀も続いた差別に「私たちは間違っていました。謝罪します。申し訳ありませんでした」と謝罪した。

「I am sorry. We are sorry」と彼が告げたとき、割れるような拍手が巻き起こった。そして着席して聞いていた国会議員のスタンディング・オベイションとなった。

LGBTQ2とは、レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、クイア(性的マイノリティ)、2(2つの精神を持つ人たち)にあたるとされる。

20代のころ、レズビアンの友人から、同性愛の人たちに対する日本社会の根強く残酷な差別についての話を聞かされた。彼女は私にこう言った。

「新聞で、若い女性2人が自殺したというニュースを見たことあるでしょ。こういう事件に出てくる2人ってレズビアンのことが多いのよ。家族、職場、社会から直接間接の差別を一身に受けて絶望し、生きることより、命を絶つことを選んでしまうの」

社会から排除されている、差別されているという意識を持たせられることは、その人から人間としての尊厳を奪うだけではない。生命さえ奪いとるのだ。

ジャスティン・トルドー首相のスピーチに、政治権力本来のパワーを感じた。


Justin Trudeau’s apology to LGBTQ2 Canadians
Trudeau delivers historic apology to LGBT Canadians(Youtube)
Justin Trudeau: Canada humiliated indigenous people
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by bekokuma321 | 2017-12-01 13:08