バルセロナ襲撃事件

8月18日、バルセロナの襲撃事件を非難して10万人が市の中心に集まった。前日17日夕方、中心の繁華街ランブラス通りをワゴン車が突っ込み、14人が死亡、100人が負傷した。

報道によると、立錐の余地のないほどの市民が手の平をかかげて、「私は恐れない I’m not afraid」と声をあげて、テロに屈しないという強い意志を世界に示した。

バルセロナ市長アダ・コラウは、「恐怖を止めよう。ランブラス通りまで歩き続けよう、襲撃を非難し、犠牲者への連帯を示そう」とスピーチ。バルセロナ市は急遽市議会を開き、全会一致で、市庁舎を19日、20日、朝10時から夜8時まで、弔問客に開放されることを決めたという。

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アダ・コラウ市長は、「怒れる人たち」で知られる貧困撲滅運動家。平等と腐敗撲滅を掲げて政治家に立候補した異色の女性。2015年の選挙(比例代表制)で選出されたばかりだ。

市長任期を最大2期に短縮、報酬を月30万円以下に減額、市長専用車の廃止、議会委員会出席した議員への報酬撤廃など、を次々に打ち出した。日本の議員たちの私服肥やしにうんざりしていた私の心を強く揺さぶったことを覚えている。

ヨーロッパを襲うテロ事件へのすばやい対応にも、こうした彼女の意思が垣間見られる。

Barcelona isn’t afraid
'I am not afraid': Barcelona vigil sends message of defiance
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by bekokuma321 | 2017-08-21 11:16 | ヨーロッパ

「ヨナスよ、大惨事 だーーそう、最悪だ!」

8月14日月曜日、ノルウェー公共放送NRKは、こんな見出しで世論調査を伝えた。大惨事とは、ヨナス・ガーレ・ストーレ率いるノルウェー労働党の支持率がガックリ下がったことを指している。

労働党は27.1%だった(下グラフ、左から3番目)。対する保守党は23.8%(上グラフ、右から2番目)。労働党は、保守党を上回っているが、7月に比べて5.9%も下げたと報道されている。

ノルウェーは9月11日に投票日を控えて、選挙のニュースが多い。日本の変な選挙制度を変えたいと思ってる人には役立つと考え、また紹介する。

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    ▲NRKの結果。赤党から進歩党へと、極左から極右までほぼ政策に従って並んでいる

ノルウェーの選挙は比例代表制だから、議席数は政党の支持率にほぼ比例する。最新世論調査によると、労働党は、前内閣で連立を組んだ中央党(上グラフ、左から4番目)と左派社会党(同、左から2番目)の議席を合わせても多数派をつくれない。先月まで新政権は労働党中心になりそうだと言われていたが、あやしくなってきた

いまノルウェーは保守中道連立政権だ。保守党と進歩党(同、最右)という2党を、ミニ政党のキリスト教民主党(同、右から4番目)と自由党(同、右から3番目)2党が閣外協力をする。このままなら保守連立政権の続投かと思うが、キリスト教民主党党首は、進歩党(最右派)の政策とは相いれないと公言しており、どうもはっきりしない。

比例代表選挙は、政党を選ぶ選挙だ。政党らしさを決めるのは政策で、たとえば保守党の公約は減税だ。福祉・教育に私企業の参入を進めようとしている。それに反対するのが社会民主主義の労働党だ。ストーレ党首は、減税は非現実的だと保守党党首のアーナ・ソールバルグ首相をこきおろす。連立相手の進歩党は、難民の受け入れに厳しく、左派はなお一層強く批判をする。

さらに現政権は、行政の効率化と称して地方自治体の合併を推進してきた。それに猛反対してきたのが労働党の連立政党である中央党(以前の農民党)だ。政権をとったら合併政策をもとにもどそうとしている。

というわけで、保守党中心の保守中道政権になるか、労働党中心の左派中道政権になるか、まだわからない。

ノルウェーは政党を決める選挙だから、選挙運動の目玉は党首討論会だ。

第1回党首討論会は、8月14日夜、オスロ南方の港町アーレンダールであった。同市恒例の夏祭りに合わせて、9党代表が市内の文化会館に集合し、党首討論会に臨んだ。こちらは、いかにうまく議論できたかを競うもので、結果が数字であらわされる。プレスルームに陣取った多数の関係者が大スクリーンに映し出される討論会を見て採点するらしい。14日は、ミニ政党の左派社会党党首が最高点だった。

党首は党の顔だから超多忙なのは日本もノルウェーも同じだ。が、ノルウェーの議員候補者に日本のようなブラック企業真っ青という忙しさはない。妊娠中で体をいたわる女性候補でも、候補者リストの上位に登載されていれば、当選はできる。緑の党スポークスパーソン(この党は党首をこう呼ぶ。男女2人いる)は12月に出産を控えた女性で、彼女は「当選したら育児休業にはいる」と言っていた。

国会議員も労働者だから、他の労働者に保障されている病欠や休暇をごく自然にとる。でも、国会議員の職務は? 全然、大丈夫! 彼女が留守の間は、緑の党の次点候補が「代理議員」としてただちに国会議員職を引き受ける。ここも比例代表制のいいところだ。

どの政党に入れたらいいかわからない人にはValgomatがある。ゲーム感覚で楽しめる。しかもネットですぐできる。賛否が分かれそうな政策が並んでいて、順番に賛否の印をつけていくと、最後に「あなたは◎政党に近いです」と決めてくれる。先日やってみたら「あなたはキリスト教民主党に近いです」。思わずノルウェーの友人に話したら、彼女は「私もやってみたら、赤党ですって」。

日本だと、候補者は自分の名前を書いた巨大な看板をつけた選挙事務所を設ける。ところが、比例代表制の国では、候補者に選挙事務所はいらない。いるのは、政党のPRコーナーのみ。首都オスロは小屋が並び、選挙区によってはテントが張られる。テントはどの政党も似たようなサイズだが、政党の色で区別がつく(上のグラフの色)。党員が通り過ぎる人たちと政策論議を交わす。小屋やテントの前に置かれたテーブルには、チラシやバッジなど選挙グッズに加えて、キャンデーやクッキー、ニンジンなどおやつも置いてある。

先日、徳島県で、高級ハムが候補者から何百人もの有権者宅に宅配されたという話を聞いてきたばかりだ。ノルウェーの選挙小屋や選挙テントで置いているのは、子どもが駄菓子屋で買える10円そこそこのもの。票を金で買おうなどといういじましさとは全く次元が違う。

子どもと言えば、ノルウェーの中学高校では、校内に全党の候補者が招かれて政策論議が行われ、本番さながらの模擬投票もある。スクールエレクションという。

日本では、1票でも多く票をとった1人のみが当選する。しかも、候補者名を手書きしなければならないという世界に類を見ない変な投票方法だ。だから候補者は、名前と顔を覚えてもらうために、顔と名前が目立つポスターを選挙区中にはりまくる。顔と名前の印刷されたうちわ、ワイン、カレンダーなどを配った人もいる。候補者は宣伝カーによる連呼や、人の集まる場所に立っては連呼をしまくる。1票で落ちるかもしれない。熾烈な戦いが続く。

さらに変なのは、日本は、他国で最も当たり前の戸別訪問を禁止していることだ。さらにもっと変なのは、禁止されているにも関わらず、現職議員なら「議会報告を届けに来ました」とか言って戸別訪問をしても誰にも咎められないことだ。

こういうわけだから、日本の選挙で、候補者の政策はほとんど重視されない。「世話になった親父さんの後継ぎだから」「◎◎先生に頼まれたから」「TVでよく見るから」と1票を入れる。2011年3月11日の東北大震災後の選挙でさえ、原発政策が争点にならなかった。

私たちに代わって国の土台を決める代表を選ぶのが選挙だ。小選挙中心の日本の選挙と、比例代表制のノルウェー。どちらがいいか、答えは明らかだ。

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▲ノルウェーの投票所。他人に見られないように四方を囲まれたブースで支持政党用紙1枚をとって、投票箱にいれる

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 ▲ノルウェーの街頭での選挙運動。右側に居並ぶカラフルなテントが各政党の選挙テント

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  ▲投票日が近い週末の選挙運動はまるでお祭り騒ぎ。子どもも、中高生もたくさん参加する



Poll of polls
Norstat for NRK 15. august 2017
Katastrofemåling for Jonas: – Ja, det er dårlig!
Right Wing Group’s Stand Removed from Political Festival in Norway
平等・公平・同権に満ちた選挙制度(ノルウェー)
ノルウェーの選挙は政党の政策を選ぶ選挙
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
イラク移民の少女が国会議員有力候補になれる国
来年9月の選挙候補者が決まるノルウェーの秋
選挙における清廉性プロジェクト
スクール・エレクション終わる
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by bekokuma321 | 2017-08-19 00:23 | ノルウェー

c0166264_13323170.jpg私はかねてから労働組合で活動していたため女性問題について触れる機会が多く、「勝訴 最高裁が認めた藍住町女性議員追放の違法性」の報告会には、大変興味がありました。

私の住む阿南市は、議員26人中女性は5人で、26%という比較的高い割合を占めています。現議長は、2人目の女性議長です。

しかし、全議員の4人に1人が女性であっても女性議員の置かれている現状はなんら変わりません。いまだにセクハラ・パワハラに対する認識の低い議員が多いと聞いています。

例をあげますと、阿南市にはセクハラにあった1人の女性議員がいて、彼女は、数年前から被害を議会でも訴えてきました。しかし改善されることはなく、その女性議員は心に大きな傷を抱えているようです。

こんな現実を見聞きしてきた私は、まだまだ男尊女卑の風潮は厳しく、女性が政治家になるということは、茨の道ではないかと考えてしまいます。

それに、知識階級の男性の中には、ただ単に「ジェンダー」という言葉を「単語」として使って、いかにも女性問題に理解者であるかのようなそぶりを見せて、実際に自分に不利益が発生するとわかると手のひらを返したように女性差別をする人がいます。いや、そういう男性を私は少なからず見てきました。

女性には、常に「女性の・・・」「女性・・・」といった冠がまず付きます。私はこれが耳障りで仕方ありませんでした。また、女性が政治を目指すとき,「女性の視点」「女性の感覚」というキャッチコピーを使うことがよくあり、それにも抵抗がありました。

c0166264_13351492.jpgしかし、先日、徳島市で、三井マリ子先生の「XとOのお話」を伺って、少し考えが変わりました。

大勢のXのなかにOがポツンと入っていくと、どんなことが起きるかという話でした。Xが男性でOが女性だったら、XはOを、「チアリーダー」、「女房役」、「セックスシンボル」と見る。その3つの役にあてはまらないOは、Xにいじめられ、排除されると伺いました。

藍住町議員の西岡恵子さんは、Xの気にいる役とかけはなれたOだったため、Xから排斥の対象にされたというのです。

「XとOのお話」から、阿南市のOには、セクハラを受けたOを応援するより、X側を応援するチアリーダー的な役を選んだOが多かったようだと聞いたことを思い出しました。Oは、そのほうが得だと思ったからなのか、それともX世界で生き延びるためには、そうせざるをえなかったのか・・・。どちらにせよ阿南市は、女性議員(O)の数が多少多くても、いまだ男性(X)優位の世界なのではないかと思います。

では、どうしたらいいのか。

それには、やはり、Xが多い議会にOを増やすことしかないと思います。多様で多彩なOが増えてくると、Oに味方するOも出てきます。Oが集まって「おかしいのはXのほうだ」と言うこともできます。するとXは、気に入らないからと言ってOを排除できなくなります。

そのためには女性の勇気と、男性の理解がもっとも必要ではないでしょうか。「女性は席に座る勇気を、男性は席を譲る勇気を」ですよね。道のない大草原でも,誰かが最初に歩けば足跡はでき,その後をまた誰かが歩けば草が枯れて,またその後を何人かで歩けば道になり,いつかは広く歩きやすい道になると私は信じたいです。

瀬戸内 美香(8.6 集会「勝訴 最高裁が認めた藍住町女性議員追放の違法性」参加者)
  
【写真上:西岡恵子議員 下:三井マリ子講師(林広撮影)】

藍住町長・町議会議長に謝罪要請(フェミ議連) 
速報「徳島県藍住町女性議員追放の違法性」
女性議員追放の藍住町で町課長らが女性職員にセクハラ
どこまで女を食い物にするのか
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by bekokuma321 | 2017-08-15 13:50 | その他

c0166264_947352.jpg速報『徳島県藍住町女性議員追放の違法性』」で紹介したように、8月6日、藍住町町議の西岡恵子さん(左)の完全勝利を祝い、未来につなげようという会がもたれた。

主催は「女性ゼロ議会を無くす徳島の会」(諏訪公子代表)。

西岡原告の代理人を務めて裁判を勝利に導いた弁護団の木村清志、大西聡、篠原健弁護士は、西岡議員失職訴訟の解説と意義を熱っぽく語った。

c0166264_9504231.jpg西岡原告は、勝利に至るまでの苦しい闘いを感動的に語った。藍住町議員小川幸英さんは、議会における西岡議員つぶしの背景と思われる数々の不穏な動きを語ってくれた。

元参議院議員の乾晴美さん(左)は「西岡さんにならって、目の上のたんこぶになろう」と元気に訴えた。

徳島の会と連帯しながら、西岡さんを応援してきた市民運動団体「全国フェミニスト議員連盟」から世話人3人が駆けつけた。その1人、名古屋からやってきた岡田ふさ子世話人(右下)は、藍住町の石川智能町長、森志郎町議会議長あてに届ける「要請文」を読み上げ、会場から拍手喝さいを受けた。

c0166264_9555651.jpg翌8月7日、町の責任者と面談の約束をしていたが、強い台風のため、藍住町役場に出向いての要請行動はキャンセルとなった。

過日、要請文は、全国フェミニスト議員連盟の日向みさ子代表によって町長と町議会議長に郵送で届けられた。以下はその要請文の内容。

■■■■ 徳島県藍住町女性議員資格剥奪の違法確定と今後についての要請 ■■■■

徳島県藍住町町長  石川 智能 様    
徳島県藍住町議会議長 森 志郎 様
                           
徳島県藍住町は、「男女共同参画プラン」を策定し、それには「男女が共に個性と能力を発揮できる社会の実現」が明記されています。

私たち全国フェミニスト議員連盟は、この藍住町の理念とほぼ同様の理念を掲げて、「女性ゼロ議会」をなくす運動、女性議員を増やす運動を続けている市民と議員による団体です。当然ながら西岡恵子会員の裁判については関心を持って見守って参りました。

2017年6月20日、最高裁判所は、裁判官5人全員一致で、藍住町の上告を門前払いしました。これによって高等裁判所の判決通り、藍住町議会による西岡恵子さんの議員失職決議は違法であることが、司法の場で確定しました。

ことの始まりは、唯一の女性議員西岡恵子さんの光熱水費が少なく生活実態がないようだから公職選挙法の定める被選挙権はないに違いない、という突飛なことを言い出した議員がいたことでした。そして、西岡さんの議員資格を問う「資格審査特別委員会」が設けられ、賛成多数で議員失職を決めてしまいました。

西岡さんがこの理不尽な議決を覆すには、法廷にゆだねるしかありませんでした。裁判では、外出・帰宅時や自宅内で見たTV番組、食事などを撮影した写真310枚のほか警備会社の設備を自宅に導入して、外出・帰宅・在宅の時間記録書類を提出しました。その結果「少なくとも半数以上の日数、夜間から翌朝まで自宅にいた」事実が証明されました。

8月6日、徳島市内で「最高裁が認めた藍住町女性議員追放の違法性」と題した集会が開催され、西岡原告をはじめ木村清志・大西聡・篠原健弁護士の報告や、裁判を支えてきた諏訪公子、乾晴美、高開千代子、東條恭子の発言、三井マリ子(全国フェミニスト議員連盟世話人)の講演がありました(敬称略)。

この会で、最高裁判所に「違法行為をした」と指摘された藍住町議会は、西岡さんに壮絶な苦しみを与えてきたこと、さらに長年西岡さんを当選させてきた町民の意思を踏みにじったに等しいこと、加えて女性の視点と住民目線で頑張る西岡さんの議員活動を結果的に阻害してきたことが、浮かびあがりました。このようなことが続いては藍住町にとって計り知れない損失となります。藍住町の名誉回復と、ニ度とこのようなことが起こらないよう切に願って、以下の要請をいたします。

1 藍住町ならびに町議会は、司法判断を尊重し、裁判所で認定された事実を真摯に認めて、西岡恵子さんに対して謝罪をすること。

2 女性が1人しかいない男性偏重議会では、圧倒的少数派(女性)は偏見の目で見られたり排除されたりしかねない。女性議員増は、藍住町「男女共同参画プラン」の要請でもある。よって町は、女性が政策決定の場に男性と等しく参画することを促す啓発・研修や広報を活発に行うこと。また町議会議員は、1人でも多くの女性候補を増やすよう努力すること。

全国フェミニスト議員連盟(共同代表:ひぐちのりこ仙台市議 日向美砂子小平市議)
事務局 小磯妙子(茅ヶ崎市議)


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    ▲裁判の報告をする木村清志弁護士。耳を傾ける諏訪公子代表 (8月6日、徳島市)

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    ▲藍住町の正常化を訴える小川幸英議員。聞き入る西岡恵子議員と諏訪公子代表

まるで魔女狩り――徳島県藍住町の紅一点議員追放事件
悪しき慣習に一石を投じた
「政治とカネ」、秋田衆院選から考える 
「政治とカネ」にメスを入れる三井裁判
 
【2017年8月15日更新】
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by bekokuma321 | 2017-08-13 10:31 | その他

ノルウェーは今秋、国会議員選挙がある。投票日は9月11日(月)。法律で9月の第1か2週の月曜日と決められている。解散もないから、ボンヤリしている人にも、とてもわかりやすい。

9月まで待たなくても、今日も投票ができる。ノルウェーの選挙投票は、すでに7月から始まっているからだ。「事前投票」と呼ぶ。7月1日から9月8日までだ。日本の「期日前投票」は選挙期間だが、ノルウェーには選挙期間という定めはない。そう、年から年中選挙運動をしているような感じだ。

2カ月間余りの長期間、いつでも投票できるのだ。これなら、うっかり忘れることも少ない。

c0166264_15534316.jpg投票時間は、選挙区ごとに決められていて、オスロ大学、オスロ市役所は午前10時から午後7時まで(土曜は午後6時まで)。

ヘードマルク県の小さな町オーモット市は市役所、図書館・カルチャーセンター、ケアセンター(高齢者や障害者総合施設)などが投票所にされ、時間は各施設の通常開館時間に加えて、特別時間が組まれている。

バス停の隣に新設された事前投票所を取材したことがある(上の写真)。遠くにいる人の目にも飛び込んでくる巨大な看板に目を奪われた。車いすやベビーカー用のスロープの大きさも目立った。これなら、らくだ。

選挙は比例代表制だ。国会議員数は169人。19県がそのまま選挙区なのでわかりやすい。19の選挙区から決められた数の人が選ばれる。たとえばオスロは19人、北部のフィンマルク県は5人、南部のアウスト・アグデル県は4人で最も少ない。

比例代表制は、最強候補が1人当選する小選挙区制とは異なり、大政党は大政党なりに小政党は小政党なりに当選者を出せる。多様な民意をほぼ的確に反映する。投票日が終わると、県選管は、政党ごとの”獲得票”を、1.4→3→5→7というふうに割っていき、その商で最大数をとった政党リストの上から順に当選していく。「修正サン=ラグ方式」といって、ドント方式より弱小政党に有利なんだそうだ。

c0166264_15545330.jpg有権者は投票ブースに入って、そこに並ぶ政党リストから支持政党のものを1枚とって、政党名を見えないように裏返しにして(以前は封筒に入れる方式だった)、それを投票箱に入れる。政党の決めた政党リストを変えたいなら、国会議員の場合、政党リストに数字を書き入れたり、×をつけたりする。

投票が終わると、県選管は、政党ごとの“獲得票”を国の選管に伝える。この“獲得票”の面倒な計算は省くが、要するに選挙区で1議席もとれなかった政党の中から4%以上とった政党リストのトップ候補が、各選挙区の最後の1議席をもらう。それを「平等化議席」と呼ぶ。

そもそも比例代表制である点で、小政党への票を切り捨てないように、という意志が感じられるが、「平等化議席」で、さらなるきめ細かな手を打っているといえる。平等と言えば、選挙に出る人や支援者がお金を使うなどということは絶対ない。日本のカネまみれ選挙とは異なる。だからこそ、ノルウェーでは貧しい難民を親に持つ人や、女子高生も立候補する。

忘れていけないのが、国会議員選挙と同時にサーミ議会選挙もあることだ。先住民族サーミ人は一般の政党から出て国会議員に当選する人もいるが、それとは別にカラショークにあるサーミ議会の議員となってサーミのために働くこともできる。

ノルウェーの選挙は、素人にわかりやすく、らくで、便利で、平等なのだ。ノルウェーを含む北欧諸国は、福祉と平等のモデル国だ。その原点は、システムをつくる国会議員を選ぶ選挙自体が平等・公平・同権に満ちているからだ、と私は思う。

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 ▲オスロにある国会議事堂

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 ▲カラショークにあるサーミ議会

ノルウェーの選挙は政党の政策を選ぶ選挙
ノルウェーの事前投票は1か月以上
世界一幸福な国ノルウェーの女性たち
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
高校生も立候補するカネのかからない選挙(近江真理)
イラク移民の少女が国会議員有力候補になれる国
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by bekokuma321 | 2017-08-12 16:37 | ノルウェー

断頭台の露から223年

c0166264_991947.jpgフランスには、「偉人が葬られるパンテオンはなぜ男ばかりなのか」という女性運動がある。

パンテオンに祀られるべき女性の筆頭がオランプ・ドゥ・グージュだとか。フランス革命の魂『人権宣言』(1789)を「男性の権利をうたったにすぎない」と批判した女性だ。

批判しただけではない。「女性および市民の権利」と称する『女権宣言』を自ら書きおろした(1791)。

200年以上の時を経た昨年末、フランスからニュースがはいった。女性運動団体はパンテオンにオランプ・ドゥ・グージュを祀ることはできなかったが、国会議事堂内に彼女の胸像を設置させたというのだ。女性では初めてだという。

女性の権利を唱えて死刑にされた女性を世に知らしめようと頑張ってきたフランス女性のねばり強さ。つくづく感心しながら、フランス政府から入手したオランプのポスターがあるのを思い出した。オランプは、ポスターから私をじっと見つめ返し、私にこんな文章を書かせた(「I 女のしんぶん」2017.8.10.25号 ↓)。

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Olympe de Gouges statufiée à l'Assemblée nationale
仏、「歴史上の偉人に女性を増やせ」
フランスの政党交付金は男女平等化資金に
男女ペア候補がつくるフランスの男女平等議会
21世紀のマリアンヌ
叫ぶ芸術――ポスターに見る世界の女たち (「I 女のしんぶん」)
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by bekokuma321 | 2017-08-12 09:38 | ヨーロッパ

c0166264_11421172.jpg8月7日、宮城県の村井嘉浩知事は、「8月末には、壇蜜さんにわざわざ宮城におこしいただいてプレゼントキャンペーンを行うことになっている」として「今後も配信を続けたい」と公言した。

県知事の発言は、全国フェミニスト議員連盟による観光PR動画への抗議と即時停止を求める要請を受けて、行われた。同連盟は、「女性は、男性の性的欲求を満足させ男性に奉仕するために存在するものだとする性差別的思い込み」でつくられているとし、「公の機関が公金でつくるものではない」と主張。しかし、宮城県知事はまったく意に介さなかった。

問題の動画は、7月5日から始まり、8月現在も流されている。宮城県に寄せられたメールや電話の9割が批判的な意見だったという。また宮城県の全女性県議からも抗議が寄せられている。全国フェミニスト議員連盟が村井知事に出した要請書は以下。

■■ 動画「涼・宮城の夏」に抗議し、即時配信停止することを求める要請書 ■■ 

仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会
会長・宮城県知事 村井嘉浩様

私たち全国フェミニスト議員連盟は、「仙台・宮城【伊達な旅】夏キャンペーン2017」におけるPR動画「涼・宮城(りょうぐうじょう)の夏」に対して、抗議ならびに即時配信停止要請をいたします。

この動画は、伊達家藩主末裔役の女性(壇蜜さん)に、「殿方に涼しいおもてなしをすること」が使命だと言わせて、男性(ぬいぐるみ)を誘わせます。着物姿で正座した女性は、寝そべる男性をなでまわします。「(みやぎ)いっちゃおう」という女性の台詞の語尾「お、お、お」という発音とともに、女性の半開きの唇のみがアップにされて、男性が鼻血を出します。「よくじょう」としか聞こえない言葉がかぶります(竜宮城からつくった涼宮城をあえてこう発音させたのだろう)。その後も似たような性的描写が繰り返されます。

私たちは、この動画は、ジェンダーの感受性に著しく欠けた表現であり、復興関連予算2300万円という公金を使って県が作成公開する広告にふさわしくないと考えます。すなわちこの動画は、男性の性を満足させるための表現を明示・暗示することによって男性観光客を引きつけようという意図のようにしか見えず、客の多くを占めるだろう女性に不快感を抱かせます。また多くの男女平等を求める男性にも侮辱的でさえあります。さらに宮城の観光資源を男性の性を満足させる商品として描くことは、宮城の歴史・文化に貢献してきた女性たちに違和感を覚えさせる表現だと断じざるをえません。ひいては、少年少女にも性役割や性について偏った情報を与えかねないと考えます。

一方、報道によると、宮城県河端章好副知事は、「動画に問題はなく、県の男女共同参画推進条例の基本理念に反したとは考えていない」との認識を示し、宮城県村井嘉浩知事は、「可もなく不可もなくというものは関心を呼ばない。賛否両論あることは逆に成功につながっている」と続行を表明しています。しかしながら女性は、男性の性的欲求を満足させ男性に奉仕するために存在するものだとする性差別的思い込みをなくすことを期待されている公的機関が、そうした思い込みを土台にした動画を作成・広報し続けるのは、言語道断です。

この宮城県のPR動画ならびに、批判を受けた後の県の対応に対し、私たちは、抗議の意を表明し、本動画の配信の即時停止を強く求めます。また今後、このような動画が流されないよう、県幹部ならびに職員は、抗議した宮城県議などの趣旨に耳を傾けるとともに、「国連第4回世界女性会議行動綱領234条~245条「J項女性とメディア」を研修することをここに要請いたします。
以上

全国フェミニスト議員連盟
共同代表 ひぐちのりこ(宮城県仙台市議会議員)/日向美砂子(東京都小平市議会議員)
事務局 小磯妙子(神奈川県茅ヶ崎市議会議員)


c0166264_1210999.jpg抗議要請は、全国フェミニスト議員連盟のメンバーである樋口典子仙台市議(共同代表)、伊藤美代子山形市議、岩佐孝子宮城県山元町議3人が、直接、宮城県に出向いて行った。

伊藤美代子市議は経済振興観光部部長に「男目線だ。制作過程は男性ばかりだったのではないか」と質問したら、「女性もはいっているように思います」とあいまいな答えだった。「やばいのではという意識はなかったのか」には、部長は答えはなかったという(写真は、経済振興観光部部長に要請文を手渡す3人)。【写真提供:樋口典子】


女性議員連盟が動画配信停止要望(NHK)
<壇蜜さん動画>全国女性議連が配信停止を要請「公金で制作すべき内容ではない」
(河北新報)
女性は男性に奉仕する者と決めつける宮城PR
仙台市地下鉄のポスター
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by bekokuma321 | 2017-08-09 12:30 | その他

「私はちっとも悪くないという気持でここまでやってきた。皆さん本当にありがとうございます」と、西岡恵子さんは、目に涙を浮かべながら、会場を埋めた人たちに深々と頭を下げた。

8月6日の午後、徳島市で開かれた「最高裁が認めた藍住町女性議員追放の違法性」と題する集会。藍住町町議の西岡恵子さんの完全勝利を祝い、未来につなげようと支援団が開いた。

代表の諏訪公子さんは「10年という長い裁判を闘い抜いた西岡さんの不屈の精神に驚き、感銘を受けている」とあいさつ。弁護団の木村清志、大西聡、篠原健弁護士からの西岡議員失職訴訟の説明が続いた。それをもとに以下にまとめる。

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第1回は、9年前の2月選挙後だった。議会に「議員資格審査委員会」が設置され、そこで「西岡さんの被選挙権がないという理由で失職議決」。理由は、水道や電気の使用量が少なく、町内に住んでないようだというとんでもないもの。地裁では全面的に西岡さんの主張が認められた。敗訴した藍住町は控訴。高裁は「水道、電気、ガスの使用量(使用料金)のみから、生活本拠が藍住町にないと判断」。西岡さんの敗訴だった。

敗訴という痛手を受けた西岡さんだが、再び議会で働くことに挑み、2012年の選挙に立候補した。そして4期目の当選。たった1人の女性議員西岡さんを落選させてはならないという住民の強い意志が反映した貴重な議席だった。

ところが、である。藍住町議会はまたしても議会から彼女を追い出しにかかり、「議員資格審査委員会」を再び設置した。そして再びの議員失職議決。西岡さんが、この議員失職議決を覆すには、またしても法廷に訴えるしかなかった。「第二次訴訟」の始まりだった。

今度は、地裁、高裁と勝訴が続き、今年6月20日、最高裁が「藍住町からの本件上告を棄却する」と決定した。勝因は「2012年の選挙の際、自宅を外出するとき、帰宅したときの写真や食事の準備状況などを写真撮影して残していたこと」「2014年、2度目の失職後、セコムを導入して、自宅にいる時間をより客観的に証明した」ことだった。

弁護士は、「唯一の女性議員の西岡さんを狙い撃ちしたものだ」と言った。そして「与党が圧倒的に強い議会で与党に対決して、裁判闘争に勝利した」「これだけの攻撃を受けながらも、2016年の選挙で5期目の当選を果たした」と強調した。

三井マリ子は、Xという多数世界にポツンとOが入っていくという話(ロザベス・M・カンタ―著、三井訳『Oの物語』)を今回の事件をもとにして紹介し、実は誰にでも起こりうることではないかと話した。

多数派Xと少数派Oは、今回の事件では男性議員対女性議員。XはOを、チアガール、または女房役、またはセックスシンボルとして見る。チアガールはXを持ちあげXが失敗しても許す。女房役はお茶くみやコピーとりを率先してこなす”職場の妻“。セックスシンボルは・・・ご存じの通り。

この3つの型にはまっているOは、X世界から排斥はされない。だけど、3つの型にはいっていないOは、どうなるか。Xは、そんなOを「こわい女」「わけのわからない女」と見る。うざい、けむたい、やっかいだ。

それが西岡さんだ。町議会は西岡さんを何が何でも追い出したかったのだ。理由は何でもよかった。そうでなければ、光熱水費が少ないだけで町民が選挙で選んだ議員を追い出せるわけがない。

彼女は壮絶な闘いの上、今回、勝利した。勝因は310枚もの写真とおびただしい文書による証拠だった。自宅に住んでいることを証明するために、帰宅したとき、自宅でTVを見ているとき、食事をしているとき、家を出るときを記録し続け、プライバシーをさらけ出すことを自分に課した。

ここまでやらないと、勝てないのか。セクハラ事件を訴えた被害女性が、裁判で、どんな服装をしていたか、どんな風に抵抗したかなどと執拗に問われることを思い出し、憤りに体が震えた。

そういう意味で、西岡さんの事件は、日本の社会で、弱者とりわけ女性が強者に抵抗するときの縮図だ。

いま世界は、多様性の時代、統合・包摂の時代だ。移民・難民への対応、障害者差別撤廃への動き、先住民族の人権獲得などーーー。舵とりをする場は政治だ。その政治の場で、たった一人の女性をいじめ抜き、排除したことは、深刻きわまりない。

だからこそ、西岡さんの闘いは、西岡さんだけの闘いではない。私たちが記憶にとどめ、このようなことは二度と起こらないよう、未来へつないでいかなくてはならない。「さあ、本当の闘いはこれからだ!」

(2017年8月8日 一部更新)



西岡・藍住町議 失職取り消し訴訟 西岡町議「議会正常化を」 勝訴の報告会(毎日新聞/徳島)
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by bekokuma321 | 2017-08-07 15:57 | その他

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by bekokuma321 | 2017-08-05 12:17 | その他

2017年の世界平和指数で、トップは北欧アイスランドだ。なんと2008年からトップの座に君臨し続ける。 アイスランドが世界で最も平和なのは、軍隊がないことと、民主主義の長い伝統にあると言われている。

日本は10位。昨年からまた下がった。戦争放棄の9条を持つ稀有な国だが、日本のランクは年々落ちている。いや、憲法に戦争放棄が明記されているからこそ、辛うじて世界の10位にはいっているのではないか。

日本のランキングは、2010年3位、2011年3位、2012年4位、2013年5位、2014年7位、2015年5位、2016年9位、そして2017年10位だ。

c0166264_12330.jpg 1 アイスランド
 2 ニュージーランド
 3 ポルトガル
 4 オーストリア
 5 デンマーク
 6 チェコ
 7 スロベニア
 8 カナダ
 9 スイス
 10 アイルランド 


Global Peace Index
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by bekokuma321 | 2017-08-03 01:13 | 北欧