<   2017年 08月 ( 17 )   > この月の画像一覧

毎晩9時半、ノルウェーの家庭はNRKで選挙デベイトを見る。今晩は題して「首相の決闘」。NRKは日本のNHKにあたる。

現首相アーナ・ソールベルグ(保守党党首)と、元外相ヨーナス・ストーレ(労働党党首)の論争だ。次の首相にふさわしいのはどちらか。政策から私生活まで多彩な話題で1時間半続いた。

番組で真っ先に目を引いたのは、2人の討論が行われた場所だ。首都オスロのNRKスタジオではなく、北の都トロムソにある公立図書館だった。

優美な曲線の屋根と総ガラス造りの豪華な建築は、とても図書館には見えない。トロムソ市の中心にある、この図書館は、さまざまなイベントに使われ、市民の憩いの場になっているそうだ。吹き抜けの会場はどこもかしこも人、人、人。「どなたでも自由に参加できます」という呼びかけに応じてやってきた市民たちだ(写真下はNRKウエブの録画から借用)。

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国会議事堂やメディアが集中する首都オスロで番組をつくるほうが、NRKには楽だろう。でも、それではオスロ近郊の人しか参加できない。オスロの人たちと、北極圏にあるトロムソ市民では首相への質問も違ってくるだろう。

それに、話す言葉も違う。ノルウェーには大きくわけて4つの方言があるといわれていて、北部の人は北部なまりの独特の方言を使う。アクセントだけでなく単語自体が違う場合もある。トロムソのあるフィンマルク県にはサーミの人たちも住む。サーミの人たちの言語はまったく別の言語で、方言とは言えない。

討論の中身だが、番組直前、労働党支持率が下がったという世論調査が発表になったばかりだった。しかし労働党党首ヨーナス・ストーレは、「決闘」にふさわしく、移民・統合大臣の国民の分断をあおるような行動(注)をとりあげて、首相に先制攻撃をした。

参加した市民からの質問には、漁業問題や、「20年間、薬物中毒だった。治って病院から地域に戻ったが周りに友人や相談に乗ってくれる人がいない。あなたならどうしますか」という深刻なものもあった。専門家や芸能人中心の日本の選挙報道とはずいぶん異なる。

椅子席は満員のため立っている人もいたが、市民のほとんどが座っていたのに対し、首相と元外相の2人は終始立ちっぱなしだったことも印象に残る。

先週、この選挙番組は、西海岸のローエンで放送されていた。討論をする政治家とアナウンサーのバックに壮大な山とフィヨルドが広がっていた。

世界一民主主義の国は、選挙制度や選挙運動、そして選挙報道までが民主的のようだ。思い出すのは、「どこに住んでいようと、平等の権利を持つ」とうたうノルウェーの教育方針だ。

「教育はみんなのもの!子どもや若者は、どこに住んでいようと、どちらの性であろうと、どんな社会的文化的背景を持っていようと、いかなる支援を必要としていようと、平等に教育を受ける権利を持つ」

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 ▲労働党の支持率低下を報道するアフテンポステン紙(2017年8月30日)。左が労働党党首、右が首相の保守党党首


【注】極右といわれる進歩党から移民・統合大臣となっているシルヴィ・リストハウグ Sylvi Listhaugが突然スウェーデンを訪問して、またメディアの見出しを飾った。スウェーデンにある移民・難民が集まる町 Rinkebyを参考にするための視察というが、選挙に利用としているのが見え見えであり、野党はもちろん首相など与党からもひんしゅくを買った。同じ移民問題を担当するスウェーデンの大臣と会う予定だったが、スウェーデン大臣は面会をキャンセルした。(Norway minister sparks war of words with Sweden over immigration)

育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
政党を選ぶノルウェーの選挙
平等・公平・同権に満ちた選挙制度(ノルウェー)
トランプ効果
高校生も立候補するカネのかからない選挙 (近江真理)
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~
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by bekokuma321 | 2017-08-31 03:05 | ノルウェー

スクール・エレクションは、ノルウェー全土の高校で行われる“模擬投票”だ。でも、模擬投票という日本語からは想像できないほど重要な意義を持つ。

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スクール・エレクションは、一般投票日の1週間前に全土の高校で行われる。投票が終わるとただちに学校ごとに各政党の獲得票が集計されて、さらに全土の合計が出される。それを「待ってました」とばかりメディアはいっせいに報道する。それによって、政党関係者はもちろん、大人たちも、若者がどの政党をどの程度支持しているかを把握できる、これ以上ない選挙予測となる。

c0166264_0265260.jpgまた、スクール・エレクションの政党討論会は、生徒会主催とはいえ、各党の主要候補者が出席する。

たとえば、先日のエルブルム高校の政党討論会には、ヘードマルク県の保守党1番目の候補(写真左)、労働党2番目の候補(写真右下)が出席していた。

保守党候補は、現首相の顔を描いたシャツを着て熱弁をふるい、労働党候補は、シンボルの真っ赤なシャツを身に着けて堂々たる態度で聴衆をひきつけた。

c0166264_029237.jpgヘードマルク県の議員定数は7人。過去の選挙から見ると、7人のうちわけは、労働党3人、保守党1人、中央党1人、進歩党1人、左派社会党1人だ。よほどの事がない限り、この傾向は動かない。つまり、高校生の目の前にいるスピーカーの少なくとも2人は9月から国会議員なのだ。高校生が真剣なのもわかる気がする(一番上の写真参照)。

残念ながら、期待していた2人の女性候補には会えなかった。

1人は、労働党1番目の現国会議員アネッテ・トレッテバルグステューエン(36歳)。もう1人は中央党2番目のエミリー・エンガー・メール(24歳)。

c0166264_150530.jpgアネッテ(写真左)は来日して講演をしたことがあり、日本人にもなじみのある政治家だ。彼女は、同性愛を公表しており、同性愛者の権利擁護が主な活動のひとつ。同性愛の男ともだちの精子でセックスせずに妊娠したことを公表し、この夏、出産した。現在、育児休暇中のため、「選挙活動をいっさいしていないようです」と聞いた。

選挙運動をせずに、家で子どもの面倒を見ていても、リストの1番目彼女は、この9月、確実に国会議員となる。とはいえ、へードマルク労働党が彼女に全く不満がないとはいえないようだ。政党党首は選挙の全国的顔、一方、選挙区の政党の顔は候補者リスト1番目の候補が担うのが普通だからだ。

c0166264_1522877.jpg中央党のエミリー(写真右の女性)は、中央党党首(ヘードマルク中央党1番目、写真の男性)に代わって、ヘードマルク県中を回っているという。党首はメディア出演などで超多忙であり、選挙区に手が回らないのだ。彼女は、現役の大学生。オスロ大学法学部で勉学を続ける傍ら、ヘードマルク中央党青年部副部長として頭角を現してリストの2番に登載された。中央党の人気上昇が続くと、2人当選の可能性がある。すると、史上最も若い国会議員の誕生となる。

アネッテとエミリー。どちらも、比例代表制選挙でなければ、ありえない話だ。

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 ▲ノルウェーの投票用紙。20以上の政党が候補者リストを出す。そのリストが投票用紙となる。

ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
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平等・公平・同権に満ちた選挙制度(ノルウェー)
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by bekokuma321 | 2017-08-30 00:54 | ノルウェー

ノルウェーでは、有権者は1票を政党に投じる。だから有権者は、どの政党がどんな政策を持っているかを知らなければ話にならない。一方、自分の選挙区でさえどんな候補者が出ているかを知らない人も多い。比例代表制選挙ゆえだ。

では、いったいどうやってそれぞれの政党の政策を知るのだろう。

政党は大小さまざま20以上ある。20以上のなかで国会議員を出している政党は8つ。それに地方議会に存在感を表している赤党をあわせて、9つが主な政党だ(注)。

現在ノルウェーは、保守党中心の中道右派政権だ。ノルウェーでは右派政権を「ブルジョア陣営」、左派政権を「赤緑陣営」と呼ぶ。この呼称を初めて知ったとき、金持ち連中ととられるレッテルを政党に貼っていいのか、と違和感を覚えた。でも、政党が基本的にどちらを向いているかを知るには、わかりやすい表現ではある。実際の政治はそれほど単純ではないが。

ともかく、頻繁に行われる世論調査によると、2陣営の勢力は拮抗している。左派か右派かどちらか明快でないミニ政党次第で、どちらの陣営が政権をとるかが決まるという報道もある。

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先日、スクール・エレクションでの政党討論会を紹介した。生徒会が主催する全政党の討論会だ。招待に応じて高校にやってきたのは、主要9政党を含む11政党。みな選挙区ヘードマルク県の党員だ。

高校生たちは、校内で、政党代表のスピーチに耳を傾けた。

11人は、左から右まで、ほぼ政策左寄りか右寄りかに対応して、ズラリと横一線に並んだ。上の写真を見てほしい。各人の席の前には政党シンボルが張られている。ところが、どこを探しても人物名はない。

もっとも左は赤党、次に左派社会党、労働党、中央党・・・立っているのは地方議会で躍進した緑の党。右のほうにはブルジョア陣営が並んでいる。

また校内には、ほぼ全政党の選挙ブースが所せましと設けられていて、党員たちが選挙用パンフレットを配ったり、質問に答えたりしていた。こうした情報をもとに、帰宅後、親や兄弟姉妹と話題にすることになる。親が政党員の場合は、その政党になじんでいることが多いのは日本も同じだろう。

一方、日本では、政党青年部はまったく目立たない。ノルウェーでは、政党は、政党パンフレット(中央)、政党青年部パンフレット、選挙区政党パンフレット、と少なくとも3つの機関が、それぞれ独自の情報を流す。もちろん同一政党で基本的政策は同じだ。しかしまれに、政党の中央組織と政党青年部の間で、または政党の中央本部と同じ政党の選挙区組織で異なった結論になることもある。

その背景には、政党交付金の拠出方法が日本と異なっている点がある。ノルウェーの政党交付金は、政府から、政党中央、政党青年部、政党地方組織の3つの機関に、別々に独立して拠出される。政党青年部は政府から直接送金された予算で、独自に活動を行える。

たとえばエルブルム高校内では、筆記用具、キャンデー、リップクリーム、蛍光バンド(暗い道路で光る)などを、パンフレットとともに配布していた。面白いのは、労働党のコンドームだ(下の写真、下列中央の真四角の白いパッケージ)。若者の関心を呼ぶために知恵をしぼったのだろう。

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一般には、政党からのパンフレットより、テレビや新聞がメインだ。ほぼすべてのメディアは、「2017選挙」という特集を組み、主要政党9つに焦点をあてて、さまざまな角度から政党の政策を報道している。多くのメディアは、自分の意見はどの政党に近いかの参考にするための政策クイズを設けている。Valgomatと呼ばれる。

テレビ、新聞に加え、ネットがのしてきているのは世界共通だ。しかしラジオも健在だ。NRK(日本のNHKにあたる)のラジオで「政治の15分」というシリーズがあり、それが今は「選挙の15分」に様変わり。テレビでは異なった意見を持つ複数の政治家・専門家による討論が多いが、このラジオ番組は、アナウンサーが政党党首1人にその言い分をじっくり聞く。ラジオを聴く層である50代以上の中高年向けだろう。

先日からメディアの大きな話題は、移民・難民政策だ。移民・統合問題の大臣が厳しい発言をしてはメディアの見出しを独占している(最下写真)。知人は、「非正規労働者の労働条件の改善をもっと扱うべきだ」「小さな市を合併したことによる、地方の暮らしの不便さをもっと扱うべきだ」などと不満をもらしていた。

今朝のラジオは、中央党の党首だった。前回の選挙に比べ、確実に勢力を伸ばしている。彼の発言でメディアを引き付けた話題はやはり移民・難民への対応だった。今、ノルウェーは、EU加盟国であるヨーロッパ諸国から雇用を求めてやってくる移民と、シリアやアフガニスタンなどからの難民と、2つの問題をかかえている。後者に対する法は、国際条約だ。中央党は、国際法順守は当然だが現状とマッチしなくなっていて改正が必要だと強調。さらに、地方自治における民主主義をかかげる同党は、「言語や文化を習熟させる学校教育、独立できる就職などに対応するのは市だ。市の限度超えては、受け入れは困難だ」などと発言した。

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NRK Valgomat  
Aftenposten Valgomat 
Dagbladet Valgomat 
VG Valgomat 
NRK Valg2017
Aftenposten Valg2017


【注】2017年8月29日更新。2013年の選挙で、緑の党は国会に1議席を確保した。その結果、国会に議席を有する政党は8つとなった。赤党は左派社会党よりも左に属している党であり、国会に議席はない。しかし、地方議会にかなりの議席を持つ。
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by bekokuma321 | 2017-08-29 05:41 | ノルウェー

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「私は労働党がいいと思った」
「左派社会党です」
「保守党を支持しますね」
「赤党の献身的な姿勢にひかれました」

「さきほどの政党討論会を聞いてどう思いましたか」と聞いた私への高校生たちの回答だ。

8月25日午前10時、ヘードマルク県エルブルム高校でスクール・エレクションの政党討論会があるというので行ってみた。

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スクール・エレクションは、ノルウェー全土で、高校生が選挙本番の1週間ほど前に行う、いわゆる“模擬選挙”だ。それぞれの高校で、生徒会が主催する。投票前には、全政党の候補者を招待し、政治討論会を開く。学校内で、政党の選挙キャンペーンもする。生きた政治教材そのものだ。

政治や選挙をタブー視する日本とはずいぶん違う。日本で、こんなことを許した学校の校長は首になるのではないか。高校教師をしていた私は、ノルウェーのスクール・エレクションを初めて知った時、腰がぬけそうなほど驚いた。

「エルビス」という愛称で呼ばれるこのエルブルム高校には、30カ国以上の異なった国の生徒が通う。ヒジャブやチャドル(注)をまとった女子高生も見える。

10時、階段教室に入室したら、多くの生徒で、すでにほぼ満席だった。さらに多くの生徒が入ってきた。空席はない。床に座り込む生徒、立っている生徒。投票権は18歳(高校3年生)からで、投票権を持つ人ならだれでも候補者になれる。要は、高校生の国会議員だってありうる。熱心なのもうなづける。

生徒たちの前には11政党の代表が座った(上から2枚目の写真)。向かって左から、赤党、左派社会党、労働党、中央党、緑の党、民主主義党、キリスト教民主党、自由党、保守党、進歩党、リベラル党。4、50代らしき人もいたが、ほとんどは各政党の青年部に属する20代が多いようだった。全員、国会議員候補だという。

校長がほんの一言挨拶した。彼自身、校長をしながら市議会議員(自由党)を務めている。ノルウェーでは市議会議員はみな通常の仕事をしながらのボランティアだから、よくあることだが、この選挙で彼は自由党の国会議員候補リストでトップに登載されていると聞いて、少々驚いた。

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司会役の2人の女子高生が開始の合図をした。学生議会(ユース・カウンシル)の代表だというマイケン(上写真のマイクを持つ女性)とヴィレムだ。

プログラムは、1 政党の公約発表  2 健康保健問題、狼捕獲問題、欠席率と退学の関係についての意見  3 イエス・ノーで答える質問  4 最後の提言。  

圧巻は、2の政策について発言しているときに、その意見に反対なら挙手して、いくつかの政党が反論できることだ。反論は1分で答えなければならず、時間が来たら、司会がスピーチ台をたたく。それでもやめなかったら、2回たたく。各自の発言時間が厳しく制限されていて、全員に発言の機会が与えられるようになっている。みなよく時間を守る。

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10時15分から始まった討論会は、11時15分で終了。ゾロゾロと部屋から出た生徒たちの多くは、カフェテリアに設けられている政党のブースに立ち寄ってさらに話を聞いていた。政党に質問をぶつけている人もいた。投票日である9月11日の1週間前の4日、5日がスクールエレクションの投票日だという。投票は校内で行われる。

世界一の民主主義の国を育てる土壌はこれだ! とひざをたたいた。

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投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
政党を選ぶノルウェーの選挙
平等・公平・同権に満ちた選挙制度(ノルウェー)
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民主主義度1位ノルウェー、23位日本
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【注】8月26日更新した。ノルウェーの学校はブルカを禁止している。ブルカは目の部分だけ編み目状で他はすっぽりと覆い隠す女性の服装を指す。ヒジャブ(またはヒジャーブ)はスカーフ状の布で頭を覆い、顔は見せるもの。チャドルは顔は出すが全身を覆っているもの。今、連立政権の一角を担う進歩党の移民・統合大臣シルヴィ・リストハウグSylvi Listhaugが「小学校でヒジャブを禁止すべきだ」と公言して大論争になっている。エルブルム高校ではヒジャブと、チャドルの女子生徒がいた。上から4枚目の写真で右側の女子生徒は紫色のチャドルをしている。
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by bekokuma321 | 2017-08-26 07:26 | ノルウェー

民主主義度世界一といわれる国の選挙運動をこの目で確かめたくて、ノルウェーにやってきた。

ノルウェーの国政選挙は9月11日だ。だけど7月から投票ができる。一人でも多くの人に投票してもらうためには、2か月という事前投票期間も苦にならないらしい。

オスロから知人の車で北へ。ヨットが停泊する青い海を過ぎると、森、麦畑、川。美しい自然がどこまでも続く。

選挙に関するポスターや看板は1枚もない。選挙の宣伝カーもない。

「たしか70年代には政党のポスターがあったようです。今は自然環境を壊さないようにと全政党で路上に看板やポスターをはらないと決めています」と国会議員候補者の知人が言う。2時間で目的地ヘードマルク県レーナ市にたどり着いた。

国会議員候補の知人が選挙区を離れて悠々としていられるのは、比例代表制選挙だからだ。候補者個人ではなく政党を選ぶ選挙のため、個人が選挙運動をする必要などない。候補者であっても、党首以外はほぼ通常の生活をすごせる。

日本の町の風景を特徴づける選挙ポスターを思い出す。先月、福岡県北九州市で見たのは、山本幸三議員のポスター。今月初め徳島市で見たのは、後藤田正純議員のポスター。まだ衆議院議員選挙の日が決まってもいないのに、大きな字で名前の書かれた議員の顔が目にはいってきた。

レーナ市の事前投票は、市役所の隣にある文化センターの受付で行われていた。文化センターは音楽会などに使われる大劇場や、図書館、喫茶などがある、市民の憩いの場だ。

受付の右側に投票ブースが2つ設置されている(写真下)。ブースには、候補者名が印刷されたリストが政党別に並べられている。今回は17政党ある。投票者は、だれにも見られないようにカーテンを引いて、ブースに並ぶ政党の候補者リストから支持政党の1枚を取って、中身を内側にして2つ折りにする。ブースから出て、受付で身分証明書を見せて、リストにスタンプを押してもらったら、それを投票箱に入れる。とても簡単だ。

日本では、投票所に行くとまず多くの人がいる。事前投票の理由を書かされたあと、前もって郵送されたハガキを出すと、投票用紙を渡される。投票ブースに移動するが、そこにカーテンがないうえ、背後に何人か座っているため、監視されているような気になりながら、投票用紙に支持する候補者の名前を自分で書き入れる。候補者の名前を書くことを「自書式」というが、今でもこの方法をとる国は、日本しかないと聞いたことがある。

日本の選挙に比べて、ノルウェーの選挙は、候補者にも投票者にも、なんとも言えない優しさに満ちている。

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by bekokuma321 | 2017-08-25 06:38 | ノルウェー

バルセロナ襲撃事件

8月18日、バルセロナの襲撃事件を非難して10万人が市の中心に集まった。

前日17日夕方、中心の繁華街ランブラス通りをワゴン車が突っ込み、14人が死亡、100人が負傷した。その恐怖と悲しみを乗り越えようとする、市民の行動だった。

報道によると、立錐の余地のないほどの市民が手の平をかかげて、「私は恐れない I’m not afraid」と声をあげて、テロに屈しないという市民の強い意志を世界に示した。

バルセロナ市長アダ・コラウAda Colauは、「恐怖を止めよう。ランブラス通りまで歩き続けよう、襲撃を非難し、犠牲者への連帯を示そう」とスピーチ。

バルセロナ市は急遽市議会を開き、全会一致で、市庁舎を19日、20日、朝10時から夜8時まで、弔問客に開放されることを決めたという。

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アダ・コラウ市長は、「怒れる人たち」で知られる貧困撲滅運動家。平等と腐敗撲滅を掲げて政治家に立候補した異色の女性。2015年の選挙(比例代表制)で、バルセロナ初の女性市長に選出された。

彼女は市長就任にあたって、市長任期を最大2期に短縮、報酬を14万ユーロ(1700万円)から2万8千ユーロ(340万円)に減額、市長専用車の廃止、議会委員会出席した議員への報酬撤廃など、を次々に打ち出した。

日本の議員たちの私服肥やしにうんざりしていた私の心を強く揺さぶったことを覚えている。バルセロナを襲ったテロ事件への対応にも、市民の目線を失わない彼女の姿勢が垣間見られる。

Barcelona isn’t afraid
'I am not afraid': Barcelona vigil sends message of defiance
日本のカネまみれ政治家からバルセロナを考える
三木草子のバルセロナ・リポート
怒れる人たち、スペイン政治の中枢に

【写真】Ada Colauのfacebook/Twitterより。左がAda Colau、右が弔問に訪れたマドリード市長
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by bekokuma321 | 2017-08-21 12:38

「ヨナスよ、大惨事 だーーそう、最悪だ!」

8月14日月曜日、ノルウェー公共放送NRKは、こんな見出しで世論調査を伝えた。大惨事とは、ヨナス・ガーレ・ストーレ率いるノルウェー労働党の支持率がガックリ下がったことを指している。

労働党は27.1%だった(下グラフ、左から3番目)。対する保守党は23.8%(上グラフ、右から2番目)。労働党は、保守党を上回っているが、7月に比べて5.9%も下げたと報道されている。

ノルウェーは9月11日に投票日を控えて、選挙のニュースが多い。日本の変な選挙制度を変えたいと思ってる人には役立つと考え、また紹介する。

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    ▲NRKの結果。赤党から進歩党へと、極左から極右までほぼ政策に従って並んでいる

ノルウェーの選挙は比例代表制だから、議席数は政党の支持率にほぼ比例する。最新世論調査によると、労働党は、前内閣で連立を組んだ中央党(上グラフ、左から4番目)と左派社会党(同、左から2番目)の議席を合わせても多数派をつくれない。先月まで新政権は労働党中心になりそうだと言われていたが、あやしくなってきた

いまノルウェーは保守中道連立政権だ。保守党と進歩党(同、最右)という2党を、ミニ政党のキリスト教民主党(同、右から4番目)と自由党(同、右から3番目)2党が閣外協力をする。このままなら保守連立政権の続投かと思うが、キリスト教民主党党首は、進歩党(最右派)の政策とは相いれないと公言しており、どうもはっきりしない。

比例代表選挙は、政党を選ぶ選挙だ。政党らしさを決めるのは政策で、たとえば保守党の公約は減税だ。福祉・教育に私企業の参入を進めようとしている。それに反対するのが社会民主主義の労働党だ。ストーレ党首は、減税は非現実的だと保守党党首のアーナ・ソールバルグ首相をこきおろす。連立相手の進歩党は、難民の受け入れに厳しく、左派はなお一層強く批判をする。

さらに現政権は、行政の効率化と称して地方自治体の合併を推進してきた。それに猛反対してきたのが労働党の連立政党である中央党(以前の農民党)だ。政権をとったら合併政策をもとにもどそうとしている。

というわけで、保守党中心の保守中道政権になるか、労働党中心の左派中道政権になるか、まだわからない。

ノルウェーは政党を決める選挙だから、選挙運動の目玉は党首討論会だ。

第1回党首討論会は、8月14日夜、オスロ南方の港町アーレンダールであった。同市恒例の夏祭りに合わせて、9党代表が市内の文化会館に集合し、党首討論会に臨んだ。こちらは、いかにうまく議論できたかを競うもので、結果が数字であらわされる。プレスルームに陣取った多数の関係者が大スクリーンに映し出される討論会を見て採点するらしい。14日は、ミニ政党の左派社会党党首が最高点だった。

党首は党の顔だから超多忙なのは日本もノルウェーも同じだ。が、ノルウェーの議員候補者に日本のようなブラック企業真っ青という忙しさはない。妊娠中で体をいたわる女性候補でも、候補者リストの上位に登載されていれば、当選はできる。緑の党スポークスパーソン(この党は党首をこう呼ぶ。男女2人いる)は12月に出産を控えた女性で、彼女は「当選したら育児休業にはいる」と言っていた。

国会議員も労働者だから、他の労働者に保障されている病欠や休暇をごく自然にとる。でも、国会議員の職務は? 全然、大丈夫! 彼女が留守の間は、緑の党の次点候補が「代理議員」としてただちに国会議員職を引き受ける。ここも比例代表制のいいところだ。

どの政党に入れたらいいかわからない人にはValgomatがある。ゲーム感覚で楽しめる。しかもネットですぐできる。賛否が分かれそうな政策が並んでいて、順番に賛否の印をつけていくと、最後に「あなたは◎政党に近いです」と決めてくれる。先日やってみたら「あなたはキリスト教民主党に近いです」。思わずノルウェーの友人に話したら、彼女は「私もやってみたら、赤党ですって」。

日本だと、候補者は自分の名前を書いた巨大な看板をつけた選挙事務所を設ける。ところが、比例代表制の国では、候補者に選挙事務所はいらない。いるのは、政党のPRコーナーのみ。首都オスロは小屋が並び、選挙区によってはテントが張られる。テントはどの政党も似たようなサイズだが、政党の色で区別がつく(上のグラフの色)。党員が通り過ぎる人たちと政策論議を交わす。小屋やテントの前に置かれたテーブルには、チラシやバッジなど選挙グッズに加えて、キャンデーやクッキー、ニンジンなどおやつも置いてある。

先日、徳島県で、高級ハムが候補者から何百人もの有権者宅に宅配されたという話を聞いてきたばかりだ。ノルウェーの選挙小屋や選挙テントで置いているのは、子どもが駄菓子屋で買える10円そこそこのもの。票を金で買おうなどといういじましさとは全く次元が違う。

子どもと言えば、ノルウェーの中学高校では、校内に全党の候補者が招かれて政策論議が行われ、本番さながらの模擬投票もある。スクールエレクションという。

日本では、1票でも多く票をとった1人のみが当選する。しかも、候補者名を手書きしなければならないという世界に類を見ない変な投票方法だ。だから候補者は、名前と顔を覚えてもらうために、顔と名前が目立つポスターを選挙区中にはりまくる。顔と名前の印刷されたうちわ、ワイン、カレンダーなどを配った人もいる。候補者は宣伝カーによる連呼や、人の集まる場所に立っては連呼をしまくる。1票で落ちるかもしれない。熾烈な戦いが続く。

さらに変なのは、日本は、他国で最も当たり前の戸別訪問を禁止していることだ。さらにもっと変なのは、禁止されているにも関わらず、現職議員なら「議会報告を届けに来ました」とか言って戸別訪問をしても誰にも咎められないことだ。

こういうわけだから、日本の選挙で、候補者の政策はほとんど重視されない。「世話になった親父さんの後継ぎだから」「◎◎先生に頼まれたから」「TVでよく見るから」と1票を入れる。2011年3月11日の東北大震災後の選挙でさえ、原発政策が争点にならなかった。

私たちに代わって国の土台を決める代表を選ぶのが選挙だ。小選挙中心の日本の選挙と、比例代表制のノルウェー。どちらがいいか、答えは明らかだ。

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▲ノルウェーの投票所。他人に見られないように四方を囲まれたブースで支持政党用紙1枚をとって、投票箱にいれる

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 ▲ノルウェーの街頭での選挙運動。右側に居並ぶカラフルなテントが各政党の選挙テント

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  ▲投票日が近い週末の選挙運動はまるでお祭り騒ぎ。子どもも、中高生もたくさん参加する



Poll of polls
Norstat for NRK 15. august 2017
Katastrofemåling for Jonas: – Ja, det er dårlig!
Right Wing Group’s Stand Removed from Political Festival in Norway
平等・公平・同権に満ちた選挙制度(ノルウェー)
ノルウェーの選挙は政党の政策を選ぶ選挙
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
イラク移民の少女が国会議員有力候補になれる国
来年9月の選挙候補者が決まるノルウェーの秋
選挙における清廉性プロジェクト
スクール・エレクション終わる
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by bekokuma321 | 2017-08-19 00:23 | ノルウェー

c0166264_13323170.jpg私はかねてから労働組合で活動していたため女性問題について触れる機会が多く、「勝訴 最高裁が認めた藍住町女性議員追放の違法性」の報告会には、大変興味がありました。

私の住む阿南市は、議員26人中女性は5人で、26%という比較的高い割合を占めています。現議長は、2人目の女性議長です。

しかし、全議員の4人に1人が女性であっても女性議員の置かれている現状はなんら変わりません。いまだにセクハラ・パワハラに対する認識の低い議員が多いと聞いています。

例をあげますと、阿南市にはセクハラにあった1人の女性議員がいて、彼女は、数年前から被害を議会でも訴えてきました。しかし改善されることはなく、その女性議員は心に大きな傷を抱えているようです。

こんな現実を見聞きしてきた私は、まだまだ男尊女卑の風潮は厳しく、女性が政治家になるということは、茨の道ではないかと考えてしまいます。

それに、知識階級の男性の中には、ただ単に「ジェンダー」という言葉を「単語」として使って、いかにも女性問題に理解者であるかのようなそぶりを見せて、実際に自分に不利益が発生するとわかると手のひらを返したように女性差別をする人がいます。いや、そういう男性を私は少なからず見てきました。

女性には、常に「女性の・・・」「女性・・・」といった冠がまず付きます。私はこれが耳障りで仕方ありませんでした。また、女性が政治を目指すとき,「女性の視点」「女性の感覚」というキャッチコピーを使うことがよくあり、それにも抵抗がありました。

c0166264_13351492.jpgしかし、先日、徳島市で、三井マリ子先生の「XとOのお話」を伺って、少し考えが変わりました。

大勢のXのなかにOがポツンと入っていくと、どんなことが起きるかという話でした。Xが男性でOが女性だったら、XはOを、「チアリーダー」、「女房役」、「セックスシンボル」と見る。その3つの役にあてはまらないOは、Xにいじめられ、排除されると伺いました。

藍住町議員の西岡恵子さんは、Xの気にいる役とかけはなれたOだったため、Xから排斥の対象にされたというのです。

「XとOのお話」から、阿南市のOには、セクハラを受けたOを応援するより、X側を応援するチアリーダー的な役を選んだOが多かったようだと聞いたことを思い出しました。Oは、そのほうが得だと思ったからなのか、それともX世界で生き延びるためには、そうせざるをえなかったのか・・・。どちらにせよ阿南市は、女性議員(O)の数が多少多くても、いまだ男性(X)優位の世界なのではないかと思います。

では、どうしたらいいのか。

それには、やはり、Xが多い議会にOを増やすことしかないと思います。多様で多彩なOが増えてくると、Oに味方するOも出てきます。Oが集まって「おかしいのはXのほうだ」と言うこともできます。するとXは、気に入らないからと言ってOを排除できなくなります。

そのためには女性の勇気と、男性の理解がもっとも必要ではないでしょうか。「女性は席に座る勇気を、男性は席を譲る勇気を」ですよね。道のない大草原でも,誰かが最初に歩けば足跡はでき,その後をまた誰かが歩けば草が枯れて,またその後を何人かで歩けば道になり,いつかは広く歩きやすい道になると私は信じたいです。

瀬戸内 美香(8.6 集会「勝訴 最高裁が認めた藍住町女性議員追放の違法性」参加者)
  
【写真上:西岡恵子議員 下:三井マリ子講師(林広撮影)】

藍住町長・町議会議長に謝罪要請(フェミ議連) 
速報「徳島県藍住町女性議員追放の違法性」
女性議員追放の藍住町で町課長らが女性職員にセクハラ
どこまで女を食い物にするのか
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by bekokuma321 | 2017-08-15 13:50 | その他

c0166264_947352.jpg速報『徳島県藍住町女性議員追放の違法性』」で紹介したように、8月6日、藍住町町議の西岡恵子さん(左)の完全勝利を祝い、未来につなげようという会がもたれた。

主催は「女性ゼロ議会を無くす徳島の会」(諏訪公子代表)。

西岡原告の代理人を務めて裁判を勝利に導いた弁護団の木村清志、大西聡、篠原健弁護士は、西岡議員失職訴訟の解説と意義を熱っぽく語った。

c0166264_9504231.jpg西岡原告は、勝利に至るまでの苦しい闘いを感動的に語った。藍住町議員小川幸英さんは、議会における西岡議員つぶしの背景と思われる数々の不穏な動きを語ってくれた。

元参議院議員の乾晴美さん(左)は「西岡さんにならって、目の上のたんこぶになろう」と元気に訴えた。

徳島の会と連帯しながら、西岡さんを応援してきた市民運動団体「全国フェミニスト議員連盟」から世話人3人が駆けつけた。その1人、名古屋からやってきた岡田ふさ子世話人(右下)は、藍住町の石川智能町長、森志郎町議会議長あてに届ける「要請文」を読み上げ、会場から拍手喝さいを受けた。

c0166264_9555651.jpg翌8月7日、町の責任者と面談の約束をしていたが、強い台風のため、藍住町役場に出向いての要請行動はキャンセルとなった。

過日、要請文は、全国フェミニスト議員連盟の日向みさ子代表によって町長と町議会議長に郵送で届けられた。以下はその要請文の内容。

■■■■ 徳島県藍住町女性議員資格剥奪の違法確定と今後についての要請 ■■■■

徳島県藍住町町長  石川 智能 様    
徳島県藍住町議会議長 森 志郎 様
                           
徳島県藍住町は、「男女共同参画プラン」を策定し、それには「男女が共に個性と能力を発揮できる社会の実現」が明記されています。

私たち全国フェミニスト議員連盟は、この藍住町の理念とほぼ同様の理念を掲げて、「女性ゼロ議会」をなくす運動、女性議員を増やす運動を続けている市民と議員による団体です。当然ながら西岡恵子会員の裁判については関心を持って見守って参りました。

2017年6月20日、最高裁判所は、裁判官5人全員一致で、藍住町の上告を門前払いしました。これによって高等裁判所の判決通り、藍住町議会による西岡恵子さんの議員失職決議は違法であることが、司法の場で確定しました。

ことの始まりは、唯一の女性議員西岡恵子さんの光熱水費が少なく生活実態がないようだから公職選挙法の定める被選挙権はないに違いない、という突飛なことを言い出した議員がいたことでした。そして、西岡さんの議員資格を問う「資格審査特別委員会」が設けられ、賛成多数で議員失職を決めてしまいました。

西岡さんがこの理不尽な議決を覆すには、法廷にゆだねるしかありませんでした。裁判では、外出・帰宅時や自宅内で見たTV番組、食事などを撮影した写真310枚のほか警備会社の設備を自宅に導入して、外出・帰宅・在宅の時間記録書類を提出しました。その結果「少なくとも半数以上の日数、夜間から翌朝まで自宅にいた」事実が証明されました。

8月6日、徳島市内で「最高裁が認めた藍住町女性議員追放の違法性」と題した集会が開催され、西岡原告をはじめ木村清志・大西聡・篠原健弁護士の報告や、裁判を支えてきた諏訪公子、乾晴美、高開千代子、東條恭子の発言、三井マリ子(全国フェミニスト議員連盟世話人)の講演がありました(敬称略)。

この会で、最高裁判所に「違法行為をした」と指摘された藍住町議会は、西岡さんに壮絶な苦しみを与えてきたこと、さらに長年西岡さんを当選させてきた町民の意思を踏みにじったに等しいこと、加えて女性の視点と住民目線で頑張る西岡さんの議員活動を結果的に阻害してきたことが、浮かびあがりました。このようなことが続いては藍住町にとって計り知れない損失となります。藍住町の名誉回復と、ニ度とこのようなことが起こらないよう切に願って、以下の要請をいたします。

1 藍住町ならびに町議会は、司法判断を尊重し、裁判所で認定された事実を真摯に認めて、西岡恵子さんに対して謝罪をすること。

2 女性が1人しかいない男性偏重議会では、圧倒的少数派(女性)は偏見の目で見られたり排除されたりしかねない。女性議員増は、藍住町「男女共同参画プラン」の要請でもある。よって町は、女性が政策決定の場に男性と等しく参画することを促す啓発・研修や広報を活発に行うこと。また町議会議員は、1人でも多くの女性候補を増やすよう努力すること。

全国フェミニスト議員連盟(共同代表:ひぐちのりこ仙台市議 日向美砂子小平市議)
事務局 小磯妙子(茅ヶ崎市議)


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    ▲裁判の報告をする木村清志弁護士。耳を傾ける諏訪公子代表 (8月6日、徳島市)

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    ▲藍住町の正常化を訴える小川幸英議員。聞き入る西岡恵子議員と諏訪公子代表

まるで魔女狩り――徳島県藍住町の紅一点議員追放事件
悪しき慣習に一石を投じた
「政治とカネ」、秋田衆院選から考える 
「政治とカネ」にメスを入れる三井裁判
 
【2017年8月15日更新】
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by bekokuma321 | 2017-08-13 10:31 | その他

ノルウェーは今秋、国会議員選挙がある。投票日は9月11日(月)。法律で9月の第1か2週の月曜日と決められている。解散もないから、ボンヤリしている人にも、とてもわかりやすい。

9月まで待たなくても、今日も投票ができる。ノルウェーの選挙投票は、すでに7月から始まっているからだ。「事前投票」と呼ぶ。7月1日から9月8日までだ。日本の「期日前投票」は選挙期間だが、ノルウェーには選挙期間という定めはない。そう、年から年中選挙運動をしているような感じだ。

2カ月間余りの長期間、いつでも投票できるのだ。これなら、うっかり忘れることも少ない。

c0166264_15534316.jpg投票時間は、選挙区ごとに決められていて、オスロ大学、オスロ市役所は午前10時から午後7時まで(土曜は午後6時まで)。

ヘードマルク県の小さな町オーモット市は市役所、図書館・カルチャーセンター、ケアセンター(高齢者や障害者総合施設)などが投票所にされ、時間は各施設の通常開館時間に加えて、特別時間が組まれている。

バス停の隣に新設された事前投票所を取材したことがある(上の写真)。遠くにいる人の目にも飛び込んでくる巨大な看板に目を奪われた。車いすやベビーカー用のスロープの大きさも目立った。これなら、らくだ。

選挙は比例代表制だ。国会議員数は169人。19県がそのまま選挙区なのでわかりやすい。19の選挙区から決められた数の人が選ばれる。たとえばオスロは19人、北部のフィンマルク県は5人、南部のアウスト・アグデル県は4人で最も少ない。

比例代表制は、最強候補が1人当選する小選挙区制とは異なり、大政党は大政党なりに小政党は小政党なりに当選者を出せる。多様な民意をほぼ的確に反映する。投票日が終わると、県選管は、政党ごとの”獲得票”を、1.4→3→5→7というふうに割っていき、その商で最大数をとった政党リストの上から順に当選していく。「修正サン=ラグ方式」といって、ドント方式より弱小政党に有利なんだそうだ。

c0166264_15545330.jpg有権者は投票ブースに入って、そこに並ぶ政党リストから支持政党のものを1枚とって、政党名を見えないように裏返しにして(以前は封筒に入れる方式だった)、それを投票箱に入れる。政党の決めた政党リストを変えたいなら、国会議員の場合、政党リストに数字を書き入れたり、×をつけたりする。

投票が終わると、県選管は、政党ごとの“獲得票”を国の選管に伝える。この“獲得票”の面倒な計算は省くが、要するに選挙区で1議席もとれなかった政党の中から4%以上とった政党リストのトップ候補が、各選挙区の最後の1議席をもらう。それを「平等化議席」と呼ぶ。

そもそも比例代表制である点で、小政党への票を切り捨てないように、という意志が感じられるが、「平等化議席」で、さらなるきめ細かな手を打っているといえる。平等と言えば、選挙に出る人や支援者がお金を使うなどということは絶対ない。日本のカネまみれ選挙とは異なる。だからこそ、ノルウェーでは貧しい難民を親に持つ人や、女子高生も立候補する。

忘れていけないのが、国会議員選挙と同時にサーミ議会選挙もあることだ。先住民族サーミ人は一般の政党から出て国会議員に当選する人もいるが、それとは別にカラショークにあるサーミ議会の議員となってサーミのために働くこともできる。

ノルウェーの選挙は、素人にわかりやすく、らくで、便利で、平等なのだ。ノルウェーを含む北欧諸国は、福祉と平等のモデル国だ。その原点は、システムをつくる国会議員を選ぶ選挙自体が平等・公平・同権に満ちているからだ、と私は思う。

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 ▲オスロにある国会議事堂

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 ▲カラショークにあるサーミ議会

ノルウェーの選挙は政党の政策を選ぶ選挙
ノルウェーの事前投票は1か月以上
世界一幸福な国ノルウェーの女性たち
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
高校生も立候補するカネのかからない選挙(近江真理)
イラク移民の少女が国会議員有力候補になれる国
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by bekokuma321 | 2017-08-12 16:37 | ノルウェー