c0166264_1640819.jpg原発事故で避難した子どもたちが、避難先の学校でいじめにあっている。この「原発いじめ」ほど卑劣な行いはあまりないのではないか。

昨日の新聞もいじめにあった高校生の話を掲載していた。彼女は小6の時、福島から千葉に避難した。転校先で「福島に帰れ」「被曝(ひばく)者だろ」「放射能がうつる」などといじめられ、別の小学校に再び転校したという。

2月には、福島から愛知県一宮市に転向した中3の男子が自殺した。彼は、JR大阪駅前の商業施設から飛び降りた。「担任によって人生全てを壊された」などという「遺言」のメモが残されていた。

高校教員だった経験から言うと、韓国人など外国人を親に持つ子ども、成績の芳しくない子、運動神経のにぶい子などが、いじめのターゲットにされた。犠牲者は、集団とは異質である人たち、集団のなかの少数派だった。後を絶たないいじめの現実を見たら、原発避難者がいじめにあうことは予測できる。原発避難者は、究極の社会的弱者であり、少数者なのだから。

しかし、対策はとられなかった。事件が報道されてはじめて、教育関係者がカメラに向かって頭を下げる。何度このシーンを見たことか。しかし何度お辞儀したところで、いじめをなくそうという強い意志と具体的対策がなければ、いじめはなくならない。

「原発いじめ」は日本独特だろうが、いじめは世界中にある。ノルウェーも例外ではない。違いは、ノルウェーは、ニ度と同じようないじめ被害が起きないようにするための専門的制度を設けている点だ。

その名は「いじめオンブッド」ノルウェー語でmobbeombud(モボンブード)。

オンブッドとはオンブズマンのことだ。一方の性に偏らないようにとオンブズマンの「マン」をとった。

北欧では、法制度というものは独立した監視機関がなければ十分に守られないものだとされてきた。その機関は、個人が誰でもいつもでも簡単にアクセスできて、無料でなければならない。これがオンブッドだ。

たとえば、女性差別撤廃のために男女平等法ができても、差別された女性労働者が差別企業を相手に提訴することは敷居が高い。しかし、男女平等オンブッドになら相談を持ち込める。男女平等オンブッドは調査の結果、女性差別だと判断したら、差別企業に対して是正勧告をし、マスコミに公表する。社会的弱者に代わって、男女平等オンブッドという「裁判官」と「大臣」を足して2で割ったような強い権限を持つ国家公務員が動くのだ。

ノルウェーの場合、男女平等オンブッド(現在は平等・反差別オンブッド)だけでなく、子どもオンブッド(下の写真)、兵役拒否オンブッドなど5種のオンブッドがいて、それぞれが事務局に何人ものスタッフを擁して働いている。

さて、「いじめオンブッド」に戻る。先日、誕生した「いじめオンブッド」はオスロ市(県でもある)特別公務員で、保育園や学校のいじめを専門に扱うオンブッドだ。国の機関ではない。数年前、ブスケル―県(Buskerud)にノルウェー初の「いじめオンブッド」が誕生したと聞いた。今回は首都オスロだ。

オスロの「いじめオンブッド」第1号に選ばれたのは、小学校の副校長をしていたシェスティン・オ―レン(33。上の写真)。応募者116人の大激戦だったらしい。ちなみに、ノルウェーでは公的機関のポストはことごとく公募制だ。しかも応募者の名前や履歴は基本的にメディアで公表される。日本の”お友だち人事“や天下りとは大違いで、万人に公平に開かれる。

難関を突破したシェスティン・オ―レンは、やる気満々でこう語る。

「いじめオンブッドに選ばれて、とてもうれしいです。私はまず広報に力を入れます。いじめオンブッドとはどんなもので、誰がいつどんなふうにコンタクトをとれるのか、を広く伝えます。それから、生徒会と連絡をとって、いじめオンブッドがどう働けばいいかについて生徒会の考えを聞きます」

原発事故対策には膨大な予算がある。大手ゼネコンにだけ回さずに、もっと人のケアに投資すべきだ。上述のようなノルウェー「いじめオンブッド」にならって、「原発いじめオンブッド」 のような専門の監視機関設置などどうだろうか。

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Kjerstin Owren er Oslos nye mobbeombud
Hun blir mobbeombud i Oslo
ノルウェーの子どもオンブッド
ノルウェーの新「平等と反差別オンブッド」、決まる
ノルウェー地方選挙レポート2011 第1回 「女のクーデター」 再び -平等・反差別オンブッドは語る


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by bekokuma321 | 2017-03-27 16:44 | ノルウェー

今年、もっとも幸福な国に輝いたのは、ノルウェーだった。日本は51位で、昨年の53位よりは上がった。

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ノルウェーは、FEM-NEWS記事の大部分を占める。筆者は日本で女性差別と闘いつつ、20年以上ノルウェーの男女平等や福祉を追いかけては、そのしくみや実例を本などで紹介してきた。思うに、ノルウェーの幸福は、男女平等と不可分である。


国連「世界幸福度レポート World Happiness Report」は、つまるところ、どれだけ多くの国民が自分の人生に満足しているかを調べたものである。重要な調査項目は「人生を選択できる自由」と「社会的支援」である。


「人生を選択できる自由」―――女性が自分の人生を選択できる社会って? まず女性に経済力がなければならない。性による賃金格差のある社会、結婚によって姓を変えなければならない社会、結婚・出産した女性が職場を去らざるをえない社会、女だからと排除されたり片隅に追いやられたりする社会で、女性が経済力をつけるのはきわめて難しい。


もうひとつ 「社会的支援」―――女性が満足のいく人生を送るには、公的サポートが不可欠である。そのためには法制度がなくてはならず、国会や地方議会に女性議員がCritical mass30%以上)いなくては話にならない。ノルウェーは国会も地方議会も、女性議員はほぼ4割を占める。

日本の保育園不足を見よ、だ。ちなみに日本の国会(衆院)の女性議員はわずか9%、世界163位の低さだ。それに女性議員の一人もいない「女性ゼロ議会」は全国約370にのぼる。


幸福度世界一の国ノルウェーは、いま保守中道政権だが、前は中道左派政権だった。当時の首相はイエンス・ストルテンベルグ(労働党)。彼が国民に訴えた新年のスピーチが忘れられない(2011年)。


「ノルウェーの豊かさは、多くの人が仕事につくことによって成し遂げられました。ノルウェーが他の国と異なっているのは、おびただしい数の女性たちが経済活動を選んでいる点です。ノルウェ―は石油があるからラッキーだといわれています。それは間違いではありません。しかし、もっと重要なことがあります。それは、ノルウェーは、ノルウェー女性がいるからラッキーなのだということです。より多くの人が働くーーこのことがノルウェーの豊かな福祉につながっているのです」


【写真は、オスロの職場でフルタイムで働く5人の子どもの母親ヘッレ・チュン。撮影当時、6人目の子どもがおなかにいた。父母ともの育児休業制度、保育園・学童保育園などの社会的支援が充実しているノルウェーだからこそ、彼女はフルタイム職にありながら、6人の母親になる人生を選ぶことができた、と言える】

World Happiness Report 2017
ノルウェーのワーキング・マザー
「ノルウェーが幸運なのはノルウェー女性がいるからだ」―首相
シングル・マザー、107倍の難関に合格
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
世界で母親がもっともハッピーな国ノルウェー




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by bekokuma321 | 2017-03-23 00:07 | ノルウェー

ドナルド・トランプの下劣な言動には、私も虫唾が走った。
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公的健康保険の廃止、妊娠中絶反対、イスラム教徒差別、メキシコとの国境に壁、銃規制緩和、テロ容疑者への拷問容認…。   


さらには、大勢の前で、障害を持つニューヨークタイムズ記者の物まねをして彼をあざける。
辛辣な質問をした女性ジャーナリストに対して、「彼女のどこからであれ、血が出ていた」とからかう。

あげくの果てに、「スターなら、女に何でもできる。女性器をつかんだり、な」と、彼が友人に告げた言葉がワシントンポストに公表された。


バカにされっぱなしでたまるか。アメリカの女たちは、トランプのアメリカ大統領就任式の翌日にワシントンでデモをしようと決めた。

英語の女性器(Pussy)は、子猫という意味でもある。「女性器をつかめ」に対抗して、子猫の形のニット帽をかぶるのはどうかしら。帽子の色は「女の子はピンク」と決めつけてきたんだから、ピンクはどうかしら。

こんなおしゃべりが、ネットを通して世界に広まった。名付けて「子猫ちゃん帽プロジェクト」。

そして、121日のアメリカの首都、ワシントン。通りという通りは、ピンクのニット帽で埋まった。「さあ、どうだ、つかめるならつかんでみろ」と。

その子猫ちゃん帽プロジェクトのポスターがこれだ。ポスターには、「女性の権利は人権である」と書かれていて、中央の動詞ARE(=である)がピンクの毛糸で描かれている。その毛糸で編んだ小さなピンクのニット帽が2つ見える。

「子猫ちゃん帽プロジェクト」は121日だけで終わらなかった。38日の国際女性デ―には、日本でも「子猫ちゃん帽」をかぶった女性たちでいっぱいだった。

「子猫ちゃん帽プロジェクト」をもっと知りたい方は、叫ぶ芸術「ポスターに見る世界の女たち:反トランプ480万人のデモ」をどうぞ。


女たちのワシントン行進とPussyhat


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by bekokuma321 | 2017-03-21 15:55 | USA


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「戦わなければならないことが多すぎますね」――201738日、国際女性デーを記念する新聞に載ったベリット・オースのことばだ。


88歳のベリット・オースの闘いは、今なお続いているようだ。オスロ大学名誉教授(社会心理学)。ノルウェー初の女性の政党党首に就任した1970年代、クオータ制を初めて実行した。

クオータ制とは、決定機関や立候補者の少なくとも40%を女性にするしくみだ。これによってノルウェー女性の政治参加は爆発的に進んだ。日本にクオ―タ制を私が紹介したのは80年代だった。今ではクオータ制は、世界中に伝播している。


ノルウェー紙によると、女性デ―にあたって、ベリット・オースは若い人たちへ「女性への虐待、女性の貧困、女性器切除について膨大な調査が出ています。それらを読みなさい」とアドバイス。さらにノルウェーでは、貧富の差ーー女性に極端に貧しい人が多いーーが拡大しているにもかかわらず、どの政党もそれへの対策がないと批判する。


さて、ベリット・オースは、大阪府豊中市にやってきたことがある。いま森友学園事件で話題の豊中市だ。


私が豊中市男女共同参画推進センターの館長をしていた2003年のことだった。愛称「すてっぷ」。男女平等を地域のすみずみに浸透させるために、豊中市が阪急豊中駅前に創立した施設だ。初代館長は全国公募だった。応募したら、幸いにも採用された。


私は、20代から女性差別に敏感に反応し、それに対して闘ってきた。豊中にも、男女不平等社会を変えたいと願う女性たちが大勢いた。そんな市民を下から支えていこう。私は120%努力した。ベリット・オース講演会も、その一環だった。「すてっぷ」の台所事情を話したら、旅費を負担して来日してくれた。彼女は、豊中のあと、名古屋、高知、福井などを講演して回り、聴衆をとりこにした。メディアも大きく取り上げた。


しかし、豊中市議会には、私を嫌っている人たちがいた。日本最大の極右組織といわれる「日本会議」につらなる議員たちだった。


議会には、「教育再生地方議員百人と市民の会」代表の議員、神社本庁と関わる議員、塚本幼稚園卒だという議員らがいた。彼らは、議会質問の名のもとに、「ジェンダーフリー」を議会で攻撃した。その執拗さに、行政は頭をたれておどおどするばかりだった。


日本会議系の議員の唱えるあるべき男女とは、こういうものだ。TVニュース番組での発言を引用する。


「オスとメス、男と女というものは、有史からずっとこうあるわけですから、男性は男性としてきっちりと小さなうちから男性の自覚というものを育ててゆく、女性は女性としての自覚を育てていく」(北川悟司市議)


「もっともっと女性は、家庭を、子どもを大切にして、いい子どもを、つくってください」(北川悟司市議)


「女性が家庭を維持する大きな役割を担う。これ当たり前じゃない。世の中で一番すばらしいことは、愛する子どもを育てることです。一人の女性の人生のなかにこのことがなかったら、社会自体も存続しません。女性が安心して、そうできるように、男は、ある意味、命を捨ててでも働くということなんです」(西村真悟衆議院議員)


「すてっぷ」への妨害行為や図書室蔵書の非難、市役所周辺での悪質な嘘のビラ撒き、私の講演会における集団での難癖、根も葉もないうわさの流布。山谷えり子や高橋史朗を「すてっぷ」近くの会場に招いて「ジェンダーフリー反対」の講演会をシリーズで催す。


攻撃のピークは、夜の市役所での3時間にわたるどう喝だった。議員は、「すてっぷ」の1年前の内部資料を手に、これは人権侵害だと怒鳴り散らした。テーブルをバーンと強打した。こうした日本会議系議員らの執拗な言動に屈した豊中市幹部によって、私は首になった。


不当な首切りだと考えた私は、豊中市らを提訴した。1審は敗訴だった。失意のどん底にあった私を励ましたのは、豊中市民たち(木村真議員も)や国内外の友人たちだった。私は控訴した。そして高裁で勝訴! 裁判長は、地方自治体の政策に対する右翼議員らによる陰湿きわまりない圧力をあますことなく断罪した(注)。

ノルウェーから、私を励ましてくれたのは、ベリット・オースだった。彼女の2008年の手紙は、男女平等の敵は好戦的な家父長制であると、日本会議の特質をズバリ見抜いていた。




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▲ベリット・オースからの手紙(原文は英語)


【注】 日本会議系の政治家による反動的動きが、行政に介入して意思決定に圧力をかけるさまが、裁判によって露呈された。三井マリ子・浅倉むつ子編『バックラッシュの生贄ーーフェミニスト館長解雇事件』(旬報社、2012)に詳述されている。

「日本会議」に向かって闘いを挑んだ本:『バックラッシュの生贄』を読んで
インパクションに『バックラッシュの生贄』 (書評)
今も続く右翼的攻撃の楯となる本:『バックラッシュの生贄』を読んで
ベリット・オース「支配者が使う5つの手口」
館長雇い止めバックラッシュ裁判
男女平等を嫌う反動勢力の実像
館長交代「圧力に屈す」市に賠償命令 朝日新聞 第1面(2010年3月31日)
「豊中市批判的勢力に屈服」市施設めぐり大阪高裁判決「元館長の人格権侵害」朝日新聞朝刊(2010年3月31日)   





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by bekokuma321 | 2017-03-17 16:12 | ノルウェー

祝!国際女性デー2017


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38日、国際女性デ―、おめでとう!


今朝のガーディアン紙は、国際女性デ―の大特集。世界中の性差別と抗議運動を、これでもか!と報道している。

充実した内容ばかりだ。主な記事の見出しを大急ぎで和訳した(↓)。

写真やビデオが多いので、本文は英語でも楽しめる。クリックしてどうぞ。


世界初の国際女性デーは1911年だという。オーストリア、デンマーク、ドイツ、スイスで、女性の労働権、女性参政権、政治参加、性差別撤廃を求めて100万人以上が集まった。


今年もあちこちでストライキやデモがあるようだ。でも、参加できない人は、できることをすればいいと思う。いつも料理をしているなら彼にやらせる。保育園の送り迎えを彼にしてもらう。職場の同僚や上司に「今日は女性デ―」とあいさつする。女性店主の店で買物をする。親や友人に電話して「今日は女であることを祝う日よ」と言う。夫や父に国際女性デ―の歴史を話す・・・。


私は早起きして、国際女性デー・カード(Mitsuart作)に「平等と平和を!」と心をこめて書いた。外に出て、まぶしい朝日をあびながら、カードを持ち、女性の権利を踏みつける世相に、怒りのこぶしを上げた。連れ合いに撮影してもらって、フェイスブックで友だちに知らせた。



■2017年国際女性デ―・ライブ:抗議、運動、ストライキ
■国際女性デ―・ビデオ:世界的ストライキへの参加方法
■1日ストで女性の権利を燃え上がらせよう
■世界の女たちの毎日と性差別の影響
■「女たちは地球人、女たちは国境を超える」 世界の女たち連帯してストライキ
■沈黙と弱気はいっしょにやってくる――聞け、女たちの意見を
■「あなた自身たれ、あなた自身であろうとすることを悪いと思うな」-女たちの成功物語
■保育士1000人余り、差別賃金に怒って職場放棄
■中国で女性解放ステッカーを渡して投獄された私
■なぜインドの女性解放運動家たちは必要のない帝王切開をする医師たちを非難しないのか
■オーストラリア、いらつく男女不平等の実態報告
■ロシア革命の火ぶたを切ったのは女たちの抗議行動


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by bekokuma321 | 2017-03-08 18:07 | ヨーロッパ

「かかあ天下と空っ風」ーー働き者の女性の多い群馬を象徴することばです。


ところが、群馬県には1人の女性議員もいない「女性ゼロ議会」が10もあります。
白鳥のまちといわれる館林市、世界遺産のまち富岡市の2市。それに、上野村、下仁田町、南牧村、長野原町、草津町、昭和村、明和町、千代田町の8町村。


とくに富岡市は、富岡製糸場で多くの女性たちが働き、外国に絹を輸出して日本経済を支えてきました。女性には選挙権も労働組合もない時代でした。


「女性ゼロ議会」は、群馬だけではありません。全国に約370もあります。人口の半分を占める女性の代表を議会にどう増やすか。これは日本の未来を決する最重要課題です。

1946410日は日本史上初めて女性が投票した日。翌1947年は、第1回統一地方選がありました。今年、2017年はちょうど70周年です。

70
年前、立候補した女性、投票所に向かった女性たちは、どんな思いだったのか。そんな女性史を紐解きつつ、群馬の地で、「女性ゼロ議会」をなくし、女性議員を増やすための戦略を語り合います。お誘いあわせてご参加ください。


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[女性ゼロ議会訪問記]
「安政の大一揆」から「越中の女一揆」へ (富山県)
女性ゼロ議会「栗原市」を訪問して (宮城県)
女性ゼロ議会訪問記:埼玉県羽生市 (埼玉県)
女性ゼロ議会の背後に夫の嫉妬・理解のなさ (秋田県)
女性ゼロ議会訪問記:長野県筑北村 (長野県)
女性ゼロ議会の阿波市・吉野川市を訪ねて (徳島県)
女性ゼロ議会の直方市訪問 (福岡県)
女性ゼロ議会の今治市に申し入れ (愛媛県)
女性ゼロ議会の愛知県阿久比町、飛島村を訪ねて  (愛知県)
沖縄 市町村議の女性ゼロ率ワーストワン (沖縄県)

群馬で全国女性議員サミット (2009年群馬で開催されたシンポジウム)






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by bekokuma321 | 2017-03-06 10:30 | その他

映画「サフラジェット」

女性参政権獲得運動を描いた映画「未来を花束にして」を観た。


1910年代のロンドン。洗濯工場で働く若い母親モードが、あるきっかけから女性参政権運動に関心を寄せるようになり、しだいに運動にのめり込んでいく物語だ。原題は、Suffragette(サフラジェット)。女性参政権獲得運動家という意味。


目に焼き付いているシーンがある。


刑務所に収監された女性参政権運動家Suffragetteたちは、独房の差し入れ棚に置かれた食事をいっさい拒否する。ハンガーストライキだ。


ハンガーストライキ5日目。刑務所の薄暗い廊下。男女の刑務官らが何やら道具を引きずってやってくる。


モードのc0166264_19383405.jpg独房に入る。女性刑務官が数人でモードの体を椅子に力づくで倒す。腕を拘束して、頭部を後ろに押し付ける。男性刑務官か医師が、鼻からゴムチューブを差し込み、チューブの片方に設置された漏斗のような器具にミルクのような液体を流し込む。モードはむせた後、苦痛の余り悲鳴をあげる。足を何度も何度もける。私はスクリーンから顔をそむけてしまった。


これが悪名高い「強制摂食」だ。映画で、「死んだら、殉教者だ。パンクハーストの勝ちになる」という当局の台詞があった。強制摂食は、獄死をさけようと執行された拷問なのだ。


ガーディアン紙によると、ハンガーストライキは、投獄された女性参政権運動家がとった抵抗運動だ。「私たちは政治犯であり、他の罪人のように扱う政府に抗議をする」という信念の表現だったのだという。映画の最終場面に出てくるダービィ会場で走ってくる馬に身を投げ打ったエミリーは実在の人物で、彼女は、9回も投獄されて、強制摂食は49回にのぼったという。200回以上も強制摂食された女性参政権運動家もいたことが、当時の新聞に書かれている。なんという抵抗魂!

女性参政権をめざして、命を投げ出すことも厭わない政治運動をひっぱった人物は、エミリア・パンクハーストだ。彼女は7回収監されたという。映画では、バルコニーで短い演説をするシーンしか出てこないが、終始、女性活動家たちの精神的支柱として描かれている。


エミリア・パンクハーストの創設した「女性の社会的政治的連合Women's Social and Political Union, WSPU」に集まった人は中産階級の女性たちだったという。モードのような貧しい労働者階級の女性はほとんどいなかっただろう。

映画の主人公モードは架空の人物だという。モードは夫と幼い息子の3人暮らし。隣近所が密集した労働者地域にある狭い家に住んで、朝から晩まで10時間も騒音まみれの洗濯工場で働き、工場長のセクハラにいら立ち、ヘトヘトとなった体で家に戻る。「お前は母であり、俺の妻だ」という夫に気がねもする。


この映画の成功は、労働者階級のモードを主人公にした脚本の素晴らしさにありそうだ。

モードの日常に、女性参政権運動は遠い。ところが、同僚のヴァイオレットは女性参政権運動家。国会で証言をするので聞きにきてほしいとモードを誘う。国会に足を伸ばしたモードは、ヴァイオレットが、夫のDVで顔があざだらけになっているのを見る。「ヴァイオレットに証言は無理、書いた紙を読むだけでいいから」と頼まれる。大勢の男性議員に囲まれた議会の一室で、モードは口を開く。映画のハイライトだ。


「母親は14歳から洗濯工場で働きづくめ。私が4歳のとき火傷で死にました。私は7歳からパート、12歳からフルタイムで洗濯をしています」


「洗濯女は短命なのです。胸が痛くなり、咳がとまらなくなります。指は曲がり、足には潰瘍ができます。火傷、ガスによる頭痛給与は、女は週13シリングで男は19シリングです。女性のほうが長く働いていますが」


映画は2015年にイギリスで公開された。日本公開は2017年。100年以上も前の史実を基にした映画だが、現代の私たちに突き刺さるのは、私たちがまだ同じような境遇に置かれているからだろう。


工場長の卑劣なセクハラ

男性より低い賃金
DV夫におびえる妻
「お前の言う事なんか誰も聞きはしない」という蔑視

安心して子どもを預けるところがない
夫の目を気にしながらの日々


最後に、珠玉の言葉から、ひとつ:

「法を破りたいのではなく 法をつくりたいのです。そのために闘うのです。今がその時―――パンクハスト」

92年前の今日、日本女性は参政権めざして大同団結した
ロンドンのレッド・カーペットに女たち横たわる
ノルウェー女性参政権100年から考える

【写真:Photo by Museum of London/Heritage Images/Getty Images - http://www.historyextra.com/article/social-history/10-facts-about-suffragettes







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by bekokuma321 | 2017-03-02 19:49 | ヨーロッパ