秋田での三井裁判が終わり、今年はゆったりできると思っていたが、バイクでの自損事故や7月の参院選応援と、やはり忙しく過ぎた。

参院選の野党共闘の動きに関わった。東京から名古屋にやってきた政党党首や政党幹部にあたる国会議員や著名人に、秋田の三井裁判で明らかになった政党交付金についての拙文を印刷し手渡して理解を求めようとした。

集団的自衛権を合憲とした7月9日の閣議決定あたりから、日本の政治の「民主主義」「立憲主義」と、秋田での体験で得た「選挙制度」「政党交付金」がつかず離れず頭をめぐるようになる。

参院選は、地元名古屋で、三井マリ子さんの盟友、福島みずほさん(社民)の応援に専念する。こうして私は、福島みずほ当選と、社民党得票率2%以上という結果にささやかな貢献をすることができた。もうひとつ、この参院選で、秋田県民が秋田の三井裁判で被告だった松浦大悟元参議院議員を選ばなかったことを知った。秋田は、野党統一候補をたてた東北6県のなかの唯一の落選県だった。

秋頃になって、民進党富山県連が、政党交付金を不正に受け取っていたことが報道された。発端は、富山県の地方紙の女性記者が議員のカネをめぐって取材していた際、議員から妨害されて暴行を受けたことだった。政務活動費と政党交付金の不正が次々に明るみになった。政党交付金4500万余円の不正使用は、民進党本部が富山県連に調査して判明したという。

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 ▲秋田市で三井裁判のビラをまく岡田ふさ子(右)ら支援団。裁判は2015年11月まで続いた

この報道を知って、「民進党秋田での政党交付金の使途がどうなっているか、民進党本部は秋田県連を調査すべきだ」という私のかねてからの思いは、さらに強くなった。   

富山ばかりではない。新聞やテレビから政党交付金がらみの事件がいくつも目に飛び込んできた。政党交付金の違法的事件はこんなにも日常茶飯事なのか、と知った。違法と断定できるような事件ばかりだが、違法とは言えないらしい。そういえば「政党助成法はザル法だ」と三井マリ子さんは言っていた。

この政党助成法は小選挙区制と抱き合わせで成立したこと、当時、多くの野党が「二大政党制」を目指して賛成したこと、20年余り経った今では、小選挙区制は、弱者切り捨ての多数派に有利な制度であり、死票の多い反民意の選挙制度であることが、私にもわかってきた。一方、ヨーロッパの多くの国々は、比例代表制選挙に変えてきており、女性や少数派の声を代表する議員が選ばれ、その声が政治にすいあげられていることも知った。

今では、日本も比例代表制度に切り替え、政党助成法は抜本的に改正されねばならないことを、確信するに至る。とはいえ、この2大問題を解決するためには、不公平な小選挙区制と、不正の温床である政党交付金制度を変えたい、と思う議員を増やすしか道がない。増やすには選挙しかない。選挙こそ政治の方向性を決定づける最重要ファクターだ。

そんな思いにたどり着いた1年であった。

岡田 ふさ子(さみどりの会* 事務局)
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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった
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by bekokuma321 | 2016-12-31 14:46 | 秋田

今年も「政治とカネ」に怒髪天をつく日が多かった。氷山の一角だろうが、報道されただけでも・・・。

松本文明元内閣府副大臣は、「自身が支部長である政党支部の事務所家賃」の名目で妻への支払い6年間で1360万円。

安倍首相の1445万余円をはじめ閣僚による政党交付金の貯め込み7000万円。

民進党富山県連(旧民主党)の政党交付金不正支出、4525万余円。

政治交付金を含む政治資金を、家賃名目で自分や家族に回していた国会議員24人。

政党交付金8700万円をダミー政党に預けて国庫返還逃れを図った維新の党支部。

白紙領収書をもらって1875万円分を勝手に書いていた菅官房長官、同じく520万円分の稲田防衛大臣。

政党交付金不正支出200万余円の山尾政調会長(民進党)の秘書。

そのほかに、政務活動費で私腹を肥やしていた議員のなんと多かったこと。兵庫県議のように号泣こそしなかったが、「老後の心配から」と屁理屈を並べていた。

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 ▲政治資金事件を報道する記事、2016年秋から12月半ばまで

政党交付金は「政党の健全な発展をうながすため」にできた。総額は年に約320億円。日本の総人口に250円をかけた額の税金だ。

できたときは「250円なんてコーヒー1杯分。政治がクリーンになるなら安いものじゃないか」と言われたとか。政党がクリーンになっていないことは、誰の目にも明らかだ。

政党交付金の趣旨や名前は、「政党活動を支援する金」を連想させるが、実態は別。政党本部から政党支部に送金されたカネは、選挙になれば支部長権限で支部長個人に寄附できる、つまり政治家個人の銀行口座にカネを移せる。政党交付金という名の公金は、まるで手品のように、政治家個人の私有財産に変えることができるのだ。これは、小選挙区制と密接にかかわる。

税金だから残金が出たら国庫返還義務があるのだが、そんなことをする人はまずいない。選挙のないときは貯め込んでおける「基金」という手がある。収支報告書も大甘だ。人件費に使ったら領収書は不要だ。5万円以下に小分けすれば、これまた領収書は不要だ。会計監査は秘書や家族など身内でもかまわない。

こんなお手盛りが許されるザル法だから、手慣れた秘書ならおちゃのこさいさいだ。

それに、日本の政党交付金は世界で最も高額らしいことも驚きだ。朝日新聞「日本の国民負担は? 各国の政党交付金」というコラムは、政党交付金の総額と1人当たり負担額を円に換算して6カ国を比べている(Globe 2013.5.13)。

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総額と1人当たりの金額は以下のようになる。
日 本(320億円、250円)
ドイツ(157億円、190円)
フランス(74億円、118円)
スウェーデン(21億円、218円)
オーストリア(16億円、190円)
イギリス(2.6億円、4円)

さらに、日本の国会議員の年収が、これまた世界最高額であることを知ったら、怒らない国民がいるだろうか。イギリスのガーディアン紙が、各国の国会議員の年収(歳費)を英ポンドに換算して比較している。日本の国会議員は年2200万円。「日本の国会議員は、わが国の国会議員の2.5倍の収入を得ている」と書く(The Guardian 11 July 2013)。

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そのうえ、寄付集めのパーティはもちろん、企業献金も一時自粛ムードだったが堂々の復活だ。

いかに日本の国会議員が巨額のカネを手にする人種であるか、一目瞭然である。このままでは女性やマイノリティにポストを譲ろうなどという議員はごくごく少数だろう。女性参政権行使70周年の幕が閉じられようとしている今、政治の世界に女性が増えない最大の要因を知った。


1年前の今日、政党交付金裁判を終えて
甘利議員の政党交付金から考える
女性議員増めざして制度改善を
「どうする政党交付金」
普通のおばちゃんが考える「政党交付金、基金、国庫返還」 
政党交付金裁判
ためこんで翌年一気に使う「政党交付金」
民主主義度1位ノルウェー、23位日本

【注:政党交付金の棒グラフにミスがあり更新しました。文中のイギリス総額2.6億円を、26億円と間違ってコピーして図表作成したためです。訂正してお詫びいたします】
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by bekokuma321 | 2016-12-31 01:15 | その他

c0166264_17535890.jpg私は自分を熱烈なわらび座ファンだと思っている。わらび座とは、田沢湖湖近くにある劇団だ。今年1年、和崎ハルを舞台に取り上げた。

和崎ハルは、三井マリ子さんがFEM-NEWSでたびたび紹介しているが、明治生まれの、秋田の女性活動家だ。女性が参政権を獲得して初めての選挙でトップ当選して、初の女性代議士となった。

今年は、女性参政権行使70 周年。和崎ハルを主人公にしたミュージカル「ハルらんらん♪」公演は、このタイミングを狙ってのことだ。

舞台では、わらび座の看板女優・椿千代が主人公ハル役となり、グングン観客を引っ張ってゆく。まさしく和崎ハルが、当時の女性たちを引っ張っていったように。

まずは、秋田高等女学校生ハルら友人3人が、未来の夢について語り合う。全編通じて秋田弁。これも地元民にはうれしい。次の場面はハルのお見合い。夫となる和崎豊之に、ハルは一目ぼれする。そして結婚へ。

舞台の転換は早い。衣装替えの速さもファンにとって観どころのひとつだ。夫の発病そして臨終。ハルは、残された5人の子どもと一家を分散させてはならないと強い覚悟をして、故郷秋田に戻る。

ハル役の椿千代は、気軽に観客に声をかけたりするサービスも欠かさない。舞台と観客席との距離が一気に縮まり和む。

1年目と2年目の新人役者もいる。その人達の演技が、見にくるたびに成長しているとわかるのも楽しみだ。それに、出演者12人中8人が女性だ。珍しいが、和崎ハルの舞台にふさわしい。

舞台は進み、秋田に戻ったハルは秋田市の川端(かわばた)に美容院を開店する。同時に新聞の人生相談を担当したりする。尋常小学校にも行けず、読み書きのできない少女らのため、芸者学校をつくる。次々に起こる困難を、ハルは持ち前の前向きの姿勢で突き進んでゆく。

「男は弱いものをさげすむ。弱い男は、さらに弱い女・子どもを痛めつける」
「戦争を止められなかったのは、子どもを産み育てる女にも罪あった」

ハルは歌う。これにはぐっとくる。私の目も潤む。

今や、女性も男性と分け隔てなく投票はできる。しかし、女性が立候補しようとするとどうだろうか。まだ大きな壁がある。子どもや夫の理解が得られないと立候補の意思を貫くのは難しい。それにお金が必要だ。大量のポスターを印刷し掲示板や民家や空き地に立てるなど、多くの人手がいる。なのに、政党はいまだに男性を優先して公認しがちだ。

和崎ハルが初めて立候補した戦後直後は、宣伝カーもスピーカーもなかったはずだ。むろん「政党交付金」などまったくなかった頃だ。ハルの選挙費用は知人友人からのカンパで賄ったのだろう。

演説をして回ることが、当時、最も重要な選挙運動のひとつだったことはわかる。ハルは、「ハルの『ハ』は、あいさつの時、畳に手をついたときの手の形。『ル』は・・・」と演説して回ったという。こうして、ハルの名は字の書けない人にも浸透していったのだろう。

c0166264_1773448.jpg現在は、政党助成法にもとづく、「政党交付金」がある。政党には、毎年、税金から320億円もの資金が出ている(共産党は辞退)。この政党交付金は、国から政党本部に送金されて、本部から地方の政党支部に流され、選挙に使われる。

政党交付金は税金だから、使い残したら国に返還する義務があるのだが、それを返さず手元に残す抜け道が設けられている。

それをいいことに、三井マリ子さんを秋田3区の衆院候補に担いで政党支部長にしたてて、その支部に送金された政党交付金を貯め込んだ民主党秋田県連の話は、秋田では有名だ。新聞に何度も載ったからだ。

三井さんは、裁判をして不正にたちむかった。その裁判は昨年、三井さんの主張がほぼ認められて被告側が「お詫び」して終わった

c0166264_17263467.jpg裁判中、政党交付金を不正に使った政治家のニュースが次々に報道された。今年の夏ごろには、富山県で起きたおおがかりな政党交付金事件が全国版の新聞に載った。政務活動費の不正受給から始まって、芋づる式に不正が明らかになった。民進党(前の民主党)富山県連は、県連に来た政党交付金のうち「少なくとも計4千525万3468円」を不正に使っていたという。

民主的な政治活動をするために政党助成法ができたらしいが、民主的どころか、不正の温床となっているようだ。それに私は、自分の税金を(政党交付金の原資は国民1人当たり250円)、自分が支持してもいない政党には出してもらいたくない。

さて、わらび座の舞台は、和崎ハルが国会議員になったところで大団円となる。年明けは、1月1日~3日の3回の公演。3日が千秋楽だ。

日本の選挙の大団円は、いつやってくるのだろうか。

加島 康博(秋田市、さみどりの会 *)

【写真上:2016年わらび座ミュージカル「ハルらんらん♪」のポスター】
【写真中:秋田市内で三井裁判のビラまきをする、裁判支援の人たち】
【写真下:2016年夏、和崎ハルの石碑を訪ねて裁判の報告をする三井マリ子】

参考リンク
湖面に投げられた「政党交付金」という石の波紋
三井裁判和解に思うこと
女性参政権行使70周年を祝えるのか


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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった
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by bekokuma321 | 2016-12-28 18:26 | 秋田

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沖縄、福島、日本のあちこちで繰り広げられる女たちの闘いは、年を越す。そんな女たちにインスピレーションを与え続ける歴史的闘いがある。グリーナムコモンの女たちの闘いだ。

世界中からおびただしい数の女たちがイギリスのグリーナムコモン米軍基地の外に設けられたキャンプに泊りこみ、米軍基地閉鎖へと追い込んだ。

そもそも、このグリーナムコモンの闘いは、北欧の女たちによる「非核兵器地帯を求めるデモ行進」がなければ生まれえなかった。

1981年夏、北欧の女たちは、コペンハーゲンを起点にパリまで「非核兵器地帯を求めるデモ行進」を決行した。歩き続けた何千人のなかに、イギリスからやって来た女たちがいた。彼女たちは帰国して、「北欧の女たちのように、歩いて訴えよう」と、グリーナムコモンまでデモ行進を呼びかけた。

上のポスターは、グリーナムコモンの闘争へと発展した「北欧非核兵器地帯構想」のときつくられたものだ。女性と子どもが、北欧の国々から湧きおこるように描かれている。右下はバルト海あたりだろうか、「非核兵器地帯 北欧」という文字が浮かんでいる。

ノルウェーのベリット・オースの所蔵ポスターからいただいた。ベリット・オースは政治家で、オスロ大学名誉教授。政党党首だったとき、女性の政治参画推進のカギである「クオータ制」を党内で実行した。世界初だった。

ポスターについてもっと知りたいかたは、「叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち」核兵器反対の大行進(北欧非核地帯キャンペーン)をどうぞ。


The Danish Peace Academy_Holger Terp: Danish Peace History
Nobel Prize Speech by Alva Myrdal
Internasjonal kvinneliga for fred og frihet
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by bekokuma321 | 2016-12-24 00:08 | 北欧

「うちの市は20人の議員のうち7人が女性議員です。女性議員が増えて確実に議会が変わりました。眠っている男性議員の多かった“お休み議会”が、目を覚ましたのです。それだけではありません、執行部も変わりました。女性が議会に増えることはいいことだなあと思っています」 

こんな発言で、女性議員増運動の必要性を明快に述べたのは、埼玉県吉川市の稲垣茂行議員だ。会場に拍手と笑顔があふれた。

「1日も早く『推進法』を成立させよう」という集会でのこと。12月19日、臨時国会を終えた参議院議員会館で開かれた。主催したクオータ制を推進する会(Qの会)赤松良子代表(写真下。右)は、ここまでの活動を次のようにふりかえった。

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「クオータ制をめざしてがんばってきたが、クオータ制にはならなかった。『政治分野における男女共同参画法』(推進法)は理念法です。それでも、女性参政権行使70周年の今年の成立を願っていた。そうはならず、残念だった。とはいえ、自民、公明、日本維新の会の与党案が衆院に提出された。野党案はすでに合意されているので、来春の通常国会では、スムーズに進んで行くのではないか」

石毛えい子元衆議院議員、川橋幸子元参議院議員、小林五十鈴日本婦人有権者同盟共同代表の進行で、国会議員のあいさつや、「推進法を求める意見書」を提出した地方議会の報告、パネル報告「これまで、これから」があった。

与党にさえ反対が目立ったカジノ法案は通って、推進法案は審議すらされなかったという192回国会の報告を聞きながら、「これぞマッチョ政治のなれの果てだな」と思った。

パネル報告者は、三浦まり(上智大学教授)、大山礼子(駒澤大学教授)、松下秀雄(朝日新聞編集委員)。発言をまとめる。

「各新聞社が熱心に書いてくれた。とくに女性記者ががんばってくれた。それが議員へのプレッシャーになった。とはいえ、この推進法のなんたるかは多くの人に知られていない。来年の課題は知らない人にもこの法を知らせること」(三浦)。

「夫婦別姓の法案のときのように、この法案もつぶされるのかと危惧したが、なんとか生き延びた。イギリスの参政権運動の映画が封切られるが、当時の参政権運動家たちのように、もっと過激に運動していく必要性を感じる」(大山)。

「ぼくもその1人である多数派の本土生まれのおじさんは、ケア重視を求める女性のニーズに気づかない。しかし、ルワンダでは、内戦後にケアのニーズが高まり、それとともに政治が変わり、今や女性国会議員率、世界一となった」(松下)。

今年、ジュネーブで開かれた国連女子差別撤廃委員会で委員とNGOのプライベートミーテイングに参加した柚木康子(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク世話人、写真下、右)がフロア発言をした。国連がいかに日本政府にいらだっているかを報告した。

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「国連の女子差別撤廃委員会は、何度も何度も、日本政府に対して、クオータ制をはじめ女性差別撤廃に向けての方策をとるよう、勧告をしてきた。委員会としてできることはすべてやってきたつもりだが、前に進んでいない、いったい、あと何を言ったら、日本政府が実行に向けて動いてくれるのか、と(委員は)言っていました。いらだっているようでした」

世界第3位の経済大国が、女性国会議員率では、193カ国のうち、ボツアナと同じ157番目という世界最低レベル。国連委員でなくても、これに、いらだちを覚えない人はいないだろう。

(以上、敬称略)

【衆議院】政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案
女性差別撤廃委員会 日本政府報告書審査の総括所見(英語)
「祝!女性参政権行使70周年」記念はがき
ハルらんらん♪
比例区、またまた削減
「身を切る改革」どころか「民意を切る改革」
小選挙区制は女性の声を捨て去る
クオータ制を日本にも
赤松良子賞と女性差別撤廃条約
11月25日赤松良子賞記念シンポ
男女共同参画白書とクオータ制
日本の政党にクオータを実行する気は見えない
クオータ制が後押し ノルウェー政界の男女平等(新潟日報)
連載「クオータ制」5 クオータ制が生んだ名物教授
連載「クオータ制」4 欧州連合EU議会は35%が女性
連載「クオータ制」3 インドの目標は33%
連載「クオータ制」2 それは政党の候補者リスト作りから始まった
連載「クオータ制」1 あの国でも、この国でもクオータ制
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by bekokuma321 | 2016-12-21 18:55 | その他

c0166264_17475541.jpgスウェーデン南部の大都市マルメの市議会は、ユニークな決定をした。

市民の憩いの場であるリーべシュボウリRibersborg海水浴場の公衆浴場を、トランスジェンダーや第3の性の人たちも楽しめるように2018年から月1回裸で混浴を可能とするという。それにともなって更衣室もジェンダーにとらわれずに使えるようにする、と決めた。

12月15日の報道によると、マルメ市議会の左派党とフェミニスト党の議員が提案した議案が通った。

公衆浴場は現在も裸で楽しめる。しかし男性用と女性用でわけられているため(日本の温泉のようになっていると思われる)、どちらの性にも属さないと思っている人は楽しめないのだという。ちなみに、マルメ市観光HPによると、リーべシュボウリ海水浴場には、犬用のビーチやハンディを持った人のビーチやヌーデストビーチもある。

「この公衆浴場はすべての市民が楽しむ場です。男女の性に分けられない人にも、その扉が開かれている、ようにすることはきわめて重要なことなのです」と、提案した市議は語っている。

また、「建設会社にはアクセシビリティを高めるように要求し、また、スタッフはこの分野における知識が必要ですので、教育をするように要請します」と、市当局は語っている。

日本では、社会的少数派に対するいじめ・排除・差別が数多く報道されていて、それに接するたびに胸が痛む。スウェーデンにもいじめや差別はあるだろう。しかし、そうあってはならないとする政治的意思が議会にあるかないかは、スウェーデンと日本とで決定的に違う。


【写真:マルメ市のリーべシュボウリ海水浴場にある公衆浴場。市の観光局サイトより】

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Nytt krav från Malmö stad: könsneutrala öppettider på Kallbadhuset
トイレ:男も女も障がい者も・・・も
ストックホルムに、第3の更衣室
ハンディをハンディと感じさせない社会へ
スウェーデン「フェミニスト政府」の偉業
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by bekokuma321 | 2016-12-17 18:00 | 北欧

c0166264_22232562.jpg今から92年前の今日、1924年(大正13年)12月13日は、日本女性にとって記念すべき日だ。

それまでいくつかあった女性運動が、女性参政権獲得をめざそうという一点で大同団結したのだ。

会の名は「婦人参政権獲得期成同盟」。その立役者は、日本キリスト教婦人矯風会の久布白落実(1882-1972)だった。

久布白落実は、廃娼運動(公娼制廃止の運動)の挫折から、日本の女性に参政権がない理不尽さを痛いほど感じて、「法治国家において参政権は唯一の弾丸であり、武器である」と考えていた。欧米諸国に旅して、参政権運動を実際に見てもきた(注)。とはいえ、矯風会の重責や、家庭の事情もあり(幼い息子、夫、幼い娘が次々に死亡)、組織を創設して代表となって運動を牽引することになかなか踏み切れないでいた。

しかし、機は熟した。久布白落実は、同志ガントレット恒子と話し合って、女性参政権をとなえてきた女性たち全員に、新しい会を設立する集会を呼びかける手紙を出すことにした。準備に次ぐ準備を経て、1ヵ月後の12月13日、丸の内保険協会で、その集会は開かれた。

「婦人参政権獲得期成同盟会」の誕生である。久布白落実は総務理事に就任。そのとき生まれた宣言文が以下である。

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いわく「我等は2600年来の因習を破り、男女ともに天賦の義務権利に即して新日本建設の責務を負うべきことを信ず」。いわく「普通選挙の実施にあたり女子を除外するは不当のことと言わざるを得ず、我等はこれを要求す」。いわく「我が国の職業婦人はすでに400万に達せリ、その利益擁護のために参政権を要求するは当然のことと信ず」。

東京の3分の2を破壊しつくした関東大震災から1年しか過ぎていなかった。『廃娼ひとすじ』(久布白落実著、1973年)には、焼け跡で準備を続けた様子が生き生きと描かれている。

「日本婦人参政権協会の代表としてのガントレット夫人と私が呼びかけ人として、案内状を都下有力の婦人、新聞記者など約350名に出し、11月13日、大隈会館に集まった60名ほどのひとびとと協議した。結局『婦人参政権獲得という唯一の共通目的の貫徹のために連合委員会を組織すること』が満場一致で可決された、日ならずして準備会がたびたびもたれた。

従来あるところの既成団体の存在及びその仕事にはいっさい触れず、それらの団体に属している人々も個人として新たに組織される団体に加入することができる、ただ婦人参政権獲得を唯一の共通目的として一般婦人の個人としての自由な参加を求めることができることに話がまとまり、大隈会館の集合に参加した人から賛否をとって発起人とした。

c0166264_2291381.jpg準備会は前後十数回ひらいたが、若い人たちが多く、しかも昼間は働いているので、夜の6時から大久保の婦人ホームに集まった。そこが遠いというので、しまいには赤坂の矯風会本部の寒いバラックに火鉢で暖をとりながら、遅くまで準備に、今後の運動方針に、はげんだものである。厩ではないが、日本の婦選も、焼け跡のバラックから呱々の声をあげたといってもよい。

12月13日、丸の内保険協会で、婦人参政権獲得期成同盟会設立総会を開いた。矯風会からは小崎千代会頭をはじめ大勢出席し、大阪から林歌子女史もかけつけ、またガントレット、守屋、私などそれぞれ集会の中の役目を果たした。(後略)」

女性参政権は敗戦後、ポツダム宣言によって得られたが、先人たちの運動を決して忘れてはならない、と今日、あらためて思った。

【写真上:『廃娼ひとすじ』を手に久布白落実の思い出を筆者に語る高橋喜久江さん。久布白を師とあおぎキリスト教婦人矯風会で仕事を続けた。現在は矯風会が設立した慈愛寮の理事長。性的搾取根絶運動に今も熱心にとりくむ】
【写真中:高橋喜久江さんを通じて借用した『日本キリスト教婦人矯風会百年史』より接写】
【写真下:久布白落実の書。日本キリスト教婦人矯風会の慈愛寮に掲げられている】

【注】久布白落実は、イギリスに渡りSuffragette(女性参政権運動家)を見聞きした。彼女はその激しい闘いぶりには否定的だったようだ。その逮捕・投獄をもいとわなかったイギリスの女性参政権運動をもとにした映画が新年早々日本でも上映される。原語タイトルは「サフラジェット」。女性参政権運動家、女性参政権論者という意味だが、日本に上陸したとたん、タイトルは「未来を花束にして」。陳腐なタイトルだ。予告映画は、子どもの将来のために母親が闘ったという流れにしたてあげられている。ま、こうすると多くの観客を動員できると思ったのだろう。本家イギリスでは、映画のプレミアの場が「まだ女たちの闘いは終わっていない」と叫ぶ女性運動の場となったという。

日本の女性解放運動とノルウェー
ノルウェーの芸術から思う日本の女性運動
女性解放運動の先駆者早川カイ
オスロの絵と日本の廃娼運動
ロンドンのレッド・カーペットに女たち横たわる
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by bekokuma321 | 2016-12-13 23:01 | その他

富山県氷見市は、女性議員が誰もいない「女性ゼロ議会」だ。市議会の17議席すべてに男性が座る。

氷見市だけではない。日本列島には、「女性ゼロ議会」が約370もある。でも、氷見市はその昔、女たちが米よこせデモをしたと言われている地だ。「女性ゼロ議会」には似つかわしくない。

そこで、富山に向かった。駅前の喫茶店で、全国フェミニスト議員連盟の山下清子さんの紹介する、ジャーナリストの向井嘉之さん(写真右)に会った。向井さんは『米騒動とジャーナリズム:大正の米騒動から百年』(梧桐書院、2016)の著者のひとりだ。

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       ▲米騒動の著書を持つ山下清子さんと向井嘉之さん。富山市内で。

向井さんは、「そうですよ、氷見市の女性たちは、安政の大一揆といわれる暴動を起こしたんです。江戸時代の話で、それが明治、大正の一揆につながっているんです」

1858年(安政5年)、高岡、氷見、魚津など富山県のあちこちで、貧しい庶民たちは地主や役人の家を打ち壊す暴動を起こした。『米騒動とジャーナリズム:大正の米騒動から百年』には、こうある。

「氷見の小高い丘である朝日山に大勢の女たちが集まり、ほら貝を吹き立て『ひだるいじゃー』と叫びながら餓死寸前を訴えた」

「ひだるいじゃー」は、ひもじいよーという意味だという。氷見の女たちは、子どもたちを寝かせた後だろう、夜9時過ぎ、朝日山に登って、ほら貝をブオーツ、ブオーッと鳴らした。その音を聞いて、女たちはどんどん集まった。米が高騰して食べる米がない。これでは死ぬしかない。「ひだるいじゃー」と大勢で泣き叫んだというのだ。すさまじい光景ではないか。

c0166264_137349.jpgその後も富山の女たちの抗議行動は続き、明治維新後は米騒動のない年はなかったらしい。氷見に関しては、「貧民2000余人は、深夜、地主宅や氷見分署を襲った」(1890年)との記録もある。また富山日報は、「(今の黒部市で)200人の細民婦女が汽船への米の積み出しを阻止しようと、米俵にすがりつき離れなかった」と生々しい。江戸、明治と、連綿と受け継がれた富山の女たちの闘いは、「越中の女一揆」で知られる大正の米騒動に続いていく。

この「越中の女一揆」は、1918年(大正7年)、富山で起きた。またたくまに全国の都市や鉱山をまきこむ大暴動へと発展し、内閣崩壊とつながっていった。民の声による政府崩壊のさきがけとなったのが、富山の女たちの抗議の声だったのである。何とまあ。

それだけではない。『米騒動とジャーナリズム:大正の米騒動から百年』によると、米騒動は、10円以上を納税する特権階級(男性)にしか選挙権がないのはおかしい、民の声を代弁するためには選挙権を広げなくては、という社会運動を後押しすることになった。

こうして「越中の女一揆」から7年後の1925年、普通選挙が実現した。とは言っても男のみで、女たちはさらに20年待たなくてならなかったが・・・。

江戸、明治、大正を通じて体をはって命を守る闘いをした富山の女たち。この力は、かならずや、「女性ゼロ議会」撤廃へと続くだろう、そして富山県の議会改革につながるに違いない。こう思いつつ、今にも雪になりそうな富山を後にした。


●●追記●●『米騒動とジャーナリズム』は、第22回平和・協同ジャーナリスト基金賞の奨励賞を受賞した。受賞を記念する講演会「それは米と新聞から始まった」が2017年1月21日(土)1330から、富山市のサンフォルテで開催される。


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by bekokuma321 | 2016-12-13 13:38 | その他

c0166264_3103788.jpg12月7日、京都の丸太町まで出かけて行って三井マリ子さんの講演会を聞いた。

会場となったハートピア京都に早めに到着したので、回りを見ると、精神の病を持つ人への偏見をなくそうという“シルバーリボンキャンペーン“のグッズや、小物、漬物、コーヒーなどが販売されていた。聞けば、主催をした、精神にハンディを持つ人たちが生きやすい社会を目指すボランティア団体「風のリンケージ」の人たちの活動の一環だという。

三井マリ子さんは、「こころのバリアフリーをめざして:ハンディをハンディと感じさせない社会へ」という講演をした。

「バリアフリー」を体現している社会だと三井さんが考えるノルウェーで撮影した写真を見せながらハンディを抱える人がハンディを感ぜずに暮らすために必要なサポートシステムを紹介していく。

三井さんは、ハンディをハンディと感じさせない社会にするには、サポートシステムも必要だが、差別・選別・決めつけをしない価値観を多くの人々が持つことではないかという。では、その価値観は、ノルウェーでは、どのようにして醸成されるのか。

重要なのは教育だと三井さんは言い、その基本は、小学校から大学まで無償であることだと強調した。ノルウェーの教育法では、男であるか女であるかを問わず、ハンディのあるなしにかかわらず、どこの出身であろうと、どんなに障碍を持っていようと、誰もが公平・平等に無料で、同じ教育を受ける権利があるとされている。

だから、ノルウェーに「支援学級」「養護学校」は存在しない。ハンディを持つ子と持たない子を分けることなく、同じ学校で、同じ教室で、皆が一緒に授業を受けるのだという。それぞれのハンディに必要なサポートは補助教員がつくことで、他の生徒たちといっしょに学校生活を過ごす。

さらに小学校は、生徒にテストで選別することはなく、通信簿というものがないのだという。高校教師だった三井さんは、ノルウェーのこの選別しない教育を初めて知ったとき驚いたらしいが、私も本当に驚いた。

初等教育での、公平・平等な体験が、差別・選別・決めつけはいけないという価値感を育成していき、その後のハンディを取り除く政策への税金投入を是とする人々を増やしているのではないか、と三井さんは言う。

誰も、長い人生で何度かハンディに出会う。

生まれた時から心身に重いハンディを持つ子ども、シングルマザーになった母親、妊娠・出産した大学生、うつ病を発症した首相、一人で暮らせなくなった高齢者などなど。5人の子どもの母親でありフルタイムで仕事をする女性は、出産のたびに「産休・育休」を取るわけだが、「またか、などと職場で嫌みを言われたりしないか」と三井さんが尋ねたら、意味が理解できないようだったという。三井さんは、「育休は男性社員もとるし、当然の権利ですから」と言われたそうだ。

最後に、ノルウェーの市議会議員の写真を見せて、それぞれの職業を三井さんは示した(ノルウェーの地方議員は通常の仕事や学業を続けながらの無給ボランティア)。その職業の多彩さだけでなく、看護師、教員、ケアセンター施設職員など、人の世話に関する職業が多いこと。

手厚い福祉政策を制度化して、予算をつけていけるのは議員だ。バリアフリーの実現のためには、「ハンディをハンディと感じさせない社会」をつくろうと考える議員が議会にいなければいけない、と三井さんは語った。三井講演の締めは、やっぱり選挙だ! 選挙はチャンス! そう思うと、選挙もまた楽し、である。

大きく違うノルウェーと日本だが、「ハンディをハンディと感じさせない社会」を目指し、前を向いて進んでいこう!という気になった。

岡田 ふさ子(さみどりの会* 事務局)
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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった


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by bekokuma321 | 2016-12-12 03:23 | ノルウェー

c0166264_17343676.jpg12月6日、ノルウェーで「ベスト清掃員賞」という珍しい賞の授与式が行われた。

ノーベル平和賞とは違って知る人はほとんどいないと思われるので、かいつまんで紹介する。

2016年のベスト清掃員賞は、メルフス市のシッセル・シァイ(写真中央)に授与された。市議会場で表彰された彼女は「感動で涙を流した」と報道されている。

授与者は、組合員35万人を擁する公務員労働組合(Fagforbundet)。ノルウェー連合LOの傘下にある。その公務員労働組合が、清掃労働組合員3万人によびかけ、今年は、全国から推薦された候補者80人のなかから厳選された。

シッセル・シァイの受賞理由を要訳する。

彼女は、1990年から清掃業務を始め、2000年からトロンデラ―グというノルウェー中部地域にあるメルフス市の公務員となった。今では、60人の清掃員をまとめて、メルフス市の清掃業務をけん引するスーパー清掃員だ。

彼女は、業務を的確に遂行しているだけでなく、同僚への連帯意識が高く、見習いのひとたちの訓練・教育にも卓越しており、プロの仕事としての清掃業務に対して愛情と関心を寄せていて、それが職場環境を向上させ、市全体に貢献している、と高い評価を受けた。

c0166264_23492224.jpgこの賞は、誰がどんな趣旨でいつから始めたか不明だが、多くの清掃業者の激励になっていることは確かだ。清掃業務は、圧倒的に女性が多く、移民が就きやすい職種である。他の職種に比べて平均年収が低いため、労働組合Fagforbundetは、長年、「同一価値労働同一賃金」を掲げて闘ってきている。

清掃をしてくれる人がいるから、清潔で気分のいい環境で働ける。いい環境は仕事の効率をあげる。でも、つい掃除をしてくれる人の存在を忘れてしまいがちだ。そんなひとりである私も、このニュースにガツンときた。

おめでとう! シッセル・シァイ!

Glad og overrasket årets renholder
Fagforbundet

【写真上:Fagforbundetの記事より。 下:2016年の清掃員賞候補者募集のパンフレットより】
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by bekokuma321 | 2016-12-10 17:51 | ノルウェー