c0166264_23144992.jpgドイツで、女性が最も住みやすい町はドレスデンだそうだ。

働く人の半分以上は女性で、女性の賃金は男性の92%。失業者を調べたら女性は45%しかいない。保育所が充実している。強姦など性暴力が少なく、望まない妊娠をした女性のための妊娠中絶もしやすい。女性の本屋や女性向けのヨガやジムなどリクリエーションが整っている。

「すばらしい! 女性にとっていい町は家族にとっていい町。ということは僕たち男性にとってもいい町ですよ」とは、男性の弁。

この女性にフレンドリーな街づくりの背景には、ドイツ基本法に定められた「男性と女性は同じ権利を持っている」に基づいて、ドレスデン男女平等委員(Equality Officer)が、厳しく目を光らせていることも忘れてはならないだろう。

彼女が代表する男女平等権利局のホームページをのぞくと、もりだくさんの事業に驚かされる。上のロゴ「女の子の日」は、女性のキャリアを広げるキャンペーンのひとつ。

女性の権利のために日夜目を光らせる専任の男女平等委員を持つ自治体は、私の知る限り、日本にはない。

FRAUENFREUNDLICHSTE STADT | Dresden liebt seine Frauen!
Dresden Frauen und Maenner
ベルリン「女の街」が元気
いかれた女よ、臆病者よ・・・
ドイツの町のジェンダー規定
緑の党の全政策に女性の視点を
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by bekokuma321 | 2016-05-30 23:22 | ヨーロッパ

c0166264_18395856.jpgノルウェーの憲法記念日は5月17日。晴れ着姿でパレードに参加したノルウェーの友人の写真を見ながら、憲法記念日は子どもたちの祭典だ、とあらためて思った。

憲法記念日は日本でも休日だが、憲法を堅持しようという人たちと、憲法改正をしようとするひとたちの集会の報道に接するぐらいだ。ノルウェーでは、全土で、主に小学校のブラスバンドを先頭に正装した生徒たちが国旗を持って行進する。

だいぶ以前、この日を取材をしたことがある。オスロでは、宮殿バルコニーで待つ国王一家への到着がクライマックス。みんな次々に王様に「こんにちは、王様、元気ですか」とあいさつする。宮殿前の来賓席の最前列には、各国から招待された車いすの子どもたちが陣取っていた。

ノルウェーの憲法は古い。200年前の1814年5月17日制定された。その1か月前の4月11日、憲法制定法案を起草する会議が、オスロ近郊のアイツヴォルで開かれた。

全国60から選ばれた112人が集結。職種は官吏、牧師、教師、軍人、農民、商人。年齢は10代から60代。当然だが女性はいなかったものの、地域、職業、年齢が偏らないように選ばれている。現在、博物館になっているアイツヴォルを見学したとき、説明員からこんなエピソードを聞いた。

「2月初めに、選挙で選ばれた委員を憲法制定会議に参加させるようにと全国に伝令したのですが、4月の会議になっても、北部から代表は来ませんでした。19世紀はじめの、伝令と旅がいかに困難だったかを示しています」

c0166264_18433987.jpg2011年、私はフィンマルク県カラショークに行った。オスロから、トロムス、アルタと飛行機を乗り継いで、ラクセルブ空港に降りて、そこからバスに乗って1時間余りで到着。1日がかりの旅だった。

時代は飛行機などない19世紀初め。船と馬車と徒歩だ。ちゃんとした道路もなかった。しかも、悪天候。南から北までの移動は1カ月の長旅だったらしい。そんな制約のなか、「全土からの代表で」とした心意気。平等を大切にする国民性の一端が表れている。

1か月後の1814年5月17日、会議は、「人は生まれながらに自由であり平等である」で始まるノルウェー憲法を誕生させた。日本は士農工商の厳しい身分制度があった江戸時代だ。

この憲法になんと「選挙権」が登場した。土地を持っている農民にも選挙権が与えられた。これは、19世紀初めとしては世界で最も民主的な出来事の一つと言われる(ただし女性選挙権はずっと後の1913年)。
 
当時、ノルウェーは、スウェーデンに支配された半独立国家。自由と平等をうたった憲法があっても、不平等な地位は歴然だった。憲法制定後も、スウェーデンはノルウェーに圧力をかけ続け、ノルウェー人が憲法記念日を祝うことを禁止した。ところが、1829年、ノルウェー人は、詩人ヘンリク・ヴェルゲランを先頭に官憲に抵抗して祝典を実施。官憲と衝突した。その後、いっそう民族魂、独立魂が燃え上がっていったといわれている。

ノルウェーが独立したのは、1905年。

c0166264_18451014.jpgTen things you might not know about May 17
17 Mai, 2016_NRK
5月17日はノルウェー憲法生誕200年
■スウェーデンからの独立運動(『ノルウェーを変えた髭のノラ』明石書店)
■1814年の憲法制定議会(同上)
■スウェーデン・ノルウェー王国の確執(『北欧史』山川出版社)

【写真:オスロ在住のHelle Cheung提供】
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by bekokuma321 | 2016-05-30 18:54 | ノルウェー

「ハイヒールって、ただただ、ひどいに尽きる」

エミール・アンデルセン(Emil Andersson、25歳)は、スウェーデンの大工。

ある日、エミール・アンデルセンは、フェイスブックでカナダ女性の投稿を見て、なんてことだと思った。彼女の働くレストランは、ハイヒールがドレスコードになっていて、女性従業員たちは苦しんでいる。足から血が出たり、足の指の爪がはがれたりしている同僚もいるという。

そうこうしているうち、カンヌ映画祭に裸足で登場したジュリア・ロバーツの姿が、彼の目に焼き付いた。

職場でハイヒールを強制される女性たちがいることに疑問を抱いていた彼は、一日、ハイヒールをはいて仕事をしてみようと決意。さっそく実行に移した。

初めてはくピンクのハイヒール。痛い! その痛いハイヒールをはいて、車を運転し、工事現場に行き、重い荷を持って階段を上り下りする。ぐらつく足取り、不快感・・・。

彼は、一部始終をYoutbeに。題して「ハイヒールで仕事に挑戦!」。彼の挑戦は世界中に流れた。その反響たるや!

この挑戦物話が、遠い日本にいる私にも届いたのは、ノルウェーのメディアのおかげだ。スウェーデンもノルウェーも世界有数の男女平等先進国。男女の垣根は、ほとんど取り払われている。

しかし、女性の痛みをわがこととして味わったエミールは、言う。

「まだまだ、平等ではない。仕事をするときに、男女でドレスコードが違うのは不公平だ。僕は1日だけ。もう二度とはかなくていい。だが・・・」

エミールのような男性を生み出した北欧社会を尊敬する。

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        ▲クリックしてYoutubeの録画をどうぞ。

Emil (25) brukte høye hæler på jobb: – Det var forjævlig ubehagelig!
Challenge, High heels at work!
Woman shares photo of bleeding feet to highlight 'unfair' work high heels policy
Julia Roberts Goes Barefoot On The Cannes Film Festival Red Carpet
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by bekokuma321 | 2016-05-30 10:48 | 北欧


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『バックラッシュの生贄』(三井マリ子・浅倉むつ子編、旬報社)を一日で読み終えた。不謹慎かもしれないが、まるで推理小説を読んでいるような錯覚を覚えた。

「ジェンダー」「フェミニスト」そして「バックラッシュ」。最近これらの言葉が、普通に新聞や雑誌に登場するので、いつの間にか、それらを知っているというより理解しているつもりになっていた。

が、いざ「それらは何ですか?」と問われたら、実はなにも答えられないというのが私の場合だった。しかし、 『バックラッシュの生贄』を読み、その具体的内容がわかった。

「はじめに」で、浅倉むつ子さんが、バックラッシュとは、「フェミニズムが力を得て、男女平等意識が高まり、女性の社会進出が進みました。ところが、それを阻む『反動、揺り戻し』が起き、ファルーディはこれを『バックラッシュ』と呼んだのです」と解説している。

ジェンダーについては、三井マリ子さんが、1995年の国連世界女性会議で採択された「北京行動綱領」を例に出して説明している。社会的文化的につくりだされた性のことだという。

フェミニストとは、「サッカーよりもママごと遊びをしたい男の子がいてもいいではないか、男の子だからって男らしくあれと強制されるのはおかしい、と言ってるのだ」という三井さんの言葉のように、性による押しつけはおかしいとする主張する人だ。

本書を読んで、これらの言葉の重みを知るとともに、それを主張するためには「反動、揺り戻し」勢力と闘わなければならないこと、しかもその闘いがいかに困難なものであるかを知った。

三井マリ子さんはその闘いに挑んだ。本書で、明らかになったのは、三井さんは、日本最大の右翼組織である「日本会議」の思想や実践に向かって闘いを挑んだということだ。てごわい敵だ。

先頭に立って闘う人だから、前線において実弾を受けて負傷する。しかし負けてはいない。怪我をものともせず、再び闘いに身を投じてゆく。

その闘う姿にどれだけ多くの女性が力を得ていることだろう。少なくとも私も応援する一人の人間として、三井さんから勇気をもらった。

加島 康博(秋田市、さみどりの会

読者は二つの怒りを体験する:『バックラッシュの生贄』を読んで(高坂明奈)
標的は憲法9,24条: 『バックラッシュの生贄』を読んで(高開千代子)
インパクションに『バックラッシュの生贄』(田中玲)
一気に読んだ、勉強した、考えた:『バックラッシュの生贄』を読んで(小枝すみ子)
バックラッシュ思想は女性のあらゆる権利を奪う(森崎里美)
豊中バックラッシュは国家的プロジェクトの一環だった:『バックラッシュの生贄』を読んで(伊藤由子)
今も続く右翼的攻撃の楯となる本:『バックラッシュの生贄』を読んで(岡田ふさ子)
男女平等を嫌う反動勢力の実像~日本にはびこるバックラッシュ現象~(三井マリ子)
ファイトバックの会(館長雇止めバックラッシュ裁判)
バックラッシュ( Back lash )年表(日本会議系議員などによるジェンダー平等攻撃の流れ)

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by bekokuma321 | 2016-05-25 11:16 | その他

比例区、またまた削減

衆院の定数が削減された。確実に女性議員減につながる比例区削減も強行された。

衆院で審議はわずか3日間だった。参議院での結果は、あまりにも小さな記事だったため見逃しそうだった。

選挙法は憲法に等しいくらい大切な制度だ。それが、こんなに暗いやり方で、とおってしまうとは。

女性議員増を求めて20余年の全国フェミニスト議員連盟は、衆院での決定を受けて、抗議文を送った。連戦連敗ではあるが、絶対にあきらめずに、声をあげ続けよう。


■■女性議員減につながる比例区削減をした定数削減衆院委可決への抗議■■
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2016 年 5月10日

衆議員議長  大島理森 様
参議院議長  山崎正明 様
内閣総理大臣  安倍晋三 様
総務大臣    高市早苗 様
一億総活躍大臣 加藤勝信 様
                
2016年4月27日、衆議院の選挙制度改革を審議する衆議院特別委員会は、衆議院定数を、「小選挙区6減、比例区4減」とする法案を可決しました。翌28日、衆院本会議を通過したことによって、衆議院は465議席となり、人口が現在の半分だった1925年の466議席より少なくなりました。

しかも、女性候補者当選率の高い比例区の定数を減らして、“女性の声の反映する政治”を求める国際社会の潮流に背を向けました。比例枠削減を含む本法案の可決は、女性や社会的弱者の民意を切る改革であることを指摘し、ここに強く抗議をします。
 
日本の女性が初めて参政権を行使した1946年、衆議院において466人中女性は39人で8.4%、現在は475人中45人で9.5%。70年間でわずか1%増でしかありません。

背景には、日本の選挙制度を含む社会システムが、女性議員増を阻んできた事実があります。

国連女性差別撤廃委員会は、かねてから日本政府に対して「クオータを含む暫定特別措置を通じて、政治的公的活動における女性参画増加のための努力」を求めてきました。クオータ制は、比例代表制と親和性があり、比例代表制選挙をとる北欧をはじめ世界各国において絶大な効果をあげています。

しかるに、日本では、小選挙区比例代表並立制の当初原案は、比例区250でしたが、1994年200に削減して成立。2000年180とさらに削減。それが、女性参政権70周年という記念すべき本年、176に切り捨てられることになりました。

女性議員の割合が世界190カ国中155位(衆院)の最下位ブロックの日本でこそ、女性や社会的弱者が当選しやすい比例代表制への抜本的変革が求められています。にもかかわらず、小選挙区制を維持したまま、比例枠を減らすという選挙制度関連法の改正案が可決されたことは、時計の針を逆に回すことです。

最後に、「選挙制度」という重要法案が、女性1人のみの委員会で審議されたこと、女性市民の声を参考人として聴取するどころか、市民への周知徹底が全くなされないままたった3日間の審議で結論を出したことに異議を申し述べ、委員の猛省を求めるとともに、参議院においては上記の点に考慮し、慎重な審議がなされることを強く求めます。                          

全国フェミニスト議員連盟
共同代表 会津 素子(千葉県成田市議会議員)/ 皆川りうこ(東京都国分寺市議会議員)
事務局 小磯妙子 (神奈川県茅ヶ崎市議会議員)  
神奈川県茅ヶ崎市鶴が台14-5-202

【写真:70年前、衆院に当選した39人の女性のひとり「和崎ハル」。秋田からの初の女性国会議員。当時の選挙は大選挙区の連記制だったから女性が今よりも当選しやすかったといわれている】

「身を切る改革」どころか「民意を切る改革」
小選挙区制は女性の声を捨て去る
 比例代表制は女性や弱者が当選しやすい 
女子差別撤廃委員会への政府回答のお粗末さ
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by bekokuma321 | 2016-05-24 00:29 | その他

c0166264_2327754.jpg男女平等では世界の先頭を走るノルウェーでも、男女の賃金格差は、男100円に対して女85円だ。

ノルウェーの女たちはこの賃金格差に怒って、「同一価値労働同一賃金」を求める空前の大ポスター作戦に打って出た。ねらいは、国政選挙。

女性看護師が、鼻の下に横一文字の筆書きの髭を付けて微笑みながら「ひと筆で格差を減らせますよ」と国民に呼びかけた。

「髭」は男の象徴で、つまりは「髭のあるなしだけでこんな格差があっていいのか」と訴えたのである。ノルウェーを訪れた私は、大通りに面したビルのショーウィンドウに、このポスターを見つけた。

ポスターは、あらゆる駅や公共機関に貼り出され、新聞、雑誌、ネットにも登場。黒色の筆でサッと書ける簡単さ。子どもの落書きのように見えて、何だかおかしい。この「鬚キャンペーン」は大当たりし、一時は町からポスターが消えた。市民に持ち去られてしまった。

このつづきを読みたいかたは↓をクリック

叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち by I 女性会議
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by bekokuma321 | 2016-05-23 23:29 | ノルウェー

強姦され殺害された20歳

この数日、沖縄の米軍関係者による強姦殺人事件に、怒り心頭だ。この抑えられない感情を表現できずに何日間か過ごしている。

もうじきオバマ大統領が来日する。彼は、これまでの言動から、女性差別に敏感だと信じている。とくに強姦や性暴力に対して、彼は、強い憤りを示してきた。訪日したら、これまでの感情をそのまま率直に、表現してほしい。

今日、沖縄タイムズや琉球新報の報道に接し、さらなる怒りがわいてきた。沖縄タイムズの社説は、私の憤激を代弁してくれた。引用させていただく。

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■社説[不明女性遺体で発見]米軍がらみ 最悪の結末■

今、こうやってパソコンに向かっている間も、打つ手の震えを抑えることができない。どうか無事でいてほしいという家族や友人、多くの県民の思いは粉々に砕かれてしまった。

うるま市の会社員、島袋里奈さん(20)が行方不明になっていた事件で、県警は元米海兵隊員で嘉手納基地で軍属として働く32歳の男を死体遺棄の疑いで逮捕した。供述に基づき、恩納村の雑木林から島袋さんの遺体が見つかった。

今年成人式を迎えたばかりの若い命である。直面した恐怖や絶望を思うと気持ちの持って行き場がない。

島袋さんは行方不明になる直前の4月28日午後8時頃、「ウオーキングしてくる」と、交際相手の男性へLINEで連絡している。趣味のウオーキングに出掛ける、いつもと変わらない日常だった。

勤めるショッピングセンターでの働きぶりは真面目で、明るくて気配りのできる女性だったという。

県警によると容疑者の男は、殺害をほのめかす供述をしている。またも繰り返された米軍関係者による凶悪犯罪。

若い女性の命が奪われたというニュースに、県民は悲しみと怒りと悔しさが入り交じった衝撃を受けている。

米軍基地が集中するために脅かされる命と女性の人権。米兵や米軍属の犯罪におびえて暮らさなければならない日常が戦後71年たっても続くというのは、あまりにも異常である。

■ ■ ■

1972年の復帰から2015年までの43年間の米軍関係者による犯罪検挙件数は5896件。うち殺人、強盗、強姦、放火などの凶悪犯は574件と10%近くを占めている。米兵に民間人が殺害される事件も12件発生した。

「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」が掘り起こしてきた戦後の米兵による性犯罪の記録には、「検挙」にいたっていない被害も数多く並ぶ。

こんな地域がほかにあるだろうか。米軍占領下も復帰後も米兵による性暴力や米軍関係者の事件事故におびやかされる地域がほかにあるだろうか。怒りがこみあげてくるのを禁じ得ない。 

つい2カ月前にも那覇市内のホテルで米兵による女性暴行事件が起きている。

県と市町村、外務、防衛両省、米軍が事件事故防止に向け対策を話し合うワーキングチームの会合を4月19日に開いたばかりである。

■ ■ ■

事件の詳細が明らかになっていないため、現時点で予断をもって語ることは戒めなければならないが、容疑者の供述した場所から島袋さんが遺体で見つかったのは、はっきりしている。動機や殺害にいたったいきさつなど事件の全容解明を急いでもらいたい。

米国から帰国し会見した翁長雄志知事は「言葉が出てこない」と絶句した。

事件事故のたびに日米両政府に抗議し、大会を開き、綱紀粛正と再発防止を求めてきたが、これまでのようなやり方ではもうだめだ。もはや再発防止要請ですますレベルではない。

(2016年5月20日 沖縄タイムス)
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by bekokuma321 | 2016-05-23 23:17 | その他

パナマ文書は女性問題

パナマ文書によって、地球規模の脱税シンジケートの存在が暴露された。

これは、女性問題でもある。

第一に、脱税をした巨大企業には、女性たちの低賃金単純労働で儲けている会社が多い。女性たちを経済的に搾取して潤った大企業が、納税の義務をのがれている。2重3重の犯罪だ。

第二に、しかるべき税収がなければ、国家の公的サービスは低下する。古今東西、女性の多くは、公的サービスに支えられて生きている。脱税は、女子どもにしわ寄せがくる。家が貧しく娘と息子が同じ成績なら、娘を私立大学に進学させはしない。公営バスや電車がなければ、隣町に用事があっても出かけられない。子どもを預ける適当な保育園や放課後の学童保育がなければ働き続けられない母がごまんといる。心身に障害のある子や認知症の親を持っていたら、ケア・サービスがないと遅かれ早かれつぶれてしまう。

第三に、福祉・サービス職場を支えるのは税金だ。納税が滞っては、緊縮財政となり、真っ先に福祉の質が落とされる。そこで働く人たちの給料が引き下げられ、非正規が増える。福祉職場には多くの女性たちが働く。女性たちの首がしめられるのだ。

第四に、巨大企業や大富豪が納税しない分、誰が補うのか。そのツケは、パートや派遣など非正規で働きつづける人たちにまで回ってくる。ここに働く人は女性が多いのは言うまでもない。

パナマ文書を暴露した人は、声明文の冒頭で、上記を示唆するように、こう言う。

「所得の不平等は、現代を特徴づける問題である。世界中のすべての人々の問題だ」(Income inequality is one of the defining issues of our time. It affects all of us, the world over)

脱税は、税の基本を瓦解する。日本政府は、行政サービスの土台を崩すこの事態を調査もせずに黙認しようとしている。なんということだろう。

資産ウン兆円のユニクロの柳井正社長よ、脱税は犯罪だ。錦織圭のテニスウェアなんかに騙されないぞ。

Panama Papers Source Offers Documents To Governments, Hints At More To Come

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by bekokuma321 | 2016-05-09 22:31 | 中南米

強姦被害男性の感情

1人のノルウェー男性が、ソマリアからの亡命申請者(男性)に強姦された。加害者は何年かの受刑後、国外追放された。それを知った被害者の男性は罪悪感を抱いている、というニュースが届いた。

私のノルウェー語の知識はまったく不十分であり、正確でない部分があるだろうことをお断りしたうえで、彼の言葉の一部を訳して紹介したい。彼の主な言い分は、

「加害者はノルウェーの地をニ度と踏めなくなった。命がけで逃亡したソマリアに強制送還され、何をされるかわからない。彼は、犯した犯罪への罰を償うべきだと思う。しかし、この世は、あまりに不公平だ。彼の行為は、戦争や略奪が続く社会(ソマリア)の産物であり、それが彼を犯罪に走らせた。僕は、被害にあったのち、長い間、苦しんだが、彼のように救いを求めている人たちに、これまでと同様、救いの手を差し伸べたい」

NRK(ノルウェー放送協会)によると、被害者はヘテロセクシャルのカールステン・N・ハウケン(1988年生)で、難民救済の運動家、フェミニスト。市議会議員候補(左派社会党)にもなった。加害者はソマリアからの難民男性。

ハウケンは、強姦被害者の心情について、
「被害を受けたあと、無だった。何年間も、うつ状態で、孤独でした」と述べる。

さらに、「男性が、強姦されたとは?」「僕は、女性差別や民族差別の嫌いな人間。その人間がソマリア人男性から強姦されたとは?」――彼は、気が変になりそうで、そうした問いから逃げることばかり考えていて、アルコールやマリファナに手を出したという。

事件後、数年たって、強姦被害者が集まって話し合うグループ・セラピーに行き、被害者たちの話を聞いて、自分の被害はまだましなほうだということに非常にショックを受けた。多くの被害者は、被害を受けたことを家族にも友人にも誰にも言っていない、ということも知った。

事件が起きた後、警察の適切な対応で、彼はオスロの緊急救命室の強姦受付センターに、連れていかれて、丁寧で配慮の行き届いた聞き取りをされ、セラピストからのケアを受けた、とも述べている。父親が迎えに来てくれた。その後の捜査も、一人の警察官がずっと担当していたという。

強姦加害者は、しばらくして別件で逮捕されて、DNAや指紋照合などにより強姦罪で4年半の刑に。ソマリアに強制送還されると聞いたとき、どれだけ安心したか、車の中で涙が止まらないほど、彼が自分から離れていなくなることがうれしかったと語る。

しかし、同時に、前述したような罪の意識から逃れられない、複雑な心境を語る。

彼の告白を読んで、私は、性暴力・強姦を受けた人間の誰にも言えない苦悩に少しだけ近づくことができたような気がする。「男は感情を外に出すものではない」という通念が残るこの社会で、男性が性被害の感情を外に出すことは、どういうことかについても、考えさせられた。

そして、カールステン・N・ハウケンのような男性を育ててきたノルウェー社会を、心から素敵だ、と思った。

Jeg ble voldtatt av en mann(I was raped by a man)

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▲オスロのヴィーゲラン公園
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by bekokuma321 | 2016-05-05 23:55 | ノルウェー

タブレットで、『ルポ:平等の国ノルウェーの選挙』の「第25話 これでいいのか日本の政治家」(注)を読んでいます。

映画「選挙」(相田和弘撮影・監督)を題材にして、三井マリ子さんが日本の選挙制度について書いたものです。 僕も映画「選挙」を鑑賞したことがあります。主人公の山内和彦さんとも数回会いました。

この映画をノルウェー人に見せたときの、彼・彼女らの驚きの反応を、皮肉たっぷりに紹介していて、実に痛快です。

「これが選挙? 彼はほんとに候補者?」、「“乞食”から“センセイ”に」「体操しても政策は広まらない」などなど、いやあ、もう、感動の連続ですよ!

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第25話を読了し、今、「第24話 死に票がない比例代表選挙」を読んでいます。ノルウェーは約100年も前から比例代表制。なぜ比例制に変えたのかが書かれています。これこそ、今の日本に広めていかなければならない著作です。

日本を救うのは、この三井さんの連載を読み、その主旨をつかみ、次に私たちはいかなる姿勢で、どんな投票行動を取ったらよいのかを考えて、行動することだと思います。日本の世直しは、この著作抜きにしては考えられません。

いつ単行本になるのでしょうか。あるいはブックレットにして出版ができないでしょうか? できるだけ早急に出版してほしいです。

選挙権が 18才以上になりましたが、主権者教育ばかり叫ばれていても、肝心の「選挙制度」については、いい情報がありません。大人も含めて、こんなにも民意を反映しない小選挙区選挙について、ほとんど誰もきちんと考察も批判もしていません。それなくして、ただ単に「投票に行こう」はない。口を開けば「無党派層をいかにとりこむか」なんて、おかしいです。

比例代表選挙に変革したいという人を増やすためにも、僕は 三井マリ子さんの、この連載を広げる運動をしていきたい。この連載を土台にして議論しあうのです。本当の世直し改革の方向性がここにあります。"共に"頑張りましょう。

田口 房雄 (緑の党 Greens Japan 会員)

【写真:第25話に登場するヒシュティ・グロンダ―ル。教員のとき保育園不足に悩み保育園増設運動から市議に。後、国会議員、そしてノルウェー初の女性の国会議長に。足もとにあるリュックサックを背負って電車通勤。女性運動家が議員になれるのも比例代表選挙のおかげ】

(注)さみどりの会ホームページ 「連載 衆院秋田3区の政党交付金」に保管されている。c0166264_15134969.jpg
2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった
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by bekokuma321 | 2016-05-04 23:44 | ノルウェー