直方市の女性たち

27日(日)は、福岡県直方市に招かれた。かつては石炭の町とした栄えた。

「世界一ハッピーな母親の国ノルウェー」の母親政策、保育制度、男性の育児家事参加について、話した。とくに、なぜ、こんな豊かな社会になったかに至るまでの道のりに力点を置いた。

身を乗り出して聞いてくれる人、即座に的を射た質問をする人、ウンウンとうなづく人ーーー話すほうもますます熱心になってくる。

ホールに400人から500人はいた。300円のチケットを作って、売りまくったという。1996年からの長い歴史を持つ「男女共同参画夢ネット」の実績、それに実行委員会形式の市民運動の力があったればこそだろう。
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実行委員長は、中村幸代さん。元市議会議員で市長にも挑戦した経歴を持つ。憲法9条を守る運動や環境運動など、直方市の発展に「中村幸代あり」という女性だ。現在、女性議員ゼロの市の現状を嘆き、「変えなくては」と動く。

c0166264_22505135.jpg講演後に、中村幸代さんの自宅におじゃました。中村さんに、ノルウェーの真っ赤なTシャツを私からプレゼントした。写真は、ノルウェーのTシャツを着てご機嫌の中村さん。偶然だが、冷蔵庫にはってあった「輝け! 憲法9条」の緑色と絶妙のマッチング。

このTシャツは、ノルウェーの公務員労働組合が選挙用に作ったもの。ノルウェー選挙の取材に出かけた時、参加した選挙キャンペーン大会で入手した。

ロゴのノルウェー語の和訳は
「あなたの町、あなたの仕事、あなたの1票。選挙権を使え!」

いつか、こんなTシャツを着て、闊歩する日本の公務員の姿を見たい・・・。
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by bekokuma321 | 2013-01-29 22:51 | ノルウェー

大潟村の女性たち

c0166264_18305633.jpg26日(土)、秋田県大潟村に招かれた。村民センターで、ノルウェーの母親への社会保障を講演した。手厚い社会福祉の恩恵を受けているノルウェーの人々の映像を見せながら、話した。

18歳の女子高校生――しかもインドからの移民の子――がオスロ市議会議員に当選したエピソードを披露した。それに関心を寄せた若者がいた。彼は、「その女子高校生の選挙公約や選挙キャンペーンは、どんなものだったか」と質問した。

24時間の介護サービスが当たり前のノルウェー自治体を紹介したら、親の介護に悩む女性から、「希望するホームに入所できるのか」という質問が出た。

c0166264_21151988.jpgこの日の大潟村は、数メートル先が見えない地吹雪だった。「これでは人は来ないかも。車出せない人がいる、家を出られない人もいる」と、主催者がうらめしそうに言った。しかし、予想に反して会場は満席だった。

大潟村の女性たちの強さを感じた。まだ女性首長など日本にほとんどいなかった頃、いち早く女性村長を出した村でもある。黒瀬喜多さんだ。

c0166264_21212160.jpg大潟村の女性たちの多くは、厳しい自然の中、夫や家族と一緒に農業に従事する。帰路、市場に立ち寄ったら、女性たちの工夫を重ねた農作物や生活用品がさまざま売られていた(写真右上&左)

あっぱれな大潟女性の働きぶりを見ながら、ノルウェーのように保育から介護までサービスが充実していたら、これはもうすごいことになる、と思った。

【写真最上:男女共同参画推進チームをひっぱってきた三村敏子さん&柏雄子さん】
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by bekokuma321 | 2013-01-29 18:34 | 秋田

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小さな子どもを持つ母親の多くが働くノルウェーの事情を映像を交えてお話します。

女も男も子育てが楽しい国ノルウェー
『男女共同参画は幸せな社会をつくる』

日時:2013年1月26日(土) 10時~
会場:秋田県大潟村村民センター
秋田県南秋田郡大潟村字中央1-17
入場無料

問合せ:大潟村役場住民生活課 Tel. 0185-45-2114


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直方男女共同参画センター設立記念の大会で、人に優しいノルウェーの暮らしとそれを支えるシステムについて写真を交えてお話します。

直方男女共同参画センター設立記念 第16回のおがた男女共同参画フェスタ
『ママが世界一ハッピーな国ノルウェーに学ぼう』

日時:2013年1月27日(日) 13時30分
会場:ユメニティのおがた大ホール

主催:第16回のおがた男女共同参画フェスタ実行委員会
問合せ:中村 n374@live.jp


1月26日、27日、両日ともノルウェー王国大使館後援

講師:三井マリ子
北欧社会研究家。東京都立高校教員を経て東京都議会議員を2期務める。大学講師の後、大阪府豊中市男女共同参画推進センター初代館長、福井県武生市初代男女平等オンブッドを歴任。全国フェミニスト議員連盟世話人。女性の政治参画への貢献により2012年度赤松良子賞受賞。2011年週刊金曜日ルポルタージュ大賞入賞。若い女性たちが住みたくなるノルウェー極寒の町をルポした作品。その一部はこちらから
http://mitsui-mariko.jp/file/file01.pdf

近著:『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)
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by bekokuma321 | 2013-01-23 19:31 | ノルウェー

c0166264_20535146.jpg自転車競技者ランス・アームストロングが、ドーピング疑惑について告白したという。

アームストロングのドーピング疑惑は、長年「世界最大級のスキャンダル」だった。もちろん彼は、強く否定してきた。というわけで、このニュースはあっという間に世界に流れた。

では、いったい、どこで、誰に、アームストロングは、その口を開いたのか。

アームストロング自身の口から告白を引き出したのは、オプラ・ウィンフリー。TVインタビューアーだ。場所は、アームストロングの故郷テキサスだという。

私は、アームストロングより、オプラ・ウィンフリーにずっと関心がある。だけど、日本のメディアは、まったく関心がないようだ。アメリカでは「メディア・ジャイアント」と異名をとる女性だぞ。

オプラ・ウィンフリーの人生は壮絶だ。貧しいシングル・マザーの子として、ミシシッピに生まれ、親戚の家を転々とした。10代の彼女を、親戚や母親の友人が強姦。彼女は妊娠・出産。その子はすぐ亡くなったという。

大学は奨学金で卒業。高校生の頃から放送番組に出演し、テレビのアンカーマン、トークショーなどで人気は上昇。

彼女が司会をつとめる「オプラ・ウィンフリー・ショー The Oprah Winfrey Show」は、シンジケイション。1986年から最近まで放送されていた人気長寿番組。この番組で彼女が取り上げる本は、ベストセラーとなるなど、アメリカ社会のトレンド・メ―カ―でもある。

大統領戦では、オバマをいち早く支持を表明し、オバマ旋風をまき起こすきっかけとなったといわれている。堂々と民主党支持を表明している、リベラル派ジャーナリストのひとりだ。子どもへの性的虐待、同性愛などにも真正面から向き合う。

そうそう、アリス・ウォーカー作『カラーパープル』(The Color Purple)の映画で、ソフィー役を演じ、アカデミー助演女優賞にノミネートされたっけ。

もちろん、スーパーリッチ。

http://www.oprah.com/index.html
http://www.biography.com/people/oprah-winfrey-9534419
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by bekokuma321 | 2013-01-16 21:11 | USA

ノルウェーの家族・男女平等政策の土台をつくったのは誰か? その人の名は、カリン・ストルテンベルグ。

彼女は、現首相イェンス・ストルテンベルグの母親、元外相トールヴァル・ストルテンベルグの妻としても知られている。

亡くなる直前の夏、私は彼女に単独インタビューをする機会に恵まれた。その記事が、ノルウェー王国大使館HPに掲載された。上下の2回シリーズ。

(クリックすると大きくなります)


■ノルウェーの家族・男女平等政策の礎を読むには
http://www.norway.or.jp/news_events/policy_soc/equality/marikomitsui2012/
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by bekokuma321 | 2013-01-14 21:57 | ノルウェー

c0166264_2015595.jpg今夜から、「キリング The Killing」のシーズン2が日本で始まる。我が家の全員、といっても彼氏と私の2人だが、前作シーズン1に、はまりにはまった。

デンマークの人気テレビ番組だ。国際エミー賞を受賞した制作スタッフが結集して作り上げたというこの番組は、デンマークTV史上、最高の視聴率を記録。北欧ではシーズン3がもう放映された。

なんといっても、主人公の女性探偵の暗さ、複雑さが、魅力のひとつだ。

探偵といえば、元祖はシャーロック・ホームズ。女性に丁寧に(昔はそうする男性をフェミニストと言った)接するものの、女性を信用していない。

次は、モース警部。彼もまた中年独身。時間があれば、クロスワードパズルを解いている。リヒャルト・ワーグナーを愛し、オペラファンと、教養あふれる知的な男性。とはいえ、酒と女を愛する。

でも、21世紀、探偵の本場イギリスだけでなく世界をとりこにした探偵は、デンマーク女性サラ・ルンド。北欧の手編みのセーターに、パンツ姿で働く刑事だ。

犯罪捜査部の辣腕刑事サラ・ルンドは、再婚を控え、スウェーデンに移住するため、職場を去る。その日に殺人事件に遭遇。

口数は少なく、世間が女性に求める笑顔や配慮がない。仕事に没頭するあまり、一人息子のマークにはいつもさびしい思いをさせているように、描かれている。マークは、ワ―クホリックの母サラ・ルンドに愛想をつかして、学校もさぼりがちだ。それを心配して批判的な実母が出てくる。ここのところは、日本と似ている。禁煙ガムを愛用。

主演のソフィー・グローベールが愛用するセーターはフェロー島で作られている。あのセーター、主演サラ・ルンド刑事の爆発的人気とともに、人気急上昇。生産が追いつかなくなったとか。

シーズン3は、ノルウェーのスタヴァンゲルが撮影現場。ノルウェー紙が大きく報道している。スタヴァンゲル空港、刑務所、漁場・・・がどのようにTVに出てくるのだろう。

ちなみに、ノルウェー語のタイトルは「犯罪 Forbrytelsen」という。
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by bekokuma321 | 2013-01-14 20:10 | 北欧

羽後町のYes, we can!

c0166264_19221927.jpgHow are you? My name is Mariko. What’s your name?
英語であいさつした。

I am fine, thank you. My name is --.
こう英語で返ってきた。

「羽後のうさん」を訪問して何人かの利用者とおしゃべりした時のことだ。
高校教員の長かった私は、若い子を見るとついセンセイになってしまう。

利用者たちの英語を聞いて、職員が、「すごい、みんな、英語で話してる」と驚いた。
隠れていた英語力が外に出たらしい。とくに写真の女の子は元気いっぱい
だった。

その「羽後のうさん」のみなさんが作った、冬野菜「ふくたち」が届いた。今が
旬らしい。

「ふくたち」――何とも耳に心地よいネーミングだ。福がたくさんというふうにも、
福が立っているともとれる。ゆがいて、柚子ポンで食べた。おいしかった。

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ふくたちは、白菜を真冬に「とう立ち」させた菜っ葉のことだという。
「とう立ち」? こちらは、HPを見るとこうある。

「秋に収穫する白菜をそのまま畑に残しておくと、やがて雪に埋もれて
しまいますが、雪の下で種を残そうと葉の中に芯(花芽)を作り、茎を伸
ばします。この状態をとう立ちというのだそうです。〝とう〟には栄養が
ぎゅーっと凝縮されて蓄えられ栄養満点。県南部では食糧が乏しくなる
この時期、先人の知恵として、昔からとうを食べてきたのだそうです。
県内でも屈指の豪雪地帯ならではの食文化です」

「羽後のうさん」は、障がい者自立支援法に基づいてつくられた、就労
支援のためのセンター。秋田県羽後町にある。

ここは、雇用主と契約を結んだりしないで、利用者が比較的自由に働ける
“非雇用型”なのだという。

「ふくたち」のほか、自慢の野菜は「しいたけ」。大野勝比古さんの指導する
しいたけは、肉厚で、ほれぼれするほどカッコいい。

農作業を通して自立への一歩を踏み出そうというみんなも、カッコいい。

Yes, we can!

(写真上:パンフ「羽後のうさん」より大野勝比古さんの許可を得て接写。下は筆者撮影)

●「羽後のうさん」のふくたちやしいたけを食べてみたいかたは
〒012-1100 秋田県雄勝郡羽後町字稲荷19-3 
TEL 0183-55-8066
(障がい者福祉施設)


■幻の冬野菜ーふくたち
http://www.ja-ugo.jp/sub_nou/fukutachi.html
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by bekokuma321 | 2013-01-12 19:45 | 秋田

c0166264_1832269.jpg敬愛するベアテ・シロタ・ゴードンさんが亡くなった。心からお悔やみ申し上げる。

昨年、元最高裁判事泉徳治さんの講演を聞きに行った。彼は、憲法に言及した。私は、主催した「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」機関誌に、その講演の感想を寄稿し、ベアテ・シロタ・ゴードンさんについて触れた。

いま、ベアテ・シロタ・ゴードンさんに出会った20年ほど前を思い出しながら、彼女の信念だった女性の権利獲得のため、これから私に何ができるだろうか、と考えている。「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」機関誌から、ベアテさんについての拙文を抜粋・引用する。


■(泉徳治さんの講演は)期待にたがわず充実した内容だった。時にはホワイトボードに図を描きながら、時には親しみやすい個人名をあげて、わかりやすく説いた。

まず明治民法に「婚外子は、婚内子の半分しか相続分がない」と書かれていると言った。つまり、相続差別の撤廃を求める運動は、114年間にわたる積年の差別に対して異議をとなえてきたことになる、というのだ。

第二次大戦後、新しい憲法ができた。その14条には、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」によって差別してはならないとある。24条には、婚姻における両性の平等を保障すると書かれている。この平等条項を書いた人は、当時22歳のベアテ・シロタ・ゴードンであると泉さんは言った。GHQ憲法草案制定会議のただ一人の女性だ。

ベアテさんは、1993年以来、全国各地で講演をしている。著著や映画も数多く、泉さんも言うように、憲法に関心のある人なら知らない人はいない。それがあってか、泉さんはあまり詳しく話さなかったので、少しつけ加えたい。

実は、憲法草案を書いたのは自分であることを彼女が初めて公に話したのは、1993年5月4日のこと。

その数カ月前、アメリカの大学にいた友人の横田啓子さんからのファックスで、ベアテさんと私の交流が始まった。

ベアテさんの来日を知った私は周囲に話を持ちかけ、講演会を企画した。主催はベアテ・シロタ来日記念講演実行委員会、連絡先は私の事務所にした。当時、ベアテさんのことを知る人はほとんどおらず、協力者を募るのは大変だった。

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講演会は大成功。小さな会場は満員だった。彼女は、流暢な日本語で、「24条は一般的な規定ですが、私は、もっと具体的な社会福祉的条文を書いたのです」と、驚くべき事実を話してくれた。彼女が書いた草案の一つは、こうだった。

「国家は、妊婦および育児にかかわる母親を、既婚、未婚を問わず保護し、必要な公的補助を与える義務を負う。非嫡出子は法的な差別を受けず、身体的、知的、社会的環境において、嫡出子と同じ権利と機会を与えられる」

ベアテ草案は、GHQから、「具体的なことは民法で。憲法は一般的なものに」と削除されてしまう。ベアテさんは、「民法を書くのは日本の男性ですから、もうダメ」と、泣きくずれたという。

一般的な平等条項は残ったものの、それすら日本側は削除してきた。

最終的に開かれた日米会議で、米側代表は、通訳をしていたベアテさんを起草者であると紹介した。そして「女性の権利に命をかけている、この女性を悲しませるつもりですか」と懇願した。日本側は譲歩し、14条と24条は復活した。

(以上、「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」機関誌192号より抜粋。同会についてはhttp://www.grn.janis.or.jp/~shogokun/

写真は、日本で初めて講演をするベアテ・シロタ・ゴードン(左)。司会は三井マリ子(右)。1993年5月4日、東京・飯田橋にて。
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by bekokuma321 | 2013-01-11 18:51 | その他