c0166264_125026.jpg強姦事件をきっかけに、オスロでデモが行われ、「安全な夜をとりもどせ:不安を行動に」と訴えた。 

10月29日夜9時、オスロ中央駅に集まった約300人は、カールヨハン通りから王宮公園をトーチを手にねりあるいた。

ノルウェーの特徴は、大勢の女性たちといっしょに男性たち、それも議員たちが参加したことだ。NRKによると、国会副議長でもある左派社会党のAkhtar Chaudry、自由党のオスロ市議Ola Elvestuen、進歩党のChristian Tybring-Gjedde の姿が写っている。

主催団体のひとつオッターは、「強姦事件が起きたからと、おじけづいて、夜、家に閉じこもることはできない。強姦は男性問題であり、男性は責任をとるべきだ。息子、兄弟、同僚とこの問題を話しあってほしい」とネットで呼びかけた。

70年代にアメリカで始まったTake Back the Night!(夜を取りもどせ)のスローガンが、21世紀のノルウェーで息を吹き返した。


■Fakkeltog mot overfallsvoldtekter
http://www.nrk.no/nyheter/norge/1.7855028(デモの写真が満載)
■Kvinnegruppa Ottar
http://kvinnegruppa-ottar.no/no/
■ノルウェーの強姦対策http://frihet.exblog.jp/17032223/
■Take Back the Night
http://www.takebackthenight.org/history.html
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by bekokuma321 | 2011-10-31 23:53 | ノルウェー

10月30日、広島県廿日市市長選挙が行われた。無所属の井上さちこ議員が、自民、公明、連合の推薦を受けた現職に果敢に挑んだ。しかし、残念ながら122年間の男性首長の歴史を変えることはできなかった。

c0166264_17163787.jpg広島瀬戸内新聞ニュースのさとうしゅういち主幹は、結果をこう見る

「投票率はわずか36%。雨が響きました。現職の眞野市長も全体の2割しか得票はしていない。とにかく、関心が低かった。選挙があることすら、知らない市民も多かった。市議選と勘違いしている人も多かった」

投票結果速報

区分       男       女        計
投票者数  16,324人  18,300人  34,624人
投票率    36.45%  36.41%    36.43%


開票速報
候補者別得票数 開票率 100.00%

候補者氏名 得票数
1 しんの勝弘 21,814
2 井上 さちこ 12,163

■広島県廿日市市市長選、男女の一騎打ち
http://frihet.exblog.jp/16955990/

写真:廿日市市のスーパーマーケット前で政策を訴える井上さちこ市議(撮影:三井マリ子)
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by bekokuma321 | 2011-10-31 03:38 | その他

ノルウェーの強姦対策

ノルウェーのメディアは、オスロでの強姦事件を機に強姦対策を特集している。

アフテンポステン紙は、「48人の強姦容疑者のうち45人が外国出身」というショッキングな見出しでオスロの今年の強姦事件を報じた。ノルウェー国営放送NRKは、ソマリア移民のKadra Yusuf(女性)に次のように言わせた。

「夜遅く帰宅するときは、黒い肌の男性に用心するようにします。私の父や兄弟も黒い肌ですので、自分がこう言わなければならないのは、本当に、本当に、つらいです。ノルウェーに移住してくる人たちの国々では、女性は二級市民とみなされています。強姦は支配を示すためのひとつであり、女性は無権利、所有物なのです」

オスロの移民センターはノルウェーにおける強姦は犯罪であることの情報を流す予定だ。実際、2008年、2009年、強姦件数が全国一だったスタバンゲルでは、強姦防止キャンペーンや街灯を明るくするなどの対策により、昨年はゼロとなった。

ノルウェー在住19年になる移民男性Ahmed Bozgilは、そのスタバンゲルの移民センターの専務理事として働く。彼はこう語る。

「夜の社交的な雰囲気の中、笑ったり、楽しげな会話のあと、そうした状況になるとその気を起してしまう人が中にはいます。われわれは、社会的ルールや行動規範を知らせる努力をしてきました。その結果、つきあいかたがうまくなっていきました」

さらにNRKは、前よりも強姦件数が減っているデンマークの警察の対策を紹介し、ノルウェー警察の強姦対策の生ぬるさを指摘する。

ノルウェーは、移民ノルウェー人がノルウェー社会に融合できるような社会をめざす。一方、性暴力撲滅もまた、政治の優先課題だ。2つの困難な課題に立ち向かっていく具体策を追っていきたい。

■Prøver å unngå mørkhudede menn på vei hjem fra byen
http://www.nrk.no/nyheter/norge/1.7854754
■Lågare mørketal og færre valdtekter i Danmark:
– Tek kvinnene på alvorhttp://www.nrk.no/nyheter/verden/1.7853528
■45 av 48 voldtektsmistenkte av utenlandsk opprinnelse
http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/45-av-48-voldtektsmistenkte-av-utenlandsk-opprinnelse--6681203.html?xtor=RSS-2
■DVの根絶は政府の責務
http://pandorafilms.wordpress.com/dvd/papa/mitsui/
■未来への提言「世界一囚人の少ない国からの報告」
http://frihet.exblog.jp/12497535/
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by bekokuma321 | 2011-10-30 02:33 | ノルウェー

c0166264_23584772.jpgノルウェーの子ども・平等・社会相が本を出した。『自由、平等、そしてパパ』(仮訳)。

彼の名は、アウドゥン・リースバッケン。男女平等をすすめる国の男女平等の旗振り役だ。左派社会党のエースでもある。4か月間、育児休業をとって子育てに専念した自らの経験をもとに書いた。

フルタイムの親業体験をもとに、彼は「女性の賃金や地位の向上をすすめる男女平等政策は、男性がもっと子どもや人の世話にかかわる政策と車の両輪である」と確信したという(ノルウェー紙)。

本のタイトルは、『自由、平等、兄弟愛 Liberté, égalité, fraternité』というフランス革命のスローガンを、もじったものだ。兄弟愛 fraternitéが、父親らしさfarskapに言い換えられている。

さらに彼は、来年から育児休業を男女に共通に12週間ずつとし、残りの20週間は2人で分ける法案を出すという。「パパ・ママ・クオータ」とひとまず訳してみよう。「男女平等は三位一体で」と語っている。

ノルウェーは、今夏、パパ・クオータを12週間に延長し、国内外を驚かせたが、今度の「パパ・ママ・クオータ」も仰天ものだ。反論も多い。しかし、ひとりでも多くの人が社会と家庭で平等にすごせるようにと、改革のたずなをゆるめない姿勢に頭が下がる。

アウドゥン・リースバッケンのサンボーはSiv Mjaaland 。シ―ヴは前夫(前サンボー)との間に息子レオン君(10歳)がおり、リースバッケンは娘オーロラが生まれる前に父親(義父)であったという。

■Mer likestilling med tredeling
http://sv.no/Forside/Siste-nytt/Nyhetsarkiv/Mer-likestilling-med-tredeling
■Slik blir den nye foreldrepermisjonen
http://www.dagbladet.no/2011/10/25/nyheter/audun_lysbakken/politikk/innenriks/likestilling/18750746/
■Lysbakken har gjort et mageplask
http://www.nrk.no/nyheter/norge/1.7400059
■Blir pappa i juni
http://www.ba.no/nyheter/article4779039.ece

■パパにもっと時間ができた!
http://frihet.exblog.jp/16443970/
■ノルウェー:パパ・クオータ12週間に
http://frihet.exblog.jp/15236278/
■ほらね、パパ・クオータはうまくいった!
http://frihet.exblog.jp/13531113/
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by bekokuma321 | 2011-10-28 23:59 | ノルウェー

ノルウェー国会の労働党ホールで、議員マリット・ニーバック国会議員(写真)から、ノルウェーの男女平等推進策を聞いた(注)。10月19日の午後だった。

マリット・ニーバックは、オスロ選出の国会議員を25年間も続けるベテラン労働党員。今年のノーベル平和賞の女性3人を候補に推薦した1人でもある。

c0166264_434352.jpg「ノルウェーに女性として生まれて、なんて幸運なのだろう!」と、彼女は満面の笑みを浮かべた。

「ノルウェーの女性政策の賜物です。その政策は、今やイラン、サウジアラビア、アフガニスタンなど海外の女性たちの地位向上政策に応用されています。女性の地位向上は、男性も得になることなのです。国の発展には男女平等は欠かせません。だから開発途上国への財政支援も、男女平等の視点で精査し、支援するようにしています」

「しかし」と彼女は厳しい表情をした。

「私たちはこれで満足はしていません、さらに世界中が男女平等になるようにまい進したい。国内でもまだ男女賃金が同一になっていません。また娘たち若い世代は男女平等を当然だと思っていることが心配です。なぜなら、簡単に逆戻りする危険性――バックラッシュ――があるからです」

マリット・ニーバックが初めて国会議員になった時、子どもは2歳と4歳だった。有給の育児休業はわずか3カ月しかなかった。た。当時、子どもたちを保育園に迎えに行くのは彼女の夫の役目だったし、夫の協力なしに一日も立ち行かなかったと振り返った。

ノルウェーでは現在、子どもを持つ母親の87%が働いている。育休は1年間に延長され、パパ・クオータは、12週間になった。こうした保育政策の充実など福祉政策は、政治がつくりあげてきたと、彼女は強調した。そうした政治をつくってきたのは女性政治家たちだと、さらに力をこめて語った。

「ノルウェーが男女平等になったのは、第一に、60年代、70年代に女性解放運動を担った女性たちが政界にはいっていったこと、第二に、戦後、社会民主主義にもとづいた福祉国家建設にまい進してきたことにあります」

女性解放運動の例として、1971年、「女のクーデター」と呼ばれる女性たちの選挙運動をあげた。これは、候補者リストの男性の名を消して女性を当選させるようとした地方議会選挙での運動。その結果、女性議員は爆発的に増え、オスロ市など3市で、女性議員の数が男性議員の数を上回った(詳しくは、『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』(毎日新聞社))。

c0166264_4452161.jpgまた、「女はできる!」と呼ばれる労働党内での女性解放運動といえる運動を紹介した。

「女はできる!」は、スピーチ、対話、討論のテクニックを身につけるための女性向けの労働党内研修である。その教則本はいまや50カ国語に翻訳されている。「女はできる!」は、外務省がおすみつきを与えたノルウェー産の誇らしい輸出品であり、女性の政界進出にとって、「革命的ともいえる最も重要なキャンペーンだった」と力説した。

50カ国語のひとつ日本語版の「女はできる!」は、2004年、『女たちのパワーブック』(かもがわブックレット)として発行されている(写真)。

こうして、1986年のグロ・ハーレム首相の“女の内閣”以来、政権交代があっても女性閣僚は40%を下回らない国となった。

ノルウェーの男女平等への歩みは、25年間国会でがんばってきた彼女の歩みそのものだ。貴重な時間を割いての、熱のこもったスピーチに心から感謝申し上げる。

【注】栃木県の女性たちによる企画で行った「ノルウェー女性の生き方を探る旅」(梅澤啓子団長)。企画にはノルウェー王国大使館の協力を受けた。以下2点は、関連記事。
■北欧福祉社会は地方自治体がつくる http://frihet.exblog.jp/17001329/
■NRKとNHK(報道の平等推進) http://frihet.exblog.jp/17018798/
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by bekokuma321 | 2011-10-27 23:48 | ノルウェー

「男の友情、女性警察官を排除」。この大見出しの下に沈んだ表情の女性警察官の写真。ノルウェー国営放送NRK10月25日のトップニュースだ(インターネット)。

その女性は、ノルウェー・トロンハイムの警察署長。「どのように警察幹部が登用されるか」について、めずらしい研究論文を発表した。彼女によれば、男性同士の知り合いの輪から登用されることが多く、その結果、意欲や才能あふれる女性警察官がはじかれるのだという。

NRKは、「警察幹部の30%は女性にという目標にもかかわらず実際20%にすぎない」と、男性同士の友情に警告を発する。

日本は警察幹部どころか、あらゆる管理・決定の場が圧倒的に男性だ。この歪んだ現実がニュースになることは、日本のメディアではほぼありえない。なぜ、こうも違うのか?

c0166264_16485946.jpg

■NRK「ダイバーシティ委員会

先日、オスロのNRKで聞いた話に、回答のヒントがあるようだ(注)。

NRKには「ダイバーシティ委員会」という組織がある。過去の「男女平等委員会」が発展的解消されてできた。ダイバーシティとは多様性という意味で、ここでは社会的弱者の平等推進を表す。人事部トップのヘッゲ・グローバ(写真の最左)は、この委員会のトップを兼ねる。彼女は、まず数字を示した。

「NRKは文化省の管轄にあります。現文化相のアンニケン・ヴィットフェルトは男女平等に熱心です。NRKの最高幹部である理事会役員は6人です。そのうち3人は女性です。役員の半数3人は職員組合から委嘱されますが、うち1人は女性です。3600人の全職員のうち45%が女性です。しかし最高幹部レベル1,2,3に女性は30%しかいません。そのうち編集部門、管理部門の幹部はすでに40%以上が女性です。ニュース部門は52%が女性になりました」

c0166264_176946.jpg「しかし、NRKのトップは理事会が選びますが、ずっと男性で、女性がなったことはありません。近いうち、その日が来ると楽しみにしています。私たちは、女性職員の占める割合が絶対減らないよう、常に注意を払い、監視をしています。私は人事部門のトップですが、常に数字を頭に入れて採用・登用をします。さらに年1回、ダイバーシティに関する『報告書』を作成し、全NRKに注意を促します」

■紛争地域の特派員に女性を
NRKと相等しい日本のNHKを管轄する総務相は男性。NHK理事会は、会長以下12人全員男性だ。女性がいないだけでなく、職員組合代表もいない。男女平等委員会やダイバーシティを推進する特別な委員会もない(2011年10月26日現在)。

NRKで、分刻みのスケジュールの中、時間を割いてくれたのはTVニュース部門トップのソールベイ・トヴェット。

「私はすべてのニュース制作に目を通します。夜7時の44分間のニュースがハイライトです。男女で、が鉄則です。このごろは、経験豊かな女性アンカーと、若い男性アンカーのペアが多くなりました。また特派員にも女性を増やす努力をしています」

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目の前のスクリーンにブラッセル発の報道ニュースが映った。
「これは2011年3月21日のネットTVです。彼女は、リビア軍事情勢を報道している最中です。このように男性が多かった紛争地域の報道も女性が担うようになりました」

■“恐ろしいテロ担当記者”であり“優しいママ”
次に犯罪専門ジャーナリストとしては初の女性、アンネマッテ・モーラン(一番上の写真の右から2人目)が説明に立った。37歳。小さな子どもを保育園に預けて、テロ現場に出向く。

「以前はおもしろくない部門にいました。犯罪部門はとても心が躍ります。犯罪を通して社会が見えてくるのです。非常にエキサイティングです。7月のテロ事件も担当しました。捜査担当官、警察官、法律家・・・まだ男性が多い分野に切り込む仕事です。“恐ろしいテロ担当記者”と“優しいママ”という2役をこなしています」

c0166264_16574413.jpg時々刻々と変わるニュース報道の部屋を見学した。仕事の合間に現れたのは、子育て中のラジオ記者イ―ダ・クリ―ド(右)。

「子どもの保育園は8時半から16時までです。今日、私は18時まで働かなければなりませんので、夫が子どもを迎えに行きます」。

■母親の時代とまったく違う
c0166264_172164.jpg女性ジャーナリストのモデルと仰がれるアネット・グロス(左)が、かけつけた。英国や米国の特派員を歴任したベテラン記者だ。日本女性を励ますかのように、こう語った。

「私の母親の生き方と私の生き方は、まったく異なります。母親の時代は、女性がこんなふうに世界にまたをかけて働くことはできませんでした。女性たちは、60年代、70年代に女性たちが運動をし、変革をしていったのです」

日本の報道界に、女性幹部を増やすには何年もかかるに違いない。女性記者たちの運動があっても、進まないのかもしれない。せめてNHKに、「ダイバーシティ委員会」というような組織をつくれないものだろうか。


●Police Women stopped by camaraderie
http://nrk.no/nyheter/distrikt/nrk_trondelag/1.7847697
●Norwegian Broadcasting Corporation: Statement of Commitments
http://www.regjeringen.no/upload/KKD/NRK-plakaten-engelsk.pdf
●NRKs styre
http://www.nrk.no/informasjon/organisasjonen/1.2897388
●NHK理事http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/yakuin/index.html
■日本の社会に占める女性(日本放協会、日本新聞協会とも女性役員ゼロ)
http://www.gender.go.jp/research/pdf/reference_indicator.pdf

【注】栃木県の女性たちによる企画で行った「ノルウェー女性の生き方を探る旅」(梅澤啓子団長)。企画にはノルウェー王国大使館の協力、NRKダイバーシティ委員会との面談にはNRKトロムス・フィンマルクのベンテ・シェルヴァンから格別なる協力を得た。厚く御礼を申し上げる。
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by bekokuma321 | 2011-10-26 16:35 | ノルウェー

c0166264_12716100.jpg国連食糧農業機関FAOは、今年の模範農業者賞に、福島の安西さと子さんを選んだ。日本人として初めて。

有機農法でべリー、桃、リンゴを栽培して食の安全を進めてきたことや、女性農業者の組織化に強くコミットしてきた業績も評価されたという。原発汚染で苦しむ福島県の農家にとっても励みになるに違いない。

日本女性のがんばりは、決定の場を男性が握る日本でよりも、決定の場に女性が多い国際機関で評価される。

おめでとう、安西さん! 後に続こう、日本中の女性農業者!

http://www.fao.org/world/regional/rap/home/news/detail/en/?news_uid=93070
http://mdn.mainichi.jp/mdnnews/news/20111017p2g00m0dm102000c.html
http://www3.nhk.or.jp/daily/english/17_24.html

写真はFAOのHPより転載。
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by bekokuma321 | 2011-10-25 01:17 | アジア・アフリカ

ノルウェーは、小さな子どもを持つお母さんの9割が外で働いています。でも、1960年代までは9割が家にいる専業主婦でした。なぜ、こうした変化が起こったのでしょう?

一方、働きたいのに働けない、子どもを預ける場所がない、子どもがほしくても働き続けるためにはがまんする・・・日本の女たち、そんな女たちを支える男たち。ワーキングマザー天国ノルウェーから解決のヒントを探りませんか。10月29日(土)越谷市。

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詳しくはhttp://www.norway.or.jp/news_events/policy_soc/equality/Hot-Koshigaya-Lecture-quotGender-Equality-in-Norwayquot/
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by bekokuma321 | 2011-10-24 20:12 | ノルウェー

「感激のあまり、腰が抜けて立ち上がれません」

中島セイ子(62歳)は、ノルウェーのオーモット市議会で大きなため息をついた。中島は、冷蔵庫部品を生産する日立子会社の代表だ。110人以上が働く。ほとんどが女性だ。女性労働者の働く条件をよくするにはどうしたらいいのか。解決への道を探して悩んできたという。

c0166264_2222355.jpg中島ら19人の女性たちは(ほとんどが栃木県民)、10月17日から5日間、ノルウェーの男女平等視察に訪れた。オーモット市訪問はその最後のプログラムだった(注①)

保育園、小学校、学童保育などを見学した。その後、市庁舎・市議会に隣接する、文化センター、そして障害者・高齢者ケアセンター「リシュリングモーン」に足を移した。

そこは誰もが驚くほど近代的で上質なつくりだった。カーテンや、テーブルセッティング、窓ぎわの植木鉢の花・・・芸術的ともいえるカラーコーディネイション。そのエレガントなインテリアに日本からきた女性たちは、息をのんだ。「なんで臭いがないのかしら。消臭剤の匂いもない」と、見学しながらつぶやいている人がいた。中島セイ子は、言った。「5000人に満たない自治体で、こんなにも充実した福祉があるなんて!」(注②)

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働く人も、自信に満ちあふれる表情で、楽しそうに仕事をこなしていた。

しかし、その後に見た市議会はやや見劣りがした。議会は閉会中だった。その議場で、先月までオーモット市長を務めたオーレ・グスタフ・ナルッドから、地方自治体の民主主義を聞いた。

前市長のナルッドは、議場を案内しながら日本から来た女たちに言った。「見ての通り、少々みすぼらしいといえます。市議会議場のテーブルや椅子をもう少し近代的にすべきだという議論もありました。しかし、その予算があるなら、介護センターや、保育園、学童保育に予算を回したいという市民の声があり、それが優先されています」

「北欧福祉国家、という語がありますが、正確には“北欧福祉地方自治体”なのです」とまとめた。

続けて、「政治家の汚職やわいろなどは法律で厳しく禁じられています。議員の特権はないのです。具体的には議員の口利きで、子どもを優先的に保育園に入れる方法があるとか、知り合いを正当な順番を飛び越して入院させるとか、そのようなことはノルウェーではありえないことです」

栃木県小山市から参加した青木美智子市議は「年間予算のうち、市が自由に使える予算は、いくらぐらいか」と尋ねた。オーレ・グスタフ・ナルッドはこたえた。

「地方自治体は、法律で明らかに他の公的機関に権限がある場合ーー警察行政は国ですーーいかなる領域においても条例や決定をくだすことができます。地方自治体は独立した機関であり、基本的に自由に使えるのです」(注③)

c0166264_21373685.jpg市長席から、ナルッドはこう付け加えた。前回の市議会まで彼が座っていた席だ。9月の選挙で、彼の属する中央党は最も多くの票をとったものの、連立を組めず市長を労働党に譲り渡した。1票差だった。(注④)

「地方自治体予算の多くは国からの予算です。保育園、小学校、中学校、高齢者施設など、どの自治体も整えなければならない最低限のサービスがあります。ここは4000人余りの人口ですから、小学校1 校で済ますことは可能ですし、違法とはいえません。しかし広域ですので、小さな子どもが長距離を通学することはよくないので、3校を作っています。教職員も減らせるかもしれませんが、子どもたちにとってよくありません。こうしたレベルの高いサービスを市民が望み、その声を反映した議会構成になっている。それがこうした政治が遂行できる理由です」

琴の教師・山形充は、通訳を聞いた後にため息をつき、こう言った。「すばらしいスピーチです。ぜひ来日して国会で日本の国会議員に対して今の話をしてほしい」

オーレ・グスタフ・ナルッドは、日本の女性たちに向かって静かに話した。

「社会を変えるのはその国の市民です。とくに女性です。他国の例からも、女性が政治にもっと進出して初めて改革が可能となると私は思います。みなさん、がんばってください」(注⑤)

c0166264_21454228.jpg

【注①】オーモット市のプログラム:オーモット教会 → 前市長私邸 → 保育園 → 小学校 → 学童保育 → 大学 → 文化センター → 高齢者ケアセンター → 特別養護老人ホーム → デ―センター → リハビリセンター →市議会 (市の年間予算2億5000万クローネ、人口4300人、働く人2000余人、公務員400人、軍関係公務員400人)。同市の福祉行政や選挙運動などは『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』(毎日新聞社)に詳しい。

【注②】 「リシュリングモーン」は、オーモット市のナーシングホームであり、総合ケアセンターである。市庁舎、文化センター、サービス付きアパートと隣接する。身体的機能が低下し障がいを持つ人々を世話する。高齢者ばかりではなく身体障害者が利用できる。1階には、セラピー用温水プール、言語療法、作業療法などのリハビリセンター、利用者用クリーニング室、調理室、食堂(30人)、配食サービス(40人)など。2、3階は長期療養用の35室(3室は2人用、他は個室。全室バス・トイレ付)。人生最後の引っ越し先となる人の場合、家具調度品を持参する。日本のナーシングホームの匂いは「おむつが定時交換」だからだ。ノルウェーの場合、できるだけ自分でトイレを使うようにしていることと、たとえおむつをしている人がいても「変えてください」と意志表示をする人が多いことと、排泄したらすぐ対応できる職員数の充実がある。独特の臭いがないのは当たり前だ。

【注③】ノルウェー地方自治法

【注④】ノルウェーの地方議会は、オスロなどいくつかの例外を除き、「フォルマンスカープformannskap」制である。選挙後、当選した議員の中から比例代表制で、フォルマンスカープ(参事会と訳す場合もある)を選ぶ。フォルマンスカープは、予算案をはじめ議案を出す。実質的に、ここが自治体の最大の権限を持つ。つまり、フォルマンスカープは、議会に議員を出した政党のリーダー(リストのトップの候補者であることがほとんど)で構成される。このフォルマンスカープの議長が議会議長を兼ね、市長となる。

【注⑤】オーモット市は人口4000余りの農林業中心の自治体。1996年、女性議員53.5%で、全国一となった。2011年9月に行われた選挙結果は正式にはまだだが、「女性議員は、おそらく50%ぐらいでしょう」(モーナ市議)。

写真上:「リシュリングモーン」の玄関ホールで説明するオーレ・グルタフ・ナルッド前市長。彼は10月から国立へードマルク大学準教授(経済学)。彼の来日講演録などは、『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)p203-215。

写真中:2階にある特別養護老人ホーム利用者のための食堂。ナースセンターが左にあり、職員がそれとなく注意をはらっていた。通って利用する人の食堂は1階に別にある。2枚目は、上品な紫色でコーディネイトされた居室

写真下:オーモット市文化センターのホールで、前市長(前列左から2人目の白髪の男性)と現市長を囲む、栃木の「ノルウェー女性の生き方を探る旅」の面々(前列右が梅澤啓子団長)

写真最下:オーモット市の中心街レーナ駅前。オーモット教会、かつての消防署が並ぶ。後方には、広大な森が広がる。「ノルウェー女性の生き方を探る旅」のオーモット到着の2日前、皇太子夫妻がここで小学生たちとマウンテンバイク競技に参加した。オーモット教会前を走る、メッテ・マーリット皇太子妃の写真が地元紙に載っていた(右下はその縮小コピー)c0166264_12143611.jpg

(同視察団は、オーモット市での地方民主主義の研修の前に、オスロ市で国レベルの視察をした。主な視察先は、ノルウェー国営放送、子ども・平等・社会省、オスロ大学保育園、オスロ市議会労働党、国会労働党など)
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by bekokuma321 | 2011-10-22 01:51 | ノルウェー

ノーベル賞は男尊女卑

今年のノーベル平和賞は、女性3人と報道された。決定したのはノルウェーの選考委員会だ。ノーベル平和賞初の快挙だった。

この背景には国連決議1325号の存在と、クオータ制によって男女ほぼ半々ずつの委員で構成される委員会の存在がある、と私は書いた(10月7日FEM-NEWS )。

とはいえ、1901年から始まったノーベル賞110年の歴史を見ると、著しく男性偏重であることがわかる。ノーベル平和賞はまだ女性がちらほらいるものの、平和賞以外の受賞者は、今年も男性で占められたように、女性軽視が続いている。

アメリカの女性運動団体フェミニスト・マジョリティは、「女性がノーベル平和賞に選ばれたのは、この7年間で初めてのことです」と、平和賞ですら男性偏重であることを批判する。“男尊女尊”の国ノルウェーが決める平和賞でさえ、女性は7年に1度程度なのである。

同じく、ノーベル賞全体における女性受賞者の少なさを「男尊女卑」と指摘するのは伊東乾だ。とくに、マリー・キュリー受賞以来100年目となる今年は、女性科学者が化学賞・物理賞を受賞するだろうと言われていたのに、開けてみれば全員男性だったという。伊東は、ノーベル賞の男尊女卑を示す例として「ロザリンド・フランクリンやリーゼ・マイトナー、呉健雄」の3人の女性をあげる。中でも呉健雄の話はおもしろい。

http://frihet.exblog.jp/16944901/
http://www.feminist.org/news/newsbyte/uswirestory.asp?id=13267
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/25674
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by bekokuma321 | 2011-10-15 11:15 | ノルウェー