オバマ大統領候補が副大統領候補に選んだ人は、ジョゼフ・バイデン上院議員(65)。民主党の重鎮で外交問題に見識が高いといわれている。

ジョゼフ・バイデンといえば思い出す。

あれは、1991年秋。世界で初めてセクシャル・ハラスメントが政治の舞台で議論されたアメリカ上院の司法委員会。アニタ・ヒルが上司トーマス・クレアランスをセクシャル・ハラスメントで訴え、彼が最高裁判所裁判官に適するかどうかが問題になった事件だ。

ジョゼフ・バイデン議員は、いわゆる「セクハラ公聴会」の特別委員会委員長だった。友人が送ってくれたビデオで、全米生中継されたその一部始終を見ることができた。彼の激しい質問態度をよく覚えている。しかし、彼は女性解放運動に非常に関心が高く、女性団体から高い評価を受けている政治家だったが、この事件の過程で、セクシャルハラスメント被害についての理解は十分とはいえないという評価が女性たちから下った。

所変わって、当時、日本では「セクハラ? 僕もされてみたいよ」などと馬鹿にされるのがおちだった。その日本の現実のまっただ中にいた私は、彼の指揮した議会の司法委員会を、まるで別世界のように思えたことを記憶している。とりわけ、ジョゼフ・バイデン委員長の真正面からセクシャルハラスメントに向き合おうとした姿勢に(と私には見えた)、私は、いつになったら日本の男性がこのように真剣にセクハラに立ち向かうのだろうと憧憬にも近い目で見ていた。

この「セクハラ公聴会」で知ったアニタ・ヒルの勇気、彼女を全面的に支援したアメリカ女性議員たちに力を得、私は日本でのセクシャル・ハラスメント対策にさらに歩を進めることになった。

ジョゼフ・バイデンは、2世でも3世でもない労働者階級の出だ。最初の妻と娘を交通事故で亡くしている。その後、脳動脈瘤で危篤となり、2回の大手術の後、奇跡の回復をとげた。悲劇の人と言ってもいいくらいだ。並々ならぬ苦難を乗り越えてきた政治家だと思う。

http://www.nytimes.com/2008/08/24/us/politics/24biden.html?ex=1235448000&en=e617f278306bb573&ei=5087&excamp=NYT-E-I-NYT-E-AT-0827-L4&WT.mc_ev=click&WT.mc_id=NYT-E-I-NYT-E-AT-0827-L4
■上院の「セクハラ公聴会」(『桃色の権力―世界の女たちは政治を変える』、三省堂、1992)
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by bekokuma321 | 2008-08-28 08:46 | USA

初の女性大統領か、初の黒人大統領か。世界中をわかせた民主党大統領候補選挙。大接戦の末、敗れたヒラリー・クリントン上院議員が、8月26日、民主党大会で演説をした。

彼女は、オバマ候補への支持を訴え、アメリカの政治を民主党にとりもどそうと力強く訴えた。アメリカ女性の参政権の歴史から、子どもをかかえガンと闘う健康保険のないシングル・マザーの窮状まで、女性の視点で政治を見つめなおした。

「1848年、セネカ・ホールでの女性参政権を求める初の集会に、何日もかかって参加した人たちがいる。彼女/彼らは、それから72年間闘わねばならなかった。そして、88年前の今日この日、女性たちは参政権を勝ち取った」

「私の母は、女性参政権のないころに生まれた。しかし、私の娘は、母親を大統領に選ぶことができた」

などなど・・・。会場を総立ちにさせる力強い演説だった。ヒラリーなら女性初の大統領になれると応援してきた多くの女性たち、いや男性も、この日の力説を聞いてますます大統領にしたいと思ったことだろう。

北欧諸国は、アイスランド、フィンランドで大統領、ノルウェーで首相と、国のトップに女性をすでに選んできた。アメリカ国民が女性大統領を選ぶまでには、あと何年かかるのだろうか。そして、わが日本は・・・。

民主党大会は8月25日から28日までデンバーで開催中。

http://www.demconvention.com/hillary-rodham-clinton/
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/27/uselections2008.hillaryclinton
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by bekokuma321 | 2008-08-27 16:27 | USA

ノルウェーにはソマリアからの移民が多い。ソマリアは、国連などの調査で最貧国のひとつであり、紛争と飢餓に苦しんでいる。かたやノルウェーは世界で最も住みやすい国。そのソマリアからノルウェーに移住してきた人たちはみな、ノルウェーの手厚い社会福祉制度、男女平等制度に組み込まれることになる。とりわけ、女性たちが受ける恩恵は著しい。

ノルウェー紙「アフテンポステン」が、そうしたソマリア女性による本『私たちを見て!』がノルウェー社会に大きな波紋を投げかけていることを報道している。攻撃を避けるため匿名出版した彼女は、ノルウェーのソマリア移民とりわけ男性を批判し、さらにこうしたソマリア社会ができてしまった原因のひとつに、ノルウェー福祉制度の欠陥があるとしている。

「ソマリア人の家庭では女性への暴力は常態化しており、女性は孤立状している」「ソマリア男性は経済的社会的自立に向かおうとせず、福祉制度の受給主としてその支援金を麻薬などに使っている」などという厳しい描写が紹介されている。

一方、ノルウェー社会のソマリア人から、ソマリア移民は社会の最下層に位置づけられたまま、ノルウェー社会が受け入れようとしてくれないという実態について、別の報告も以前、出されている。

http://www.aftenposten.no/english/local/article2616711.ece

http://www.regjeringen.no/en/dep/ud/about_mfa/Other-political-staff/former-state-secretaries/state-secretary-for-international-develo/Speeches-and-articles/2007/somali_women.html?id=473176

http://jrs.oxfordjournals.org/cgi/rapidpdf/fej001v1.pdf
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by bekokuma321 | 2008-08-26 13:18 | ノルウェー

昨秋、来日したヨーナス=ガール・ストーレ・ノルウェー外務大臣は、いまや国内外のヒーロー。

その明晰なスピーチ、語学の堪能さ、素敵なマスク、そして家庭では子ども思いの育児・家事パパ。「どうして、こういう男性ができるのか」というほど絶賛する人もいる。

そのヨーナス=ガール・ストーレが今、頭を痛めていることーーーロシアとグルジア紛争の解決に向けての交渉と、もうひとつ次期国政選挙に自分が候補者リストのどこに登載されるかだ。

オスロ在住の彼が当選するには、オスロの労働党から出される候補者リストの上位に登載されなければならない。次期首相かなどと目されている彼のような政治家なら、上位登載は確実だと思うのが自然だ。ところが、ノルウェーではそうはいかない。

オスロ選出国会議員は6人。しかし、このところの労働党の支持率低下のため来期は4人しか当選できないという予測がもっぱらである。4人となると、彼には厳しい。なぜか? 彼が男性だからである。

オスロ労働党のリストは、まず現首相(男)が1番、そして、Marit Nybakk(女)が2番、そしてオスロ労働党党首のJan Boohler(男)が3番だとされている。さて、その次だ。彼が女性なら、4番目に登載される可能性が高い。しかし男性だからもっとも上位で5番目なのである。オスロの労働党は、この難問をどう解決するのだろうか?

ノルウェーには女性国会議員がとても多いが、それは主要政党の多くが、比例代表制の候補者リストを男女男女というように男女半々にする政策とっているからだ。ノルウェーの男女平等法には、物事を決める場には、両方の性が40%から60%いるべきだ、とするクオータ制が規定されているのだ。政党はこの法の遵守義務はないものの、政党のルールで同様のことが決められている。


参考
http://www.aftenposten.no/english/local/article2605352.ece
『男を消せ!』(毎日新聞社)(ノルウェーの選挙制度やクオータ制について)
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by bekokuma321 | 2008-08-23 11:42 | ノルウェー

BBCによると、胎児の性別が判定ようになり、インドでは、女性胎児の中絶が急増している。アーゴラに住むVaijantiは、女の子だとわかり中絶をせまる夫を法廷に提訴したという。インドでは、胎児の性別を判定して中絶することは法律で禁止されていても、女の子を中絶するための性別判定が止まない。

デリーの統計によると、男子出生1000人につき女子は821人だ。その背景には女性への高額のダウリー制度というインドの慣習があるとされている。

人間が女性という性に産まれたがために抹殺される。これこそ究極の女性差別ではないか。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/7570192.stm
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by bekokuma321 | 2008-08-20 02:24 | アジア・アフリカ

オリンピックの旗手

毎日、毎日オリンピックの報道だらけで、食傷気味です。その上、私の大好きな国ノルウェーは不振です。だいたいいつもそんなに強くないのですが、今回はとくに目立ちません。

唯一、心を動かされたのは、開会式のノルウェー旗手がアフリカ系女性だったことです。彼女の名はルース・カシリエRuth Kasirye。重量あげの選手で、ウガンダに生まれ、ノルウェーに移住して10年ほどだということです。

ノルウェーは国として多人種社会を目指し、移民女性の差別撤廃を推進していますが、それを象徴するかのようなニュースにとても心躍りました。

開会式がTV放映された夜、家にいたのですが、体調が悪く早く休んでいました。「ノルウェーの番で、女性の旗手だから起こそうと思ったけどやめた」と、家族が後で教えてくれました。それを聞いて「なんで起こしてくれなかったの」とぼやいた私でした。

さて、この北京オリンピックで、女性が旗手を務めた国は63国でした。えーと何パーセントでしょう。ちなみに、トリノ・オリンピックで女性が旗手を勤めたのは37カ国でした(46.3%)。

選手のほうは、11196人中、女性選手は4746人で42%と、もちろん史上最高の参加率です。

http://www.norwaypost.no/cgi-bin/norwaypost/imaker?id=181240
http://www.olympic.org/uk/organisation/missions/women/full_story_uk.asp?id=2742
http://www.olympic.org/uk/news/olympic_news/full_story_uk.asp?id=1708
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by bekokuma321 | 2008-08-16 16:18 | ノルウェー

進むパパ・クオータ

ノルウェーでは、子どもの育児のため、休暇をとる父親がさらに増えている。10人中6人までが6週間以上の育児休暇をとって、赤ちゃんと日夜ともにいることを選んでいる。1999年の2倍だという。

ちなみにノルウェーには、給料の80%をもらい、1年間、育児休業を取得できる法律がある。さらに、男性に育児に積極的に参加してもらう趣旨でつくられたパパ・クオータという制度もある。これは男親だけしかとれない。

女性が結婚しても出産しても、仕事をつづけられる社会には、こんなしかけがあるのだ。

参考
http://www.aftenposten.no/english/local/article2578162.ece
■パパ・クオータについては『ママは大臣パパ育児』(明石書店)に詳述されている
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by bekokuma321 | 2008-08-08 16:33 | ノルウェー

ノルウェーにはイスラムからの移民も多い。子どもの頃、北イラクからノルウェーに移住した二人の姉妹Nafeesah Badrkhan と Susan Badrkhanも、そうだ。

彼女たちは、成長し、イスラムの伝統にのっとって、数年前から頭部を覆う布(ヒジャブ)を使い始めた。ところが、ノルウェーでの暮らしにヒジャブはどうもしっくりこないという悩みを持ちはじめたという。

そこで、コスチュームとファッションデザインを専攻した二人は、自分たちでノルウェー式ヒジャブをデザイン。スカンジナビアに住むイスラム女性たちに需要が高いと踏み、商品化へと駒を進めた。まずはインターネット・ショッピングで販売する計画だという。

ノルウェー式ヒジャブをかぶったアフテンポステン紙の二人を見たら、1枚買いたくなってしまった。(写真が素敵!)
http://www.aftenposten.no/english/local/article2567441.ece

ノルウェーのイスラム女性については
http://www.antirasistisk-senter.no/english/news/hijab_debate_norway.html
http://kilden.forskningsradet.no/c18375/artikkel/vis.html?tid=18412
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by bekokuma321 | 2008-08-02 01:54 | ノルウェー