カテゴリ:ノルウェー( 552 )

c0166264_2251457.jpgノルウェーからの報道によると、ノルウェーのトロムスにある小学校フィンスネス・バーナスクーラでは、この夏休み明けから、女子がブルキニ(BURQINI)を水泳の時間に着てもいいことになった。

ブルキニとは、顔と手を足を除いて全身をすっぽり被う女性用の水着のことだ。ブルカとビキニをあわせた造語と思われる。

フィンスネス・バーナスクーラの校長エスペン・ヘイ先生は、こう発表した。

「娘たちに、ブルキニを着せたいと考えている親がいて、親たちが自身のお金でブルキニを買って着せても、かまいません。でも、他の生徒たちと一緒に水泳のクラスに参加しなければなりません」

c0166264_11102865.jpgノルウェーにはイスラム系移民が多い。私の記憶によると、水泳は必須科目なので、イスラム系の少女たちが水泳の時間を欠席することは、ずっと問題となっていた。

今回の報道によると、フィンスネス小学校の決断は、学校と家庭の話し合いによってもたらされた。6月には、話し合いに難民サービス代表と通訳も加わった。

報道には、ブルキニを着てプールのそばに座る少女の写真が掲載されている。そういえば、オリンピックなど世界的水泳大会には、イスラム系の女性は見ないような気がする。そのうち、ノルウェー出身のイスラム系女性スイマーが誕生するのではないだろうか。今回の小学校校長先生の柔軟性は、多文化共生社会に必要だと思う。

とはいうものの、ブルカは、そもそも女性は肌を他人に見せてはならないとするイスラーム女性抑圧の象徴でもある。男子には全く問題にならない女子のブルキニについては反論も多い。

Barneskole i Troms håper dette plagget vil gjøre at elevene deltar i svømmeundervisningen
ファティマ・メルニーシー亡くなる
イスラム教女性のブルカ禁止
ノルウェー警察官組合、ヒジャブに猛反発
イラク女性、ノルウェー式ヒジャブの商品化

【写真上:Webのフリー画像より。下:ノルウェーの夏祭りで、お手製のお菓子を売るベールの女性。実際、目元以外すべてすっぽりと覆われているので、男女の区別もつきにくい】
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by bekokuma321 | 2016-07-14 22:53 | ノルウェー

結婚と姓

ジューン・ブライドの言葉どおり、6月はヨーロッパでは結婚シーズンだ。ノルウェーもそうだ。

ノルウェー統計局が、結婚と姓について調査した。

女性の46%は、自分の姓をミドルネームにして、男性の姓を付け加えた。34%は、女性の前の姓から男性の姓にした。女性の20%は自分の姓を変えなかった。一方、男性の93%は、結婚しても姓を変えなかった。

報道によると女性が自分の姓を変える傾向が増えているという。その傾向に、こんな論争が起きている。

NRK(ノルウェー公共放送)のリブ・ネルヴィク(Live Nelvik) は、「この時代におかしいです」と驚きを隠さない。数年前結婚したばかりの彼女は、こう語る。

「私はリブ・ネルヴィクです。ですからリブ・ネルヴィクで通したい」

「私が私であることと名前は結びついています。名前はアイデンテティそのものです。ロマンチックな感情で名前を変えるのはばかばかしいです」

「友人からひどい話を聞きました。彼女は、結婚して、別の姓に変えた。でも離婚して、また元の姓に変えたのです。このような経験をしたら、誰でも、結婚したからといって姓を変えるべきではないと思うはずです。結婚が永遠に続くなんて、何の保証もないのです」

これに異論を持つ女性もいる。調査をしたノルウェー統計局のチューリッド・ノアックだ。

彼女は、「このごろは、60年代や70年代のように、姓の選択は男女平等の証であるという意味を持っていません。2人が同じ姓にすることは、それまでの同棲生活に区切りをつけて、一緒に新しい家族をつくったというシンボルにすぎません。それを最近の若い人は重要視しているのです」

実際、ノルウェーでは、カップルの30%が結婚せずに同棲している。20代では同棲のほうが多い。

日本は、まず、夫婦別姓を選べない。法律が夫婦同姓を強制している珍奇な国だ。女性が日本の議会にあまりにも少ないことをこれほど雄弁に物語る例はない(注)。

で、現実は? 日本女性の9割が男性の姓に変えている。リブ・ネルヴィク流にいえば、日本女性の9割が自分のアイデンテティを捨てている。

Bare bruden bytter navn
Navnebytte viser skifte fra samboerskap

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▲ノルウェーの結婚式

【注:ノルウェーは、1964年、個人氏名法が施行されて、女性は結婚後も元の氏を名乗れるようになり、子どもは父母どちらの苗字でもよくなった。1980年、個人氏名法が改正されて、出生後、半年以内に届け出がない子どもの苗字は母親の苗字となるとされた(明石書店『ノルウェーを変えた髭のノラ』p256~p257)】
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by bekokuma321 | 2016-07-02 01:14 | ノルウェー

頭に血がのぼった

c0166264_2033767.jpg三井マリ子さんの書いた『ノルウェーを変えた髭のノラ--男女平等社会はこうしてできた』(明石書店)を読み終えた。

ノルウェーがどういう歴史を経て男女平等社会となったかを、三井さんがノルウェーに直接足を運んで書いたものだ。

ノルウェーの、さすがの男女平等ぶりに驚いた。と同時に、そこに至るまでさまざまな闘いがあったことを知った。

今や日本でさえ話題になっている「クオータ制」。それを70年代に世界で初めて実行したノルウェー初の女性党首ベリット・オース(写真下)の苦闘ぶりに感動した。

ベリット・オースの著した「支配者が使う五つの手口」も、なるほどと思った。そして、この本の題になった男女同一賃金を求めて髭をつけてアピールする現代のノルウェー女性たち。

ノルウェーについての章の後に最終章として日本の男尊女卑ぶりが書かれている。それを読んで、あまりのひどさに頭に血がのぼった。

「女である、ということだけで、さげすまれる」というこの図式が日本の社会を覆っていることをあらためて知った。三井さんが体験したことの一部を挙げれば以下のようになる。

○職場のお茶くみは、女の仕事のひとつで当然のこととされていた
○学校の生徒名簿は、男女別で男が先にくるのが当たり前だった
○求人広告は男子優先で女性排除が普通にあった
○女性議員のいない男性だらけの日本の議会
○男尊女卑・女性差別主義者は、現在でもそれが心にこびりついている等々

c0166264_11131865.jpg世界有数の男女平等の国ノルウェーにしても、いきなり女の立場が強くなったわけではない。『ノルウェーを変えた髭のノラ』によると、140年ほど前、ノルウェーの作家イプセンは『人形の家』を著した。当時の女性は、選挙権どころか家族の人数のうちにも入れてもらえない、という時代だった。

だが『人形の家』の主人公「主婦ノラ」は、夫と子供を捨てて家を出る。「私は妻であり、母である前に、あなたと同じ人間です」と言って…。当時は、妻がそのような考えを持つことは許されなかった。しかし、ノラは、その許されない社会をものともしない強さを秘めていた。

ノラの末裔のような女性たちは、さらに闘い始める。そして現在のノルウェーの男女平等が誕生する。妻の仕事を優先して離職して主夫をする男性もいる。残業もせず、職場を休んで育児パパになる男性もいる(三井マリ子著『ママは大臣 パパ育児』に詳しい)。

その男性たちの本心を知るために、三井さんはさらに取材して、調査していく。そして発見したことは、ノルウェーの夫たちは「女性の価値観」に共感を寄せ、一緒にその価値観を育んでいるということだ、と三井さんは書く。

現在の日本はどうだろう。あまりにもひどい。

加島 康博(秋田市、さみどりの会


ノルウェーのワーキング・マザー
世界で最も家事をしない男性は日本人
ノルウェー女性参政権100年から考える
今日は魯迅の誕生日
ノラの国の130年後: 書評『ノルウェーを変えた髭のノラ』 (榊原裕美)
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by bekokuma321 | 2016-07-01 20:25 | ノルウェー

6月6日、ノルウェー国会で、法的に女性であるか男性であるか、あるいはその中間の性であるかは、自らの性自認だけで決めることができるとする法律が成立した。これまでは、精神科医の診断や不妊手術などが必要とされていた。

79対13の圧倒的多数。保健省が3月に提出しており、議論が続けられていた。保健相のベント・ホイヤBent Høie(保守党)は、ゲイであることを公表している(注)。

ノルウェーは、デンマーク、アイルランド、マルタに続いてヨーロッパで4番目の“性自認自由国”となる。驚いたのは、アルゼンチン、コロンビア、ネパールはすでに、性別を変更する際、性転換手術など、いかなる身体的な性別変更も不要という法律ができていると報道されている。

このたびの新法は、昨年、ノルウェー教会が教会での同性婚挙式を認める決定をしたが、それに次ぐものだ。ノルウェーは2008年に同性による結婚を認めていたのだが、ノルウェー国教会は、教会での同性婚挙式を認めなかった。その教会総会の決定を不服として、「教会での挙式を認めないなら、私を破門してください」と幹部につきつけるなど激しい運動を展開していた友人の牧師を思い出す。

日本の政界はどうだ。こうした人権問題をおきざりにして、議員の不祥事ばかりに時間を使っている。

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ルーロス(Røros)の教会

Dispatches: Norway’s Transgender Rights Transformation
Norway set to allow gender change without medical intervention
Norway: Historic breakthrough for transgender rights
FTPN(Norwegian Association of Transgenders)
More marriages between same sex couples_Norway

【注:ノルウェー保健大臣ベント・ホイヤは、2014年、「ソチオリンピックに同性婚をしたパートナーをともなって参加する、ロシアの反同性愛主義に抗議の意味を示す」と報道されていた】
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by bekokuma321 | 2016-06-15 21:46 | ノルウェー

c0166264_18395856.jpgノルウェーの憲法記念日は5月17日。晴れ着姿でパレードに参加したノルウェーの友人の写真を見ながら、憲法記念日は子どもたちの祭典だ、とあらためて思った。

憲法記念日は日本でも休日だが、憲法を堅持しようという人たちと、憲法改正をしようとするひとたちの集会の報道に接するぐらいだ。ノルウェーでは、全土で、主に小学校のブラスバンドを先頭に正装した生徒たちが国旗を持って行進する。

だいぶ以前、この日を取材をしたことがある。オスロでは、宮殿バルコニーで待つ国王一家への到着がクライマックス。みんな次々に王様に「こんにちは、王様、元気ですか」とあいさつする。宮殿前の来賓席の最前列には、各国から招待された車いすの子どもたちが陣取っていた。

ノルウェーの憲法は古い。200年前の1814年5月17日制定された。その1か月前の4月11日、憲法制定法案を起草する会議が、オスロ近郊のアイツヴォルで開かれた。

全国60から選ばれた112人が集結。職種は官吏、牧師、教師、軍人、農民、商人。年齢は10代から60代。当然だが女性はいなかったものの、地域、職業、年齢が偏らないように選ばれている。現在、博物館になっているアイツヴォルを見学したとき、説明員からこんなエピソードを聞いた。

「2月初めに、選挙で選ばれた委員を憲法制定会議に参加させるようにと全国に伝令したのですが、4月の会議になっても、北部から代表は来ませんでした。19世紀はじめの、伝令と旅がいかに困難だったかを示しています」

c0166264_18433987.jpg2011年、私はフィンマルク県カラショークに行った。オスロから、トロムス、アルタと飛行機を乗り継いで、ラクセルブ空港に降りて、そこからバスに乗って1時間余りで到着。1日がかりの旅だった。

時代は飛行機などない19世紀初め。船と馬車と徒歩だ。ちゃんとした道路もなかった。しかも、悪天候。南から北までの移動は1カ月の長旅だったらしい。そんな制約のなか、「全土からの代表で」とした心意気。平等を大切にする国民性の一端が表れている。

1か月後の1814年5月17日、会議は、「人は生まれながらに自由であり平等である」で始まるノルウェー憲法を誕生させた。日本は士農工商の厳しい身分制度があった江戸時代だ。

この憲法になんと「選挙権」が登場した。土地を持っている農民にも選挙権が与えられた。これは、19世紀初めとしては世界で最も民主的な出来事の一つと言われる(ただし女性選挙権はずっと後の1913年)。
 
当時、ノルウェーは、スウェーデンに支配された半独立国家。自由と平等をうたった憲法があっても、不平等な地位は歴然だった。憲法制定後も、スウェーデンはノルウェーに圧力をかけ続け、ノルウェー人が憲法記念日を祝うことを禁止した。ところが、1829年、ノルウェー人は、詩人ヘンリク・ヴェルゲランを先頭に官憲に抵抗して祝典を実施。官憲と衝突した。その後、いっそう民族魂、独立魂が燃え上がっていったといわれている。

ノルウェーが独立したのは、1905年。

c0166264_18451014.jpgTen things you might not know about May 17
17 Mai, 2016_NRK
5月17日はノルウェー憲法生誕200年
■スウェーデンからの独立運動(『ノルウェーを変えた髭のノラ』明石書店)
■1814年の憲法制定議会(同上)
■スウェーデン・ノルウェー王国の確執(『北欧史』山川出版社)

【写真:オスロ在住のHelle Cheung提供】
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by bekokuma321 | 2016-05-30 18:54 | ノルウェー

c0166264_2327754.jpg男女平等では世界の先頭を走るノルウェーでも、男女の賃金格差は、男100円に対して女85円だ。

ノルウェーの女たちはこの賃金格差に怒って、「同一価値労働同一賃金」を求める空前の大ポスター作戦に打って出た。ねらいは、国政選挙。

女性看護師が、鼻の下に横一文字の筆書きの髭を付けて微笑みながら「ひと筆で格差を減らせますよ」と国民に呼びかけた。

「髭」は男の象徴で、つまりは「髭のあるなしだけでこんな格差があっていいのか」と訴えたのである。ノルウェーを訪れた私は、大通りに面したビルのショーウィンドウに、このポスターを見つけた。

ポスターは、あらゆる駅や公共機関に貼り出され、新聞、雑誌、ネットにも登場。黒色の筆でサッと書ける簡単さ。子どもの落書きのように見えて、何だかおかしい。この「鬚キャンペーン」は大当たりし、一時は町からポスターが消えた。市民に持ち去られてしまった。

このつづきを読みたいかたは↓をクリック

叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち by I 女性会議
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by bekokuma321 | 2016-05-23 23:29 | ノルウェー

強姦被害男性の感情

1人のノルウェー男性が、ソマリアからの亡命申請者(男性)に強姦された。加害者は何年かの受刑後、国外追放された。それを知った被害者の男性は罪悪感を抱いている、というニュースが届いた。

私のノルウェー語の知識はまったく不十分であり、正確でない部分があるだろうことをお断りしたうえで、彼の言葉の一部を訳して紹介したい。彼の主な言い分は、

「加害者はノルウェーの地をニ度と踏めなくなった。命がけで逃亡したソマリアに強制送還され、何をされるかわからない。彼は、犯した犯罪への罰を償うべきだと思う。しかし、この世は、あまりに不公平だ。彼の行為は、戦争や略奪が続く社会(ソマリア)の産物であり、それが彼を犯罪に走らせた。僕は、被害にあったのち、長い間、苦しんだが、彼のように救いを求めている人たちに、これまでと同様、救いの手を差し伸べたい」

NRK(ノルウェー放送協会)によると、被害者はヘテロセクシャルのカールステン・N・ハウケン(1988年生)で、難民救済の運動家、フェミニスト。市議会議員候補(左派社会党)にもなった。加害者はソマリアからの難民男性。

ハウケンは、強姦被害者の心情について、
「被害を受けたあと、無だった。何年間も、うつ状態で、孤独でした」と述べる。

さらに、「男性が、強姦されたとは?」「僕は、女性差別や民族差別の嫌いな人間。その人間がソマリア人男性から強姦されたとは?」――彼は、気が変になりそうで、そうした問いから逃げることばかり考えていて、アルコールやマリファナに手を出したという。

事件後、数年たって、強姦被害者が集まって話し合うグループ・セラピーに行き、被害者たちの話を聞いて、自分の被害はまだましなほうだということに非常にショックを受けた。多くの被害者は、被害を受けたことを家族にも友人にも誰にも言っていない、ということも知った。

事件が起きた後、警察の適切な対応で、彼はオスロの緊急救命室の強姦受付センターに、連れていかれて、丁寧で配慮の行き届いた聞き取りをされ、セラピストからのケアを受けた、とも述べている。父親が迎えに来てくれた。その後の捜査も、一人の警察官がずっと担当していたという。

強姦加害者は、しばらくして別件で逮捕されて、DNAや指紋照合などにより強姦罪で4年半の刑に。ソマリアに強制送還されると聞いたとき、どれだけ安心したか、車の中で涙が止まらないほど、彼が自分から離れていなくなることがうれしかったと語る。

しかし、同時に、前述したような罪の意識から逃れられない、複雑な心境を語る。

彼の告白を読んで、私は、性暴力・強姦を受けた人間の誰にも言えない苦悩に少しだけ近づくことができたような気がする。「男は感情を外に出すものではない」という通念が残るこの社会で、男性が性被害の感情を外に出すことは、どういうことかについても、考えさせられた。

そして、カールステン・N・ハウケンのような男性を育ててきたノルウェー社会を、心から素敵だ、と思った。

Jeg ble voldtatt av en mann(I was raped by a man)

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▲オスロのヴィーゲラン公園
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by bekokuma321 | 2016-05-05 23:55 | ノルウェー

タブレットで、『ルポ:平等の国ノルウェーの選挙』の「第25話 これでいいのか日本の政治家」(注)を読んでいます。

映画「選挙」(相田和弘撮影・監督)を題材にして、三井マリ子さんが日本の選挙制度について書いたものです。 僕も映画「選挙」を鑑賞したことがあります。主人公の山内和彦さんとも数回会いました。

この映画をノルウェー人に見せたときの、彼・彼女らの驚きの反応を、皮肉たっぷりに紹介していて、実に痛快です。

「これが選挙? 彼はほんとに候補者?」、「“乞食”から“センセイ”に」「体操しても政策は広まらない」などなど、いやあ、もう、感動の連続ですよ!

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第25話を読了し、今、「第24話 死に票がない比例代表選挙」を読んでいます。ノルウェーは約100年も前から比例代表制。なぜ比例制に変えたのかが書かれています。これこそ、今の日本に広めていかなければならない著作です。

日本を救うのは、この三井さんの連載を読み、その主旨をつかみ、次に私たちはいかなる姿勢で、どんな投票行動を取ったらよいのかを考えて、行動することだと思います。日本の世直しは、この著作抜きにしては考えられません。

いつ単行本になるのでしょうか。あるいはブックレットにして出版ができないでしょうか? できるだけ早急に出版してほしいです。

選挙権が 18才以上になりましたが、主権者教育ばかり叫ばれていても、肝心の「選挙制度」については、いい情報がありません。大人も含めて、こんなにも民意を反映しない小選挙区選挙について、ほとんど誰もきちんと考察も批判もしていません。それなくして、ただ単に「投票に行こう」はない。口を開けば「無党派層をいかにとりこむか」なんて、おかしいです。

比例代表選挙に変革したいという人を増やすためにも、僕は 三井マリ子さんの、この連載を広げる運動をしていきたい。この連載を土台にして議論しあうのです。本当の世直し改革の方向性がここにあります。"共に"頑張りましょう。

田口 房雄 (緑の党 Greens Japan 会員)

【写真:第25話に登場するヒシュティ・グロンダ―ル。教員のとき保育園不足に悩み保育園増設運動から市議に。後、国会議員、そしてノルウェー初の女性の国会議長に。足もとにあるリュックサックを背負って電車通勤。女性運動家が議員になれるのも比例代表選挙のおかげ】

(注)さみどりの会ホームページ 「連載 衆院秋田3区の政党交付金」に保管されている。c0166264_15134969.jpg
2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった
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by bekokuma321 | 2016-05-04 23:44 | ノルウェー

民主主義度が世界で最も高い国はどこの国? 

2015年は、ノルウェーだ。

英誌『エコノミスト』の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」による、「民主主義指数2015年」(Democracy Index 2015)

英文報告書によると、5つのカテゴリー別に、いくつかの項目を10点満点で採点して、世界167カ国を比較している。以下は質問を簡単に訳したもの。

① 選挙過程と多元主義electoral process and pluralism:
「国会議員選挙、首相選挙、地方議会選挙が自由に公平に行われているか」「政党の政治資金の出し入れは透明であるか、かつ一般に受容されているか」など12項目

② 政治機能functioning of government:
「自由選挙で選出された代表が政策立案にたずさわっているか」「国会が、他の行政機関よりも上位にある最高の議決機関であるか」など14項目

③ 政治参加political participation:
「投票率」「少数民族や少数派があげた声が政策過程に反映されるか」「国会議員における女性の割合」「政党や政治団体への参加率」など9項目

④ 政治文化political culture:
「安定した機能的な民主主義を支えることに世論は合意しているか」「議会や選挙を無視するような強いリーダー像を望んでいるか(筆者注:望む文化だと減点)」など8項目

⑤ 市民的自由civil liberties:
「インターネットや新聞を含むメディアが政治権力に支配されないか」「労働組合を自由に組織化できるか」「異なる政治的意見が公開で自由に議論されているか」など17項目

先進国であるはずの日本は23位。「不十分な民主主義の国」の仲間入りした。でも、私から見ると、23位でも評価が高すぎると思う。

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たとえば、①選挙過程と多元主義には、「政党の政治資金の出し入れは透明であるか、かつ一般に受容されているか」という質問がある。

政党支部(これも政党)の代表だった私は、選挙を体験して、政治資金の透明性は確保されていないと明言できる。私自身もそうだったが、一般の人にはとてもわかりにくい。年間320億円という巨額の公費が政党の政治資金に回っていて、どのように使われているかがわかりにくいのだから、「透明である」とは言えない。ましてや「受容されている」とは口がさけても言えない。

さらに、②政治機能には「国会が、他の行政機関よりも上位にある最高の議決機関であるか」という質問がある。つい先日、衆院の委員会で、選挙制度が改悪された。衆議院議員数の削減だが、比例区まで削減された。わずか3日間で・・・。内容は、衆議院議長の諮問機関にすぎない「調査会」の答申に沿ったものだ。これなどは、国会での権限を調査会に投げたようなものではないか。

そんな不十分なプロセスで、またまた女性の政治参画を阻む比例区削減が決められたのだ。比例区こそ、衆議院に女性が入り込める枠である。日本は並立制選挙で小選挙区制が中心なので、比例代表制の持つ特質が十分反映されているとはいえないものの、それでも、女性議員の当選者は比例区が多い。

それと、ノルウェーと日本でもっとも格差があるのは、「③政治参加」だ。その中の指標に、女性の国会議員率がある。ノルウェーは、国会の女性議員は約40%、日本はわずか9%(衆院)だ。

もとにもどってしまうが、この9%というわずかな女性議員率でさえ、比例区が削減されれば、上がる見込みなどなくなる。

おいおい、これでは、2年後の民主主義度で、日本はまた下がるぞぉ!

世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
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by bekokuma321 | 2016-05-03 15:35 | ノルウェー

c0166264_0231454.jpg「世界一住みやすい」極北の町ノルウェー・フィンマルク県バドソーに乗り込んだ三井マリ子さん。この極寒の町の人々が本当に住みやすいと思っているかを確かめるには極寒の季節だと、2011年2月に出かけた。

その「ルポ:平等の国ノルウェーの選挙」は、ノルウェーと日本の選挙文化の違いを改めて思い知らせてくれた。

2012年12月、秋田で衆院候補となった三井さんが受けたなんとも醜悪で陰惨な「いじめ」。裁判報告や連載で知った後だけに、ノルウェーの選挙の公明性・公開性に、隔絶の感がある。

政党の公認候補は密室の中で、票を集められそうな有名人を国会議員が一本釣りという候補者選びが一般的な日本。三井さんも国会議員から執拗なほどの要請があったものの、選挙区で党員会議らしい会議は開かれなかったという。

対して、ノルウェーの選挙候補は、推薦法という法律に即して、各選挙区の政党の「推薦委員会」で原簿が作られ、「推薦会議」で決定するのだという。

その政党の候補に、現役の高校生も名を連ねて、その高校生が議員に当選したと、三井さんはルポしている。驚き以外の何物でもない。

「第20話 高校生が市議になれる理由」(pdf)は、ノルウェーでは学校教育と政治がいかに共生しているか、「『政治に親しむ教育』がいかに日常的に行われている」かが書かれている。中高校生のスクールエレクション、小学生の政党候補者取材……。

日本では、唐突に選挙権年齢が引き下げられ、18歳から投票できるようになった。では、ノルウェーのように、政治に親しむ教育が行われているか。否。それとは逆の、学校教育から締め出してきた歴史がある。今回も、高校生の政治活動を学校に報告させるという教育委員会もあるらしい。18歳の高校生に政権側に票を入れてもらいたいだけで、主権者として政治的意見など持ってもらいたくない政権側のもくろみが、私には見えてくる。

それに引き換え、全高校の8割以上もの高校が実施するという、ノルウェーのスクールエレクションは垂涎である。実際に学校内で選挙運動や投票を経験することは、高校生の自主性と政治意識をどれほど涵養することだろう。堂々と質問し主張する高校生と、彼・彼女らにしっかりと答える政党代表者や候補者。こうした光景を日本で見られる日がくるのだろうか。

♪世の中のジョウシキ何も知らなくていい
 メイク上手ならいい
 ニュースなんか興味ないし
 大抵のこと 誰かに助けてもらえばいい♪
(「アインシュタインよりディアナ・ロス」作詞・秋元康、歌・KKT48)

こんな歌が売れる日本だ。しかし、「この歌詞がひどすぎる!」とネットが炎上した。そこにわずかに望みがあるのかも――と考える私だが、それではあまりに哀しすぎる。
 
木村 昭子(さみどりの会 *)

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▲おそろいのTシャツで、労働党候補を応援する高校生。オスロ市内(撮影三井)

「ルポ:平等の国ノルウェーの選挙」は、連載「衆院秋田3区政党交付金」にはいっている。
■第23話 庶民の足元に根をはる政治
■第22話 むかし魔女、いま大臣
■第21話 酪農をとるか、市長をとるか
■第20話 高校生が市議になれる理由
■第19話 極北の町を見捨てない国
■ルポ:平等の国ノルウェーの選挙
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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった
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by bekokuma321 | 2016-04-17 19:57 | ノルウェー