カテゴリ:ノルウェー( 589 )

ノルウェーは今秋、国会議員選挙がある。投票日は9月11日(月)。法律で9月の第1か2週の月曜日と決められている。解散もないから、ボンヤリしている人にも、とてもわかりやすい。

9月まで待たなくても、今日も投票ができる。ノルウェーの選挙投票は、すでに7月から始まっているからだ。「事前投票」と呼ぶ。7月1日から9月8日までだ。日本の「期日前投票」は選挙期間だが、ノルウェーには選挙期間という定めはない。そう、年から年中選挙運動をしているような感じだ。

2カ月間余りの長期間、いつでも投票できるのだ。これなら、うっかり忘れることも少ない。

c0166264_15534316.jpg投票時間は、選挙区ごとに決められていて、オスロ大学、オスロ市役所は午前10時から午後7時まで(土曜は午後6時まで)。

ヘードマルク県の小さな町オーモット市は市役所、図書館・カルチャーセンター、ケアセンター(高齢者や障害者総合施設)などが投票所にされ、時間は各施設の通常開館時間に加えて、特別時間が組まれている。

バス停の隣に新設された事前投票所を取材したことがある(上の写真)。遠くにいる人の目にも飛び込んでくる巨大な看板に目を奪われた。車いすやベビーカー用のスロープの大きさも目立った。これなら、らくだ。

選挙は比例代表制だ。国会議員数は169人。19県がそのまま選挙区なのでわかりやすい。19の選挙区から決められた数の人が選ばれる。たとえばオスロは19人、北部のフィンマルク県は5人、南部のアウスト・アグデル県は4人で最も少ない。

比例代表制は、最強候補が1人当選する小選挙区制とは異なり、大政党は大政党なりに小政党は小政党なりに当選者を出せる。多様な民意をほぼ的確に反映する。投票日が終わると、県選管は、政党ごとの”獲得票”を、1.4→3→5→7というふうに割っていき、その商で最大数をとった政党リストの上から順に当選していく。「修正サン=ラグ方式」といって、ドント方式より弱小政党に有利なんだそうだ。

c0166264_15545330.jpg有権者は投票ブースに入って、そこに並ぶ政党リストから支持政党のものを1枚とって、政党名を見えないように裏返しにして(以前は封筒に入れる方式だった)、それを投票箱に入れる。政党の決めた政党リストを変えたいなら、国会議員の場合、政党リストに数字を書き入れたり、×をつけたりする。

投票が終わると、県選管は、政党ごとの“獲得票”を国の選管に伝える。この“獲得票”の面倒な計算は省くが、要するに選挙区で1議席もとれなかった政党の中から4%以上とった政党リストのトップ候補が、各選挙区の最後の1議席をもらう。それを「平等化議席」と呼ぶ。

そもそも比例代表制である点で、小政党への票を切り捨てないように、という意志が感じられるが、「平等化議席」で、さらなるきめ細かな手を打っているといえる。平等と言えば、選挙に出る人や支援者がお金を使うなどということは絶対ない。日本のカネまみれ選挙とは異なる。だからこそ、ノルウェーでは貧しい難民を親に持つ人や、女子高生も立候補する。

忘れていけないのが、国会議員選挙と同時にサーミ議会選挙もあることだ。先住民族サーミ人は一般の政党から出て国会議員に当選する人もいるが、それとは別にカラショークにあるサーミ議会の議員となってサーミのために働くこともできる。

ノルウェーの選挙は、素人にわかりやすく、らくで、便利で、平等なのだ。ノルウェーを含む北欧諸国は、福祉と平等のモデル国だ。その原点は、システムをつくる国会議員を選ぶ選挙自体が平等・公平・同権に満ちているからだ、と私は思う。

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 ▲オスロにある国会議事堂

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 ▲カラショークにあるサーミ議会

ノルウェーの選挙は政党の政策を選ぶ選挙
ノルウェーの事前投票は1か月以上
世界一幸福な国ノルウェーの女性たち
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
高校生も立候補するカネのかからない選挙(近江真理)
イラク移民の少女が国会議員有力候補になれる国
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by bekokuma321 | 2017-08-12 16:37 | ノルウェー

c0166264_1457924.jpg2016年の東京国際映画祭で賞に輝いた映画『サーミの血』が、今秋、劇場公開される。

それに先立つ9月8日、ノルウェー王国大使館で先行試写会が催される。参加者を公募しているので、希望者は下記から応募を。

【9/8試写会ご招待】映画『サーミの血』一般先行試写会 in ノルウェー王国大使館

映画『サーミの血』のストーリーは:
1930年代、スウェーデン北部のラップランドで暮らす先住民族、サーミ人は差別的な扱いを受けていた。サーミ語を禁じられた寄宿学校に通う少女エレ・マリャは成績も良く進学を望んだが、教師は「あなたたちの脳は文明に適応できない」と告げる。そんなある日、エレはスウェーデン人のふりをして忍び込んだ夏祭りで都会的な少年ニクラスと出会い恋に落ちる。トナカイを飼いテントで暮らす生活から何とか抜け出したいと思っていたエレは、彼を頼って街に出た──。(上記ホームページ)

サーミは、Sami。昔ラップ人と呼ばれていた。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの北部に居住する先住民族で、サーミ語を話す。ノルウェーのサーミ人は北部フィンマルク県に多く住む。

いま、ノルウェーは平等と福祉の国として名高い。ノルウェーでは、どんな所に住んでいようと福祉や教育を平等に享受できる権利が保障されていると聞いた。そこで私は、最北の地フィンマルク県の北極に近いいつくかの町を訪ねた。これまで何度か訪問し、数多くのサーミ女性を取材してきた(注)。

思い出すのは、「すごい!」と今でも感嘆したくなる力強い女たちの顔、顔、顔。

キルケネスがあるセル=ヴァランゲル市の女性議員で後に市長となったセシリア・ハンセン。
ドキュメンタリー映像作家でサーミ文化に造詣の深いトーリル・オルセン。
カラショーク市長に当選した銀行員アンネ・トーリル・エリクソン・バルトー。
女性初のサーミ国会議長をつとめた「ノルウェー・サーミ協会NSR」会長のアイリ・ケスキタロ。
サーミ高校校長で議員のエレン・インガ・ブリータ・オーラフスドッテル・ヘッタ。
サーミ特産品を扱う雑貨店店主で議員のインガー・マリ・ボンゴ。
サーミの女性誌『ガバ』創刊者で編集者のグッドルン・エリクシェン・エリーサ・リンディ。
サーミ女性初の出版物『死か生か:ラップ人の現状についての真実の言葉』を出した女性運動家エルサ・ラウラ・レンベルグ(1877-1931)。

サーミ人ではないようだが、鉄鋼会社に労働組合を創設した女性で、サーミの暮らしを撮影し記録した写真家エリシフ・ヴェッセル(1866-1949)も忘れられない。彼女のとった白黒写真を博物館で見て、20世紀初めの貧しいサーミ家族の姿を私は知った。

かつては、教育どころか、言葉や文化を根こそぎ奪い取られた先住民サーミ。しかし、長い闘いの末、議会に議員を送り出し権利を勝ち取っていった。その闘いぶりは、世界の先住民権利運動のモデルとなっているとも聞いた。

映画『サーミの血』は、どんな文化や風景を見せてくれるのだろう。本当に楽しみだ。

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 ▲「サーミ語」(上)と「ノルウェー語」が書かれているチーズ売り場。ノルウェー・フィンマルク県のスーパーマーケット。

【注】ノルウェー王国大使館ホームページなどに公表された。そのなかで現在もネットで読めるルポルタージュは:
極北の町を見捨てない国(pdf)
酪農をとるか市長をとるか(pdf)
むかし魔女、いま大臣(pdf)
庶民の足元に根をはる政治(pdf)

FEM-NEWS記事は:
先住民サーミのファイトバック
ノルウェー地方選レポート4:北部ノルウェーを支えるサーメ女性たち
映画「カウトケイノの叛逆」
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by bekokuma321 | 2017-08-02 15:30 | ノルウェー

2017年7月26日、夕方6時半から、北九州市男女共同参画センター・ムーブにおいて、「女子力は政治力!女子力が社会を変える」と題したセミナーが行われた。

講師には女性政策研究家の三井マリ子さんをお招きして女性の政治参画について、北欧ノルウェーと日本を比較しながら話をして頂いた。三井さんが20年以上にわたって撮影してきた多くの写真が示され、教員だった私は小中高生が選挙に積極的に関わる姿に目を奪われた。

ノルウェーもかつては男性中心の社会だったが、女性たちの粘り強い要望・運動で政治を変え社会を変え、今や世界一幸せな国になったそうだ。

1980年代から国会も地方議会平均も3割以上が女性で、女性議員がゼロのところは一つもないそうだ。その点日本は?

国会に女性の占める割合は9%に過ぎない(衆院)。しかも全国の市町村には「女性ゼロ議会」が多数あり、町村では3分の1が「女性ゼロ議会」という衝撃的な話を聞いた。わが福岡県でも「女性ゼロ議会」が12市町村もあるという発表に愕然としてしまった(注)。

子育てや介護は、多くを女性が担っている。保育所不足に始まり、それらを担う人の低賃金問題、人手不足等々今や社会問題になっている。こうした日々の課題に中々手が付けられないのも、女性議員が少ないことに一因があると納得した。

講演後の意見交流の席では、選挙制度についての質問や、日本のこの現状をどこから変えたらよいのかといった質問が多く出された。三井さんは「まず貴方が行動を起こしましょう」と答えた。力強い言葉に会場からは、溜息混じりの賛同の声が上がると、次に「私、立候補します」との発声に感嘆とも応援ともとれる声があちこちから湧いた。

もっともっと時間が欲しい程盛り上がった素晴らしいセミナーが、大盛況のうちに終えた。三井さんありがとうございました。

廣瀬 愛子(元小学校教員)


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       ▲パワーポイントで説明する北欧ノルウェーの暮らし・政治・女子力

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       ▲意見や質問が次々にとびかった意見交流会

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 ▲後片付けを終えた世話人と福岡市から来た女子会のみなさん。主催したI 女性会議小倉支部の森本由美市議(右から4人目)、三井マリ子講師(右から2人目)

【写真:上2枚は森本由美市議提供。3枚目は三井マリ子提供】

【注】福岡県「女性ゼロ議会」12市町村:豊前市、東峰村、大任町、赤村、上毛町、篠栗町、広川町、宮若市、久山町、嘉麻市、鞍手町、芦屋町(2017年7月付)

あざやかな歴史
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by bekokuma321 | 2017-08-01 11:07 | ノルウェー

今日7月26日(水)夜、北九州市男女共同参画センター・ムーブでセミナー&討論会があります。世界のすう勢にそって、やっと日本も選挙権が18歳に広げられました。一方、日本の女子の力は、世界のすう勢にそっているのでしょうか。どなたでもお気軽にどうぞ。

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by bekokuma321 | 2017-07-26 11:02 | ノルウェー

日本は首相に解散権がある。だから衆議院議員選挙がいつあるのか、市民にはわからない。世界で最も高い歳費を受け取る国会議員は日本だという調査があるが、高い収入に高い権限を有する議員を選ぶ選挙日程が、首相の胸三寸にあり、国民は突然知らされるなんて、納得がいかない。

さて、スウェーデン、ノルウェーなど北欧諸国では首相の解散権はあってもないに等しい。

ノルウェーでは憲法で9月第2月曜日と明記されていて、私が知る限り、解散による選挙はなかった。スウェーデンは数年前、現首相のステファン・ロベーンが予算案を否決されたため解散をしたが、なんと「50年ぶり」と報道されていた。

ノルウェーは、この9月11日(月)が国会議員選挙だ。議員は196人。現在、保守党を中心とした中道右派政権で、首相は保守党党首のエルナ・ソルベルグ。ブルントラント以来、ノルウェーで2人目の女性首相だ。

9月に向かって、夏休みが過ぎると選挙運動は終盤に近づく。世論調査がさかんに行われ、定期的に主要9政党の支持率が発表される。それによると次期選挙では、労働党を中心とした左派中道政権に変わりそうだ。これまでひとけた代だった中央党(過去の農民党)の人気が10%代まで伸びていて、さらに票を伸ばそうと、党首トリュグヴェ・マグヌス・スラグスヴォル・ヴェーダ(元農業大臣)は、全国選挙バスツアーを企画しているらしい。

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      ▲市場に設けたテントで全党候補者による討論会。買い物途中の市民が聞く

立候補にお金は1円もかからない。だから18歳以上なら、高校生でも立候補可能だ。貧しい移民家庭の子どももいる。教育がいっさい無料なので、貧しい家庭に生まれても、大学院卒や弁護士などの有資格者も多い、そんな背景もある。

政党内で活発に運動をしていると、まず地方議会議員に選ばれる。そこで頭角を現すと国会議員候補に推薦される。日本と全く異なるのは、北欧の場合、地方議員は基本的に無償のボランティアである点だ。大学で学びながら、または保育士や教員をしながら、“余暇”に地方議員の役目を果たす。つまり、地方議会での経験が評価されるということは、無償ボランティア活動が評価されることだ。

選挙は比例代表制だ。各政党が投票日の1年ほど前から選挙区(県に相当する)の政党会議で候補者について話し合い、およそ半年前の3月、選挙区の選挙管理委員会に、候補者名簿が届けられる。この候補者名簿はリストと呼ばれ、リストはそのまま投票するときの投票用紙になる。

比例代表制は、日本の小選挙区制のように最高得票の候補者1人だけが当選して、ほかはすべて落選という選挙ではない。大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに、その票に比例して当選者を出せる。比例代表制とは、「勝負をつけるのではなく、票数の多い少ないを正確に議席に反映させる。つまり多数派と少数派の双方がその大きさに比例して代表される」。三宅一郎の弁だという。小選挙区制は邪悪だと言いきった、石川真澄(元朝日新聞記者)の本に見つけた。

c0166264_0343662.jpg有権者は、候補者を選ぶのではなく政党を選ぶ。だから、政党は旗幟鮮明が命だ。では、どうやって政党の政策を普通の市民が知りえるのか。政党が作成配布するパンフレットやホームページからだけでなく、マスコミが頻繁に暮らしの課題について政党の意見を聞いては報道する。さらに、 Valgomat がある(右上)。

Valgomatとは、税金、学校教育、道路建設・・・など国民の関心あるテーマが書かれていて、賛否を問うもので、全部に答えると自分の答えともっともマッチする政策を持った政党はどこかがわかる、というしくみだ。主要メディアのWebサイトから誰でも簡単にできる。NRK(日本のNHKあたる)では、24項目の問いがあって、冗談でやってみたら私は「キリスト教民主党」に近いと出た。VGというタブロイド新聞では、5項目で、こちらでは私は「労働党」に近いという。

さて、ノルウェー人だったら、どちらに投票しようか。


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ガーディアン紙が、各国の国会議員の年収(歳費)を英ポンドに換算して比較。日本の国会議員は年2200万円。「日本の国会議員は、わが国(イギリス)の国会議員の2.5倍の収入」と書く(The Guardian 11 July 2013)。


来年9月の選挙候補者が決まるノルウェーの秋
ノルウェーの地方議会選挙
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
今こそ男中心から男と女で決める政治へ(田口房雄)
北欧からの風を吹かせて日本の議会を変えよう(岡田ふさ子)
国会議員年収も政党交付金も世界最高額
日本のカネまみれ政治家からバルセロナを考える
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by bekokuma321 | 2017-07-25 17:37 | ノルウェー

日本の国会や地方議会には、女性議員が余りにも少ない。衆院は1割以下、町村議会に至っては、3分の1が「女性ゼロ」だ。国連からも「是正しなさい」と何度も勧告を受けてきた。

そこで、日本政府は、「政治分野における男女共同参画推進法案」を今国会にかけ、「候補者数を男女均等に」と政党に努力を促す姿勢を見せた。

クオータ制を入れるなど効力のある法文にするべきだと運動してきた女性団体からすれば、生ぬるい法案なのだが、日本会議系の自民党議員らは、この法律そのものに反対の声を上げた。

「法律をつくることで、かえって男女の対立が生じてしまう」(山谷えり子議員)/ 「女性の社会進出で社会全体が豊かになっているとは思えない」(西田昌司議員)

すったもんだの末、与野党案がまとまった。成立するのを、今か今かと待っている。ところが、ここに至って森友・加計事件に加えて共謀罪の強行採決など国をゆるがす難問つづきで、女性の政治参加どころではない雲行きらしい。

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さて、上は、今から20年ほど前、ノルウェー国中に貼られたポスターだ。

1990年代当時、クオータ制の浸透によってノルウェー政界は男女半々に近づいていた。しかし、経済界は別世界だった。そこで、政府の男女平等推進機関は、男の牙城だった大企業をターゲットに“風刺キャンペーン”を開始した。

「さあ、これが我が国の指導者たちです。新時代にふさわしい多様性と多面性を見事にかねそなえていますネ。ガンバッテネ、男性諸君!」

ポスターにはいくつかのバージョンがあり、この1枚ではノルウェー屈指の大企業、ヨートン株式会社の取締役会がやり玉にあげられた。ご覧のとおり、同社CEOと取締役8人は全て男性。皮肉たっぷりのキャプションがついている。

この続きは、「叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女性たち」(I 女のしんぶん)をどうぞ。
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by bekokuma321 | 2017-06-13 21:41 | ノルウェー

c0166264_134984.jpg衆議院で、共謀罪の強行採決に隠れて、サラリと承認されてしまった協定がある。「日・イスラエル投資協定」。イスラエルへの投資を活発にする約束だ。

イスラエルは、パレスチナを今なお占領し続けている。報道によるとパレスチナ人の3人に1人、中でもガザ地区の2人に1人は、極度の貧困生活にある。

2016年12月には、イスラエルが占領地で進める入植活動の停止を求める国連安保理決議が成立した。オバマ政権下のアメリカが拒否権発動せず、棄権したからだ。しかし、トランプ政権に変わり、決議の行方が案じられる。そんな中での「日・イスラエル投資協定」だ。

ああ、またかとガックリしていたら、これと関係したニュースがノルウェーから届いた。

90万人の組合員を擁するノルウェー最大の労働組合連合LOが、大会でイスラエル製品の完全ボイコットを決定した、というのだ。

LO委員長は、完全ボイコットに反対意思を表明していた。しかしLOメンバーは、委員長の考えとは違う結果を選んだ。賛成197 、反対117 。

ここに至るまでには、1人の女性組合幹部の信念をかけた闘いがあるという。その人の名は、サラ・ベル(40)。

サラ・ベルはLO傘下のベルゲン自治労・一般労働者組合の委員長だ(ノルウェーでは女性の労組委員長は珍しくない。LO前委員長も女性。最近では鉄道労働組合の委員長に女性が就任した)。

サラ・ベルは、LO組合員として何回か現地に飛びパレスチナ人の極限の生活を見、話を聞いてきた。ノルウェーに帰国して報告会を開き、説得を重ねてきた。また、サラ・ベルには、労働組合運動の弱体化と労使の力関係が崩れるとして、非正規雇用に反対する闘いを強め、ベルゲン市が派遣会社から職員を雇うことを中止する契約を勝ちとった実績がある。次はイスラエルの完全ボイコットだった。

LO大会で賛成多数に持ち込んだ彼女は、「議決までは、はらはらドキドキでしたが、結果は完全ボイコットが圧勝しました。まだ喜びに酔いしれています」。そして「パレスチナ人は、余りにも長く苦しみ続けています。この恐るべき不正を許せないというノルウェー一般人の考えが票に反映したのです」(注1)

「LOは国際BDS(boycott, divestment and sanctions)運動を支持し、今後もイスラエル製品のすべてのボイコット運動を国際的に進めます。またボイコットに反対するノルウェー政府に1967年のパレスチナ国家を認め、すべての人々が平等の権利を持てるような、民主的解決を約束させます。私たちの目標はボイコットではなく、イスラエル占領をやめさせることです」と大きな夢を語る。

このたびのLOの結果に、LO委員長も、LO支持政党である労働党党首も、外務大臣も嘆いた。オスロ駐在イスラエル大使は、LOの決議は不道徳なものだと言い、「深く根付いた、ユダヤ国家に向けての偏見、差別、ダブルスタンダードが反映したものだ」と激しい批判をあびせた(注2)。

サラ・ベルは平気だ。ノルウェーメディアは、サラ・ベルの生い立ちを報道したいるが、それによると彼女は、左翼的信条の親を持ち、幼い頃から政治的デモは日常茶飯事だったという。そのうえ彼女の親は、若者の相談員(Utekontakten)をしていて、その関わりから、貧困や格差や薬漬けの若者たちの非行を見聞きして育った。そんな環境から、平等な人間関係を好み、どんなところで生まれても人間は人間としての尊厳を尊重されて生活すべきだという考えを持つようになったのだという。

新聞に載ったサラ・ベルの写真を見て驚いた。右鼻に小さなピアス、両耳には巨大なイアリング、腕には派手な入れ墨。そのスタイルは、労働組合幹部の常識から大きく外れている。型破りだ。そんな彼女は言うーー「私の信念は、平等を求めて連帯すること。連帯して闘うことです」。ほれぼれするではないか。

一方、わが日本を振り返れば秘密保護法、安全保障法、さらに共謀罪。安倍首相に反論ひとつなく、そろってなびく自民党議員たち。彼女の爪の垢でも煎じて飲ませたい。


【写真】「連帯ーーそんなに難しいことではないでしょ」と書くサラ・ベルのFacebook。
【注1】最大労組LOがイスラエルの完全ボイコットを決議した以前に、トロンハイム、トロムソ、リリハンメルの少なくとも3市が議会で議決したと報道されている。3市に限らず他の市も議決したかもしれないが未確認。ノルウェー地方自治体の自立した決断と、国際問題への敏感な対応に驚かされる。
【注2】1814年のノルウェー憲法にはユダヤ人排除の規定があったが、その規定は1851年削除された。そこには作家ヘンリク・ヴェルゲラン Henrik Wergelandの不屈の闘いがあったとされている(Ervin Kohn)

Nederlag for LO-ledelsen i stemmedrama: LO skal jobbe for full boikott av Israel
Defying leaders, Norway trade unionists endorse Israel boycott
Israel reacts violently to LO boycott decision
En rebell klar til Kamp
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
世界一民主的な国
「パレスチナの女性の声」について書かれた速報
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by bekokuma321 | 2017-06-01 01:33 | ノルウェー

支配者が使う五つの手口

4月22日、ベリット・オース(オスロ大学名誉教授)から封書が届いた。

開けたら『支配者が使う五つの手口』というベリット・オースの名著のミニ本が出てきた。「最近、バルセロナで出版されたカタルーニャ語版です。100冊送られてきたので、1冊マリ子に送ります」。

それで思い出したのが、大阪豊中市男女共同参画推進センターすてっぷの館内を飾った『支配者が使う五つの手口』のポスターだ。

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スウェーデン・ヴェクショー市男女平等委員会が作成した『支配者が使う五つの手口』の冊子とDVDを持っていた私は、その表紙を拡大コピーして、大勢の人の目につくところに飾りたいと思った。

すてっぷ館長だった私は、作成者のスウェーデン・ヴェクショー市男女平等委員会に、長いお願いの手紙を書いた。ほどなくスウェーデンから承諾の返事が来た。小躍りしながら、さっそくパネルにして館内に展示した。

さて、ベリット・オースは、「クオータ制」の産みの親だ。1970年代初め、ノルウェーのミニ政党の党首に就任した。彼女は、さっそく党規約にクオータ制を入れた。彼女の実践したクオータ制は、他党をも動かした。80年代になると、労働党の首相グロ・H・ブルントラントが閣僚人事にクオータ制をいれ、大臣の40%を女性にした。ニュースは世界をかけめぐり、日本にも届いた。

ベリットを世界的に有名にしたのは、実は、クオータ制よりも、ポスターの原典である『支配者が使う五つの手口』だ。ベリットは、自身の体験を社会心理学で分析して、男性が女性から自信を奪うテクニックを5つに分類したのだ。

「1 無視する」「2 からかう」「3 情報を与えない」「4 どっちに転んでもダメ」「5 罪をきせ恥をかかせる」。

ほとんどの支配層は、あらゆる被支配層にこの5つを使う、とベリットは言っているが、テレビで安倍首相の答弁を聞いていたら、まさしく、と思った。

続きは、「叫ぶ芸術―ポスターに見る世界の女たち―支配者が使う五つの手口(北欧ほか世界各国)」をどうぞ。


叫ぶ芸術 ポスターに見る世界の女たち (I 女のしんぶん)
ベリット・オース、豊中市、日本会議
ベリット・オース「支配者が使う5つの手口」
ベリット・オース、80歳の闘い
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by bekokuma321 | 2017-05-17 15:43 | ノルウェー

c0166264_4291578.jpgオスロには、フリチョフ・ナンセン広場、フリチョフ・ナンセン通りがある。フリチョフ・ナンセンは、探検家、科学者、そして政治家。第一次大戦後は国連難民高等弁務官として、難民を救うために特別の証明書を発行して、何十万もの難民を救済した。

ナンセンのような歴史上の偉人(正確には偉大な男性)の名がつけられた道路は、オスロだけで750あるという。

ところが、さすがノルウェー、女性の名を冠した道路も100あるらしい。「すごいな」と日本人の私なら思うが、ノルウェー女性はそう思わないらしい。

「750対100。これは、過去、女性たちの存在が過小評価されてきた証し」であり、「歴史はすべての人によってつくられるものであり、過小評価されたグループを表に出すことはきわめて重要だ」と考えた。

c0166264_433012.jpg考えただけではない。彼女たちは、「女性史の夜」と名づけた5月8日の夜、今ある男性の道路名のうえに、ノルウェー史に貢献してきた女性の名前をつけるアクションをやってのけた。

アクションは、Women's Front、Feminist Initiatives 、Women's Group Ottarの3女性団体が主体となって企画された。昨年に引き続いて2回目のようだ。

その夜、女たちは、道路名の掲げられた場所まで行って、脚立に登って、自分たちが用意した女性名つき紙をはりつけた(最上の写真)。

女たちが用意した歴史的偉人(偉大な女性)はこういう人たちだ。

中絶した女性を犯罪者とする刑法の改正運動をしたカッティ・アンケル・ムッレル(Katti Anker Møller 注1)、女だからスキージャンプは無理だとされていた時代のスキージャンパーのヒルダ・ブラッシェルド(Hilda Braskerud)、初のサーミの権利大会を開催した運動家エルザ・ラウラ(Elsa Laula、注2)、女性初の映画監督エディス・カ―ルマル(Edith Carlmar)、などなど。

c0166264_418289.jpgノルウェー人で亡くなった人の名しか実際はつけられないが、そこはアクション。今も元気な89歳の女性運動家べリット・オ―スの広場や、サーミの歌手マリ・ボイネの通り、アメリカの黒人運動家アンジェラ・デービスの通りも用意した。

ノルウェーの女たちの工夫と連帯に満ちたアクションに、拍手を送りたい。それに、一夜とはいえ道路標識など公共物の変更を女性運動に認めたオスロ市、記事にして広めたノルウェーメディアにも。

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▲オスロのメインストリート。カールヨハンという国王の名がつけられている


kvinnehistorisk natt 2017
I går ga kvinneaktivister byen en rekke nye gatenavn, oppkalt etter kvinner. Les og se bildene
Kvinnehistorisk overtagelse av Oslos gater
Samisk legende fikk en liten del av Oslo «oppkalt» etter seg
ドイツの町のジェンダー規定

【注1】「自己決定権を初めて主張した女性」(明石書店『ノルウェーを変えた髭のノラ』)
【注2】「サーミ解放運動の先頭に立ったエルサ」(第 22 話 むかし魔女、いま大臣)(さみどりの会ホームページ)
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by bekokuma321 | 2017-05-14 04:41 | ノルウェー

c0166264_2313580.jpg「この賞は、虐待から逃れてきた人たちためのシェルターと、そこで働く人たち――少女のころ闘うことを選び、今、シェルターの職員をしている――それに貧しい家庭に育った子どもたちと分かちあいたい」

今年の「男女平等賞」に輝いたカードラ・ユースフ(36)のことばだ。 さきほどノルウェーから入ってきた報道から要約して紹介する。

男女平等賞は、ノルウェー労働組合連合LOが、困難な道を勇敢に切り開いた女性に対して、4年に1度授与する賞だ。1997年に始まって、今年は20年目。これまで、初の女性首相グロ・ハーレム・ブルントラント、ジェンダーにとらわれない子どもの本作家アンネ・カット・ヴェストリ、女性で初めてノルウェー国教会最高位である監督に就任したローズマリー・クーンなどが受賞した栄えある賞だ。

カードラ・ユースフの名がノルウェーに知れ渡ったのは、2000年のこと。

ノルウェーのイスラム・コミュニティでは、少女たちに性器切除が行われていた。実は、イスラム教のイマム(指導者)が、少女たちに性器切除をするよう指導していたのだ。彼女は、その事実を隠しカメラとレコーダーで録画に成功。それがテレビのドキュメンタリー番組で放映された。大反響を呼んだ。

彼女の調査報道によって、イスラム文化・宗教か人権か、人種差別か女性差別か、家庭のしつけか個人の尊厳か、伝統か自己決定権か・・・・などのテーマで議論が広がっていった。そして、議論はノルウェーの女性器切除禁止法の制定にまで進んだ。

その後、彼女はいくつかのメディアで社会評論を担当するようになり、現在は、ノルウェー主要紙の専属コラムニストだ。 女性運動家であり、3人の母親でもある。

カードラ・ユースフ自身の話も壮絶だ。8歳で戦火のソマリアからノルウェーに逃れてきた。ノルウェーで育ち、ノルウェーの学校で学び・・・やがて「反逆児」に!

カードラ・ユースフは、養親が彼女に女性器切除をさせ、すでに決められていた相手と結婚させると察した。15歳になったとき、彼女は親を捨てる決意をし、家出を決行。ノルウェーの全土にはりめぐらされているシェルターのひとつに飛び込んだ。新しい人生のはじまりだった。

連合LOの会長ゲル・クリスチャンセンは、カードラ・ユースフに「男女平等賞」を授与した理由をこう述べる。

「彼女は現代におけるもっとも重要な意見の持ち主のひとりです。彼女は、多様性と自由への扉を開けて、私たちに再びそれを考えるように促しました。それだけではない。彼女は、抑圧された女たちに光をあて、正義のために立ち上がろうとするひとたちすべてに感銘をあたえています。これこそ、世界が求める、男女平等そのものなのです」

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     ▲アムネスティの女性器切除廃止キャンペーン・ポスタ―

LOs likestillingspris 2017 går til Kadra Yusuf
Kadra fikk LOs likestillingspris
Dagsavisen_Nye Meninger:Kadra Yusuf
女性性器切除被害者は2億人
ソマリア女性にナンセン難民賞
ノルウェーの「ベスト清掃員賞」
映画『パパ、ママをぶたないで』が生まれた国ノルウェー
イラク移民の少女が国会議員有力候補になれる国
ノルウェーの難民と“児童婚”
難民問題
イスラム教と女性(リングダール裕子「ノルウェーの女たち」より)


【写真上:facebook Kadra Yusufより。 写真下:I 女のしんぶん連載「叫ぶ芸術―ポスターに見る世界の女たち 34 『赤いバラの闘い』
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by bekokuma321 | 2017-05-11 23:22 | ノルウェー