カテゴリ:ノルウェー( 604 )

11月11日(土)、シンポジウム「選挙マルシェーー選挙が変われば政治が変わる」に参加しました。

13:00までしか拝聴できなかったのですが 「見てきた! 民主主義世界一の国ノルウェーの選挙」と題した、三井先生のわかりやすいお話にさらにノルウェーを知ってみたくなりました。

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私なりの解釈では、結局根本的に教育を変えていかなければ これ以上何の進歩も望めないのではないかという思いを強く持ちました。そんな中、2部のほうで若い方々が懸命に活動されていることに闇の中に光を見出した思いです。

今ちょうど、『限りなく完璧に近い人々――なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか? 』 ( マイケル・ブース著)のノルウェー部分を読んでいます。著者は、デンマーク人の妻を持つ、英国人ジャーナリストです。「数世代先を見越した政策を実行していく…」と書かれているところで、唖然としてしまうのは私だけでしょうか?

私は「スカンディナヴィア(ノルウェー)の平等社会のルーツを探る〜ヴァイキング時代のキリスト教受容前の国内において〜」を修論に仕上げて後、暫く北欧から離れていました。

最近は医療少年院や保育所で仕事をする機会を得て、日本の形ばかりの教育に違和感を覚えるようになりました。同時に『男女平等の本』の著者ノルウェーのアウド・ランボーが「私たちの国の教育には哲学があるのです。それは必ずしも数値化されないけれども」と仰っていたことを思い出しました。

そして今日のシンポジウムで、三井先生のお話しくださった「子どものころからの身近な民主主義」が全て頭の中で混ざり合い 、余生に私自身が多少なりとも手掛けられそうなことはないものかと思いました。それは教育に関してです。日本の人に気づいてもらえるような方法で。どんな形になるかわかりませんが ノルウェーに関わっていこうと気持ちを新たにした1日でした。

三井先生の息の長いご活動には頭の下がる思いです。新しい物事になかなか着手できない国民性の日本でなさっているのですから・・・。

でも、今日の会で、先生の後に続いて行けそうな若者が育っていこうとしている姿を見て、とても頼もしく映りました。今日は本当に有意義な時間をお与え下さり有難うございました。

原 三枝子

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【写真上:政策論争中心のノルウェー選挙を紹介する三井マリ子講師。写真下:日本の若者が選挙にどう向き合っているかを話すパネルディスカッション。左から、司会の日向美砂子議員、三井マリ子講師、POTETO東京青年会議所ivote日本若者協議会の各代表。撮影anonymous】

【注:筆者は教員時代の三井の教え子だったため「先生」と敬称をつけている。三井は講演では参加者に「できれば~さんと呼んでほしい」と依頼していた】

市民に優しい選挙制度(ノルウェー)(東京新聞)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
北欧福祉社会は地方自治体がつくる
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by bekokuma321 | 2017-11-13 10:22 | ノルウェー

ノルウェーの親友から「グレーテ・ベルゲがたった今、亡くなった」というメールが届いた。

グレーテ・ベルゲは、1991年、ブルントラント首相から懇願されてノルウェーの子ども・家族大臣に就任した。のちに世界の模範となったノルウェーの男女平等政策の多くは、彼女が陣頭指揮をとって進めたと言える。

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グレーテは乳がんだった。いったん治って職場に復帰したが、またがんが彼女に襲いかかったと聞いていた。再発の知らせが、こんなにも早く死の知らせに変わってしまうとは。63歳だった。遺された夫ペール・リッツラー(ジャーナリスト)と、2人の娘アンネとオッダに心からお悔やみを申し上げる。

グレーテ・ベルゲは、大臣就任以来、矢継ぎ早に家族政策の変革を打ち出した。まず、労働者の休暇などを定めた「労働環境法」を改正して、育休の日数を延長した。給与の8割が補償される育休が、1992年には44週に、93年には52週に延長された。無給なら3年間となった。1970年代はわずか18週だったことを知ると革命的進歩である。

さらに、日本で今ようやく政策のテーブルに載るようになった保育園の増設にも力をこめた。保育園に入りたい子がだれでもはいれるように、ノルウェー全土に6万か所の保育園建設を進めた。

でも、これは序の口だった。今では日本でさえ話題になる「パパ・クオータ」を世界に先駆けて法制化したのも彼女が大臣の時だ。1993年のことだった。

「パパ・クオータ」は、pappapermisjon を私が意訳して紹介したのだが、父親の育休取得率を上げるため、育休を父親のみに1か月割り当てるものだ。父親が会社の都合でとれないからといって母親に代われない。つまり「パパ専用」だ。パパがとれなかったら、その分の育休は無効になるばかりか休業補償もなくなる。グレーテ・ベルゲ大臣は、これを「愛の強制」と呼んでいた。男性が育児休業をとって家事育児の主たる担い手になることによって、男性が子育ての大切さに理解を示すようになる。これこそ究極の愛だと。

その結果は? 1994年まではパパの4%しか育休をとってなかったが、1998年には80%がとるように劇的変化をとげた。そして出生率が1.7から2.0近くにまで回復した。

ところが、第2子誕生が間近になった1993年暮れのこと、「グレーテはすぐ大臣をやめるべきだ」という声があがった。育休が保証されている国だとはいえ、現職の大臣がそれを実行できるかは大問題だった。夫妻は毎晩のように話し合って悩んだ末に、「1月から3月の3か月は母親が、その後9か月は父親がとろう」と決めた。

NRK(日本のNHK)のニュース報道ジャーナリストである夫・リッツラーが、9か月の育休をとったのである。そんな育休中の彼に私は取材を申し込んで、男性の育児・家事の必要性を聞くことができた。一部は「ジャーナリストの育休9か月」(毎日新聞社『男を消せ!ーーノルウェーを変えた女のクーデター』p48~p65)にまとめられている。

ペールのような男性が増え、現在ノルウェーは、男性の家事時間は世界で最も長く母親が世界で最も幸せな社会となった。

とはいえ、政権が変わり、現政権の子ども家族大臣は、「クオータ制反対です」と公言する進歩党(極右と言われている)出身のソルベーグ・ホルネだ。パパ・クオータも14週まで伸びることが予定されていたが、10週に戻された。2014年、グレーテ・ベルゲは、この政策変更をこう厳しく批判した。

「パパ・クオータが4週間減る、というだけの問題ではないのです。育児休業の根底が崩れようとしているのです。20年間、苦闘しつつ作り上げてきた政策であり、男女平等への道すじをつくる最強のツール、それがパパ・クオータなのです。この国の精神がゆらごうとしています。男女平等へのバックラッシュといえます。とても残念です」

しかし、グレーテ・ベルゲよ、あなたの掲げた炎は、世界中の多くのランナーに手渡されている。その証拠に最も近くであなたの男女平等政策を実践したペール・リッツラーはこう言っている(『男を消せ!』p65)。

「20世紀の家族革命は、19世紀の産業革命に匹敵するものです。21世紀には、男の領分が女に侵される恐怖感とか、罪の意識に悩む女とか、育休をとった僕がスポットライトを浴びるとかーーこういったことをあなたと話したことも笑い話になる日がくるはずですよ。きっとね!」

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【写真上:2011年、オスロの平等・反差別オンブッド事務所で執務中のグレーテ・ベルゲ元大臣。 下:1995年、グレーテ・ベルゲとペール・リッツラー宅の朝食テーブル。現職大臣グレーテ・ベルゲの朝食も子ども2人の世話もすべて夫だった。玄関にかかっていた表札は夫婦別姓、子ども家族省への通勤は大臣でも黒塗りの車ではなく公共の乗り物だった…】

世界一幸福な国ノルウェーの女性たち
World Happiness Report 2017
ノルウェーのワーキング・マザー
「ノルウェーが幸運なのはノルウェー女性がいるからだ」―首相
シングル・マザー、107倍の難関に合格
民主主義コンテスト 世界1はノルウェー、日本は20位
世界で母親がもっともハッピーな国ノルウェー
パパ・クオータ、7月1日から14週間に
父の日に
女性が働きやすい国、日本はブービー賞
ノルウェー、父親の育休14週間に
パパにもっと時間ができた!
ほらね、パパ・クオータはうまくいった!
■グレーテ・ベルゲ大臣やその男女平等政策について関心のある方は、以下をどうぞ。
「ママは大臣、パパ育児休業」(明石書店、1995『ママは大臣パパ育児』p232~246)、「ジャーナリストの育休九か月」(毎日新聞社、1999『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』p48~p64)
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by bekokuma321 | 2017-11-10 02:08 | ノルウェー

日本の選挙には課題が山積しています。一票の格差、女性議員の少なさ、死票の多さ、立候補の供託金の高さ、選挙運動の規制の多さ、投票率の低さ…。先月の衆院選で問題点はさらに明らかになりました。

11月11日、第2回選挙マルシェで話し合いませんか。元東京都議会議員三井マリ子さんの講演「見てきた! 民主主義度世界一の国ノルウェーの選挙」、次いで「自由な選挙、若者の参加する政治」について、若者たち、各政党の代表によるデスカッションをします。どなたでもお気軽にどうぞ!

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●選挙が変われば政治がかわる 選挙マルシェ
●自由な選挙、若者の参加する政治
●2017年11月11日(土)11:00から15:30まで
●恵泉バプテスト教会(中目黒駅徒歩8分)
●プログラム 
①海外報告と若者の応答対論 11:00-13:00 
「見てきた!民主主義度世界一の国ノルウェーの選挙:スクール・エレクション、クオータ制、比例代表制」by 三井マリ子(元都議)
「ワタシたちも選挙運動してみたい!」別木萌果(学生団体ivote代表)、芦刈深紗(高校生団体Women’s Innovation代表)、青年会議所(予定) ほか
②協賛団体によるリレートーク 約30団体代表者 13:00-13:30
③全会派議員によるシンポジウム 国会議員・地方議会議員 14:00-15:30
小松大祐都議(自民)、 高橋昭彦世田谷区議(公明)、 荻野稔大田区議(維新)、 落合貴之衆院議員(立憲民主党)、 音喜多駿都議(都民ファ)、 伊地智恭子多摩市議(社民)、坂井えつ子小金井市議(緑の党)、鳴海ゆり八王子市議(生活者ネットワーク)、司会:日向美砂子(小平市議)【共産党・希望の党交渉中】

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選挙マルシェ実行委員会(主催)
連絡先:03-3424-3287 (事務局 城倉啓)
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by bekokuma321 | 2017-11-07 09:09 | ノルウェー

c0166264_2394327.jpgノルウェーに、女性初の外務大臣が誕生した。イネ・エリクセン・スールアイデ(Ine Eriksen Søreide)だ。これまで防衛大臣だった。

9月の総選挙で、保守中道政権の続投と決まり、アーナ・ソールバルグ(またはエルナ・ソルベルグ)内閣にほとんど変更なさそうだ。スールアイデの外務大臣就任で、首相、財務大臣、外務大臣というトップ3が全て女性となった。

ノルウェーに、女性初という冠がまだ存在していたことに驚いた。首相や財務大臣などには女性が就任してきたが、外務大臣はなぜかこれまで男性だった。現外務大臣ボルゲ・ブレンデは、世界経済フォーラム(World Economic Forum)事務局長に任命されたため、次の外務大臣は誰か話題になっていた。

イネ・エリクセン・スールアイデは、オスロ選挙区から選出されている保守党の政治家。夫も保守党の政治家。2人の息子から花束を贈られたと報道されている。

【写真:Ine Eriksen Søreideのfacebookより】
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by bekokuma321 | 2017-10-20 23:18 | ノルウェー

【衆院選まっただなか、「選挙マルシェ実行委員会」からお知らせです】

日本選挙にはさまざまな課題があります。一票の格差、女性議員の少なさ、死票の多さ、立候補の供託金の高さ、選挙運動の規制の多さ…。

まずは、この重要問題について関心を持つ団体・個人の交流と語り合いをとイベントを企画しました。「選挙が変われば、政治が変わる 選挙マルシェ」。

第1回は、3月、坂井豊貴慶應義塾大学教授による講演と、各政党と無所属の9議員らによるシンポジウムを行いました。

衆院選後の11月11日、第2回選挙マルシェを開きます。元東京都議会議員三井マリ子さんの講演「見てきた! 民主主義度世界一の国ノルウェーの選挙」、次いで「自由な選挙、若者の参加する政治」について、若者たち、各政党の代表によるデスカッションをします。どなたでもお気軽にどうぞ!

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●選挙が変われば政治がかわる 選挙マルシェ
●自由な選挙、若者の参加する政治
●2017年11月11日(土)11:00から15:30まで
●恵泉バプテスト教会(中目黒駅徒歩8分)
●プログラム 
①海外報告と若者の応答対論 11:00-13:00 
「見てきた!民主主義度世界一の国ノルウェーの選挙:スクール・エレクション、クオータ制、比例代表制」by 三井マリ子(元都議)
「ワタシたちも選挙運動してみたい!」別木萌果(学生団体ivote代表)、芦刈深紗(高校生団体Women’s Innovation代表)、青年会議所(予定) ほか
②協賛団体によるリレートーク 約30団体代表者 13:00-13:30
③全会派議員によるシンポジウム 国会議員・地方議会議員 14:00-15:30
小松大祐都議(自民)、 高橋昭彦世田谷区議(公明)、 荻野稔大田区議(維新)、 落合貴之衆院議員(立憲民主党)、 音喜多駿都議(都民ファ)、 伊地智恭子多摩市議(社民)、坂井えつ子小金井市議(緑の党)、鳴海ゆり八王子市議(生活者ネットワーク)、共産党・希望の党交渉中。司会:日向美沙子(小平市議)

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by bekokuma321 | 2017-10-18 14:27 | ノルウェー

カナダの首相ジャスティン・トルドーは、なんとクール!

「男の子をフェミニストにしよう。男の子には、この性差別文化を変える責任があるし、その力もある」と寄稿の中で言っていた。昨日の英紙ガーディアンの報道。

今日は、カナダではなくノルウェー。ノルウェーには、こんな男性フェミニストがいるよ、というニュース。

ノルウェーのサッカーチームは、来年から男女給与差を撤廃する。その方法がなんともクールだ。男子の給料を下げて、その分を女子の給料に上乗せするのだという。これまで、女性の給与は男性の約半分だった。

ノルウェーサッカー男子代表主将ステファン・ヨハンセン(26)の言葉が最高にクール。NRK(日本のNHK)のニュースから訳してみる。

「大きな格差があり、女性たちの給与を今より2倍にできるか問題でしたが、私は、そうしたいのです。それがあるべき姿です。彼女たちに励みになります。私たちは、ノルウェーのサッカーチームを前に進めたいのです。女子も男子と同じく重要です」

男性の給与を減らしても男女同一給与にすることが、「あるべき姿」だと言うのだ。それに引退したサッカー選手のエギル・オステンスタッドもすぐツィッターした。

「今週の最高の数学だね」

さて、日本のサッカー界はどうだ?

Herrelandslaget tar lønnskutt for å hjelpe fotballkvinnene


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▲先月、ノルウェーで行われたホームレス・サッカー世界大会。難民や移民の子どもたちのサッカー試合だという。オスロ市庁舎前の広場がサッカー場に早変わり。サッカーにも平等精神が花開く
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by bekokuma321 | 2017-10-14 19:34 | ノルウェー

投票所のバリアフリー

総選挙真っ最中だ。先月、民主主義度世界一の国ノルウェーの総選挙を取材してきた。東京新聞に報道され、今ならWebでも見られる

日本の選挙との余りの違いに驚いたという感想がいくつか届いた。中でも、投票所に行けない人へのケアの充実に驚いたという反響が複数届いた。

10月9日、精神疾患を持つ人たちへの日本の処遇について語り合う会「精神病院のない社会」
に参加した。テーマにはなかったが、精神病院に入院している人たちはどんなふうに投票をしているのかに関心を持った。

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 ▲オスロの某投票所。投票ブースにはカーテンがある。少しでも空いていると外から手の動きが見えるので係りがシュッと閉めてくれる。投票用紙はブースの中の棚(5x5)に政党ごとに入ってる(左側)

ノルウェーでは重い統合失調症でも投票所で投票できるとされている。それを知ったのは、選挙前にNRK(日本のNHKにあたる)Web版を見たからだ。「投票できないのはどんな場合か?」というアンケート形式の記事で、こうあった。

「デアは重い精神病です。違法行為をしても刑務所に入れられることはありません。刑法では、デアの症状を、物事を判断できない状態としています。デアは投票できますか」「ハイ投票できます、イイエ投票できません」

答えは「ハイ」。オスロ大学の選挙専門家アーダール教授が解説する。「ノルウェー選挙法9条4項によると、投票所と投票ブースにおいて、投票手続きの正常な行為を妨害することは禁止されている。そうした場合のみ、選挙委員会委員長または副委員長は、投票権をはく奪することができます。それに当たらないから投票できます」

この報道によると、ノルウェーでは重い統合失調症の人も、投票所に行って投票することが前提のようだ。一方、先日の集会「精神病院のない社会」からすると、日本では世界でもまれなほどおびただしい数の人が精神病院に入院している。そうした入院患者の投票は精神病院内で行われるのだろうが、その際、医師など管理者が「この候補者に」と誘導する選挙違反を防ぐ手立てはどうなっているのだろう。

病院から投票所に行きたいと言ったら、外出できるのだろうか。できたとして、投票所で精神病を抱えた人が選挙権を行使できるようケアする人員は確保されているのだろうか。

知恵遅れの人で、自分で字を書けない場合は、投票所で「選挙公報紙」を見て、候補者を指さす方法があるらしい。別室かパーテーションで区切った投票ブースにして、外から見えないようにしたうえで、行うのだという。

ここまで書いて、日本では候補者名を書く行為が当たり前だと思われているが、この「自書式投票」は、心身に障碍を持つ人にとっては大きなバリアだと気づいた。「自書式」は世界で日本だけらしい。バリアフリー社会をめざすなら、「自書式」はただちにやめるべきだろう。日本以外のほぼすべての国が、政党名や候補者名が印刷された投票用紙を投票者が1枚選び取るという方法をとっているのだ。日本にできないとは言わせない。

それと、日本では投票ブースが、外から見られないようにカーテンを閉めるようになっていない。だから障碍者は、別室かパーテーションで区切った特別仕様の投票ブースで、となる。

でも、すべての投票ブースにカーテンがあれば、障碍者への特別扱いは不要だ。投票する場合の手の動きなどをだれからも見えないようにすることは、バリアフリーであるだけでなく、だれにとっても極めて大事なことだ。これもただちに改正すべきだと思う。

書き忘れたが、ノルウェーの投票所はすべてスロープ付きだった。

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     ▲高校のなかで行われる高校生の模擬投票。ここにもカーテンがちゃんと
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by bekokuma321 | 2017-10-12 19:19 | ノルウェー

c0166264_0335640.jpgノルウェーのVG紙は、10月2日、この3年間で少なくとも40人の患者が、本人の承諾なしに精神病棟で電気治療(ECT)を166回受けさせられた、とスクープした。

ECTはかつての「電気ショック療法」。日本ではどうかとネットで調べたが、国としての調査はないようだ。「総合病院精神医学」誌によると全国で年間42,358件という調査結果がある。患者自身の承諾の有無はわからない。

ノルウェーでは、法律でECTが厳しく制限されている。しかし当事者の承諾があって、しかもECTの他には命と健康をとりもどす方法がない場合に限って、医師に例外的使用が認められている。

VG紙報道の下になったのは、ノルウェーのオンブズマン制度である(注)。そのひとつシビル・オンブズマン(かつての議会オンブズマン)は、この当事者の承諾なしのECTに対して、法律違反ではないかと厳しい批判の目を向けている。

オンブズマン(オンブッドと中性表現を使うことが多い)には強い調査権があり、その権限を使って病院側などに対して情報を出させたことによって、実態が明らかになったと考えられる。

シビル・オンブズマン予防部のヘルガ・アービック(写真)は、「緊急に必要だったという理由でECTがなされているが、その緊急状態が数日間、数週間続いている。緊急に必要ということは、その人が死ぬかもしれない重篤な事態のことであり、そうした際の治療は即効性があるはずだ」(VG紙)

医師の側は、当事者自身の承諾を得られない場合は家族に相談した上でなされていると、VG紙に答えている。

VG avslører: Ga elektrosjokk 166 ganger uten pasientenes godkjenning
Psychiatric patients in Norway given electro therapy without consent: report

【注】この報道には、ノルウェーのオンブズマン制度が深く関与している。ノルウェーでは、法律というものは、独立した特別の監視機関がなければ十分に守られないとされている。その機関をオンブズマンといい、特別公務員である。そこには誰でもいつでも簡単に相談でき、無料でなければならない。シビル・オンブズマンは1962年「議会オンブズマン」として新設された。全ての行政にかかわる問題に関連する職員全体を包括する総合的オンブズマンといえる。その他、男女平等推進や差別撤廃に目を光らせる「平等・反差別オンブッド」(オンブッドはオンブズマンの中性形)や、マーケッティング規制法にもとづく消費者オンブズマン、子どもの権利や利益を擁護する子どもオンブッドなどがある。これらは国レベルのオンブズマンであり、地方にも別途オンブズマンがいて、社会的弱者に国の制度がちゃんと機能しているか否かを監視する。
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by bekokuma321 | 2017-10-04 00:34 | ノルウェー

ノルウェーの国会議員選挙が9月11日にあった。産休中の女性や、高校生が国会議員候補になる国の選挙運動ってどういうものなのか。

ノルウェーに飛んだ。日本の選挙と比較すると余りに違っているが、東京新聞が私のメモとインタビューをもとに、簡潔な記事にしてくれた。

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記事の内容をより理解しやすいように、ノルウェーの選挙の基本を箇条書きにしてみる。

1)選挙制度は比例代表制。選挙で政党が獲得した票の割合に比例して、その政党の当選数が決まる
2)投票日は法律で4年に1度、9月第1か第2月曜と決められている(地方の判断で日曜日を加えて可)
3)議員数は169人。選挙区(=県)の議員定数は人口にほぼ比例して定められている。最大のオスロ17人、最小のフィンマルク5人など。169議席のうち150議席は選挙区19から選出される。残り19議席は4%条項をクリアした政党に分配される(『ノルウェーを変えた髭のノラ』p212~p215)
4)選挙権は、18歳から。投票する権利と投票される権利(=立候補する権利)ともに。実際、高校生の候補者もいる
5)候補者探しは、1年ほど前から、選挙区である県下の市レベル政党内で始められる。選挙権がある人なら本人の承諾なしに候補者にできる。実際は承諾を得てから載せ、現職優先で、国会議員候補には地方議員経験者が多い(ただし日本と違って地方議員のほとんどが無給のボランティア)
6)候補者名簿はリストと呼ばれる。リストの1番から当選するので、上位に載ると当選率が高い
7)政党のほとんどは、リスト作成にクオータ制をとるため女性候補は40%以上いる。しかも男女交互に並べられることが多い。また多様性のある政党とみなされたいため、青年部や移民家庭の代表を入れることが多い。1番しか当選しないミニ政党では、1番をめぐって党内で激しい議論がなされるといわれる
8)リストは、選挙区の政党(日本で言う政党の県支部)の選定会議で最終決定される。選定会議への参加者は市の代表であり、数は法律で決められている
9)県の政党は、リストを3月末までに選挙区管理委員会に提出する。この3月末前後から、政党の候補者名がメディアで明らかになる
10)リストに載る候補者数は、主要政党の場合、定数プラス6~8人。たとえば2017年、オスロ(定数17人)の労働党リスト・保守党リストともに25人だった。全土では4438人が立候補した。
11)当選した議員1人に代理議員1人がつくため、3人当選すると次点の3人が代理議員となる。議員が、大臣になったり(権力の集中を防ぐため大臣と国会議員の兼務は禁止)、病欠、育休をとったりした際に代理をつとめる
12)選挙運動には期間の定めがない
13)選挙運動の方法は、討論会、戸別訪問、チラシ配布、ネット広報、電話かけ…などほぼ何でも自由にできる。が、候補者ポスターや宣伝カーはない。本格始動となる夏頃から、全国あちこちで、さまざまな団体や組織が政党代表による討論会を開く。メディアで報道されることも多い。またメディアも政党同士の政治討論会番組を放送する。こうした政党討論会が主な選挙運動
14)政党同士の討論会のひとつがスクール・エレクション。高校の生徒会が、全政党に招待状を出して、投票日前に校内で討論会を開き、選挙キャンペーンをする。その数日後、実際に投票も行われる(模擬投票)。結果はただちに集計されて、 メディアに流される。若者の投票傾向としてメディアも報道する
15)事前投票は7月1日から投開票日の前の金曜日まで
16)多くのメディアが独自に「あなたの考えはどの政党に近いか」というクイズを設け、市民に政党の政策を知る機会を提供する。たとえば「企業減税をしたい(ハイ、どちらというとハイ、どちらかというとイイエ、イイエ)」など
17)有権者にリストの順番を変える権利がある。自分の好きな候補者名の横にある空欄に1番などと数字を入れて順番を変える試みができる。また削除したい候補者にバッテンをつけることもできる(変更されるには多くの人が行使しなければならず、実際は、国会議員の政党の候補者リストが変更になることはまれである)
18)投票用紙は、政党リストが形を整えられたもので、選挙区ごとに大量に印刷される。投票前まで投票用紙はセンシティブなものとはみなされていない。あちこちで配布される

以上、『ノルウェーを変えた髭のノラーー男女平等社会はこうしてできた』(明石書店、2010)に詳述されているテーマが多い。

【注1:2017年10月13日更新】
【注2:ノルウェー総選挙の投票率は最終的に78.2%。上記の9月30日東京新聞の通りである。以前、FEM-NEWSで「投票率は77.6%」と紹介したが筆者滞在時の9月14日時点で公表された数字】
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by bekokuma321 | 2017-10-01 16:17 | ノルウェー

ノルウェーの国政選挙の投票率は77.6%だった。全426市が投票者数を数えたその合計だ。前回の2013年に比べて0.6%減少した。

かつてノルウェー人から「投票率80%以下では民主主義の危機だと考えており、国をあげて投票率を上げる努力をするのです」と聞いたことがある。

ノルウェーに来て以来、投票を促すさまざまな啓発キャンペーンを見聞きし、「世界一の民主主義の国はさすがだ」と感心した。それでも80%には届かなかった。

とはいえ、2012年も2014年も50%台だった日本の国政選挙(衆院)の投票率の低さを考えると、健闘しているといえる。

下は、オスロ市内での投票風景。

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オスロの病院で看護師をするマリア・ナルードはオスロに住んでいるが、住民票は他市にある。オスロ市のカールヨハン通りに設けられた事前投票所で事前投票をした。住民票と異なる市で投票したら、投票用紙は茶封筒に入れられて住民票のある市に当局から配達される

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▲オスロ市民でリサーチャーのクリスチン・ダーレンは、9月11日9時、オスロ市庁舎の投票所が開くと同時に投票をした。夫と子どもと一緒にやってきた。子どもは小学2年生。学校が投票所になっているので休日。「休みの夫は、子どもと一緒に家にいられるけれど、私は仕事がありこれから勤務先に向かいます」と。夫は、ノルウェー版ファイナンシャル・タイムズと言われるDNの政治記者。

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▲高校3年生のエッラ・フレドハイムは18歳。自宅近くのHøyenhall 小中学校で、生まれて初めて投票した。「スクール・エレクションでの投票と同じでなかったのでとまどい、係りの人に聞いたらわかりやすく教えてくれた」。係りの人が心配そうに彼女を見つめている。どの政党に投票するかは決まっていたので困らなかったという。「スクール・エレクションの政党討論会が参考になりました。自分がどの政党を支援すべきかがよくわかりました」


【ノルウェー2017年選挙のルポ】
投票日の夜は政党のパーティ(ノルウェー)
国会議員選挙結果、女性41.4%(ノルウェー)
真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)

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高校生も立候補するカネのかからない選挙 (近江真理)
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
同じ18歳であってもーーノルウェーの選挙、日本の選挙(木村昭子)
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~
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by bekokuma321 | 2017-09-14 05:26 | ノルウェー