カテゴリ:ノルウェー( 547 )

ノルウェーは、今年も世界一の民主主義国に輝いた。民主主義インデックスと呼ばれる指標で、上位にはノルウェーをトップに北欧諸国が並ぶ。

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イギリスのエコノミスト誌の調査機関 Economist Intelligence Unit による調査。棒グラフ作成はFEM-NEWS。

調査は、世界167カ国を、5つのカテゴリー別にいくつかの項目を10点満点で採点する。総合得点にしたがって、「完全な民主主義」「不十分な民主主義」「混成政治体制」「独裁体制」の4つにクラス分けする。

日本は、「不十分な民主主義」クラスの仲間だ。しかし、前年の23位より順位をあげて20位となった。日々報道される政治ニュースから、20位は高すぎるのではないか、と私は思う。

噂の「アメリカ ファースト」の国 USAも日本と同じ、「不十分な民主主義」クラス入りとなった。日本とほぼ同じ得点で20位から21位に落ちた。

5つのカテゴリーの質問を簡単に和訳する。

① 選挙過程と多元主義 electoral process and pluralism:
「国会議員選挙、首相選挙、地方議会選挙が自由に公平に行われているか」「政党の政治資金の出し入れは透明であるか、かつ一般に受容されているか」など12項目

② 政治機能 functioning of government:
「自由選挙で選出された代表が政策立案にたずさわっているか」「国会が、他の行政機関よりも上位にある最高の議決機関であるか」など14項目

③ 政治参加 political participation:
「投票率」「少数民族や少数派があげた声が政策過程に反映されるか」「国会議員における女性の割合」「政党や政治団体への参加率」など9項目

④ 政治文化 political culture:
「安定した機能的な民主主義を支えることに世論は合意しているか」「議会や選挙を無視するような強いリーダー像を望んでいるか(筆者注:望む文化だと減点)」など8項目

⑤ 市民的自由 civil liberties:
「インターネットや新聞を含むメディアが政治権力に支配されないか」「労働組合を自由に組織化できるか」「異なる政治的意見が公開で自由に議論されているか」など17項目

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 ▲ノルウェーの国政選挙風景。市民が集まるマーケット通りにテントが並ぶ。そのテントが政党の選挙事務所。テント前で政策論争が行われる。比例代表制選挙であり、有権者は政党を選ぶため、どの政党も政策の違いを鮮明に出す。日本のような宣伝カーやスピーカーでの連呼はない。供託金という概念すらない。また候補者にはただの1円もかからない。

トランプ効果
高校生も立候補するカネのかからない選挙
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
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by bekokuma321 | 2017-01-28 19:41 | ノルウェー

c0166264_3103788.jpg12月7日、京都の丸太町まで出かけて行って三井マリ子さんの講演会を聞いた。

会場となったハートピア京都に早めに到着したので、回りを見ると、精神の病を持つ人への偏見をなくそうという“シルバーリボンキャンペーン“のグッズや、小物、漬物、コーヒーなどが販売されていた。聞けば、主催をした、精神にハンディを持つ人たちが生きやすい社会を目指すボランティア団体「風のリンケージ」の人たちの活動の一環だという。

三井マリ子さんは、「こころのバリアフリーをめざして:ハンディをハンディと感じさせない社会へ」という講演をした。

「バリアフリー」を体現している社会だと三井さんが考えるノルウェーで撮影した写真を見せながらハンディを抱える人がハンディを感ぜずに暮らすために必要なサポートシステムを紹介していく。

三井さんは、ハンディをハンディと感じさせない社会にするには、サポートシステムも必要だが、差別・選別・決めつけをしない価値観を多くの人々が持つことではないかという。では、その価値観は、ノルウェーでは、どのようにして醸成されるのか。

重要なのは教育だと三井さんは言い、その基本は、小学校から大学まで無償であることだと強調した。ノルウェーの教育法では、男であるか女であるかを問わず、ハンディのあるなしにかかわらず、どこの出身であろうと、どんなに障碍を持っていようと、誰もが公平・平等に無料で、同じ教育を受ける権利があるとされている。

だから、ノルウェーに「支援学級」「養護学校」は存在しない。ハンディを持つ子と持たない子を分けることなく、同じ学校で、同じ教室で、皆が一緒に授業を受けるのだという。それぞれのハンディに必要なサポートは補助教員がつくことで、他の生徒たちといっしょに学校生活を過ごす。

さらに小学校は、生徒にテストで選別することはなく、通信簿というものがないのだという。高校教師だった三井さんは、ノルウェーのこの選別しない教育を初めて知ったとき驚いたらしいが、私も本当に驚いた。

初等教育での、公平・平等な体験が、差別・選別・決めつけはいけないという価値感を育成していき、その後のハンディを取り除く政策への税金投入を是とする人々を増やしているのではないか、と三井さんは言う。

誰も、長い人生で何度かハンディに出会う。

生まれた時から心身に重いハンディを持つ子ども、シングルマザーになった母親、妊娠・出産した大学生、うつ病を発症した首相、一人で暮らせなくなった高齢者などなど。5人の子どもの母親でありフルタイムで仕事をする女性は、出産のたびに「産休・育休」を取るわけだが、「またか、などと職場で嫌みを言われたりしないか」と三井さんが尋ねたら、意味が理解できないようだったという。三井さんは、「育休は男性社員もとるし、当然の権利ですから」と言われたそうだ。

最後に、ノルウェーの市議会議員の写真を見せて、それぞれの職業を三井さんは示した(ノルウェーの地方議員は通常の仕事や学業を続けながらの無給ボランティア)。その職業の多彩さだけでなく、看護師、教員、ケアセンター施設職員など、人の世話に関する職業が多いこと。

手厚い福祉政策を制度化して、予算をつけていけるのは議員だ。バリアフリーの実現のためには、「ハンディをハンディと感じさせない社会」をつくろうと考える議員が議会にいなければいけない、と三井さんは語った。三井講演の締めは、やっぱり選挙だ! 選挙はチャンス! そう思うと、選挙もまた楽し、である。

大きく違うノルウェーと日本だが、「ハンディをハンディと感じさせない社会」を目指し、前を向いて進んでいこう!という気になった。

岡田 ふさ子(さみどりの会* 事務局)
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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった


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 ▲1位ノルウェー、最下位日本。公的教育への支出比較(OECD)[三井講演パワーポイントデ―タ]

子どもたちがはぐくむ平等と包括教育
ダウン症の人には「何でもやれる能力がある」
ノルウェーの「オープンネス賞」
お金がなくても、ノルウェーになら留学できそう
精神疾患を公表したノルウェー現職首相の思い出
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by bekokuma321 | 2016-12-12 03:23 | ノルウェー

c0166264_17343676.jpg12月6日、ノルウェーで「ベスト清掃員賞」という珍しい賞の授与式が行われた。

ノーベル平和賞とは違って知る人はほとんどいないと思われるので、かいつまんで紹介する。

2016年のベスト清掃員賞は、メルフス市のシッセル・シァイ(写真中央)に授与された。市議会場で表彰された彼女は「感動で涙を流した」と報道されている。

授与者は、組合員35万人を擁する公務員労働組合(Fagforbundet)。ノルウェー連合LOの傘下にある。その公務員労働組合が、清掃労働組合員3万人によびかけ、今年は、全国から推薦された候補者80人のなかから厳選された。

シッセル・シァイの受賞理由を要訳する。

彼女は、1990年から清掃業務を始め、2000年からトロンデラ―グというノルウェー中部地域にあるメルフス市の公務員となった。今では、60人の清掃員をまとめて、メルフス市の清掃業務をけん引するスーパー清掃員だ。

彼女は、業務を的確に遂行しているだけでなく、同僚への連帯意識が高く、見習いのひとたちの訓練・教育にも卓越しており、プロの仕事としての清掃業務に対して愛情と関心を寄せていて、それが職場環境を向上させ、市全体に貢献している、と高い評価を受けた。

c0166264_23492224.jpgこの賞は、誰がどんな趣旨でいつから始めたか不明だが、多くの清掃業者の激励になっていることは確かだ。清掃業務は、圧倒的に女性が多く、移民が就きやすい職種である。他の職種に比べて平均年収が低いため、労働組合Fagforbundetは、長年、「同一価値労働同一賃金」を掲げて闘ってきている。

清掃をしてくれる人がいるから、清潔で気分のいい環境で働ける。いい環境は仕事の効率をあげる。でも、つい掃除をしてくれる人の存在を忘れてしまいがちだ。そんなひとりである私も、このニュースにガツンときた。

おめでとう! シッセル・シァイ!

Glad og overrasket årets renholder
Fagforbundet

【写真上:Fagforbundetの記事より。 下:2016年の清掃員賞候補者募集のパンフレットより】
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by bekokuma321 | 2016-12-10 17:51 | ノルウェー

今年のソニア賞は、トロンハイム市のイーラ小学校が受賞した。

ソニア賞とはノルウェーのソニア王妃が授与する教育賞。ノルウェー全土の小中高から、平等と包括性(equality and inclusive)にすぐれた活動をしているとみなされた1校が選ばれる。

トロンハイム市立イーラ小学校は、1770年に創設された。1年生から7年生まで全校生徒425人。その20%が移民などマイノリティ。生徒たちの母言語は、なんと25にのぼる。

11月29日の授与式にはソニア王妃が出席した。王妃は、式典だけでなく、イーラ小学校の授業にも参加した。ノルウェーのニュース動画や写真(ベーゲーVG、2016.11.30)は、王妃を迎える、生徒たちののびやかな姿を伝えている。

6年生の「料理と健康のクラス」に王妃が入室する。王妃のそばには案内役の生徒会会長がいる。その少し後ろに校長、さらにもっと後に市長(頭しか見えない)とソニア賞選考委員会代表が見える。クラスの先生は見えない。生徒が主人公であることは一目瞭然だ。

王妃から「私もこの学校に入れるかしら?」と聞かれて、生徒たちは「もちろん」。すると王妃は「大人でもいいの?」。すかさず、再び「もちろん!」。

「新入生受け入れクラス」という、生徒同士で教え合うグループの存在も、ユニークだ。移民の子どもたちが、学校生活にとけこめるようにするために設けられた。「新入生受け入れクラス」で教えるのは、ソマリアからの移民の小学生だ。彼女はノルウェーに来てわずか4年しかたっていないが、ノルウェー語にも学校生活にも慣れて、今ではノルウェー語を理解できない移民の新入生に教える側だという。隣にはシリアとベトナムから来た生徒が座っている。

さらに重要な点は、教員にも移民出身がいることだ。王妃が、ベールを被った女性教員2人とあいさつをしている写真もある。

ソニア賞選考委員会の文書によると、イーラ小学校のすばらしさは、マイノリティの生徒を進んで受け入れているだけでなく、マイノリティの生徒たちが「ここは安心だ」と思えるような具体策があり、長年にわたって学校ぐるみーー生徒、教員、職員、保護者ーーでとりくまれていることだ。

「イ―ラ、世界の中心」と名づけられた文化祭では、1週間、生徒中心に多彩な文化・芸術が咲き誇る。加えて、対話を重視する、学校独自の「いじめ対策・行動計画」も高く評価された。

強調したいのは、こうした活動の決定から実行のすべてに生徒会が深くかかわっていて、それこそが「民主主義の基本である」と評価されたことだ。

ちなみにノルウェーの生徒会組織は、生徒に影響を及ぼす環境に関して教員や保護者の組織とともに、主体的に関わる。高校生になると、生徒会は県議会に提案し議会で意見を述べる権利を持つ(教育法11条)。そもそも、学校教育の目標は、「民主主義、平等、科学的思考を促進するため」とされている(教育法1条)。

ソニア賞の賞金は25万クローネ(約340万円)と絵画。だけど、イーラ小学校の生み出す「平等や包括の精神」は、クローネをいくら積んでも測れないほどの値打ちがある、と私は思う。

Dronning Sonja om flyktninger: – Viktig å vise raushet
Dronning Sonjas skolepris til Ila skole
Want to apply
ノルウェー国王のスピーチ録画、277万回再生される
ダウン症の人には「何でもやれる能力がある」
映画『パパ、ママをぶたないで』が生まれた国ノルウェー

【追記】大事なことを書き忘れていた。ノルウェーの小学校には、始業前と放課後に学童保育が完備されている。ソニア賞選考委員会は、学童保育所の「平等や包括の精神」をも評価して、ベストと決めた。

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 ▲トロンハイムの夏祭りを楽しむ市民や観光客。

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 ▲トロンハイムの風景。大きな川が流れていて、カヌーをこいでいる人が見える。

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by bekokuma321 | 2016-12-01 19:06 | ノルウェー

トランプ効果

アメリカの大統領選は、トランプ候補の当選に終わった。実はクリントン候補が180万票ほど多く取った、にもかかわらず。

選挙制度のせいである。各州で1票でも多くとったほうに選挙人全員が割り当てられるため、トランプの選挙人は300人以上。過半数270人をはるかに越える。たとえば、ある州でトランプ50.1%、クリントン49.9%だったとすると、その州の全ての選挙人は、トランプに回って、クリントンには1人も行かない。

死に票がごっそり出る選挙制度だ。無慈悲にも、「勝者総取り方式 Winner take all」と呼ばれているらしい。

選挙制度が歪んでいる上に、アメリカでは、投票集計に何か問題があったのではないかという疑いが浮上している。ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州の3州で、票の数え直しの要求があり、実際、ある州では再集計が行われているという。

c0166264_20362446.jpg一方、トランプ候補の女性差別、人種差別、イスラム差別、同性愛差別に対して、反トランプ・デモが続けられている。11月8日だけで、全米30市、16大学で大きなデモがあった(Wikipedia)。アメリカ国外にも広がっている。

おもしろいのは、北欧ノルウェーだ。

大統領選の結果がわかった11月8日、ノルウェー労働党はただちにデモをした。スローガンは、こうだ。

「今朝のアメリカの選挙にがっかりしているあなた。来年の9月12日はがっかりしないように」

「投票日まで300日。新しい政府に変えよう」

トランプ当選のような悪夢をみたくなかったら、選挙で態度を示そう! なるほど「民主主義度、世界一の国」の国民は考えることが違う。

このデモに呼応するかのように、労働党を先頭にほぼすべての左派政党で党員数が伸びていると、報道されている。現在ノルウェーは保守党を軸とする右派政権であり、労働党は野党だが、今、選挙をしたら、左派92議席、右派72議席と、左派中道政権に戻る。トランプ効果だ。

ここで強調したいのは、ノルウェーには解散がないことだ。国政選挙は4年ごと。9月の月曜日と定められている。選挙のある年の前年暮れには政党が候補者を決めて、メディアで公開される。そう、ちょうど今頃、来秋の選挙の候補者が決まる

9月の選挙では、投票者は政党を選ぶ。だから、候補者個人が、顔や名前を売ったりする必要は全くない。これから9月まで300日。その間、じっくりと時間をかけて、政策を伝えては論争をして、党員を獲得する。これがノルウェーの選挙運動だ。もちろん、選挙期間はない。こういう選挙だから、育児休業中の女性も当選できる。

日本は、小選挙区制という死に票の多い選挙であるうえ、選挙期間が驚くほど短い。それに首相に解散権があるため、選挙日程はギリギリまでわからない。突然の解散・短期決戦となると、現職が有利なのは目に見えている。新人ーーとりわけ女性には新人が多いーーは、有名タレントか世襲でない限りほぼ絶望的だ。

日本の女性の国会議員数は世界で最低ランクだが、この制度が続く限り、女性議員を増やすことは、これまた絶望的だ。

制度を変えるのは容易ではない。でも、イギリスを除く多くのヨーロッパ諸国は、比例代表制に移行している。ノルウェーは、100年ほど前に小選挙区制を捨てて比例代表制にした。元祖小選挙区の国イギリスでも小選挙区制への不満がわき起こっているという。


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▲ノルウェー国会の前で遊ぶ小学生

豊かさとは
世界一民主的な国
イギリス6割が選挙制度改革に賛成
Emigrate now - to Ringerike(「ノルウェー自治体へ移民を」と、米大統領選挙後の移住希望者を勧誘する緊急サイト。アメリカ人とりわけノルウェー系アメリカ人に呼びかけている)
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by bekokuma321 | 2016-11-26 21:47 | ノルウェー

c0166264_1116543.jpg大学1年になる親戚の男の子が、「18歳になったので今年から選挙権があるんだけど、よくわからないから結局棄権してしまった」と言ったのが気になっていました。

そんな時、三井マリ子さんの「高校生が議員になれる国ノルウェーの選挙」に参加しました。

まず、高校生議員が生まれる背景を知りたかったのですが、何と小学生から授業の中で実際の政治に触れ、政党への政策アンケートを小学生自身が作成したり、高校では立候補者を学校に招いて選挙討論会も実施されるという。やはり高校生が議員に立候補するまでには積み重ねがあったのだと実感しました。

ノルウェー公職選挙法では、18歳から投票できるだけではなく、立候補もできるとのことですが、「18歳になったら、原則として誰もが立候補する覚悟をする」という言葉が印象的でした。

投票ができるようになった日本の18歳も、もっと選挙や政治を身近なものにしていくことが必要だと思いました。ただ、落選確実と思って立候補したら当選してしまったというノルウェーの女子高生、1期やって政治家は向かないと2度と立候補しなかったようですが、彼女は任期中、どんな仕事ぶりだったのかを知りたい気がしました。

もう一つ驚いたのは、ノルウェーなど北欧諸国では、基本的に地方議員はボランティアであるということです。ボランティアだから、様々な職業の方が議員を務め、女性議員が3分の2を占める議会も出てきているのだろうという気がしました。

日本ではお金がなければ選挙にも出られないし、政治とお金の事件は後を絶ちません。比例代表制という民意が反映する選挙制度で、候補者は選挙にお金をかける必要がまったくないから、高校生も立候補し、当選できるのでしょう。

そんなノルウェーの議会も100年前は男性がほとんどだったことが、当時の写真からわかりました。まだまだ課題は山積ですが、日本でももっと女性議員が増え、過半数を超えるような時代が来るのを期待したいものです。

近江 真理(元都立高校教員)

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小選挙区制の日本、比例代表制のノルウェー
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる
ノルウェーの2013年国政選挙
スクール・エレクション

■ノルウェー王国大使館「ノルウェーの地方選挙レポート 2011」
第1回 「女のクーデター」再び -平等・反差別オンブッドは語る
第2回 選挙運動を担うソーシャル・パートナー
第3回 女性参政権100周年から子ども参政権へ
第4回 北部ノルウェーを支えるサーメの女性たち


【写真上:高橋三栄子撮影、下:三井マリ子作成PPTデータより】
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by bekokuma321 | 2016-11-26 11:29 | ノルウェー

ダウン症の人「毎日幸せ」9割超――今朝の朝日新聞の見出しだ。私まで幸せな気分になった。

知的発達の遅れや心疾患を伴うことの多いダウン症だが、「豊かな感性や知性を発揮して活躍する人も多い」という。記事(岡崎明子)を読みながら、2011年秋、ノルウェーで出会ったニュースがよみがえってきた。

ノルウェーでは地方議会選挙と同時に、キリスト教区議会議員の選挙も行われる。その教区議員に初当選したダウン症の女性が紹介されていた。

当時の報道によると、教区議会に当選した女性はハンナ・アースタ(Hanne Aarstad, 29歳)。オスロの南部にあるフレデリスタに1人で住んでいるワーキング・ウーマンだ(注1)。小・中学生向けキリスト教クラブの指導者をつとめている。

フレデリスタを含むキリスト教教区の議会の議員候補になってほしいと言われた彼女は、すぐ「いいですよ」と。「とてもわくわくするような、挑戦的な仕事だと思ったから」だという。

取材に応えた彼女の言葉をいくつか和訳してみた。

「ダウン症がくれたチャンスを生かすことは重要なことです」

「あまり自分がダウン症だと感じたことはないのです。多くの人は私をずっと他の人と同じように見てきたと思うし、私も自分の症状のことばかり考えてはいません。中学の頃は考えましたが、今は、あまり考えることではありません」

「私はごく普通のワーキング・ウーマンです」

「私たちには何でもやれる能力があります。することに少し時間がかかりはしますが」

「議員に当選して、今日は自分にケーキを買って自分にお祝いをします。教区議員の仕事については今はまだよくわかりません。でも、教会をよくするために何ができるか考えたいです」

「私に、議員候補になってほしいと声をかけてくれたことに感謝します。ソーシャル・インクル―ジョン(障がい者などが社会に溶け込むこと)には、必要なことです」

ドキリとさせられる珠玉の言葉の数々。ノルウェーの徹底した平等教育の賜物に違いない(注2)。


【注1】ハンナは、2003年ごろ、FASVO社でサンドイッチなどを作る仕事をしていた。FASVOはフレデリスタ市が出資して1993年に創設された会社。日本でいうハローワークと連携しながら、障害の具合に適応した就業形態をつくりあげて、障がい者を雇用している。訓練のほか、パン、ケーキ製造販売や宅配、カフェテリア経営など、いろいろ。

【注2】ノルウェーには、障害を持つ子だけを集めた特別の学校はない。他の生徒と同じように一般の学校に入学して学習する。大きな特徴はその生徒に補助教員がつくことだ。しかし心身障害の程度もさまざまであり、教科によって対応が難しかったり、教員不足だったり、問題がないとはいえず絶えず議論されているようだ。ハンナは、Glemmen videregående skole卒業と書いているが、これは一般の高校である。

Til topps med Downs syndrom
日本ダウン症協会
Norsk Nettverk For Down Syndrom
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          ▲ノルウェーのStave Church.(本文とは関係ありません)
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by bekokuma321 | 2016-11-24 23:56 | ノルウェー

久しぶりに三井マリ子さんの講演「高校生が議員になれる国ノルウェーの選挙」を聞いた。政党交付金にまつわる厳しい裁判を終えた三井さんは、すっかり変貌していた。

「政党交付金や選挙制度について勉強しましたから、今はよくわかります」と、苦悩の衆院選体験を笑って語り、タフさが戻ったかのようだった。

衆院選とその選挙にまつわる裁判を闘った三井さんは、講演の冒頭で「1 小選挙区制は悪い制度である」と、石川真澄と阪上順夫の本から引用した。そして、「2 比例代表制は民意を反映する」と言った(左下Moreをクリックして末尾PPTを参照)。この2点を証明するかのように比例代表制をとる「ノルウェーの選挙制度」が紹介された。

c0166264_20443766.jpg講演の最後のほうで、ノルウェーの小さな自治体「オーモット市」の議員一同がアップされた。100年ほど前のものだという。女性は端っこにただ一人。男性は一様に黒っぽいスーツにネクタイ姿。年齢も似たり寄ったりの高齢層。表情さえ似たり寄ったりの強面だった


c0166264_20482020.jpg次に映されたのは、100年経った、同じ「オーモット市」の現在の議員一同だった。その前列は、女性で占められ、男性は後ろの列に並んでいる。多様な年齢層。服装もカーディガンにパンタロンの女性あり、ワンピース姿の女性あり。男性もセーターあり、ワイシャツ姿あり、ジャケットあり、といった具合だ。年齢、性別、服装、のどれをとっても一色におさまらない。このオーモット市は地方選挙後、女性の当選割合68%である、と大きく報道されたとか。
 
北欧諸国のみならず、ヨーロッパの多くの国々では、地方議員は無報酬のボランティアが多いと三井さんは言った。報酬はないが、住民からの強い信頼と尊敬の念を得て働くのだという。

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by bekokuma321 | 2016-11-16 21:30 | ノルウェー

日本でも18才以上に選挙権が与えられるようになりましたが、被選挙権がないことは議論にすらなっていません。そんななか、三井マリ子さんの「高校生が議員になれる国ノルウェーの選挙制度」という講演会があり参加しました。

もし日本で主権者教育が高校生になされているならばの話ですが、その主権者教育には「どんな選挙制度があるか、その比較やプラス・マイナス」を取り上げるべきです。現行の、小選挙区中心の選挙制度を前提した教育ではダメだと思います。

FEM-NEWSの読者に高校教員がいたら、僕に連絡してください。三井さんが作成したレジメをお渡します。そのレジュメにある「1: 小選挙区制は悪い制度である」 「2: 民意を反映する選挙は比例代表制」 を生徒に知らせて、こういう意見があるが、どう考えるかと、みなで議論をすることが今、きわめて大事だと思います。

議論の参考資料として、ノウェーの比例代表制選挙をわかりやすく説明した、「3~6:女子高校生議員」 「7: スクールエレクション」 「10: 選挙は人を選ぶのではなく政党を選ぶ」などを見せるといいと思います。

ノルウェーの投票は人に入れるのではなく政党に入れるのですから、候補者は名前や顔を売る必要が全くないため、候補者に1円の負担もかかりません。選挙期間もなく、戸別訪問や政策討論会がメインですから、日本の選挙戦での騒がしすぎる名前の連呼をしなくてもよい。地方議員は完全ボランティア(無報酬)ですから、さまざまな職業の人や学生が議員になって、多様な意見がとりいれられる。代理議員がいるから、現職議員は休職して出産、介護、病気治療などを当たり前にできる。

こういう具体的なノルウェーの事実を知ると、日本とノルウェー、どちらが人に優しい選挙制度なのか、を生徒たちは自然に理解すると思います。

「集団的自衛権」「TPP」「原発」といった課題を学校で扱うことは大切ではありますが、党派的に偏ることを恐れる教員たちが敬遠してしまいがちです。しかし、「どんな選挙制度があるか? その選挙制度のプラス・マイナスは?」は公共的領域の問題であり、政治的に「中立」ですので、学校で扱いやすいのではないでしょうか。

もちろん「全ての議会を人口比と同様に男女半々にする」ことを世界が目標にしているときに、日本では約370自治体にただの1人も女性議員がいないことを、生徒たちに知らせて、なぜなのか、どうすべきかを議論させて欲しいです。かならず選挙制度に行きつきます。

「選挙制度を変えること」と、理想的政治に一歩近づくこととは因果関係があります。もしこれを読んでいる高校教師のかたがいたら、頑張って下さいね

田口 房雄(元公立中学校・社会科教師)
連絡先:danjyohanhan-gikai(A)docomo.ne.jp  (A)を@に変えてください。

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▲「高校生が議員になれる国ノルウェーの選挙制度」(三井マリ子作成PPT)より


「これでいいのか日本の政治家」を読んで
比例を切るな!
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
女性の衆議院議員は1割に満たず
政治は男のものではない
日本の女性国会議員、189カ国中163位
比例区削減案に反対します!
日本の男女平等度、世界101位
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by bekokuma321 | 2016-11-15 02:36 | ノルウェー

来年はノルウェー国会議員選挙がある。それに向けて、今秋、県の政党は候補者リスト原案を固める。

最大の選挙区はオスロで、19議席ある。そのなかで最も票をとる政党は労働党。そのオスロ労働党がやっと候補者(原案)を決めたようだ。

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ノルウェー国会

オスロの国会議員定数19をめぐって8,9政党がしのぎを削る。比例代表制なので政党の獲得率に比例して議席数が決まるのだが、労働党はだいたい6議席をとっているので、6番目までは「安全地帯 safe seat」だ(注)。

そのオスロ労働党1番から6番まで、誰になるのか、さまざまな憶測が飛んでいた。というのも、首相だったイエンス・ストルテンベルグの引退に加え、ベテラン女性議員マリット・ニーバックが引退し、パキスタン系の女性国会議員ハディア・タジク(労働党副党首)が地方に移籍することになり、新人の入り込む余地が多いからだ。

ノルウェーのメディアや友人らの話によると、前首相に代わる1番は、党首ヨーナス・ガール・ストーレ(元外務大臣)と動かない。問題は、女性国会議員2人の空席を誰が埋めるからしい。少数派の女性を探しているのだという。

そして、今日、メディアでオスロ労働党の候補者リスト案が公表された。6番目までを見ると、性別は、男→女→男→女→男→女の順番となっていた。

1位ヨーナス・ガール・ストーレ(党首、前外相)は予想通りだった。2位マリアンヌ・マッテンシェン(国会議員)、3位ヤン・ブーリル(国会議員)、4位シーリ・ゲ・ストーレセン(国会議員)、5位エスプン・バース・アイダ(前外務大臣)、6位サイネブ・アル=サマライ(弁護士)だ。

感心したのは、6位にサイネブ・アル=サマライをすべりこませたことだ。

彼女は、典型的少数派イラク系ノルウェー人だ。7歳のとき、ノルウェーにやってきたイラク移民の家庭に育ったという。現在は弁護士として活躍し、オスロ市議会代理議員に選ばれている。ハディア・タジク(労働党副党首)もそうだが、サイネブ・アル=サマライは、移民家庭の子どもであっても最高レベルの教育を受けてきた。これは、ノルウェーでは教育費が小学校から大学院まで無料であるからだろう。

そして、繰り返しになるが、政党中心の比例代表制選挙だからこそ、彼女のような女性が国会議員の有力候補になれるのである。


Espen Barth Eide gjør comeback i norsk politikk
あざやかな歴史
何と爽やかなノルウェーの選挙!
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
小選挙区制は女性の声を捨て去る
2014衆院選 比例制に変えるしかない
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
比例制選挙がいい

【注】政党は、候補者リストにできるだけ多くの候補者名を載せ、広範囲の集票を期待する。2013年の国政選挙で、オスロ労働党の候補者リストは25人(定数19+6)だった。男13人 (52.0%) 、女12 (48.0%) とクオータ制を守っている。 最高齢74 歳、 最年少20 歳、平均45歳と年代も広い。日本の実態からすると議員は市民の代表という基本を堅持しているように見える。しかし、ノルウェーの新聞には、政治家や政党関係の職業が多く、一般市民の代表とはいえないと厳しく批判した記事もあった。
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オスロ労働党が10月末に公表したオスロ選挙区の候補者リスト原案。7番から25番までは割愛。意見があれば1ヶ月以内に出せる。その後、「候補者選定委員会」で議論・決定され、年内には2017年秋の国政選挙候補が確定する
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by bekokuma321 | 2016-11-02 18:38 | ノルウェー