カテゴリ:ノルウェー( 589 )

カナダの首相ジャスティン・トルドーは、なんとクール!

「男の子をフェミニストにしよう。男の子には、この性差別文化を変える責任があるし、その力もある」と寄稿の中で言っていた。昨日の英紙ガーディアンの報道。

今日は、カナダではなくノルウェー。ノルウェーには、こんな男性フェミニストがいるよ、というニュース。

ノルウェーのサッカーチームは、来年から男女給与差を撤廃する。その方法がなんともクールだ。男子の給料を下げて、その分を女子の給料に上乗せするのだという。これまで、女性の給与は男性の約半分だった。

ノルウェーサッカー男子代表主将ステファン・ヨハンセン(26)の言葉が最高にクール。NRK(日本のNHK)のニュースから訳してみる。

「大きな格差があり、女性たちの給与を今より2倍にできるか問題でしたが、私は、そうしたいのです。それがあるべき姿です。彼女たちに励みになります。私たちは、ノルウェーのサッカーチームを前に進めたいのです。女子も男子と同じく重要です」

男性の給与を減らしても男女同一給与にすることが、「あるべき姿」だと言うのだ。それに引退したサッカー選手のエギル・オステンスタッドもすぐツィッターした。

「今週の最高の数学だね」

さて、日本のサッカー界はどうだ?

Herrelandslaget tar lønnskutt for å hjelpe fotballkvinnene


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▲先月、ノルウェーで行われたホームレス・サッカー世界大会。難民や移民の子どもたちのサッカー試合だという。オスロ市庁舎前の広場がサッカー場に早変わり。サッカーにも平等精神が花開く
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by bekokuma321 | 2017-10-14 19:34 | ノルウェー

投票所のバリアフリー

総選挙真っ最中だ。先月、民主主義度世界一の国ノルウェーの総選挙を取材してきた。東京新聞に報道され、今ならWebでも見られる

日本の選挙との余りの違いに驚いたという感想がいくつか届いた。中でも、投票所に行けない人へのケアの充実に驚いたという反響が複数届いた。

10月9日、精神疾患を持つ人たちへの日本の処遇について語り合う会「精神病院のない社会」
に参加した。テーマにはなかったが、精神病院に入院している人たちはどんなふうに投票をしているのかに関心を持った。

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 ▲オスロの某投票所。投票ブースにはカーテンがある。少しでも空いていると外から手の動きが見えるので係りがシュッと閉めてくれる。投票用紙はブースの中に政党ごとに整理されて並んでいる(左側)

ノルウェーでは重い統合失調症でも投票所で投票できるとされている。それを知ったのは、選挙前にNRK(日本のNHKにあたる)Web版を見たからだ。「投票できないのはどんな場合か?」というアンケート形式の記事で、こうあった。

「デアは重い精神病です。違法行為をしても刑務所に入れられることはありません。刑法では、デアの症状を、物事を判断できない状態としています。デアは投票できますか」「ハイ投票できます、イイエ投票できません」

答えは「ハイ」。オスロ大学の選挙専門家アーダール教授が解説する。「ノルウェー選挙法9条4項によると、投票所と投票ブースにおいて、投票手続きの正常な行為を妨害することは禁止されている。そうした場合のみ、選挙委員会委員長または副委員長は、投票権をはく奪することができます。それに当たらないから投票できます」

この報道によると、ノルウェーでは重い統合失調症の人も、投票所に行って投票することが前提のようだ。一方、先日の集会「精神病院のない社会」からすると、日本では世界でもまれなほどおびただしい数の人が精神病院に入院している。そうした入院患者の投票は精神病院内で行われるのだろうが、その際、医師など管理者が「この候補者に」と誘導する選挙違反を防ぐ手立てはどうなっているのだろう。

病院から投票所に行きたいと言ったら、外出できるのだろうか。できたとして、投票所で精神病を抱えた人が選挙権を行使できるようケアする人員は確保されているのだろうか。

知恵遅れの人で、自分で字を書けない場合は、投票所で「選挙公報紙」を見て、候補者を指さす方法があるらしい。別室かパーテーションで区切った投票ブースにして、外から見えないようにしたうえで、行うのだという。

ここまで書いて、日本では候補者名を書く行為が当たり前だと思われているが、この「自書式投票」は、心身に障碍を持つ人にとっては大きなバリアだと気づいた。「自書式」は世界で日本だけらしい。バリアフリー社会をめざすなら、「自書式」はただちにやめるべきだろう。日本以外のほぼすべての国が、政党名や候補者名が印刷された投票用紙を投票者が1枚選び取るという方法をとっているのだ。日本にできないとは言わせない。

それと、日本では投票ブースが、外から見られないようにカーテンを閉めるようになっていない。だから障碍者は、別室かパーテーションで区切った特別仕様の投票ブースで、となる。

でも、すべての投票ブースにカーテンがあれば、障碍者への特別扱いは不要だ。投票する場合の手の動きなどをだれからも見えないようにすることは、バリアフリーであるだけでなく、だれにとっても極めて大事なことだ。これもただちに改正すべきだと思う。

書き忘れたが、ノルウェーの投票所はすべてスロープ付きだった。

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     ▲高校のなかで行われる高校生の模擬投票。ここにもカーテンがちゃんと
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by bekokuma321 | 2017-10-12 19:19 | ノルウェー

c0166264_0335640.jpgノルウェーのVG紙は、10月2日、この3年間で少なくとも40人の患者が、本人の承諾なしに精神病棟で電気治療(ECT)を166回受けさせられた、とスクープした。

ECTはかつての「電気ショック療法」。日本ではどうかとネットで調べたが、国としての調査はないようだ。「総合病院精神医学」誌によると全国で年間42,358件という調査結果がある。患者自身の承諾の有無はわからない。

ノルウェーでは、法律でECTが厳しく制限されている。しかし当事者の承諾があって、しかもECTの他には命と健康をとりもどす方法がない場合に限って、医師に例外的使用が認められている。

VG紙報道の下になったのは、ノルウェーのオンブズマン制度である(注)。そのひとつシビル・オンブズマン(かつての議会オンブズマン)は、この当事者の承諾なしのECTに対して、法律違反ではないかと厳しい批判の目を向けている。

オンブズマン(オンブッドと中性表現を使うことが多い)には強い調査権があり、その権限を使って病院側などに対して情報を出させたことによって、実態が明らかになったと考えられる。

シビル・オンブズマン予防部のヘルガ・アービック(写真)は、「緊急に必要だったという理由でECTがなされているが、その緊急状態が数日間、数週間続いている。緊急に必要ということは、その人が死ぬかもしれない重篤な事態のことであり、そうした際の治療は即効性があるはずだ」(VG紙)

医師の側は、当事者自身の承諾を得られない場合は家族に相談した上でなされていると、VG紙に答えている。

VG avslører: Ga elektrosjokk 166 ganger uten pasientenes godkjenning
Psychiatric patients in Norway given electro therapy without consent: report

【注】この報道には、ノルウェーのオンブズマン制度が深く関与している。ノルウェーでは、法律というものは、独立した特別の監視機関がなければ十分に守られないとされている。その機関をオンブズマンといい、特別公務員である。そこには誰でもいつでも簡単に相談でき、無料でなければならない。シビル・オンブズマンは1962年「議会オンブズマン」として新設された。全ての行政にかかわる問題に関連する職員全体を包括する総合的オンブズマンといえる。その他、男女平等推進や差別撤廃に目を光らせる「平等・反差別オンブッド」(オンブッドはオンブズマンの中性形)や、マーケッティング規制法にもとづく消費者オンブズマン、子どもの権利や利益を擁護する子どもオンブッドなどがある。これらは国レベルのオンブズマンであり、地方にも別途オンブズマンがいて、社会的弱者に国の制度がちゃんと機能しているか否かを監視する。
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by bekokuma321 | 2017-10-04 00:34 | ノルウェー

ノルウェーの国会議員選挙が9月11日にあった。産休中の女性や、高校生が国会議員候補になる国の選挙運動ってどういうものなのか。

ノルウェーに飛んだ。日本の選挙と比較すると余りに違っているが、東京新聞が私のメモとインタビューをもとに、簡潔な記事にしてくれた。

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記事の内容をより理解しやすいように、ノルウェーの選挙の基本を箇条書きにしてみる。

1)選挙制度は比例代表制。選挙で政党が獲得した票の割合に比例して、その政党の当選数が決まる
2)投票日は法律で4年に1度、9月第1か第2月曜と決められている(地方の判断で日曜日を加えて可)
3)議員数は169人。選挙区(=県)の議員定数は人口にほぼ比例して定められている。最大のオスロ17人、最小のフィンマルク5人など。169議席のうち150議席は選挙区19から選出される。残り19議席は4%条項をクリアした政党に分配される(『ノルウェーを変えた髭のノラ』p212~p215)
4)選挙権は、18歳から。投票する権利と投票される権利(=立候補する権利)ともに。実際、高校生の候補者もいる
5)候補者探しは、1年ほど前から、選挙区である県下の市レベル政党内で始められる。選挙権がある人なら本人の承諾なしに候補者にできる。実際は承諾を得てから載せ、現職優先で、国会議員候補には地方議員経験者が多い(ただし日本と違って地方議員のほとんどが無給のボランティア)
6)候補者名簿はリストと呼ばれる。リストの1番から当選するので、上位に載ると当選率が高い
7)政党のほとんどは、リスト作成にクオータ制をとるため女性候補は40%以上いる。しかも男女交互に並べられることが多い。また多様性のある政党とみなされたいため、青年部や移民家庭の代表を入れることが多い。1番しか当選しないミニ政党では、1番をめぐって党内で激しい議論がなされるといわれる
8)リストは、選挙区の政党(日本で言う政党の県支部)の選定会議で最終決定される。選定会議への参加者は市の代表であり、数は法律で決められている
9)県の政党は、リストを3月末までに選挙区管理委員会に提出する。この3月末前後から、政党の候補者名がメディアで明らかになる
10)リストに載る候補者数は、主要政党の場合、定数プラス6~8人。たとえば2017年、オスロ(定数17人)の労働党リスト・保守党リストともに25人だった。全土では4438人が立候補した。
11)当選した議員1人に代理議員1人がつくため、3人当選すると次点の3人が代理議員となる。議員が、大臣になったり(権力の集中を防ぐため大臣と国会議員の兼務は禁止)、病欠、育休をとったりした際に代理をつとめる
12)選挙運動には期間の定めがない
13)選挙運動の方法は、討論会、戸別訪問、チラシ配布、ネット広報、電話かけ…などほぼ何でも自由にできる。が、候補者ポスターや宣伝カーはない。本格始動となる夏頃から、全国あちこちで、さまざまな団体や組織が政党代表による討論会を開く。メディアで報道されることも多い。またメディアも政党同士の政治討論会番組を放送する。こうした政党討論会が主な選挙運動
14)政党同士の討論会のひとつがスクール・エレクション。高校の生徒会が、全政党に招待状を出して、投票日前に校内で討論会を開き、選挙キャンペーンをする。その数日後、実際に投票も行われる(模擬投票)。結果はただちに集計されて、 メディアに流される。若者の投票傾向としてメディアも報道する
15)事前投票は7月1日から投開票日の前の金曜日まで
16)多くのメディアが独自に「あなたの考えはどの政党に近いか」というクイズを設け、市民に政党の政策を知る機会を提供する。たとえば「企業減税をしたい(ハイ、どちらというとハイ、どちらかというとイイエ、イイエ)」など
17)有権者にリストの順番を変える権利がある。自分の好きな候補者名の横にある空欄に1番などと数字を入れて順番を変える試みができる。また削除したい候補者にバッテンをつけることもできる(変更されるには多くの人が行使しなければならず、実際は、国会議員の政党の候補者リストが変更になることはまれである)
18)投票用紙は、政党リストが形を整えられたもので、選挙区ごとに大量に印刷される。投票前まで投票用紙はセンシティブなものとはみなされていない。あちこちで配布される

以上、『ノルウェーを変えた髭のノラーー男女平等社会はこうしてできた』(明石書店、2010)に詳述されているテーマが多い。

【注1:2017年10月13日更新】
【注2:ノルウェー総選挙の投票率は最終的に78.2%。上記の9月30日東京新聞の通りである。以前、FEM-NEWSで「投票率は77.6%」と紹介したが筆者滞在時の9月14日時点で公表された数字】
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by bekokuma321 | 2017-10-01 16:17 | ノルウェー

ノルウェーの国政選挙の投票率は77.6%だった。全426市が投票者数を数えたその合計だ。前回の2013年に比べて0.6%減少した。

かつてノルウェー人から「投票率80%以下では民主主義の危機だと考えており、国をあげて投票率を上げる努力をするのです」と聞いたことがある。

ノルウェーに来て以来、投票を促すさまざまな啓発キャンペーンを見聞きし、「世界一の民主主義の国はさすがだ」と感心した。それでも80%には届かなかった。

とはいえ、2012年も2014年も50%台だった日本の国政選挙(衆院)の投票率の低さを考えると、健闘しているといえる。

下は、オスロ市内での投票風景。

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オスロの病院で看護師をするマリア・ナルードはオスロに住んでいるが、住民票は他市にある。オスロ市のカールヨハン通りに設けられた事前投票所で事前投票をした。住民票と異なる市で投票したら、投票用紙は茶封筒に入れられて住民票のある市に当局から配達される

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▲オスロ市民でリサーチャーのクリスチン・ダーレンは、9月11日9時、オスロ市庁舎の投票所が開くと同時に投票をした。夫と子どもと一緒にやってきた。子どもは小学2年生。学校が投票所になっているので休日。「休みの夫は、子どもと一緒に家にいられるけれど、私は仕事がありこれから勤務先に向かいます」と。夫は、ノルウェー版ファイナンシャル・タイムズと言われるDNの政治記者。

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▲高校3年生のエッラ・フレドハイムは18歳。自宅近くのHøyenhall 小中学校で、生まれて初めて投票した。「スクール・エレクションでの投票と同じでなかったのでとまどい、係りの人に聞いたらわかりやすく教えてくれた」。係りの人が心配そうに彼女を見つめている。どの政党に投票するかは決まっていたので困らなかったという。「スクール・エレクションの政党討論会が参考になりました。自分がどの政党を支援すべきかがよくわかりました」


【ノルウェー2017年選挙のルポ】
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真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
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1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
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育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)

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by bekokuma321 | 2017-09-14 05:26 | ノルウェー

お国がらで、当選を祝う風景もずいぶん違う。

日本では、候補者の選挙事務所で、当選した候補者と支援者がバンザーイと叫んだあとで当選者が「みなさまのおかげで…」と頭を深々と下げる。「ただの人」から「先生」に変わる瞬間とも言われる。候補者個人の事務所なので、集まる人もそれほど多くない。政党の中央本部では、当選者の名前にバラの花をつけて祝うイベントが行われる。

さてノルウェー。

9月11日、投票が終わった日の夜は、政党ごとの大パーティ(Valgvake)でにぎわっていた。オスロの場合、大勢が集まりやすい広い会場を借り切って、8時頃から夜遅くまで続けられる。数百人で押すな押すなの党もある。夕食を済ませた人がほとんどで、食べ物は出ないが、バーで好きな飲み物を買う(注)。

どの政党パーティにも欠かせないのは、TV開票速報を見るための巨大スクリーンと、取材陣がつめる部屋だ。NRK(日本のNHK)から民間メディア、地方メディア、ソーシャルメディアなどなど。

会場にはTVスタジオと化したような装置が設営準備され、大勢の記者がつめる。政党幹部が開票速報を受けて感想を述べる。ハイライトはトリ(党首)の登場だ。党首はスピーチで党員や支援者をひとつにする。そのスピーチはライブで全国放映され、お茶の間に届く。進歩党党首は、あふれる涙を抑えきれなかった。それぞれ党首は、この政党パーティで一席ぶった後、国会議事堂での記者会見に向かう。

比例代表制選挙なので、一人一人の当落にそれほど一喜一憂しない。政党として、前回の選挙よりどれだけ票を増やしたか、が泣き笑いの分かれ目だ。「〇〇選挙区で獲得票が〇%増えた」と報道されるたびに「ヤッター!」と歓声があがる。サッカー観戦のようだ。

どの党よりも票を増やしたのは、野党の中央党だ(最下の棒グラフ参照)。中央党のパーティではスクリーンに映る各地の朗報に「ヤッター!」の声と拍手が続く。とはいうものの、現連立政権のほうがやや多く、政権交代は夢と消えそうだ。「これで地方自治体の合併が進み、地方の民主主義が遠のく」と幹部はぼやいた。複雑な表情のパーティだった。

比例代表制選挙は、政党への支持を広げることーーそれが選挙運動だ。候補者リストに候補者数を多数載せなくてはならず、候補になることが支援でもある。候補者と運動家に大きな垣根はない。そもそも、首相の保守党党首は「アーナ」、労働党党首は「ヨーナス」だ。首相であろうと、友人のようにファーストネームで呼ぶ。議員を「先生」と呼ぶ国とは違いすぎる。なるほど、選挙パーティは、討論会、戸別訪問、ビラ配り、電話かけで頑張った運動家たち(候補者も含む)の慰労会のように見えたのも当然である。

比例代表選挙と小選挙区選挙。民意をできるだけ反映する比例代表制、民意が反映しない小選挙区制。制度の違いは、「投票日の夜」にも顕著だった。

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 ▲労働党のパーティ会場にはいろうとする人たち

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▲左派社会党のパーティは、だれでも参加自由でインフォーマル。2階にもテーブル席があり、ほかに音響装置

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▲緑の党のパーティ会場の一室に集まって働く党内プレス担当者たち。外部メディアは別室が用意されている

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▲中央党のパーティ会場では副党首(中央)が歌を披露。うしろの巨大スクリーンには開票速報。地方の農業者を主とする政党ゆえオスロの獲得票は少ない

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主要紙VGの出した選挙結果。労働党(赤いバラ)は今回も第1党だ。しかし票を減らした。結果、労働党中心の「赤・緑リーグ」は「保守中道リーグ」に勝てなかった


【注】政党の「投票の夜」パーティでは簡単な食べ物も出ることが多く、これも自費だというコメントが政党関係者から来た。高い会場費は政党が全額支払うため参加者が入場料を払うことはない。政党独自の積立金であり、政党交付金はこうしたパーティには使われないということである(2017 .9.13.2300 追記)


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by bekokuma321 | 2017-09-13 06:29 | ノルウェー

ノルウェーの選挙の結果、当選した女性は41.4%となった。これは過去最高だという。

写真は、クラウディア・オルセンClaudia Ambrosia Olsen(1896 ~ 1980)。女性で初めてノルウェー国会の委員会委員長となった女性。国会議事堂の廊下に掲げられていた。

9月11日、国会議事堂での党首記者会見を取材に来た記者たちは、夜中の12時まで待機。私はつい睡魔に襲われた。そんな私をじっと睨んでいた。

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真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
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【2017年9月11日投票日の党首会見録画はYoutubeで見られる。こちら
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by bekokuma321 | 2017-09-12 18:00 | ノルウェー

ノルウェーの国政選挙が終わった。主要政党の得票率と議席数は次の通り。

赤党2.4%(1)、左派社会党6%(11)、労働党27.4%(49)、中央党10.3%(18)、緑の党3.2%(1)、キリスト教民主党4.2%(8)、自由党4.3%(8)、保守党25.1%(45)、進歩党15,3(28)

特色は中央党の躍進と赤党の初議席だろうか。緑の党は予想ほど伸びなかった。

現政権は保守党と進歩党の連立で、自由党とキリスト教民主党が閣外協力をしている。この4党がそのままなら、89議席となり169議席の過半数となるため、メディアはいっせいに保守党党首アーナ・ソルベルグが首相を続投だろうと報道した。

しかし、キリスト教民主党の態度が決まったわけではない。進歩党とは組まないと何度も公約してきたからだ。もしもキリスト教民主党の8議席が赤リーグ(労働党と組む)に流れると、政権交代となる。

それを暗示するかのような光景が、夜中12時過ぎに始まった国会での党首討論会が終わった後、目にはいった。キリスト教民主党の党首は、保守中道の女性党首たちとは違う方向に歩いて行ったのだ(下の写真 2枚目)。

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▲真夜中12時20分から始まった国会議事堂での党首記者会見。左から赤党、緑の党、左派社会党、中央党、労働党、保守党、進歩党、キリスト教民主党、自由党。保守リーグに女性が多いが、ついこの前まで左派リーグの全政党党首が女性だった。

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▲保守党、進歩党、自由党の女性3党首に背を向けるキリスト教民主党党首

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 ▲真夜中1時過ぎのノルウェー国会。党首たちは選挙戦を終えてヘトヘトだろうが、こうして国会議事堂でいち早く結果を国民に知らせる。長い伝統だそうだが、その基本的姿勢に感銘を受ける
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by bekokuma321 | 2017-09-12 11:26 | ノルウェー

ノルウェーの国会議員選挙は、明日9月11日(月)で終わる。

オスロの繁華街カールヨハン通りには、「2017年 国会議員選挙、サーミ議会選挙 9月11日、10日」と書かれた旗がたなびく。つい忘れてしまいそうになるサーミ議会を同等に書いているところがにくい。

開票は11日、夜9時から始まるという。そのころには、選挙候補者、運動家、支援者たちは、政党ごとに設けられた「選挙寝ずの番 Election Vigil」パーティに三々五々集まる。みんなで大スクリーンに映し出される開票速報を見ては、喜んだり悲しんだり、労をねぎらったり……。

選挙に詳しい知人は「今回は大接戦だから、夜中まで結果がはっきりしないかもしれませんね」と言っている。

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▲カールヨハン通りをはさんで両サイドに、投票を促す薄紫色の旗。国会議事堂(左の建物)から王宮(真正面)にかけてズーッと何本も続く
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by bekokuma321 | 2017-09-11 08:18 | ノルウェー

ノルウェーの国政選挙は3日を残すだけとなった。

メディアは「ハラハラドキドキの選挙ドラマ」と大見出しであおっている(主要紙「ダグブラデート」)。

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比例代表選挙のノルウェーでは、国民は政党を選ぶ。政党に集まった票に比例してその政党から何人当選するかが決まる。議席は169。

「比例代表制は、勝負をつけるのではなく、票数の多い少ない、を正確に議席に反映させる。つまり多数派と少数派の双方がその大きさに比例して代表される」――三宅一郎の弁だ。小選挙区制は邪悪だと言いきった、石川真澄(元朝日新聞記者)の本に見つけた。

日本の小選挙区制では、最も票をとった人のみが当選し、それ以外の候補に入れた人の票はことごとく死票となってしまう。当選する可能性があるのは、せいぜい2番目に大きい政党の候補ぐらいだ。

昔、ノルウェーも小選挙制選挙だった(名称は別)。小選挙区制は不平等であると、ノルウェーが比例選挙に変えたのは20世紀初めだ。

ノルウェーの選挙の取材を続けてきて、この比例代表制の長所が、今回ほど発揮される選挙はないのではないかと思う。

世論調査によると、保守中道政権が続くのか、それとも左派中道政権に変わるのか、大接戦(Uavgjortウーアブヨルト)で、169議席の色分けを決める最大のカギは、少数派政党なのだ。

現政権が続投する可能性を見よう。今と同じ保守党・進歩党の2党連立なら70数人。閣外協力をしているキリスト教民主党・自由党を含めると85人前後。この85という数字は全169議席の過半数であり、続投かなと思える。が、どうも違うらしい。キリスト教民主党は政策の違いから「進歩党とは組まない」と公言しているからだ。進歩党は極右と言われる政党で、強硬な難民政策をとる。

すると、政権交代か。労働党・中央党・左派社会党の3党なら75人前後と過半数には遠い。しかし、緑の党がはいると80議席を確実に超える。緑の党は国会に1議席しかないものの、オスロをはじめ地方議会に躍進。さらに、ここにきて、新油田採掘問題で支持を増やしている。もうひとつ、進歩党とは組まないというキリスト教民主党が、左派中道リーグにはいるシナリオもある。こうなると、90議席を超える。

こんなわけで、有権者も熱くなっている。自分の1票が、政治のかじ取りをだれにするかを決めるかもしれないのだ。「いつもの支持政党はやめて、今回はミニ政党に入れようかな」ーーこんな”戦略的投票者”が多いらしいのもうなずける。

さきほど4時過ぎ、事前投票所に行ってみた。投票所の前から延々100人以上が待っていた。どんどん増えてきて、受け付け締め切りの夜7時まで終わるのだろうかとハラハラ、ドキドキする。

真剣な顔をして、じっと並ぶ姿が印象的だった。

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道路まで続く投票を待つ人たちの長蛇の列。看板「ここで事前に投票できます」が右に見える

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▲公園の中に設けられた事前投票所。「もうじき私の番だ」と待つ人たち

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▲オスロ選挙区には20ほどの政党が立候補。投票ブースには候補者リストが政党別に並ぶ。ほとんどの政党はクオータ制をとっていて男女交互に候補者を並べるので当選者に男性偏重はない

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 ▲パスポートか運転免許証などIDを見せて承認されたら、投票用紙を投票箱に入れる

高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
高校生も立候補するカネのかからない選挙 (近江真理)
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~


【2017年国政選挙に向けて各政党の政策を比べるなら Stortingvalget2017
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by bekokuma321 | 2017-09-09 16:39 | ノルウェー