カテゴリ:ノルウェー( 575 )

ノルウェーの国政選挙の投票率は77.6%だった。全426市が投票者数を数えたその合計だ。前回の2013年に比べて0.6%減少した。

かつてノルウェー人から「投票率80%以下では民主主義の危機だと考えており、国をあげて投票率を上げる努力をするのです」と聞いたことがある。

ノルウェーに来て以来、投票を促すさまざまな啓発キャンペーンを見聞きし、「世界一の民主主義の国はさすがだ」と感心した。それでも80%には届かなかった。

とはいえ、2012年も2014年も50%台だった日本の国政選挙(衆院)の投票率の低さを考えると、健闘しているといえる。

下は、オスロ市内での投票風景。

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オスロの病院で看護師をするマリア・ナルードはオスロに住んでいるが、住民票は他市にある。オスロ市のカールヨハン通りに設けられた事前投票所で事前投票をした。住民票と異なる市で投票したら、投票用紙は茶封筒に入れられて住民票のある市に当局から配達される

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▲オスロ市民でリサーチャーのクリスチン・ダーレンは、9月11日9時、オスロ市庁舎の投票所が開くと同時に投票をした。夫と子どもと一緒にやってきた。子どもは小学2年生。学校が投票所になっているので休日。「休みの夫は、子どもと一緒に家にいられるけれど、私は仕事がありこれから勤務先に向かいます」と。夫は、ノルウェー版ファイナンシャル・タイムズと言われるDNの政治記者。

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▲高校3年生のエッラ・フレドハイムは18歳。自宅近くのHøyenhall 小中学校で、生まれて初めて投票した。「スクール・エレクションでの投票と同じでなかったのでとまどい、係りの人に聞いたらわかりやすく教えてくれた」。係りの人が心配そうに彼女を見つめている。どの政党に投票するかは決まっていたので困らなかった。「スクール・エレクションの政党討論会が参考になりました。自分がどの政党を支援すべきかがよくわかりました」
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by bekokuma321 | 2017-09-14 05:26 | ノルウェー

お国がらで、当選を祝う風景もずいぶん違う。

日本では、候補者の選挙事務所で、当選した候補者と支援者がバンザーイと叫んだあとで当選者が「みなさまのおかげで…」と頭を深々と下げる。「ただの人」から「先生」に変わる瞬間とも言われる。候補者個人の事務所なので、集まる人もそれほど多くない。政党の中央本部では、当選者の名前にバラの花をつけて祝うイベントが行われる。

さてノルウェー。

9月11日、投票が終わった日の夜は、政党ごとの大パーティ(Valgvake)でにぎわっていた。オスロの場合、大勢が集まりやすい広い会場を借り切って、8時頃から夜遅くまで続けられる。数百人で押すな押すなの党もある。夕食を済ませた人がほとんどで、食べ物は出ないが、バーで好きな飲み物を買う(注)。

どの政党パーティにも欠かせないのは、TV開票速報を見るための巨大スクリーンと、取材陣がつめる部屋だ。NRK(日本のNHK)から民間メディア、地方メディア、ソーシャルメディアなどなど。

会場にはTVスタジオと化したような装置が設営準備され、大勢の記者がつめる。政党幹部が開票速報を受けて感想を述べる。ハイライトはトリ(党首)の登場だ。党首はスピーチで党員や支援者をひとつにする。そのスピーチはライブで全国放映され、お茶の間に届く。進歩党党首は、あふれる涙を抑えきれなかった。それぞれ党首は、この政党パーティで一席ぶった後、国会議事堂での記者会見に向かう。

比例代表制選挙なので、一人一人の当落にそれほど一喜一憂しない。政党として、前回の選挙よりどれだけ票を増やしたか、が泣き笑いの分かれ目だ。「〇〇選挙区で獲得票が〇%増えた」と報道されるたびに「ヤッター!」と歓声があがる。サッカー観戦のようだ。

どの党よりも票を増やしたのは、野党の中央党だ(最下の棒グラフ参照)。中央党のパーティではスクリーンに映る各地の朗報に「ヤッター!」の声と拍手が続く。とはいうものの、現連立政権のほうがやや多く、政権交代は夢と消えそうだ。「これで地方自治体の合併が進み、地方の民主主義が遠のく」と幹部はぼやいた。複雑な表情のパーティだった。

比例代表制選挙は、政党への支持を広げることーーそれが選挙運動だ。候補者リストに候補者数を多数載せなくてはならず、候補になることが支援でもある。候補者と運動家に大きな垣根はない。そもそも、首相の保守党党首は「アーナ」、労働党党首は「ヨーナス」だ。首相であろうと、友人のようにファーストネームで呼ぶ。議員を「先生」と呼ぶ国とは違いすぎる。なるほど、選挙パーティは、討論会、戸別訪問、ビラ配り、電話かけで頑張った運動家たち(候補者も含む)の慰労会のように見えたのも当然である。

比例代表選挙と小選挙区選挙。民意をできるだけ反映する比例代表制、民意が反映しない小選挙区制。制度の違いは、「投票日の夜」にも顕著だった。

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 ▲労働党のパーティ会場にはいろうとする人たち

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▲左派社会党のパーティは、だれでも参加自由でインフォーマル。2階にもテーブル席があり、ほかに音響装置

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▲緑の党のパーティ会場の一室に集まって働く党内プレス担当者たち。外部メディアは別室

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▲中央党のパーティ会場では副党首(中央)が歌を披露。うしろの巨大スクリーンには開票速報。地方の農業者を主とする政党ゆえオスロの獲得票は少ない

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主要紙VGの出した選挙結果。労働党(赤いバラ)は今回も第1党だ。しかし票を減らした。結果、労働党中心の「赤・緑リーグ」は「保守中道リーグ」に勝てなかった


【注】政党の「投票の夜」パーティでは簡単な食べ物も出ることが多く、これも自費だというコメントが政党関係者から来た。高い会場費は政党が全額支払うため参加者が入場料を払うことはない。政党独自の積立金であり、政党交付金はこうしたパーティには使われないということである(2017 .9.13.2300 追記)


【ノルウェー2017年選挙のルポ】
国会議員選挙結果、女性41.4%(ノルウェー)
真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)

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選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
同じ18歳であってもーーノルウェーの選挙、日本の選挙(木村昭子)
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~
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by bekokuma321 | 2017-09-13 06:29 | ノルウェー

ノルウェーの選挙の結果、当選した女性は41.4%となった。これは過去最高だという。

写真は、クラウディア・オルセンClaudia Ambrosia Olsen(1896 ~ 1980)。女性で初めてノルウェー国会の委員会委員長となった女性。国会議事堂の廊下に掲げられていた。

9月11日、国会議事堂での党首記者会見を取材に来た記者たちは、夜中の12時まで待機。私はつい睡魔に襲われた。そんな私をじっと睨んでいた。

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真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
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育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
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【2017年9月11日投票日の党首会見録画はYoutubeで見られる。こちら
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by bekokuma321 | 2017-09-12 18:00 | ノルウェー

ノルウェーの国政選挙が終わった。主要政党の得票率と議席数は次の通り。

赤党2.4%(1)、左派社会党6%(11)、労働党27.4%(49)、中央党10.3%(18)、緑の党3.2%(1)、キリスト教民主党4.2%(8)、自由党4.3%(8)、保守党25.1%(45)、進歩党15,3(28)

特色は中央党の躍進と赤党の初議席だろうか。緑の党は予想ほど伸びなかった。

現政権は保守党と進歩党の連立で、自由党とキリスト教民主党が閣外協力をしている。この4党がそのままなら、89議席となり169議席の過半数となるため、メディアはいっせいに保守党党首アーナ・ソルベルグが首相を続投だろうと報道した。

しかし、キリスト教民主党の態度が決まったわけではない。進歩党とは組まないと何度も公約してきたからだ。もしもキリスト教民主党の8議席が赤リーグ(労働党と組む)に流れると、政権交代となる。

それを暗示するかのような光景が、夜中12時過ぎに始まった国会での党首討論会が終わった後、目にはいった。キリスト教民主党の党首は、保守中道の女性党首たちとは違う方向に歩いて行ったのだ(下の写真 2枚目)。

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▲真夜中12時20分から始まった国会議事堂での党首記者会見。左から赤党、緑の党、左派社会党、中央党、労働党、保守党、進歩党、キリスト教民主党、自由党。保守リーグに女性が多いが、ついこの前まで左派リーグの全政党党首が女性だった。

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▲保守党、進歩党、自由党の女性3党首に背を向けるキリスト教民主党党首

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 ▲真夜中1時過ぎのノルウェー国会。党首たちは選挙戦を終えてヘトヘトだろうが、こうして国会議事堂でいち早く結果を国民に知らせる。長い伝統だそうだが、その基本的姿勢に感銘を受ける
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by bekokuma321 | 2017-09-12 11:26 | ノルウェー

ノルウェーの国会議員選挙は、明日9月11日(月)で終わる。

オスロの繁華街カールヨハン通りには、「2017年 国会議員選挙、サーミ議会選挙 9月11日、10日」と書かれた旗がたなびく。つい忘れてしまいそうになるサーミ議会を同等に書いているところがにくい。

開票は11日、夜9時から始まるという。そのころには、選挙候補者、運動家、支援者たちは、政党ごとに設けられた「選挙寝ずの番 Election Vigil」パーティに三々五々集まる。みんなで大スクリーンに映し出される開票速報を見ては、喜んだり悲しんだり、労をねぎらったり……。

選挙に詳しい知人は「今回は大接戦だから、夜中まで結果がはっきりしないかもしれませんね」と言っている。

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▲カールヨハン通りをはさんで両サイドに、投票を促す薄紫色の旗。国会議事堂(左の建物)から王宮(真正面)にかけてズーッと何本も続く
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by bekokuma321 | 2017-09-11 08:18 | ノルウェー

ノルウェーの国政選挙は3日を残すだけとなった。

メディアは「ハラハラドキドキの選挙ドラマ」と大見出しであおっている(主要紙「ダグブラデート」)。

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比例代表選挙のノルウェーでは、国民は政党を選ぶ。政党に集まった票に比例してその政党から何人当選するかが決まる。議席は169。

「比例代表制は、勝負をつけるのではなく、票数の多い少ない、を正確に議席に反映させる。つまり多数派と少数派の双方がその大きさに比例して代表される」――三宅一郎の弁だ。小選挙区制は邪悪だと言いきった、石川真澄(元朝日新聞記者)の本に見つけた。

日本の小選挙区制では、最も票をとった人のみが当選し、それ以外の候補に入れた人の票はことごとく死票となってしまう。当選する可能性があるのは、せいぜい2番目に大きい政党の候補ぐらいだ。

昔、ノルウェーも小選挙制選挙だった(名称は別)。小選挙区制は不平等であると、ノルウェーが比例選挙に変えたのは20世紀初めだ。

ノルウェーの選挙の取材を続けてきて、この比例代表制の長所が、今回ほど発揮される選挙はないのではないかと思う。

世論調査によると、保守中道政権が続くのか、それとも左派中道政権に変わるのか、大接戦(Uavgjortウーアブヨルト)で、169議席の色分けを決める最大のカギは、少数派政党なのだ。

現政権が続投する可能性を見よう。今と同じ保守党・進歩党の2党連立なら70数人。閣外協力をしているキリスト教民主党・自由党を含めると85人前後。この85という数字は全169議席の過半数であり、続投かなと思える。が、どうも違うらしい。キリスト教民主党は政策の違いから「進歩党とは組まない」と公言しているからだ。進歩党は極右と言われる政党で、強硬な難民政策をとる。

すると、政権交代か。労働党・中央党・左派社会党の3党なら75人前後と過半数には遠い。しかし、緑の党がはいると80議席を確実に超える。緑の党は国会に1議席しかないものの、オスロをはじめ地方議会に躍進。さらに、ここにきて、新油田採掘問題で支持を増やしている。もうひとつ、進歩党とは組まないというキリスト教民主党が、左派中道リーグにはいるシナリオもある。こうなると、90議席を超える。

こんなわけで、有権者も熱くなっている。自分の1票が、政治のかじ取りをだれにするかを決めるかもしれないのだ。「いつもの支持政党はやめて、今回はミニ政党に入れようかな」ーーこんな”戦略的投票者”が多いらしいのもうなずける。

さきほど4時過ぎ、事前投票所に行ってみた。投票所の前から延々100人以上が待っていた。どんどん増えてきて、受け付け締め切りの夜7時まで終わるのだろうかとハラハラ、ドキドキする。

真剣な顔をして、じっと並ぶ姿が印象的だった。

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道路まで続く投票を待つ人たちの長蛇の列。看板「ここで事前に投票できます」が右に見える

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▲公園の中に設けられた事前投票所。「もうじき私の番だ」と待つ人たち

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▲オスロ選挙区には20ほどの政党が立候補。投票ブースには候補者リストが政党別に並ぶ。ほとんどの政党はクオータ制をとっていて男女交互に候補者を並べるので当選者に男性偏重はない

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 ▲パスポートか運転免許証などIDを見せて承認されたら、投票用紙を投票箱に入れる

高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
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【2017年国政選挙に向けて各政党の政策を比べるなら Stortingvalget2017
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by bekokuma321 | 2017-09-09 16:39 | ノルウェー

ノルウェーでは、全国の高校で9月11日投票の1週間前にスクール・エレクションがある。スクール・エレクションは、9月4日(月)、5日(火)に投票が行われて、今日、6日(水)結果が発表された。

若者の投票傾向を知ることのできる絶好の機会と、メディアは大きく報道した。

ノルウェー調査データセンター(Norwegian Centre for Research Data)によると、労働党27.8%、保守党15.1%、進歩党10.4%、左派社会党10%、自由党7.4%、緑の党6.8%、中央党6.7%、赤党5.7%、キリスト教民主党3.1%。最下の棒グラフ参照(同センターWeb)。

392の高校が参加し、約19万人の高校生が校内に設けられた投票所で投票した。

実際、政党討論会を取材したヘードマルク県エルブルム高校の投票結果はどうか。労働党25.8%、左派社会党17.3%、保守党14.5%、中央党10.1%、緑の党7.9%、進歩党7.3%、赤党5.5%、リベラリスト3.8%、自由党3.4%、キリスト教民主党3.4%。

エルブルム高校は、全国に比べて、左派社会党と中央党への支持者が多い。全校932人のうち855人が投票して、投票率91.7%という高さ。生徒会主催で、強制ではないことを考えると驚くべき参加度だ。

では、高校生はどんなふうに投票をするのか。

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9月4日、エルブルム高校を訪ねた。

この高校では、政党の討論会をしたホールに入るところに投票所が設けられていた。投票ブースは町中にある投票所と同様、カーテンでしっかりと閉められて手の動きなどは外から見えない(日本ではカーテンがないため背後から動きが見える)。ブースの中には20以上の政党の候補者リストが政党ごとに積まれていた。その候補者リストが投票用紙になるのだが、実際の投票用紙とまったく同じものだった。投票箱は、数年前、実際に町の選挙で使われていたものと同じだった。

投票管理は、投票する生徒の名前を書かせる人、投票のしかたを説明する人、スタンプを押して投票箱に入れるところを確かめる人など、事務すべてが生徒のみで行われていた。

彼女たちは、1週間前に先生からの「選挙の投票の管理をしたい人はいませんか」に答えたボランティアだという。「今日、午前中、投票事務のオリエンテーションを受けた」と1人が話してくれた。

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日本の人たちにノルウェー高校生の政治参加を見せたいからと話したら、投票者の流れが途絶えたときに、投票箱を囲んでポーズをとってくれた。下の写真だ。受付はベアテ・ビョルケホーレン(最右)、投票監視はミーナ・ハーセラン・バウゲルート(最左)とヘッダ・レグスタ・フースビュイ(右から3人目)、投票用紙への押印と投票箱への投函監視はアーダ・ベルゲ(右から2人目)。みな本物の選挙権を持つ高校3年生。「教員になりたい。そのために大学に進学する」という生徒がほとんどだった。

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400に近い高校で、高校生がこんなふうに大人顔負けの政治参加をしているのだ。ノルウェーの民主主義度は世界で最も高いという調査がある。高校生たちの貢献を見て、この座はしばらく揺るがないだろうな、と思った。

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by bekokuma321 | 2017-09-07 06:27 | ノルウェー

ノルウェーの国政選挙は9月11日だ。投票日をひかえ、メディアスクール・エレクションだけでなく首都オスロの街並みは選挙、選挙、選挙。

投票率をあげるため、選挙の重要性を知らせるため、民主主義のため・・・涙ぐましい努力の跡をいくつか写真で紹介する。


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▲「あなたの1票を使え」と数カ国語で書かれた政党の旗。大政党から小政党までさまざまなロゴがビルの間に揺れている。洗濯物を干しているかのようだ。

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▲銀座のど真ん中ともいえる繁華街カールヨハン通りにドーンと設けられた事前投票所。

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 ▲人通りの多いバス停の横に設けられた事前投票所。

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▲国会議事堂の前に設けられた、NRKの仮設スタジオ(左の黒い建物)。隣も民間メディアのスタジオ。国会議事堂をバックに政党の政策討論会がここから毎日発信される。市民や支援者が仮設スタジオと議事堂の間の広場(手前)に集まって討論に参加する

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▲地球温暖化反対の声を選挙に反映させようと集まったデモ。カールヨハン通りから国会議事堂に到着した参加者たち。環境団体の旗に加えて、緑の党、左派社会党、自由党、赤党の旗が見えた。報道によると25000人

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▲地下鉄の出入り口に張られた労働党のポスター。党首ヨーナスが「すべての人とともに」と呼びかける

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▲地下鉄構内の広告塔に映し出される保守党のポスター。現首相の党首アーナが「首相はすべての人のために」と呼びかける

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▲地下鉄構内のポスター「選挙 私たちは投票します。あなたも投票を 9月11日」

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▲地下鉄車内の広告「9月10日、11日、オスロ市内のどこの投票所でも投票できます」

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▲スーパーで売っている人気のお菓子「期間限定商品 選挙ラバン2017  あなたはどちらに投票する? 」。赤ゼリーと青ゼリーとが別々の袋に入っている。赤は左派政権、青は右派政権を指す

【2017年9月10日更新】
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by bekokuma321 | 2017-09-05 04:34 | ノルウェー

女性議員はノルウェー国会の約4割を占める。9月11日の選挙で、多分エミリー・エンガー・メールはその一人になる。

弱冠24歳。オスロ大学法学部の単位を終え、現在法律事務所に勤務する。ヘードマルク県中央党候補リストのナンバー2だ。ちなみにノルウェーは完全比例代表制で、ほぼ全政党が男女交互に候補者を並べるため、1番が男性なら2番は女性となる。

比例代表制の候補者は、小選挙区制候補に比べてさほど忙しくないのだが、彼女は忙しそうだ。1番目は中央党党首のトリュグヴェ・マグヌス・スラグスヴォル・ ヴェーダで、彼はメディア対応や全国遊説に時間をとられて、2番目の彼女がもっぱら選挙区のさまざまな討論会に出なければならないかららしい。

ストールハマール高校のスクール・エレクションにやってくると聞いて、校内で待ち受けた。ギンガムチェックのシャツにジーンズで現れた。来るなり、テーブルセッティングをし、選挙グッズを並べ、さらに討論会で座る場所をチェックしていた。いつの間にか高校生が大勢ホールに集まった。

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スピーチがすぐ始まった。彼女は労働党と緑の党の間に座った。国会議員選挙は生まれて初めてだろうに、終始落ち着いた対応ぶりだった。

数百人を前にした1時間半の討論会を終えたばかりの彼女に質問をぶつけた。

ー政治家になろうと思ったのはどんなことからですか。
「アメリカのミシガンに留学していました。学業だけでなく、政治的活動や社会的運動にかかわっているアメリカの大学生を見て、私も学業や仕事だけでなく何か社会的なことをしたいと思ったのです」

ーでも、なぜ中央党ですか。
「中央集権に反対だからです。住んでいる人々に遠いところで人々にかかわる大事なことを決めるのは民主主義ではないと思います。それを主張しているのが中央党です」

ー中央党から声がかかったのですか。
「いいえ。アメリカから帰国してほどなく、自分の住んでいるへードマルクの中央党青年部にメールしてみました。それからとんとん拍子に事が運んで、青年部でさまざまな政治活動をするようになりました。ヘードマルク県青年部副代表もしました」

ー政治経験が少ないのでは、と思うのですが、これまで、政治活動は。
「へードマルク県中央党青年部副代表ですから、政治的活動家です。選挙前には中央党政策委員会委員もしていました。それに私はヘードマルク県の県会議員として、行政情報を身近にしています(県会議員は無給のボランティア)」

ー国会議員になって何を一番したいですか。
「地方の民主主義のために、市の合併に反対したいです。それに地方を活性化するために道路の整備をしたいと思います」

彼女は、選挙テーブルの準備、討論、質問への回答、ビラまき、をすべてたった一人でこなしていた。中央党は選挙運動にフルタイムのスタッフを何人かかかえていると聞いたが、彼女を手伝う助っ人は誰もいないのか。心細くないのか。私は心配になった。

ノルウェーに、ある時代の生活を当時のやり方でやってのける「リアリティショー」という番組がある。大勢からトーナメント形式で最後に1人生き残る。彼女はその番組で1764年の暮らしに挑戦して、見事優勝したのだという。18世紀を生き延びた女性に、高校生相手の討論会は朝飯前と見た。

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石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
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投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
高校生も立候補するカネのかからない選挙 (近江真理)
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民主主義度1位ノルウェー、23位日本
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by bekokuma321 | 2017-09-04 02:58 | ノルウェー

「みなさん、広く全体を見ることが大事です」。テーブルに立ち上がって言ったのは緑の党だ。彼の主張は、ノルウェーの将来は、北海油田採掘をさらに拡大するのか、環境保護か、どちらを選ぶかにかかっているという。

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ストールハーマル高校で行われたスクール・エレクションの政党討論会シーンだ。

8月31日12時半。ホールには300人ぐらいいただろうか。エルブルム高校と同じく満席だった。ストールハーマル高校は、ヘードマルク県の県庁所在地ハーマル市にある実業高校。約700人がスポーツ、料理、介護、幼児教育などを学ぶ。

昨夜のNRK・TVの選挙特集は、この石油・ガス問題と環境問題だった。保守党の気候・環境大臣ヴィーダル・ヘルゲセン、緑の党スポークスパーソン、労働党の環境問題担当の3人が討論を戦わした。3人が集まったのは、なんと、はるかロフォーテン諸島のヘニングスヴァール。漁業問題と石油問題がぶつかる土地だという。漁師が使っていた倉庫なのだろうか、木造の薄暗い建物がスタジオに使われていた。暗くてよく見えないが、たくさんの人が参加している(下はNRK画像から拝借)。

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漁業問題に加えて地球環境保護という大問題と、ノルウェーに経済に安定をもたらしてきた北海油田産業。どう折り合いをつけるのか、どちらをとるのか。

石油・ガス問題では、大政党である保守党と労働党は、さらなる油田採掘を支持しているようだ。保守党は経済繁栄から、労働党は雇用確保からだ。しかし、冒頭の緑の党を筆頭に、左派社会党、中央党など左派に属する小政党は強く反対している。今、労働党は、ミニ政党との連立なしには政権をとれそうもない。となると?

ストールハーマル高校での環境問題は、緑の党の大パフォーマンスにもかかわらず、学校教育問題、移民問題、16歳に選挙権を下げる問題など若者が関心を持つテーマに押されて、盛り上がらなかった。ところが、年金党の初老紳士が「私は若い人代表です」と笑わせ、「15年以上前のことをふりかえって比較できるのは私しかいません」と語っては拍手喝采をあびた。

ともかく毎日、毎日、老若男女が、どの政党を選んだらいいかと、国をあげてとりくんでいる姿には感動を覚える。

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 ▲1時間半の政党討論に耳を傾けるストールハーマル高校の高校生

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▲政党討論会が終わると、高校生は同じフロアの横にある部屋に移って政党党員に質問や意見を交わしていた。たくさんの果物が置かれている。公的政治資金が使われているのだという
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by bekokuma321 | 2017-09-01 04:40 | ノルウェー