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カテゴリ:ノルウェー
ノルウェーNRKニュースより。
![]() 「赤緑政権――中道左派連立政権――の下で国家公務員がこれだけ大きなストライキをするとは歴史的なことだ。双方の要求のへだたりがあまりに大きく、ストライキをさけることは不可能だった」とUNIO委員長は語る。 ストライキにはいったUNIOは、60万人を組織するノルウェー第2の労働組合。その傘下に教育労組、看護師労組、警察労組など10の労組が組織化されている。ほぼ全員が公務員だ。水曜日夜に労使交渉が決裂し、25000人から30000人がストライキにはいった。保育園、小中高校、大学の教職員がストライキをしている。 ノルウェー最大の組合組織LOのリーダーも、「避けられなかった。労働組合側も、雇用者側も、仲裁役の提案の受け入れを拒否した」と語った。 ノルウェーでは、労働組合加入者は全雇用者の53.1%だ。女性の入会率は年々増えて、今や全組合員の52.1%は女性である。たとえば上の写真は、UNIOが国会前でストにはいると告げているデモだが、その過半数は女性だ。 それに、ノルウェーの地方議員は無報酬であり、皆、ほかに仕事を持ちながらの兼務だ。そして、その多くは、公務員だ。公務員しながら、夜に議会に出る。公務員の多くは政党に属しており、選挙で政党から選出されて議員を務める。 大阪の橋下徹市長による労働組合弾圧、公務員の政党活動禁止のニュースに接しながら、私は、このようなまともな人間社会をつくりあげるまでのノルウェー労働者の歴史に思いをはせる。 もともと日本の地方公務員には、政治活動に制限がある。しかし罰則はない。国家公務員は、禁止行為があり、違反したら3年以下の懲役または100万円以下の罰則がある。この国家公務員への罰則を、橋下市長は、地方公務員にも課すのだ、と気勢をあげる。憲法19条の思想信条の自由など、おかまいなし、だ。 アメリカのワシントンポスト紙ですら、橋下率いる大阪維新の会を、「ティー・パーティのような」「日和見主義的」と形容する。あの右派グループ「茶会パーティ」のことだ。ハシズムという言葉も紹介している。 ノルウェーに話をもどす。私の知人には、公立保育園の保育士で市議会議員をしている人や、国立大学教授で市議会議員の人がいる。もし、ノルウェーで、公務員が政治活動を禁止されたら、地方議員はいなくなってしまうだろう。 ◆Forhandlingsbrudd gir streik i staten og i kommunene http://www.nrk.no/nyheter/norge/1.8152818 ◆Behind Hashimoto, Osaka’s telegenic mayor, a sign of Japan’s discontent http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/behind-hashimoto-osakas-telegenic-mayor-a-sign-of-japans-discontent/2012/05/22/gIQAo5sJjU_story.html 22日のWHO会議でのノルウェー外務大臣演説から、特徴的箇所を要約する。
ヨーナス・ガール・ストーレ大臣は、「女性の活躍と経済発展に強い関わりがあること」は今や常識だが、「女性に教育と雇用の機会を広げることが、全家庭の健康・教育の向上につながる」と、女性のエンパワーメントについて言及した。 彼は、世界で最も豊かな国のひとつノルウェーが、最も貧しい国のひとつから脱却できた陰には、人的資源の有効活用があったと、過去の勇敢な女性運動の闘いにふれ、女性の4人に3人が正規の職業についている現状を披露した。 さらに「女性が活躍できることは、女性にプラスとなることはむろんだが、家庭にとっても社会全体にとってもプラスになるのだ」と強調した。 加えて、「社会の緊張や紛争を引き起こすのは社会的不平等であり」、「社会的不平等の克服と潜在力の伸長には、女性のエンパワーメントが欠かせない」と、繰り返した。 いかなるテーマであっても、ジェンダーの視点を入れることーーすなわち〝ジェンダーの主流化″ーーの見本のようなスピーチだ、と私は思う。 ◆Keynote address at the World Health Assembly Geneva, 22 May 2012 http://www.regjeringen.no/en/dep/ud/Whats-new/Speeches-and-articles/speeches_foreign/2012/keynote_wha.html?id=682761 ノルウェーの再犯率は16%だ。ヨーロッパで最も低いといわれている。世界で最も低いかもしれない(日本50%)。なぜか? 囚人にやさしい国ノルウェーの政策にある。数年前NHKで放映された「未来への提言:世界一囚人の少ない国からの報告」を覚えている人もいるだろう。(関連記事http://frihet.exblog.jp/12497535/) そのノルウェーの犯罪政策が、昨夏の大量襲撃事件後、議論を呼んでいる。 厳罰化に向かうのか。いやそうではない、と、今日のBBCは、ノルウェー式「罪と罰」を、刑務所のあるバストイ島から報道する。BBCは、こうした自由と平等に基づいた解放的刑務所を、「ノルウェー王冠の宝石」と表現する。 まるでスイスの山小屋のような受刑者用住宅ーー刑務所ーーが島に点在する。そこで、強盗殺人や性暴力を犯した"凶悪犯たち"が、食事を自分でつくり、森や海辺を散歩し、職業訓練を続けながら過ごす。休日には自宅に一定期間戻ることもできる。一般市民の普通の暮しに近い日常を送る。 デンマーク人の囚人は、「ここが好きかと言われれば難しいです。でも、もしここが刑務所でないならば、休暇用の山小屋として市民に提供できるようなところだと言えます」写真上がそれ。山小屋というより、私には立派な家のように見える。 ガンビア人の囚人は、「ボクサーだった僕は、毎日怒り狂っていました。ここに来てからは落ち着いて気持ちが楽になりました。実生活に役立つ職業訓練がいいですね。僕の精神の訓練でもあります。ここを出て一般の生活に戻れるように」 ほとんど、受刑者の自己管理にまかされているので、刑務所で監視・管理する公務員の数も、少なくてすんでいるという。 とはいえ、受刑者誰もがバストイ島刑務所に入れるわけではない。ここに移る受刑者の選定は、入念に行われる。原則は、刑期が終盤に近づいている受刑者で、ここの開放的生活は、さらに自分を向上させる、と受刑者自身が判断した人ばかりである、という。ノルウェーの基本は、法務省当局によると、こうだ。 「ノルウェーの価値は間違っておらず、罰則に対しても間違っていない、と現在のところ考えています」 「つまり、初日から受刑者のリハビリテ―ションが始まります。ノルウェーでは、刑を終えた人は、あなたの隣人になることを、誰もが知っているのです」 日本は、犯罪政策もアメリカにならって厳罰傾向にある。死刑制度もゆるがない。しかし、再犯率の少なさ、監視や警備にかける人件費の少なさだけから考えても、ノルウェーをもっと学ぶべきではないか。 ■Crime and punishment, Norwegian style http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-18121914 ■写真はバストイ刑務所 上が居宅、中はパソコン訓練室、下は体育館http://www.statsbygg.no/prosjekter/prosjektkatalog/585_bastoy/index.html 5月16日、「ノルウェー移住プロジェクト」は、ストックホルムのノルウェー王国大使館前で抗議のデモを行った。全員、車椅子に乗って。このプロジェクトは、スウェーデンのハンディを持ったひとたちによる、権利を求める運動だ。デモ隊の主張は、こうだ。 「スウェーデン政府は、私たちには他の市民と同一の機会が与えられてないことをわかってほしい。 私たちは、レストラン、公共交通、お店に、他の市民と同じように自由にはいれない。ノルウェーは、法律によって、こうした自由なアクセスを保障している。だから、スウェーデン政府がノルウェーのように保障しないならば、私たちはノルウェーに移住する。ノルウェーができていることをスウェーデンができないのは、恥ずべきことだ。明日5月17日のノルウェー憲法記念日には、ノルウェーの旗をふって、ノルウェーの歌を歌う」 スウェーデンは、北欧諸国の中で北欧民主主義推進の先輩格だ。しかし、政権交代と経済の低迷により、平等推進政策にかげりが見えている傾向にあると、スウェーデンに詳しい専門家は言う。 「権利を、さもなくば国を捨てる」ーーこんな強烈なメッセージでデモをするスウェーデンの障がい者たち。拍手、拍手! ■Det er veldig pinlig at Norge er bedre enn Sverige http://www.nrk.no/nyheter/verden/1.8141686 ◆スウェーデン緊縮経済で障がい者駐車場カット http://frihet.exblog.jp/15646727/ オスロ地裁、大量殺人事件容疑者ブレイビクの公判ニュースから。昨夏、襲撃されたのは、オスロのウトヤ島で夏合宿をしていた労働党青年部メンバー。先週から、生き延びた人たちの証言が次々に行われている。 NRKの今日の報道によると、フリーダ・ホルム・スコールンは、まず襲撃犯の目の前で証言はできない、と言った。ブレイビクは法廷から退席させられ隣席で彼女の証言を聞くことになった。 「彼は負け、私たちは勝ちました。彼はノルウェーの若者が泳げることを知らなかったのです」 彼女の強いメッセージで、これまで憎しみと怒りと悲しみにおおわれていた法廷に、初めて笑いがこぼれた。 彼女は20歳。夏合宿参加者のほとんどは10代であり、彼女はリーダー格だった。彼女とともに、事件を察した約20人は、冷たい海に飛び込んだ。 すでに腿を撃たれており、さらに膝を骨折し、1本の足だけで泳ぐしかなかった。「止まれ、もどれ」という警察官の服を着た男(ブレイビクは警官に仮装していた)が叫んだ。助けかと思ったが、逆に撃ってきた。弾丸がそばに飛んできた。おぼれそうな時もあった。 泳いでいる間、「若者たちへ」という歌を歌った。1時間ばかり泳いだところを救助船に助けられ、命びろいした。 その後、傷害の克服ばかりか、自責の念にとらわれ、苦しい日々を過ごした。彼女はエストフォル県の代表だった。県から参加した若い3人を失った。 事件の悲しみと恐怖がまだいえない中、数カ月後に統一地方選挙があった。19歳だった彼女は、エストフォル県ストッケStokkeの市議会議員(労働党)に選出された。 報道によると、20歳の女性フリーダ・ホルム・スコールンは長い髪にマーガレットの花飾りをして法廷に現れた。優しそうなまなざしと静かな口調。しかし、語った中身は、ノルウェー女性のたくましさそのものだった。 彼女たちが地獄の苦しみの中で歌った歌「若者たちへ」の和訳はこちら。 ◆美と温もりを愛でし時まで http://frihet.exblog.jp/16772108/ ■Fridas beskjed til drapsmannen: «Vi vant, og han tapte» http://nrk.no/227/dag-for-dag/fridas-beskjed-til-drapsmannen-1.8135811 ■Frida (20) : - Vi vant, han tapte, og norsk ungdom kan svømme http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/22juli/Vitne---Vi-vant_-han-tapte_-og-norsk-ungdom-kan-svomme-6828194.html ■http://www.nrk.no/nyheter/distrikt/ostafjells/vestfold/1.7793615 カラショーク(Karasjok)市の市長に初当選したばかりのアンネ・トーリル・エーリクセン・バルト(Anne Torill Eriksen Balto)は、ピンクのバラを生けた花瓶に目をやりながら、こう話した。「昨日、ケアサービス職員が涙を浮かべて『この日をどれだけ待っていたか。あなたが変えてくれるんですね』と、このバラの花をプレゼントしてくれたんですよ」 2011年9月の統一地方選後、女性の市長は96人に増え、全市長の22%を占めた。その1人がアンネだった。まだ30代だ。24年間市長職にあった労働党の男性を破り、市長といえば男性と決まっていたカラショーク市政164年の歴史を変えたのだ。 カラショークはサーメ人の町。ノルウェー北部フィンマルク県の内陸部に位置する。冬は零下50度まで下がった記録をもつ最厳寒の地だ。オスロから、トロムソ、アルタと飛行機を乗り継いで、ラクセルブ空港に降り、そこからバスで1時間余りのところにある。 市長となったアンネは、それまで、銀行員の傍らカラショーク市議会議員を2期務めた。初当選した時は大学生で、公認会計士の資格を取得しようと猛勉強中だった。2期目の最後の1年間は副市長にもなった。 夫はトナカイの遊牧業に従事している。「トナカイの遊牧をする人は減ってゆくばかり。環境の変化で牧草は減るし、政府も理解がないし」と嘆いた。「僕らは2人とも、前の相手との子連れで新生活を始めたモダン・ファミリーだ」と言いながら、家族5人の映像を私に見せた。それは、おびただしい数のトナカイの群れを移動させているDVDだった。 トナカイの飼育は家族全員で、というサーメの伝統そのままだ。アンネは、昼は銀行勤め、夜は議員という2つの重責を背負ったうえに、トナカイの季節移動期間には、一家総出の大仕事が待っている。銀行からは有給休暇をもらう。なんという働き者! 今回の地方選は、第3回に書いたように全国的には保守党と労働党で勝利を分けた。しかし、カラショークのようにサーメ人の多い自治体は少し違う。地方紙「サガ」の記者は、こう分析した。 「カラショークは、あまりに労働党与党が長くて飽きられてしまった。市の財政が赤字になったことも敗因ですね。それに、労働党は、このあたりの金鉱採掘権の売り渡しに賛成して、環境保護派やトナカイ飼育に携わる市民の反感を買いました」 もうひとつのサーメ自治体、カウトケイノ(Kautokeino)にも行ってみた。女性が3議席から9議席に増え、19議席の議会はほぼ男女が半々になった。主要政党は、サーメ市民党、飛ぶトナカイ党、カウトケイノ住民党。いわゆる地域政党だ。労働党など中央の政党はどれもふるわない。当選したばかりの女性たちは、みな、アンネに負けず劣らずの働き者で、市を率いるリーダーだった。 アイリ・ケスキターロ(Aili Keskitalo)は、ノルウェーサーメ協会会長というサーメ社会を率いる団体のトップ。カウトケイノ市で最多数を当選させたサーメ市民党に所属する。サーメ語教育、サーメ文化、トナカイ飼育の発展を政策の中心に置く。サーメ議会議員でもあり、議長も務めた。サーメ議会が開会される前日の夜9時過ぎ、私の突然の面会申し出に応えてホテルに来てくれた。3人の子どもがあり、サーメ議会議長時代に出産した末娘はまだ3歳だ。甲状腺をわずらい、声がかすれていた。 小売業を営むインゲル・マーリット・ボンゴ(Inger Marit Bongo) は労働党に所属。「店の経営は忙しいし、まだ小さな子どももいるため、リスト8位に置いてもらった」。8番目は落選確実視されていたのだが、個人票をさらってトップに踊り出た。 アントン・ダール(Anton Dahl)は保守党に所属し、市長や副大臣もつとめたベテランだ。「リストの1番目に」という党の強い要請を断わった。中学校の校長になったばかりで多忙なため議会の仕事を休みたかったのだ。しかし彼女も個人票を集めて当選した。スキージャンプ選手で、国際試合の審判としても活躍する。 この女性進出の背景は何か? ![]() 2011年度フィンマルク県「男女平等・多様性賞」を受賞したグドルン・エリーサ・エーリクセン・リンディ(Gudrun Eliissa Eriksen Lindi)に聞いた。 彼女は言う――「サーメ社会の自立と発展には女性の声が必要なのだと皆が思ったからです」 グドルンは、1996年、サーメの女性誌『ガバ Gaba』を創刊。年3回の編集発行をほぼ1人でこなす。ガバは自立した女性を意味する北部サーメ語。女性の声でサーメ社会を描写する小説、詩、論文、写真を掲載する。サーメ人が住むフィンランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデンの4カ国のサーメ社会の男女平等のための組織「サーメ女性フォーラム」の運営もする。 話は30年ほど前にさかのぼる。70年代末、カウトケイノ近くのアルタ・カウトケイノ川にダム建設計画が浮上した。「生活が破壊される」とサーメ人は猛反対。環境運動家も加わり、国をあげての大抵抗運動に発展した。女性たちは国会前でハンストし、首相に直談判、さらに国連やローマ法王にまで直訴した。結局、ダムは造られたが、1987年に国会はサーメ法を通し、サーメ人の独立と発展を約束した。2年後の1989年、第1回サーメ議会議員選挙が行われた。 初選挙にあたって、フェミニズム団体「サラカ(女神の意)」を拠点にしてサーメ社会の生き難さを共有してきた女性たちは、「サーメ女性党」を立ち上げた。グドルンをリストの1番目に立てて初選挙に臨んだ。39議席のサーメ議会は全国13選挙区から比例制選挙で選ばれる。カラショークからは、サーメ協会(地域政党)2人、労働党1人の計3人。女性党は及ばなかった。とはいえ、できたばかりの女性党がノルウェー最大の政党・労働党に拮抗する票を集め、女性たちは大いに自信をつけた。 サーメ社会の女性進出の影にはグドルンのような女性運動家がいる。地方紙サガの記者は言う。 「ここまでの道のりには、女性たちの闘いがあるのです。国の政策からないがしろにされてきたサーメの権利拡大と独立には、フェミニズムの視点が必要です。彼女たちは、常にそう主張してきました。その代表がグドルンです。僕は尊敬しています」 (出典:ノルウェー王国大使館 三井マリ子連載・ノルウェー地方選挙レポート2011 【4】 20/03/2012 ) [写真上:カラショークのカフェ―の壁にあったサーメデザイン。下:カラショーク・サーメ博物館の展示品] ![]() ノルウェーは国土の北半分が北極圏内だ。冬は、零下20度、30度に下がる地域も多い。そんな寒い国に、なぜ? 移住者の多くは、自分たちの支払う税金などが、自分たちの福祉や教育など公共サービスにかえってこない、からだと言っている。 EUのひっ迫した経済政策で、加盟各国は自国で緊縮財政政策をとらざるをえなくなっている。その結果、どうなるか。保育園や、文化芸術などに回す予算がカットされ、暮らしにくくなっているのだという。 2年前、ノルウェーを取材したとき、へードマルク県に住む友人宅の近隣を散歩した。その時、友人は私にこう言った。「あちらはオランダ村っていわれているんだよ。オランダからの移民が何軒も住んでいる・・・」 ノルウェーは、EUに加盟していない。ノルウェー政府は加盟申請をしたものの、国民に重大な影響を及ぼす政策は、国民投票にかけられるため、ノルウェー国民は国民投票で、加盟を拒否した。過去2回にわたって。 反対意見をけん引したのは女性たちだった。反対理由はこうだった。 EUは経済競争の同盟であり、加盟後、加盟国は横並びの規制を受ける。その政策で、削減されるのはノルウェーが築いてきた豊かな福祉サービスだ。それで一番困るのは、福祉の恩恵を受けている女性たちだ。 ノルウェーの国民投票、女性たちのEU加盟反対運動については、『ママは大臣 パパ育児』(明石書店)に詳述されている。 ■Viewing Norway through pink glasses http://www.nrk.no/nyheter/verden/1.8132395 [写真は、オスロ市内を大きなベビーカーをひきながらゆったり歩く女性たち。小さな子どもを持つ母親の10人中9人が外で働くが、育休が1年とれるので、彼女たちは育休中だろう。国会議事堂のすぐそば] 信じられないことだが、ノルウェーのホルメンコ―レン・リレーは、40年前まで女人禁制だった。イングリッド・エーリングシェンとゲルド・フォン・デル・リッぺの2人の女性は、規則を破って参加し、罰せられた。2人の罰則は、次の3つの理由だった。 1)男性だけの競技に参加した罰 2)スポーツの評判を傷つけた罰 3)資格がないのに走った罰 今日のNRKには、40年前、「ホルメンコ―レン・リレーのジェンダーテストに反対」という用紙を持って抗議をする2人の白黒写真が大きく掲げられている。 彼女たちの“違法行為”がなければ、女性の参加はもっと遅れていただろう。 今年も、5月の輝く空の下で、ホルメンコ―レン・リレーが行われる。昨年は、2000チーム、3万人が走ったという。 ■Løp Holmenkollstafetten under falske navn http://nrk.no/sport/friidrett/1.8133903 ■女性がマラソンをすると胸毛がはえる http://frihet.exblog.jp/17833715/ ■オリンピックに、女性スキージャンプ競技加わる! http://frihet.exblog.jp/16159114/ ■女子スキージャンプとホルメンコーレン http://frihet.exblog.jp/15976780/ ■日本女子サッカー、強豪ドイツを破る http://frihet.exblog.jp/16579152/ 「徹底的な議論と調査の結果、オスロ大学は、男性への加算点を採用しないことを決定した」ノルウェーのオスロ大学副学長インガ・ボスタInga Bostad(写真)は、こう述べた。 男性の加算点については、オスロ大学の女子学生が多い学部ーー心理、医学、歯学ーーなどで検討されてきた。先ごろ、男子が20%しかいない心理学部は、加算点採用を決定し、それをオスロ大学本部に提案していた。 ちなみに、ノルウェーでは、こうした措置を、「ジェンダーポイントKjønnspoeng」と呼ぶ。 今回、オスロ大学本部は、それに反対したことになる。大学が出した結論は、今後、政府の教育・研究省に報告される。 副学長は、やや、いらつき気味に、男子への加算点に反対の理由を次のように語った。 「何百年間にわたって、大学のすべての分野において女性が極端に少なかった時代があった。しかし、それを問題である、となどしてこなかった。現在でも、女子学生の数が圧倒的に多い科目がいくつもあるが、それが大問題だとされてはいない。今回の問題には、権威、金、パワーがからんでいるーーーそれを認識すべきである」 単に数だけの問題ではない、と言っているのだ。 ノルウェーは、世界で初めてクオータ制を実行した国だ。反対もあったが、女性をパワーの世界に、男性を家庭に参入させるため、涙ぐましい努力をしてきた(詳しくは 『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店))。その結果、政財界の男女平等はほぼ達成したかに見える。 しかし、今回の決定プロセスは、男女平等推進へのたずなをゆるめてはならない---という考えが依然として強いことを示している。 ■UiO says no to gender points for men http://eng.kifinfo.no/nyhet/vis.html?tid=80671 ■女子が多い学部を希望する男子に加算点(上の記事は、こちらを読んでからのほうがわかりやすい) http://frihet.exblog.jp/17926965/
5月8日(水)、オスロ地裁で、トーニャ・ブレンナTonje Brenna(24)が、生存者として、証言台に立った。ブレイビク容疑者を裁く法廷が、4週目を迎え、被害者側からの証言が行われている。
ブレンナは事務局長という責任ある立場にいた。労働党青年部のサマーキャンプで合宿していた多くは10代で、24歳の彼女は年上のほうだった。 彼女は、ウトヤ島の岩の陰に隠れて奇跡的に命拾いをした。ずっと罪悪感と責任感にさいなまれてきた生存者の1人だ。 事務局長である彼女の後に、大勢がついてきた。恋人たちの小道から小川に沿って狭くてすべる坂道を下った。岩陰に隠れられた人もいたが、隠れきれない人もいた。そこにブレイビクがやってきて襲撃した。 彼女のそばには肩を襲撃されて血を流している少女が苦しんでいた。彼女の流血をとめようとしたり、なだめたりしながら、一緒に地面に伏せていた。みな助けを求めてパニックだった。隠れていたので見えなかったものの、海に飛び込む音、泣き叫ぶ声、ひっきりなしの銃撃の音が聞こえた。生きている人たちは、死んだふりをしようとじっと静かにしていた。しかし、中に重傷を負った人がいて、意識もうろうとして何か話しだした。 「私は、自分が責任ある立場にいたとわかっています。もっと時間とエネルギーが私にあったなら、と思います。7月25日(事件の3日後)、ある男性が私をつかまえて、『お前の責任だ』と叫びました」 「なんで、最も年長の一人だった私が生きて、他の若い子たちが死んでしまったのだろうと。でも、亡くなった人も、生きることのできた人も、責めないでほしい。みな生きてほしい」 もう一人の証言者はビョーン・イーラーBjorn Ihler。彼は、何度も銃撃を受けたが、助かった。彼は、逃げる途中、8歳ぐらいの2人の少年にあって一緒に逃げた。ブレイビクが彼にガンをの狙いを定めた時、とっさに水に飛び込んだ。少年たちとはぐれた。その後、また少年たちにあったら、「彼は僕たちを撃たなかった」と言った。大勢の死体とその傍で鳴りやまない携帯電話が目に焼きついている、という。「愛する人にかけていた最後の電話。その向こうには、二度と聞くことができない声を待っている・・・」 2011年7月、ノルウェーで77人を殺したブレイビク襲撃犯の公判は、夏まで10週間続く。生存者にとっても、家族を失った人たちにとっても、地獄の日々がよみがえってくる。 ■Hjertet datt ned i magen på meg da jeg fikk beskjed om å vitne nå http://nrk.no/227/dag-for-dag/_-hjertet-datt-ned-i-magen-pa-meg-1.8125406 ■Norway massacre: Survivors give evidence http://www.bbc.co.uk/news/world-18011072 ■Advarer mot sterke bilder fra Utøya http://dt.no/nyheter/advarer-mot-sterke-bilder-fra-utoya-1.7213642 < 前のページ次のページ >
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ノルウェーの再犯率は16%だ。ヨーロッパで最も低いといわれている。世界で最も低いかもしれない(日本50%)。
デンマーク人の囚人は、「ここが好きかと言われれば難しいです。でも、もしここが刑務所でないならば、休暇用の山小屋として市民に提供できるようなところだと言えます」
とはいえ、受刑者誰もがバストイ島刑務所に入れるわけではない。ここに移る受刑者の選定は、入念に行われる。原則は、刑期が終盤に近づいている受刑者で、ここの開放的生活は、さらに自分を向上させる、と受刑者自身が判断した人ばかりである、という。
5月16日、「ノルウェー移住プロジェクト」は、ストックホルムのノルウェー王国大使館前で抗議のデモを行った。全員、車椅子に乗って。
オスロ地裁、大量殺人事件容疑者ブレイビクの公判ニュースから。
カラショーク(Karasjok)市の市長に初当選したばかりのアンネ・トーリル・エーリクセン・バルト(Anne Torill Eriksen Balto)は、ピンクのバラを生けた花瓶に目をやりながら、こう話した。

信じられないことだが、ノルウェーのホルメンコ―レン・リレーは、40年前まで女人禁制だった。
「徹底的な議論と調査の結果、オスロ大学は、男性への加算点を採用しないことを決定した」