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Cruel Japanの本

c0166264_13113581.jpgかゆい所に手の届くオモテナシ文化、美しさと健康を兼ね備えた和食、お尻の面倒まで見てくれるウォシュレット……ああ、なんて日本は Cool なんだと外国人が礼賛するTV番組が人気を呼んでいる。

しかし、この国は Cool Japan どころか Cruel Japan(残酷な日本)なのだと思い知らせてくれる本が出た。新刊本『雇用差別禁止法制の展望』(浅倉むつ子著、有斐閣)だ。

第1子出産を機に退職する女性は依然6割もいる。平均賃金は男性100としたら女性70.6。しかもこれは正規のみであって、働く女性の54.7%を占める非正規は、調査もしてもらえない。

正社員であっても出発点で男を「総合コース」女を「一般コース」と分別して、女性を低賃金でこき使う。性による賃金差別禁止を明記した労基法4条など、実はザル法なのだ。

「ポジティブ・アクション」も「間接差別」も、日本に上陸したとたん企業に都合のよい「日本的特色を持った中身」に変えられる。

しかし、泣き寝入りしない女性たちは、裁判や国際機関に訴えて闘ってきた。「昇格・昇進に係る男女差別に関する判例」だけで、22件にのぼる。

そのなかで「男女別コース制度が認定された」裁判は4件。本書が真っ先にあげるのは、1980年代の「日本鉄鋼連盟事件」で、女性7人が日本鉄鋼連盟を訴えた。判決は、仕事を「男性コ―ス」「女性コース」と分けるのは憲法違反であるとした。画期的だった。支援団に加わっていた私は、飛びあがって喜びたかった。が、しかしながら、7人が採用された当時にさかのぼれば「公序良俗には違反しない」と、続いていた。私は、この判決にひどい脱力感を覚えた。

2000年にはいり、性別役割分業意識が少しゆらぎはじめたその矢先、ゆりもどしの動きが日本列島をおおった。いわゆるバックラッシュだ。その例として、大阪府豊中市で起きた「すてっぷ館長雇い止め事件」がp284、p334~360に紹介されている。

「日本会議」系の議員らよって、男女共同参画推進センター館長に「威圧的で精神的な暴力が駆使された」。こう述べた判決は、館長が受けた侮蔑的な仕打ちを「人格権侵害」と断じた。館長とは不肖私のことだが、最高裁の勝訴確定まで7年もかかった。

本書は言う。「日本のジェンダー格差の第一の要因は、日本社会に根強い性別役割分業にある」「第二の要因は、企業社会に根強く定着している制度や慣行」。だから、あらゆる領域を網羅する「包括的な差別禁止法」が必要だと、筆者は強調する。

膨大な資料を駆使して、日本の労働界にまんえんする性差別を鋭く衝く大変な労作だ。

館長雇い止め・バックラッシュ裁判
浅倉むつ子「男女共同参画社会実現のための訴訟でした」
読者は二つの怒りを体験する:『バックラッシュの生贄』を読んで
浅倉むつ子意見書を読んで
三井さんの館長雇止め事件の「意見書」を書いて(浅倉むつ子)


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by bekokuma321 | 2017-01-12 13:55 | その他

今年も「政治とカネ」に怒髪天をつく日が多かった。氷山の一角だろうが、報道されただけでも・・・。

松本文明元内閣府副大臣は、「自身が支部長である政党支部の事務所家賃」の名目で妻への支払い6年間で1360万円。

安倍首相の1445万余円をはじめ閣僚による政党交付金の貯め込み7000万円。

民進党富山県連(旧民主党)の政党交付金不正支出、4525万余円。

政治交付金を含む政治資金を、家賃名目で自分や家族に回していた国会議員24人。

政党交付金8700万円をダミー政党に預けて国庫返還逃れを図った維新の党支部。

白紙領収書をもらって1875万円分を勝手に書いていた菅官房長官、同じく520万円分の稲田防衛大臣。

政党交付金不正支出200万余円の山尾政調会長(民進党)の秘書。

そのほかに、政務活動費で私腹を肥やしていた議員のなんと多かったこと。兵庫県議のように号泣こそしなかったが、「老後の心配から」と屁理屈を並べていた。

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 ▲政治資金事件を報道する記事、2016年秋から12月半ばまで

政党交付金は「政党の健全な発展をうながすため」にできた。総額は年に約320億円。日本の総人口に250円をかけた額の税金だ。

できたときは「250円なんてコーヒー1杯分。政治がクリーンになるなら安いものじゃないか」と言われたとか。政党がクリーンになっていないことは、誰の目にも明らかだ。

政党交付金の趣旨や名前は、「政党活動を支援する金」を連想させるが、実態は別。政党本部から政党支部に送金されたカネは、選挙になれば支部長権限で支部長個人に寄附できる、つまり政治家個人の銀行口座にカネを移せる。政党交付金という名の公金は、まるで手品のように、政治家個人の私有財産に変えることができるのだ。これは、小選挙区制と密接にかかわる。

税金だから残金が出たら国庫返還義務があるのだが、そんなことをする人はまずいない。選挙のないときは貯め込んでおける「基金」という手がある。収支報告書も大甘だ。人件費に使ったら領収書は不要だ。5万円以下に小分けすれば、これまた領収書は不要だ。会計監査は秘書や家族など身内でもかまわない。

こんなお手盛りが許されるザル法だから、手慣れた秘書ならおちゃのこさいさいだ。

それに、日本の政党交付金は世界で最も高額らしいことも驚きだ。朝日新聞「日本の国民負担は? 各国の政党交付金」というコラムは、政党交付金の総額と1人当たり負担額を円に換算して6カ国を比べている(Globe 2013.5.13)。

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総額と1人当たりの金額は以下のようになる。
日 本(320億円、250円)
ドイツ(157億円、190円)
フランス(74億円、118円)
スウェーデン(21億円、218円)
オーストリア(16億円、190円)
イギリス(2.6億円、4円)

さらに、日本の国会議員の年収が、これまた世界最高額であることを知ったら、怒らない国民がいるだろうか。イギリスのガーディアン紙が、各国の国会議員の年収(歳費)を英ポンドに換算して比較している。日本の国会議員は年2200万円。「日本の国会議員は、わが国の国会議員の2.5倍の収入を得ている」と書く(The Guardian 11 July 2013)。

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そのうえ、寄付集めのパーティはもちろん、企業献金も一時自粛ムードだったが堂々の復活だ。

いかに日本の国会議員が巨額のカネを手にする人種であるか、一目瞭然である。このままでは女性やマイノリティにポストを譲ろうなどという議員はごくごく少数だろう。女性参政権行使70周年の幕が閉じられようとしている今、政治の世界に女性が増えない最大の要因を知った。


1年前の今日、政党交付金裁判を終えて
甘利議員の政党交付金から考える
女性議員増めざして制度改善を
「どうする政党交付金」
普通のおばちゃんが考える「政党交付金、基金、国庫返還」 
政党交付金裁判
ためこんで翌年一気に使う「政党交付金」
民主主義度1位ノルウェー、23位日本

【注:政党交付金の棒グラフにミスがあり更新しました。文中のイギリス総額2.6億円を、26億円と間違ってコピーして図表作成したためです。訂正してお詫びいたします】
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by bekokuma321 | 2016-12-31 01:15 | その他

「うちの市は20人の議員のうち7人が女性議員です。女性議員が増えて確実に議会が変わりました。眠っている男性議員の多かった“お休み議会”が、目を覚ましたのです。それだけではありません、執行部も変わりました。女性が議会に増えることはいいことだなあと思っています」 

こんな発言で、女性議員増運動の必要性を明快に述べたのは、埼玉県吉川市の稲垣茂行議員だ。会場に拍手と笑顔があふれた。

「1日も早く『推進法』を成立させよう」という集会でのこと。12月19日、臨時国会を終えた参議院議員会館で開かれた。主催したクオータ制を推進する会(Qの会)赤松良子代表(写真下。右)は、ここまでの活動を次のようにふりかえった。

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「クオータ制をめざしてがんばってきたが、クオータ制にはならなかった。『政治分野における男女共同参画法』(推進法)は理念法です。それでも、女性参政権行使70周年の今年の成立を願っていた。そうはならず、残念だった。とはいえ、自民、公明、日本維新の会の与党案が衆院に提出された。野党案はすでに合意されているので、来春の通常国会では、スムーズに進んで行くのではないか」

石毛えい子元衆議院議員、川橋幸子元参議院議員、小林五十鈴日本婦人有権者同盟共同代表の進行で、国会議員のあいさつや、「推進法を求める意見書」を提出した地方議会の報告、パネル報告「これまで、これから」があった。

与党にさえ反対が目立ったカジノ法案は通って、推進法案は審議すらされなかったという192回国会の報告を聞きながら、「これぞマッチョ政治のなれの果てだな」と思った。

パネル報告者は、三浦まり(上智大学教授)、大山礼子(駒澤大学教授)、松下秀雄(朝日新聞編集委員)。発言をまとめる。

「各新聞社が熱心に書いてくれた。とくに女性記者ががんばってくれた。それが議員へのプレッシャーになった。とはいえ、この推進法のなんたるかは多くの人に知られていない。来年の課題は知らない人にもこの法を知らせること」(三浦)。

「夫婦別姓の法案のときのように、この法案もつぶされるのかと危惧したが、なんとか生き延びた。イギリスの参政権運動の映画が封切られるが、当時の参政権運動家たちのように、もっと過激に運動していく必要性を感じる」(大山)。

「ぼくもその1人である多数派の本土生まれのおじさんは、ケア重視を求める女性のニーズに気づかない。しかし、ルワンダでは、内戦後にケアのニーズが高まり、それとともに政治が変わり、今や女性国会議員率、世界一となった」(松下)。

今年、ジュネーブで開かれた国連女子差別撤廃委員会で委員とNGOのプライベートミーテイングに参加した柚木康子(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク世話人、写真下、右)がフロア発言をした。国連がいかに日本政府にいらだっているかを報告した。

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「国連の女子差別撤廃委員会は、何度も何度も、日本政府に対して、クオータ制をはじめ女性差別撤廃に向けての方策をとるよう、勧告をしてきた。委員会としてできることはすべてやってきたつもりだが、前に進んでいない、いったい、あと何を言ったら、日本政府が実行に向けて動いてくれるのか、と(委員は)言っていました。いらだっているようでした」

世界第3位の経済大国が、女性国会議員率では、193カ国のうち、ボツアナと同じ157番目という世界最低レベル。国連委員でなくても、これに、いらだちを覚えない人はいないだろう。

(以上、敬称略)

【衆議院】政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案
女性差別撤廃委員会 日本政府報告書審査の総括所見(英語)
「祝!女性参政権行使70周年」記念はがき
ハルらんらん♪
比例区、またまた削減
「身を切る改革」どころか「民意を切る改革」
小選挙区制は女性の声を捨て去る
クオータ制を日本にも
赤松良子賞と女性差別撤廃条約
11月25日赤松良子賞記念シンポ
男女共同参画白書とクオータ制
日本の政党にクオータを実行する気は見えない
クオータ制が後押し ノルウェー政界の男女平等(新潟日報)
連載「クオータ制」5 クオータ制が生んだ名物教授
連載「クオータ制」4 欧州連合EU議会は35%が女性
連載「クオータ制」3 インドの目標は33%
連載「クオータ制」2 それは政党の候補者リスト作りから始まった
連載「クオータ制」1 あの国でも、この国でもクオータ制
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by bekokuma321 | 2016-12-21 18:55 | その他

c0166264_22232562.jpg今から92年前の今日、1924年(大正13年)12月13日は、日本女性にとって記念すべき日だ。

それまでいくつかあった女性運動が、女性参政権獲得をめざそうという一点で大同団結したのだ。

会の名は「婦人参政権獲得期成同盟」。その立役者は、日本キリスト教婦人矯風会の久布白落実(1882-1972)だった。

久布白落実は、廃娼運動(公娼制廃止の運動)の挫折から、日本の女性に参政権がない理不尽さを痛いほど感じて、「法治国家において参政権は唯一の弾丸であり、武器である」と考えていた。欧米諸国に旅して、参政権運動を実際に見てもきた(注)。とはいえ、矯風会の重責や、家庭の事情もあり(幼い息子、夫、幼い娘が次々に死亡)、組織を創設して代表となって運動を牽引することになかなか踏み切れないでいた。

しかし、機は熟した。久布白落実は、同志ガントレット恒子と話し合って、女性参政権をとなえてきた女性たち全員に、新しい会を設立する集会を呼びかける手紙を出すことにした。準備に次ぐ準備を経て、1ヵ月後の12月13日、丸の内保険協会で、その集会は開かれた。

「婦人参政権獲得期成同盟会」の誕生である。久布白落実は総務理事に就任。そのとき生まれた宣言文が以下である。

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いわく「我等は2600年来の因習を破り、男女ともに天賦の義務権利に即して新日本建設の責務を負うべきことを信ず」。いわく「普通選挙の実施にあたり女子を除外するは不当のことと言わざるを得ず、我等はこれを要求す」。いわく「我が国の職業婦人はすでに400万に達せリ、その利益擁護のために参政権を要求するは当然のことと信ず」。

東京の3分の2を破壊しつくした関東大震災から1年しか過ぎていなかった。『廃娼ひとすじ』(久布白落実著、1973年)には、焼け跡で準備を続けた様子が生き生きと描かれている。

「日本婦人参政権協会の代表としてのガントレット夫人と私が呼びかけ人として、案内状を都下有力の婦人、新聞記者など約350名に出し、11月13日、大隈会館に集まった60名ほどのひとびとと協議した。結局『婦人参政権獲得という唯一の共通目的の貫徹のために連合委員会を組織すること』が満場一致で可決された、日ならずして準備会がたびたびもたれた。

従来あるところの既成団体の存在及びその仕事にはいっさい触れず、それらの団体に属している人々も個人として新たに組織される団体に加入することができる、ただ婦人参政権獲得を唯一の共通目的として一般婦人の個人としての自由な参加を求めることができることに話がまとまり、大隈会館の集合に参加した人から賛否をとって発起人とした。

c0166264_2291381.jpg準備会は前後十数回ひらいたが、若い人たちが多く、しかも昼間は働いているので、夜の6時から大久保の婦人ホームに集まった。そこが遠いというので、しまいには赤坂の矯風会本部の寒いバラックに火鉢で暖をとりながら、遅くまで準備に、今後の運動方針に、はげんだものである。厩ではないが、日本の婦選も、焼け跡のバラックから呱々の声をあげたといってもよい。

12月13日、丸の内保険協会で、婦人参政権獲得期成同盟会設立総会を開いた。矯風会からは小崎千代会頭をはじめ大勢出席し、大阪から林歌子女史もかけつけ、またガントレット、守屋、私などそれぞれ集会の中の役目を果たした。(後略)」

女性参政権は敗戦後、ポツダム宣言によって得られたが、先人たちの運動を決して忘れてはならない、と今日、あらためて思った。

【写真上:『廃娼ひとすじ』を手に久布白落実の思い出を筆者に語る高橋喜久江さん。久布白を師とあおぎキリスト教婦人矯風会で仕事を続けた。現在は矯風会が設立した慈愛寮の理事長。性的搾取根絶運動に今も熱心にとりくむ】
【写真中:高橋喜久江さんを通じて借用した『日本キリスト教婦人矯風会百年史』より接写】
【写真下:久布白落実の書。日本キリスト教婦人矯風会の慈愛寮に掲げられている】

【注】久布白落実は、イギリスに渡りSuffragette(女性参政権運動家)を見聞きした。彼女はその激しい闘いぶりには否定的だったようだ。その逮捕・投獄をもいとわなかったイギリスの女性参政権運動をもとにした映画が新年早々日本でも上映される。原語タイトルは「サフラジェット」。女性参政権運動家、女性参政権論者という意味だが、日本に上陸したとたん、タイトルは「未来を花束にして」。陳腐なタイトルだ。予告映画は、子どもの将来のために母親が闘ったという流れにしたてあげられている。ま、こうすると多くの観客を動員できると思ったのだろう。本家イギリスでは、映画のプレミアの場が「まだ女たちの闘いは終わっていない」と叫ぶ女性運動の場となったという。

日本の女性解放運動とノルウェー
ノルウェーの芸術から思う日本の女性運動
女性解放運動の先駆者早川カイ
オスロの絵と日本の廃娼運動
ロンドンのレッド・カーペットに女たち横たわる
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by bekokuma321 | 2016-12-13 23:01 | その他

富山県氷見市は、女性議員が誰もいない「女性ゼロ議会」だ。市議会の17議席すべてに男性が座る。

氷見市だけではない。日本列島には、「女性ゼロ議会」が約370もある。でも、氷見市はその昔、女たちが米よこせデモをしたと言われている地だ。「女性ゼロ議会」には似つかわしくない。

そこで、富山に向かった。駅前の喫茶店で、全国フェミニスト議員連盟の山下清子さんの紹介する、ジャーナリストの向井嘉之さん(写真右)に会った。向井さんは『米騒動とジャーナリズム:大正の米騒動から百年』(梧桐書院、2016)の著者のひとりだ。

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   ▲米騒動の著書を持つ山下清子さんと向井嘉之さん。富山市内で。

向井さんは、「そうですよ、氷見市の女性たちは、安政の大一揆といわれる暴動を起こしたんです。江戸時代の話で、それが明治、大正の一揆につながっているんです」

1858年(安政5年)、高岡、氷見、魚津など富山県のあちこちで、貧しい庶民たちは地主や役人の家を打ち壊す暴動を起こした。『米騒動とジャーナリズム:大正の米騒動から百年』には、こうある。

「氷見の小高い丘である朝日山に大勢の女たちが集まり、ほら貝を吹き立て『ひだるいじゃー』と叫びながら餓死寸前を訴えた」

「ひだるいじゃー」は、ひもじいよーという意味だという。氷見の女たちは、子どもたちを寝かせた後だろう、夜9時過ぎ、朝日山に登って、ほら貝をブオーツ、ブオーッと鳴らした。その音を聞いて、女たちはどんどん集まった。米が高騰して食べる米がない。これでは死ぬしかない。「ひだるいじゃー」と大勢で泣き叫んだというのだ。すさまじい光景ではないか。

c0166264_137349.jpgその後も富山の女たちの抗議行動は続き、明治維新後は米騒動のない年はなかったらしい。氷見に関しては、「貧民2000余人は、深夜、地主宅や氷見分署を襲った」(1890年)との記録もある。また富山日報は、「(今の黒部市で)200人の細民婦女が汽船への米の積み出しを阻止しようと、米俵にすがりつき離れなかった」と生々しい。江戸、明治と、連綿と受け継がれた富山の女たちの闘いは、「越中の女一揆」で知られる大正の米騒動に続いていく。

この「越中の女一揆」は、1918年(大正7年)、富山で起きた。またたくまに全国の都市や鉱山をまきこむ大暴動へと発展し、内閣崩壊とつながっていった。民の声による政府崩壊のさきがけとなったのが、富山の女たちの抗議の声だったのである。何とまあ。

それだけではない。『米騒動とジャーナリズム:大正の米騒動から百年』によると、米騒動は、10円以上を納税する特権階級(男性)にしか選挙権がないのはおかしい、民の声を代弁するためには選挙権を広げなくては、という社会運動を後押しすることになった。

こうして「越中の女一揆」から7年後の1925年、普通選挙が実現した。とは言っても男のみで、女たちはさらに20年待たなくてならなかったが・・・。

江戸、明治、大正を通じて体をはって命を守る闘いをした富山の女たち。この力は、かならずや、「女性ゼロ議会」撤廃へと続くだろう、そして富山県の議会改革につながるに違いない。こう思いつつ、今にも雪になりそうな富山を後にした。


●●追記●●『米騒動とジャーナリズム』は、第22回平和・協同ジャーナリスト基金賞の奨励賞を受賞した。受賞を記念する講演会「それは米と新聞から始まった」が2017年1月21日(土)1330から、富山市のサンフォルテで開催される。


底なしの政治腐敗と女性議員
女性ゼロ議会「栗原市」を訪問して
女性議員増とメディアの関心
女性ゼロ議会、5議会にひとつ
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by bekokuma321 | 2016-12-13 13:38 | その他

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千葉大生3人が集団強姦事件を起こして逮捕された。彼らの氏名や内容がまだ明らかにされていない。事件の概要は:

「女性に集団で性的暴行を加えたなどとして、千葉県警は21日、千葉大学医学部(千葉市中央区)の20代の男子学生3人を集団強姦(ごうかん)致傷の疑いで逮捕した。関係者への取材で分かった。関係者によると、3人は共同して9月下旬、千葉市内で女性に集団で性的暴行を加え、けがを負わせた疑いがある。飲食店で女性に酒を飲ませて泥酔させ、店内で集団で性的暴行をした後、うち1人の自宅に女性を連れて行き、集団で性的暴行を加えたという。女性が県警に相談していた」(2016年11月22日の朝日Web)

悪辣極まりない性暴力だ。なぜ千葉県警は事件の加害者を公表しないのか。まったく不可解だ。

さきほどTBSの報道を見た。そのなかで、NPO「しあわせなみだ」の中野宏美理事長は、こう語っている。性暴力の根絶をめざして、被害者支援を続けてきた人ならではの意見だ。

「被害を経験した女性たちがどのような思いで警察に届け出たかをきちんと考えてほしい。多くの、暴力を経験した人が望んでいるのは、加害者が罪を認め、謝罪し、更生する、つまり、ニ度と加害をしないことなんです。きちんと事件として(被害者が)裁いてもらうことを希望しているのであれば、なぜ、公表しなかったのかをきちんと説明する理由があると思います」

一方、警察は、加害者を逮捕し身柄拘束しているのに、彼らの氏名を公表しない。時が過ぎ、ネットでは憶測が飛び交っている。百田尚樹氏は、「犯人の学生たちは大物政治家の息子か、警察幹部の息子か、などと言われているが、私は在日外国人たちではないかという気がする」などと、ツイッタ―した。彼の横顔をひっぱたいてやりたいくらいだ。

強姦の被害は、9月下旬だったそうだ。強姦被害にあった女性は、警察に駆け込むまで、どれだけ苦しみ悩んだことだろう。「あのとき、私がこうしていれば・・・」と自暴自棄になったかもしれない。「親に知られたら親はどう思うだろう」と心配したかもしれない。こうして、いくどもいきつもどりつして、やっと警察に届けようと、一歩踏み出したのだ。この一歩に至るまでの長い道のり。よく考えてほしい。

千葉大はどうか。大学のホームページを見た。表紙下のほうのNEWS欄にある6つのなかに、「本学学生の逮捕に関する報道について」が置かれている。クリックすると別ページ「ニュース・イベント情報」に移る。そこに「このたび、本学学生の逮捕に関する報道」に対して「誠に遺憾であり、心よりお詫び」すると書かれている(上の写真)。

「ニュース・イベント情報」にカテゴライズした無神経さに驚かされた。それになんとまあ、短いことよ。しかも中身は報道されてしまったことへの、お詫びではないか。「調査委員会」を設置したと弁明しているだけで、大学として、重大な事件だととらえているようにはとても見えない。

詳細はまだとしても、現時点で言えることはもっとあるはずだ。大学が、性暴力に対してどう考え、どういう対策をとってきたか、もしも性暴力が事実ならどう対処するか、など断固とした姿勢を示すべきである。それが教育者のやることだ。そもそも、どの大学にもセクハラや性暴力対策室があってしかるべきなのだが、いったいどうなっているのだろう。

大学、警察に限らず、この国は、女性への性暴力への対応があまりに軽すぎる。これでは、性暴力を受けた女性のわずか4.3%しか警察に相談しない、のもよくわかる。


叫ぶ芸術「警察官のセクハラ防止会議」
最高裁、セクハラにNO!
裁判官・裁判員の「強姦神話」
ノルウェーの強姦対策
京都教育大強姦事件
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by bekokuma321 | 2016-12-04 18:48 | その他

京都で、「風に出会う会」の集いがあります。

北欧の風に吹かれて、こころのなかにある偏見、決めつけ、差別をなくすにはどうしたらいいかをいっしょに考えます。申込不要です。お気軽に会場においで下さい。

日 時: 2016年12月7日(水) 13:30~16:30
場 所: ハートピア京都 大会議室・第3会議室
内 容: 講演会「こころのバリアフリーにむけてみんなができること」

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風と言えば、ボブ・ディランは 「どのくらい聞いたら、人々の悲しみが聞こえてくるのか?」と問い、「友よ、答えは風のなかにある」と歌っていた。

How many ears must one man have 
Before he can hear people cry? 
The answer, my friend, is blowin' in the wind♪ 
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by bekokuma321 | 2016-11-22 14:34 | その他

11月19日(土)、20日(日)、豊中すてっぷにて、女たちの映画祭

今年は、ポーランド、アルメニア、中国、日本の女性監督によるドキュメンタリー映画です。スクリーンからほとばしり出る女たちの力を味わってください。

19日夜は、遠いアルメニアから、マリアム・オハニャン(Mariam Ohanyan)監督が来日して講演。黒海とカスピ海の間にある国アルメニア。その文化、歴史、女たちの暮らしを語っていただきます。

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“KIN” Women’s International Film Festival
映画界の女性差別をなくすために
ついに映画産業にクオータ制
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by bekokuma321 | 2016-11-15 01:54 | その他

全国フェミニスト議員連盟が、鹿児島県志布志市に対して提出した要望書を公開します。批判された市のPR動画「UNAKO(うなこ)」は削除されましたが、女性をモノ化し、女性を性の対象としている表現だったとの認識が当局に見られないことを、指摘しています。問題の動画は、下の写真をクリックすると見られます。

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鹿児島県志布志市長 本田修一 様

志布志市ふるさと納税PR動画「UNAKO(うなこ)」に抗議し、男女平等の視点にたった広報を行うことを求める要請書

2016 年10月24 日

私たち全国フェミニスト議員連盟は、女性の政治参画を推進し、真の男女平等を実現するために1992年から活動を続けている、市民と議員による団体です。

貴市のPR動画「UNAKO(うなこ)」について、抗議ならびに要請をいたします。

動画は、ウナギを黒い水着を着た少女に擬人化し、彼女に「養って」と言わせて、その一方で、「彼女のためにできる限りのことをしてやる」と男性に言わせる内容のものでした。

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すでに貴市は、HPで「鹿児島県志布志市 ふるさと納税PR動画「UNAKO」配信停止のお知らせとお詫びについて」と述べて、配信を停止しています。

しかし、配信停止理由(「視聴者の皆様に更に不愉快な思いをさせてしまうだけでなく、これまで志布志市へふるさと納税をしていただいた寄附者の皆様や地元市民の皆様をはじめとする関係者の皆様に及ぼす影響」)は、なぜこの動画が問題なのか、なぜ国内外に大きな批判があがったのかをとらえていません。

動画そのもののみならず、このような市の対応に対し、私たちは、抗議の意を表明いたします。

「UNAKO(うなこ)」における、ウナギを少女に擬人化させて、水着姿で泳がせ、養ってほしいと懇願させる映像は、私たちに、少女を男性が監禁して性的に鑑賞することを想起させて、身震いするほどの不快感を抱かせました。これは女性をモノ化し、女性を性の対象とする視点にほかなりません。さらにジェンダーに関する感受性にまったく欠けていると言わざるを得ません。

残念ながら一部メディアにおけるこのような視点の横行は否めませんが、行政は、このような視点をむしろ否定し、そのような視点とは異なる女性像の育成を奨励されています(別紙注「行動綱領」)。

しかるに市は、このような視点でおおい尽くされた内容の動画を公金で作成して広報しました。二度とこのような視点で広報を行わないためには、問題の本質をとらえた上での反省を行い、市の全職員へのジェンダー研修を行うべきです。

ご承知のように日本政府は、1995年9月北京で行われた第4回世界女性会議に参加し北京宣言及び行動綱領を採択しました。行動綱領は、「ジェンダーに対する感受性がメディアに欠如していることは、公共及び民営の、地方、全国及び国際メディア機関に見られる、ジェンダーに基づく固定観念の排除ができなかったことを示している」と指摘し、243条で順守義務を掲げています(別紙注_左下Moreをクリック)。

この趣旨に基づき、下記を要請します。

                   記

1 「UNAKO(うなこ)」の問題点を、北京行動綱領から洗い出して、総括をすること。
2 市の全職員に対するジェンダー研修を継続的に行うこと。
3 今後は、女性を性的対象及び商品として扱うことを断固拒否し、男女平等の視点にたった広報を行うこと。

以上

全国フェミニスト議員連盟

共同代表 ひぐちのりこ(宮城県仙台市議会議員)
 同 上 日向美砂子(東京都小平市議会議員)
事務局 小磯妙子(神奈川県茅ヶ崎市議会議員)

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by bekokuma321 | 2016-11-06 00:19 | その他

先日、全国フェミニスト議員連盟が、滋賀県栗東市に送った抗議と要請文を公開します。男女表現があまりに紋切り型であることを指摘し、それがなぜ問題なのかを詳述しています。

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滋賀県栗東市長 野村昌弘 様
滋賀県栗東市教育長 福原快俊 様

「栗東市 子育てのための12か条」チラシに抗議し 男女平等の視点にたった広報の実施を求める要請書

2016 年10月24 日

私たち全国フェミニスト議員連盟は、女性の政治参画を推進し、真の男女平等を実現するために1992年から活動を続けている、市民と議員による団体です。 貴市教育委員会が作成し市ホームページに掲載している「栗東市 子育てのための12か条」というチラシ(10月24日現在)は、ジェンダーにもとづく偏向があると考え、抗議ならびに要請をいたします。

子どもたちに守ってもらいたいマナーやルールならば、性によって異なってはならないはずですが、このチラシは、全体として性によって異なった印象を与えることから、学校や自治会に配布する啓発教育教材には不適切です。

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具体的には、男の子のイラストに「元気な返事」とあり、女の子には「丁寧に言葉を添えて」などといったように、男の子は元気、女の子は優しくといった紋切り型の男女観が散見されます。また、服装、髪形などに、性による固定的な決めつけが際立ち、さらに描かれている人物は男9:女3と性による人数差があります。

男女共同参画社会の実現は21世紀の最重要課題とされ、多様な性のあり方を相互に認め合う社会の実現が求められています。内閣府男女共同参画局発行の「男女共同参画の視点からの広報の手引き」には、「広報の内容が男女双方にかかわる場合、登場する男女のバランスにも配慮し、いずれかに偏らないよう心がけましょう」と記載されています。

また日本政府は、1995年、第4回世界女性会議において北京宣言及び行動綱領を採択しました。行動綱領は「ジェンダーに対する感受性がメディアに欠如していることは、公共及び民営の、地方、全国及び国際メディア機関に見られる、ジェンダーに基づく固定観念の排除ができなかったことを示している」と指摘し、「メディアにおけるバランスがとれ,固定観念にとらわれない女性の描写を促進すること」と、とるべき行動の順守義務を掲げています(別紙注_左下Moreをクリックすると読める)。

貴市の広報はこの流れに逆行し、行政の刊行物におけるバランスのとれた男女表現の配慮に欠けるといわざるをえません。よって、貴市及び貴教育委員会において、下記を強く求めます。

           記

1 貴市教育委員会が作成した「栗東市 子育てのための12か条」のチラシは、固定的な性別役割分業に則って描かれており、ジェンダーに対する配慮に欠けていることを認識すること。

2 固定的な性別役割分業に基づく表現は、それを受け取る子どもたちに対し、その将来の希望や願いを制限したり、型にはめたりするおそれがあり、行政が発する文書には特に注意が必要であり、それに反する「栗東市 子育てのための12か条」のチラシは撤回すること。

3 今後は、ジェンダーに対する配慮をした広報活動を徹底すること。 以上

全国フェミニスト議員連盟

共同代表 ひぐちのりこ(宮城県仙台市議会議員)
同 上 日向美砂子(東京都小平市議会議員)
事務局 小磯妙子(神奈川県茅ヶ崎市議会議員)

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by bekokuma321 | 2016-11-05 23:44 | その他