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11月11日、恵泉バプテスト教会で、シンポジウム「選挙が変われば政治が変わる 第2回選挙マルシェ」があった。三井マリ子さんの基調講演は、9月に取材してきたばかりのノルウェーの国会議員選挙についてだった。

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◎高校の生徒会が、選挙期間に各政党代表を校内に招いて政策討論会を行う(スクール・エレクション)。
◎居住地でない投票所でも事前に投票できる(たとえば職場の近くなど)。
◎ほぼ全ての政党が、子ども向けの政策をつくって発表している。
◎小学生から選挙や政治に馴染んでいて、小学5年生になると授業で実際に各政党の選挙事務所に政策の調査に行く。
◎政党助成金は政党の本部だけでなく、政党の青年部にもダイレクトに送金される。
◎選挙は、国会議員も地方議員もすべて比例代表制。
など、など……。

パワポを駆使して、笑いを交えながらの熱いお話だった。日本との政治環境や選挙制度の違いに驚いた。

しかし、日本でも、独自に政党代表を招いての公開討論会をしたり、わかりやすい情報発信や、政治家と直接交流の機会を設けて若者政策を提言したりなど、主権者教育に取り組んでいる団体がある。

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講演を踏まえて、そうした4団体の代表による、パネルディスカッションがあった。4人は、自分たちの団体の活動内容や目的に加えて、政治・選挙について感じていることを元気に話してくれた。規制の多い日本の公選法や、政治への無関心など問題点が山積する日本の政治環境のなか、4人の熱心な活動を知って、前向きになれる力が自然と湧いてきた。

ランチ後のシンポには、現役議員9人が登壇(写真下)。政治に関わるようになったきっかけや子どもの頃に感じていたことなども聞くことができた。短い時間だったが、それぞれの個性や所属政党の政治活動についても垣間見えた。

今回は、会場からの質疑応答の時間はとれなかった。とはいえ、日ごろあまり接する機会のない政治・選挙の話を「聴く」ことから、考えさせられることや得るものが数多くあったと考えている。

司会進行という大役を終えて、今、ホッとしている。今後も、こうした活動に関わっていきたい、と思っている。

日向美砂子(全国フェミニスト議員連盟、小平市議会議員)

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【写真上:ノルウェーで撮影してきた映像を示しながら講演する三井講師。中:左から司会の日向美砂子議員、三井講師、4団体代表。下:超党派の議員による「若者の政治参加をどうするか」】(撮影 上・中anonymous、下三井マリ子)

「教育を変えなければ」と思った(選挙マルシェ)
市民に優しい選挙制度(ノルウェー)(東京新聞)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
北欧福祉社会は地方自治体がつくる



 
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by bekokuma321 | 2017-11-16 12:04 | その他

愛媛県議会の補欠選挙があり、武井多佳子前松山市議が当選した。脱原発や「女性ゼロ議会」
をなくす運動に熱心に取り組んできた無所属の地方議員だ。

これまで愛媛県会議員47人のなかで女性議員はたった1人だった。いわゆる「紅一点議会」を打ち砕いたことに、歴史的意義がある。

とはいうものの、この21世紀に女性議員はわずか2人で、全議員に占める割合は4%にすぎないとは。

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 ▲愛媛新聞 2017年10月24日

武井多佳子候補が胸元につけているのは「ファイトバックの会」のバンダナ。2011年、大阪府豊中市を相手に人格権侵害訴訟をして最高裁で勝利した三井館長雇止め裁判に使われた。

武井さんは、豊中市の男女共同参画推進センター「すてっぷ」に事業活動を視察に来た。初代館長だった三井は数年後、日本会議系議員らからの圧力に屈した豊中市によって首にされた。武井さんは、三井提訴後、最高裁勝利までの長い道を伴走してくれた。「三井裁判に心強められて、今ここにあります。(新聞は)カラー写真なので赤が決まっています」と武井さん。

今治市に女性議員誕生
議会に女性をおくる会
日本会議的政治と闘った裁判の記録:『バックラッシュの生贄』
読者は二つの怒りを体験する:『バックラッシュの生贄』を読んで
勝訴から、さらなる民主主義の闘いへ

【2017年11月1日更新】
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by bekokuma321 | 2017-10-31 12:58 | その他

衆院選で、自民党は、289小選挙区のうち、218議席を獲得した。これは75.4%に当たる。自民党の得票率は48.2%。全体の半分に満たない票で、8割近い議席を分捕った。

これが「作られた多数派 manufactured majority」と言われるものらしい。

小選挙区制は、第1党に不当に多く議席を与える不公平な制度だと批判されてきたが、今回もそれがはっきり証明された。

また小選挙区制は「死に票」が多い。今回は、全国で2661万票の死に票が出た。全得票の48%だ。投票した人の半数に近い票がどぶに捨てられたことになる。なんとまあ、もったいない!

もったいないどころか死に票の多い選挙制度は「違憲」だという憲法学者もいるという。石川真澄が著書で紹介している。

日本国憲法は、「民意の正確な反映」を要請しているという。憲法学者の長尾一紘は「それぞれの選挙制度を区別するメルクマールは、死に票率のいかんであるということができる」。だから、小選挙区制は違憲であり比例代表制が合憲であると指摘する(労働旬報社『この国の政治』)。

石川真澄は、小選挙区制選挙を「邪悪な選挙」だと批判し、民意をほぼ正確に反映する比例代表制にすべきだと多数の著書を世に出した。

比例代表制のよさは、女性やマイノリティを議会に送りやすいということもある。これを石川はそれほど強調していないが、私には大問題だ。

比例代表制にしたら、政党が候補者名簿をつくる際、男、女、男、女と男女交互にならべるだけで、女性議員が確実に増える。政党で「クオータ制」(どちらかの性を例えば40%以上とするルール)を尊重すればいい。そのほか、政党の姿勢次第だが、3番目には障がい者、4番目にはアイヌ民族・・・というように候補者を多様にしやすい。

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 ▲三鷹市の衆院候補ポスター。自民党は小選挙区で、立憲民主党は比例で当選した。希望の党と共産党は落選した。公報を見る限り、希望の党の女性候補(弁護士)は男女平等推進に関心が強いと私には思えた

案内「選挙が変われば政治が変わる」
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
2017衆院選 微動だにしない男性偏重政治
国会議員年収も政党交付金も世界最高額
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
イギリス6割が選挙制度改革に賛成 
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
女性の衆議院議員は1割に満たず
1年前の今日、政党交付金裁判を終えて
票数が反映しない選挙結果のゆく先は


【上記の2017年衆院選統計は時事通信ウエブページを参照した】
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by bekokuma321 | 2017-10-29 01:09 | その他

総選挙の結果、衆議院議員465人のうち女性は47人、10.1%にすぎなかった。各種政策で相違を見せている政党も、こと議会の男女平等化ではドングリの背比べのように見える。

「男社会をリセットします」と喧伝した希望の党に期待した人もいたらしいが、希望の党の女性当選者は、小選挙区1人、比例区1に終わった。

女性が党首になっても、女性政策や男女平等政策に見るべきものがなかったのは、イギリスのサッチャー政権で証明済みだ。ちなみに小池百合子は著書で尊敬する人にサッチャーをあげている。

世界の国会(一院)における女性占有率を比べてランキングを公表してきたIPUという組織がある。IPUによると、日本は総選挙前、9.3%で世界193カ国中165番目だった。ほかの国々が変わらないとして、今回の10.1%という数字は、世界で上から161番目となる。ハンガリーと同じランキングだ。先進国中最下位という恥ずべき地位は微動だにしない。

昨日、英ガーディアン紙は、選挙結果について日本政治の専門家の分析を掲載した。

その記事に、日本は小選挙区制中心であるため、得票率と議席率が比例せず、自民圧勝を生んでいるとの指摘があった。小選挙区制は一党独裁を生みやすいだけでなく、女性やマイノリティの議会進出を阻む選挙制度であり、この指摘は重要だ。

それに加えて注目すべきは、エマ・ダールトン博士の弁だ。「日本の男性偏重政治は、あまりに当たり前すぎて、あまりに長く続きすぎて、驚く人さえいないようだ」(和訳FEM-NEWS)と語る。絶妙の表現ではないか。

世界165番目から161番目という、この大スキャンダルが社会問題にならないどころか目に見えていない。日本の報道機関の怠慢さ鈍感さに怒りを覚える。報道各社は大々的に特集を組んで、全政党に具体的な対策をあげさせ、女性の議員をどう増やしていくかを問題にすべきだと思う。


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▲女性議員の少なさを表すため面グラフにした。現行の小選挙区比例代表並立制でも比例区の定数を増やすと女性が増えるはずである

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▲自民党でも女性の割合は選挙区より比例区のほうが多く、公明、共産、維新となると比例区がなければ女性議員はゼロだった。「身を切る改革」などという議員定数削減を「女性当選者を切る改悪」にしてはならない

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▲国会(第1院)に占める女性率で、日本は世界165位(193カ国調査、IPU、2017年9月)。2017年10月の衆院選の結果、少しは上がるだろうが、160位前後だろう。

「衆院選の当選者を図解すると... 女性めっちゃ少ない!」BuzzFeedの小林明子と阿部 結衣子の両エディター
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
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by bekokuma321 | 2017-10-24 17:14 | その他

衆院選投票率50%台か

NHKによると衆院選 「投票率は53.60%前後の見込み」だという。戦後最低の投票率と言われた2014年(平成26)の52.66%からやや増えた。しかしなんとまあ棄権の多いこと。

小選挙区制という選挙では、最高得点をとった一人しか当選しない。自分の1票が政治に反映されない可能性があまりに高い。だから馬鹿らしくて投票所に行く気になれない人も増える。

先月、取材してきたノルウェーの最終投票率は78.2%だった。ノルウェーは比例代表制選挙だ。

c0166264_23511488.jpgこれまで、小選挙区制は、得票率が議席数に反映されないことが指摘されていて、民意の反映しない選挙だと強く批判されてきた。

たとえば2012年の衆院選を見る。自民党は小選挙区で得票率43%だったが、小選挙区議席の79%をかっさらった。投票した人の2人に1人に満たない票で、8割近い議席を得たのだ。絶対得票率(上の表[朝日Web]。注)となると、自民党はわずか24.7%で4人に1人に満たなかったが、比例区あわせて全議席の6割を超えた。そのかげで、他候補に入れた3000万以上の票はすべて死に票となった。

一方、比例代表制のノルウェーはどうか。政党ごとの得票率と議席占有率を見る。最大政党の労働党30.8%で33%、保守党26.8%で28%、 進歩党16.3%で17%、中央党5.5%で5.9%・・・。比例代表制という名の通り、得票率に議席数が比例している。大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに得票に応じて議席を出せるのだ。これが、1人1票を生かす選挙というものだろう。

自分の1票が確実に議席に反映する選挙制度をとるノルウェーの投票率が高いのは当たり前だろう。

今回の衆院選では、どれだけ死に票が出るのか。

【注】絶対得票率は、有権者全体の得票率で,棄権した人も含めて有権者全体のなかでその政党 が何%票を得たかを示す

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 ▲衆院選の投票率の移り変わり。小選挙区制が始まったH8(1996)から投票率がガクンと下がった

投票率アップのカギは「優しさ」 総選挙で80%近く ノルウェーに学ぶ(東京新聞)
2017衆院選の政党別・性別候補者
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絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
日本の「自書式」ハンディキャッパーに不利
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by bekokuma321 | 2017-10-23 00:37 | その他

朝日新聞の2017年10月21日「党派別の候補者数」をもとに政党別・性別に棒グラフにした。

赤が女性候補、灰色が男性候補。

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2020年まであらゆる指導的立場の女性を少なくとも30%に。これが政府の目標だった。しかし、女性の候補者が全体の17.7%では話にならない。

とはいうものの、衆院における女性議員はわずか9.3%にすぎないことを考えると、正当な理由なき突然の解散にしては、健闘したといえそうな政党もある。

現在、日本の女性議員率(第1院)は、世界193カ国中165番目という最下位チームに属している。この女性候補209人が全員当選したとして、全議員の17.7%だから、世界193カ国中112番目か113番目で、トーゴかジャマイカと同じランキングとなる。もちろん先進国では最下位だ(2017年9月1日付IPU調査Women in national parliaments)。


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絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
日本の「自書式」ハンディキャッパーに不利
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by bekokuma321 | 2017-10-22 19:13 | その他

c0166264_20464535.jpg期日前投票に行ってきた。

憲法を改正されてはたまらない。自民党の改憲草案(2012年策定)には、9条に「国防軍」の保持というゾッとする用語が明記されていた。野党の反対で棚上げにされたが、安倍政権の本心はこれだろう。

現在の憲法9条を変える必要はないと私は思う。だから改憲に反対する政党の候補とその政党に1票を投じた。

1票を投じた、と言っても、正確には、小選挙区制の投票用紙に鉛筆で候補者の名前を書いて、それを投票箱に入れた(右)。

次に、別の係員から、比例区の投票用紙を受け取って投票ブースに戻って、政党名を自分で書いて、投票箱に入れた(右下)。

c0166264_20494678.jpgこれまで、こんなふうに支持する政党の候補者の名前を書いてきたが、この方法は「自書式」と呼ばれていて、先進諸国では日本だけらしい。いや世界で日本だけだという人もいる。

自書式は、手や指の不自由な人、目の不自由な人、字の書けない人などハンディを持つ人にとって、楽な方法ではない。また選ばれる側の候補者から見ると、夫婦同姓強制社会で、かつ苗字を呼ぶ慣習の日本では、苗字が変わってしまう既婚女性の多くは不利になる。

それに記号式のほうが、ミスが少ないし、票の集計だって早いに決まっている。とすると人件費も節約できるのではないか。

1980年代、ノルウェーで初めて選挙の投票用紙を見た。B5判ほどの大きさにまず驚いた。その一番上に政党名、その下に何人もの候補者名がズラリと印刷されていたことに、また驚いた。

c0166264_2126521.jpg投票する人は、投票ブースに入って外から手の動きが見えないようにカーテンを閉めて、その中に置かれている投票用紙から支持政党の用紙1枚を選んで封筒に入れて、投票箱に入れる(今は封筒はなくなって、政党名・候補者名が印刷された側を見えないように二つ折りにする様式に変わった)。

ノルウェーは比例代表制だから候補者名を印刷しているのかと思いきや、違った。

小選挙区制の母国イギリスでも、同じだった。

c0166264_21214277.jpgイギリスの投票用紙には政党ロゴと候補者名がズラリ印刷されていて、投票する人は、支持する候補者の横にある空欄にしるしをつけるだけ。

選挙は、国会に主権者の意思を反映させるために行うものだ。だから、民意を反映する比例代表制中心の選挙制度にすべきだ(現行の小選挙区制比例代表並立制は、小選挙区制が基本)。ノルウェーは、およそ100年ほど前に比例代表制に変えたという。でも、日本で選挙制度改正には時間がかかりそうだ。まずは世界で唯一の「自書式」から「記号式」に変えるのはどうだろう。

【写真上:2017年10月22日の衆院小選挙区制投票用紙。写真中:2017年10月22日の衆院比例区投票用紙。写真下:ノルウェーの2017年総選挙に使われた投票用紙の労働党。写真最下:小選挙区制イギリスの投票用紙】


【ノルウェー2017年選挙のルポ】
市民に優しい選挙制度(ノルウェー)
投票率は77.6%(ノルウェー)
投票日の夜は政党のパーティ(ノルウェー)
国会議員選挙結果、女性41.4%(ノルウェー)
真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)

【関連記事】
ハンディをハンディと感じさせない社会へ(岡田ふさ子)
高校生も立候補するカネのかからない選挙 (近江真理)
選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
同じ18歳であってもーーノルウェーの選挙、日本の選挙(木村昭子)
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~
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by bekokuma321 | 2017-10-19 21:32 | その他

「女性と人権全国ネットワーク」が、22日投票の衆議院議員選挙における女性候補について役立つ情報を公開した。

今回、女性の候補者はわずか209人で17.7%。余りの少なさに気落ちしてしまうが、それでも、これまでで最も多いという。急な解散、高い供託金、少ない支援組織など、女性たちに立ちはだかる壁の厚さを思い知らされる。

その209人女性はどの選挙区から出ているか、どの政党に所属する女性候補がいいか、女性候補の過去の実績など、投票する際のヒントがあげられている。

29年衆議院選挙 女性候補者一覧(下表は一部)
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by bekokuma321 | 2017-10-17 18:26 | その他

c0166264_2362234.jpg希望の党の小池百合子党首に、記者が「前原さんをだましたんでしょうか」と尋ねた。9月29日の記者会見だった。彼女はそれを否定せず、首を斜めに傾げて満面の笑みを浮かべた。その後、笑いの浮かぶ口元から出てきたのは、「(リベラル派は)排除いたします」発言だった。

小池は根っからの右派政治家だから、これは予想されたことだ。むしろ私は、民進党の節操のなさを呪った。選挙で勝つために、結党精神もイデオロギーも、国会での過去の発言も、日本津々浦々で頑張ってきた地方党員の縁の下の活動も、きれいにご破産して、他党に身売りを申し出たのだから。

しかし、もっとも呪われるべきは、20余年前に「政治改革」とやらの熱狂の中で成立した「小選挙区制中心の選挙制度」だろう。

選挙は、国会に主権者の意思を反映させるために行うものだ。それなのに、小選挙区制は民意を反映しない。

小選挙区制は最高得票をとった一人しか当選しない。食うか食われるか、究極の弱肉強食の制度である。1001票とったら当選し、1000票なら落選する。その1票差で負けた次点候補に投じた1000票は、すべては死に票となる。他のミニ政党候補に入れた票は言うまでもない。つまり自分の1票が政治に反映されない可能性があまりに高いのだから、馬鹿らしくて投票所に行く気になれない人が出るのは、当たり前である。

2012年の衆院選で、自民党は小選挙区で得票率43%だったが、議席の79%をとった。投票した人の2人に1人に満たない票で、8割近い議席をとった。その結果、死に票は3730万! 2014年も似ていて、自民の得票率は48.1%だが、議席は75.3%、死に票は約2541万! 3730万人、2541万人という人たちの投票用紙がゴッソリどぶに捨てられたようなものなのである。

小選挙区制導入は、“健全な2大政党制”を根づかせる制度なのだそうだが、もはや2大政党政治どころか自民1強政治に落ちぶれた。こんな無節操選挙制度のなにが健全だというのだろう。

自民党の衆議院議員鈴木貴子は、2012年衆院選で新党大地から立候補して自民前職に敗れた。2014年には民主党に移って民主党公認で立候補。僅差で落選したが比例区で当選した。その後、自民党に入党した。

民進党の衆議院議員長島昭は、2017年の都議選前、離党届を提出した。民進党公認で都議選に立候補した人物2人も長島と行動を共にし、離党した。長島は希望の党の結成メンバーとなった。

希望の党結成メンバーには、民進党の要職にあった松原仁や細野豪志がいる。松原仁は都議時代自民党だったが、その後、新進党→自由党→民政党→民主党→民進党と所属を変え、都知事選では、民主党東京都連会長となって小池百合子の対抗馬である鳥越候補の旗ふり役をした。細野は民進党幹事長、副代表を務めた党を代表する人物だ。

今回は、個々人の離党ではない。野党第1党の民進党が事実上解党されて、できたてほやほやの小池党の軍門に下った。その心根にあるのは、「都知事選・都議会議員選で連勝した小池党なら自民党に勝てるだろう」という打算だ。その打算は、野党共闘運動のなかで交わしてきた公党同士の約束すらほごにした。

さらにニッポンの悲劇を増幅させているのが、小選挙区制と抱き合わせで導入された政党交付金制度だ。

政党交付金は、全国民が1人250円を出し合った国費で、年額が320億円。これは世界一の高額だという。その配分は、各政党の得票数に加えて、民意を反映しない議席数に応じて計算される。当時、「250円なんてコーヒー1杯で政治がクリーンになるなら安いものじゃないか」と言われたが、クリーンどころかキャバクラ代、ガソリン代、妻への給与、顔・名入りワイン代など、野放図な使われ方は底なしだ。

政党交付金は、政党中心の比例代表制選挙に使われるならわかる。しかし小選挙区制では政党の公認候補は1人であり、その人物が代表する「政党支部」に政党交付金が送金されるので、その組織を牛耳る1人の人物の自由になるのだ。もっとはっきり言うと、「政党活動の自由」を盾にすれば、何に使ってもいいのだから、寄付の形をとれば、「私腹肥やし」も可能なのである。おそらく、希望の党に移った多くの国会議員は、政党交付金が原資のカネを貯めこんでいると想像できる。

民進党本部には、約140億円が貯めこまれているらしい。2017年分87億円余りは、4分割されて4月、7月、10月、12月の各20日に振り込まれるので、形式上、民進党が存続していれさえすれば、10月分も振り込まれる。12月分は10月22日の総選挙後、新たに計算されるのだが、民進党が解党していなければ、衆議院議員がいなくても参議院議員の分は振り込まれることになる。その間、民進党に残った政党交付金を政治団体に寄付してしまえば、国庫返還せずに民進党代表の管轄下に置くことが可能となる。

20年経って、「結果として、政党の活力が奪われました」と言ったのは、細川内閣で制度設計に関わった成田憲彦さんだ(朝日 2015.10.17)。

「小池百合子都知事 男社会をリセットします!」などともちあげるメディアも有罪である。小池百合子は憲法改正に賛成し、日本の核武装を容認する発言をしてきた右派の政治家である。そして女性差別撤廃条約や男女共同参画推進法を目の敵にする「日本会議」につらなる政治家でもある。つまり彼女は男社会を維持補強するチアリーダーすぎない。リセットとは、ちゃんちゃらおかしい。

c0166264_2315745.jpg1970年代、社会学者のアーヴィン・ゴフマンは、女性は、首を傾けるというしぐさで、相手に対して従順であり、警戒心がないと印象づけることを明らかにした。多くの男性は、それを愛らしいと感じるのだという。この21世紀に、微笑んで首を横に傾げるという“女らしさの武器”を使って印象操作をする女性に騙されるほうが悪い、と私は思う。

そういう人物に騙されようとも、辱められようとも、選挙に勝つためには背に腹は代えられない。これが小選挙区制の正体なのである。ああ、絶望。

この絶望の淵からはいあがるただ一つの道、それは、比例代表制選挙に変えることである。


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▲両グラフとも出典はFEM-NEWS「国会議員年収も政党交付金も世界最高額」。グラフのもとになった統計資料も同記事参照を。

「どうする政党交付金」
女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」
共謀罪可決と選挙制度:イギリス選挙から考える
豊田真由子議員の暴言暴行と選挙制度
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
小選挙区制は女性の声を捨て去る
政党交付金裁判
フランスの政党交付金は男女平等化資金に
男女平等を嫌う反動勢力の実像
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by bekokuma321 | 2017-10-06 23:41 | その他

女たちの映画祭が、今年も大阪府豊中市すてっぷにて開催されます。映画に描かれる女性は古今東西、若い女性ばかり。男性監督が男性の視点で作っているからでしょうか…。でも、この映画祭は「シニアの女性監督の作品、シニアの女性が描かれた作品を上映」すること。何という挑戦的試み! ぜひおでかけください。詳しくはSister Wavesを。

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2017シニア女性映画祭・大阪 プログラム
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by bekokuma321 | 2017-10-03 12:20 | その他