カテゴリ:アジア・アフリカ( 164 )

今、ハリウッド女優たちは映画制作者を性暴力で訴えている。彼は「仕事の打ち合わせがある」と駆け出しの女優を呼び出しては、卑劣な行為をしたらしい。断ったら仕事を干されるという恐怖から、我慢していた人も多いという。

詩織さんの件を思い出した。詩織さんは、TBSのワシントン支局長だった山口敬之氏から、支局での仕事や正式採用も可能といわれていた。ある日、山口氏から「(仕事の関係から)ビザの件で話しがある」と誘いを受けて、それに応じた。そして性暴力を受けたという。

人を雇ったり首にしたりできる地位にいるのは、依然男性が多い。一方、必死に仕事を求めている女性の多いこと。その女性の弱みにつけこんで性的要求に及ぶ。なんて卑劣だ。

今日のポスターは、1979年、ニュージーランドの「女たちに夜をとりもどせ」に使われた1枚。女たちは夜、ひとり歩きする権利がある、性暴力なんか受けずに、と訴える。この「夜をとりもどせ」キャンペーンは世界的な反暴力撲滅運動となって、今に続く。

I 女のしんぶん「叫ぶ芸術ーーポスターで見る世界の女たち:夜、一人で歩く権利を」もどうぞ。

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Aggressive Overtures to Sexual Assault: Harvey Weinstein’s Accusers Tell Their Stories(New Yorker)
Harvey Weinstein Paid Off Sexual Harassment Accusers for Decades(New York Times)
Take Back the Night Organizaition
'Reclaim the night' poster(New Zealand)
Take Back the Night 2016
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by bekokuma321 | 2017-10-11 22:22 | アジア・アフリカ

ノーベル平和賞の2人

7月13日、中国政府を批判したことで有罪となり、服役していたノーベル平和賞作家の劉暁波(りゅうぎょうは)が61歳の生涯をとじた。妻の劉霞(りゅうか)は長年自宅軟禁にされたままである。

今日の報道によると、ノルウェー・ノーベル委員会の委員長ベリット・ライス=アンネシェン(労働党)は、「病状が末期段階に至る前に、劉暁波さんが十分な治療を受けられる施設に移されなかったことに、動揺している」「彼が亡くなったことに中国政府は重い責任を持つ」と語った。そして、彼女は、ノーベル平和賞を選定するノーベル委員会代表として中国に渡航申請をしたが、ビザがおりなかったとも告げた。

劉暁波(りゅうぎょうは)とよく似た境遇の人について書かれた、数年前のタイム誌の記事がある。

タイム誌(2014年10月)によると、ジャーナリストのカール・フォン・オシエツキーは、ドイツの再軍備の事実を密かに調べあげて報道。その後、再軍備はベルサイユ条約に違反だと公表。1931年国家反逆罪で投獄される。

ほどなくナチスが政権につき、1933年、彼は再び逮捕されて、今度は強制収容所に送られた。アインシュタインやロマン・ローランなどの働きかけもあってか、1935年、ノルウェーのノーベル賞委員会は、カール・フォン・オシエツキーを平和賞に選んだ。その知らせに憤ったナチス新聞は、「ノルウェー政治は、叛逆者に授与してドイツ国民の顔を平手打ちするようなことをしない方法を十分知っているはずだ」と書いた。

恐れをなしたのか、ノルウェーのノーベル賞委員会は、表向きは「アフリカの紛争やアジアの政情不安に配慮して」という理由をつけて「今年のノーベル平和賞該当者なし」とした。ところが、翌年、同委員会は、カール・フォン・オシエツキーを、ノーベル平和賞受賞者に選んだ。そのニュースにヒトラーは激怒し、「ノルウェーとの国交を断絶する。今後、ドイツ人はノーベル賞をいっさい受け取らない」と脅したらしい。

カール・フォン・オシエツキーはその頃、病状が極度に悪化して収容所(または刑務所)からベルリンの病院に移送された。おそらくは国際的な反応を気にかけたのだろうとされている。ナチスは彼にノルウェーへの渡航パスポートを出さなかったため、授賞式には出られなかった。そして1938年、彼は亡くなった。48歳。彼の悲劇はまだ続き、彼の弁護士だと称する詐欺師が、ノーベル平和賞の賞金全額を懐に入れていたのだという。

劉暁波とカール・フォン・オシエツキーには、国家の違いに加えて、80年という時の差がある。しかし、2人の共通点の多さに驚かされる。

政府の姿勢に反対の意思をペンの力で表明したこと
政府から迫害を受けても投獄されても批判の声を上げ続けたこと
政府はノーベル平和賞委員会のあるノルウェー政府に脅しをかけたこと
政府は病気が悪化してから国際批判をかわすかのように病院に移送したこと
政府はノーベル平和賞授与式に参加させなかったこと
ペンによる政府批判に対して、政府は獄死に至らせる措置で応じたこと

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           ▲ノーベル平和賞授与式が行われるオスロ市庁舎


Conmemorating Liu Xiaobo at the Nobel Peace Center
Reiss-Andersen fekk ikkje levere visumsøknad til Kina
The Tragic Nobel Peace Prize Story You've Probably Never Heard
China: Free Liu Xiaobo and grant him all necessary medical care
エドワード・スノーデンは現代のオシエツキー
ノ―べル平和賞と劉霞
ノーベル平和賞選考委員会
劉霞(りゅうか)さんの声明
ノーベル平和賞授賞式が行われるオスロ市庁舎ホール
China's voices of dissent
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by bekokuma321 | 2017-07-14 23:53 | アジア・アフリカ


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日本が、細川内閣時代“政治改革”の熱狂のもと、小選挙区制選挙に変えたころ、「小選挙区制は公平でない」と捨てた国がある。ニュージーランドだ。


1996年、ニュージーランドは、小選挙区制を廃棄処分して小選挙区比例代表併用制に変えた。併用制は基本的に比例代表制である。日本の小選挙区比例代表並立制は小選挙区制が基本であり、言葉は似ているが中身はまったく異なる。


今秋、ニュージーランドは国政選挙を迎える。選挙制度は小選挙区比例代表併用制だ。小選挙区制時代は、イギリスのように2大政党以外は絶望的だったが、制度改正によって、小政党から当選できるようになった。活躍めざましいのは緑の党。いま14議席だが、さらに伸びそうだという。


緑の党共同代表の国会議員メティリア・テュレイMetiria Tureiが、いかに選挙制度が政治を変えたか、を語る。イギリスの運動体「選挙変革ソサイアティ」サイトに載った英文記事をかいつまんで和訳する。

「小選挙区制のころは、国民党と労働党しか政権をになう可能性はゼロ。しかも40%以下の票しか獲得してなかったのに、です。一方、他の小政党は15%から25%の支持を得ても議席にはつながりませんでした」


「そこで80年代から国民の意思が票に反映せず死に票になってしまう、と猛烈な不満が国中にわきおこりました。労働党が選挙改革に乗り出し、その後の国民投票につながりました。1992年の国民投票は、選挙制度を変えるか否か。次に1993年は、変えるとしたらどんな選挙制度か、というものでした。緑の党は、選挙制度変革イエスに向かって、その議論に勝とう、という姿勢で臨みました。その議論に勝ったら、かならず比例代表制が選ばれる、と考えたのです」


「こうして比例制中心の併用制に変えることができました。1996年の初の選挙。緑の党は他と政党連合Allianceを組んで立候補し、議席を得ました。2大政党以外の小政党から当選は初めての事件で、大喜び。その後、緑の党は、連合から独立して、1999年の選挙で5%以上を獲得。7人の議員を誕生させました」


「併用制選挙での大きな変化は女性です。初の併用制選挙で、20%だった女性が、一夜で、30%になったのです。さらに、マオリ党の議員は倍増。マオリ党議員はわずか3人でした。それが併用制になったとたん7人です。併用制選挙が続いた結果、常に7人から11人のマオリ女性が国会に選ばれるようになったのです」


「まだ問題はあります。比例候補者以外では女性は40%に過ぎません。政党は小選挙区に男性を候補としがちなのです。社会の性差別が残っており、男性のほうが当選しやすいためです。多様性を期待するなら、小選挙区制ではなく比例代表制です。要するに、比例代表制のほうが、より公平な選挙制度だといえます」


「緑の党から聾者の議員が出ています。わが国ではじめてのことです。でも、まだ車椅子の議員は出ていません。まだまだ壁が厚いということです。でも、聾の国会議員Mojo Matherは、過去2年間で、ハンディを持つ人たちのためにものすごい業績を上げています」


「比例代表制は万能薬ではありません。でも、人々にチャンスを与えます。閉じられていたドアを開けます」


小選挙区制の国で、比例代表制を求めている運動を続ける人に対して、彼女は次のようにアドバイスする。


「公平性が大事だと考える人々を止むことなく励まし続けることです。『あなたの1票は、無視されてはいけない票なのです』とね」


How PR ‘completely transformed’ New Zealand politics: Metiria Turei, Green Party co-leader
小選挙区制の日本、比例代表制のノルウェー
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
北極に最も近いバルドー市も女性議員は約4割

【写真はメティリア・テュレイ国会議員。Facebookより】












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by bekokuma321 | 2017-04-13 16:33 | アジア・アフリカ

ナイジェリア人による国際犯罪シンジケートの親分3人(女性)がマドリードで逮捕された。

1月4日の報道によると、彼女たちは、自国ナイジェリアの少女たちに、スペインのビルバオ(ビスカヤ県)とベニドルム(アリカンテ県)のクラブや路上で性産業に従事させていた。

その手口はこうだ。

ナイジェリアの極貧の地に住む少女たち(年齢不明)に対して、ヨーロッパに行けば、きちんとした仕事で給料もいい職業につけると嘘をついて騙す。

嘘とは知らず承諾した少女たちを、ブードゥー教(民間信仰)の儀式に連れて行く。そこで魔術をかけて、組織に絶対忠誠を誓わなければ、少女たちやその家族がひどい目に合うことになると告げる。

その後、ナイジェリアの隣国ニジェールに移動。そこからさらに隣国リビア経由でイタリアに向かう。イタリアへは危険な船旅で、溺れ死ぬ人も多い。

イタリア到着後、いったん公的な移民シェルターに入る。シンジケートのメンバーがそこから連れ出して飛行場に。別のナイジェリア人少女の違法パスポートを使って、飛行機でスペインに渡る。

今回スペインで救済された少女たちは7人だった。

少女たちは、4万から4万5000ユーロかかっていると告げられて、返済に売春を強要された。1日14時間の休みなしの性労働だったという。

国際移民機構IOMによると、ナイジェリアからイタリア海岸に流れ着く何千人もの女性の80%は、人身売買の被害者であるという。以前、イギリスを中継地点として、世界各国に少女や女性を人身売買するナイジェリア犯罪組織について報道されていたが、今度のニュースはイタリアが中継地点だ。

現代の奴隷労働が、スペインで救済された少女たちの告発から明らかになりつつある。

Liberadas 7 jóvenes nigerianas obligadas a prostituirse en Bilbao y Benidorm por una organización dirigida por 3 mujeres
Voodoo threats and prostitution: The plight of Nigerian girls seeking new life in Spain
ガザ地区、ナイジェリア北部に緊急援助
「少女らの誘拐は神の意志」 
ノルウェーの買春禁止法の問題 

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     ▲国際移民機構のナイジェリア・リポート(上の内容は書かれていない)
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by bekokuma321 | 2017-01-09 14:36 | アジア・アフリカ

c0166264_14525839.jpg女子マラソンの金メダルは、ケニアのジェミマ・スムゴング(Jemima Jelagat Sumgong)だった。子持ちの31歳。

「ケニア史上初の金メダル!」と報道されている。とすると、女子マラソン世界記録保持者だったケニアのテグラ・ロルーペ(Tegla Chepkite Loroupe、1973年~)は、金メダルをとってなかったらしい。

報道によると、テグラ・ロルーペは、リオのオリンピックに参加した。

今回は、マラソン・ランナーではなく、「難民五輪選手団」の団長テグラ・ロルーペとして。

「難民五輪選手団」は、今回のオリンピックで初めて誕生した。難民代表団に選ばれた選手は10人(男6、女4)。10人のうち半数の5人、女性4人のうち半数の2人は、ケニアのナイロビ郊外にあるトレーニング・キャンプで、訓練を受けてきた難民たちだ。

難民からオリンピック選手を輩出したケニアのトレーニング・キャンプって、いったいなんだろう。

ネット情報によると、テグラ・ロルーペの率いるスポーツ学校だ。彼女は、世界のマラソンレースで優勝して獲得した自らの賞金をもとに、“テグラ・ロルーペ平和基金”を創設したのだという。

平和基金は、スポーツを通じて、紛争解決、平和構築、教育、環境、貧困の根絶、女性器切除などとくに女性の人権侵害の削減を求める活動を支援している。彼女自身、一夫多妻の家庭に生まれ、父親からは「役立たず」という名前で呼ばれていたという(New York Times)。

平和基金を象徴するロゴは、女性ランナーと平和のシンボル鳩がアレンジされている(写真)。

では、彼女の設立した平和基金から、リオ・オリンピック難民選手団として参加した一人の女性を紹介しよう。

アンジェリーナ・N・ロハリス。彼女は、6歳で親と離れ離れになった。逃亡した故郷南スーダンの「村は、すべてが破壊しつくされました」。「もっともつらかったのは空腹」だった。

アンジェリーナは、北部ケニアの難民キャンプにはいり、そこで、こどもたちの競走に参加して優勝した。彼女には意味がよくわからなかったが、競技のプロからいかに自分が速いかを伝えられて「驚いた」。リオ・オリンピックを皮切りに、世界の競技に出場し、もし賞金を得ることができたらーー後に生きていると知った「父親に家をつくってあげたい」と、いう(UNHCR)。

オリンピックは、愛国心高揚の場だ。そこに国を持たない難民たちが出たのだ。私なら、リオ・オリンピックのゴールドは、難民代表団に半数を送り込んだテグラ・ロルーペ、あなたにあげたい。

Tegla Peace Foundation
Tegla Loroupe Gives Refugee Olympians a Lesson in Hope
UNHCR 10 Refugees Compete 2016 Olympics Rio
まだ残るオリンピックの女性差別
JOC、女子ボクシング出場機会奪う
高梨選手と女子スキージャンプ
女性がマラソンをすると胸毛がはえる
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by bekokuma321 | 2016-08-15 14:57 | アジア・アフリカ

夏のマダン(마당)

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ノルウェーで、移民の娘が当選したことがわかった。その人たちはノルウェーの国籍をとってるのでは」

「日本では、最高裁が地方参政権を否定してきた。どうしたらいいか」

「ノルウェーでは、本当に外国人が地方参政権を持っているのか」

「私たちは、むしろ市民権をはく奪されている。それなのに“特権”があるなどと誹謗中傷される。都知事選のときはひどかった。差別や憎悪をあおるのはヘイトスピーチ法違反ではないかと訴えても、警察は何もしない。“選挙妨害となる”と言うのだ。選挙を楯にヘイトスピーチが野放しだ」

日本に定住する韓国の人たちは、こんな声をあげた。8月6日、在日本大韓民国民団埼玉本部主催「講和:移民が大臣になる北欧の多文化共生社会」でのこと。

国際人権規約は、はっきりと「すべての市民」は地方選挙権を持つとうたっている。日本の最高裁は、地方参政権を認めるべきだ、とまでは言わなかった。しかし、判決にはこうある。

「日本国憲法は、居住する地方公共団体と、緊密な関係を持つ定住外国人に対し地方参政権を付与することを禁止してはいない」。

日本で、定住外国人たちは、地方参政権を求めて何十年も前から運動してきた。しかし、いまだに日本は、外国人の地方参政権を認めていない。それどころか、このところ、排外思想が日本列島を覆っていて、当たり前のことを当たり前に言うことすらできなくなった。

私が長い間調査取材をしてきた北欧諸国では、外国人でも3年間住んでいたら、その地方の参政権を持つ。たとえば、私がオスロに引っ越して3年たったら、私はオスロ市議会(東京都庁にあたる)議員に立候補できるのだ。

へき地と言っていいノルウェーの小さな町でも、小中学校には、ボスニアやアフガニスタンからの移民(難民)の子どもがいた。スーパーには、スカーフ(ヒジャブ)やターバンを身につけた人たちを見かけた。どの地方にも移民や難民の受け入れ枠があり、それに対応しているのだった。

埼玉民団では、講和に続いて、韓国の歌や踊りが披露され、「マダン」も佳境に。

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チマチョゴリ(치마저고리)を身につけた女性たちが表れた。チマは、スカートのことで、チョゴリは上衣。オッコルンという美しい紐(ひも)で、胸のあたりを結んでいる。よく見ると色もデザインもさまざまだ。

楽器は、日本の琴に似たカヤグム(가야금)。サイズは琴より小さめ。琴よりも深い音のようだ。マダンは마당。庭、広場という意味だという。

本の街のチェッコリ
日弁連「永住外国人の地方参政権付与に関する意見書」
韓国総選挙 女性15.7%に

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by bekokuma321 | 2016-08-07 12:27 | アジア・アフリカ

続・赤いバラの闘い 

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マレーシア・クアラルンプールで、通訳の女性に「あなたの国が抱えている最大の女性問題はなんですか」と尋ねてみた。

彼女は声をひそめ、絶対匿名を条件に「女性器切除の慣習です」。

マレー系女性は、ほぼ全員が性器の一部を切除されるのだという。通訳は中国系マレーシア人だった。

「でも、あなたはしなくていいんですよね」

「実は姉はマレー系男性と結婚したんですが、彼は性器を切除してない女性とは結婚できないと言い張るので、ついに姉は女性器切除をされました。姉のような例はたくさんあるのに、誰にも話せないので、社会問題にならないのです」

女性器切除(FGM)は、アフリカの国々の村で行なわれている伝統的儀式だと知っていた。ところが、高層ビルが立ち並ぶアジアの大都市でも行われていると聞いて、怒りがこみあげてきた。

この後を知りたいかたは、「I 女性会議」の「叫ぶ芸術」 赤いバラの闘いをどうぞ。この素晴らしいポスターが、誰によって作られたかも書かれている。

赤いバラの闘い
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by bekokuma321 | 2016-04-17 21:57 | アジア・アフリカ

赤いバラの闘い

c0166264_15361495.jpg「 I 女のしんぶん」(2016年4月10日号)を開いて、何よりも最初に「叫ぶ芸術のポスター」に引き寄せられた。

今回のポスターは「赤いバラの闘い(アムネスティ)」だ。

胸の奥にヒリヒリした傷みを感じて非常に辛かった。記事を読み進めていくうちに、傷みとともに怒りが湧き上がってきた。

21世紀の現在で、世界30カ国の少女・女性が犠牲になっていて、毎年300万人が、この危険な目に遭っていると書かれている。にわかには信じがたい数字である。

これほど女性に犠牲を強いている事実を、単に風習・伝統だからと、片づけていいのか。多くの女性が声をあげられないのは理解できる。では、男性は、どのように受け止めているのか。女性器切除の理由・根拠のひとつが、男性の快楽のためであることに、人間として、怒りとやりきれなさを覚える。

出産時に、女性器の一部にハサミを入れられることがある。ハサミと書いている今でさえ、私の胸にズキンと痛みが突き刺さってくる。しかし、それは胎児の安全のためだ。だから、女性たちは縫合などの後々の手当てにも必死で耐える。

しかし、この女性器切除は、本人のためでも胎児のためでもないのだ。ポスターには、小さい字でメッセージが書かれている。

「これは明らかな人権侵害である。
いかなる政府もこの犯罪に目をつむってはならない。
少女・女性への暴力を許さない、このたたかいに力を」

字は小さいが、問題はとてもなく大きい。私もこの闘い(女性器切除反対の闘い)にともに声をあげたい。

伊藤 由子 宮城県加美町町議

【新聞は白黒ですが、近日中「I 女性会議」の「叫ぶ芸術」において、カラーで(!)見ることができます:FEM-NEWS編集部】
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by bekokuma321 | 2016-04-11 16:01 | アジア・アフリカ

本を読もう!

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このポスターは、イタリアの友人宅の台所の真っ白な壁に掲げられていた。

生き生きとした女性の表情、シンプルな構図、ダイナミックなデザイン、大胆な色づかい…。聞けば1924年に旧ソ連で制作されたポスターのコピーなのだとか。はるか90年以上も前のことだ。

最も印象深いのは、中央の女性だ。他の言葉はロシア語なので意味不明。そこでgoogle翻訳の助けを借りて、生まれて初めてロシア語を勉強した。

こころもとないことこの上ないが・・・・。女性が手を口元にして、叫んでいる言葉は、「クニーギィ KHИГИ」(ロシア語で「本」の意味)。「本を読もう」と叫んでいるらしい。上と下のЛЕНГИЗ はレニングラ-ド出版の略語。右側のКНИГИ ПО ВСЕМ ОТРАСЛЯМ ЗНАНИЯは、「学問のすべての分野についての書籍」。

国立出版社レニングラード支部の宣伝に作られた、プロパガンダポスターだが、どこかで見たような気がする。実は、このポスターは、超有名で、最近では、英ロックバンドのフランツ・フェルディナンドのアルバム・カバーにも使われるなど、時代を超えて多くの国のさまざまなジャンルに模倣されているという。

モデルの女性は、リーリャ・ブリーク(1891~1978)。ソ連の映画監督で、左翼芸術雑誌“LEF”の編集にも関わった。幼少時からバレエやピアノのほか詩や絵画にも才能を発揮した上、ドイツ語とフランス語に堪能、モスクワ建築大学で建築と美術を専攻した多彩な女性だったらしい。

ポスターの作者はアレクサンドル・ロトチェンコ。グラフィック・デザインの父と称される芸術家だ。「ロシア・アヴァンギャルド」に属し、絵画、建築、写真等多岐にわたって活躍した。1920年代には詩人ウラジミール・マヤコフスキーと共同でポスター制作に熱中。マヤコフスキーの作る詩がキャッチフレーズとなり、ロトチェンコのデザイン力で、次々に前衛的な作品が誕生していったといわれている。

2人の男性をつないだのは、おそらく、リーリャ・ブリークだ。彼女の一生は、英語の短文を読んだだけでも、革命前後のロシアをほうふつさせ、映画のようだ。そのあたりは「叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女性たち:本を読もう!(ロシア)」をどうぞ。

「叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女性たち」_I 女性会議
Lilya Brik: a very Soviet siren
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by bekokuma321 | 2016-02-15 16:27 | アジア・アフリカ

c0166264_12235893.jpg女性性器切除の被害者は、少なく見積もって2億人である。これまでの統計より7000万人多い。このままだと、15歳から19歳までの少女1500万人がさらなる被害者となる。

「女性性器切除を許さない日」の2月6日に向けて、国連機関によって公表された。ガーディアン紙などの報道によると、この衝撃的数字は、インドネシアの最新データが加わったためだという。

女性性器切除は、FGM(Female Genital Mutilation)の和訳だ。日本の女性運動団体「FGM廃絶を支援する女たちの会」によれば、女性外性器の一部あるいは全部の切除、時には切除してから外性器を縫合してしまう慣習のこと。

アフリカを中心に様々な民族の伝統的な女児の通過儀礼として、2000年以上も続いていると言われている。具体的には、次のようなもの(「FGM廃絶を支援する女たちの会」より)。

タイプ1: クリトリスの一部もしくは全体およびクリトリス包皮の切除、あるいはクリトリス包皮の切除(clitoridectomy:クリトリス除去術)。

タイプ2: クリトリスの一部もしくは全体および小陰唇の切除。大陰唇の切除を伴う場合もある(excision:切除術)。

タイプ3: 小陰唇および大陰唇、あるいは小陰唇か大陰唇のみを切除・接合することによって覆いが作られ膣口を狭める。クリトリスの切除を伴う場合もある(infibulation:性器縫合)。

タイプ4: その他、医学的治療以外の目的で女性性器を傷つける施術。たとえば、突き刺す、極小の穴を開ける、切り込む、削る、焼灼といった行為。

そのすさまじい後遺症、悪影響。上記団体は、こうまとめる。

「FGMの施術は、一般的に剃刀や鋭い石などを使い、麻酔も薬も用いず行なわれる。そのため、激しい痛みや出血によるショック、感染症で死に至ることもある。また、HIV/エイズ感染の危険もある。後遺症も深刻であり、尿道の損傷、慢性の感染症、貧血、腎障害、月経困難症、失禁、傷跡(ケロイド)による難産、腟狭さく及び陰唇裂傷、ろう孔(フィスチュラ:腟と膀胱、腟と直腸の間に穴が開いてつながってしまう疾病)、性交時の激痛、性行為への恐怖、うつ症状など女性の身体と人生に大きな影響を与える。」

世界の最貧国のひとつにマリという国がある。私は幼いころから関心をよせていた。自分と同じ名前だからというだけだが・・・。公的発表によると、マリも、女性の約9割が女性性器切除の被害にあってる。

しかし、この2000年以上も続いていると言われる抗いがたい慣習に、立ち向かっている女性たちがいる。

その闘女の1人は、マリのフェミニスト、ロキア・サノゴRokia Sanogo。薬学博士だ。NGO「伝統的医薬発展への支援」"Aid for the Development of Traditional Medicine" (Aidemet)を立ち上げ、そこを中心に、女性性器切除廃絶に向けて運動をしている。驚嘆せざるをえない。

Malian NGO launches book on dangers of female genital mutilation
Number of FGM victims found to be 70 million higher than thought 
International Day of Zero Tolerance for Female Genital Mutilation, 6 February
FGM廃絶を支援する女たちの会 
女性器切除FGMは子どもへの虐待
ウガンダ、女性器切除FGM違法へ
ソマリア女性にナンセン難民賞
ノルウェー、世界の女性の人権に6000万クローネ
スーダン、ソマリアの女性器切除

【写真:マリの女性を描いたマリの壁掛けBatik】
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by bekokuma321 | 2016-02-05 12:34 | アジア・アフリカ