カテゴリ:ヨーロッパ( 279 )

「日本もクロアチアも民主主義の国ではありません。男女平等なしに民主主義はありえないのです」

刺激的で無駄のない言葉がよどみなく続く。そこには、彼女の長い苦闘があった。正真正銘の闘士、いや闘女だ。

その名は、ラダ・ボリッチRada Boric。「クロアチア女性ネットワーク」で女性議員を増やす活動を続けるフェミニストだ。

8月16日、東京で、ラダ・ボリッチによる「ワークショップ:女性が指導者となるためのトレーニング」と、「講演:女性議員増を阻む差別とその克服法」の2部仕立て集会があった。以下は、数時間におよんだラダの発言を聞いた私なりの速報である。

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クロアチアは、社会主義国ユーゴスラビアから、紛争に次ぐ紛争を経て独立をした。戦後、軍が帰還し、女性は家庭で子どもやお年寄りの世話をする専業主婦であれという価値が支配的になった。主たる宗教カトリックは、それに拍車をかけた。

女性はわきへと押しやられ、女性の雇用は脅かされた。経済的自立をもぎとられた女性は、当然“脆弱な存在”となった。

こうした女性へのバックラッシュ(反動)は、女性に対する暴力の増大を引き起こした。加えて、戦争を体験した男性たちは、その暴力の様相を一変させた。たとえば、ある帰還兵は、妻を風呂場に閉じ込めて、扉の外に銃や弾丸を置いた。

女性の専業主婦化と同時に女性の雇用の場は非正規化されていく。それにともなって、職場でセクシャルハラスメントなど性暴力を受けても、首にされる恐れから被害を表に出そうとしなくなった。

旧ユーゴスラビア時代、女性たちは、周囲の国々の人たちと、それなりに友好的だった。しかし、戦争は、クロアチア人、セルビア人、コソボ人、ボスニア・ヘルチェゴビナ人など民族や宗教の違いで人々を分断。女性もそれによって分断された。

しかし、ラダたちは、戦時下において、性的虐待や強姦を受けたおびただしい数の女性たちを救うために立ち上がった。民族や宗教を超えてのミッションだった。

国粋主義的空気のなか、「非国民」のレッテルをはられるいやがらせをうけた。が、ものともせずに、女性の戦争犠牲者たちを救援するセンターを立ち上げて、支援を続けた。しかも、ただ支援するだけではなかった。サバイバーたちにリーダーになってもらうための教育訓練も同時に行った。難民キャンプから第二、第三のラダが誕生していった。8月16日の第1部には、その経験が含まれているように思われた。

現在、ラダは、「クロアチア女性学センター」の代表である。さらに、前述した「クロアチア女性ネットワーク」を組織化し、女性政策を法制度化してゆくこと、そのために女性議員を増やしていくことに力を注ぐ。

女性議員が増えることによってはじめて、わきに押しやられた女性たちの声なき声が外に出され、女性のかかえる問題が政策の優先課題になっていく。男性議員にありがちな上からの支配的パワーによる政治ではなく、包括的なパワーを持つ政治(丸い形のパワー)が、女性議員の強みである、と強調した。c0166264_1218531.jpgだから「クロアチア女性ネットワーク」のロゴは「51%」だ。クロアチア女性は人口の51%を占めるのだから、女性を議会に51%に増やそうというのだ。よく見たら、%の記号にはメスマークがついているではないか。その小さな工夫に大いなる意志がこめられていて、胸がジーンと熱くなった。

また、行政用語をできるだけ排して、アーテステックな小道具をつくることも身上だという。これをラダは、アーティヴィズムと呼んでいる(art+activism=artivism)。

c0166264_12213290.jpgEUの「ヨーロッパ女性ロビー」(注)のアドバイザーだった経験から、EUレベルの女性議員増運動と歩調をあわせつつ、メディアが好むような映像効果のあるパフォーマンスに力を入れる。

なかでもパワーポイントで見せた、妊娠中絶合法化運動は圧巻だった。鮮血とハンガー(闇中絶のシンボル)のシーツを広げて、女性たちは、女性の体を女性自身にとりもどそうと訴えた。ほかならぬ国会議事堂前でやってのけた。危険をおかしてのパフォーマンスに並々ならぬ信念があらわれている。

時間不足から、政党を民主主義にする具体策は短かかった。クロアチアは多くのヨーロッパ諸国同様に比例代表制選挙であり、候補者リストの女性候補を当選可能な上のほうに載せる党内闘争は、北欧とほぼ同じだった。ラダの口から何回か「ノルウェーでは・・・」と出て、ノルウェーファンにはうれしかった。

「死ぬまでフェミニストとして戦うしかない」というラダの心意気がつまった、ワークショップと講演だった。主催は、女政のえん&全国フェミニスト議員連盟。

【写真下のみ、市原ひろこ狛江市議提供】

【注:ラダの女性議員増運動の土台には、EUの「ヨーロッパ女性ロビーEuropean Women’s Lobby」という組織がある。これについては、『ママは大臣パパ育児ーーヨーロッパをゆさぶる男女平等の政治』(明石書店)第1章「EUは女性政策の宝庫」の第1便 民主主義の赤字をなくせ!(p12~37)を参照のこと】

Centar za žene žrtve rata
Centar za žene žrtve rata (English:Zagreb center for women war victims) 
zenska mreza.hr(Women’s Network Croatia)
Centar za ženske studije Zagreb(Center for Women's Studies, Zagreb)
one billion rising
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by bekokuma321 | 2016-08-19 12:31 | ヨーロッパ

c0166264_18421527.jpgテレーザ・メイがイギリス保守党党首となり、首相に就任した。イギリス史上2番目の女性の首相だ。1番目のサッチャーとは違って、リベラル派のようだ。

党首選や、党首就任での彼女の演説には、保守党とは思えないような表現がいくつかあった。ほんの少し和訳して紹介する。

「もしも、あなたが、貧困家庭に生まれたら、そうでない人たちより9歳若く死亡し、
もしも、あなたが、黒人なら、白人よりも、きつい刑事司法手続きに苦しめられ、
もしも、あなたが、白人男性なら、誰よりも大学に進学する可能性は高く、
もしも、あなたが、公立校卒なら、私立校卒よりも高いポストにつくことは少なく、
もしも、あなたが、女に生まれたら、男より賃金が低く抑えられ、
もしも、あなたが、精神病なら、十分な手助けは得られず、
もしも、あなたが、若者なら、自分の家を持つことは、かつてなく困難です」

「社会は、すべての人たちのためにあります。私たちは、人々を再びとりもどさなくてはいけません。金持ちと貧しい人、北部の人と南部の人、都会の人田舎の人、若い人と年老いた人、男性と女性、黒人と白人、病気の人と健康な人、公務員と民間会社人、技能のある人とない人」

「保守党はすべての人たちのためにあります。我々、保守党員は、すべての人のために働く政党の党員であってはじめて、すべての人たちのための社会をつくりあげることができるのです」

過去の報道を読むと、かねてから、彼女は、同一価値労働同一賃金の推進し、同性婚を認め、DVへの警察対応の強化をせよ、などと公言してきた。男女平等大臣としても活躍した。

選択的夫婦別姓さえ目の敵にし、憲法24条を骨抜きにする勢いの、日本の、自民党女性大臣・女性国会議員とは、ずいぶん違う。

ちなみに、テレーザ・メイは、20代のとき、ディスコで出会ったフィリップ・メイ(夫)の家が靴の卸売業だったことから靴に関心を持ち、以来、靴にこっているという。どうでもいいことだけど・・・。

This is what Theresa May said about the kind of Prime Minister she'll be – and what she really meant
Theresa May’s economic medicine
Britain’s Theresa May says to narrow pay gap if appointed PM
Can Theresa May get the wheels of British business turning again?
イギリス次期首相への侮蔑発言
イギリス、同一価値労働同一賃金へ
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by bekokuma321 | 2016-07-17 18:44 | ヨーロッパ

泣き寝入りはやめよう

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女性は、口をふさいでいたバンドエイドを剥がそうとしている。

強盗が使うのはガムテープだが、これは自らが貼るバンドエイドだ。

バンドエイドを剥がすことで、伝えようとしているメッセージは、「家庭内暴力 泣き寝入りはやめよう」。

夫や恋人から殴られたり髪を引っ張られたりした女性たちの多くは、沈黙する。だから悲劇は顕在化しにくい。女性への暴力DVを根絶するための一歩は、沈黙することをやめて、声をあげること。これが簡単でないのは、被害にあった女性なら誰でもわかる。それでも、沈黙を破るしかない・・・。

ルクセンブルグの作品。ポスターについてもっと知りたい方は、「叫ぶ芸術 ポスターに見る世界の女たち:ルクセンブルグ」を。「 I 女のしんぶん」Web版。
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by bekokuma321 | 2016-07-16 17:56 | ヨーロッパ

c0166264_2132998.pngキャメロンのあとのイギリス首相は誰か。最終候補に残ったのは女性2人だった。エネルギー担当相のアンドレア・レッドサムと内相のテリーザ・メイ。どちらも50代の働き盛り。

国のトップの座をめぐって男性同士の争いは当たり前だが、アメリカ大統領選のおかげで男女の論争もやっと珍しくなくなった。しかし女性同士は、まれだ。EU、国防、難民、福祉、雇用・・・に、女性2人はどんな政策の違いを出すのか。楽しみにしていた。

ところが、最終候補の1人アンドレア・レッドサムエネルギー担当相がアッと言う間に降りてしまった。そのため、何の論戦もなく、もう1人のテリーザ・メイ内相が首相に決まった。

なぜアンドレア・レッドサムが首相候補を降りたか。メディアによると、「タイムズ」に掲載された彼女のインタビュー発言、「母親である私のほうが、いい首相になる」が原因らしい。

アンドレア・レッドサムは、3人の子どもの母親だ。しかし一方のテリーザ・メイ夫妻には子どもがいない。子どものいない家庭への侮辱であるとの猛烈な批判が起こった。テリーザ・メイの支援者は、「この発言で、間違いなく、彼女が一国の指導者にふさわしくないと示された」。彼女の盟友の国会議員まで「この発言には失望し、愕然とした」。

男性の場合、子どもがいないことで資質を問われたりしないが、女性は、結婚していないと何か言われ、子どもがいないと何か言われる。この女性に対するレッテルはりは、古今東西変わりなさそうだ。

アンドレア・レッドサムは、ただちに謝罪したらしい。が、覆水盆に返らず。そさくさと戦列から離脱した。

日本では、とてもこうはいかないだろう。公人の女性蔑視・侮蔑発言を真剣にとりあげてこなかったメディアにも責任がある。たとえば、次の2人は、公に謝罪もせず、辞職もしなかった、と記憶している。

「 “文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものは「ババア」”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です”って」(石原慎太郎都知事)

「産む機械っちゃあなんだけど、装置がもう数が決まっちゃったと。……別に、この産む役目の人が一人頭で頑張ってもらうしかないんですよね」(柳沢伯夫大臣)

日本のメディアには、この参院選中、「改憲隠し」という見出しが躍った。私に言わせると、日本のメディアは年から年中、「女性差別隠し」をしている。

イギリス、同一価値労働同一賃金へ
Andrea Leadsom apologises to Theresa May for motherhood remarks
Leadsom attacks 'gutter journalism' in row over motherhood quotes
Parliament and Women(イギリス国会における女性のサイト)

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by bekokuma321 | 2016-07-12 21:11 | ヨーロッパ

「家はないけどおいしい料理はつくれる」

女たちへの暴力は後をたたない。
女たちはシェルターに駆けこんだり、ホームレスになったり。

新たな人生をとりもどすには・・・そう経済力がいる
料理なら得意だ
料理をつくって、フリーマーケット、街角、お祭りに持っていったら・・・

ホームレスの女たちの自立プロジェクトが動き出した
料理はおいしく、どんどん売れた

うれしい、たのしい、何より自信がでてきた
そして次の新たな計画が生まれた。
街に小さなビストロをつくるのはどうだろう。

ビストロができたら、もっとたくさんの料理をつくれる、
それにもっと多くのホームレスの女たちに働く場を提供できる
少し資金が足りないけど、ガンバロー。

これは、チェコのプラハで誕生した実話だ。
クロアチアのラダ・ボリッチRada Boricの友人から届いた
女性のホームレスに焦点をあてた世界初のプロジェクトらしい。

短い紹介ビデオがYoutubeで見られる。英語版。写真をクリックしてどうぞ。

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Cooks Without Homes
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by bekokuma321 | 2016-06-28 17:41 | ヨーロッパ

EU国民投票と女性

c0166264_13413464.jpg6月24日、イギリスは、国民投票で「EUから抜ける」という決定をくだした。結果は52%対48%。投票率は72%。

この結果に、世界のメディアは世も末と叫んでいる。イギリスのメディアには、離脱したら経済がめちゃめちゃになる、関税やビザ検閲が復活し物や人の移動が不自由になる、海外企業が逃げて行き雇用が減る、とする危機感があふれている。

そんななか、イギリス国旗を背景にして、「Great, Britain!」と掲げたのは、ノルウェーの市民団体「EUに反対(Nei til EU)」(↓)。EU加盟に反対する超党派の組織だ。イギリスに対して、「心配ご無用、世界はEUより大きい」と励ます。

ノルウェーでは、EUに加盟したい政府の決定に反して、国民は、国民投票で2度にわたってEU加盟反対を選んだ。現在、国民の7割はEU加盟反対である。とりわけ、男性よりも女性にEU反対派が多く、非加盟世論を先導してきたのは女性たちである。Nei til EUの代表もずっと女性だ。

2回目の国民投票を現地ノルウェーで取材した。当時の加盟反対派代表は、女性の雇用とむすびつけて、こう論陣をはった。拙著「第3章 EU加盟に『ノー!』」(『ママは大臣パパ育児』明石書店、1995)から引用する。

「EU諸国の失業率はノルウェーの2倍です。貧富の差もノルウェーよりはるかに大きい。ノルウェーは人々の間の不公平をなくすことに社会の富を使ってきました。とりわけ公的分野の充実は、女性の雇用の拡大に2つの重要な役割をはたしてきました。

ひとつには保育者、教員、福祉職員など、公的サービス部門が増えた結果、女性の職場そのものが増えました。

ふたつにはそうした公的サービスによって保育、介護など家の中でやっていた仕事が代行され、女性が無理なく働き続けられるようになりました。

ところが、EUの経済優先政策は、こうした福祉分野へ市場原理を導入させようとしています。それは公的部門の縮小につながっていきます。その結果、女性の雇用の場は減らされ、社会福祉が低下します。これでは、お金のあるひとしか必要なサービスを受けられなくなるのは明らかです」

では、イギリスの女性たちはどう動いたのだろう。

そもそもEU離脱(または残留)によって女性の生活や仕事はどう変わるのかについて主要メディアの報道は見つからなかった。イギリス国内でもそうだったらしく、危機感を抱いた女性団体は、EUに入っていることで、いかに男女平等政策が進んだかを示すため、EUの制度を解説したパンフを発行し広報した。読んだ国民がどの程度いたかは、疑問だ。

投票日が近づくと、「賛否どちらも論陣をはるのは男性ばかり。もっと討論会に女性を登場させて、女性の関心を高めろ」(フォーセット協会)とアピールを出した。もとになったのは、次のような世論調査結果だ。

「女性は、EUをめぐる討論は男性主導であると思っている」

「女性は、どちらに投票すべきか判断するための情報を得ていないと思っている」

「残留派は、離脱派に比べ、個人的な問題と結びつけることに成功していない」

「女性は男性よりも『よくわからない』と答えている」

こうした女性側の空きポケットに、離脱派の威勢のいい言葉ははいりやすかったに違いない。

たとえば、離脱派の急先鋒ファラージ独立党党首(右派)は、ドイツ・ケルン市での暴動をとりあげ、「EUにとどまる限り移民難民が増えて女性が性暴力にあう」というような“脅迫的アピール”をした。保守党のボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、EUに納める重い負担金(100億㍀)がなくなれば、それを国内で使える、EUにいる限り移民・難民に仕事が奪われ社会保障を食いつぶされる、と唱えた。
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というわけで、同じEU懐疑派といっても、ノルウェーとイギリスでは、だいぶ考え方が異なる。

2国は、人口も歴史も主産業も違う。イギリスもノルウェー方式で、は難しいだろう。

しかし、ノルウェーの市民団体Nei til EU代表Kathrine Klevelandのイギリス国民投票へのコメントは、傾聴に値する。要旨を和訳する。

「イギリスは離脱したら300万の仕事が失われると言っている。これはノルウェーの国民投票でも同じだった。EUに加盟しないと10万の仕事がなくなる、と言っていた。実際は逆で、ノルウェーの失業率は、1994年以来、EU加盟国の失業率よりも少ない。

EUの外にいると、国際競争力がそがれて、経済が干上がるというのもそうだ。実際は正反対だ。ノルウェーは孤立していない。独立国家であり、20年間経済は順調であり、EU加盟国よりも高い成長率をほこる。

さらに、男女平等、社会福祉などの国際指標で、ノルウェーはEU加盟国よりも高いランキングにある。幸福度の国際ランキングでも、ノルウェーはEU諸国より高い。

ノルウェーは、主権国家であり、民主主義国家だからこそ、EU加盟に反対した。ブラッセル(EU官僚機構がある)は民主主義とはあいいれない。ノルウェーは、決定する権利は人々により近くになければならないと考えている、つまり、自国のことは、地方自治体、県、自国の政府が決定すべきであり、ブラッセルに決定させたくない」

Vote Remain
Vote Leave
Pressemelding fra Nei til EU:Brexit – a victory for democracy!
Eight reasons Leave won the UK's referendum on the EU
Gender imbalance in the EU referendum debate
The EU Referendum Gender Equality Challenge
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
レガタム繁栄指2015
世界で母親がもっともハッピーな国ノルウェー
最も再犯率の少ない国ノルウェーで今
再犯率の最も少ない国の刑務所
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by bekokuma321 | 2016-06-27 14:13 | ヨーロッパ

c0166264_1629445.jpgイギリスのジョー・コックス国会議員が、真昼間、自分の選挙区で殺害された。41歳。2015年5月、労働党から立候補して当選したばかり。

難民保護に力を尽くしてきた。まもなく国民投票を迎えるEU問題については、EU残留側に立ち、運動をしていた。

議員になる前は、貧困と不正を根絶するために活動する運動体「オックスファム」の政策部長。カブールやダルフールなど世界の最も危険な地帯を飛び回っては、そこの地で負傷し困窮している人々を救う活動を続けてきた。2人の幼子の母。

国会議員としての初質問の一節を紹介して、彼女に連帯の意を示したい。ご冥福を祈りつつ・・・。

「わたしたちの社会は、移民によって強くなってきました。アイルランドのカソリック教徒であろうと、インドのグジャラート、パキスタン、カシミールからやってきたイスラム教徒であろうと、です。選挙区をまわっていて、なんてさまざまな人たちがいるんだと祝福しながらも、驚かされるのは、私たちを分断しているものよりも、私たちをつなぐもの、私たちに共通のもののほうが、はるかに多いという現実です」(和訳FEM-NEWS)

The Guardian view on Jo Cox: an attack on humanity, idealism and democracy

【写真:Sisterhood is powerful and international の絵葉書。ふじみつこ作】
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by bekokuma321 | 2016-06-17 17:12 | ヨーロッパ

「ドレスデンはドイツで最も女性が住みやすい街」を読みました。

このような住みよい町は、ドイツなどには出来て、何故、日本には出来ないのか、を自問しました。すると「日本人は民主主義の成熟度が低いからやむを得ない」という決まりきった答えが浮かんできます。

しかしそれは、重要な点を見逃しています。もっとも重要な違いは、北欧やドイツと日本では、選挙方法が余りにも違うことです。まとめると、

① ドイツや北欧諸国は、国会、地方議会とも比例代表選挙
② 地方議員のほとんどがボランティア
③ 比例代表選挙で市議を選出した結果で、首長は連立を組んだ与党陣営から選ばれる
④ 予算など行政の提案権は首長ではなく議員から選ばれた参事会(首長も含む)にある

たとえばドイツ・ハンブルグの市長は今、緑の党党員で30代の女性ですが、それは比例代表選挙ゆえです。また、三井マリ子さんがノルウェーニュースを翻訳・紹介していますが、ノルウェーでは、オスロ、ベルゲン、スタヴァンゲルの3大都市の市長と副市長が全員女性になりました。これも比例代表選挙の結果に基づいて、連立を組んだ政党間の互選で決まるからです。

日本の選挙は、国も地方も小選挙区制中心です。小選挙区制ですから、第1位の勝者のみが当選するので、それ以外の候補に投じた票は死に票となり民意が反映しません。首長選では、対抗馬が出ず、無投票で決まる首長の多いこと。選挙があっても、与野党相乗り候補の多いこと。選挙に行かなくても勝者はわかっているから、投票率は低くなる。そんないい加減な選挙で当選した首長が絶大な政治権限を持つ、どうみてもまともな政治がなされるはずなどない、と僕は思います。

ですから、この選挙制度にメスを入れる必要があります。三井さんの著作『男を消せ! 』(毎日新聞社)や『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)は、必読書です。ネットでは『FEM-NEWS』です。毎回読んでいると、ニュースの背景にある選挙制度の違いがよくわかります。

ドレスデンの卓越した女性政策もそうですが、なぜあのように北欧の福祉政策が整っているかといえば、弱者を切り捨てない選挙制度と、議会中心の行政執行制度が存在しているからだ、と僕は思います。

田口 房雄 (緑の党・会員)

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 ▲ドレスデン市議会。市ホームページの画像。クリックすると議会質疑をライブで視聴できる

2014衆院選 比例制に変えるしかない
地方議会選挙を終えて思う「日本の選挙って変だ」
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
比例制選挙がいい
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by bekokuma321 | 2016-06-02 23:37 | ヨーロッパ

c0166264_23144992.jpgドイツで、女性が最も住みやすい町はドレスデンだそうだ。

働く人の半分以上は女性で、女性の賃金は男性の92%。失業者を調べたら女性は45%しかいない。保育所が充実している。強姦など性暴力が少なく、望まない妊娠をした女性のための妊娠中絶もしやすい。女性の本屋や女性向けのヨガやジムなどリクリエーションが整っている。

「すばらしい! 女性にとっていい町は家族にとっていい町。ということは僕たち男性にとってもいい町ですよ」とは、男性の弁。

この女性にフレンドリーな街づくりの背景には、ドイツ基本法に定められた「男性と女性は同じ権利を持っている」に基づいて、ドレスデン男女平等委員(Equality Officer)が、厳しく目を光らせていることも忘れてはならないだろう。

彼女が代表する男女平等権利局のホームページをのぞくと、もりだくさんの事業に驚かされる。上のロゴ「女の子の日」は、女性のキャリアを広げるキャンペーンのひとつ。

女性の権利のために日夜目を光らせる専任の男女平等委員を持つ自治体は、私の知る限り、日本にはない。

FRAUENFREUNDLICHSTE STADT | Dresden liebt seine Frauen!
Dresden Frauen und Maenner
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ドイツの町のジェンダー規定
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by bekokuma321 | 2016-05-30 23:22 | ヨーロッパ

c0166264_16581527.jpgポーランドは、世界でもっとも妊娠中絶に厳しい国になるかもしれない。

メディアによると、カソリックの国ポーランドは、いまでも妊娠中絶に十分厳しいといわれている。妊娠中絶は原則的に禁止されており、例外的に母体が重篤な場合、強姦や親との性交による妊娠の場合、胎児が極端な奇形状態である場合のみ認められるという。

このたび、母体に危険が及ぶ場合以外のすべての妊娠中絶を禁止するという新法が国会に上程された。これでは、海外に行って中絶するか、違法中絶が増えるばかり。海外に行ける富裕層は限られており、とりわけ若い女性たちの悲劇につながるのは目に見えている。

ヨーロッパからのネットニュースは、新法に抗議するポーランド市民のデモを伝えている。手に手にハンガーを持っている。ハンガーは、女たちが命の危険を顧みずハンガーを使って中絶をした暗黒の歴史を象徴する。

現在ポーランドは、首相が右派の「法と正義 (PiS)」のベアタ・シドゥウォ(女性)。権力の座の女性が、幾多の女性たちの自己決定権を奪おうとしているかのようだ。

彼女は、ポーランドで3人目の女性首相。前首相も女性で、中道左派「市民プラットフォーム」のエヴァ・ボジェナ・コパチ。医師の彼女は、カソリック教会からの破門覚悟で、強姦によって妊娠した14歳の少女の中絶にかかわったという。当たり前だが、女性にもタカ派もいればハト派もいるということだ。

ポーランドのこのニュースは、政治権力の姿勢しだいで、女たちの一生が激変することを教えている。

Moves to ban abortion in Poland is dividing opinion
Poland abortion ban would 'aggravate women’s tragedy' say former first ladies
Street protests over abortion law are latest skirmish in battle for Poland’s soul
Thousands React in Outrage Over Poland's Proposed Abortion Ban
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by bekokuma321 | 2016-04-22 17:07 | ヨーロッパ