カテゴリ:ヨーロッパ( 277 )

マルタの記者ダフィーネ・カルアナ・ガリッチア(53)が殺害された。EU政治問題中心の報道紙POLITICOから要約する。

ガリッチアはマルタで政治家の汚職を献身的・継続的に追及してきたジャーナリストだ。彼女の報道は、有力政治家や指導者たちによるタックスヘイブン(租税回避地)への関与を暴いた「パナマ文書」の端緒になった。その功績により、彼女は、2017年、ヨーロッパにもっとも影響を与えた28人の1人に選ばれた。ガーディアン紙は彼女を「ワンウーマン・ウィキリークス」と呼ばれていると紹介している。

殺害は10月16日の午後2時半ごろ。ガリッチアが自身のブログをアップした直後。自宅近くにあった彼女の自家用車の爆発事故によって起きた。

ガリッチアは、とくに、マルタのムスカット首相(労働党)とその妻や友人たちによる汚職を集中的に暴いてきた。首相の妻が、アゼルバイジャンの大統領の娘から100万ドル(1億円以上)を受け取ったことも含まれる。仲介したのは、パナマ文書で悪名をはせたパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」。

彼女のブログ(下のRunning Cmmentary)は膨大なアクセス数を誇る。しかし、同時に嫌がらせや脅迫は数限りなかった。今年、マルタ国会解散総選挙の際、彼女は、殺害予告を受け取ったと警察に通告しており、「もしも労働党が勝ったら、わが身の安全のため祖国マルタを離れようと考えている」と告げていたという。

彼女の殺害の記事は、2つの事件を想起させる。

ひとつは2006年、アンナ・ポリトコフスカヤ殺害事件だ。彼女は、チェチェン紛争に関してロシアのプーチン大統領やその周辺を批判する報道を続け、身の危険にさらされていた。そして殺害された。

もうひとつは、安倍首相の妻昭恵の犯罪だ。彼女は国家の最高権力者に最も近くで暮らすもう一人の権力者であり、その力は絶大である。その権力を悪用して、「森友学園」の名誉校長に就任して国有地を激安値で売却させていた。一般向けには「本当に私は普通の主婦、普通の女性です」とナイーブさを強調していた。そう、報道によれば、1億円に手を染めたとされるマルタの首相の妻は「家族が一番大切。お料理が好きです」と家庭を強調していたそうだ。

さすが、”女性の活躍”時代にふさわしい。

Leading Maltese political journalist killed by car bomb
アンナ・ポリトコフスカヤ賞
勇気あるジャーナリズム賞

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by bekokuma321 | 2017-10-17 12:03 | ヨーロッパ

断頭台の露から223年

c0166264_991947.jpgフランスには、「偉人が葬られるパンテオンはなぜ男ばかりなのか」という女性運動がある。

パンテオンに祀られるべき女性の筆頭がオランプ・ドゥ・グージュだとか。フランス革命の魂『人権宣言』(1789)を「男性の権利をうたったにすぎない」と批判した女性だ。

批判しただけではない。「女性および市民の権利」と称する『女権宣言』を自ら書きおろした(1791)。

200年以上の時を経た昨年末、フランスからニュースがはいった。女性運動団体はパンテオンにオランプ・ドゥ・グージュを祀ることはできなかったが、国会議事堂内に彼女の胸像を設置させたというのだ。女性では初めてだという。

女性の権利を唱えて死刑にされた女性を世に知らしめようと頑張ってきたフランス女性のねばり強さ。つくづく感心しながら、フランス政府から入手したオランプのポスターがあるのを思い出した。オランプは、ポスターから私をじっと見つめ返し、私にこんな文章を書かせた(「I 女のしんぶん」2017.8.10.25号 ↓)。

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Olympe de Gouges statufiée à l'Assemblée nationale
仏、「歴史上の偉人に女性を増やせ」
フランスの政党交付金は男女平等化資金に
男女ペア候補がつくるフランスの男女平等議会
21世紀のマリアンヌ
叫ぶ芸術――ポスターに見る世界の女たち (「I 女のしんぶん」)
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by bekokuma321 | 2017-08-12 09:38 | ヨーロッパ

音楽の都オーストリアの首都ウィーンは、政治運動も盛んだ。下のポスターは、国会で税制について審議されていたとき、ウィーン市内に置かれたもの。

「もっと女性にクヌーデル(金)を! ほしいのは憐みではない。おカネです」と呼びかける。女性に有利な税制改革を訴えたものだ。縦横数メートルの巨大なサイズのポスターを立看板にして、傍を通りすぎる人たちだけでなく、駅の電車やバスの窓からも見えるようにしたのだという。

詳しくは、I(あい)女のしんぶんの連載「叫ぶ芸術 第48回」、そのWeb版「叫ぶ芸術」に譲るが、私は本文を書き終えて、ある事件を思い出していた。

その事件は、2016年2月、神奈川県海老名市でマネキンフラッシュモブが禁止された事件だ。海老名市は、公共における政治表現の大胆さを許すウィーンとはまったく異なっていた。

マネキンフラッシュモブとは、マネキンのようにあるポーズをとって数分間じっと動かないジェスチャーを突然行うパフォーマンス。禁止警告に、デモをした人たちは提訴。行政の狭量さに憤りを覚え、私も支援した。勝訴判決に胸をなでおろしたが、政治的表現(といっても現政権に反対の)を公共から締め出そうとする行政の動きに身震いした。

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Mannequin Flash Mob Kanagawaのフェイスブック
家庭内暴力と闘うモーツァルトの国
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by bekokuma321 | 2017-07-30 10:59 | ヨーロッパ

c0166264_20595590.jpg2017年7月、小冊子「法律を女性と男性のために――ジェンダーに敏感な法制度ガイドブック」が刊行された。

発行はOSCE(欧州安全保障協力機構)。OSCEは欧州、中央アジア、北米の57カ国からなる安全保障組織。ハードな安全保障だけでなく、人権・基本的自由の尊重に至るまで包含しており、選挙監視、男女平等、メディアの自由についても活動する。

女性が国会議員の25%程度まで増えた国々が多く、ジェンダーに敏感な法制度をどう作るかに焦点が移ったのだろう。刊行にあたって、副代表カタジーナ・ガルダプアーザKatarzyna Gardapkhadzeは強調する。

「安全で正義に満ちた社会をめざすなら、ジェンダーを主流化する政策を優先させなければならない。そのためにジェンダーに基づいた分析をすること、国会議員の長期的な思考と日々の仕事に、ジェンダーに敏感な方策が確実に含めることが肝要である」

さて、女性議員がほとんどいないと、こうなるという見本のような議会運営が日本の先の国会で起きた。

ほぼ全野党が猛反対するなか、共謀罪が強行採決された。が、その一方、政党などに女性議員増を促す法案は成立を阻まれた。法案が提案されるはずの「内閣委員会」が開かれなかったのだ。国会の会期が終盤になって、共謀罪法案や森友・加計問題への与党対応に憤った野党が抵抗したからだ。やむをえなかったのはわかる。しかし、女性議員増法案は与党から野党まで歩み寄って作った全会一致の法案だった。タイミングを見て迅速に内閣委員会にかけられたはずだ。なんという理不尽!

衆院の女性議員は9%しかいない――世界193カ国中164番目。この男性偏重構造を変えなければこんな理不尽はまた起きる。

c0166264_2143648.jpgガイドブック「法律を女性と男性のために」の活用には、女性議員をもっと増やさなくては話にならない。

同OSCEから6年前に刊行された「立法府の男女平等――6つの行動計画」が日本にはより役に立つ。6つを和訳するとーー。

1 憲法で議員候補の男女平等を保障
2 選挙制度を比例代表制にし、できるだけ多数定数の選挙区に
3 クオータ制の合法化
4 政党の内規男女平等候補選定を規定
5 政党・メディア・市民団体が先頭にたって女性の訓練や助成金
6 議会ルールを女性が働きやすい環境に改善

日本にもっとも大事なのは、「2 選挙制度を比例代表制にし、できるだけ多数の選挙区に」であろう。本書には、比例代表制選挙がもっとも女性議員を増やせると書かれている。加盟57カ国のうち54カ国の選挙制度を比べたら、2000年も2010年も、比例代表制選挙の国の女性議員が多かった。棒グラフを作ってみた。

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図表にはないが、2000年13カ国で行われていた小選挙区制が2010年には8カ国に減って、逆に、比例代表制をとる国が29か国から35カ国に増えていた。注目にあたいする。

Gender Equality in Elected Office: A Six-Step Action Plan
OSCE
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
国会議員年収も政党交付金も世界最高額
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by bekokuma321 | 2017-07-17 21:26 | ヨーロッパ

7月3日、フランス大統領エマニュエル・マクロンは、ベルサイユ宮殿で上下両院に対して初の演説をした。  

報道を読んで私が最も驚かされたのは、「国会議員を3分の1に減らす」と言ったことよりも、選挙を今の小選挙区制から「比例代表制」に変えると言ったことだ(注)。

「次回の国会議員選挙から比例代表制の服用を与える」との表現からすると、北欧型の純粋比例代表制ではなくドイツ型の比例代表併用制をとるのだろうか。次の選挙から、とはものすごいスピードだ。

マクロンは国会議員選挙最中から、比例代表制の推進を公言していたと報道されているが、中身は3日の演説でも明らかにされていない。ただ、「国民の代表をどう選ぶかは我国の未完の課題であるが、みなさんとともに断固としてやりぬきたい」と、強い覚悟を示した。

さらに3日の演説で、マクロンは、国会議員を減らす代わりに、市民の請願署名の権利を定めた法律を改正して、市民からの直接署名が国会の議題として審議されるようにするとも語った。

また、「社会的出身によって牢獄に縛られてるかのごとき頑迷固陋なフランスの不平等を終わらせる」。なんとも、しびれる表現だ。

彼の政治信条は「右でも左でもない」であるという。が、彼は北欧政治に影響を受けているとの文章を読んだことがある。初の大統領演説で比例代表制への移行を述べたことは、その一端を示唆しているようだ。

北欧諸国は国会も地方議会も比例代表制だ。ノルウェーでは19世紀から20世紀初めに、小選挙区制選挙から比例代表制に変わった。民意を反映してない小選挙区制的投票をボイコットした一地方の反乱から始まり、国の制度も変わった。

比例代表制は、女性や少数派の意思が票に反映されるフェアな選挙制度とされている。

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▲パリのセーヌ川から見たフランス国会議事堂となっているブルボン宮殿。マクロンは慣行を破ってここではなくべルサイユ宮殿で演説した。

Emmanuel Macron vows to transform France in Versailles speech
Macron seeks to cut number of France MPs by a third
マクロン勢力躍進で仏国会の女性38%
フランスは選挙もセクシー
フランスの政党交付金は男女平等化資金に
男女ペア候補がつくるフランスの男女平等議会
フランス議会は男女半々(パリテ)へ-イヴェット・ルーディさんに聞く-
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
豊田真由子議員の暴言暴行と選挙制度


【注】フランスの選挙は1区1人選出の小選挙区制。しかし、第1回目の投票での上位候補者による決戦投票がある。つまり、有効得票の50%超で、かつ登録有権者の25%以上の得票を得た候補がいないときは、登録有権者の12.5%以上とった候補者たちによる再投票となる。小選挙区2回投票制(Two-round system)。
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by bekokuma321 | 2017-07-04 13:15 | ヨーロッパ

フランスの総選挙が終わり、577議席のうち351議席をマクロン勢力が握った。女性は223議席、38%と過去最高だった。前回、女性は27%だったので、大躍進である(注)。

「国会にもっと女性を」と語っていたマクロンの言葉に嘘はなく、「共和国前進La République en Marche (La REM)」HPの候補者サイトには、男女がズラリと並んでいた。5月11日に発表された公認候補は男214人、女214人と、きっぱり半々(パリテ)だった。

「共和国前進」当選者のうち女性は47%に達し、男女平等の党であることを証明しているようだ。それに、「女は顔、男は頭」とかいう古臭い固定観念を、マクロン夫妻は一瞬にして変えてしまった。

先日、同党の政策は税の公平分担など北欧諸国の政策に影響を受けているとした報道を読んだ。しかし、マクロンは、公務員の大幅な削減や規制緩和という自由主義的政策の持ち主であると言われてきたが、それが中心なら男女平等社会への前進は難しいのではないか。どんなふうに平等を前進させるのだろうか。楽しみだ。

【注】6月19日付フランス紙「エクスプレス」は、最終的に国会の議席に座る女性は227人、全議席の39.3%だと報じている。理由は、ノルウェーの国会のように、大臣と国会議員が兼務できないからのようだ。大臣職5人の代理は女性だったため5人女性が増え、さらに女性1人の代理は男性だったため、227(223+5ー1)になったと思われる。これでフランスは女性国会議員率で世界63番目から10番台となる。ちなみに日本は164番目

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        ▲共和国前進La République en Marcheホームページより

En Marche
Macron set for big win in second round of parliamentary polls
'A lot of inspiration for En Marche comes from the Scandinavian countries'
Record de femmes à l'Assemblée nationale 
フランスは選挙もセクシー
フランスの政党交付金は男女平等化資金に
男女ペア候補がつくるフランスの男女平等議会
フランス議会は男女半々(パリテ)へ-イヴェット・ルーディさんに聞く-
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by bekokuma321 | 2017-06-22 02:41 | ヨーロッパ

6月8日のイギリスの総選挙で、イギリス史上最も多くの女性が当選した。

歴史的だったとはいえ、前の選挙から大躍進したというわけでもない。全体で女性の当選者は208人で、2年前の196人から12人増えた。割合は30%から32%になった。政党別の女性割合は、保守党21%、労働党45%、SNP34%、自由党33%。

前回選挙と比較すると、保守党は変化がなく、労働党は44%から45%に微増、SNPも33%から34%と微増だった。自由党は11%から33%と大幅に女性が増えた。とはいえ、自由党の議席は少なく、多くの報道は「歴史的」としたが、それは労働党当選者が多かったことによる。

この結果に、伝統ある女性解放団体「フォーセット協会」はまったく満足していない。協会は、「国会のわずか30%しか女性はいない」と訴え、選挙に向けて女性政策・男女平等政策を政党に要求するなど精力的に運動をしてきた。サム・スミサ―ス代表はBBCに次のようにコメントしている。

「女性たちは、200議席というハードルを初めて超えました。しかし、これはまだ全体の32%にすぎないのです。赤面するほどのろいカタツムリの歩みでしかありません。新しいアプローチをする時がきました。全政党に候補者の少なくとも45%は女性にせよと要求して行きます」

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 ▲地方議会と国会に女性議員はどのくらい増えたか(フォーセット協会のキャンペーン)

Record number of female MPs win seats in 2017 general election
Election 2017: Record number of female MPs
Fawcett Society
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by bekokuma321 | 2017-06-22 00:36 | ヨーロッパ

6月15日、共謀罪が、委員会採決をすっとばして本会議で可決された。この腹立たしさをどうしてくれよう。

次の選挙で共謀罪に賛成票を投じた議員を減らせたら少しは癒されるだろう、が、その選挙制度は私たちの民意を反映しない小選挙区制ときている。衆院選で、自民党に投票した人は、2012年43%、2014年48%。過半数に満たない。しかるに、その議席は、2012年79%、2014年76%だ(注)。

6月8日に選挙があった、小選挙区制の母国イギリスはどうか。

保守党は、330議席から318議席に議席を減らし、労働党は229議席から262議席に増やしたが、政権交代とはならなかった。ハング・パーラメント(宙ぶらりん国会)と呼ぶらしいが、「小選挙制は強靭な安定政権をつくる」という説は嘘ではないか、と思える。

投票日の朝、「さあ投票に行こう。だが、このグロテスクな選挙制度は改革を必要としている」と題した刺激的論説がガーディアン紙に載った。

筆者は専属コラムニスト ポリー・トインビー(Polly Toynbee)。彼女はのっけから「選挙に関わった人たちは、戸別訪問で、『投票しても変わらない』とか『政治には関心ない』と言われただろう。実際、その声は当たっている」とキッパリ。

そして、小選挙区制選挙に致命的欠陥があることをあげる。

「2015年の総選挙では保守党が7ポイントリードしたが、保守党から労働党に639票移れば、労働党が6議席増え、ハング・パーラメントになっていた。わずか639票だ!」と、選挙改革協会(electoral reform society)の調査結果を紹介。

次に、「前回、有権者の多くは、勝者となった候補者の票数に無駄に票を上積みしたか、落選候補へ入れた」とし、「票の74%が無駄に投票された。その無駄は2200万票」とはじき出した。2200万票の無駄を出す選挙ーーこれはグロテスクだ。

小選挙制は死に票が多いのが欠点だ。日本でも死に票の多さは指摘されてきたが、その死に票だけでなく、1票でも多ければ当選なのだから勝者への上積み票も無駄な票である、と彼女はいう。なるほど、なるほど。

加えて、当選者の多くは「当確」候補者であり、中には民主主義が誕生した時代から「当確」と言われる政党の候補者もいた。1945年から一度も変化がない選挙区が保守党103議席、労働党67議席もある、という。これでは、「投票しても変わらない」。

そのうえで、彼女は、「小選挙区制から比例代表制に変えれば、1人1人の票が無駄になることはない」と結論づける。

北欧の選挙制度を取材してきた私は、この主張がよくわかる。彼女のいう「選挙区から6人当選とすると、比例制選挙なら、支持政党議員を1人は国会に送ることができる」を、私はノルウェーで何度も見てきた。

そうなると、生活保護受給者の厳しさに同情しない保守党議員しかいないとか、相続税を減らしたい富裕家族の困りごとをとりあげない労働党議員しかいないということもなくなる。

それに、小選挙区制よりずっとらくに女性や社会的弱者の代表を増やせる。比例制選挙では、有権者は個人を選ぶのではなく政党を選ぶのだから、政党は印象をよくするため、男性だらけより男女バランスを考えたリストを作成するだろう。それにブラック企業も真っ青というような選挙運動は無用だから、ハンディをかかえる人たちも立候補できる。

これらは、国会にも地方議会にも、右から左まで多様な政党の代表がいて、4割ほど女性議員が占める北欧諸国ーー比例代表制ーーがちゃんと実証している。

比例代表制による多様な民意の反映が生み出した福祉と平等の国々を、FEM-NEWSは何度も紹介してきた。だが、何と言っても、小選挙区制の母国イギリスの小選挙区制否定論は傾聴に値する。


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▲ノルウェーのソール・トロンデラーグ県トロンハイム市。同県は国会議員10人の選挙区。労働党、保守党、進歩党、中央党、左派社会党の5党から国会議員が出ている。


This new parliament provides a clear opportunity for electoral reform
First Past the Post’s Third Strike
Scotland’s multi-party system can never be represented by First Past the Post
Five things we have learned from the election
Go out and vote today, but know this – our grotesque system needs reform
Election 2017: Record number of female MPs
Election 2017: A big Conservative win could see fewer women in parliament
Diversity deserts: 7.5m people can’t vote for a woman this election
小選挙区制が生んだ共謀罪
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
あざやかな歴史
比例を切るな!
安保法案の成立は小選挙区制のせいである
イギリス6割が選挙制度改革に賛成
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
比例制選挙がいい

【注】日本国憲法には、イの一番に「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と書かれている。これだけ民意とかけはなれた結果を産む小選挙区制は「正当」な選挙ではなく、現国会議員は「正当に選挙された代表」とは言えない。
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by bekokuma321 | 2017-06-15 21:56 | ヨーロッパ

c0166264_039564.jpgさきほどヨーロッパから入ったニュースによると、スペインのマドリードは、すべての公共交通機関で足を広げて座ることを禁止した。

マドリード市のツイッターを見ると、こんなわかりやすいイラストとともに「他人のスペースを尊重しましょう。マンスプレディングはやめましょう」と知らせている。

マンスプレディングは、manspreadingという英語だ。man(男)にspread(広げる)をつけた言葉だ。ガバッと開脚してスペースを横取りする座り方は男性に多く、隣に座った人が不快な思いをしたり、スペースをとられて横に座れなくなったりする。

報道によると、女性運動団体Mujeres en Lucha(女性の闘い)が、インターネットのチェンジchange.org で「マンスプレディングをやめさせよう」と運動をしていたという。ちなみに、マドリードの市長は共産党員だった女性Manuela Carmena

Ayuntamiento Madrid (Madrid Town Hall)
‘Manspreading’ banned on all public transport in Madrid
Madrid contra el 'manspreading': la lucha feminista por un uso cívico del transporte público
Que la Comunidad de Madrid ponga carteles sobre el Manspreading en el metro(チェンジの署名運動)
Madrid installs gay-friendly traffic lights for World Pride 2017
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by bekokuma321 | 2017-06-08 00:48 | ヨーロッパ

c0166264_14184438.jpgフランス大統領選の1回目が終わり、中道政党「前進!」のエマニュエル・マクロンと、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペンが残った。

決選投票は5月7日だ。フランス国民はマクロンを選ぶだろうと予測されている。

次期大統領と目されるマクロンは、高校時代に教師と大恋愛。「何があっても、僕は先生と結婚する」との誓いどおり、2007年、結婚した。彼女の名はブリジット・トロニューBrigitte Trogneux。20歳(24歳という説も=注)年上で、前夫との間の子ども3人の母親だ。マクロンは、「僕が彼らの母と愛し合うことを認めてもらえてうれしい」と語っている。

彼女の教え子だった彼は、選挙中も彼女のアドバイスをよくきいていたとか、大統領になったら誰かは未定だが女性首相にする予定だ、とかさかんに報道されている。ユニークなのは私生活ばかりではない。無名の若者・・・という報道のとおり、彼は一度も国会議員に当選したことがないのだという。候補者になったかどうかは不明だ。

ここで、フランスの国会(下院)の話を少し。

国会議員に占める女性は25.8%で、世界63位。日本はたったの9.3%で世界163位だから、それに比べればいい線なのだが、フランス女性には屈辱の数字のようだ。

彼女たちは、政界を男女半々にするため、まず2000年、憲法に「パリテParité 男女同数」という言葉を盛り込ませた。次に政界への男女平等アクセスを推進する「パリテ法」を定めた。これによって比例代表制をとる欧州議会(EUの準立法府)、州議会、人口1000人以上の市議会は、候補者名簿が北欧のように男女が交互に並ぶことになった。欧州議会はもともと女性が多かったのだが、加えて、州議会や市議会は、限りなくパリテに近づいた。

一方、小選挙区制の国会と県議会はパリテがうまく働かなかった。そこで県議会(女14%)の選挙は、突飛というべきかおしゃれというべきか、選挙法を改正して「男女ペアで立候補しなければならない」とした(2013年)。

フランス語でビノームbinômesというらしいが、ダンスを踊るときのように、男性(女性)はペアを組む女性(男性)を探して立候補する。ポスターも、恋人か夫婦のように男女ペアで並ぶ。ペアを組む相手は同政党より異なる政党や政治団体であることが奨励されている。当選後は、独立して別々の議員活動をする。

小選挙区で最高得票をとった1組の「男女ペア候補」が当選となる。2015年に県会選挙があった。その結果、フランス全県会議員4108人中、女性2054、男性2054。みごとなパリテである。

大統領選は国中からたった1人を選ぶ選挙だからパリテにはなじまない。ところが、決選投票は期せずしてパリテとなった。フランスは、選挙までちょっとセクシーだ。


自由の国のおしゃれな改革(フランス) (叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち)
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
国会議員年収も政党交付金も世界最高額
フランス地方選で極右台頭
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい

【注】追記だが、マクロンが次期大統領と目されるなか、妻との年齢差の報道が多く見られる。妻ブリジット・トロニューは夫マクロンより25歳上らしい。女性が受ける年齢差別は男性のものの数ではないことを考えると、今後も何かにつけて騒がれることだろう。




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by bekokuma321 | 2017-04-24 14:35 | ヨーロッパ