衆院選投票率50%台か

NHKによると衆院選 「投票率は53.60%前後の見込み」だという。戦後最低の投票率と言われた2014年(平成26)の52.66%からやや増えた。しかしなんとまあ棄権の多いこと。

小選挙区制という選挙では、最高得点をとった一人しか当選しない。自分の1票が政治に反映されない可能性があまりに高い。だから馬鹿らしくて投票所に行く気になれない人も増える。

先月、取材してきたノルウェーの最終投票率は78.2%だった。ノルウェーは比例代表制選挙だ。

c0166264_23511488.jpgこれまで、小選挙区制は、得票率が議席数に反映されないことが指摘されていて、民意の反映しない選挙だと強く批判されてきた。

たとえば2012年の衆院選を見る。自民党は小選挙区で得票率43%だったが、小選挙区議席の79%をかっさらった。投票した人の2人に1人に満たない票で、8割近い議席を得たのだ。絶対得票率(上の表。注)となると、自民党はわずか24.7%で4人に1人に満たなかったが、比例区あわせて全議席の6割を超えた。そのかげで、他候補に入れた3000万以上の票はすべて死に票となった。

一方、比例代表制のノルウェーはどうか。政党ごとの得票率と議席占有率を見る。最大政党の労働党30.8%で33%、保守党26.8%で28%、 進歩党16.3%で17%、中央党5.5%で5.9%・・・。比例代表制という名の通り、得票率に議席数が比例している。大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに得票に応じて議席を出せるのだ。これが、1人1票を生かす選挙というものだろう。

自分の1票が確実に議席に反映する選挙制度をとるノルウェーの投票率が高いのは当たり前だろう。

今回の衆院選では、どれだけ死に票が出るのか。

【注】絶対得票率は、有権者全体の得票率で,棄権した人も含めて有権者全体のなかでその政党 が何%票を得たかを示す

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 ▲衆院選の投票率の移り変わり。小選挙区制が始まったH8(1996)から投票率がガクンと下がった

投票率アップのカギは「優しさ」 総選挙で80%近く ノルウェーに学ぶ(東京新聞)
2017衆院選の政党別・性別候補者
案内「選挙が変われば政治が変わる」
絶望の小選挙区制選挙(2017衆院選)
日本の「自書式」ハンディキャッパーに不利
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# by bekokuma321 | 2017-10-23 00:37 | その他

朝日新聞の2017年10月21日「党派別の候補者数」をもとに政党別・性別に棒グラフにした。

赤が女性候補、灰色が男性候補。

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2020年まであらゆる指導的立場の女性を少なくとも30%に。これが政府の目標だった。しかし、女性の候補者が全体の17.7%では話にならない。

とはいうものの、衆院における女性議員はわずか9.3%にすぎないことを考えると、正当な理由なき突然の解散にしては、健闘したといえそうな政党もある。

現在、日本の女性議員率(第1院)は、世界193カ国中165番目という最下位チームに属している。この女性候補209人が全員当選したとして、全議員の17.7%だから、世界193カ国中112番目か113番目で、トーゴかジャマイカと同じランキングとなる。もちろん先進国では最下位だ(2017年9月1日付IPU調査Women in national parliaments)。


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# by bekokuma321 | 2017-10-22 19:13 | その他

c0166264_2394327.jpgノルウェーに、女性初の外務大臣が誕生した。イネ・エリクセン・スールアイデ(Ine Eriksen Søreide)だ。これまで防衛大臣だった。

9月の総選挙で、保守中道政権の続投と決まり、アーナ・ソールバルグ(またはエルナ・ソルベルグ)内閣にほとんど変更なさそうだ。スールアイデの外務大臣就任で、首相、財務大臣、外務大臣というトップ3が全て女性となった。

ノルウェーに、女性初という冠がまだ存在していたことに驚いた。首相や財務大臣などには女性が就任してきたが、外務大臣はなぜかこれまで男性だった。現外務大臣ボルゲ・ブレンデは、世界経済フォーラム(World Economic Forum)事務局長に任命されたため、次の外務大臣は誰か話題になっていた。

イネ・エリクセン・スールアイデは、オスロ選挙区から選出されている保守党の政治家。夫も保守党の政治家。2人の息子から花束を贈られたと報道されている。

【写真:Ine Eriksen Søreideのfacebookより】
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# by bekokuma321 | 2017-10-20 23:18 | ノルウェー

c0166264_1227449.jpgニュージーランドの首相にジャシンダ・アーダン(37)が決まった。8月に労働党の党首になったばかり。9月の総選挙で、その活発で元気なイメージで労働党の票を伸ばした。

女性の首相は、「わずか3人目にすぎない」とニュージーランドでは報道されている。

トランプ大統領就任式の日、「トランプに反対する女性たちのデモ」が世界中で巻き起こった。ジャシンダは、ニュージーランドのオークランドで行われた、そのデモに参加して行進した女性の1人でもある。そんな気さくなフェミニストを一国のリーダーに選んだニュージーランド国民に心から拍手を送りたい。

彼女は、社会主義青年部の活動で頭角を現し、2008年国会議員に初当選した。労働党の候補者リストの当選圏内に登載されたからだ。彼女のような20代の女性が立候補して国会議員になれたのは、選挙制度のおかげでもある。

ニュージーランドは長年イギリスに倣って小選挙区制をとっていた。ところが1996年、小選挙区制を廃棄処分して小選挙区比例代表併用制に変えた。比例代表制中心の選挙は、有権者の意思をほぼ正確に反映する。自民党一党支配を生む小選挙区制とは異なり、中小さまざまな政党から代表を出せる。日本ではまだ議席を出せないでいるミニ政党「緑の党」も、ニュージーランドでは比例代表制に変わってから議席を増やした。

ニュージーランドは、9月23日が総選挙だった。

最大政党の国民党(現首相の党)44%、第2の労働党は37%、どちらも過半数をとれなかった。国民党中心の内閣となるか、労働党中心の内閣となるかーー鍵を握ったのは、ニュージーランド・ファースト党だった。ポピュリスト党と言われる政党で、党首ピーターズは写真でわかるようにマオリ族出身だ。

ピーターズは国民党とも労働党とも話し合いを続けてきた。労働党は緑の党と組むことがほぼ決まっていたため、ニュージーランド・ファースト党が緑の党とも政策合意できるか否かが焦点だったといわれている。ガーディアン紙によると、ニュージーランド・ファースト党は、最終的に環境政策に熱心な「労働党+緑の党」と組むことを決意したらしい。

比例代表制の国では、総選挙後、政策が似通った他党との連立を模索する政策協議が続けられ、政権が誕生する。政党同士が何日も話し合いを続けて新しい政権づくりをする姿をノルウェーで何度か見てきた。

ノルウェーもそうだが、比例代表制の国では、最大政党から首相が選ばれるとは限らない。どの政党とどの政党が連立を組むかにかかっている。今回、ニュージーランドの首相は、44%を獲得した第1党からではなく、37%の第2党から選ばれた。比例代表制は、民意を反映する選挙であるだけでなく、多様性の時代・連帯の時代にふさわしい選挙だ。

日本が倣ったという小選挙区制の本家本元イギリスでも、比例代表制にという声が大きくなっていると聞いた。出藍の誉れ、ニュージーランド!

選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
夜をとりもどせ!(ニュージーランド)
The Quest for Prosperity: How can New Zealand keep living standards rising for all?
Caroline Lucas MP on Proportional Representation and Votes at 16
英国下院、女性が30%に
イギリス6割が選挙制度改革に賛成 
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
女性の衆議院議員は1割に満たず
政治は男のものではない

【写真:ニュージーランド労働党ホームページより】
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# by bekokuma321 | 2017-10-20 12:52

c0166264_20464535.jpg期日前投票に行ってきた。

憲法を改正されてはたまらない。自民党の改憲草案(2012年策定)には、9条に「国防軍」の保持というゾッとする用語が明記されていた。野党の反対で棚上げにされたが、安倍政権の本心はこれだろう。

現在の憲法9条を変える必要はないと私は思う。だから改憲に反対する政党の候補とその政党に1票を投じた。

1票を投じた、と言っても、正確には、小選挙区制の投票用紙に鉛筆で候補者の名前を書いて、それを投票箱に入れた(右)。

次に、別の係員から、比例区の投票用紙を受け取って投票ブースに戻って、政党名を自分で書いて、投票箱に入れた(右下)。

c0166264_20494678.jpgこれまで、こんなふうに支持する政党の候補者の名前を書いてきたが、この方法は「自書式」と呼ばれていて、先進諸国では日本だけらしい。いや世界で日本だけだという人もいる。

自書式は、手や指の不自由な人、目の不自由な人、字の書けない人などハンディを持つ人にとって、楽な方法ではない。また選ばれる側の候補者から見ると、夫婦同姓強制社会で、かつ苗字を呼ぶ慣習の日本では、苗字が変わってしまう既婚女性の多くは不利になる。

それに記号式のほうが、ミスが少ないし、票の集計だって早いに決まっている。とすると人件費も節約できるのではないか。

1980年代、ノルウェーで初めて選挙の投票用紙を見た。B5判ほどの大きさにまず驚いた。その一番上に政党名、その下に何人もの候補者名がズラリと印刷されていたことに、また驚いた。

c0166264_2126521.jpg投票する人は、投票ブースに入って外から手の動きが見えないようにカーテンを閉めて、その中に置かれている投票用紙から支持政党の用紙1枚を選んで封筒に入れて、投票箱に入れる(今は封筒はなくなって、政党名・候補者名が印刷された側を見えないように二つ折りにする様式に変わった)。

ノルウェーは比例代表制だから候補者名を印刷しているのかと思いきや、違った。

小選挙区制の母国イギリスでも、同じだった。

c0166264_21214277.jpgイギリスの投票用紙には政党ロゴと候補者名がズラリ印刷されていて、投票する人は、支持する候補者の横にある空欄にしるしをつけるだけ。

選挙は、国会に主権者の意思を反映させるために行うものだ。だから、民意を反映する比例代表制中心の選挙制度にすべきだ(現行の小選挙区制比例代表並立制は、小選挙区制が基本)。ノルウェーは、およそ100年ほど前に比例代表制に変えたという。でも、日本で選挙制度改正には時間がかかりそうだ。まずは世界で唯一の「自書式」から「記号式」に変えるのはどうだろう。

【写真上:2017年10月22日の衆院小選挙区制投票用紙。写真中:2017年10月22日の衆院比例区投票用紙。写真下:ノルウェーの2017年総選挙に使われた投票用紙の労働党。写真最下:小選挙区制イギリスの投票用紙】


【ノルウェー2017年選挙のルポ】
市民に優しい選挙制度(ノルウェー)
投票率は77.6%(ノルウェー)
投票日の夜は政党のパーティ(ノルウェー)
国会議員選挙結果、女性41.4%(ノルウェー)
真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)

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選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
民主主義度1位ノルウェー、23位日本
同じ18歳であってもーーノルウェーの選挙、日本の選挙(木村昭子)
世界一民主的な国
世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~
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# by bekokuma321 | 2017-10-19 21:32 | その他