2017年 10月 04日
承諾なしの電気ショック3年で44人(ノルウェー)
ECTはかつての「電気ショック療法」。日本ではどうかとネットで調べたが、国としての調査はないようだ。「総合病院精神医学」誌によると全国で年間42,358件という調査結果がある。患者自身の承諾の有無はわからない。
ノルウェーでは、法律でECTが厳しく制限されている。しかし当事者の承諾があって、しかもECTの他には命と健康をとりもどす方法がない場合に限って、医師に例外的使用が認められている。
VG紙報道の下になったのは、ノルウェーのオンブズマン制度である(注)。そのひとつシビル・オンブズマン(かつての議会オンブズマン)は、この当事者の承諾なしのECTに対して、法律違反ではないかと厳しい批判の目を向けている。
オンブズマン(オンブッドと中性表現を使うことが多い)には強い調査権があり、その権限を使って病院側などに対して情報を出させたことによって、実態が明らかになったと考えられる。
シビル・オンブズマン予防部のヘルガ・アービック(写真)は、「緊急に必要だったという理由でECTがなされているが、その緊急状態が数日間、数週間続いている。緊急に必要ということは、その人が死ぬかもしれない重篤な事態のことであり、そうした際の治療は即効性があるはずだ」(VG紙)
医師の側は、当事者自身の承諾を得られない場合は家族に相談した上でなされていると、VG紙に答えている。
■VG avslører: Ga elektrosjokk 166 ganger uten pasientenes godkjenning
■Psychiatric patients in Norway given electro therapy without consent: report
【注】この報道には、ノルウェーのオンブズマン制度が深く関与している。ノルウェーでは、法律というものは、独立した特別の監視機関がなければ十分に守られないとされている。その機関をオンブズマンといい、特別公務員である。そこには誰でもいつでも簡単に相談でき、無料でなければならない。シビル・オンブズマンは1962年「議会オンブズマン」として新設された。全ての行政にかかわる問題に関連する職員全体を包括する総合的オンブズマンといえる。その他、男女平等推進や差別撤廃に目を光らせる「平等・反差別オンブッド」(オンブッドはオンブズマンの中性形)や、マーケッティング規制法にもとづく消費者オンブズマン、子どもの権利や利益を擁護する子どもオンブッドなどがある。これらは国レベルのオンブズマンであり、地方にも別途オンブズマンがいて、社会的弱者に国の制度がちゃんと機能しているか否かを監視する。